DP-2000のメンテナンス
- 2024/04/22 15:11
- カテゴリー:マニアックなおはなし, make:
私が長く愛用しているアナログディスクプレイヤーは,DENONのDP-2500です。
DP-2500はDP-2000というターンテーブルとトーンアームをキャビネットに収めた完成品なのですが,私はトーンアームをグレースのGL-940に換装し,その後ようやくカートリッジの音の違いを堪能出来るくらいの性能に落ち着いてくれました。
とはいえ,経年劣化からくる問題はまだすべて解決しておらず,今年の初め頃から最後の大修理を予定していました。
ようやく暖かくなってきたこともあり,作業に取りかかったというわけです。
(1)インシュレータ
DP-2500付属のインシュレータは,すでにゴムが劣化してグズグズになっていて,防振の役割をどころか,ダイレクトに振動を伝えてしまうようなひどい状態でしたし,高さも変わってしまったので水辺を出すのもおぼつかないという有様でした。
まずはここから対策しないと思ってはいたのですが,レコードプレイヤー用のインシュレータというのは案外売られていないもので,どうしたものかと悩んでいました。
どうもパナソニックのSL-1200MK3のインシュレータ(SFGC122-04Eという名将らしい)がそのまま使えそうだとわかり,手配を試みるもヨドバシあたりでは取り扱い終了でした。前回はここでくじけてしまったのですよ。(なんと1つ756円という破格値でした)
今回はここから本気を出して,部品扱いで探してみると,
TGAX095
SL-1200G用
22490円(4個セット)
RKA0352-S
SL-1200GAE-S用
22150円(4個セット)
TGAX104
SL-1200GR用
15900円(4個セット)
TYL0296
SL-1200MK7用
9990円(4個セット)
となりました。SFGC122-04EとTYL0296は基本的には同じ物でしょうから,3倍くらいに値上がりしていますね。とはいえ,もともとの値段が安すぎで,今の値段が妥当だとは思います。
さて,どれも現行品ですので入手SOMOのは難しくないにせよ,値段がこれほど違うと悩む物です。私は結局SL-1200GR用のTGAX104を買いました。1つ4000円ですか・・・高いなあ。
ところで,今はなきベスタクスのインシュレータも手に入るようです。しかし,DJ用ということで防振の特性が異なる可能性が高く,今回は見送りました。
(2)オイル
DP-2000は言うまでもなくダイレクトドライブのターンテーブルで,基本的には注油は指示されていません。しかし,同じダイレクトドライブのターンテーブルであるSL-1000やSP-10では,定期的な注油が指示されているそうです。
その指定オイルがSFW0010というもので,これはなんと今もヨドバシで買えます。880円です。安い!しかし,2022年の秋までは220円と,ゴミのような値段でした。
これをDP-2000やDP-3000のメンテに使っている人も多いそうで,私もそろそろやってみようと手配しました。実はちょっとゴロが出ているように思うのです。
注油には当然ターンテーブルの分解が必要です。ついでにコンデンサなども交換しておくことにしましょう。
さて,(1)と(2)が揃ったところで(実際には暖かくなったところで),作業開始です。
まずターンテーブルの分解。キャビネットからターンテーブルを外し,プラッタを外してひっくり返し,カバーを外します。
中央部にDDモーターがありますので,本体から取り外さず,モーターのケースだけ取り外します。
するとなかからローターが出てきます。これを慎重に抜いて,古いグリスを拭き取って軸受に注油します。いやもう,40年近いわけで,その間に一度も注油されていないんですから,動く方が不思議なくらいです。
ところがここで大問題。なんと,軸受のステンレスボールが摩耗していました。それも犀利湯不可能なくらい,派手に削れていていて,スピンドル軸のお尻に入り込む部分では,円錐状に削れていました。グリスも固着していて,同じ場所ばかり擦れてしまったんだと思います。
ゴロの原因はこれかも知れませんが,交換用のステンレスボールなど用意していません。とりあえず向きを変えて削れた部分がどこにも接触しないようにして組み立て直します。
先に書くと,これでもきちんとサーボもかかって安定して回転してくれました。しかし,やっぱり交換したいじゃないですか。
あいにくボールの直径を測るのを忘れてしまったのですが,そこは便利なamazoでステンレスボール詰め合わせセットを手配し,届いてから再度分解,交換しました。
ボールの直径は実測で4mm,同じ直径のボールに難なく交換して作業終了です。
次にコンデンサの交換です。ストロボスコープ用のコンデンサの劣化が早いので,これだけ交換することにしますが,取り外したコンデンサの容量を量ってみると2割ほど減っていました。回路が誤動作するような劣化ではないにせよ,ほっとくと早晩おかしくなるでしょう。交換して良かったです。
後は劣化が進んだACコードを交換,さらに吊り下げられている電源トランスのゴムブッシュの劣化を補うために,シリコンゴムのリングをネジに通しておきました。
再度組み立てますが,軸受を分解したので念のため,回転パルスを出すタメの磁気ヘッドの位置だしをやっておきます。
無事に完成,テストを行いますが問題はありません。2時間ほど運転してからキャビネットに戻してセッティングです。この時例のインシュレータを交換します。
さて,セッティングまで終わって試聴です。まず,インシュレータの効果は大きく,ラックに触った時に聞こえる振動が軽減されています。水平の調整も楽に出来ますし,ようやくまともになった気がします。
続けてターンテーブルです。これもなかなかよくて,ゴロが減りました。回転ムラは以前から気にならない程度だったので,変化はありません。ゴロだけではなくS/Nが向上したのはすぐにわかるレベルで,これが本当のDP-2000の実力だったんだなあと思った次第です。
もっと早くにやっておけば良かった。
もしこれがダメだったら,新しいアナログプレイヤーを買うことを検討するつもりでした。買わずに済んだと言うよりも,捨てずに済んだ事がなによりうれしいですし,まだまだ私の中心的機材として活躍してくれそうです。