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2012年07月06日の記事は以下のとおりです。

D800をエネループで使った時の切れ味

 D800パワーアップ作戦の番外編は,マルチパワーバッテリーパックMB-D12をつかって,連写速度を上げてみようです。

 D800は本体のみの場合,フルサイズで4コマ/秒,APS-Cサイズにクロップしたときは5コマ/秒です。中級機でも6コマ/秒は当たり前,8コマ/秒くらいのカメラが結構ごろごろしていることを考えると,ここをD800の弱点と見る人も少なくありません。

 参考までにD2Hは当時最速の8コマ/秒です。8コマ/秒を実現するためには,単にミラーの開閉速度やデータ転送速度を上げるだけではなく,他の関連する動作のすべてを全体で高速化する必要があり,それぞれの機構がお互いに綺麗に連動して無駄な動きをしないことも大切であって,そうして生まれた高速性能というのは,8コマ/秒を使わない人にとっても十分体感できる差になるものだと思っています。

 言い換えれば,高速な連写によって必要とされる骨格と筋肉と無駄のない動きは,連写をしないときにもスムーズでキレのある感触を生み出し,撮影時のテンポや高揚感を高めてくれるものだという事です。

 だから私は連写速度にこだわります。連写速度が遅いカメラは,全体の動作速度が遅い,レスポンスが悪い,信頼性が低い,精度が低い,とカメラの根底に関わる基本機能に見劣りすると感じているからです。

 では,D800のポテンシャルは本当に5秒/コマ程度なのかどうか。

 MB-D12を使えば,D800の電池であるEN-EL15,D4用の電池NE-EL18,そして単三8本の3種類の電池が使えるようになります。このうち,NE-EL18と単三8本を使えば,フルサイズでの連写速度は4コマ/秒のままですが,APS-Cにクロップすると6コマ/秒まで向上します。

 連写速度を上げるには,モータの速度を上げる必要があって,そのために電源電圧が高い必要があります。EN-EL18の公称電圧は7.0Vですが,NE-EL18は10.8V,単三8本だと12V,ニッケル水素電池でも9.6Vになります。この3V近い電圧の差というのが,モーターを高速で回転させ,また大きなトルクを生み出す源となります。

 APS-Cで1.2倍もの速度アップがあるのに,フルサイズで速度が上がっていないということは,これは3600万画素という強烈な画素数が作り出すデータの転送がボトルネックになっていることがはっきりするわけで,シャッターやミラーなどのメカは,最低でも6コマ/秒で動作し,かつ耐えられるものになっているということになります。

 そういうことなら,試してみたいじゃないですか。そこで,エネループを8本新規に購入し,これでどれくらい高速になるかを,見てみます。

 電池が切れたと判断する電圧は,アルカリ電池とニッケル水素で違います。メニューからニッケル水素に設定をして,エネループを8本,MB-D12にセットします。そしてAPS-Cにクロップして,連写します。

 明らかに,高速です。コマ数が問題なのではなく,全体の速度が1.2倍になっていることがはっきりわかります。シャッターの切れ味も抜群です。D2Hと同じとはいかないまでも,少なくとも緩慢な動きという印象はなくなりました。これはすごい。

 念のため電池をEN-EL15に戻します。もう別のカメラのように,ゆっくり動きます。ミラーの開閉速度が落ちたことがとにかくストレスになります。これは,連写ではなく,1コマだけ撮影するときでも同じです。シャッターの切れ味が全然違います。

 これはいい。

 もしかすると,フルサイズで撮影したときも,全体の動作が高速になるのではないか,と思って,また試してみます。

 すると,連写速度は4コマ/秒で変わりませんが,1つ1つの動作の速度は6コマ/秒の時と同じで,1.2倍になっています。シャッターが切れる間隔が250msということだけで,1つ1つの動作の速度は確実に上がっています。

 ですから,1コマだけ撮影しても,その違いは歴然です。同じ4コマ/秒とは思えない,切れ味です。

 これはいい。

 ブラックアウトの時間も短くなっているし,全体が高速に動き,シャッターの音も高くなります。よりD2Hに近くなり,小さなボディにみなぎった力を感じつつ,私もテンポ良くシャッターボタンを押していきます。これがD4から譲り受けた,D800のメカの本当の力なのだと思います。

 ですが,かなり重くなります。D2Hと比べてみると明らかにD800の方が重いです。これってどうなのよ,D2Hの重さと大きさを超えてもなお,D2Hの速度には追いつかないわけです。小さい事はいいことだけではなく,そういうの妥協の上に成り立っているんですね。

 気になったのでちゃんと調べます。D800の本体重量が900g,MB-D12と単三電池ケースの合計が270gだそうです。ここにエネループを8本入れると,210gほどになりますから,その合計は480g。これをD800に取り付けると1380gです・・・

 なんと1.4kg近いんですね。こりゃー重いわ。これにさらにレンズの重さが加わるんですから,体を鍛えないと手がぶるぶる震えますよ。

 D2Hはどうかというと,ボディのみで1070g,電池(EN-EL4)が170gということですので,合計すると1240gです。

 やっぱり・・・D800の方が重くなるんですね。これは厳しいなあ。

 しかし,あのシャッターの切れ味は捨てがたい。そこでもう1つの方法である,D4用の電池を使う方法を考えて見ましょう。

 D800にMB-D12,そしてEN-EL18という電池に専用のフタBL-5の合計は,1325gだそうです。えー,こんなに重いの?

 ではでは,D800にMB-D12,そして元々の電池であるEN-EL15だったら?1265gだそうです。えー,まだD2Hより重いんですか?

 これは参りました。一番軽いD800 + MB-D12 + EN-EL18という組み合わせを考えた場合,電池が18000円,電池カバーが2000円,充電器が36000円くらいですので,ざっと56000円!

 いやー,これはきついわ。エネループ8本だと2300円ほどですから,雲泥の差です。しかし,120g(ということは約1割)重たいというのは,かなりのものです。

 あ,そうだ,エネループにLiteというのがありますね。これだと1本あたり19gらしいので,8本だと152gです。ということは60gほど軽くなる計算ですね。うーん,こっちにしとけばよかったかなあ。

 ということで,D800は重たいカメラということがわかりました・・・D700よりも軽量化されているということですから,D700で同じ事をするともっと大変だったことになるのですが,カメラって大型化&重量化しているんですね。困ったものです。

 ただし,重いことは悪いことばかりではありません。今までEN-EL15だったものが,エネループ8本になったということは,それだけ下側に重心が移るという事を意味しています。

 実際に,ちょっと大きめのレンズを取り付けると,重心が低い分だけしっかりと安定し,ホールド感も増すように思います。床に置くと簡単に前のめりになったものが,少しは踏ん張ってどっしりと座ってくれます。重心の位置が下がってくれることは,いろいろな意味でとてもありがたいことです。

 で,レンズは例えば先日買ったばかりのTAMRONのA09NIIだと約510g程度。軽いですね。これと組み合わせてやれば,なんとか2kgを切るわけですか・・・重いなあ。

 とりあえず,MB-D12は標準でつけっぱなしにしましょう。電池は家の中で使う分にはエネループでいきます。外に持ち出すときはEN-EL15でいいし,旅行など他に持っていく者が多いときには,MB-D12も外していくことにしましょう。

 まあ,こういう風に調整が出来る事が,D800のメリットかも知れませんね。D4ではこういうわけにはいかないでしょうから。

 

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