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2024年11月の記事は以下のとおりです。

REALFORCE RC1でキーボードを巡る旅が終わりました

  • 2024/11/28 15:32
  • カテゴリー:散財

 私がREALFORCEというキーボードを使うようになったのは2004年8月のことです。今でも仕事で使っているREALFORCE89Uという日本語配列のUSB接続テンキーレスモデルに出会って20年,もうそんなに経ったのかと感慨深いものがあります。今はなき秋葉原のクレバリーで2万円ほどで買いました。

 そうそう,あの頃もメカスイッチのキーボードを買ったり,HHKB Liteを買ったりして,でも結局満足出来ず,HHKB Proを買う決心をして意気揚々とクレバリーに行ったんですよね。

 いざHHKB Proを手に取ってレジに持っていくところで,間違えて無刻印モデルを持ってきている事に気が付き,交換しようと売り場に戻った時にふと目に付いたのがREALFORCE89U。

 どういうわけだか直感的にこちらを手に取り,なんの迷いもなく会計を済ませて店を出た記憶があります。

 そもそも英語配列が欲しくてHHKB Proを買いに行ったのに,結局日本語配列のREALFORCE89Uを土壇場で買うことになったことに,なんだか運命的な物を感じます。しかして,これで私のキーボードを巡る旅は終わりを迎えたのでした。

 その後Macは本体キーボードの英語配列,Windowsは日本語配列で使うことにしたのですが,本当のクルマ好きは左ハンドルでも右ハンドルでも,MTでもATでも違和感なく乗りこなす物だと訳のわからない理屈で納得していました。

 正直に言います,やっぱり英語配列の方がいいです。日本語配列のうちでも,レトロPCでもよくあるように,SHIF+2で"が出るとか,;と:が別キーになっているとか,そういうのは全然いいんです。エンターキーが大きいのはむしろ便利なくらいです。

 一番だめなのはスペースキーの長さです。CやMの下はスペースであって欲しいし,コマンドキーやオプションキーの位置も微妙にずれてしまうのがどうも許せません,

 とはいえ,当時のREALFORCEは英語版が国内販売されていなかったので,妥協するしかなかったのです。

 時は流れ,2019年のコロナでテレワークが本格的になり,自宅用のキーボードを探すことになりますが,この時もあれこれ試した結果,結局会社のREALFORCEを持ち帰ってくることになりました。

 その後会社とテレワークが半々になり,REALFORCEは会社に戻っていったわけですが,テンキーレスモデルでも大きいなあと思っていたことや,ちょっと感触に飽きが来ていたこともあり,折からのキーボードブームで選択肢が広がったメカスイッチのキーボードに浮気したりしました。

 しかし,やっぱりなんだかしっくりきません。気に入ったはずのCherryMX2も,出社時のREALFORCEにはやはりかなわないのです。

 キーの配列に確かに不満はあります。長年使うことで劣化し渋くなったキーもあります。それでもやはり,REALFORCEでした。

 そんなある日,REALFORCEにコンパクトタイプが出たことを知ります。それってHHKB Proとなにが違うのかと思いましたが,キーの数を減らす(というより機種によって役割の異なるキーを隠す)目的で,Fnキーとの併用が必須となるHHKBは,さすがにプログラムだけを書いているわけではない私にはちょっと厳しいものがあったのです。

 REALFORCE RC1は,カーソルキーやDeleteキーなどのよく使うキーは温存しながら,キーの数を上手く減らしたコンパクトキーボードです。私にとってはそれほど重要ではないのですが,ファンクションキーも12個完全に用意されているというのはありがたいと思う人もいるでしょう。

 お値段は36000円。20年で約2倍になったREALFORCEですが,当時2万円を随分高価だと思ったものの20年も使えたことに気をよくして,今回も長く使うつもりでREALFORCEを買うことにしました。

 買ったのは英語配列の荷重30gのもの。いろいろ触って分かった事は私は軽いキーが好きだということ。それでいてミスタッチも多いので,入力は深いところで入る物が好ましいという事でした。

 先に結論を書いておきます。

 買って良かった。というか,先にこれを買っておけば無駄な出費もなかったのに。(もっともそのころにはREALFORCE RC1は発売前だったのですが・・・)

 そう,結局あれこれ巡ってみたものの,またもREALFORCEがゴールになってしまったということです。


・見た目

 初期のREALFORCEは業務用然とした色や形が気に入っていたのですが,近年は真っ黒だったりカラーLEDだったりでちょっとズレてきた気がします。RC1も本体色が黒でキーがグレーという配色しか選べませんので,この点では不満があります。しかし,白やベージュでは黄変しますし,テカリも目立って来ますから,これはこれでありかもしれないです。

 わざとかも知れないのですが,濃いグレーのキーに印刷された文字が見にくくて,特にキーの側面に印刷された物は目をこらさないと見えません。余計な情報を目に入れないという配慮かも知れませんが,それならそれで最初から印刷しなければいいわけで,なんとも中途半端な気がします。ちゃんとした大手のメーカーだったら,ユニバーサルデザインの観点で商品化出来なかったかも知れません。


・付属品

 これは私も驚いたのですが,交換用のキートップが全く付属していませんでした。REALFORCE89Uはもちろん,私が買った多くのキーボードでCapsLockとCtrlを入れ替えるキートップは交換用の予備が入っていたのですが,rc1は全くなし。

 確かにソフトウェアでアサインを自由に変えられることを考えると,特定のキートップだけ付属させるのは理にかなっていませんが,CapsLockを入れ換えない人がどれくらいいるのかを考えたら,高価なキーボードなんだしせめてこれくらいは付属しておいて欲しいと思いました。


・使い心地

 30gの英語配列,しかも静電式という私にとっての完璧なキーボードですので,使い心地が悪いはずがありません。軽々打てて静かですし,APCも4段階に調節可能と,非の打ち所がありません。本当に最初からこれにすれば良かったと思います。

 私の場合,やはりミスタイプが多いので,APCを大きめにするとミスが減ることがわかりました。その代わり深く打鍵しないといけないわけで,荷重30gというのはなるほど楽なわけです。

 今,RC1で書いていますが,とにかくスムーズでスコスコと入力出来る心地よさが本当に素晴らしいです。今は引っかかりが気になるREALFORCE89Uも,ひょっとしたら昔はこうだったのかも知れません。だとすれば,いかに高耐久のREALFORCEでも経年変化にはあらがえないというでしょう。

 Enterキーの右に余計なキーがないのもよいです。小指でEnterキーを押した時のミスがなくなるのがいいですし,加えて横幅を小さくするのに貢献していることも考えると,やはり余計なキーはない方がいいと思いました。

 ファンクションキーも私は使用頻度は少ないのですが,Windowsでは時々F5やF3を使うことがあるので,あった方が便利というのは事実でしょう。キーボード本体を極端に大きくしないようにしながら,こういう場所を取るキーを残す選択というのはなかなか勇気がいったと思いますが,ここをHHKB Proとの差別化と考えたのであれば,大正解だと思います。


・使い勝手

 これは不満があります。まず電源。

 初期設定では,長時間キー入力がなかった場合にスリープには入らず30分で電源が切れるのですが,電源が切れるというだけあって,復帰するには側面の電源ボタンを押して電源を入れないとだめです。これはなかなか面倒です。

 後述のソフトウェアでカスタマイズをすれば,長時間キー入力がなかった場合には無線をOFFするという設定が可能で,これがいわゆるスリープモードに該当すると思うのですが,そこからさらに時間が経過したあとに自動で電源をOFFにする仕組みはありません。

その無線OFF(スリープ)というのもちょっと困った物で,何かのキーを押せば再接続されるものの,そのキーは入力されず無効となってしまうのです。少しタイムラグがあってもいいので,そのキーがちゃんと送信されるなら許せるのですが,これはもう少し作り込みが必要なところでしょう。

 一発で無線をOFFにする機能があれば,これをどこかのキーに割り当てることで離席の時には無線を切るとか出来るのですが,そんな機能はありませんし,FN+F11のECOキーの挙動はエコモードをサイクリックに切り替えるだけで,ECOモードに入ってくれるわけではありません(しかも説明書ではモード1->2->3->4->OFFの5パターンの繰り返しなのに,実機では1->2->3->4の繰り返しです)。これは使い物にならないです。

 また,電源を切るときには長押しが必要というのも困ったものです。私はせっかちすぎて長押しという操作が大嫌いなのですが,おかげでこまめに電源を切るとか,積極的に通信を切るとか,そういうことをする気が失せてしまいます。

 スライドスイッチを使えばONもOFFも手軽に出来るので自動化は必要ないと思うのですが,側面の押しボタンで,しかも電源OFFは3秒の長押しという面倒な方法を強いるのに,自動で電源が切れないというのは,技術的には簡単なはずなんですが,なんでやってくれなかったんだろうと思います。

 それでも電池が死ぬほど長持ちすれば文句もいえないのですが,実際はその逆で,満充電からわずか1ヶ月しか持ちません。しかも内蔵の充電池ですから,さっと電池を交換して作業が中断しないように配慮されていません。

 こうした配慮もそうですし,単4電池で十分な寿命を確保出来ることから,多くのキーボードが乾電池を採用しています。LEDのライティングがないキーボードなら,これで3ヶ月や半年の寿命を実現しているわけですし,内蔵の電池は便利なようでいて充放電回数の制限が製品全体の寿命を決めてしまうという致命的な問題もありますので,ここはもう少し考えて欲しかったところです。

 個人的な希望としては,無線OFFを15分で,電源OFFを30分で自動で行ってくれること,無線OFFからは何かのキーを押すことで復帰(もちろん入力されたキーは有効),電源OFFからの復帰は側面の電源ボタン短押し,これをデフォルトにしておいて欲しいということと,マニュアル操作で無線OFFに移行するキーが欲しいということがあればと思います。

 デフォルトは無理でも,無線OFFから電源OFFへ自動で遷移することはぜひカスタマイズで設定出来るようにして欲しいです。電源ボタンの長押しは勘弁して下さい。

 あぁ,ひょっとしたら無線OFFと電源OFFの間の電力差が小さいのかも知れません。それだったら確かに今の設定に合理性はありますが,それならそれで,ちゃんと書いておいて欲しいと思います。

 どうも,REALFORCEは省電力の作り込みが甘いようです。実装面もそうですし,どういう機能が必要かと言う点にもあまり興味がないように思います。でもそれは使い勝手に直結することですので,真面目に考えて欲しいです。

 LEDの表示も非常にわかりにくいです。無理に1つのLEDにいろいろな意味を持たせているのでわかりにくく,マニュアルがないとrc1が私に何を訴えているのかわかりません。LEDを搭載する場所は他にも用意出来るはずですから,わかりやすさをもう少し考えて欲しいです。

 それから,Fnキーが右側にあるのは最近のキーボードの当たり前なのですが,Macでは左下にあります。これがなかなか便利なんですよ。このあたりも考えて欲しいところだと思いました。


・カスタマイズ

 私は最近カスタマイズを出来るだけしないように使うことを心がけているのですが,キーボードはある程度のカスタマイズをしないわけにはいきません。

 しかし,そのためにソフトウェアの世話になるのは,製品の寿命を短くしてしまうので嫌なのですが,これも全体の流れですので仕方がありません。

 私はMac版のソフトを使っていますが,お世辞にも使いやすいとはいえません。細かくカスタマイズが出来るのはいいと思うのですが,カスタマイズが細かく出来るという事は,それだけ変更点の管理をわかりやすい物にしないといけないわけで,どこを変えたのかわかりやすくすること,うっかり変更した箇所をすぐに元に戻せることあたりに,詰めの甘さを感じました。

 ただ,カスタマイズしたマッピングを4つまで記憶しておいて切り替えはスタンドアロンで一発で出来るとか,APCも0.8mm,1.5mm,2.2mm,3.0mmをすべてのキーで調整出来るとか,エコモードのカスタマイズができるとか,そういう所は便利です。さすがトープレだと思いました。


・まとめ

 ほぼ完璧なキーボードです。ほとんど我慢がありません。色とか予備のキーキャップとか,些細な問題だと思います。それだけにちょっとしたことが残念でならないのも,また事実です。

 省電力については全然甘いと思うので,今後のファームのアップデートで改善されることを期待したいと思います。

 高価とはいいながら,それでも36000円ほどで,キーボードに求めるあらゆる物があるという点で,私は高いとは思いません。確かにゲーミングキーボードのような「勝利する」ことにこだわったものではないですし,派手さもありませんが,キーボードでコンピューティングを行う人にとって,これ以上の選択肢はないと思います。

 私は持ち運びませんが,このサイズならギリギリ持ち運びも出来るでしょう。REALFORCEはこれまで,どれほど気に入っても持ち運びが出来ないサイズでしたから,持ち運びを考えている人にとっては待望の商品になったのかも知れません。

 本気のキーボードとしては昨今,ゲーミングキーボードかHHKBという感じがしますが,もう1つの本命であるREALFORCEも着実に進化しています。rc1はそれほど売れない気がしますが,私にはこれ以上のキーボードはないと断言して,これからの長い付き合いを宣言したいと思います。

 

D850を点検に出す

 新宿にあるニコンのショールーム,ニコンプラザにあるサービスセンターでの点検は,簡単なものであれば,かつては無償でした。手厚いサポートがニコンのありがたさで,他社のカメラよりも割高だったとしても,結局こういう所で安くつくというのがニコンファンの言い分でした。

 とはいえ,そんなうれしい話が続くはずもなく,点検が有償になるに留まらず,サービスセンターの相次ぐ統廃合,サービスセンター窓口の完全予約制に移行してから,ニコンプラザの雰囲気も随分変わったように感じます。

 いい意味でも悪い意味でも保守的(でも結構進歩的)なニコンのことですから,ただただサービスの低下でユーザーの心が離れてしまうことを良しとせず,実はニコンプラザに来た人を対象に,レンズやボディの購入で,有償で行っている点検パックの無料券を配っています。

 4000円近い点検パックが,内容そのままに無料になるというのですから,形を変えてかつての手厚いサポートが戻ってきたような物で,古いニコンユーザーの私としてもうれしいのですが,条件がなかなか厳しく,無料券をもらうための申込用紙をスタッフさんが日付を記入した形で受け取って,3ヶ月以内に新品のレンズかボディを購入,申込書にレシートと保証を一緒に持参してようやくもらえます。

 もらった無料券は当日から1年間有効なのですが,肝心の点検パックは完全予約制なので,当日いきなりその無料券で点検をしてもらおうという話には出来ません。どうしてもと言うなら,予約を事前にとって,その日に無料券を入手し,その日のうちに使うという作戦を立てる必要があります。

 まあ,そこまで必死にならなくても,ニコンプラザに新しい物を見に出かけてみたらなんかいいことありましたくらいの気分でいたらいいんじゃないかと思います。

 さて,私はこのサービスを最近まで知らず,こういうことを大々的に宣伝せずにこっそりやるところがまたニコンらしいんですが,今年買ったZ24-120mmF4Sで1枚,Z50mmF1.8Sで1枚の合計2枚のプラザ点検パック無料券を手に入れました。

 これでなにを見て頂こうかなと思案したところ,買って年月が経過したD850と,一番大切にしたいレンズであるAF-S70-200mmF2.8Eの点検をお願いすることにしました。

 土曜日の12時に新宿のニコンプラザに予約を取り,約3時間後に引き取ることになりました。さすがに2つですので時間がかかるのは仕方がありません。その間,新宿東口の北村写真機店に足を運んで中古カメラの数と値段の高さにクラクラし,西口のヨドバシでフィルムと薬剤が絶滅寸前になっていることをみて気分が沈み,なかなか潰れない時間に足を棒にしながら,3時頃に引き取りに再度ニコンプラザに。

 どれも問題なしですよ,と言って欲しかったのですが,残念ながらD850に1つだけ問題がありました。センサーに取れないゴミが2つほどあるという,なかなかショックな話です。

 どうもゴミが内側に入り込んでいるらしく。これを解決するにはセンサーの交換しかないと言うことでした。ちなみに交換の費用は15万円ほどらしいです。

 ただ,対応してくれた方が言うには,F16まで絞り込んでようやく見えるかどうかと言うところで,普通の撮影ではまず気にならないということです。

 何に気を付ければ防げたのかと聞いてみたんですが,これはもう防ぎようがないとのことで,そういうことなら気にしても仕方がないですし,実害がないなら正常だと思って使うことにしました。

 後は点検と清掃,フォーカスの調整をやってもらいました。フォーカスはあろうことか後ピン傾向にあったそうで,再調整をして頂きました。いや,購入当初から後ピン気味だったんですよ。それを微調整で使っていたのですが,これまでにも修理と点検を何度かお願いしていたのに,今回初めて調整してもらえたというのも,ちょっと複雑な気持ちです。

 レンズは全く問題なし。とはいえ,中古店への売却時の査定と違って重箱の隅を突っつくような確認はないでしょうから,写りに影響のあるゴミやクモリがないという程度に受け取ることにします。

 AF-S70-200mmF2.8EはAFも高速ですし,VRも搭載しているメカトロニクス満載のややこしいレンズです。こういうのはいつ壊れるかわかりませんから,それらが問題なく動作しているというのがわかったことだけでも有意義な点検でした。

 これだけ点検して頂いて無料というのもうれしい話で,帰宅後早速チェックしました。先にレンズですが,こちらは確かに問題なし。

 次にD850ですが,指摘されたゴミは私には見つけることが出来ませんでした。F16まで絞り込んで,白い壁を撮影したんですが,ゴミは全然見当たりません。仮に本当にゴミがあったとしても,このレベルであればゴミなどないのと等しく,気にする必要は全くありません。

 しかし,別の問題が・・・白い壁を撮影したから見つかったようなものなのですが,LCDにムラがありました。右側に丸い模様のような村が3つほどあります。違う画像でも同じ位置に出ますし,拡大しても変化がありませんので,画像にあるのではなく,LCDにあるムラだと思います。

 面白いのは画像が黒すぎても白すぎても見えなくて,明るめのグレーが一番目立ちます。とても気になり,LCDを拭いたり保護フィルムを外してみたりといろいろ試しましたが変わらず。これこそLCDそのものの問題で,交換しかないんじゃないかと思います。

 画面のど真ん中に出ているわけではないですし,他に修理すべきものが出てきた時に一緒に修理するつもりで,今はこのまま使うことにします。

 それから,AFが動作しないと言う問題が頻発するようになりました。時々AFが動作しなくなり,レンズを付け直したり,ボディ側のAF-Mを切り替えると動くようになることは元々起きていたんですが,今回はこの問題が頻発します。いよいよ壊れたのかも,と思っていましたが,数日の間に頻度は下がり,今は全く問題が出なくなりました。

 AFが効かない時,そのレンズはMFのレンズとして扱われるようです。マウントの電気接点の汚れが原因として指摘される症状ですが,清掃後も再現するのでおそらく内部の問題でしょう。嫌だなあ。

 ついでにいうと,電源OFF時にボディに振動を与えるとメモリカードのアクセスランプが転倒するという変な問題も見つけました。詳しく調べてみると,MB-D18を使っている時に限られ,どうもロックレバーの位置を検出するスイッチの接点の不良による誤作動ではないかと,そんな感じです。

 そもそも振動など与えるなという話ですので,これも様子見ですね。

 そんなわけで,まだまだ使えるD850だと思っていたら,さすがに初期ロットだけに完調というわけにはいかなそうです。かといって完全修理を行うとお金がかかりすぎますので,今回の点検で実用上は全く問題なしという結果を支えに,どんどん使っていこうと思います。

NIKKOR Z 50mm f/1.8Sを買いました


 長年使っているクレジットカードのポイントが随分とたまっていて,これをamazonのギフトカードに交換したところ,レンズが1つ買えるくらいになっていました。

 こういう臨時収入は,小出しに使うのではなくまとまった物を買うに限ります。ちょうどニコンのキャッシュバックが始まったこともありますし,最初からレンズを買うという前提で,なにを買うかを選ぶという贅沢を味わうことにしました。

 本命はZ35mmF1.4でした。発売前にニコンプラザで試し撮りをしたところそれなりに良い感触を得たのですが,これは早々に候補から外れました。

 確かに,F1.4という明るさには魅力がありますし,絞りの開閉で画質を操ることができるというのは実に面白いはず。Sシリーズではないとはいえ,Fマウント時代のレンズに比べてもずっと高画質という話もあって,好きな35mmという画角のレンズを最初は本気で買うつもりでいました。

 しかし,周辺の収差の大きさが結構あることが気になりました。これは誰でもそうだと思うのですが,主題を画面中央に置く事ってほとんどないですよね。高い画質になる中央をわざわざぼかして,絞らないと改善しない収差の大きな周辺に主題をおくということを意識しないといけないのは,ちょっと面倒かなと思ったのです。

 私はボケボケの写真を好みませんので,開放で撮ることはまずないのですが,それだったらF1.4にこだわることもありません。むしろ構図の自由度を優先したいです。

 もう1つ,これは根拠のない不安なのですが,ひょっとしたらタムロンの製造,あるいは設計と製造かもしれないという話も耳にしました。本当の所はわかりませんし,仮にタムロンがかかわっていてもニコンのブランドで出ているのですから関係はないのですが,私はどうもタムロンとは相性が悪く,これまで好感触を得たレンズは1本もありません。世間では絶賛されているレンズでもそうでした。

 これはタムロンの設計思想とも,製造の品質管理とも,相容れない物があることを意味していて,何度かがっかりした結果として,とにかくタムロンには近づかないことを誓ったのです。

 根拠のない憶測,噂に過ぎないので信じるのもバカバカしいのですが,万が一その画質が気に入らないときにタムロンじゃないかとモヤモヤするのは,やっぱり嫌だったのです。

 個人的には,DX用の24mmF1.7が本当にいいレンズで,予約して買って感激し,後日その設計者と設計思想を知って腑に落ちたということがありました。Zfcと一緒に手放しましたが,この設計思想がFXのレンズで実現した物として35mmF1.4が開発されたならいいなあと思っていたので,どうも違うぞと知った時に興味を失ったのです。

 ならその後出たZ50mmF1.4はどうでしょう。これもF1.4シリーズとして同じような傾向のようで,Fマウント時代のガウス型の50mmF1.4とし比べれば飛躍的な進歩があるとはいえ,価格を考えると周辺部の画質が低下することを「味だ」と納得するのも難しい気がしました。

 ついでに言うと,価格の安いレンズというのは,暗いときの発色やコントラストが今ひとつで,結局補助光に頼るしかなくなります。単にセンサの感度を上げれば良いというものでないと思っていて,そのレンズが実質的に扱える光の量は,やはり安価なレンズでは少なくなると言うのが私の考えです。

 そこで,F1.8Sシリーズに目を向けます。35mmも50mmもZマウントの初期ラインナップで,設計が古いです。新しいマウントですので設計のノウハウはまだ蓄積されていないでしょうし,当時の流行を反映しているので今後のレンズとして疑問もあります。

 一方で,Fマウントという呪縛から解放された設計者の高揚感のような物が画質やレンズ構成から感じられ,特に画質に妥協しないSシリーズには失敗がないだろうという安心感があります。

 同じSでも,Z24-70mmF4Sではあまりに普通過ぎてがっかりしました。同じ事が趣味性の強い単焦点レンズでも起こるかもしれないという不安はありましたが,キャッシュバック対象であることも鑑みて,35mmF1.8Sと50mmF1.8Sから選んでみましょう。

 どちらも登場から時間がたっていて,初期のZマウントレンズを代表するものだけに,画質に悪い評判はありません。実は発売が古いことで価格がこなれているというのもあり,実はちょっとお買い得感があります。

 35mmもいいんですが,ちょっと高い。50mmなら安い上にF1.8という明るさを楽しめそうです。在庫も豊富ですし,キャッシュバックで7万円ほどになりますから,ほぼ登場時の価格になります。これはいいかも。

 ということで,前置きが長くなりましたが,新しいレンズの選定はZ50mmF1.8Sに決定です。

 amazonに在庫があるのでさっさと手配し,なんと当日に届いてしまいました。

(1)外観,質感

 さすがにZマウント初期のレンズで,気合いの入った質感です。ただ,これが好ましいかと言えばそんなことは全然なく,寸胴で不細工,コントールリングがない,フォーカスリングのローレットが金属製で指のかかりが良くない上に汚れが溝に入り込んで汚い,ということで,シンプル過ぎるデザインも悪ければ,実用面でも今ひとつで,ぱっと見た古くさささえも感じます。

 いってみれば,Zマウントレンズのノウハウというのは実はデザインじゃないかと思うほどで,比較的新しいレンズと並べてみると,新しい方が随分と格好がいいのです。確かに初期のZマウントはボディもレンズも不細工とさんざんに言われていましたから,その後の7年間で少しずつデザインを調整してきたんだろうと思います。Z6もZ6IIIと比べたら,よく似ているけど全然格好いいですよね。


(2)画質

 これはもう言うことなし。期待通りでした。中央部も周辺部も開放から使えるキレのある画質は,低照度での色やコントラストの低下も小さく,構図の自由度も十分です。

 グラデーションも見事ですし,ボケも想像以上に綺麗です。あいっかり色も乗ってきます。

 フォーカスアウトでじわじわと滲むような美しいボケではないのですが,主題をしっかりと浮かび上がらせる自然なボケが,前にも後ろにも出てきます。ニコンの言う三次元HiFiとはちょっと違う傾向かなとは思いますが,この解像度が画面全体で得られ,照度の差による画質の差も小さいという点で言えば,被写体との対話だけに集中出来るレンズだと思います。

 でも,こういうのって,10年ほど前のシグマのArtシリーズが先鞭を付けたんですよね。今,こういう傾向の画質ってちょっと飽きられているようにも思うので,ちょっとした古くささがあるのもまた事実です。

 Zが逆光に強いことはこの世代のZレンズが定着させたものだと思いますが,さすがにこの50mmの逆光に強く,フードは必要ありません。保護用として私は常用していますが,逆光に強いレンズというのはしっかり黒が沈みます。素晴らしいです。


(3)AF速度など

 特に低速とも高速とも思いませんが,今どきのレンズとしては当然達成しておくべき速度だと思います。その点で言えばなにも不満はありませんが,最新のレンズに比べるとやはり緩慢な感じがします。音もやや大きいですしね。

 ついでにいうと,フォーカスリングの滑らかさはこの価格の単焦点レンズに相応しい滑らかなもので,重すぎず軽すぎず,しっとりとした感触は往年のマニュアルレンズを彷彿とさせます。ですがあまり出番がないのが残念ですね。


(4)まとめ

 本当は像面湾曲とか各収差の検討もしたいのですが,像面湾曲は補正がかかるし,他の収差も目立ったものはないので,特に悪いとことが目に付かない,とても優秀なレンズだというのが結論です。

 こういう,場面も構図も選ばないレンズこそ,常用レンズに相応しいです。私はすでにZfにおけるボディキャップレンズの座をこのレンズに与えました。

 ただ,デザインの古さはいかんともしがたく,光学系はそのままに現在のデザインテイストに合わせた(ついでに価格も改訂して)II型にリニューアルされるんじゃないかと思ったりしています。

 私の場合,こんなふうにゴムリングを取り付けてみました。

 20241107141708.jpg

 このゴムリング,実はAF-S28-200mmF4-5.6の形見です。発売日に予約した高倍率ズームでしたが,下取りに出そうとすると壊れていて,ゴミになりました。内部のフレキを貼り付けてあった両面テープが浮いてしまって,ズームすると切れてしまったのですが,前玉やゴムリングだけ残してあったのです。

 前玉は高性能虫眼鏡としてつかっていますが,ゴムリングは,これがZ500F1.8Sにぴったりの大きさでした。

 左手の指が触る部分にゴムリングをまき,後はパーマセルテープで整えます。

 理想を言えば現行のZのレンズのリングがいいんですが,Fマウント時代のデザインのリングも悪くはないでしょう。見た目にも,感触も,実用性も,1つのゴムリングで解決するんですから,もっといろいろ試してみたいものです。

 さて,購入から数日,このレンズばかりで撮影しています。頭の中で描いた画像との違いが少なく,構図や光の加減を考えないというずぼらさから,このレンズの便利さを味わっているところです。

 ズームでカバーする画角ですが,F1.8が開放から使えることのメリットは大きいです。35mmと50mmで迷いましたが,今の私には50mmの方が楽しいですし,これは選んで正解だったと思います。

 んー? Z24mmF1/7のような楽しさがないのは,なんでかなあ?

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