CLIPHITの再修理プロジェクト
- 2025/10/29 14:44
- カテゴリー:make:
2014年の秋にコルグから,CLIPHITなる電子楽器が登場しました。
ということはもう11年ですか・・・洗濯ばさみみたいなセンサーで挟んだものが打楽器になるという画期的なオモチャで,ペダルまで付属しています。
電子ドラムを買おうかどうか迷っていた私は,場所という最大の問題を解決するであろうこのCLIPHITに夢を託し,予約して発売日に手に入れたのでした。
しかし結果はとても残念なもので,センサを用意するのが面倒,結局場所をとる,配線が大変,極めつきはモノラルだったという事で,電子ドラムの代わりには全くならないものでした。そもそも1万円ほどのオモチャに何を期待したんだかと,当時の私をなじってやりたいところですが,コルグに対するイメージはこの製品でも確実に低下したのでした。
話は逸れますが,私はつくづくコルグとは縁がなく,コルグの製品を手に入れても気に入らなくて使わなくなるか,処分してしまいます。コルグというメーカーを信じて買った物でも,やっぱり最後にはがっかりして使わなくなるのです。
ToneWorksしかり,SG-Rackしかり,Kaossilatorしかり・・・唯一の例外は,箏曲を始めた娘のために用意した「調べ」でしょうか。というか,箏曲のチューナーって実質これしかないやんけ。
2014年の秋に購入,ほぼ同時に絶望したCLIPHITは,3歳の娘のオモチャに格下げされる予定でしたが,あろうことか保証期間中にスピーカーの断線により音が出ないと言う致命傷を負い,ますますコルグに対する信用を低下させました。
素直に修理に出せば良いのに,面白がって私はスピーカーの交換で修理することを思いつきます。3インチ(7.7cm)というちょっと珍しいサイズのスピーカーなど手持ちにあるはずもなく,たまたま秋月電子で安売りされていたF77G98というスピーカーを手配して修理を試みました。
フレームの取り付け穴をカットしたりしてなんとか組み込んだはいいものの,音が小さいという結果にさらにがっかり。当時私は能率が悪いからという結論に至っていますが,能率云々以前の問題として,インピーダンスが8Ωだったことが一番の原因でした。
オリジナルのスピーカーは4Ωで,これが8Ωになると当然出力は小さくなります。アンプのゲインを上げればいいんですが,そんな改造をするのも面倒という事で放置。娘のオモチャになることもかなわず,以後ジャンクの巣窟たる自室の押し入れの奥底で深い眠りにつくわけです。
果たして10年の歳月が流れ,娘は中学生になったわけですが,今年の夏に購入したデジットのランダムボックスに3インチのフルレンジスピーカーが入っていたことを,ふと思い出したのです。
このスピーカー,東京コーン紙製で私が修理に使ったF77G98の姉妹モデルのようで,F77A98というものです。一文字違いで見た目もそっくりですが,大きな違いはインピーダンスが4Ωであることです。
なにせ箱に入っていたのは1個だけでステレオには出来ませんし,もう1つ買い足そうにも在庫切れ,しかもエッジが変形しているのでゴミ確定だなとそこら辺に転がしてありました。
一応エッジだけは出来るだけ元のように戻したので音はちゃんと出るのですが,音質を語るようなものではないので,私が死ぬと同時に廃棄物になるやつだなと思っていたのです。
しかし,見た目が同じで4ΩですからCLIPHITに取り付け可能。音も大きくなるはずですし,ゴミの再利用ですので気分的にもうれしい物があります。
そこで先日のお休みに,魔窟からCLIPHITを発掘し,交換を試みました。
分解して思い出したのは,まずフレームの取り付け穴がある耳をカットしないといけないということ。それからスピーカーの厚みがかなりあるので,配線を挟み込んだりしないようにすることをも要注意です。
当時,耳をカットするのにどんな風にしたのかも思い出せないのですが,金属用のハサミで試すと簡単にカット出来ました。切り口から想像するに,当時も同じ事をやっていたようです。
後はささっと交換し,配線をハンダ付けするだけです。元通りに組み立てて音が出ることを確認し,このプロジェクトは終了です。
デジットのジャンクを使ったという満足感もあり,10年ぶりに喜びの声あげるCLIPHITに思わず涙腺が緩みそうです。
しかし,実際に音を出してみると,30秒で飽きてしまいました。クリップであちこち挟みますが,全く使い物になりません。クリップをあきらめて本体だけで音を出してみますが,出る音の種類が僅かなので,これも10秒で飽きます。
結局1分を待たずに,CLIPHITは電池が抜かれてしまうのでした。
娘がまだ小学校の低学年ならオモチャになった可能性はあったのですが,中学生が楽しいと思うには,ただ音が出る以上のなにか音楽的なものが必要なわけで,その点でもCLIPHITは絶望的です。
加えて,音が大きくなったとはいっても,もともと音量が十分ではなく,買った当時の私も不満を述べています。当時も全く話題にならなかったこと,後継機がでなかったことも,CLIPHITという製品の失敗を物語っているのではないでしょうか。(驚くべき事にサウンドハウスでは今でも買えます)
ということで,ゴミにゴミが入り込んだだけ,という悲しい結果に終わったCLIPHIT復活大作戦。当時宴会芸で使えるかもと書いた私ですが,10年経って宴会の機会すらなかった私にはもはや無用の長物でしょう。
どうするかな。