WP34Sのオーバーレイを作ってみよう
- 2013/02/08 14:32
- カテゴリー:マニアックなおはなし
先日アメリカから届いたWP34Sのキーボードオーバーレイは,さすがに実績もあって剥がれにくく,感触もよくて,まさに最良の選択肢です。
価格も送料込みで1枚わずかに6ドルですが,それ以上に綺麗に型でカッティングされているというだけでも他の手段を考える理由はないように思います。
しかし,届くのに時間もかかりますし,張り付けるのに失敗出来ないとか,やはり海を渡ってやってくることに対する抵抗感というのはあって,私はとりあえず自分でどれくらい良いものを作る事が出来るか,試行錯誤を繰り返していました。
WP34Sには,キーボードオーバーレイの画像が配布されているので,これを600dpiで印刷すれば原寸大のオーバーレイシートを印刷することが出来ます。ですから,自分で解決するべき問題は2つあって,1つは何に印刷するか,もう1つはどうやってカットするか,です。
・チャレンジ(1)
印刷は耐久性と発色に優れた,エーワンの手作りステッカー用シール用紙(品番28808:現在は廃番)を使ってみました。これは,かつて自作の周波数カウンタやデジタルアンプのパネルを印刷して張り付けるのに使っていて,気に入っています。
表面の保護フィルムを貼るとかなり分厚くなり,曲がったところに貼ると剥がれてくるのが難点です。
印刷は綺麗に出来るのですが,問題はカットです。オーバーレイの画像をよく見ると,キーの左右と上には線が書かれているのに,下側には線が書かれていません。
ふと思ったのは,この部分を切らずに残すことで,キーが手前の部分を支点に沈むように動き,HP20bのような全部が沈み込むキーでも,HP30bやHP35Sのような押し心地を実現出来るようにしてあるんじゃないのか,ということです。
かくして,左右と上の部分だけカッターで切れ目を入れました。
裏紙を剥がして本体に張り付けたところ,キーに張り付ける部分が大きすぎて,キーから大幅にはみ出します。仕方がないので,カッターで切ったり削ったりをそれぞれのキーごとに行う手間をかけました。
ぱっと見るとなかなか綺麗に仕上がったように見えるのですが,シードが分厚く,キーから剥がれてきました。さらに,キーの下側は本体の表面に張り付けられる部分とつながっていますが,この部分から本体部分に張り付けられてところが剥がれてきました。
また,うまく表面の保護フィルムが貼れなかったらしく,全体に歪んでしまったようで,2日もするとあちこち浮き始めてしまいました。こうなるともう駄目ですね。あきらめるしかありません。
・チャレンジ(2)
ということで,印刷するシートは同じ物を使うとして,平面に綺麗に保護フィルムを貼って歪みを減らすことと,カットの工夫を行う事にします。
カットの工夫はいろいろ考えたのですが,この手のシールは面で貼るとどうしても浮いてきます。そこで出来るだけ線で貼るような作戦でいくことにします。
まず,本体表面に貼る部分も,キーの下に貼られる部分だけにしてカットしてしまいます。ちょっと不細工ですが,綺麗に貼れる事の方が重要です。
キー表面に貼る物は完全に切り離して貼り付けます。そうしないと,本体部分とつながったところが浮いてしまいます。この時,少し小さめに切り出しておくとうまく貼れます。
結果ですが,ぱっと見た目には綺麗で,うまく仕上がったように思えました。ところがやっぱり,キーに貼り付けたシールが,曲がったところで浮いてきます。本体に貼り付けた方は大丈夫のですが,キーのほぼすべてが浮いてしまうのです。
強めの両面テープで貼り直したりしましたが,やはりだめです。もっと薄い物,あるいは保護フィルムを重ねないタイプの物を選ぶしかなさそうです。
・チャレンジ(3)
今度はシートを選んでみました。薄いこと,インクジェットプリンタで綺麗に印刷出来る事,耐水性と耐油性に優れていることが重要です。
選択肢は2つあり,1つは保護フィルムを使わないタイプ。印刷面が表面に出ますが,どういう訳だか耐水性がうたわれています。もう1つは転写シールというもので,プラモデルでよく使われるデカールをじぶんで作るようなものです。
後者は薄くなることは間違いないし,最近は糊が白色になっており,下地が透明な物しか手に入らなかった昔と違って白色を表現出来るようになっているのですが,いかんせん糊が水溶性ですし,転写したフィルムもひっかくと剥がれるそうです。また,いくら白色を表現出来るとはいえ,下地が透けて見えるという話ですので,今回の用途には工夫をしないと使えそうにありません。
それに,プラモデルのデカールは,貼るのがなかなか難しいわけですが,それをこの形状のキーに貼り付けるのは,なかなか大変そうだという事で今回はやめました。
それで,今回選んだのは,エーワンのラベルシール(品番29281)です。白色のポリエステルフィルムで,表面はインクを吸収・定着する層になっているようです。これまで使っていたステッカー印刷用紙に保護フィルムを貼らないで使うような感じでしょうか。
水溶性の染料インクを使ったインクジェットで印刷して,水に強いなどと言うのはどうも信用出来ないなあと思ったのですが,長時間でなければ滲んだり流れたりすることはなさそうです。しかし,さすがに指で触る物だけに,油には耐えられないんじゃないかと思います。
そこで,表面の保護層を作るべきと考えたのですが,私の場合クリアラッカーを軽く吹き付けました。
印刷してから一晩放置し,クレオスのスーパークリアの半光沢をさっと2,3回吹きます。発色も良くなり,触った感じも改善されて,かなり良い感じになりました。
これを(2)と同じようにカットして,貼り付けていきます。なるほど,うまくいきそうです。
しかし,やはりキーの小さな物は一部剥がれてしまいます。そこで折れ曲がる部分をさっとカッターでなぞって,弱く切れ目をいれてから,合成ゴム系の接着剤を使って接着しました。
これで今のところ問題は起きていません。見た目もなかなか良くて,素人の工作としては,まあこんなもんだろうという出来です。
今回のオーバーレイの自作で大事なことは,薄くて綺麗に印刷出来るシートを,実用上十分な強度の保護層で仕上げて作るというプロセスを完成できたことでしょう。吹き付けるスーパークリアは(気休めかも知れませんが)UVカットですので,紫外線による退色はちょっとでも改善されると思いますし,耐油性も耐水性も確実に向上していることでしょう。
保護フィルムのあるステッカーシートよりも随分安価ですし,これをうまく使えば自作品のケースを綺麗に安価に仕上げることが出来そうです。