途中経過
- 2006/12/12 19:30
- カテゴリー:カメラに関する濃いはなし
日曜日から始めたミノルタXEのレストアですが,途中経過を書いておきます。結論から言うと,まだまだです。
分解してみたところ,水没や落下による歪みなど,致命的な問題は見あたりませんでした。シャッターも露出計も問題なく動作しているようですし,症状としてスプロケットと巻取リールが回転せずフィルムが送られないという問題以外は,確かにないように思われました。
しかし残念なことは,仮に作業が全部終わっても,実用機として活用できるかどうかはなかなか微妙な感じです。
・ペンタプリズム
一番深刻だったのはペンタプリズムでした。この時代のカメラの多くは,プリズムのクッションにモルトプレーンが使われていますが,また悪いことにこの時期のモルトプレーンは加水分解でドロドロに溶けてしまうのです。
その結果起きる最も深刻なものが,ペンタプリズムの蒸着の剥げです。プリズムには銀なりアルミなりを蒸着して鏡を作ってありますが,これが溶けたモルトプレーンで侵されてしまい,腐食して剥げてしまいます。
ペンタックスのSPやオリンパスのOM-1も有名ですが,この時代のミノルタにも多発している問題で,修理にはプリズムの交換か,再蒸着しかありません。しかし,交換用のプリズムも腐食が進んでいるケースが多いですし,再蒸着は素人にはとても無理です。
今回のXEは,腐食は全く見られなかったのですが,分解してモルトプレーンを確認すると,もうドロドロに溶けています。このまま放置しても,蒸着が腐食するのは時間の問題でしょう。
こういう場合,溶けたモルトプレーンを綺麗に除去し,新しいものに張り替えるのが最善なわけですが,アルコールで拭いてみると蒸着が剥がれてしまいました。もうかなり浸食が進んでいたということなんですね。
幸い剥がれた部分はファインダーの視野の外だったので見た目に問題は出ませんが,不本意ながらこのまま戻すことにしました。いつダメになってしまうか分かりませんが,モルトプレーンは新しいものを貼り付けておいたので,少なくともモルトプレーン自身の腐食は止まるでしょう。蒸着面に残った溶けたモルトプレーンを除去できなかったことで,これが後々問題を起こすことは避けようがありません。
あと,小さな事ですが,やっぱりカビが生えていました。拭き取りましたが,少し跡が残っています。
・サブプリズム
ペンタプリズムから光センサーであるCdSへ光を導くため,サブプリズムが貼り付けられているのがこの時期のミノルタの特徴です。
CdSはペンタプリズムの前後に1つずつ取り付けられており,画面の上半分と下半分の輝度の差を補正して適正露出を得るというCLCという独自の方式が採用されています。
普通,この時期のCdSの取り付けは,アイピースの左右なのですが,ミノルタはペンタプリズムの頂点ですし,キヤノンのF-1なんかはピント板の近くから集光しています。いろいろ試行錯誤があった時代です。
で,XEの場合非常に真面目に光を導いており,ペンタプリズムにサブプリズムを貼り付けてあるのは前述の通りです。問題はこの部分です。
CdSを取り外して分かったのですが,ペンタプリズムとサブプリズムの貼り合わせ面が変色して腐食し,光を通しにくくなっている上,CdSの表面に均等に光が当たらなくなっています。前後両方のサブプリズムで同じ傾向が見られました。
まだ露出計の確認と調整は行っていませんが,おそらく露出の誤差はかなり大きいものになるでしょう。変色して茶色になっているということは,色によって測光結果が変わることにもなりますので,露出計は期待できないでしょう。ということは,XEのようなAE機は,その機能の半分を失ったことになります。
・油ぎれ
今回の問題である巻き上げの異常は,結果だけ言うと多重露光モードになったまま復帰しなかったことにあります。
この話はXEには知られた問題のようなのですが,ちょこちょこといじって多重露光モードを解除しても,多重露光レバーをいじれば再発するそうです。
分解して分かったのですが,全体的に動きが渋く,汚れと油ぎれがかなりひどい状態でした。素人修理の御法度に給油があるのですが,背に腹は代えられません。模型で使う良質の薄めのオイルをほんの少しだけさしてやります。
もともとグリスが塗られていた部分も見つけては,テフロンいりのグリスを少しだけ塗ってやり,かなり動きはましになりました。それでも完全分解したわけではありませんので,ちょっとした引っかかりが気になるところです。
・モルトプレーンの腐食
ペンタプリズムだけではなく,すべてのモルトが腐食していました。ミラーの保護用のモルトは言うに及ばず,裏蓋の遮光用も全滅です。XEは結構モルトプレーンを多用しているカメラのようで,プリズムのカバーにも遮光用に使われていますし,びっくりしたのは多重露光レバーの回転部分の隙間を埋めて遮光するために,モルトが使われていたことでした。
という感じで,機械的に壊れた部分はそれほどないにせよ,全体的な程度の悪さは否めないと思います。この時代のカメラですから,当たり前といえば当たり前なのですが・・・
特にプリズムの腐食は深刻で,最終的に露出計の動作に支障が出るはずですから,実用機として使えるかどうかはかなり疑問です。
全体のメンテは一応終わったのですが,これから組み立てながら電気回路のチェックを行います。そうするともっといろいろ問題が出てくるのではないかと思います。
あと,カバーを開けたときに,バネが1つ落ちてきました。これがどこから外れたものなのか,現在も特定できていません。サービスマニュアルとにらめっこが続いています・・・