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2026年07月の記事は以下のとおりです。

ミニギター,APX-T2も買ってしまった話

  • 2026/07/24 10:48
  • カテゴリー:散財

 先日ヤマハのミニギターJR2Sを買った話を書きました。小さいくせにちゃんとしたギターで,実に楽しく演奏出来たのですが,音量がそれなりに大きいことが気になっていました。

 どっちかというと,小さいことと音量をどうやって両立させるかがこのギターのテーマだったんじゃないかと思うのですが,私個人で言えばフルサイズのギターと同じ音色が,そのまま小さい音量で出てくるミニギターが欲しかったので,ちょっと期待していたものとは違っていました。

 そんなとき,同じようなミニギターに,同じヤマハからエレアコが出ていることを知りました。APX-T2というモデルですが,これも30000円弱とお安く,大きさもJR2Sとほぼ同じ,厚みがちょっと薄い感じです。

 もともと,ミニギターを手に入れたらレコーディングにも使えるかもなあと思っていて,ピックアップを物色していたくらいですので,ひょっとしたら最初からエレアコにしておけば良かったのかもしれません。

 レビューを見ると,JR2とAPX-T2とではAPX-T2の方が音量が小さいそうです。それに音がいいと言う感想も良く目にします。JR2に比べて悪く言う人が少ないことも良い印象を与えてくれたのですが,気になって調べたヨドバシでは販売終了。

 これはもしかしてディスコンの予兆か,とamazonのセールで思わず買ってしまったのでした。買ったのはサンバーストでした。

(1)質感,仕上げ

 JR2Sでも書きましたが,やはり値段相応という印象です。キズ,ボディの塗装のムラは今回もありましたし,ブリッジにひっかいたような大きなキズもあり,これでヤマハの品管がよくOK出したなと思いました。

 ネックのゴツゴツとした仕上げもJR2同様に値段相応ですし,ペグもやっぱり安っぽい感じがして少し残念ではあります。とはいえ,APXが2万円ちょっとですから,やっぱりバーゲンプライスですよね。


(2)音

 正直なところ,音にはびっくりしました。サスティンも良く伸びますし,1弦から6弦までバランス良く音が出てきます。JR2Sよりも全然良いです。ぼわーん,と籠もったような音は出ませんし,とても切れ味のある,爽やかな音が出てきます。演奏していて楽しいです。

 エレアコという事で注目していた音量ですが,そんなに小さい音量ではありません。JR2Sに比べて中低域が引っ込むので音量は小さく感じますが,いい音を出そうとするとそれなりの音量も必要になりますし,当たり前の事ですが,音が小さい事を期待してエレアコというのは間違ってました。


(3)エレアコとして

 エレアコならではの機能として,当然ピックアップとプリアンプが内蔵されて電気信号が出力されることもありますが,もう1つはチューナーが内蔵されていることがほんとに便利でした。

 先にアンプに繋いだ時の音についてですが,ピックアップがピエゾということで,一応ボディの音も拾ってくれます。また,エレアコ一般に言えることではありますが,後付けのピックアップと違って最適な位置に最初から取り付けてくれてあるので,音はとても良いです。

 プリアンプもそんなに高性能ではありませんが,簡単なトーンコントロールもありますし,音量もしっかり出てきます。ノイズも少ないようですので,このまま録音に使えるんじゃないかと思います。電源はプラグを差し込めば自動的にONになるタイプですので,電源を切り忘れて電池が切れていた,という悲劇も少なくなるでしょう。

 ボディの大きさからは想像出来ないような,見事なギターの音が出てくるので,APX-T2はこの1点でも価値があると思いました。

 なお,私は詳しくは知らないのですが,エレアコによってはピックアップがブリッジやサドルと密にくっついているため,特にサドルを交換出来ない場合もあるそうです。ですが,このAPX-T2はサドルの交換が可能で,JR2なんかと同じ物が使われています。

 さて,もう1つの機能であるチューナーですが,これが抜群にいいです。ボタン1つでチューナーが起動し,素早く性格にチューニングできます。フラフラすることもありませんし,レスポンスもいい,小さいですが見やすい表示も良く出来ていて,暗いステージでも視認性良く,かつ派手に光らないのでありがたいです。

 なにより内蔵されていて,荷物が1つ減りますし,余計な部品を外に取り付けたりする必要もありません。音もピックアップから取ってきますので,6弦のレスポンスが悪いとか,クリップ式にありがちな面倒な事も一切なく,確実に動いてくれます。

 唯一440Hzに固定というのはちょっと残念なところですが,これはちょっと贅沢かも知れません。

 クリップ式の安いチューナーも1000円未満でありますが,内蔵されていることは何よりもメリットだと思います。こまめにチューニングをするクセは身につけておきたいですよね。


(4)見た目,取り回し

 見た目は言うまでもなくかわいらしく,カッタウェイと楕円のホールという,いかにもエレアコという姿でそのまま小さくなっていますから,見ていて飽きません。もともとAPXは格好の良いギターだと思うのですが,それがそのまま小さくなっているわけで,サンバーストという塗装も相まって,かわいさと精悍さが一緒に味わえる,良いギターだと思います。

 背面と側面,ヘッドはJR2Sとは違ってつや消し塗装で,このあたりはJR2S同様につやあり塗装の高級タイプが出たりするかもと思いましたが,これはこれでなかなか良いもので,私はすっかり気に入ってしまいました。

 取り回しはJR2S同様,小さく軽く,ネックも握りやすくて問題なし。JR2よりも薄いのでさらに取り回しは楽でしょう。

 ところで,APX-T2はピックガードがついていません。ピックでガシガシ演奏するとキズがついてしまうので,個人的にはピックガードは標準で欲しいのですが,フルサイズのエレアコでもピックガードがあったりなかったりなので,これはデザイン上のこだわりなのかも知れません。

 ヤマハのエレアコと言えば,そのピックガードにも特徴的なデザインのものがあります。このデザインでAPX-T2のサイズにした専用オプションがあれば,ぜひ欲しいなあと思いました。

 最後に,バッグはJR2Sと違って,シンプルなポケット1つの薄いケースでした。JR2Sのケースが良く出来すぎていたのでちょっと見劣りがしますが,機能としては十分ですし,シンプルなデザインに文句はありません。


(5)まとめ

 APX-T2は確かに他のミニギターよりは少し高価なのですが,エレアコですし,チューナーも内蔵ということで,JR2にピックアップやチューナーを買い足すことを考えると,全然高くはありません。

 なにより音が良いです。JR2Sのように,ボディサイズに制限を受けたという無理を下音ではなく,自然に良く伸びた音が,すべての弦で出てきます。もちろん弦が短いので3フレット目くらいで音が伸びなくなりますが,それでもJR2Sと違って4弦も籠もらず,すべての弦が同じような音質と音量で出てきてくれます。

 エレアコとしての機能も十分で,録音もアンプにつないで使うこともきちんとこなせると思いますし,チューナー内蔵というのは初心からベテランまで便利なことこの上なしです。

 ギターとしては絶賛,ということなのですが,やはり悲しいのは価格相応の仕上げでしょうか。接着剤のはみ出し,キズ,フレットが綺麗に磨かれていない,ネックのゴツゴツ感など,物足りないのもまた事実です。

 演奏を始めれば,音の違いを除いてJR2Sと同じ感触のAPX-T2です。案外初めてのギターにも向いているかも知れません。


(6)私への課題

 録音用のギターとして買ったAPX-T2ですが,その姿形と音の良さで,一気に私の常用モデルになりそうな気配です。ここまで気に入ってしまえばもっと良くしたいと思うのも,これまた人情。だからといって工房に出してカスタマイズするほどのものでもありません。

 そこで,いろいろDIYで楽しもうと思います。

 最初に試みたのは,サドルの交換です。これはJR2Sも同時に行ったのですが,まずは牛骨にしました。75mm x 3mm x x10mmのサドルは当たり前に売られているので,amazonで安いものを買いました。

 高さを削って調整して交換したのですが,JR2Sは音が良く伸びて,かつバランスも良くなり,4弦が籠もることも軽減されて,いい音になりました。

 一方のAPX-T2ですが,こちらは牛骨にすると音が少し丸くなり,切れ味もなくなって,前に出てこなくなりました。バランスは相変わらず良いままではありますが,APX-T2の良さを殺してしまった感じがあり,結論としては失敗でした。

 そこでTUSQという人造象牙に交換することを考えています。TUSQは現在手軽に手に入る素材としてはおそらく最も良いもので,音の伸びもきらびやかさも手に入るんだそうです。

 もちろん,もともとのギターがちゃんと作られていることが前提でしょうが,APX-T2のポテンシャルは私は悪くないと思っていますので,交換すればなんらかの変化を味わうことが出来るでしょう。

 TUSQのサドルとナットの両方を注文済みで,近日中に交換してみたいと思います。

 もちろん,弦の交換は必須です。高校生の時から使っているMartinの弦をすでに2セット分買ってはあるのですが,最初に張られていた弦がもったいないので,もうちょっと練習してから交換したいと思います。多分私の知っているMartinの音が出てくるんじゃないでしょうか。

 それから,やっぱりピックガードですよね。これもいろいろ思案しましたが,なかなか良い方法がなく困っていたのですが,なんとか妥協できる程度の仕上がりで取り付けました。これも後日ここに書こうと思っています。

 

ミニギター,JR2Sを買った話

  • 2026/07/21 15:28
  • カテゴリー:散財

 ある日曜日の夕方,楽器屋さんのメールマガジンに出ていた小さなギターに目が行きました。ほほー,いつの間にやらミニギターなるカテゴリーが出来ていたんですね。知りませんでした。

 確かに,日本の住宅事情を考えると,フォークギターの良く通る大きな音という性能はかえって欠点になりますし,そもそもフォークギターがなんであんなに大きいサイズで許されているのかという疑問に対し,昔からそうだったからとしか返せない自分に,腹立たしくなりました。

 住宅事情がからむと俄然勢いづくのが日本のメーカーで,なるほど目の前のメールにはヤマハのミニギター,JR2が紹介されています。

 弦長がわずか540mm,全長も857mmと小型ですが,見た目はヤマハのFGシリーズをモチーフに一回り小さくしたという格好の良さ。これで音量だけ小さく,伸びやかな音が出てくれれば文句はなしです。

 お値段は標準モデルのJR2が2万円弱,上位モデルのJR2Sでも25000円弱です。安いですね,気軽に手が出せる価格です。

 しかも専用ケース付き。学校まで担いで持ち歩く学生さん,特に小柄な女性には負担が少ないですよね。小さい軽いは正義です。しかも安いから初めてギターを手にする人でも買ってもらえますね。

 正直,小さい楽器は音が良くないわけですが,そこはヤマハです。悪いものは作らないでしょう。ヤマハという真面目なメーカーの作る楽器だという期待をこめて,私も買うことにしたのです。

 そういえば,私がギターを始めたのって13歳の時でした。母の実家に夏休みに帰省した際,叔父が持っているギターをねだって譲ってもらったのです。いわゆるドレッドノートというやつで,こんなに大きな音が出るのかと最初はびっくりしました。

 今思い出すと,トーカイのCat's EyeでCE-400じゃなかったかと思います。叔父は安物だといってましたが,私の耳にはとても安物には聞こえない,迫力も伸び柔らかさもある,とてもいいギターだと思いました。つくづく捨てたのが惜しいです。

 大阪の片田舎で,今のように情報も商品も手軽に手に入る時代ではありませんでしたので,見よう見まねの独学で,とにかくギターに触っていることが楽しいということだけを理由に,毎日かき鳴らしていました。

 高校に入るとキーボードに手を出すのでギターからは遠ざかりますが,今思えば結局ギターが伸び悩んだからでしょう。ある時から急に面白くなくなったですからねえ。

 大人になってからエレキギターを買いましたが,やはりそれは別物。フォークギターをまた思う存分演奏したいという気持ちも募りましたが,近所迷惑を考えるとそうもいきません。

 そういう理由もあって,叔父からもらった青春のギターは実家が処分されるときに引き上げることを断念し,共に処分されてしまったのでした。本当に惜しいことをしたものです。


 今回新たに買ったギターは,JR2Sという上位版です。大人ですしね,数千円をケチってもつまりません。スプルース単板は音が良いといいますが,過度な期待は禁物で,むしろ横と裏側がつやあり塗装になっているのがいいじゃないですか。

 さて,数日後に手元に届いたJR2Sですが,私なりに感想を。私は詳しいことはさっぱりわかりませんし,マニアでもありません。そんなに種類を触ったこともありませんので,比較基準はかつての相棒Cat's Eyeです。


(1)質感,仕上げ

 値段相応という事だと思います。値段まで考えたら悪くはないのでしょうが,値段を伏せて見てみれば,あちこち粗が目に付きます。明らかなキズ,ボディの塗装の刷毛のあと,ネックのゴツゴツした仕上げ,フレットが綺麗に磨かれていないなど,見た目も演奏上の問題も,期待を下回りました。

 繰り返しますが実質2万円を割るギターですから過度な期待は禁物ですが,付属のケースが思いのほか良い仕上がりなので,なおさら残念に思いました。

 接着剤のはみ出し,塗装の荒っぽさなど,品質にがっかりしたところも正直あって,「さすがヤマハ!」と褒める準備は無駄になってしまいました。


(2)音

 音は,これもまた価格相応というか,悪くはないかなという印象です。1弦はピーンといい音がしますし,5,6弦も開放弦はなかなかいい音がしていると思います。

 ですが,4弦の2フレット,5弦の4フレットあたりは音も小さく伸びがなく,音が籠もって前に出てきません。ポンポンと,いかにも調子の悪いギターの音がするのです。演奏していると,ある音だけ前に出てこなくなるので違和感も大きいです。

 2弦についても,開放だといい音がするのですが,3フレットくらいからピーンがピン,という感じになりますし,これは不良品なのではないかと疑ったくらいです。


(3)演奏のしやすさ

 ネックも細すぎず太すぎず,フレットの間隔も標準に近いので,演奏に特別気を遣うようなことはなく,とても楽しく演奏出来ました。(音の問題を除いては)

 弦はライトゲージを指定してあるギターなのですが,もともと私もライトゲージを好んで使っていた人ですので,この点も問題ありません。

 ペグもナットもサドルも高級品ではないのでしょうが,実用上なんの問題もありません。チューニングも特に狂いやすいという印象はありませんし,弦の高さもほぼ大丈夫。私は0.5mmほどサドルを削りましたが,これくらいなら削る必要などそもそもなかったのではないかと思います。


(4)見た目,取り回し

 見た目は実にかわいらしく,大きさや重さは想像以上に小さいので持った瞬間ににやけてしまいました。で音を出せば,なかなか頑張った音がするわけで,こりゃオモチャじゃないなと心を入れ替えてギターを持ち直すわけです。

 繰り返しますがバッグ(ケース)も良く出来ているので,学生さんにはお奨め出来ると思います。ぶつけたり擦ったりすることが日常的でしょうし,持ち運びに気を遣わない安くて小さなギターなら少々ラフに圧扱って傷がついても,それはむしろ勲章でしょう。


(5)まとめ

 安いこと,小さいこと,軽いこと,それでいてちゃんと演奏出来て,それなりの音が出ることは,とにかく素晴らしいですし,楽しいです。安いから出てこない,小さいから演奏しにくい,なんてことがあったら,それはもうギターの形をした置物ですからね。

 演奏出来て,しかもそれが楽しいというのは,やっぱりヤマハという大手の楽器メーカーだからこそ出来た商品なんだろうなと思います。

 ただ,ネットで見る,仕上がりは綺麗とか,品質は良いとか,さすがヤマハとか,そういう意見はちょっと割り引いて考えるべきかも知れません。ベテランが「まあこんなもんよね」という気持ちで見ればその通りの感想でしょうし,値段のことまで考えればもちろん文句も出ないのですが,値段が安くてもいい楽器はいくらでもあるわけで,私は値段を言い訳にしたらダメだと思っています。

 その観点で言うと,やっぱり細かいところでがっかりすることもありますし,前述の通り音も満足なものとは言えません。ですので,実際に買うのであればちゃんとした楽器屋さんで,試奏しながら買って欲しいと思います。そう,ミニギターも立派な楽器です。

 それはそれとして,特別に構えることなく,普通のフォークギターとして演奏出来る演奏性には感激します。そして音を出せば確かにフォークギター。小さいだけで完全にフォークギターですから,これが楽しくないはずはありません。

 多少の失敗があっても大きな心で許せる人,キズも楽器の個性だと割り切れる人,様々な事情からドレッドノードやジャンボは無理という人,加えてこれからギターを始める人には,私は真面目にお奨め出来ると思います。

 また,持ち運びが大変だと,それが理由で演奏から遠ざかる人が出てきます。フォークギターなんて人前で演奏してなんぼ,ですから,持ち運びが手軽に出来る事は,音の良さよりも重要な性能だと思いませんか。

 そんなわけでJR2S,良い買い物をしたと思います。演奏していて楽しい事がその理由ですが,一方でちょっと残念な事は品質管理でしょうか。

 いずれも個体差かも知れませんので,ぜひ試奏して頂きたいなあと思います。

 ん?これからギターを始める人はどうするの?

 うーん,そんな人だからこそ,楽器屋さんでいろいろなギターを見て欲しいのですよ。ほんと,見るだけでもいいです。きっと,向こうから「買ってくれ」といってくるギターが出てきます。


(次回予告)

 JR2Sの高い演奏性にすっかり心酔し,あっというまに数時間の時が流れた週末,思った以上に大きな音に気を遣いながら,実は私には,音の大きさを犠牲にすると一般に言われるエレアコのミニギターの方が適切だったんじゃないかと,そんな風にふと思いました。

 フォークのJR2Sにするか,エレアコのAPX-T2にするか,実はかなり迷ったのですが,エレアコ未体験の私は,まずは無難なフォークでということで,JR2Sを選んだわけです。

 しかし,JR2Sの(いろいろな意味での)負担の軽さを味わうと,これでエレアコだったらどんなだったのだろうと,好奇心がおさまりません。

 ・・・気が付いたら,APX-T2をポチっていました。数日後に届くことになるAPX-T2は,これまた私の想像を超えたギターだったのです。まて次号。

 

10日たった,こがれさん

7月1日我が家にやってきたこがれさんですが,随分慣れてきたようです。

(1)顔つき

 センターですり寄ってきた時の顔は,まさにか弱い乙女だったのですが,今はすっかり気高く精悍な顔つきになりました。大きな目はその環境が安全かどうかを見分けるのではなく,相手が自分に興味を持っているかどうかを判断するセンサーとして機能し始めたようです。

(2)食欲

 結構ムラがあって,食べるときと食べないときの差が大きいようです。従ってうんちも毎日するけど少なめで量も安定しません。

 エサの好みかもと思っていましたが,今朝15cmにもなる大きな毛玉を吐いていたので,これが原因だと判明した次第。さぞ苦しかったと思います。ほとんど胃を埋め尽くすサイズですからね。

(3)猫パンチの洗礼

 慣れてきたこともあり,そろそろ本性を現し始めました。あまり活動的ではなく,攻撃的でもないおだやかな猫だと思っていましたが,不意に攻撃的になることがあり,妻も私も猫パンチを何度も食らっています。

 「本当にパシッって音がするんだ」と娘は驚くやら喜ぶやら。

(4)血液検査

 先日の健康診断で,血液検査の結果を電話で聞いたところ,肝臓や腎臓の値は正常だったが,SAAが120とかなり高い値を示しているので,3ヶ月後に再検査をおすすめ,と言われました。

 調べてみるとSAAって炎症を起こしているときに急激に跳ね上がる数値で,通常5から8程度です。さすがに120ですからなにもない,ということはないでしょうし,なにか原因があるんだろうと思いますが,炎症には付きものの発熱もなく,他の数値は正常,触診も問題なしでしたので,様子を見つつ検査項目を増やして再検査という話になったのでしょう。

 我が家に来てからずっとえずいていて苦しそうだったので,毛玉は溜まっているだろうと思っていたわけですが,前述の通り15cmもの巨大な毛玉を吐き出したことで,この毛玉が胃や腸の炎症を引き起こしていた可能性もあるんじゃないかと疑っています。だとすれば,次の検査では下がっている可能性も高いでしょう。

(5)けじめ

 食卓には上がらない,というルールを作りましたが,現行犯で注意できるときはいいとして,人間が寝ている間に上がられてしまうとどうしようもないので,もうあきらめました。

 玄関の扉が開いたときに外に飛び出すことも心配でしたが,ゲートを設置して飛び出しを防ぐことにしました。しかしある朝ゲートの向こうに座っているのを見て,どうやってくぐったのかと軽くめまいがしました。

 ただ,その後は一度も向こう側には行っていないようで,聞き分けが良いのか,それとも向こう側に行く理由がなくなったのか,はたまたなにか怖い思いをしたのかわかりませんが,どっちにしてもゲートが象徴的なものに成り下がったことを認めざるを得ないでしょう。

 けじめと言えば,我々の寝室からは完全に締め出すことにしています。猫が出入りできる仕組みがない扉の部屋で,開けっぱなしには出来ないですから,これはやむを得ません。しかし猫にしてみれば,未探検の部屋があることは悔しいでしょうし,ある時刻から人の気配が完全に消えることに不安を感じる事もあるでしょう。

 一方我々は気付かれないように寝室に向かうことになりますし,途中トイレに行くこともままなりません。それでも明け方には扉の前で誰かが起きてくることを待っているみたいで,私が最初に目覚めたときは踏んづけてしまうほど足下をウロウロとします。

 ということで,一応決めたけじめではありますが,そのうち折り合いがつくもので,今は人と猫のせめぎ合いという所でしょうか。危険が伴う場所には嫌われても立ち入りを禁止しないといけないわけですし,まだまだ手探りが続きそうです。

(6)長毛種

 夏毛に生え替わる時期という事もあり,長毛種の猫からは強烈な抜け毛があります。毎日掃除機をかけても間に合わないくらいですし,服も毛だらけです。鼻はいつもムズムズしますし,食べ物にも入っていたりします。

 ある程度仕方がないとは思っていましたが,これはもう本当に猫が好きでないと受け入れられないかも知れないですね。

(7)安心感

 自分を攻撃しない,自分にとって安全ということがわかってくれたみたいで,お腹をだして仰向けにぐぅぐぅ寝ています。というか,仰向けに寝るというのは,体の構造的に猫にとって楽じゃないと思うのですが,最近仰向けの写真をしばしば目にするあたり,案外そうでもないのかも知れません。



 わずが10日ですが,互いに遠慮もなくなってきていて,距離感も近くなっているように思います。始めて猫を触る娘にも慣れてきているようですし,狭い部屋に3人と1匹が適度な距離を保ちつつ銘々勝手なことをしながら集う様子は,なかなか微笑ましいものがあります。

 猫も我々も変化しています。その相対的な関係は想像以上に大きく変わるもので,生き物と暮らすことの醍醐味でもあります。そういう変化を楽しみたいものです。


うちに猫がやってきた

 うちに猫がやってきました。

 私は猫が好きでして,その気ままで,干渉せず干渉されない,自由を愛する性格が,とにかく私にあっています。

 お腹が空いたらご飯を食べ,眠くなったら眠り,探検をしたくなったらゴソゴソと歩き回り,寂しくなったら気を許した人間に甘え,気が済んだら黙って立ち去ります。素晴らしい。

 人間だったらこういうのって嫌われるかも知れないですが,猫ならそれは別の話。互いの生活を邪魔せず,尊重し合いながら,頼りたくなったら気を遣わず頼り,都合が悪ければ無理せず断る,なんてのは,信頼関係が究極に高まった者同士でなければ成立しないでしょう。

 だからだと思うのですが,私が見るところ猫を愛する人というのは,拘束されることも拘束することも嫌う人が多いようで,そういう人との間で共有される価値観とそれを底にする安心感には,猫と過ごした人に輪にいるという帰属意識を増幅し,無用な警戒感を和らげる力があるように思います。

 私が小学生の高学年の時,我が家に猫がやってきました。ヒマラヤンと呼ばれた純血種を,父の取引先から譲ってもらったというのがきっかけでした。

 1980年代ですので珍しい種類で,しかも純血種,それを商売相手から分けてもらったのですから,怪我をさせたり病気になったり,さらには死んでしまったりしたら,これはもう一大事です。

 商売上,父も断り切れずにもらってきたのだろうと思いますが,まだまだ外飼い&猫飯が普通の時代に,完全室内飼い&管理されたペットフードで飼おうというのですから,なかなか思い切ったことをしたものです。

 で,このメスの猫,母がチャコという名前をつけたわけですが,とにかく性格がきつくて,大変でした。そのくせ気は小さく,ドアの隙間からぴゅーっと外に出る癖に,出てしまえば怖くて硬直していると言った有様です。

 今思えばトイレトレーニングも失敗していて,そこら辺におしっこやうんちをするのは当たり前,のみならず発情期には壁におしっこを引っかける,長毛種にありがちな巨大な毛玉をそこら中に吐きまくり,あらゆるものを鋭利なツメで八つ裂きにして,我が家はボロボロになっていったのでした。

 そんなチャコですが,3度出産を経験して,お母さんっぷりを見せてくれました。生まれた仔猫も純血種で,売却される事が前提だったので,それも最初からもらってくるときの約束だったのだろうと思うのですが,あのやんちゃな猫がいっちょ前に仔猫をしつけているのを見ると,大したものだなあと思ったものです。

 3度目の出産では,確か5匹のうち1匹はすぐに死んでしまい,もう1匹は体が小さく,肋骨が内側に曲がって心臓や肺を圧迫する「漏斗胸」という奇形であったことがわかり,少し遊ぶとぐったりと動かなくなってしまうような,体の小さな仔猫でした。

 我々家族はそんな弱い仔猫に特別な感情移入をしていたのですが,やがてとても安い値段で買いたたかれて,愛玩動物の経済的なドライさを見せつけられたのでした。人間には人権があっても,猫には猫権はないんですよね。

 そんなこともあり,チャコはその後二度とお母さんになることはなかったのですが,仔猫をすべて連れ去られた後,どこかに隠れているのではと,あちこち鳴いて探し回っていたことを,我々家族は妙な罪悪感と共に見ていたのでした。

 
 人間の年齢に換算すれば40歳くらいになるころでしょうか,もう出産することもなく,なにかとリスクもあるということで,不妊手術を受けさせようという事になりました。人間の勝手でお腹を開くことには複雑な気持ちもありましたが,実はこの手術の時,卵巣が膿んでいたことがわかり,このまま気が付かないままだとだと死んでいたかも知れない,とわかりました。当時の私にとっては気の進まない手術ではありましたが,結果として命が繋がったことになります。

 しかも,性格は180度変わっておとなしくなり,とてもおだやかな猫になりました。トイレに失敗することもなくなり,我々人間と猫との間の緊張感は消え,とても良好な関係を保つことになるのでした。

 就職をきっかけに実家を離れてからは電話で話を聞く程度だったのですが,たしか実家を離れて3年経った頃だか,親から亡くなった事を聞かされました。もともと腎臓が弱かったのですが,最後は足腰も立たず,下半身を引き摺って動いていたそうです。なのにトイレには律儀にいこうとするので,母はそのままでいいよと何度も言って聞かせたそうですが,しばらくたった寒い朝,コタツの中で動かなくなっていたという事でした。

 12歳から23歳までずっと毎日見ていた猫を看取ることができなかったことを,今も私は後悔しているのですが,多感な時期の,勝手気ままで干渉を嫌うもの同士との10年間が,私の人間形成にどれほど影響しているかわかりません。

 それゆえ,もう一度猫を飼いたいとは思わなかったのでした。

 妻も同じ時期に同じような猫を飼っており,共通の体験がありました。当然猫に対する眼差しには共通するものがあり,猫と人間の距離感についても,説明不要な常識が共有出来ています。

 猫と一緒に過ごすことの楽しさと大変さは共に骨身にしみており,それぞれこれほど猫が好きなのに,猫を飼おうという話が全く出ることは自然な事だったと思いますが,そうしているうち娘が生まれて,やがて中学生になりました。

 ふと,ここに猫がいたらどうだろう,などと考える事が数年前から増えたことには気が付いていました。娘の年齢が私が猫と暮らし始めた年齢に達して,あの素晴らしい体験が出来ないのはもったいないという気持ちもありましたし,15年生きるとして私の年齢だと今が最後のチャンスかもしれないとも思いました。

 猫を飼えば旅行に出ることも出来なくなりますし,病気をすればすぐに病院に行くことになります。壊されたり汚されたりする心配がない生活を手放すのも嫌でしたし,なにより猫は多くの場合飼い主より先に死にます。

 だから私は考えました。これは縁が重要だと。

 猫は理不尽に振り回されることをとても嫌います。そんな猫を,お金で商品のように買って帰ったり,かわいいという理由で飼育しようというのは,なんだか違うんじゃないかと思ったのです。

 家に猫がいるのも縁,その猫が私の足下にやってくるのも縁,雄なのか雌なのか,仔猫なのかお年寄りなのか,純血種なのか雑種なのか,長毛種なのか短毛種なのか,尻尾がまっすぐなのかグネグネ曲がっているのか,病気がちなのか健康なのか,それも全部縁,そしてやがてお別れするのも,やっぱり縁です。

 どんな猫でも,うちに来たからにはなにか特別なものがあったということです。

 強い縁があれば,その猫と私たちは出会うことになるはずだし,今ここに猫がいないという事は,それはそれで縁がなかったと言うことです。無理をすることはありません。その点で,我々家族は猫と無縁の生活をおくっていました。

 そんなある日,突然事態が動き出します。

 いわゆる保護猫という,飼い主がいない猫の里親を探しているという話は,よく耳にする割には私には縁遠いものでした。猫を飼う家には猫が集まるとはよく言ったもので,猫に縁がない家には,猫に関係するあらゆる物事が全く寄りつかないものです。

 しかし,そんな保護猫の総本山のことが,ある日急に気になりました。保護猫について東京都はどんな対応策を取っているのだろうかとホームページを覗いてみると,譲渡を専門としたセンターがあり,積極的な活動で殺処分ゼロを実現しているということでした。

 そのセンターから譲渡を受けるには,最初に1時間ほどの研修を受ける必要があります。研修は1年間有効で,その間に気に入った猫がいれば,マッチングを確認した上で譲渡されるという段取りです。

 私は妻に,こういうのは縁だし,いいなと思う猫が見つかった時に,さっと引き取れるよう,研修だけは受けておこうと提案しました。それはよいことだと妻も賛成して,我々は6月の末に世田谷の八幡山にある動物愛護相談センターで研修を受けることになりました。

 研修の内容は我々にとっては至極当たり前で,猫との接し方やセンターの役割について,我々の意識をアップデートせねばならないことがなかったことに安心したのですが,センターの担当者が最後に案内してくれたのが,現在保護している猫たちです。

 FIV陽性の白い猫,ダイエットしても9kgもある牛模様の猫,高齢でもう動く元気もない猫,人が来ても全く意に介せず寝ている猫,片側の目が白く濁っている猫,など。

 性格はみんな違っていて,どの猫もとても魅力的です。

 ただ,急ぐことはない,今決める必要はない,必ず飼わないといけないということもない,これから1年間も時間があるんだから,なにか縁があった猫と一緒に暮らそう,もし猫が来なくても,それもまた縁だと思って猫たちと会ったのですが,担当の方が,人なつこい,ある猫を紹介してくれました。

 きれいな長毛種のサビ猫,人なつこくて鳴きながらすり寄ってきます。目がとても綺麗で,こちらをしっかり見ています。

 センターでタニタと呼ばれていたこのメスの猫は,まだホームページに掲載されていない,来たばかりの猫だということでした。都内某所で4月末に脱水し動けなくなっているところを保護され,回復後にこのセンターにやってきて,そろそろ譲渡対象としてホームページに掲載しようかというところで,私たちはこの猫と出会ったわけです。

 研修当日に今ここにいる中から連れて帰ることが出来ないという約束でしたし,向こう1年間でじっくり探すつもりでしたから,他の猫と同じ程度に説明を聞いていたのですが,帰宅後も,このタニタの事がどうにも頭から離れません。

 気になって仕方がないのだと,妻に相談すると,妻も同じような思いだったようです。こういうのも縁だからと,一応詳しい話を聞いてみようと,当日の閉庁30分前に電話をしてみました。

 FIV/FeLV陰性,混合ワクチン接種済,マイクロチップ装着済,不妊手術をしようと思ってお腹を開けたらすでに子宮がなかった,歯の状態から推定5歳くらい,健康で性格も良く,トイレも完璧とのこと。

 しかもまだ譲渡対象としてホームページには載っていません。今は我々しか,この猫のことを知らないのです。

 電話をする前に,余程の事がない限り,うちにお迎えしようと妻とは話し合っていましたが,余程の事もなにも,なにも問題がなく,これ以上の好条件があるのかと思うほどでした。

 電話で,うちにお迎えしたいと希望を伝えました。お迎えの準備もあるので,1週間の時間をもらうことにし,翌週にお迎えすることにしました。

 ただ,私自身は少し複雑で,この猫でなければ,別の猫がうちに来たかも知れません。それも縁ではありますが,選ぶと言う行為の裏側には,選ばれない猫がたくさんいるという現実を見ないわけにはいかないのです。

 週末にかけてあわてて準備をし,翌週タニタに再会,7月1日の午前中に,彼女は我が家に足を踏み入れたのです。

 私たち夫婦にとっては久々の,娘にとっては初めての猫です。猫にとっても我々は初めての相手ですから信頼関係はゼロですが,そこから互いの生活を尊重しながら,同じ場所で生きていくことになります。

 名前は娘が素敵な名前をつけてくれました。「こがれ」といいます。

 体の色を見て思いついた言葉らしく,私も妻もとても良い名前だと思いました。

 こがれさんは落ち着きなく,あちこち歩き回って隠れられそうな場所を探しています。奥の和室のカーテンの陰にさっと隠れると,そこからしばらく出てきません。猫は怖がりですから,しばらく出てこないでしょう。それも当然です。

 きちんと食べて,きちんと寝て,トイレもして,そして少し落ち着いたら,時々遊びに来てくれたらいいです。

 まだ1週間経過していませんが,少しずつ慣れてくれているみたいです。病院の健康診断も済ませ,至って健康であることも,実際はもう少し若いのではないかということもわかりました。

 こがれさんは少しずつ行動範囲を広げています。ほとんど寝ていますが,少し気が向いたら,人間がワイワイとやっているところに,ひょっこりと顔を出してくれます。みんなの視線が彼女に集まります。しかしそんなことにお構いなく,こがれさんはまたどこかに行ってしまいます。

 猫がいてもいなくても,我々の生活は続いていきます。猫と我々が不意に交錯するときはもちろんのこと,互いの姿が見えないときでも「そういえばどこにいるんだ」と気にかけることで,我々の生活は確実に豊かに変わっていくのでしょう。

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