08 Wide Zoomの修理~そして再修理へ
- 2021/12/03 15:54
- カテゴリー:カメラに関する濃いはなし
私のPentaxQ7は,Qの皮を被っています。Q7のデザインは好きですし,オリーブドラブのカラーも気に入っていましたが,マグネシウムを纏ったQの質感にはあらがえず,予想に反して大変な困難を経て,私のQ7は外側から見るとQになったのでした。
そのQ7には,08 Wide Zoomが常にマウントされています。というか,これと06 Telephoto Zoom以外には価値を見いだせなくなっているので,08 Wide Zoomは手放せない1本になっています。
小さく軽く,被写体を警戒させず,写りは隅々まで文句なく,とても楽しいレンズです。残念なのはこのレンズの能力を生かし切ることの出来るボディがとうとう出なかったことで,正直Q7の1240万画素はこのレンズには物足りません。
その愛すべき08 Wide Zoom,そういえば渋谷のビックカメラ(東口)で買いました。このレンズが発売になった直後,なにかの用事で渋谷に出向き,もう半分くらい買う気で立ち寄ったビックカメラで,店員さんとしばらく立ち話をしたのですが,どうも彼はペンタックスの関係者だったようで,しきりにこのレンズをプッシュしてくれました。
こちらも気に入って買う気でいたわけですから,悪い気はしません。Qのレンズとしては高額だった08は果たして私のお気に入りとなり,現在に至っています。
聞けば高額だったことが仇になり,そんなに数が出ていないとのこと。06が安価で今でも販売されていることを考えると,もともと08は数を作る気がなかったレンズで,一部のマニアに届けばいいと考えていたのかも知れません。
で,私は娘の小学校のイベントで出向くときには,きまってこのQ7と08 Wide Zoomの組み合わせで出かけます。学校のような広い場所で超広角ズームは威力を発揮しますし,なんと言っても楽しいです。小さく軽く,一眼レフの形のまま小さくなったQシリーズはとても可愛く,ちょっと太めの08がつくとますますミニチュア感が増します。
この画角でこの小ささは代わりのものがありませんし,それでいてしっかり写っていますので,手放せないわけです。
先日,ちょっと手に取って電源を入れると,シャッターが開く音がしませんでした。LCDには真っ暗な画像が出ています。壊れた!
とりあえずレンズとボディの接点を綺麗にしたところ解消したようなので様子を見ることにしたのですが,数日後学校に持っていって,同じ症状が出たこと,のみならずワイド側でメカシャッターが動作していないことに気が付きました。テレ側だと動作するのでその場をしのぎましたが,再現性もありますし,どうにかしないといけない問題です。
そこで早速修理の手配です。いちいちサービスに持ち込めませんので,ピックアップサービスを依頼します。しかし,どうも様子が変です。調べてみるとPENTAXって,サービスを完全に外部に出してしまったんですね。
まあ,そのことは別に気にしないのですが,もともとPENTAXの修理にはどうも不安があります。以前FA43mmを修理に出したとき(AFカプラーが折れてギアに噛み込み,フォーカスリングが回らなくなった)も,返却後調べてみたら絞りリングのストッパが効かなくなっていて,再修理になりました。
まあ,そう何度も続かないだろうと,ヤマトの宅急便で,私の08 Wide Zoomは引き取られていったのです。
見積り金額は12000円。これにコレクト手数料やら消費税やらで13640円になったのですが,故障箇所はシャッターで,交換という事でした。
交換した部品を返して欲しいとお願いしたら,それは出来ないとつれない返事。理由を知りたいと粘って見たら,今年10月からリコーの方針として,SDGsやら環境保全やらを理由に,部品の返却をしないことになったそうです。
ほんまかいな,リコーに聞いてみようかとも思いましたが,バカバカしいのでやめました。
そこからまたしばらく,修理に出してから2週間もかかって,ようやく私の08 Wide Zoomは返ってきたのでした。
さっそく検品をします。動作は問題なさそうです。ちょっとAFの音が大きくなったように思うのですが,動いていればまあいいとしましょう。
しかし問題は,シリアルナンバーのシールを見た時に発覚しました。
シリアルナンバーのシールが,貼り替えられています。正確に言うと,一度剥がしたシールを貼り直しているのですが,そのシールがくしゃくしゃになって浮いているのです。
あれですね,きっと部品の交換を行ってシールを貼り替える必要が生じ,ピンセットか何かで剥がすときに傷んでしまい,あろうことかそれをそのまま貼り付けて済ませてようです。
シリアルナンバーというのは文字通り唯一無二の個体識別の番号です。これを示したシールはいわば証書であり,このシールが剥がされていたり,番号が消えたりかすれていると中古の買い取りを断られることもある重要なものです。
メーカーでも不正防止のために厳重に管理し,重複がないようにしますし,偽造防止も行います。
そんなシリアルナンバーシールを,こんなにぞんざいに扱って,しかもそのまましれっと送り返してくるなんて,どういう神経してるんでしょう。
気付いていないという事はないでしょう。作業に失敗した時の問題ですから。シールを作り直すと手間も手続きも面倒なので,とりあえずそのまま返して怒られたらその時対応しようと,そんな風に考えたのかも知れません。
どっちにしても,このレンズは私の所有物で,だから修理品は「預かり品」というのです。人の持ち物を傷めておいて,そのままなにも言わずに返してくるとは,何事か。
私は,これをみてとても残念な気分になりました。技術者のスキルが低下したこともそうですが,それ以上にプロとしての自覚というものがないのかと,悲しくなりました。
気が進みませんでしたが,すぐに電話をして,事情を伝えました。怒ったり怒鳴ったりせず,淡々と「これはプロの仕事ではない,やり直して欲しい」と伝えました。
先方は心当たりがあったのでしょうか,平謝りで,すぐに送り返して欲しい,きちんと対応したいと言って下さいました。シリアルナンバーに関係する話ですので簡単ではないと思い,具体的な話を聞いてみましたが,シールを作り直して張ると言うことでした。
人間ですから,ミスもあります。失敗することもあると思いますが,問題はその失敗をどうやってリカバーするかだと思います。もちろん,失敗がないよう訓練するのがプロの条件ですが,それでも起きたミスはプロらしく誠実に対応するのが,社会から信用されるプロフェッショナルではないでしょうか。
私に言わせれば,先の尖ったもので無理にシールを剥がし,くしゃくしゃになった物をそのまま再利用するなどというのは,素人の仕事です。それに,シリアルナンバーの貼り替えなどは日常的に発生することであり,なぜこういうずさんな作業を行ったのか,本当にプロの仕事なのかと,疑いたくなります。
しかも,一目でわかるものを,そのまま送り返してくると言う図太さも信じられません。こんなことでは,見えないところ(つまり内部)でどんないい加減な修理を行っているのか,わかったものではありません。
このところ,こうしたサービスの低下を感じる事が増えました。
我々の1つ上の世代は。昨日より今日,今日より明日が良くなっていることに何も疑問を持たず,毎日希望を持って生きていたそうです。今そんなこと言うと笑われますが,そういう私も,今あるものは明日もあると何も疑っていませんでした。
しかし,そんなことはない,今あるものも明日なくなるかも知れない,そんな危機感を感じるようになっています。維持できなくなれば消えてしまう,そんな当たり前の事に気が付くのが遅かったと思うのですが,変化はゆっくりで,そんな場面に直面しないとわからないこともあって,実は多くの人は「そんなものか」で済ませているんじゃないかと思ったりします。
とはいえ,それまで走っていた電車が廃止になって生活が一変することなど,地方に行けば珍しいことではありません。つまるところ,都会でもそういう負の変化が起き始めていることに,ようやく気が付いたということかも知れません。
さて,私の08 Wide Zoomは,もう一度修理に旅立ちます。次に戻ってくるときには,元通りになってくれているといいんですが・・・