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2006年11月21日の記事は以下のとおりです。

幕速を測ってみる

 シャッター速度はオシロスコープを使って調整する習慣が付いた私ですが,あくまで露光時間を確認しているだけなので,シャッター幕の幕速については全然分からず作業を進めていることになります。

 さすがにこれは気持ち悪いので,シャッター幕速測定マシーンを作ることにしました。

 折しも以前完全復活したはずのES2に,またも後幕が先幕に追いついてしまうという問題が見つかり,きちんと幕速を確認しておきたいと思ったことと,さらに部品取りで手に入れたMZ-10のシャッターユニットをばらしてしまい,幕速の調整が必要になってしまったことが,具体的な動機になりました。

 どうやってつくるかなーと漠然と考えていたのですが,あまり難しく考える必要はなく,枠の横方向いっぱいの36mm(もしくは縦方向いっぱいの24mm)を通過する時間をただ測定するだけの話です。

 36mmの間隔を開けて取り付けた2つのフォトトランジスタからの出力を2入力のEx-ORで受ければ,シャッター幕が走行中にHighになるゲート信号がさくっと作れてしまいます。

 つまりですね,2つのフォトトランジスタのうち,どちらか片側だけ光が当たっている状態がシャッター幕の走行中なわけですから,この間だけHighになってくれればよいのです。

 このゲート信号で100kHzの矩形波をANDでゲートし,これをカウンタで数えてやれば出来上がりなんじゃないのか,と。カメラをバルブにしてレリーズを押し込めば先幕が,レリーズを離せば後幕の走行時間が測定できます。おお,これはいける。

 簡単そうなのでバラックで作ってみます。以前作ったシャッター速度測定器は,その座をオシロスコープに奪われてうち捨てられていましたので,これを改造して作ります。

 12.8MHzのVCXOを分周して100kHzを作る回路は既に出来上がっていますので,これをANDでゲートします。ANDには前述の通りEx-ORからの出力を入れておきます。

 小さなプラスチックのケースに,フォトトランジスタTPS603Aを3つ取り付けます。起点から24mmの位置と36mmの位置にそれぞれ取り付けて,配線を変更するだけで横走りも縦走りも測定できるようにしました。

 配線の間違いとかフォトトランジスタの負荷抵抗の調整などですったもんだした後,とりあえずフォトトランジスタの一方に手をかざすとカウンタが回り始めるという期待通りの動作が行われるようになりました。

 試しにF70Dを測ってみます。結果,24mmの走行時間は約5.3ms。さすがは1/4000秒のシャッターを持つだけあります。

 今度は問題が出たというES2です。おそろしいことに9.6ms。標準は13msから14msですので,1.5倍近くも速い速度になっています。エネルギーは速度の2乗にきいてきますので,かなりの負荷がかかっているのではないかと心配になりました。危ない危ない。

 続いて実家から持ってきたSPを測ると,これは14ms程度。調整目標値に極めて近く,調子が万全であることがわかります。

 こうなると手当たり次第ですね。ジャンクで手に入れた部品取りのES2は13.6msでほぼ標準の値を出します。うむむ,シャッターはジャンクの方が程度がよいようです。

 ES2はSPよりも1msほど速く調整されているものらしく,13ms程度に合わせることになっていますので,早速この程度に再調整をしますが,1時間もすると先幕の速度が落ちてしまって,後幕が追いついてしまいました。諦めずにまた調整。何度か繰り返してようやく落ち着いてきたのですが,1週間ほどするとまた後幕が追いついたりするので,油断はできません。あまりひどいようなら,ジャンクからシャッターを移植しないといけないかも知れません。

 さて次はMZ-10のシャッターです。

 MZ-10の顛末については後日改めて書きますが,故障箇所はやっぱりシャッターチャージ用モーターのピニオンギアの割れでした。

 これを修理するには,ミラーボックスの横にあるギアブロックを外す必要があったのですが,その結果カムの位置が狂ってしまい,シャッターが半分ほどしか開かないというおかしな状態に陥りました。

 最初私はそれがシャッターユニットの問題と早合点し,本体から外してさらに分解までしてしまったのです。それが取り返しのつかない大失敗になったのですが,当然のごとく組み立て後には先幕と後幕のテンションを再調整せねばならなくなってしまったのです。

 シンクロ速度が1/100秒ですので,ざっと9ms程の幕速があればいいことになりますが,ものの本によるとMZ-7などは幕速が6.5msなのだそうです。MZ-10も同じシャッターでしょうから,この値でよいでしょう。

 試してみると,先幕は調整が出来たのですが,後幕はなかなか調整が出来ません。6.5msを出そうとしましたが,調整用のギアを回しきってもこの値に届かないのです。いろいろ原因はあるのでしょうが,まあ気合いを入れて使うカメラではないので,適当に組んでしまいます・・・

 ユニットシャッターは本体への組み込み前に調整まで済ませて完全な状態に出来ることが利点でもあるのですが,実際に動作させて調整を追い込む素人には逆に扱いが難しいもので,組み上げてから測ってみると,案の定1/1000秒以上が全然出ていませんでした。

 そんなわけで,幕速を測定できる環境を2時間ほどで用意しただけで,これだけの検討ができるんですね。精度に疑問もあるのですが,F70Dの幕速が約5.3msというのは,サービスマニュアルによると結構いい値なんです。(拡散光源の測定器では4.30ms,平行光を使った測定器では5.85msが規定値ですが,私の場合は蛍光灯スタンドの直接照射ですので,5.3msという値はそんなにでたらめというわけではないでしょう)

 所詮素人の工作ですし,ネガカラーか白黒が使えれば別に構いませんから,あまり細かいことは気にしない。そんなことより,見えない時間がある程度でも見えてくることに価値があるんじゃないのかな,と割り切っています。

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