Optio RS1500のバックアップ電池
- 2025/07/30 13:45
- カテゴリー:カメラに関する濃いはなし, マニアックなおはなし, make:
娘が部活の合宿に出かけたおり,珍しくコンパクトデジカメを持っていくと言い出しました。スマホで撮った方がよほど綺麗だし写真の整理も楽だと思うのですが,撮影していて楽しいんだそうで,まあ私もわかる気がします。
彼女のお気に入りは,PENTAXのOptio RS1500です。そう,12年ほど前のクリスマスの夜,会社の帰りに自宅の近所の量販店のワゴンセールで,わずか5000円でたたき売られていたものを救出して以来,うちのカメラになったものです。
でもまあ,スペックのどこを見てもスマホに負けてますわな。これを使う理由は,スマホの電池を温存するか,親に時間制限をかけられたスマホを持たされている中学生が仕方がなく使うか,そんなところです。
LCDが悪いので撮影時の画質が悪いように思いがちですがさにあらず,撮影された画像をPCで見てみるとなかなかよく頑張っていて,そこはさすがにデジタルカメラを名乗るだけあるとおもいます。
大きさも手頃ですし,手に馴染むスクエアな形,操作もややこしくなく,電源とシャッターの2つのボタンで基本大丈夫というのも,なかなか魅力的です。
マニアックなところでは,今やロストテクノロジーとなったCCDによる独特の色合い,smcPENTAX銘の4倍ズームレンズは非球面レンズを3枚も使った5群6枚(シリーズ最低のスペックなんですけどね),35mm換算で27.5mm~110mmまでと無理のない範囲で常用域をカバーしています。
AFはいっちょ前に自動追尾に顔検出対応,シャッター速度も最高1/2000秒と十分で,メモリーカードを忘れたときでも21MBの内蔵メモリで急場をしのげますし,電池寿命はCIPA基準で210枚でと普通の使い方なら1回の旅行をこなせるでしょう。
それから,PENTAXがHOYAの傘下にあったあの時代のカメラなので,機銘板はHOYAになっているところに,事情を知っている人は涙があふれるのを抑えきれないことでしょう。そんなカメラです。
あ,着せ替えとか,そんなのはどうでもいいです。
残念なのは,この時期のデジカメにありがちなある持病を,RS1500も抱えていることです。それは,時計や設定のバックアップ電池です。
デジタルカメラは,一般に駆動用の電池を本体から外して充電しないといけないので,時計や設定をバックアップする小型の電池が内蔵されています。昔はコイン型のリチウム電池だったりしたのですが,電気二重層コンデンサで数分だけ持たせるようなものもありました。
しかし,数分ではさすがに短いという事で,腕時計に内蔵するボタン電池と同じようなサイズの二次電池が2000年代後半頃から使われるようになりました。正極にリチウムとマンガンの複合酸化物,負極にはシリコン酸化物を使ったものだそうで,公称電圧は3V,サイクル寿命は100%充放電で100回程度,20%充放電だと1000回ほどOKという二次電池です。
これだと丸一日のバックアップが出来るという事で,こぞってこの時期のデジカメに採用されたのですが,なんと言っても電池として機能する寿命が短く,僅か2,3年で死んでしまう電池が続出しています。
従ってこの時期,そう,コンパクトデジカメ最後の時代ですが,現在まで生き残っているデジカメのほとんどは,バックアップが機能しないものとなっています。
交換すりゃいいじゃないかと思うでしょうが,交換はメイン基板をごっそり交換することになるので高額です。というか,今はもうどこも修理などやってません。
対象となるのはRS1500はもちろん,H90などもそうですし,なんとPENTAX QやK10Dだって含まれています。もう全滅と言っていいでしょう。
とはいえ,バックアップが出来ないだけで,充電が終わった駆動用の電池を入れて設定し直せば撮影はなにも問題ないので,そのまま放置するのが一番という話もありますが,そうも言ってられないことが先日起きました。
娘が合宿から戻ってきて,写真をみんなで見ていたときのことです。ある時刻から撮影日時がリセットされて2011年になっていました。これは悲しい。
どうも,電池ブタに連動した電源カットのスイッチが誤作動して,電池が一時的に切り離されてしまったようなのです。そういうへんな仕組みを入れることも問題だと思いましたが,バックアップ電池が生きていたらこんな悲しい事は起きなかったでしょう。(本人はけろっとしていましたが)
娘に聞くと,まだ使いたいとのこと。よろしい,ならば修理をするまでです。
RS1500は,以前CCDにホコリがついたかなにかで一度分解して(しっかりストロボのコンデンサで感電しました)いますが,メイン基板を外すのは初めてでしょう。さっさと分解して基板を確認します。
そこに,レンズ豆くらいの電池がマウントされていました。リフロー対応のタブがついたMS414GEというものです。直径4.8mmで高さが1.4mmと小さく,容量は僅か2mAhしかありません。サイクル寿命は100%でわずか50回です。
外そうとしてハンダゴテをタブに当てたところ,電池にも熱が加わってしまったみたいで,なんと膨らんでしまいました。破裂すると厄介です。ここで作戦変更,まずタブと電池をニッパーで切り離し,電池が基板から外れてから,タブをハンダゴテで取り除くことにしました。
手持ちの交換用の電池を探したところ,昔秋月電子で買ったMS621FEが見つかりました。直径6.8mmで高さ2.1mmとかなり大きくなりますが,容量は5.5mAhと2倍以上,サイクル寿命も2倍の100回です。(ちなみにこれを買った当時ならMS414GEも買えたようです。今は販売休止になっていますが・・・)
ぱっとみたところ,なんとかこの大きさの電池ならおさまりそうです。ショートが怖いのでカプトンテープでしっかり絶縁して基板に取り付けます。正極についてはリード線でジャンパを飛ばします。
基板をフレームに取り付ける時に,電池がフレームにぶつかってしまうので,フレームを削ってぶつからないようにしますが,強度が落ちてしまうことは覚悟しないといけないでしょう。まあ,仕方がありません。
さっさと組み立てて,駆動用の電池を入れます。バックアップ電池も2次電池ですので,駆動用の電池を入れてから丸一日かけて充電がなされ,その後ようやく24時間のバックアップが可能になります。
翌日試してみると,5時間ほどはバックアップ出来ているようです。これなら便利に使えるでしょう。
容量としてもサイクル寿命としても倍になっている電池ですので,あと数年は動いてくれる物とおもいます。その後はまた修理するか,いよいよ捨てるかという話になると思いますが,娘が持ち歩いている間だけでも,無事に機能してもらいたいものです。
ところでそのMS621FE,現在秋月電子では在庫切れ。入荷予定はあるようですが,価格が120円と安かっただけに,値上がりは覚悟しないといけないでしょう。リフロー対応のMS621Rは1個150円とややお高いですが,まだ在庫はあるようです。
もう壊れるまで使い続けることにした,PENTAX Qの皮を被ったPENTAX Q7も,同じ症状が出ています。いつか修理をしないとなと思っていますが,MS621GEが使えるなら,秋月電子で販売が再開されたら検討してみましょう。