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2024年06月14日の記事は以下のとおりです。

T50RPmk4を買った

 いいヘッドフォンが欲しくて,ATH-M7PROXというモニターを,それこそ一生もののつもりで買ったのが高校生の時でした。

 というか,ATH-909か何かを試聴もせずに買ったはいいわ,自分の欲しい音と全然違って泣きくれていたところ,まさかの断線で音が出なくなり,初期不良でATH-M7PROXに交換してもらったという経緯があった経緯があって思い出深いのですが,正直そんなことはどうでも良くなるくらい,長く愛用したとても大切な1台です。

 結局10年以上,私の基準となった本当に良いヘッドフォンだったのですが,これも悲しいかな2000年頃にドライバの断線で音が出なくなり,泣く泣く廃棄しました。

 長年連れ添った嫁さんに先立たれた老人のように,ボロボロになりながら秋葉原を彷徨いましたが,M7の後継に当たるモデルは存在せず,チャラいM5しかありません。

 そんななか,無骨で不細工,しかもお安いモニターヘッドフォンが目に入り,買って帰ったのが初代T50RPでした。確か2004年頃です。

 効率が悪く音が小さく低音も出てこず,着け心地は悪く耳も頭頂部も痛くなると言う拷問のようなモニターでしたが,定位はしっかりしており,その解像度も素晴らしいものがありました。

 耳が慣れてくるとこのヘッドフォンでなければダメ,と言うところまでいってしまい,依頼私の基準はT50RPになりました。(当時の感激が艦長日誌に残っています)

 2016年,初代のイヤーパッドも何度か交換してきましたが,最大の弱点だった高音が出るようになったと耳にして,T50RPmk3nを買いました。これもなかなか良いヘッドフォンで,うちの基準器になりました。

 しかし,これも7年が経過したところでヘッドバンドがボロボロになり,一銭からい退くことになりました。イヤーパッドも何度か交換して使っていましたし,バランス入力対応に改造もしたのですが,やはり見た目は大事です。

 それで現在のうちの基準器は,ソニーのMDR-M1STなわけですが,巷の評判の悪さを私自身は実感せず,結構気に入って使っています。周波数レンジは十分に広く,解像度も悪くないのですが,空間の表現力が乏しく,平面的なところは「モニターだし」という変な言い訳で切り抜けている感じが否めませんが,楽器を演奏するときに使うヘッドフォンとしては悪くないので,何だかんだで手元にあるのは,こいつだったりします。

 ただ,これが楽しいかといえばそんなことは全然ないので,やはりT50RPだよなーと思っていたところ,まさかの新製品が出ると言うじゃありませんか。

 私はRPシリーズでもT50意外にはあまり興味はなく,あくまでT50RPの後継機が出たから興味を持ったに過ぎないのですが,見たところ欠点の1つだった装着性は大幅に改善されているようですし,買ってみることにしました。

 しかし,値上がりしましたねー。4万円近い値段です。初代が1万円を切っていて,mk3nが17000円弱,これが一気に38500円ですから倍以上です。いくら何でもと思うのですが,ヘッドフォンが全体的にインフレ状態で,物価の上昇以上に値上がりしている(高級化しているわけですね)現状では,やむなしという所でしょうか。

 どうせ買うなら予約して発売直後に手に入れようと,ヨドバシ.comが13%ポイント還元のうちに予約したT50RPmk4が,今日届きました。

 まだ聴き込んでいませんが,さっと第一印象から。

・見た目

 ごっつくなっています。イヤパッドはダンプカーのタイヤみたいで,大げさです。10年ちょっと前,こんな感じのヘッドフォンがソニーから出ましたが,その時は「重低音モデル」だったように思います。

 その見た目は音がキワモノだったから許されたのですが,今や正確を売り物にするモニターでさえもこんな見た目ですからね,私のような落ち着いたストイックなデザインが欲しい人は,なかなか難しい時代になりました。

 ただ,それも機能性から考えると正解で,T50RPシリーズの弱点の1つだった装着感の悪さは大きく改善し,普通のヘッドフォン並になりました。包み込むような優しいタッチのイヤーパッドは快適ですが,この遮音性の高さがセミオープンのT50RPシリーズにどういう影響を与えているのか,興味がわいてきます。

 ヘッドバンドも改良されていて,頭が痛くなることはなくなりました。とはいえ,素材がmk3nから大きく変わった感じはしないので,数年もするとボロボロになるんじゃないかと思います。

 mk3nは,オレンジのコードや白地の大きなロゴが目立つ派手なデザインで,これはこれで面白かったのですが,mk4では一転して地味なモノトーンになりました。おかげで左右がぱっと判別出来ない(これはジャックが左右についているからでもあるんですが)という弊害もあります。

 ハウジングのデザインも変わっているので,T50とわからない丸い感じが印象的ですが,これもまあいずれ慣れてくるでしょう。


・使い勝手

 さっきも書きましたが,ケーブルが左右どちらにも刺さるので,取り回しがかなり楽になるはずです。私は左から出す人ですが,時々右に出したいときもあるので,この工夫は拍手です。

 相変わらず重たいし,側圧も強めなのですが,これはこれでモニターしてるぞと言う気分もありますので,T50RPの個性として受け取っておきましょう。


・音

 肝心の音ですが,T50RPシリーズの弱点を確実に潰してきた音です。伸びる高音を,しっかり据わった低音で支えて,バランス良くモニター出来ます。RPでもここまで出るかと思うほど豊かな音だと思います。

 悪く言えば普通のヘッドフォン並の音になったと言っても良いので,感動は薄いのですが,それでいてRPの特徴である定位の良さ,解像度の高さ,そして空間再現性の高さは保っていますので,例えばMDR-M1STに比べて,聴いていて楽しく,そのくせ正確なモニタリングも出来るとあって,大変好感触です。

 もう1つ大事な事として,効率の改善があります。これまでのT50RPでは,インピーダンスが高く,音が小さい,アンプのゲインが足りないということが起きていました。

 しかしmk4ではかなり改善されており,ダイナミック型には及ばないものの,問題となるシーンは少ないと思います。効率の良さは元気の良さでもあります。前に出る音が手に入ったことは,T50RPの弱点を1つ克服したことになるでしょう。


・欠点

 なんでこうなった,という欠点の1つが,本体側のジャックのアサインです。MDR-1Aタイプと異なるアサインになっているので,バランスケーブルを流用しようと思っている人は要注意です。

 付属のケーブルはもちろん,MDR-1Aのアンバランスケーブルなら問題ないのですが,こういうことになるとケーブルの選択肢が限られてくる上,同じ形状でも互換性のないケーブルが溜まってくるので,勘弁して欲しいなあと思います。

 いろいろ考えたのですが,これはもう本体を改造して,MDR-1Aタイプにするしかないと結論しました。改造は簡単ですので,買ったばかりの新品を改造することに抵抗がなければ,やってもいいかと思います。改造法は後日。


・まとめ

 T50RPの弱点は確実に解消されていますが,見方を変えれば「普通のヘッドフォン」になってきたといういことでもあります。良くも悪くも個性が薄くなったと言えます。

 価格も4万円,実売で35000円程度と高額になりましたし,積極的にT50RPmk4を選ぶ理由は減ったと個人的には思います。

 もちろん,位相特性や定位,空間再現性は素晴らしいですが,この値段なら他にもいいものはいくらでもあります。

 ゆえに,万人にお奨めするようなヘッドフォンではなくなりましたが,それでも他と肩を並べたことには違いなく,一度は検討しなければならないモデルになったことは間違いないでしょう。

 それにしてもごっつくなったなぁ(見た目も値段も)

 

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