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2009年06月30日の記事は以下のとおりです。

古いチップには古いドライバを

  • 2009/06/30 14:22
  • カテゴリー:散財

 かなり信頼性を高め,実績を積み上げつつある地デジ専用PCですが,やはりどうしてもビデオカードの増設を行う事にしました。気になっていた問題点は,

・DVIが出ておらず,アナログRGBで接続していること
 -> HDCPへの対応が不可能
 -> 本来の画質が稼げていないだろう
 -> DVDレコーダがアナログRGB端子を使うので,いちいちつなぎ替えるのが面倒
・グラフィックのパフォーマンスが不足がち
 -> 地デジ試聴にはギリギリ
 -> 3Dなどは目も当てられない
・CPU負荷を軽くしたい
 -> ATOM330は決して余裕のあるCPUではない
・空いたスロットは埋めるのが男
 -> 精神衛生上の問題は実は最優先課題である

 てな感じです。

 私のベアボーンであるR11S4MI-BAには,FOXCONNの45CTDという廉価なマザーボードが使われています。グラフィックについてはオンボードの945GCですから,最低限の性能しか持っていません。

 このマザーボードは拡張スロットを1つもっていますが,PCIのロープロファイルです。ゆえにここに差し込むボードに,グラフィックに関係するものは想定されていないといってよいでしょう。

 救いなのは,大きめの電源が小型ベアボーンの割には装備されているので,少々大きめの消費電力のボードを増設しても大丈夫なことです。

 とにかくPCIですから,速度的な改善はあまり望めそうにありません。3D性能の向上は期待できそうですが,それはこのマシンの仕事である地デジ視聴には貢献しませんから,DVIでの接続が出来るという事だけが目的になってしまいそうです。

 ただ,ディスプレイ切り替え器も何千円もしますから,グラフィックボードが数千円で買えるなら,考慮に値します。(こじつけっぽいですが)

 てなわけで,探して見ると,あるんですね,今時PCI接続のグラフィックボードってのが。しかもロープロファイルでファンレスです。こういうグラフィックボードって需要があるんでしょうかね。

 しかし値段は軒並み1万円越えです。PCIExpressのボードなら3000円ほどのエントリクラスのボードでも,PCIなら12000円もしたりします。数の問題でしょうか,それともPCIExpress-PCIブリッジチップの値段でしょうか。

 いろいろ見てみると,GeForceなら9400や8400がPCIでも使えるようです。ただ,このあたりになると2Dのアクセラレーションを行うハードが実装されていないらしく,3D性能を上げるために心血を注いでいるようですから,今回の私の用途には向いていません。しかもブリッジチップのせいで癖が強く,安定して動作しないケースもあるようです。

 低消費電力で2Dアクセラレーションがハードウェアで行われる「旧世代」のチップのうち最新で現行で,WindowsXPでも速度向上が期待できるものと言えば実際の所GeForce6200という数年前の(しかもエントリクラス)ものしか見あたりません。

 バッファローやアイオーでさえも,このチップを使ったグラフィックボードをメーカー製の小型PCの拡張向けに販売していたくらいですので,この手の用途向けにはこのくらいの選択肢しかないということでしょう。

 しかし,これに1万円以上は出せないなあ,と思っていたら,あるお店で玄人志向の「GF6200A-LP128H」というボードを5980円で処分していました。送料を入れても7000円までです。ヤフオクで買っている人は。入札前に少し探した方がいいですよ,この手のものは。

 届いて早速インストールしてみましょう。まあ,オンボードの2Dに比べて,PCIの速度がボトルネックになってしまうことは予想できますから,現状と同程度の速度が出れば御の字としましょう。

 ボードを差し込み,モニタをGF6200A-LP128Hに接続して再起動するとWIndowsが立ち上がりません。途中でリセットがかかります。おそらくオンボード用のドライバを読み込むときに失敗しているのでしょう。

 そこでBIOS設定から起動画面をオンボードに切り替え,オンボードの出力をモニタに椿井で再起動しますと,うまく動きます。あらかじめダウンロードしてあった最新のドライバをインストールして再起動。オンボードのドライバを無効にしてさらに再起動。BIOSの設定を変更し,PCIから起動するようにしてさらに再起動。

 ようやくGeForce6200が動き出しました。

 まずはベンチマークを取ってみます。CrystalMarkCrystalMark2004R3(0.9.126.452)を使います。

 最初に,オンボードの結果です。

GDI2275
Text 435
Square 506
Circle 790
BitBlt 544

D2D2998
Sprite 10 103.07 FPS (10)
Sprite 100 96.46 FPS (96)
Sprite 500 75.44 FPS (377)
Sprite 1000 58.95 FPS (589)
Sprite 5000 18.53 FPS (926)
Sprite 10000 10.00 FPS (1000)

OGL690
Scene 1437
Lines (x1000)(37077)
Scene 2 CPU(8)
Scene 2 Score253
Polygons(5363)
Scene 2 CPU(4)


 3Dなんかボロボロですわね。

 さて,ワクワクしながら,GF6200A-LP128Hです。ドライバは最新の186.18です。

GDI3070
Text 994
Square 1109
Circle 307
BitBlt 660

D2D1028
Sprite 10 82.38 FPS (8)
Sprite 100 65.78 FPS (65)
Sprite 500 34.47 FPS (172)
Sprite 1000 21.62 FPS (216)
Sprite 5000 5.56 FPS (278)
Sprite 10000 2.89 FPS (289)

OGL2031
Scene 11535
Lines (x1000)(194250)
Scene 2 CPU(32)
Scene 2 Score496
Polygons(17441)
Scene 2 CPU(16)

 GDIがそこそこアップ,OpenGLが大幅アップはいいとして,DirecDrawは「何じゃこりゃ」という結果です。まあ,過去のAPIですし,気にしないでおきましょう・・・

 そして,地デジの視聴をやってみます。

 何じゃこりゃ・・・コマ落ちがひどく,がくがくしています。ひどいときは音声も途切れます。おかしいと思いCPU負荷を見ると,ほぼMAXです。これはダメなはずです。MPEG2のデコーダの負荷が支配的とは聞いていましたが,そこはオンボードのVGAから変えていませんので,どう考えてもGF6200A-LP128Hに原因がありそうです。

 デコーダを変えてみたり,ドライバの設定を変えてみたりと,思いつくことは一通りやってみましたが改善されず,実用レベルに達しないということでまずは撤退。ボードを抜き,ドライバを削除してアナログRGBに戻してしまいました。

 後日,もう少し真剣に先人達から教えを請おうと考え,google先生に詰問したところ,いろいろ情報が出てきました。

 曰く,最新のドライバでは古いチップの性能は出ない,100番台のドライバを使うとDirectDrawの性能はがた落ちする,DirectDrawの性能こそ動画視聴には不可欠なのだ(Vistaは別)とのこと。

 なら,どのバージョンがいいんだとさらに調べて,候補として絞り込んだのは84.21,84.43,91.47,93.71,94.24です。84.21はGF6200A-LP128Hと同じボードを使ったバッファローの製品のドライバと同じバージョンですし,94.24あたりは90番台のドライバの完成形ということらしいです。私にはよくわかりませんが。

 ということで,まずは84.21から確かめてみましょう。

GDI3981
Text 1049
Square 1207
Circle 1084
BitBlt 641

D2D2153
Sprite 10 76.58 FPS (7)
Sprite 100 71.30 FPS (71)
Sprite 500 54.60 FPS (273)
Sprite 1000 42.25 FPS (422)
Sprite 5000 13.44 FPS (672)
Sprite 10000 7.08 FPS (708)

OGL1543
Scene 1892
Lines (x1000)(94038)
Scene 2 CPU(16)
Scene 2 Score651
Polygons(23059)
Scene 2 CPU(16)

 おお,GDIもかなりアップしていますし,D2Dもかなり回復しました。オンボードのスコアには届きませんが,186.18に比べるとかなり高速です。一方でOpenGLのスコアは大幅ダウン。やはり現在の競争は3Dグラフィックのパフォーマンス向上で行われているんだなあと実感しました。

 気をよくした私は,90番台に期待をかけます。94.24で落ち着いた人もいるというので,これでベンチマークです。

GDI3712
Text 995
Square 1039
Circle 1013
BitBlt 665

D2D2100
Sprite 10 86.73 FPS (8)
Sprite 100 80.28 FPS (80)
Sprite 500 59.94 FPS (299)
Sprite 1000 43.88 FPS (438)
Sprite 5000 12.50 FPS (625)
Sprite 10000 6.50 FPS (650)

OGL1630
Scene 1964
Lines (x1000)(121836)
Scene 2 CPU(32)
Scene 2 Score666
Polygons(23512)
Scene 2 CPU(16)

 全般的に性能向上があるように思います。チューニングってやつですね。一方で結構大きくスコアを落としたものもあり,このあたりはどう考えるべきか悩みます。ただ,DirecrDrawのスプライトのスコアを見ると,高負荷での落ち方が大きいので,90番台を使うのはやめようと思いました。

 そうすると,80番台の決定版とされる,84.43を試すしかありません。速度もさることながら,安定性やバグの少なさにも定評があり,このドライバでなければ満足に動作しないゲームがあったりするそうです。余程のことがなければこれでいこうと,ベンチマークを取ってみます。

GDI3789
Text 997
Square 1106
Circle 1039
BitBlt 647

D2D2155
Sprite 10 76.49 FPS (7)
Sprite 100 71.31 FPS (71)
Sprite 500 54.69 FPS (273)
Sprite 1000 42.31 FPS (423)
Sprite 5000 13.37 FPS (668)
Sprite 10000 7.13 FPS (713)

OGL1619
Scene 1957
Lines (x1000)(121836)
Scene 2 CPU(32)
Scene 2 Score662
Polygons(23481)
Scene 2 CPU(16)

 なんか,84.21と94.24のいいとこ取りっぽいスコアが出ました。どう評価していいか分かりませんが,スプライトについても30FPS以上なら見た目にあまり影響はありませんから,むしろ高負荷でもフレームレートが下がらないことを重視して,このドライバを使うことにしましょう。絶対性能も大事ですが,いわゆる安定性は評判によるところが最もあてになることですし。


 さて,ベンチマークはいいとして,実際の地デジ視聴はどうかというと,かなり改善して,音切れがなくなったのはよいとして,それでも時々カクカクします。我慢できないレベルではありませんし,これで安定して動いてくれれば,DVIを使って接続できるメリットを考えると,これでいいかと思うレベルです。

 CPU負荷をみると,最新版のドライバに比べてかなり下がっており,以前は60%を下回る事などなかったものが,今は30%台後半になる事も多く,平均して40%中頃という感じです。オンボードの時はもう少し低かったのですが,まずは一安心です。

 スタンバイ/復帰のテストも一応合格,温度上昇も思ったより低く,GeForce6200Aのチップ温度は50度ちょっとで安定しています。録画したデータのドロップもありませんでしたから,これでしばらく運用して問題がなければ,これでいこうと思います。

 いろいろ思うことはあったのですが,新しいドライバがよいとは限らないという話は,結構私にとっては斬新な考え方でした。考えてみると,ドライバといえどソフトウェアなわけですから,CPUが高速になり,メモリが増えると,ドライバだって重くなるのが常です。機能も増え,チューニングも進む一方で,新しいCPUを期待した設計になっていることも当たり前な話ですから,PCの世界というのは常に最新の状況で使わないと恩恵にあずかれないものなんだと思いました。

 それにしても,Windowsの世界というか,自作の世界というか,グラフィックボードの世界というか,つくづく奥が深いですね。Mac使いの私としては,知らない言葉,分からない習慣など,右往左往することばかりでした。楽しいとは思わなかったところが私が自作の人ではない証なのでしょうが,それでもインターネットの力といいますか,2chの力というのはすごいものです。ネットワークに繋がって共有された情報の強さもつくづく感じました。

 知識の共有と蓄積は,文字の発明に始まり,印刷の発明で爆発,そしてコンピュータとネットワークの発明で加速し,すでに人類の機能の一部となっている感さえあります。コンピュータとネットワークによって新たに産み出される情報量は毎日毎日膨大な量になっているでしょうが,こうなるともはやすべての情報に精通するのは不可能であり,これまで以上に特定分野の専門分化が進むことでしょう。評論家やコメンテータがもっと増えちゃうんでしょうね。

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