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2012年07月の記事は以下のとおりです。

D800を買っちゃいました

  • 2012/07/02 14:36
  • カテゴリー:散財

 やっちゃいました。

 D800,買ってしまいました。

 いやはや,子供も生まれて,これからお金がなにより必要になるというのに,リストラの危機に怯え,よくもまあこんな高額な趣味のモノを買ったものです。我ながら空恐ろしくなります。

 事の顛末は,こうです。

 そもそも,私は銀塩で育った人ですので,やっぱりデジタルカメラの最終目標は35mmフィルムのサイズの,俗に言う「フルサイズ」です。レンズの感覚,ファインダーの見え方など,多感な時期を過ごしたフォーマットは,歳を取ってもやはり離れられないということです。

 デジタルカメラが誕生し,センサがコストの多くを占めていた時代は,一眼レフの利点をなんとか享受できるサイズとして,APS-Cが標準になっていました。私にすればこれは過渡期の「我慢のサイズ」であって,途中経過です。

 とはいうものの,使って見るとなかなか手頃なサイズで,望遠に強いという特徴も面白く,これはこれでありだと,そんな気もしています。事実,APS-Cで一眼レフに初めて触れた人にとっては,これが標準のサイズです。私のようにいちいちレンズの焦点距離を1.5倍にせず,ぱっと画角が想像出来るのですから,明らかに新世代ですね。

 一方で,センサのサイズについてはデジカメが出た頃から問題だとブツブツ言い続けていた私としては,やはりいつか必ずフルサイズが主流になるときが来ると信じているし,その時のためにAPS-Cのレンズやボディには余りお金をかけないでおこうと,そう思っていました。

 しかし,D3は高嶺の花ですし,D700もなんとなく違うなと思って,結局買いそびれました。

 そこへ,新製品D800の登場です。あまりに突き抜けた3600万画素という画素数にプロ機D4から多くを共用するプロ仕様,それでお値段がD4の半額以下ですので,大特価です。ニコンユーザーだけではなく,他のユーザーからの羨望の間差しも,D800に注がれておりました。

 かくいう私も,当初は3600万画素に怯えてしまい,これはパスと高額商品を買う事に躊躇していたわけですが,日に日に高まる評価,ちっとも解決しない品薄の問題,そしてなにより3600万画素はオールドレンズにこそ必要だと考えを改め,いつしか「買います」リストに加わることになったのです。

 しかし私は無類の出不精ときています。高額商品ですから通販は怖いし,リアル店舗に出向くのも面倒,電話で予約するのも億劫と,欲しい割にはなにも努力をしないというわがままで,当分買うことはないと思われました。

 と,そこへ,セミプロ(というかプロ)の友人が,D800とD800Eの両方を予約したというではありませんか。D800にするかD800Eにするか(楽しく)迷っていたそうですが,キャンセルが出たとかで結論が出る前にD800Eを買ってしまいました。

 そうするとD800の予約枠が余るわけで,この品薄状態ですからキャンセルするのも惜しいと,私に「買うんでしょ?なら私の予約をあげようか?」と,親切に言ってくれたのです。

 私は,きっと誰かに背中を押して欲しかったのだと思います。会社の帰りに何度か量販店に寄り道したけども,ネット上にいくつか出ている購入価格とのあまりの乖離に,予約もせず帰ってきたりしましたが,品薄なんだし安く買うことをあきらめる理由を,私は求めていたのでしょう。

 かくして,友人が予約をしたのはかの中野のフジヤカメラです。

 友人と,せっかくだし機材の処分をするか,と話をして,売却するものを選んでいたところ,友人から電話があり,入荷したと連絡を受けたとのことです。6月29日,金曜日の夜のことでした。

 あわてて売却する機材を揃え,無造作に鞄に詰め込み,日曜日小雨の降る仲,中野に向かいます。

 日曜日にもかかわらず,日々忙しい友人はニコニコして,フジヤカメラの2階にいました。

 友人も私も,フジヤカメラのD800の値段はWEBで出ているものしか知りません。普通の値段ですので徳に値引きをすることもなく,このまま買う予定で今したが,問題は持ち込んだ「ゴミ」の査定額です。

 全く使わなくなった*sitDL,E-20,Lマウントのウルトラワイドヘリアー15mmや,FA35mmF2ALなど,お金になりそうなものと,全くなりそうにないものを査定してもらって,出てきた値段は約6万円。下取りという事で査定額アップもあって,結局20万円ほどでD800を買って帰ってきました。

 いやはや,SMC-Takumar28mmF3.5の,ものすごく程度の悪い予備機が2000円もの値段で売れたことが私には驚きでした。好きなレンズですので,高評価は私もうれしいですが・・・

 てことで,40歳を超えたオッサンが,ニヤニヤしながら舞い上がって帰宅する様は,想像するに実に気持ち悪いわけですが,友人と少し喫茶店で話した時に,「私は撮影する目的があるからD800Eを買ったけど,あなたは純粋なアマチュアでしょ?よくこんなものを買うなと思うよ」と,褒められているんだか馬鹿にされているんだか,よく分からない言葉が妙に耳に残り,やや複雑な気分で帰ってきたのもまた事実です。

 日曜日の18時,無事帰宅。一息ついてから嫁さんと子供の前で開梱です。私がおなじみの2001年宇宙の旅のテーマを口ずさむと、嫁さんも横から「ばんばんばんばん」とティンパニーのパートを入れてくれます。ああ,なんと歓迎されていることか!

 しかし,お楽しみはここまで。電池を充電します。電池がないD800は結構軽く,小さく,角張っていると思った事など一度もないD2Hが妙に角張って見えて,デザインの古くささを感じてしまいました。

 電池を入れずに,視度調整だけでもやっておこうとファインダーをのぞき込みますが,猛烈に暗い。しかも全然ピントの山がわからず,どうやってもボケが取れません。おかしい,D800ってこんなに悪いファインダーなのか・・・私のD800の第一印象は,紛れもなく,この「最悪の印象」でした。

 電池の充電が終わって,電池を装着すると,ウソの余蘊いファインダーがすっきり見えるようになります。視度補正もちゃんとできて,近頃のカメラはよーわからんなと,つぶやく私がいました。

 スーパーインポーズで出てくるフォーカスポイントは,赤く照らされるとファインダー全域が一瞬赤くなり,ちょっと気が散ります。D2Hはこんなことなかったのですが,仕方がないのでしょうか。どうも,EVFに否定的なメーカーでもOVFの質は格段に落ちているなと感じます。

 さてさて,記念すべき1枚目を撮影し,そのまま10枚ほどシャッターを切りました。

 こういうときの印象というのはとても大事な事なので,マニュアルを一通り読んだ現時点で,ちょっと書いておこうと思います。良くも悪くも,D2Hが基準になっていることを痛感させられました。


(1)全体の印象

 最近のニコンらしく,とてもソリッドで剛性感があり,しかも持ちやすく安定しているということで,大変に満足です。肩の丸いシルエットや,縦位置グリップがないことが私としてはマイナス要因ですが,これが本当にフルサイズなのかと思うほどの凝縮感はあります。


(2)シャッターの感覚

 D2Hの素晴らしいシャッターに対して,D800はどうでしょうか。D4譲りというシャッターゆえに,正直期待していたのですが,残念ながら私の期待を越えることはありませんでした。

 レリーズタイムラグはD2Hと同じですが,全体の動作がやや緩慢で,ミラーが上がっている時間もちょっと長いという感じがします。APS-Cとフルサイズを比べるのも酷な話なのですが,D2Hには全然及びません。

 音は,シャッター自身から発生する高音がぐっと押さえられ,おとなしい音がします。決して悪い音ではないのですが,あまりアドレナリンが出てこないので,つくづく私はあの刃物のようなD2Hのシャッターにしびれていたんだなあと,再認識しました。


(3)操作系

 D2Hはどのボタンもストロークが深く,かつ大きくて,確実に押したという感覚があって安心ですが,D800はストロークも浅く,ボタンも小さかったりしますから,どうも押し心地はよろしくないです。ただし,よく練られているのでしょうね,ボタンを押し間違えるとか,そういうことはD2Hに比べてなくなりました。


(4)小気味良さ

 悪くありません。D2Hを使い慣れた私にとっても,ほぼ説明書を見ずに撮影に入ることが出来たのですが,ぱっぱと撮影出来るテンポの良さはさすがです。


(5)高感度

 これは私にとっては未知の領域ですね。ISO800でも全然破綻していませんし,ISO3200でもぱっと見て分からないほどです。JPEGで見ただけですのでRAWでどうだかは今後の評価次第ですけど,ISO3200とかISO6400が常用感度になるという事は,新しい世界を見せてくれることでしょう。


(6)オートフォーカス

 ちょっと複雑な印象をもったのはこれです。D2HのAFシステムは現代においては古いのですが,AFモータのトルクが強烈で,加速も減速も一瞬,ぱっと走ってごごっと止まる感じです。

 しかし,D800のモーターは音も軽く高く,制御も緩慢です。加速も弱く,ブレーキも利きが悪くてだらだらと惰性で走って行きます。

 とはいうものの,惰性の分も計算して制御しているので,行きすぎて戻るとか,そういう鈍くさいことは一切ありません。とても賢く,とても高精度なAFだと思います。

 また,AFモードが随分整理されたんですね。D2Hの時はとにかくややこしく,いろいろ試して見るのですが期待通りにならなくて,あまりモードを切り替えずに使っていたのですが,D800は綺麗に整理されていて,AFもカメラ任せか自分で操作するか,の二択になったかのような印象をもちました。

 もしかするとD4は違うのかなとD4のマニュアルも見ましたが,D800と同じだったのでD2Hが単に「古いだけ」ということがわかりました。


(7)撮影してみて

 まともなレンズがないのでPlanar50mmで撮影した感想ですが,絞りを開けて撮影した時の背景ボケは,デジタル写真で初めて味わう世界です。こんなにぼけるのかあと,嫁さんと二人で感心していました。フルサイズの力を思い知ったという感じです。

 それと,ちょっと顔がつるんと写っていて,D2Hのような荒さがない分,作ったような画になっていることがちょっと気になりました。

 等倍まで拡大すると,どれだけ気をつけても手ぶれが出ていて,これは手強いと思いました。


(8)LCD

 よく言われるように,ちょっと黄色くなっています。私はLCDを見ないで撮影しているので,別に気になりませんが,明らかに黄色いと思う時も何度かありましたので,気になる人はたまったもんじゃないでしょうね。

 まだ数十枚ですので,こんなくらいのことしかかけません。とりあえずD2Hに近い設定をしたこと,液晶フィルムを貼ったこと,マグニファイアアイピースをF100から外して取り付けたことくらいです。

 早速縦グリップを手配し,64GBのコンパクトフラッシュも近日中に届くはずです。

 また,レンズも高価なものは買えませんし,そんなレンズを必要としないので,買い直すつもりでAF-S50mmF1.8Gを手配しました。

 1枚のデータが巨大で,RAWを主軸に撮影することが本当にできるのか,出来ない場合はどうやって運用するか,かなり迷います。レンズもろくなものがなく,使えそうなものを探すのが大変ですし,やっぱり癖を見抜いて使う必要があるような感じですので,しばらくは練習になると思います。

 ただ,これを私は10年使うつもりで買いました。高画素にフルサイズという,ちょっとやそっとじゃ色褪せないスペックを持つD800を,思い通りに操って,長く使っていこうと思います。

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