エントリー

2024年12月の記事は以下のとおりです。

PC-386BookLもビネガーシンドロームの餌食に

 LCDに確実に発生する,そしてとても恐ろしい現象,ビネガーシンドローム。ある時期に生産された映画や写真のフィルムに頻発し,一度発生すると修復の手段はなく,情報を救い出す方法はありません。

 見た目の悲惨さに加えて,その強烈な臭いはまさに死の臭い。どれほどの関係者が心を折られてきたかわかりません。

 そしてその恐ろしいビネガーシンドロームは四半世紀を経て,LCDにも発生しています。言うまでもなく,LCDは機器の小型化と低消費電力化を高い次元で達成させて立役者ですが,同時にその機器の寿命を決定するものにもなったというわけです。

 汎用の部品と違い,LCDはほぼカスタムメイドです。劣化したLCDは交換以外に方法がなく,従ってLCDが劣化した機器を救う手立てはほぼありません。

 ビネガーシンドロームで劣化するのは主に偏光フィルム,それものり付きの物ですので,これを交換することで復活させることが出来る場合もあります。しかしそれは運が良ければの話です。ゲームボーイのように数が出ていて,かつ今でも需要があるものは偏光フィルムが手に入るのですが,多くのLCDでそれは望めないでしょう。

 私の場合,ワンダースワンシリーズすべてと,ゲームボーイアドバンスがビネガーシンドロームの餌食になっていました。一説では,ビネガーシンドロームが1つ発生すると,周囲のLCDにも伝染するらしいので,結果的に全滅になるそうです。

 これは偏光フィルムを交換,あるいはLCDを最新のIPAに交換することで解決したわけですが,コロナの間に失血を注いで復活させたPC-386BookLが,まさかのビネガーシンドロームにやられていました。

 ビネガーシンドロームに特徴的な,あの酸っぱい臭いと共に,なぜか斜めに入る傷のようなものが見つかったので,先日勇気を持って分解しました。

 予想は的中し,派手なビネガーシンドロームに蝕まれていました。

 PC_386BookLのLCDは640*400ピクセルのSTNのモノクロです。DSTNというちょっと珍しいタイプで,画面の上下を分割し,200ラインのLCDを2枚同時に駆動するという形で400ラインを実現します。

 なんでそんなことをするかといえば,STNは200ラインくらいが駆動限度だからです。
STNでピクセル数の多いLCDを作る必要がなくなった現代において,完全にロストテクノロジーになったと言えるでしょう。

 偏光フィルムは通常のSTN用の物で十分なので,試しに手持ちの偏光フィルムで端っこを剥がして見てみると,綺麗に表示が出ます。容易に手に入る偏光フィルムで修理可能です。

 喜んでA4サイズの偏光フィルムを注文,届いた時点で早速作業開始です。

 LCDを分解し,偏光フィルムを剥がします。面積が大きいため,ビネガーシンドロームで発生する酸っぱい臭いも尋常ではありません。思わずむせてしまいました。

 あらかじめサイズを合わせて切っておいたフィルムを綺麗に貼ります。ホコリが入らないように,汚さないように貼るのですが,想像以上に綺麗に貼ることが出来ました。

 ここまで実にスムーズで,ウソのようです。

 仮組みして動作テストを行うと,悲しい事に左の縦2ラインが表示されていません。どうも壊してしまったみたいです。

 どうせ,フレキがLCDのガラス面から剥がれたんだろうと,最近手に入れたフレキを熱で溶着する真鍮製のコテ先を取りだし,交換したハンダゴテでフレキに熱をかけました。

 試してみると・・・なんということか,さらに状況が悪くなっています。左は縦に?ライン,中央に8ラインが2本,これはもう完全に死んでます。

 おかしいなあ,こんなところ触っていないんだけどなあ,と改めて確認すると,なんとフレキが切断していました。熱を加えるときに他のフレキも含めて曲げたのですが,フレキの劣化が進んでいて,一度折り返しただけで切れてしまったようなのです。

 万事休す。

 こうなると,もう手はありません。フレキはドライバIC(フリップチップ)の基板の一部として出ていますので,この部分だけを交換したり,手配選するのはどう考えても無理です。

 仮に手配選できても,このフレキはポリイミドに銅箔のタイプではなく,フィルムにカーボンのタイプです。ハンダ付けなど全く不可能です。

 ああ,なんということか。

 ゴミも入らず,綺麗に貼れて,しかも今出ている下半分の表示は非常に綺麗で,STNならではの味があります。これで使える事を夢見ていたので,とてもがっかりしました。

 そもそも,このPC-386BookLも,これまでとても頑張って死の淵から甦らせてきたものです。ほとんど意地と言ってもいいほどで,今の私に同じ事をやれと言われても,絶対に無理だと思います。

 その修理範囲に,LCDも入っていました。LCDの駆動回路はCRT用とは別に用意されていて,パターン切れで清浄な画面が出ない物を波形を追いかけて修理しました。LCD用の電源も壊れていたので修理,LCD自身もキズがあったのでフィルムを貼って対策しました。

 これだけやったのも,あのSTNの表示が見たかったから。1990年代の雰囲気は,あのコントラストが低く,視野角の狭い,青と白色のLCDに宿っているのです。

 しかし,とうとうビネガーシンドロームに屈しました。

 ジャンクのPC-386BookLを探してみましたがあいにくありません。仮にあってもLCDは同じように劣化しているはずで,今回と同じように鳴ってしまうことも避けられないでしょう。

 仕方がありません,オリジナルのLCDを使うことは諦めます。

 なんと恐ろしいことか,ビネガーシンドローム。私から大好きな物をどんどん奪っていきます。

 そして,その恐ろしい魔の手は,PC-8201にも・・・続く。

 

 

ワンダースワン復活の道~その4・完結編

 ワンダースワンカラーのLCD,ようやく決着しました。手間もお金もかかってしまって,結局何をやってるんだろうと思うこともありましたが,LCDの綺麗さを見ると,やってよかったかもなあと思ったりします。

 さて,前回壊してしまったLCDだけを買い直すことは失敗に終わり,もう一度コントローラ基板ごとフルセットで買い直すことにしました。円安が進行してしまったため前回よりも価格が上がっていましたが,それは仕方がありません。

 今回は配送のトラブルもなく(とはいえエスポ便はまたも深夜に配達してくれたわけですが),無事に予定日よりも前に到着。動作テストも良好で,今回は前回の反省から,とにかく余計な事をしないと誓って作業開始です。

 風防は前回取り付けてありますので,今回はホコリをよく取った上で,LCDをケースに貼り付ける作業からです。一番問題となるホコリ,そしてうっかり触って表面を汚してしまうということがないように,慎重に,でも手早く作業を進めます。

 上手くいったので,LCDとコントローラ基板と繋ぎ,メイン基板を重ねます。付属の両面テープは,もともと基板についていたスポンジよりも少しだけ薄いので,コントローラ基板の厚みを上手く相殺してくれるだろうと,スポンジを剥がして両面テープに交換します。

 上手く基板を固定できたら,今度はコントローラ基板に電源を供給する配線を行います。メイン基板にあるDC-DCコンバータモジュールから2本,細い線で引き出してコントローラ基板に取り付けます。この辺は商品ページにあるとおりです。

 前回は配線の取り回しが悪かった(最短で配線したら基板とケースのリブに挟まってしまった)ので,よく考えて配線を回します。

 これもうまくいきました。あとはフレキの途中にあるタッチパッドをテープでケースの裏側に固定します。このタッチパッド,短押しで画面の明るさを段階的に変更,長押しで画面モードを変える機能があります。

 画面モードは,カラー,カラーで縦のスキャンラインあり,カラーで横のスキャンラインあり,モノクロ,を繰り返して変更出来ます。

 このLCDは3インチという小さいサイズのくせに480*320ピクセルの解像度があるんです。ワンダースワンの解像度は224*144ピクセルですから,縦横をそれぞれ2倍して448*288ピクセルとし,長辺に余った32*288ピクセルのエリアに,ワンダースワンに特徴的なアイコンの固定パターンをドットマトリクスで表示する仕組みです。良く出来ています。

 スキャンラインは1本間引いて黒を表示すれば,解像度を落とすことなくオリジナルのLCDに近い表示が出来る事になります。これもなかなか憎い工夫です。

 とはいえこのスキャンライン,画面の輝度が半分に落ちてしまいます。それだけ画面が暗くなりますし,明るくするにはバックライトの輝度を上げねばならず,結局電池寿命に影響します。

 もともとLCDですので,そんなにスキャンラインが目立つわけではありませんので,私はスキャンラインはなしで使うことにしました。せっかく改造するんですから,IPSという高画質LCDで,その上倍の解像度で表示するという高画質を堪能しましょう。

 さて,今回はスムーズに改造が出来ました。GUNPEY EXをテストプレイしますが,これがもう素晴らしい画質で,感動的です。登場から経過していますが,あの見にくいSTNカラー液晶が,筐体のサイズを変えることなくIPSにバックライトのカラー液晶になるんですから,技術的な進歩はすごいなと思います。

 そして,その進歩が主に中国企業の努力によってなし得ているというのも興味深いです。もともとSTNのカラー液晶だって,当時は最先端のLCD技術だったはずです。

 それが,画質,電力,価格的にも追いつかれて追い越されてしまい,セット全体の価値が大きく向上するという結果に繋がっています。もう,中国の技術力なしに世界は動かないのかも知れません。少なくとも,世界の技術の中心に日本はいません。

 消費電力は増えてしまうので,駆動時間が短くなると言う話は聞いています。しかし,フル充電したNi-MHで3時間ほど遊べるようですし,ワンダースワンを長時間遊ぶこともしませんので,これで十分だと思います。シミュレーションゲームやRPGで遊び始めたら,なにか対策が必要かも知れません。

 ということで,ビネガーシンドロームの同時発生で右往左往したワンダースワンの復活祭りは,これでひとまず終了。

 モノクロの初代ワンダースワンは,緑/青で復活。ワンダースワンカラーはIPS化,スワンクリスタルはオリジナルと同じ状態に復活。部品取りに使ったスワンクリスタルは,電池の液漏れで死んだメイン基板と,ほぼ無傷のLCDが手元に残りました。

 費用はそれなりにかかってしまいましたが,今出来ることはとりあえず全部こなしたと思います。

 さてさて,実は怖くて様子を見ていないLCDがあるのです。PC-386BookLです。夏頃だったか,ちらっと見た時,LCDに斜めの線が入っていたことに気が付きました。

 これってもしや・・・しかし,見たくない現実から目を背けて,私はその場を立ち去ったのですが,今回のワンダースワンが落ち着いたことで,勇気を持ってPC-386BookLを見ました。

 結果は・・・恐ろしいことになっていました・・・続く。

NASの10TBのHDDとamazon

 今回はワンダースワンの話から少し離れて,うちのNAS(QNAPのTS-231P)についてです。

 ちょうど今年のamazonのブラックフライデーが終わろうとしているとき,突如NASから警告メールが飛んできました。なになに,ドライブ2でリードエラーだと!

 うちはいっちょ前にRAID1で運用していますので,エラーが出ても深刻なことにはなりませんが,この手のエラーというのは放置するとボロボロと壊れていくものです。ですが,これには思い当たる節もありました。

 実は,この8TBのHDDは,WD BLUEなんです。そう,2台とも,です。

 もともと,TS-231Pを導入したときには見栄を張ってWD REDの4TBを導入したのです。振動が異常なほど大きかった1台は初期不良という事で交換になりましたが,運用に入ってからはとても堅牢で信頼性も抜群,まだまだ使えそうな状況なのに,容量不足で6TBに交換することになりました。

 この6TBもWD REDだったのですが,RAID1の最大の問題は,容量不足という「運用上の寿命」を迎えた場合には,一気に2台のHDDがゴミになることだなあと思いました。

 しかし,この6TBも簡単に一杯になり,2023年の頭には残り容量が5%を切るようになってしまいました。次のamazonのセールで8TBに交換しようと思って迎えた4月,WD REDの8TBが思った以上に高額であることに私は迷いました。

 これがWD BLUEなら1台14000円ほどです。安い。しかもCMRです。

 せっかく倍のコストをかけてRAIDを組んで冗長性を確保しているのだから,安いHDDをどんどん交換して回して行くというのもありだよな,とWD BLUE導入に傾く私は,もともとWDのHDDが信頼性も高いし,もし3年も使えたら大もうけだぜウシシ,というスケベな気持ちも忘れてはおりません。

 届いた2台のWD BLUEの8TBのうち,1台はまたも初期不良Niあたり交換しました。届いたものもかなり大きな振動があって,これはハズレだったなと思ったのですが,仕方がありません。

 そしてその数日後,私は知らなかった事実を突きつけられます。WD BLUEはある機能の設定のために,NASで使うと壊れやすいという話です。

 それは,IntelliParkという機能です。ある時間の間アクセスがないとヘッドを自動的に待避する機能だそうで,回転数も落とすので消費電力も下がるという事で,WDのHDDに特徴的な機能です。

 問題はそのアクセスがなかったときの時間です。聞いた話だとREDが300秒なのに対し,BLUEはなんと8秒。8秒アクセスがなかったらヘッドを待避してしまうのです。

 かなり極端だと思いますが,ホームユースならむしろ良いかもしれません。連続したアクセスがないなら,きっとその先のアクセスもないでしょう。それに24時間運転なんかやりませんし。

 しかし,これをNASに使うとどうなるか。NASはアクセスが頻繁でしかも24時間運転です。8秒という時間は実に絶妙で,待避したと思ったらすぐにまたアクセスされるということが繰り返されるわけです。

 こうなると心配なのは,ヘッドロードの寿命です。ヘッドのロードは機械物ですので当然寿命があり,30万回くらいと言われています。天文学的な数字と思いきや,実はそうでもなく,WD BLUEをNASに使って,160日程度で20万回に達するという話も耳にしました。

 工業製品ですから30万回きっちりで壊れるものでもなく,100万回持つ物もあれば,10万回で壊れるものもあると思いますが,一応設計保証値は30万回でしょうから,IntelliParkはその30万回の寿命を削って消費電力の削減に割り当てたと考えてもいいでしょう。

 回数はSMARTのロードサイクルカウントを見ればわかりますが,実は私のWD BLUEもそろそろカウントが0になりそうな感じだったのです。稼働時間は20.5ヶ月なので620日ほど。ということは15000時間ほどです。

 さすがに8TBだと容量的にもまだなんとかゆとりもあり,せめて2年は使いたいなあと思っていたのですが,SMARTが信頼性を問題にして警告を出すのも間近というこの状況は,警告が出たらどんどん交換して行こうという作戦が,昨今の円安や値上がりも相まって決して成功とは言えなくなってしまいました。

 それにしても,こんなに簡単にロードサイクルカウントが消費されるというのはまずいですね。一時期この機能をOFFにすることが世界的に流行ったみたいですが,私はすでにNASに組み込んで運用を開始してしまったので,そのままで使っていたのです。

 もちろん,今回のリードエラーがIntelliParkと関係があるとは言えません。もともと24時間運転を想定していないHDDをNASで酷使したんですから文句は言えませんし,そもそもハズレだったのかも知れません。しかし,やっぱり2年持たなかったというのは残念です。

 悔しいですが,ブラックフライデーが後数時間で終わるというところで警告が出たのも何かの啓示。さっそく8TBのWD BLUEを買うことにしますが,想像以上の値上がりに加えて,在庫切れ&納期は1月半ば。これでは話になりません。他社の8TBを検討するも,2万円超えで手が出せず,状況は思っていた以上に厳しいものであることを思い知りました。

 この際10TBに増量するかと10TBのHDDを探してみると,これがまた高価。しかも2台ですので,とても手が出せません。

 なんとかならんかとトボトボとamazonを彷徨っていると,10TBなのに18500円という激安のHDDが目に入りました。Ultrastar WD10EZAZという,ちょっと見慣れないものです。再生品なので安いというのはわかりますが,それにしてもこのいかつい外観はなんだ?

 なになに,NASやデータセンターで使われていたヘビーデューティなHDDで,新品と同じ状態にした上で1年保証。

 さらに調べてみると,もともとHGSTのデータセンター用HDD,Ultrastar He10の系譜で,あのヘリウム充填のHDDだというではありませんか。DC HC510の回転数を7200rpmから5400rpmに落としたものらしく,キャッシュは256MBと変わらず,耐久性も抜群です。

 24時間運転を前提にしたプロ用HDDですので,堅牢で低消費電力,うちのNASにはもったいないくらいのお嬢様でした。

 これなら2台買っても37000円。10TBになって信頼性も向上するなら出せない金額ではありません。しかも在庫ありで納期も早い。マケプレですがamazonの発送で,保証もあり,レビューも悪くはありません。

 実質選択肢はこれしかないと,2台手配をしました。

 さて,届いて確認したところ,2台ともシリカゲルの入った帯電防止袋に,きちんと密封されて届き一安心。リファービッシュ品であることと,2023年2月という日付がありましたが,これが製造を意味するのか再生を意味するのかはわかりません。ただ,見た目は新品とかわらず,とても綺麗です。

 それから,HGSTのデータセンター用のHDDに有名な話で,電源ピンの一部の使用が変更されていて,リセット端子になっているそうです。サーバーの電源を落とさずにHDDをリセット出来るようにしたためということですが,この端子に3.3Vが繋がっている一般的な電源だとリセットが解除されず起動しないので,オープンになっているような電源ケーブルに変換して使う事が広く知られています。

 このHDDにも対策用のケーブルが付属しています。NASへの組み込みでは関係ないので使わないことになるでしょう。

 クッション材から出てしまっていたHDDを先に試すことにし,まずはNASを停止させます。そして問題となっていたドライブ2を抜取り,交換しNASの電源を再投入します。

 なにも問題なく起動し,RAIDの再構築が始まりました。15時間後に完了ということで,翌日に確認するとなにも問題なく動作しています。異音もなく静かですし,振動もほとんどありません。WD BLUEの8TBはとにかくブーンと振動がうるさかったので,やっぱりハズレだったんですね。

 簡単なテストを行ってNASをシャットダウン。いよいよドライブ1を交換して再起動しますが,様子がなにやらおかしいです。

 まずカリカリという異音がおさまりません。それもかなり大きな音が出続けています。振動も大きいようです。なにより,NASがいつまでたっても起動しません。

 仕方がないので強制的に電源をOFFし,問題のドライブを取り外して,別のケースを用意して単独で動かしてみます。

 やはり状況は悪く,ずっとカリカリいってますし,Macに繋いでも認識しません。すでに夜10時半ですが,不幸にもまたも不良にあたった私は,大慌てでamazonに連絡です。

 こういう場合は,電話で話が出来ると助かります。amazonは夜でも話が出来るのでとてもありがたいです。

 交換にはメーカーの証明が必要になる場合もあるのですが,今回は異音がすると言えばすぐに返品の話になりました。交換を希望しましたがマケプレの商品だということもあり,一度返品して買い直すことになりました。

 ブラックフライデーの時とは価格が違うんだけど,と話をすると,その場で差額をギフトカードで補填してくれた上に,返品の手続きもその場で済ませることができ,翌日に集荷してもらえることになりました。amazonすごいです。

 実は,ポイントアップキャンペーンも補填してもらえないかとダメモトでお願いしたのですが,これは却下されました・・・

 というわけで,こちらの不良という言葉を全く疑わずに信じてくれて,差額も補填した上で,返品の手続きまで済み,この間全く嫌な気持ちにならないという担当の方には,感謝しかありません。

 実のところ,amazonでこうしたサポートを受ける度に,期待以上の対応を頂くのですね。丁寧だけど杓子定規なものでもなく,こちらの要望に出来るだけ応えようと臨機応変に提案をくれます。それがかつてのamazonを含めた通販業者のイメージ,いうなれば「自分は悪くない,客の落ち度だ,でも対応してやってる」という店側の心理と,これに由来する電話してくる客は面倒な客,という観念がなく,電話してくる客は困ってる客という当たり前の話と向き合った上で,その問題を出来るだけよい形で解決しよう,という気持ちからブレないんですね。

 担当者によるのかなと思うとそうでもなく,これまで私が何度か相談した担当の方は皆,同様の気持ちの良い対応をして下さいました。はっきりいってこれ,日本一だと思います。

 先頃,公正取引委員会にamazonは怒られましたが,これまでに何度か注意されたことも含めて内容を見てみると,決して消費者の不利になるような話から来ているわけではないんですね。どっちかというと,消費者が有利になるように,出品者に圧力をかけたりしていたことが問題になっています。

 もちろん,不正は不正ですし,理不尽で不当な扱いに苦しむ出品者がいらっしゃったことも事実ですが,これまでの自らの利益のために不正を働いてきたことを咎められたケースとはちょっと違うなと,私はそんな印象を持っていました。

 まあ,幻想かも思い込みかも情報操作かも陰謀かも知れませんが,少なくとも私が困った時に,amazonはいつもちゃんと私を助けてくれました。そんなことまでしてたら赤字で潰れるよ,と思うようなことを,amazon側から先に提案してくれるので,交渉など全く必要がありません。ついでにいうと,amazonは必要以上の謝罪はしません。謝罪で解決しようとするのではなく,最低限の謝罪で済むように問題そのものの解決を優先するからだと思います。

 かくして,実に気持ちよく安心して問題の処理が終わりました。新たに購入したWD100EZAZは問題なく動作し,RAIDの再構築を済ませて現在何の問題もなく運用に入っています。

 不良のHDDも翌日(そう,返品処理が夜10時半なのにです)にヤマトのドライバーが自宅まで引き取りに来てくれました。そして2日後に無事に返金されています。すべてがスムーズで,すべてが完璧です。

 不良は仕方がありません。でもその後の処理は人がやるものだけに,お店で差が出ます。amazonは満点です。正直すごいと思います。

 そんなわけで,HDDの不良によくあたる私ですが,amazonで買ううちはなにも心配なく変えるでしょう。20年前,当時のツクモに9GBのHDDを交換してもらう時に,散々疑われて散々ごねられ,ようやく交換してもらえたことがウソのようです。

 海外からamazonが,日本の小売りの常識を変えています。日本のオモテナシとやらは,どこに行ってしまったんですかね?

 あ,そんなもの,もともとなかったですか?

ワンダースワン復活の道~番外編

 先日,aliexpressで購入したLCDが,配達完了になっているにもかかわらず届いていない,というお話を書きました。

 この件,エスポ便なる国内の配達業者の問題で私の手元に届いておらず,問題の解決をしようにもaliexpressは3秒で私からの申請を却下,エスポ便への連絡も電話が一切繋がらないという状況から,不本意ながら泣き寝入りすることになったわけです。

 ただ,LCDのフレキの形状が違っていて,仮に届いても使えないものであることがわかったことで,この件なんだか吹っ切れてしまったのでした。

 この面倒な話の傷が癒えた昨日,ポストを見ると黄色い封筒があることに気が付きました。もしかしてと見てみると,エスポ便。

 開封すると,あのLCDが入っていました。開封された痕もないですし,これだけ見ると配達が遅れたと言うだけの話に見えます。

 ただ,配達完了となってからの時間経過を見ると,やはりごはいだったのではないかと思います。誤配された方が新設にもエスポ便に電話をして下さって回収,その後再配達という流れで考えると,ちょうどこのくらいに届くことになるでしょう。

 とりあえず,aliexpressでの買い物の全勝記録を後進し,これまで無敗です。しかし,やはりなにか釈然としない物も気持ち悪さもありますし,今後もこの通り上手く届くとは限りません。といいますか,届くことは数々の幸運によるものであると,改めて認識させられました。

 一方で,届いた荷物については使えない事が分かっていながらも,よくも中国から長旅を経て,私の所にまで届いたものだとちょっと感動しました。まるで冒険物語です。

 LCDを確認すると,違うのはフレキだけではなくLCDそのものもちょっと違うみたいです。コネクタの形状やピン数は同じなので,壊れてもいいやとコントローラ基板に繋いでスイッチON。

 もしかすると表示が綺麗に出るかなと思いましたが,出てきた画像はなんと左右2分割で同じ画像が2枚出ました。

 いやはや,これでは使えません。せっかく届きましたが役に立たないのも悲しく,どうにか使う方法はないものかと考えることにしましょう。(多分だめですが)

 それにしても,aliexpressは何かあったときの回避手段がなにもない,恐ろしい仕組みだと再認識しました。高いものは絶対に無理ですね。amazonのサポートについては後日書くことにしていますが,日本語が使えるからと言ってaliexporessをamazonの感覚で使うと痛い目に遭います。皆さんも十分に気を付けましょう。

 

ワンダースワン復活の道~その3

 続けてワンダースワンのお話。今回のお話はほぼ私の愚痴です。

 まず1つ目です。ワンダースワンカラーのIPS化に失敗し,壊してしまったLCDを買い直したわけですが,あろうことかまさかの未着で泣き寝入りという事になりました。

 aliexpressではしばしばこうした未着のトラブルがあるそうですが,私はこれまで幸いにもこうしたトラブルはなく,すべて届いていました。

 しかし,今回はだめでした。それも,中国のお店の不手際や通関前の運送トラブルならまだあきらめもつくのですが,残念な事に日本の運送業者に引き渡されてからの問題でした。

 今回の荷物は,日本に到着し通関をパスしたあと,いつものように「エスポ便」なるものが私の家まで届けてくれることになっていました。追跡してみると,通関手続きの完了が12月13日の10時55分,日本の運送業者への引き渡しが同日11時55分となっています。ここまでは順調です。

 そして配達開始が翌14日の22時5分。おいおい,こんな夜遅くから配達開始かいな。そして配達完了はあけて15日の3時2分・・・こんな深夜に!

 エスポ便は置き配しかしないので,15日には朝から夜まで何度か玄関先とポストを見たのですが,見つかりません。ああ,荷物が行方不明になりました。

 最近はあまりなかったのですが,一頃荷物が続けて届かないことがありました。原因は一つ向こうに出来た,同じ名前の新しいお家に誤配されていた事でした。我が家とは違って,このお家は通りから見えていてわかりやすく,住所も似ているのでよくここに誤配されるのです。

 お互い様と思いたいところですが,彼らの荷物がうちに来ることはありません。明らかに誤配と知らされた事例以外でも私の荷物が時に数日遅れになることがあるのは,きっと誤配されたものがうちに再度配達されるからだったのでしょう。

 今回もその可能性があります。夜中ですからね,暗くて住所など良く確認出来るはずもないですし,写真だって撮れないし,寒いなか表札の名字をぱっと見て「おーここだここだ」とポストにでも突っ込んだんでしょう。

 一時期多かった誤配は,私まもちろん先方のお家にも迷惑がかかっていることを日本郵便やヤマト運輸にしつこく言い続けたことで,徐々に減っていきました。ヨドバシとamazonの配達員の方は優秀で,大手の配達業者から自社便に変わった後に誤配があったことはありません。

 ですが,今回のエスポ便,これまで上手く配達されたケースでは,すべて常識的な時刻に配達が行われていました。システム登録上の問題かも知れませんが,それにしてもこの時刻に誰かが端末を操作したと考えるのが普通ですから,やっぱりいつもと違います。

 そういった,いつもと違うシステムに乗ってしまった私の荷物は,(おそらくは)誤配というブラックホールに飲まれてしまったというわけです。(もっとも誤配じゃないかも知れませんが,紛失にせよ破損や廃棄にせよ,思うに誤配が一番罪が軽いんじゃないかと思いますよ)

 郵便やヤマト,amazonなどの誤配は,受け取った方が誤配であることを連絡する手段が簡単でした。amazonにしても郵便局にしても身近なものですし,話せばわかる相手です。しかしエスポ便の送り状には連絡先は書かれていません。仮にエスポ便をネットで調べてくださったとしても,その電話番号はナビダイヤルで高額な通話料がかかる上いつも話し中で繋がることは絶望的で,メールは100%無視されるでしょう。調べた限り,もしも話が出来ても「話にならない」そうですし。

 そんな状態で,誰が善意で私に荷物を戻してくれるでしょうか。そもそも,これまでもそうだったように,そのお家は誤配があっても私に声をかけてくれることも,ましてや持ってきてくれることなど一度もありませんでしたから,今回についても警戒されてゴミ箱行きでしょう。(シメシメとあけて,わけのわからんLCDが出てきてがっかりしているかも知れませんが)

 今回は本当に運が悪かったとしか言いようがありません。中国からの通販には届かないというリスクが付きもので,そういうことも楽しめないと使っちゃだめだと思うのですが,悔しいのは届かなかった理由が日本国内の,日本人によるもので,しかもおそらく半径100m騎範囲のどこかにあるだろうと推測されることです。いやはや,もう日本の宅配システムは信頼出来ないものになっているのです。

 よろしい,では紛争だ,とばかりにaliexpressに返金の手続きをするも,5秒で却下されました。配達完了になっている場合,もうaliexpressにもセラーにも責任はなく,配達業者にあるのでしらん,とのことです。確かに通関が済んでしまえば,もうそれは日本領内のお話ですしね。

 ということで,あえなく撃沈。置き配は信頼性の高さはもちろん,万が一事故が起きた場合の保証(と効率化によるコスト削減との天秤)によって成立しているものだと思いますが,エスポ便は連絡手段が実質的に機能しないことで逃げ切りが可能な,なかなか賢い業者と言えそうです。

 つらつらと思うに,責任を持つことからみんな逃げるようになりましたよね。責任にはコストがかかるわけで,そういうものを外部に出すことで,自分の責任の範囲を極小化してコスト削減を行うわけです。

 当然,仕事の範囲が細分化され,面倒な仕事ほど小さく切り取られて,立場の弱い人たちに押しつけられます。当然その人たちが最終責任を取れるはずもなく,それは本来彼らに仕事を出している大手が責任を取るものだと思うのですが,それはアウトソーシングという仕組みで回避することが出来るようになりましたaliexpressのようにです。

 でもですね,aliexpressなど通販も含めた小売業というのは,お客さんが支払ったお金を受け取り,品物を渡すことが仕事です。しかもそれは基本サービスで,そこから利便性やアフターサービス,気持ちの良い接客などを競うものだと思います。

 しかし,今回のaliexpressの考え方は,お金を集めて「出荷する」のが自分たちの仕事だとしていて,およそ小売業とは言えません。そう,それはECプラットフォーマーという仕事であることを,利用者である我々は忘れてはいけません。

 そこへ行くと,amazonにしてもヨドバシにしても,小売業の本分を忘れていません。amazonは置き配を始めた会社でしたが,最終的に客が品物を受け取るまで,amazonが問題の解決を図ろうとしてくれます。その強力な力は公正取引委員会に怒られるほどですが,しかしなから彼らの視線は使命感と共に常に消費者に向いています。

 ヨドバシに至っては,配達も自社便で手渡し前提,再配達は電話でと,前時代的なほど客との対話にこだわっています。ヨドバシのクルマから降りてきたヨドバシの制服を着た人に,ヨドバシですと自分の買った物を手渡されれば,それはもうお店で購入したこととなにも変わりません。

 特に再配達の電話については,面倒という声があるのに対し,あえてお客様との対話を重視しているというインタビューが出ていました。通話料は無料で,人と人がきちんと話し合うことで問題を解決することにこだわる姿勢は,ヨドバシの店頭でも良く体験することです。

 店舗と通販に共通の考え方を押し通せることはヨドバシの強みだと思いますし,通販専門のamazonが,小売店の責任を消費者目線で全うしようとすることは,本当に頼もしいと思います。

 別にこれは日本の厳しい消費者の考え方ではないと思います。小売店は品物とお金を交換するのが仕事です。客の手に品物が渡るまでがその責任だと考えてくれているお店とお付き合いしたいものです。

 というわけで,aliexpressの荷物が届かなかった件で,私はモヤモヤとしていました。連絡はつかないし,ついたところで良い結果は出てこないだろうと思うので,その理不尽さをどうやって解決すべきか考えても考えても答えは出ません。

 しかし,そんな私の気持ちをスッキリさせる事実が発覚します。改めて注文した商品を見ていると,ちょっと違和感があります。手元にある壊れたLCDと見比べると,明らかにフレキの形状が違います。出ている向きも長さも違いますから,これきっと互換性はないでしょう。

 どちらもワンダースワンカラーのIPSキットとして売られていたものですが,コントローラ基板の違いで,フレキの形状に種類があるみたいです。私が壊した物はL字に曲がっていますが,交換用に買った物はストレートです。

 ああ,なんということか。注文の段階ですでに決着が着いていたとは。もし仮に届いていても,悲しみが広がるだけだったというわけです。

 事ここに至って,もうどうでも良くなりました。誤配で受け取った人がメルカリで売り払ったとしても,配達員の兄ちゃんが配達したことにして捨てたとしても,もういいです。好きにしなさい。

 L字に曲がったLCDは単独では売られていないようで,もしこのまま計画を進めるならばキット全部を買い直す必要があります。先々週から微妙に円安が進んだことで価格も上がってしまっているので泣きっ面に蜂ですが,やむを得ずキットを注文し直しました。今度はちゃんと届くといいなあ。


 1つ目が長くなりましたが次の話。モノクロのワンダースワンの話です。

 位相差フィルムで色を白/黒にしてあるのがオリジナルのワンダースワンのFSTN液晶です。位相差フィルムの劣化によって緑/青になってしまったワンダースワンが多いため,元の状態を記憶している人は少ないでしょうし,もともと緑/青だったゲームボーイの印象が強いこともあって,ワンダースワンの修理例のほぼすべてが,普通の偏光フィルムを使った緑/青のLCDへの修理です。

 私はこの白/黒のLCDにこだわりを持っていたので,出来れば位相差フィルムを使った偏光フィルムを手に入れたいと思っていましたが,これが絶望的に見つかりません。

 このままバラバラになったままよりは,とりあえず修理して組み上げた方がいいだろうと言うことで,私も普通の偏光フィルムを使って,緑/青で修理をすることにしました。

 向きを調整し,綺麗な緑色が出てコントラストが最大になるようにしてからカット,裏表を間違えて1枚無駄にしましたが,なんとか綺麗に貼ることが出来ました。

 見栄えは残念な緑/青ですが,試しにグンペイをやってみたところ,これが意外にちゃんと楽しめます。もうね,これでいいですよ。

 そして最後に,ゲームボーイアドバンスです。

 偏光フィルムが手に入ったのでさくっと交換するつもりが,えらいはまりました。

 まず,ゴミが入りました。諦めつつ組み上げても表示が出ません。フレキの差し込みを少しずらすと表示が出ることがわかり,ようやく組んだとおもって画面をみたら,偏光フィルムの端っこが浮いています。

 何度やっても浮いてきます。もう30回ほども組んでバラしてをやったでしょうか。結局,LCDを貼り付ける両面テープが偏光フィルムを剥がしているのですが,どうも初期ロットの筐体はLCDに変な応力がかかるみたいで,それで偏光フィルムが浮いてしまうようなのです。

 偏光フィルムをギリギリの大きさにカットしたり,両面テープの位置を調整したりと試行錯誤を繰り返しましたがどうにも浮いてしまいます。仕方がないので,浮きが出ている部分の両面テープにフィルムを貼り,粘着をなくして対処しました。

 ただ,風防の裏側のホコリを拭うのに,レンズを拭くのにも使われるシルボン紙を使ったところ,擦り傷がたくさんついてしまいました。表面に比べて裏面は柔らかくて傷がつきやすいみたいです。

 反射型のTFTは外光を取りこむ必要があるので,この擦り傷が妙に目に入ってきます。これは失敗しました。とにかく,いじればいじるほど,悪くなって行くというのがこの手の修理作業です。最初に緻密な計画を立てて,流れるように作業をするように心がけ,基本的にはやり直しなしの一発勝負だと覚悟して作業にあたらねばなりません。

 繰り返した対策から2日,今のところ偏光フィルムの浮きは出ていません。このまま収束してくれるといいなあ。


 ということで,ワンダースワンカラーの風防の交換を思いついて始まった泥沼。まだ道半ばで決着は着いていませんが,とりあえずモノクロとカラーを1台ずつ復活させることができました。

 え,なに?嫁さんのワンダースワンがどっかにあるはず,だと・・・

 

ページ移動

  • ページ
  • 1
  • 2

ユーティリティ

2024年12月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

検索

エントリー検索フォーム
キーワード

ユーザー

新着画像

過去ログ

Feed