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2026年01月の記事は以下のとおりです。

初代GRの出番が増えた

 GRIVがえらいことになっている昨今,我が家にある初代GR(2013)の出番がにわかに増えてきました。

 先日の富山への旅行ではサブカメラとして大活躍しましたし,普段でもちょっと出かけるときにさっと手に取るカメラとして持ち出すことが増えました。

 サイズも手頃でAPS-C,35mm換算で28mmという画角,1600万画素という十分な画素数に,すっかり手に馴染んだ操作感と,確かに普段使いにぴったりです。

 旅行で撮影した画像をみて,初代GRってこんなに良い画を吐き出すんだなあと感心しました。屋外での撮影だったからでしょうが,冬空の青さが見事でした。

 記録を見ると,2013年5月の発売日に9万円で手に入れています。12年前のカメラを一過性のブームに終わらず日常的に持ち出すカメラになっていることは,ちょっと驚きかも知れません。

 その頃の記録を見ると,高感度が絶望的とか,ポートレートが塗り絵みたいだとか,プログラムラインがF4にこだわりすぎてダメだとか,1600万画素くらいでローパスレスにこだわるべきではなく事実モアレが出てしまって困るとか,結構不満を書いていました。

 しかし干支一回りして,私の中でもそうした評価が変わっていることに気が付きます。GRIVが手に入らない今だからこそ,初代GR再考,といきましょう。

 ちなみに,GRシリーズ人気のおかけで,初代GRでさえ中古の売値が9万円程度になっています。買い取り価格は3万円ほどなのでアホらしいですが,数年前まで3万円くらいだった売値がここまで高騰することも異常かなと思います。


 まず最初に,当時の感想についてはその頃使っていたD800への絶大な信頼に随分引っ張られているように感じました。D800は今もいいカメラだったと思える名機だと思いますが,これを基準にGRを評価しているように思います。

 しかし,言うまでもなくGRにはGRの良さがあり,当然得手不得手がありますから,そこを生かして使うことを考えなければなりませんでした。

 今の私はZfで2400万画素に慣れたこともあって1600万画素はそんなに窮屈に感じません。色も感度も屋外なら問題はありませんし,手ぶれについては元々私は必要度が低いです。

 感度もISO1600以上は絶望的だと書いていますが,屋外のスナップならISO400で固定したって構わないくらいです。ISO1600でもノイズの除去はRAWならLightroomで処理できますし,問題ありません。ついでにホワイトバランスもLightroomで調整出来ますから,多少外しても全然構いません。

 そんなことよりレンズの性能の良さが重要だったりします。RAWの素性の良さが利いてくるんです。

 次にAFですが,聞けばGRIVでもそんなに優れたAFではないそうです。つまるところAFに期待しすぎるからなのかも知れず,実は私もこの初代GRを,中央1点にしてシャッター半押しでのAFロックを使うようにしてから,とても快適に使えるようになりました。

 当時はマルチAFだとか,測距点を移動させてとか,コサイン収差を考えて出来るだけ構図を先に決めることを考えて使おうとしていましたが,それらを本格的に使うにはまだまだ初代GRの能力は使用に耐えず,測距点を動かすUIもさらにストレスになっていたのでした。

 また,D800やD850にあわせて親指AFで使うようにしていたのですが,これもそもそも意味はなく,コンテュニアスAFに連写などGRに求めるのが間違いでした。

 潔く中央1点でAFロック。これが一番使いやすいです。しかもこうすることで,ごく普通の使い方に慣れたごく普通の人々(例えば嫁さん)とも貸し借りが出来るわけで,撮影者が増えて撮影チャンスが広がる事の方が遙かに価値があると思いました。

 Pモードにおけるプログラムラインも,実はその後のFWアップデートで出来るだけ開放で使おうとするように変更されています。なので無理にAモードを使うのではなく,Pモードでこちらの意図通りになってくれることが増えました。

 相変わらずポートレートは苦手なカメラですが,スナップやメモ,風景や旅の記録などでは今でも全然通用する画質で,先に書いたようにシーンによっては先日の旅行での写真をプリントしてZfと比較しても,十分張り合えます。驚いたと共にGRの力を見直しました。

 電池もまだまだ劣化していません(予備の電池も買ってあります)から十分実用になります。

 さて,当時気にしていなかったことで,最大の問題点はホコリです。沈胴式のレンズの隙間から入り込んだホコリがセンサに付着して映り込んでしまうという最悪の問題点は,GRがレンズ固定式のカメラでCSMOSセンサの掃除が出来ず,かつセンサクリーニング機能を持たないが故に,修理に出すしか解決方法がありません。

 しかし,修理対応で清掃しても根本的な問題はそのままですから,清掃直後にホコリが付着することもあるわけで,そうなるともうホコリの映り込みを気にしないか,使うのをやめるかの二択になってしまいます。

 私の初代GRも派手にホコリが入り込んでいたのですが,自分で分解してホコリの除去を行いました。あれから何度かやってますので,もう慣れた物です。手間はかかりますが自分で出来るようになると,ホコリももう怖くなくなります。

 初めてホコリの除去を行った後には,ホコリの侵入を防ごうとフィルタを取り付けるアダプタを買い,保護フィルタでホコリの侵入を防ごうとしたのですが,そのせいでGRのコンパクトさが損なわれてしまい,持ち出す気がなくなってしまいました。

 これではいかんと,レンズバリアの前に両面テープで貼り付ける保護フィルタに,薄型のアルミのレンズキャップを用意し,コンパクトさをスポイルしない程度にホコリ対策を行うよう方針を変更しました。これで一気に持ち出す機会が増えたのです。

 おかげでホコリを避けきれなくなりましたが,先程書いたように自分で掃除が出来ますので,ホコリよりもハンドリングの良さを優先できるようになりました。

 同じような感覚で,これまた価格が10万円程度に上がっているシグマのDP2Merrillも使ってみるわけですが,こちらはやっぱりじゃじゃ馬で,とてもGRのような再評価が出来そうにありません。そう考えると,なんだかんだで初代GRは良く出来たカメラだったということが言えそうで,当時のしっくりとこない感覚は私にも問題があったと認めざるを得ません。

 むしろ,サクサクと小気味良く撮影出来るテンポの良さや,大きすぎないデータサイズでRAWから気分良く狙った画に追い込んでいけること,なによりポケットにさっと突っ込んで持ち歩けるコンパクトさという,最新のGRIVでも評価されている点がすでに初代GRに備わっていることを,もっと生かすべきだったと考えるようになりました。

 実のところ,この初代GRはD850を買うときに資金源とするために売却することを検討し,一度は元箱に詰めることまでやっていたのです。当時は出番も少なく,どうもしっくりこないなと避けていたところもありましたので,さっさと売ってしまおうと思ったわけですが,どうせ1万円か2万円程度にしかならないでしょうし,ここで売ってしまうともう二度と買い直せないだろうと思った事に加えて,嫁さんも「置いておいたら」と言ってくれたことで,ギリギリになって売ることをやめたのでした。

 いずれ買い換えるに値するような後継機が出るだろう,その時が来たら売ればいいかと思って残していたところ,意外に手に馴染み始めた事に加えて,ようやく買い換えようと思った後継機は2倍の価格になっただけではなく入手が極めて困難となり,結局売る機会も逸してここまで来ました。これも縁だったのだと思います。

 そんなわけで,初代GRは1周回って,お気に入りのカメラになりました。私だけではなく,嫁さんにとっても使いたいカメラになってくれたことで,初代GRは私以外の視点も手に入れました。

 いつまで壊れずに動いてくれるかわかりませんし,ホコリの除去もいつも成功するとは限りませんから,いずれダメになる時が来るでしょう。でも,12年も使えばそれはそれで十分です。仮にGRIVが買えても,初代GRは手元に置いておくつもりですから,出来るだけ大切に,しかし出来るだけ持ち出して,使っていこうと思います。

2025年の散財を振り返る

  • 2026/01/20 10:45
  • カテゴリー:散財

 毎年この時期に行っている,昨年1年間に買った物を思い出し,反省を自ら促す,昨年買った物2025です。

 買いたい物がないよなーなどといいつつ,昨年はそれなりにお金を使ってしまいました。大きな買い物もありましたが,実のところ価値のある出費だったと思いますので,結果としてはよかったんじゃないかなと思ったりしています。


・MacBook Air 2025 M4

 昨年の買い物で一番は,やっぱこれでしょう。高価だったとはいえ,全く無駄に思えません。M1のMacBook Airと比べて,処理速度が上がったこと以外にも細かい部分でアップデートが行われていて,ストレージが512GBあることも幸いし使い心地は非常に良いです。

 その後,Amazonのセールでかなり安くなりましたが,私の買ったものはUSキーボード仕様であるため,セールとは無縁の世界です。それでも納得のマシンだと思います。

 残念なのは購入直後につけてしまったLCDのキズで,最近でこそあまり気にならなくなってきましたが,やはりキズですから,目に付くのは事実です。このまま気にしないようにするのがいいのか,悩みどころです。


・Charmera

 散財と言うほどでもないのでしょうが,ちょっとブームになっているCharmeraが手に入りそうだったので,家族の分も含めて買うことにしました。小さく軽く,軽快に写真撮影が出来るスナップ写真の原点を垣間見た気がしますが,その画質は私の目から見ると,残すほどの価値のないものに見えてしまいます。

 もちろん,そんな画質でもないよりましで,きっと10年,20年後には懐かしいと思うのでしょうが,同じ残すなら高画質なものがいいですよね。だからというのではないですが,稼働率は低めです。家族の誰も使っていないように思いますから,これは完全に失敗だったと思います。


・Nintendo Switch2

 奇跡的にヨドバシ.COMの抽選販売にあたったことで発売日に入手出来ました。Switchに比べると何もかも改善されていましたし,妥当な価格と言うこともあって,ゲームをやらなくなった私でも,満足度は非常に高いです。

 マリオカートワールドは散々遊びましたが,基本的にゲーマーではない我々家族においては,徐々に稼働率も落ちてしまい,てこ入れとして購入したカービィのエアライダーも,面白いのですが,一度画面に酔ってしまい,その後遠ざかってしまいました。

 あまり詳しく書きませんが,AIブームのせいでDRAMの価格が激しく上昇しています。深刻なのは,値段の上下以上に手に入らなくなってしまうかもしれないことでしょう。そうなると,せっかく抽選販売から店頭販売になりつつあるSwitch2が,また抽選販売に戻ってしまうかもしれず,しかも価格はどーんと上がることになるでしょう。

 それでも買えるだけましというという話もあって,完全に生産できなくなってしまって全く買えなくなってしまう可能性も否定できなくなっています。

 これはなにもSwitch2の話に限らず,PS5も,スマートフォンも,PCも,テレビもデジカメも,およそデジタル家電のすべてが該当します。

 日本に限って言えば,すっかり円安が定着してしまい,どうしても輸入に頼らざるを得ないデジタル家電はますます割高になっていきます。

 今のDRAM不足はAI学習のためのデータセンターで消費されるDRAMに全振りしているからなわけですが,そのAIを実際に利用するための端末が,どれもDRAM不足で値上がりもしくは入手困難な状態になったら,誰がAIをするんでしょう?

 それって,膨大なAIへの投資が回収できなくなるということになりませんか?


・PocketMaster

 安いのでここに書くほどでもないかと思うのですが,話題のPocketMasterも面白いアイテムでした。マルチエフェクタとしては小さいけどそれなりに使えて,なにより演奏が楽しくなるエフェクタだと思うのですが,私にとってはIRを初めて体験できたことが印象深いです。

 ギターを楽曲に取り入れるのにも使えると期待しましたが,実際の所ギターの腕前がさっぱりで,録音に耐えられるものではないことから,あくまでお遊びに留まっています。


・Behringer PRO-800

 昨年はDigitalPerformerを使って音楽作りを真面目に始めたこともあり,楽器関係への投資がそれなりにあったのですが,珍しいハードウェアへの投資として,PRO-800がありました。

 本音を言うと,別にProphetでないとだめだということはなかったのです。ただ,みんなProphetは別物だとか,SCIでなければ意味がないとか,3014と3012でないと出ない音があるとか,Dave Smithは神様だとか言うもんだから,どれほどのものかと思って気になってはいました。

 そんななか,一番安価にそれらを試せるのがPRO-800だとわかって思い切って買ってみたわけです。しかし,今もって使いこなせていませんし,Prophetでないとダメな音を出したことも目指したこともありません。その点で言えば,後述するMercury-6の方が余程自分の欲しい音が出てきていると思います。

 Prophetの,Prophetたらしめているのがポリモジュレーションだと言われます。しかし,PRO-800はProphet5に比べて制限がありますし,仮に制限がなかったとしてもポリモジュレーションで作られる音が私に必要な音かと言えばそうでもなかったというのが正直な感想で,実のところどうしたものかと思っています。


・SynthesizerV

 歌声合成もここまで来たと感激したのが,このソフトでした。特別高価なわけでもないのに,ベタ打ちでもこの表現力はなんだと思いましたし,実際に使ってみたら,専属のボーカリストがそばにいつもいるような錯覚を覚えるほどの楽しさです。自分に出来ない事を,簡単な指示で勝手にやってくれることの面白さは,さすがAIというところでしょうか。

 うちには娘が使う初音ミクV4がありますが,こっちはこっちで初音ミクという仮想ボーカリストとして,上手い下手,リアルかどうかは関係なくキャラクターとして確立していて,明らかにSynthesizertVとは別の道を歩んでいます。もともとリアルな歌声合成ソフトを目指していたはずなのに,不完全なことがかえって受けているというのは皮肉な物です。

 個人的には,リアルタイム演奏による入力機能をもっと充実させて欲しいなと思っています。ピッチベンドでしゃくったり,モジュレーションでビブラート自在にコントロール出来れば,きっと自分の歌のクセのようなものが記録出来るし,下手なところも含めて人間らしさが再現出来るんじゃないかなと思うんです。


・ソフトシンセ
 Mercury-6
 M1
 CollaB3-V2-PRO
 T2L piano
 Melodyne5

 Mercury-6はJupiter-6のソフトシンセということで,安いのですが,楽曲に良く馴染む音で,私はよく使っています。ただ,知っている人に言わせると,安いなりのものでJupiter-6には似ても似つかないものなのだそうです。

 CollaB3-V2-PROはフリー版がなかなかよかったからアップグレードしたのですが,これももっと良い音源があるそうです。B3ですもんね,そりゃそうか。

 ハモンドオルガンを完全に再現しているわけではありませんし,例えばリークなんかもちょっと大げさすぎやしないかと思う所はあります。とはいえ,レスリーのマイクの位置を調整出来たりしますし,演奏していて楽しいと言う点では,私にとって十分B3です。
 
 T2L Pianoは画期的でした。音の良さ,そして様々なピアノの個性を表現している点でも興味深く,これも演奏していたの強い音源でした。安いですしね。

 ただ,あまりに個性が強く,ギラギラしているので他の楽器とはあまり馴染まないように思います。使い方が難しいピアノだなと思ったのですが,電子ピアノでモデリングと言えば日本のメーカーが先頭を走っていると思い込んでいただけに,世界は広いなと思い知らされた音源でした。

 M1はM1Leからのアップグレードで買った物ですが,当時M1に憧れつつも買えなかった高校生が,今になってようやくM1を触る機会に恵まれたということで,ひととおり触って見たわけです。

 確かにその当時,この音が手に入ったらすごかっただろうなと思いますし,当時私が使っていたD-20よりもずっと楽しめただろうと思います。後年価格改定が行われて安くなった時に買っておいても良かったかなと思う一方で,でも当時はD-70を使っていましたから,まあM1とは縁がなかったと言うことなんだなと思いました。

 だけど,ピアノも今聞けば大した事はありませんし,オルガンもVintageKeysに比べたら薄いです。キラキラ系はさすがと思いますが,そんなのはあまり出番もありませんし。

 結果,現在使う音源ではありません。ほぼ死蔵しています。もったいない。

 もったいないといえば,Melodyne5のEssentialにアップグレードしました。別にボーカルを扱うつもりはないのですが,リード楽器やギターソロで使えるかなと思った事と,アップグレードの価格がキャンペーンで下がったことが理由です。

 でも,使っていません。そんな時間はないですしね。


・MDR-M1

 MDR-M1STに比べて随分高価になったモニターヘッドフォンですが,よく調べてみるとM1STがプロ向けで保証なしであるのに対し,M1は通常の商品の扱いで保証も1年間あるんですね。こういうところの違いもあって,価格や販路に違いがあるのでしょう。パッケージもM1STが簡素な箱であるのに対し,M1は普通に化粧箱でしたし。

 音はもう全然違います。M1でJupiter-Xmを鳴らしてみたとき,VCFのパラメータをいじったかなと思ったほどです。解像度も高く,なにより着け心地が大きく改善され,長時間の使用でも全く苦にならなくなったのはありがたいのですが,これだけ音が違ってくるとどうしたものかと思います。

 どう違うかについてはなかなか言語化しにくいのですが,先のJupiter-Xmの時には,カットオフを結構あげましたから,高い方が出ないのだと思いますし,同時にレゾンナスもいじったかなと思うような印象を受けたので,カットオフ周波数の付近にクセもあったのではないかと思います。

 それが分かってからは,M1をあまり使わなくなってしまいました。やはり安全なのは,長い時間使ってきたモニターですし,今から乗り換えるのもしんどいなと思います。


・そして旅行

 ここにも詳しく書きましたが,富山への家族旅行で随分お金を使いました。嫁さんとも話をしていましたが,我々はこうした機会がなかなかなく,結果としてお金を使うことをしてきませんでした。これは今後もそう変わらないだろうと思いますが,思い立って機会を得た今こそ,ちゃんとお金を使いましょうということで,多少の無理をしたという自覚があります。

 結果は書いた通りとても良かったわけですが,この金額で得た物が手元に残らず,しかもわずか3日で消費されるというのは,なかなかすごいことだと思います。コト消費などと呼ばれて久しいですが,確かに物が残ることにこだわり続けたこれまでと違い,記憶に残ることにも目を向けてみようと思います。


 ということで,ざっと思いついた買い物を並べてみました。昨年はDAW関連でいろいろお金を使ったように思います。MacBook Airの買い換えも動機はDAWにありましたし,とにかく見るもの聞くものどれも珍しく新鮮で,いろいろ触って試して一喜一憂する楽しみを久々に思い出しました。

 レンズやカメラに比べて安価で済む事も,ありがたいやら無駄遣いになるやらで,考えてみると私が学生だった頃は,同じような体験をするのに何十万円も用意する必要があったんだなあと思うと,ソフトウェアシンセサイザーというのはつくづくい低コストな世界だなと思いました。果たしていいことなのか悪いことなのか。

 他にも小さい出費はチラホラありましたし,実は部品の買いだめとかで散財をしています。単価が安いのであまり表に出てきませんが,積み上げるとなかなかの散財になるんじゃないかと恐ろしい気もします。

 これまでに買った物で楽しむのもいいですが,やはり新しい物を手に入れて新しい体験をすることも大切かも知れません。惜しいのは,欲しいものが減ってきていること,あるいは欲しいものがあっても手に入りにくくなってきていることでしょうか。

 もしも,GRIVの抽選販売に当選していたらここにも書くことになっていたんだと思いますが,幸か不幸かさっぱりあたりません。欲しいものが少ないうえに,欲しいものは全然買えない,出費の増加は食べ物の値上がり分・・・使うお金が増えても全然楽しくないじゃないですか。この状況って健全なのかなあと,どうにも腑に落ちません,

 

デジットセレクションランダム部品福箱2026はどうなのか

 前回,デジット蔵出し詰合せ福袋2026にがっかりしたという事を書きましたが,デジットセレクションランダム部品福箱2026(以下ランダム部品福箱)についても簡単に振れておこうと思います。

 簡単に,というのは,これまでのランダム部品箱と違って,それほど中身がなかったからです。ICや半導体がほとんどなく,調べるという楽しみが味わえませんでした。


・LCD SC2402AU
 資料などなにもないLCDですが,型番から推測するに,24桁x2行のキャラクタLCDだと思います。HD44780コンパチでしょうから,そんなに大変なものではないはずです。24桁というのは持っていませんでしたので,なにかの役に立つかも知れません。

・謎のLCD
 もう1枚,謎のLCDが入っていました。S-11539Aと基板に書かれた謎のLCDです。
 通常,この型名で検索すれば何らかのヒントが得られるものなのですが,得られたものはNECのものであろうということくらいで,面白いほどに情報が出てきません。

 しかも,検索結果に出てきた画像では,手元のLCDには搭載されているEPSONのLCDコントローラであるSED1335Fがマウントされていません。LCDコントローラが外部にあるタイプが実際に何かの機器で使われていたんだと思います。

 LCDコントローラが搭載されているという事ですから,ちょっとした手間で表示まで持って行けそうで,もうちょっと情報を得ようとドライバICと思われるLC79431とLC79401を検索してみました。

 どちらも80ライン(80カラム)のドライバで,LC79431が1つ,LC79401が2つ搭載されていましたから,このLCDは160x80ドットのLCDだとわかりました。

 うーん,いくらLCDコントローラが載っていたとしても,この解像度のLCDを動かしてみようとはちょっと思いません。それくらいだったらこのLCDコントローラを外して,蔵出しに入っていた320x240のLCDを駆動する基板を作った方が面白いでしょう。

・小型モーター4つ
 詳しいスペックはわかりませんが,大きさや磁気シールドがあったことから,おそらく小型テープレコーダーのモーターではないかと思います。

・LED
 バラバラのリードタイプのLEDがいくつか入っていました。

・コンデンサ
 電解コンデンサもそれなりに入っていたのですが,セラミックコンデンサもたくさん入っていました。リードタイプのセラミックコンデンサというのは今どき珍しく,私もそんなに在庫を持っていないので,なにかの役に立つでしょう。

・ヒューズホルダー
 標準サイズやミゼットヒューズのホルダーが数本入っていましたが,基板取り付け型ですので,あまり使い道がないなあと言う感じです。

・スイッチ
 詳しいことはわかりませんが,押しボタンスイッチがいくつか入っていました。押し心地は悪くないのでぜひ使いたいところです。

・VR
 ボリュームも数個入っていましたが,別に珍しいものでもありません。


 こんな感じです。ね,少ないでしょう。もうちょっといろいろ入っていてもいいのにと思ったのですが,値段を考えるとこんな物でしょう。

 もともと,デジットの移転に伴う在庫の処分から始まった福袋ですが,そろそろ面白いものは出尽くしたということなのかも知れません。このくらいの値段だったら今後も買ってもいいかもしれませんが,送料がかかることを考えると,本当に買うべきかどうかは,もう一度考えておく必要があると思いました。

 

デジット蔵出し詰合せ福袋2026

 今年は参戦しました,デジット共立電子産業の福袋。

 お目当てはデジット蔵出し詰合せ福袋です。思い起こせば昨年は病室で年を越したこともあり,それどころではなく,気が付いたときには完売しており,涙をのんだのです。

 その悔しさをバネに今年こそはと12月29日の15時,私はコタツにMacBookAirを広げてスタンバイ。ログインよし,住所よし,カードよし。さあこい。

 かくして,デジット蔵出し詰合せ福袋とデジットセレクションランダム部品福箱を1つずつ手に入れる事が出来ました。醍醐味袋(「大ゴミ袋」と変換したATOKに,うまいこというなあと感心したのは内緒です)はやめときました。なんとなく地雷な気がします。

 そして1月6日の夜,我が家に大阪からやってきた,2つの福袋。果たして福袋なのか,鬱袋なのか,事の経緯を知っている娘も興味津々です。

 中身が気になりよね?その前に,どんな福袋なのか確認しておきましょう。

デジット蔵出し詰合せ福袋 : 3500円
 玉石混交!デジット蔵出し特価品から厳選した商品を予算限界まで詰め込んだ福袋

デジットセレクション ランダム部品福箱 : 600円
 何が入っているかは開けてからのお楽しみ。まさに運試し、2026年の運勢を占うデジットらしさが詰め込まれた福袋

 つまりですね,前者は中身が毎週火曜日に更新される「デジット蔵出し」に出ているものになるわけで,ある程度事前に雰囲気がわかるわけです。なにが入っているかある程度分かり,それがお得になるよという話です。

 後者はなにが入っているかわかりません。私はこっちが本命かも。

 ですが,私は少し勘違いをしていたようです。前者の蔵出し詰め合わせは,ランダム部品箱のデラックス版,くらいに考えていたんですね,これが。例えば半端なもので商品化出来ないようなもので,でも600円の箱じゃ入れられないようなちょっといいものを,3000円の袋に入れるということを勝手に期待していたんですけど,結論を先に言えばそうではなく,あくまでデジット蔵出しからの福袋でした。

 さあ,まずはデジット蔵出し2026の中身です。右端に書いておいたお値段は蔵出しに登録された時の価格で,今もこの値段で買うことが出来ます。


・LED L-59SURKCGKW-20P 500円
 5mm砲弾型の2色LEDで,黄緑と赤色ですので,別に珍しい物ではありません。
 1つ25円は蔵出しと言うほど安い物ではないと思います。ちなみに秋月では同等品が10個150円です。星2つ。

・抵抗 AMRR-1/2W-100KΩF-10P 440円
 アムトランスのオーディオ用抵抗ということですが,現在このAMRRというシリーズは売られていません。聞けばカーボン抵抗のAMRGというクソ高い抵抗を安価にしたものらしく,メーカーへの採用を前提にしたような,コストダウン品という位置付けでした。
 それはそれとして,カーボンとは言え±1%品,しかもなにかと便利な100kΩですので,1つ44円はちょっとうれしいかも。星3つ。

・スイッチ M2022TNG03 110円
 日本開閉器のシーソースイッチです。NKKのスイッチは重厚で感触も良く,いいですよね。これはいいと思ったところが,実はAC100Vはダメで,最大定格はDC28Vでした。うーん。星2つ。

・LED MD0657C-R-20P 660円
 スタンレーの5x7のドットマトリクスLEDです。赤色です。1つで1文字表示出来そうなLEDで,これでディスプレイを作ったらなかなか味のあるものが作れそうです。ただ,20個しかないので,大した事は出来そうにありません。1つ33円なので安いかもと思っていたら,かつて110個1000円で売ってたことがあるんですよね。キーッ。デジットもおかしな事をする物です。よって星2つ。

・電源 VAA1012 550円
 コーセルのスイッチング電源で,12V0.9Aのオンボードタイプです。AC100V入力(DC110Vも入るそうです)ですし,よく使う12Vですから一見すると便利そうですが,冷静に考えると12V1AならACアダプタの方が安全だし楽ですし,むき出しの基板に100Vを突っ込んでまで電源を内蔵するというのも最近はしないなあと思います。それに12Vくらいなら別にシリーズレギュレータでもいいですし。星2つ。

・モーター LA3-472PB-20P 550円
 振動モーターです。携帯電話に入っているあれですが,重心のずれたおもりを無理に回すモーターに今ひとつ面白味を感じないのに,それが20個もあってもどうしようもありません。星1つ。

・VR 171P-S2H B10KΩ-20P 440円
 スイッチ付きのボリュームです。これはなにか使い道があるかもと思いましたが,10kΩとはいえBカーブ,しかも単連なのでステレオで使えません。加えてシャフトはDカットなので,ツマミも探さないとダメですし。まあ,マイコンと組み合わせて使うとなにかいいことがあるように思いますが,それにしても20個はいらないかなあ。星3つ。

・スイッチ B3W-4050-10P 300円
 アルプスのタクトスイッチです。キートップは別売りで1つ30円は普通だなあと思いますが,押し心地が柔らかい物で,今はこういうのが売っているんだなと思いました。ひょっとしたら交換用に役立つことがあるかも知れません。星4つ。

・LCD AG320240K 1100円
 320x240のLCDなんですが・・・今どき動いているものを見る事のない白と青のSTNモノクロ液晶で,当然コントローラなし。しかもバックライトはこれも過去の遺物である冷陰極管。ご丁寧にインバータ基板まで付属してくれています。
 コントローラなしで使うLCDはFPGAなんかでコントローラを作らないといけないですし,かなりハードルが高いです。そのハードルを越えたとしても,手に入るのは青白のモノクロSTNの表示です。
 もともとこのLCD,蔵出しに登録された時に1100円もして誰が買うのかなと思っていたことを思い出しましたが,まさかそれが我が家にやってくるとはゆめゆめ思いませんでした。これは本当に在庫減らしです。消費者をゴミ箱と思ってますね。星1つ。

・ラジオ LR-10 700円
 箱を開けて最初に目に入ったのがこれなんですが・・・大きな揺れを感知して自動的にONになる防災ラジオ,だそうです。
 調べてみると,2013年に発売開始のニュースがITmediaなんかにも載っていて,当時は5980円で売られていたようです。今もそのくらいの価格で手に入るみたいですが・・・
 専門的な知識もいらないので少しは役立つかもと,嫁さんに説明文を読み聞かせたところ「ただでさえ地震でパニックになっているところへ,大音量でラジオが鳴り響き,ライトがビカビカ光っていたら,ますます大混乱するやないか」と至極真っ当なお返事を頂きました。返す言葉もございません。娘もゲラゲラ笑っていました。
 他にも突っ込みどころは満載ですが,そもそも,こういう商品がデジットに流れ込んで700円でジャンクとして売られている(しかも大量に在庫があるらしい)あたり,もともとの企画意図が大コケして,存在そのものがなかったことにされている証なわけで,本来なら誰かがどこかで勇気を持ってやめる決断をすべきものでした。
 なごやかな一家団欒に貢献したことを評価しても,星1つ。

・uPD8085AHC-2 500円
 NEC製の8085です。CMOSではありません。NMOSです。8085は産業機器にはよく使われていて,お値段もちょっと高めです。ですので500円というのは8085としては安いんじゃないかと思ったのですが,実は若松通商でインテル謹製の8085が400円で売ってます。
 NEC製は1200円くらいするんですが,そもそも8085って使いますか,という話です。むしろ8080なんかの方がコレクターズアイテムなんじゃないのかと思います。
 うちのオーディオアナライザVP-7722Aが確か8085だったよなあ。補修部品ですかね。星2つ。

・スペーサ PLSP-M3L12-NJ-R-20P 110円
 M3の12mm,プラスチック製のスペーサとビスのセットです。これはこれで便利かも知れません。星4つ。


 ということで,合計5410円が3000円です。確かに予算限界に偽りなしなんでしょうが,いやはやなんとも本当の意味での福袋っぽいというか,なんというか・・・

 福袋って在庫処分の意味合いが強くて,手っ取り早く面倒な在庫が減っていく,売る側にとって気持ちのいい物です。特に今回の商品を見てみると,「まとめ売り大歓迎」と書かれてあって,在庫の大量があり数量割引の相談を受け付けているものが多いようです。特に320x240のLCDなんか,どう考えても売れそうにないのに大量の在庫を持っているようですし,しかも1100円と強気な値段から特別安く仕入れたわけでもないのでしょう。かつてのデジットらしくないですよねえ。

 そういう,仕入れた者からすると目障りなものがぱぱーっと減っていくんですから,本来の役目を果たす福袋らしい福袋と言えそうです。

 私にとってと言うより,普通に(あるいは無理に)使い物になりそうなものを並べてみると,

LED L-59SURKCGKW-20P 500円
抵抗 AMRR-1/2W-100KΩF-10P 440円
スイッチ M2022TNG03 110円
LED MD0657C-R-20P 660円
スイッチ B3W-4050-10P 300円
uPD8085AHC-2 500円
スペーサ PLSP-M3L12-NJ-R-20P 110円

合計2620円

 いやいや大赤字ですよ。しかもこれらは今でも普通に買えますからね。

 ということで,来年は買いません。

 

東京からの脱出 : Day3 ~ 富山を離れる

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Day3 : 2025年12月28日
富山地方鉄道特急 10:20宇奈月温泉発 10:37新黒部着
はくたか560号 11:34黒部宇奈月温泉発 13:52東京着

 3日目はいよいよ東京に戻る日です。東京は嫌いでもおうち大好きな私をして帰りたくないなあと思わせる,素晴らしい旅行の締めくくりです。

 この日は東京に戻ることだけを目標にしたまさに移動日。無理をしない日程を組むことが心の余裕や贅沢感を生むと信じての計画でした。

 妻の提案で,富山地方鉄道の電車を新幹線に接続する1本前の物にしました。これだと特急ですので乗車時間は短いですし,お土産や弁当をゆっくり買うことが出来るんじゃないかという作戦です。そもそも新幹線の駅なんだから,時間を潰す方法なんていくらでもあるだろうと思っていた訳ですが,これは後々誤りだったことを知ります。

 宿では最後の朝食を頂きます。他のテーブルの人たちはどうやら2日目の朝食がほとんどで,我々の昨日のものと同じようです。我々だけが違ったものを食べていますが,それがまた昨夜の続きのような贅沢なものでした。朝からイカの刺身が出るのか・・・

 昨日に続き,特製のだし巻き卵はとても美味しく頂きました。ご飯はおかわりすることが出来ませんでしたが,富山産のコシヒカリを上手に炊くとこうなるという,今どきの美味しいご飯を堪能しました。

 こういう食べ物を売りにした宿の本気は,2泊3日でこそ味わえるんだと思います。2日目の夕食と3日目の朝食は,我々専用の特別食かと思いましたもん。

 名残惜しい宿を後にし,昨日以上の好天に恵まれた宇奈月温泉駅までを徒歩で楽しみながら進みます。なに,時間はたくさんあります。私にしては珍しくお土産で増えた荷物をぶら下げながら,歩いて行きます。(あ,お土産は基本的には自分たち用で,特に娘が昔から好物なます寿司を3人前,この日の夕食用に買って帰りました)

 それでも10時前に宇奈月温泉液に到着,韓国語などの様々な言語が飛び交う待合室で電車の到着を待ちますが,往復乗車券を買ってあった我々は,特急もそのまま乗れてしまうので気が楽です。

 ゆっくり座席を確保し,新黒部駅を目指します。たった17分の乗車で,無人駅をすっ飛ばして走りますので,曲がりくねった揺れる線路を,うなりを上げて爆走する電車にちょっと体がこわばります。

 定刻通り到着,2日前に吹雪いていた新幹線の黒部宇奈月温泉駅との連絡路にある横断歩道を渡ると,もうそこは東京に繋がる駅です。寂しいなあ。

 ところで黒部宇奈月温泉駅は想像以上になにもない駅で,親切された新幹線の駅なんてのは,周囲になにもない上に,駅そのものも殺風景で,どこも基本構造は同じで,お土産を売っているところもなく,駅内のコンビニに少しの駅弁と一緒に売っている程度です。

 ただ,その駅弁も富山らしくリーズナブルなくせに贅沢で,これも妻の提案で買ったお重タイプの弁当が,期待以上の豪華さでした。まさか棒巻きや煮こごりまで入っているとは。

 行きとは違って特に遅れることもなく到着した新幹線に乗り込みます。ここでも特に外国人観光客のマナーの問題を目にすることはありませんでしたが,彼らは自分たちの周囲の状況に目を配るほどの余裕がまだないとみえて,とりあえずリクライニングを目一杯倒すことに躊躇しません。

 誤解を恐れずに言えば,もらえる物はすべてもらうという意識で,自分にとっての適量とか,周囲と分け合うということに,まだ気が回らないんだろうなと思いました。そこに悪意がないから逆に面倒とも言えて,これは少し前の日本人が海外でやらかしていたことと同じだなあと思っては,いずれやってくるゆとりの時代が楽しみになるのでした。

 行きと違って,徐々に人が乗ってくる上りの新幹線は,東京に近づくほど気ぜわしさが増します。さっさとお弁当を食べるのがいいんですが,3人で上手く弁当を分けるのがなかなか大変で,疲れもあって我々家族のテンションはやや下がり気味です。

 読書をして東京に着いたのが14時前。果たして東京駅のホームは,私がここ数年で遭遇したどんな人混みよりも,混乱していました。ちょうど12月28日と言えばまだまだ帰省ラッシュの激しいときです。我々にとっては帰る電車でも,多くの人はこれから出発する電車になることをすっかり忘れていました。

 地下鉄に乗り換えるのに便利な出口までホームを歩こうと思いましたがとてもそんなゆとりはなく,したかがないので途中で階段を降りましたが,これが失敗でした。おかげで予定以外の場所に出てきてしまい,自分のいることがわかりません。しかも人の流れ逆らう方向で歩くことになるため,とにかく前に進みません。お土産もここへ来て大きな負担になります。

 改札を出たあたりで紙袋が割けてしまい,思わず「あっ」と声をあげては周囲の注目を浴びるなどと言う,もう何年も経験していない失態をしながら,まさに溺れるように人をかき分けて進みます。

 それにしてもなんど人の多いことか。昼時にしては遅いのにどこも飲食店には長蛇の列で,これがまた人の流れを妨げます。しかも,外国人目当てのキャラクターショップが東京駅の地下には軒を連ねているんですね,これがまた人混みを作り,人一人分の面積を専有する大きなスーツケースが我々の行く手を阻みます。

 だあああああああああ,もうええかげんにせえよ。

 我々が降りた地下通路では,途中から地下鉄への案内が消えていたので,ここで我々は遭難することになったわけですが,ここは妻が機転を利かせ,ipadで我々を誘導してくれました。おかげで少しずつ人が減り,ようやく年末のビジネス街らしい風情になってきました。

 地下鉄はやっぱり地元の人の下駄ですよ。周囲の人の表情にゆとりがありますもん。

 なんとか大手町までたどり着き,地下鉄で自宅の最寄り駅まで戻ってきました。娘も久々に膝が痛くなったそうです。いやはや,最後の最後にこんな恐ろしいことがあるとは。

 いつもそうなのですが,旅行は戻ってくるときの陰鬱な気分が嫌で,それでそもそも行かなくなってしまいました。かといって片道切符というのも悲しい物があるわけですが,それでも自宅に戻るまでの日常が嫌で旅行に出かけるのに,どの道中も旅行の一部とされてしまうことが,やっぱりいつになっても慣れません。

 帰宅し,ほっと一息コーヒーを飲み,家族とのんびりしながら振り返ります。徐々に日常にスイッチが切り替わり,そのうちあわただしい年始に向けた準備が始まります。ああ。

 帰りは失敗しましたが,ひとまず大きな事故も事件もなく,無事に戻ってきたことに安堵し,根が生える前に洗濯物や荷物の整理をして,今回の旅は終了。

 総括すると,富山は観光地ではないかもしれないが,それゆえにゆとりがあり,焦る旅,詰め込む旅にならずにすみました。そして富山は食べることを目指す場所であり,だからこそ富山の人は食べるためにやってきた我々を歓迎してくれ,うれしいことに自分たちと一緒に扱ってくれました。

 外国人の観光客も少なく,全体に人が少ないことも楽でしたし,出会う人は基本的に富山の人ばかり。スーツケースを転がす不愉快な音に興ざめする我々にとって,普段着に小さい荷物でうろうろ歩くことをが,純粋に楽めた素晴らしい3日間でした。

 食べる事が好きな人が,食べる事を売りにしている場所に,食べる事を目指して旅する。観光客用に作られた観光地を回るのではなく,そこにある普段の生活とその延長にあるものをそのまま出してもらう。観光客にとって,珍しいものや興味深いものは,なにも綺麗な景色やお城やお寺だけではないということです。

 富山地方鉄道には地元のお年寄りや,高校生が乗っていました。同じくらいの数,我々のような観光客も乗っていました。そう,彼らの日常に少しお邪魔させて頂いて,そこに住み着いているかのような体験をさせてもらえたことが,私は何よりうれしいと感じました。

 夏の富山もいいでしょうね,今度は氷見とか,少し地域を変えてもいいかもしれません。日本海側の冬はもちろん寒いですが,東京のように空気が乾いてカサカサになるわけでも,刺すような空っ風が吹いているわけでもありません。冷たいけどしっとりとした風も,澄んだ空気も,視線を上げればいつも綺麗な山と空が見え,どこにも濁ったものが視野に入ってきません。そりゃそうです,ただただ厳しいだけの冬なら,おそらく誰も住み着かないですもんね。

 富山,いいですね,本当にいいですね。

 ところで,今回の旅行では,妻の貢献に随分救われました。私は下調べをほとんどせずに,行き当たりばったりの旅を楽しむつもりもあったのですが,それにも限度があって,困るレベルまで調べることをせずにいました。面倒がらずに冷静に調べて対応策を導き出す柔軟性に,私は今さらながら脱帽です。

 最後に,お世話になったサン柳亭の方々,そして富山のみなさんに,感謝です。また行きますね,富山。

 

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