HP-12C Platinumを買った
- 2019/03/04 13:59
- カテゴリー:散財, マニアックなおはなし
DM15LとDM16の入手,そしてHP-15CLEの再評価と,HPの電卓漬けになっている昨今ですが,特にDM16でlogの計算をさせるプログラムをいろいろ検討する過程で,随分手に馴染んできたような実感が出てきました。
通常の四則演算は普通の電卓の入力(ALG)に慣れているが現実ですが,関数については国産の関数電卓がどうにも馴染めず,ずっとポケコンで来ていますから,RPNでスイスイ使えるようになってしまうと,もうこれ以外の電卓は使えそうにありません。
で,実際に使い込んでみると,世の中の主流をしめる縦長の電卓よりは,横長の電卓の方が私は使いやすく,思えばポケコンも横長だから使いやすいと思って使っているのかも知れないと思うくらい,もうそれだけが理由で電卓の置き換えを考えてしまっています。
その点で言えば,同じHPのRPN電卓であるHP35sも今ひとつな感じですし,HP30bを改造したWP34Sもやっぱり今ひとつです。やっぱりHP-10Cシリーズなんでしょうね。
で,HP-15CLEは動態保存機。DM15Lは自宅用,DM16は職場で使うという配備を考えたのですが,DM16はカードサイズでキーも押しにくいシートキーです。ちょっとした計算には,手が伸びにくい計算機である事がわかってきてしまい,あらためてオリジナルのサイズ感やキーの押し心地が大事であると再認識しました。
でも,DM15Lをもう1つ買うのはもったいないです。HP-15CLEを買うことはもはや普通は出来ませんし,どうしたものかと考えていると,そう,HP-12Cが現行機種である事を思い出しました。
HP-12Cは金融電卓と言われていて,主にアメリカの金融関係者が使う「便利グッズ」です。登場から30年以上経過してなお,このジャンルの標準として重宝されているそうです。きけば,金融関係のテストでも,持ち込みが許可されているとか。
オリジナルは他のHP-10Cシリーズとハードウェアを共通にするのですが,他のモデルがディスコンになってからは,ちょっとずつ改良が進んでいて,記念モデルも含めると様々なバリエーションが存在します。
金融電卓ですので,関数は最小限に絞り込まれていて,やっぱりsinやcosはありません。でも,y^xはあるし,expやlog,lnもあるので,随分助かります。
それに,統計計算があるのはうれしいです。しかもHP-15Cのそれより強力で,加重平均や2パラメータの推定や相関関数を求めると言った機能が追加されています。
加重平均はありがたいです。HP-15Cでもプログラムを組んであるくらいですし。
一方で,プログラムは申し訳程度といっていいくらい窮屈で,サブルーチンは使えずジャンプはGTOのみ,そもそも複数のプログラムを入れておくことは想定されておらず,あらかじめGTO命令で実行する行を設定しておもむろにRUNするしかありません。
ジャンプ先はラベルが使えず,行番号による指定です。ですから,プログラムを修正して行が変わると,ジャンプ先もすべて変更する必要があります。
プログラムの低機能さは編集にも現れていて,行の削除と挿入が出来ません。なんとまあ,プログラムメモリすべてがGTO 000で埋め尽くされていて,ユーザーがプログラムするというのはつまり,その行を別の命令で上書きするということです。
うーん。
なんか,ハンドアセンブルをやってた時代を思い出しましたよ。アセンブラでもラベルは使えましたからね,これは厳しい(でも楽しい)。
初代HP-12Cは,これに加えて最大99行までという制限まで付いて,まさにプログラミングはおまけ機能のようなものだったのですが,後継機種では400行まで拡張されました。されましたが,ほかの制限は改善されておらず,ラベルもサブルーチンも使えず400行もプログラム出来るかよ,と私などは突っ込んでしまいます。
お値段は一頃安かったそうなのですが,今は若干高めです。正規代理店が日本国内にはないということもあり,ますます入手が難しくなっている中,amazonで並行輸入品を入手出来るのが救いだったりします。
HP-12Cはいろいろなバリエーションがあり,amazonで買うと値段もまちまちなので混乱しますが,私の場合特にこだわりがあるわけではないので,最も安いものを6900円で買うことにしました。HP-12C Platinumという機種です。写真を見ると,キーの所まで銀色で,hpのロゴも10年ほど前に使われていたものです。
ん?この機種は随分古くて,今はもう売ってないんじゃ?
新品ならいいかと,ポチって届いたものを確認すると,やはり2005年に発売された,HP-12C Platinumの2世代目(F2232A)でした。
もともと,HP-12C PlatinumはHP-12Cのデラックス版として2003年に登場していて,ノーマルのHP-12Cよりも高速で多機能なモデルと位置づけられていたそうですが,そのノーマルのHP-12Cも1990年代半ばにはCR2032で動くようになり,2008年にはARMコアになったことで,Platinumよりも高速なってしまったそうです。
その後,記念モデルやなんやでややこしいことになりましたが,レジスタの数やキーのアサインなどの機能的な違いはノーマルとPlatinumの2者間だけだと思っていけば良く,逆に言うと買うときにはこの2つの違いについて知っておくと失敗しないということになると思います。
そういえば,2000年頃と言えば,惜しまれながらHP200LXが消え,WindowsCE機であるJornada720なんかが出ていた時期でした。私はJornada720をしばらく使っていたことがあるのですが,そういえばなんとなく質感が似ています。
HP-15CLEがいろいろと残念なモデルだったことはよく知られていますが,個人的にはキーのグラグラが許せなく,触っているとモチベーションが下がっていくのがわかるわけですが,私が買ったHP-12C Platinumについては心配無用で,心地よいクリックのある,しっかりしたキーを持っています。
私はHP35sもキーが気に入らないことも理由の1つとして,あまり使おうという気が起きないのですが,このキーの感触なら常用できます。
CPUはARMではなく6502ベースのもので,なんとCR2032が1つだけ使われているモデルです。電池交換時にはメモリが消えるんじゃないかと思うのですが,素早くやれば大丈夫かも知れません。今度試してみましょう。
金融計算は,私は幸か不幸か日常的に行う状況にありませんし,そんなに興味のある分野でもないので,まあそんなもんかで済ませるとして,統計計算は便利ですよね,やっぱり。
それに,DM16であれだけ苦労したy^xも一発で,三乗根がぱっと出てくるところに感激してしまいましました。
さて,ここまでくると,やっぱり常用機にしたいですよね。
常用機には,dBの計算ができないといけません。そのために常用対数が必要ですが,あいにくHP-12Cにはありません。そこでプログラムです。
HP-15CLEやDM15Lと同じように,抵抗の並列接続や電力の計算も入れておくとより実用性が高まりますが,HP-12Cでは複数のプログラムを使い分けることが難しくなっているので,実際の操作方法まで同じに出来ないのが厳しいところです。
というわけで,HP-12Cで電力のdB,電圧のdB,抵抗の並列接続,電力の計算,そして常用対数を求めるプログラムを作ってみました。
なにせGSBが使えませんので,まずGTOでそれぞれの先頭の行番号を設定してからR/Sキーを押すことになります。起動方法が他と異なるのはすごく面倒なのですが,仕方がありません。
ただ,機能ごとに開始行の番号を覚えられるはずもないし,修正すれば行番号が変わってしまうことも考えて,プログラムの先頭にジャンプデーブルを設けることにしました。これ,マシン語のプログラムを作るときにはよくやった方法ですね。
ですので,GTOで001を設定すれば10*log(x)を,002なら20*log(x),003なら電力,004なら抵抗の並列接続,005ならlog(x)にジャンプするようになっています。そして006行目から010行目までは予備としてあけてあり,今後プログラムを追加しても大丈夫なようになっています。これも昔よくやった方法ですね。
厄介だったのは,20*log(x)のプログラムから,log(x)をコール出来ないことでした。サブルーチンがあればRTNで元のプログラムに戻ることが出来るのですが,GTOしかないので決まった行にしか跳べません。
そうすると,別のプログラムから呼び出すときに,元のプログラムに戻ってくれなくなります。なので,残念な事にせっかくのlog(x)はそれぞれのプログラムごとに,埋め込む事になってしまいました。
ああ,なんだか,大昔のコンピュータを使っている気分です。
プログラムの呼び出しも面倒ですし,常用出来るかどうかも疑問ではありますが,前述のように統計計算は強力ですし,実はパーセントに関係する計算も強力で,普段使いには便利です。
こうした,金融計算と科学技術計算,コンピュータ科学用の計算を1つに統合したのがWP34Sだったりしますが,これが使いやすいかと言えばそんなこともありませんし,機能ごとに機種が分かれているのも悪くないと思います。
HP-12Cは職場で使う事にしましょう。現行機種ですから,壊しても大丈夫です。