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2025年04月の記事は以下のとおりです。

PC-386BookLでPPMMCDRVを動かしてファイル交換

 先日,ふとネットをダラダラとみていますと,PC-9801のプリンタポートにmicroSDカードを繋いで読み書きするハードウェアがアキバで売られたというニュースを目にしました。

 ん?PC-9801のプリンタポートって出力専用だったんじゃなかったっけ?

 AT互換機ではプリンタポート接続のZIPドライブなんかが普通に売られていました(懐かしい)が,同じ仕組みがPC-9801で実現出来なかったのは,14ピンのPC-9801のプリンタポートが出力専用だったからでした。

 PPMMCDRVと呼ばれるそのハードウェアの説明を読んでみると,microSDカードをSPIモードでアクセスするということと,唯一の入力であるBUSY端子を使って双方向通信を実現するという仕組みでした。賢いなあ。私はてっきりFPGAなりSTM32なりを使うのかと思ってましたよ。

 PIOモードというPC独特の言い回しですが,詰まるところソフトでクロックやデータを生成するソフトウェアSPIですので,速度はCPU依存で,しかも強烈に遅いです。それでもフロッピーディスクやLANを使わずにファイルをやりとり出来るメリットは大きくて,実際PPMMCDRVは大人気のようです。

 自作するのは簡単ですが,ArduinoやRaspberryPi向けに作られたと思われる,microSDスロットとレベルコンバータ,そしてLDOまで搭載された小さい基板が安価に売られていて,これを使えば本当に繋ぐだけでハードウェアは完成してしまいます。

 最大の関門は14ピンのアンフェノールコネクタの入手でしょう。

 ところが偶然,数日前にジャンクのプリンタケーブル(しかもEPSON純正)を手に入れていました。これはもはや神の啓示。作らないわけにはいきません。

 ということで,早速amazonにmicroSDの基板を注文。5枚で760円ほどでした。

 届いてから工作開始。日曜の午後にぴったりな工作です。

 1時間ほどで完成すると思っていましたが,重いのか手間取ったのでその点松を書いておくことにします。

 まず,ケーブルをちょん切って,皮を剥きます。SPIで通信しますので短かくないとエラーが出そうだという事もありますし,小さくまとめておきたいので,コネクタから5cm程でカットしました。

 2,3,4,5,11ピンが必要なので,どの線から出ているのかをテスターでチェックしますが,鈍くさい私はどうせ間違うでしょうから,一応全部の線を切らずに残しておきます。

 そしてそれぞれの端子を,公開して下さっている配線図に従ってハンダ付けしていきます。電源はプリンタポートから採れないので,マウスポートから取ることにして,D-subの9ピンのコネクタに繋いだ5VとGNDも基板に配線します。(この段階ではLEDはまだ繋いでいません)

 この段階で一応チェックしますが,案の定配線ミスをやらかしています。違う線を繋いでいたので修正して,実機で試してみます。

 microSDカードは手持ちのもので一番小さい容量の1GBのものを使います。

 公開されたソフトに同梱されていたテスト用プログラム,PPMMCTST.EXEを実行しますが,エラーでいきなり進みません。よく考えてみるとGNDを配線してなかったことに気が付いたので14ピンにGNDを繋ぎますが,結果は同じ。(そりゃそうです,マウスコネクタのGNDは繋がっているので,品質はともかくとしてGNDには繋がっているんですから)

 ここで少し調べてみると,EPSON機ではSCKというクロックの信号でリンギングが出るので,3.3kΩを直列に入れてダンピングするのがよろしいそうです。私が使っているPC_386BookLは割と初期のEPSON機ですからダンピング抵抗は必要でしょう。

 手持ちの関係で2.7kΩで試してみますと,希にテストはパスするようになりましたが,ほとんどエラー。通常の読み書きなど全くできません。うーん。

 波形を少し見てみますが,BUSY端子の電圧がちょっと低く,4V程度しかありません。ですが,TTLレベルでは2.0V以上あればHighとなりますので,(不問にできないですが)これが原因で動作しないと言うことではないでしょう。

 気晴らしに,先にLEDの配線をするのですが,またも配線ミス。ずっと点灯しっぱなしになるので首をひねってましたが,違う線に繋いでました。トホホ。

 LEDの配線は正しく修正しましたが,動作しない状態は続いています。そこで,別のmicroSDを使ってみる事にしました。手持ちでフォーマット出来そうなのは16GB位だったのですが,これを30MBごとにパーティションを切って試してみます。

 すると,テストではほとんどエラーが出なくなりました。とはいえ希にエラーは出ますし,ファイルアクセスは全く出来ません。でも,偉大な一歩です。

 それではということで,ウェイトを入れてみました。最初は8という大きな物をいれたのですが,これだとファイルの読み書きが出来るようになりました。そこでウェイトを1つずつ減らしていくと,ウェイトが1ならOK,0ならエラーになることがわかりました。

 同じウェイトで先の1GBのmicroSDをもう一度試しましたが,やっぱりエラーです。別の8GBのカードでも0ウェイトでは動きませんでした。これはもうカード依存,いわば相性みたいなもんだと割り切るしかなさそうです。

 念のため,ダンピング抵抗の値を変えてみたり,他の信号にも入れてみたり,BUSYをプルアップしたりしましたが何も変化はなく,ついでに言うとSCKのダンピング抵抗も外しても,ウェイトを1つ入れれば問題なくアクセス出来る事がわかりました。

 しかし,ウェイトを入れれば遅くなります。ベンチマークを取ってみると情けないことに12kB/secしか出ていません。0ウェイトならもう少し改善されるように思うのですが,動かないものは仕方がないです。

 ちなみにウェイトを8つ入れた場合,2kB/secまで速度が低下しました。V30以下とは・・・

 これで大きなファイルもエラーなく読み書き出来るようになりました。LEDもちゃんと点滅するので,もう余計な線をカットしても大丈夫でしょう。遅いとはいえ,一時期検討していたシリアル経由での転送に比べると遙かに高速(12kB/sec = 96000bps)ですし,PCとのファイル交換に力を発揮すると思います。

 これまで,PCとのファイル交換は大変でした。フロッピーを使うしかありませんが,3モードに対応しないPC-386BookLは,720kBの2DDでしかファイル交換できません。仮に2MBのファイルを送り込む場合,ファイルをファイルを3つに分割して3回読み書きしなければなりませんでした。

 フロッピーのイメージなどはもともと1.2MBですから,圧縮しても720kB以下になることは少ないです。そうなるとやっぱり分割して2回で転送しないといけないので,気分的にもかなり抵抗がありました。

 フロッピーディスクエミュレータを使って,USBメモリのフロッピーイメージをマウントして実機に取りこむ手はありますが,1ファイルあたり1.2MBまで転送可能になるとはいえ,手間がかかることには違いありません。

 しかし,このPPMMCDRVでは,ファイルサイズがフロッピーディスクのサイズを超えても分割しないでいいですし,付きっ切りでディスクの交換をすることもありません。少々速度が遅くとも,放置して置けば済むというメリットは非常に大きいです。

 悔しいのは,ウェイトを0に出来なかったことです。きっと何か問題があるはずで,真面目に取り組めば原因くらいは判明すると思うのですが,ウェイトで改善するという事はクロックとデータのタイミングがシビアなのかもしれません。

 こうした楽しい工作の回路はもちろん,ソフトも公開して頂いている事には感謝しかありません。私の場合,microSDカードをとっかえひっかえしましたし,EPSON機ですので試行錯誤も必要でしたから,誰でも簡単にできるというものではなかったかも知れませんが,むしろそれが楽しいくらいで,なにかと小銭を集めたがる人が多いこのご時世,面白いものを公開して頂いている事に,まだまだすてたもんじゃないなあと思った次第です。

 

REALFORCE RC1にスペーサーを試してみる

 キーボードを探す旅に終止符を打った,REALFORCE RC1。私が選んだのは荷重30gのUS配列で,確かに現時点で最高のキーボードであることは間違いないのですが,しばらく使っていると不満も出てくるようになってきます。

 暗い所ではキートップの印字が見にくいとか,黒っぽい配色がちょっと気に入らないとか,スペースキーがグラグラするとか,DELETEキーが遠いとか,まあいろいろあるのですが,中でもストロークと音の関係は実に難しいと感じていました。

 REALFORCE RC1のストロークは4mmと,標準的というか古典的なストロークです。スコスコと入力出来る気持ちよさが売りのREALFORCEにとって,ストロークが深いことは欠点と言い切れないものがありますが,それでも底打ちの時に独特の音がすることは避けられませんし,好みの問題としてストロークが浅い方が好きな人もいると思います。

 私はストロークの浅い方が好きな人なのですが,それはきっと,底打ちがあるまでキーを叩き込む人だからで,寸止めできる人ならきっと問題にはしないんじゃないかと思います。

 そんなおり,amazonで見つけたのがキースペーサーでした。純正品ですので当然以前から存在は知っていましたが,メーカーが「これだ」と思って作ったキーにスペーサーを入れるというのもなんか違う気がしたので,見送っていました。

 しかし,2mmと3mmが同梱されていて(おかげで2000円と高価なのですが),レビューを見ると概ね高評価のようです。好みの問題なので高評価そのものをあてには出来ないのですが,悪い評判がないということも私の背中を押すのに十分でした。

 ということで届いたスペーサーですが,いわゆるポロンと言う樹脂で出来たシートに穴を開け,裏側にPETで裏打ちしてあるものが2mm厚と3mm厚の2枚入っているものでした。1枚1000円です。やっぱり高いという印象は拭えません。

 早速取り付けてみるわけですが,最初に悩むのは2mmにするか3mmにするか,です。キートップを外し,まずは2mmから試しますが,あれ?こんなもん?と思うような,差の少なさに拍子抜けしました。

 底打ち感はあまり変わらず,音も以前とそんなに変わりません。これだったら効果のわかりやすさで3mmだなと,3mmに交換してキートップを取り付けます。専用のソフトでスペーサを設定して,準備OK。

 早速試し打ちですが,ミスタイプを連発。それもそのはず,APCの設定が2.2mmのままでした。

 3mmのスペーサをを取り付けると,ストロークは2mmになるそうです。押したと判定されるストロークであるAPCの設定がが2.2mmなら,そりゃミスタイプが連発するのも当然です。

 あわてて1.5mmに再設定して試すのですが,思ったように浅いストロークは高速タイピングに向いています。音も静かになりましたし,RETURNキーやSHIFT,CTRLキーの安定感も良くなっています。特にスペースキーは良くなっていて,グラグラすることも変な音がすることもなくなりました。

 しかし,使い始めると欠点が浮かび上がってきます。ストロークが浅いのは結構ですが,底打ちの時にふにゃっとしたキレの悪さがあります。また,APCが1.5mmであることも影響しているみたいで,私のようなしっかりタイピングする人にはどうにも違和感が残ってしまいます。

 ふにゃっとした感じがどうにも許せなくなってしまい,もう一度キートップを外して2mmのスペーサーに交換してみました。APCは2.2mmに戻します。

 確かにストロークは深くなり,スコスコとしたREALFORCEの感触が戻ってきました。底打ちの時のふにゃっとした感じはかなり改善されていますが僅かに残っていて,これはスペーサーを使う限りはやむを得ないと諦めることにしました。

 ただ,スペースキーやRETURNキーの安定感は2mmでも大幅に改善されています。このレベルなら不満はありません。スペースキーは本当に良くなったと思います。

 ここでAPCを1.5mmにしてみました。もともと,小指でRETURNキーを押した時にうっかり他にキーに触れてしまうことがあったため,そのキーが入力されてしまわないようにAPCを2.2mmにしていたのですが,ストロークが浅くなったのだからこれも1,5mmにしてみようと思ったわけです。

 結果ですが,これでさらに快適になりました。理屈で言えば,スペーサーによってストロークが4mmから3mmに変わっても,APCが1.5mmでミスタイプがあった状況が変わるはずがないのですが,これは私自身がREALFORCE RC1に慣れたという事かも知れません。

 ということで,REALFORCE RC1の我慢の1つであったストロークについては,1mm減らして3mmにすることで解決しました。特にスペースキーやRETURN,BSキーの安定感も向上しているので,ますますタイピングそのものに意識を持って行かれなくなりました。

 難点を言えば,ファンクションキーやDELETEキーなどの最上段にはスペーサーが入らないことでしょう。あまり使わないキーとは言え,2000円もしてすべてのキーをカバーしないスペーサーというのもどうか思います。

 1キーのシートを2つ,4キーのシートを3つ入れてくれれば済む話で,しかもこれは日本語版も英語版も共通ですから,そんなにお金はかからないはずです。

 最近,REALFORCE RC1用の白いキートップが新たに販売されるようになりましたが,これも結構高価ですし,装飾キーは別売りになっているなど,どうもREALFORCEはあれこれを買わせたいみたいな感じがします。同じ高級キーボードの部類に入るHHKBでは交換用のキートップはそんなに高価ではありませんでしたし,装飾キーを含めたすべてのキートップが入っていました。

 考え方も違いますのでHHKBと比較するのはナンセンスですし,そもそも高級なキーボードを使うのにせこい話も無粋だとは思いますが,お金の問題と言うよりもあれこれ試して使わなくなった物が手元に残るのに抵抗があります。

 キーボードのように,100人いたら100人とも違う物を好む製品で,最初から完璧な物を期待するのは無理だとわかっています。むしろカスタマイズ用のニッチな商品を用意してくれることがユーザーに手厚いといえるわけで,その点では東プレは立派だと思います。しかし,もうちょっと手軽に試せたらなあと思いました。

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