ミニパンチの復活
- 2016/03/01 14:30
- カテゴリー:make:
そう,あれは私が中学生の時でした。中学校で初めて,同じ電子工作の趣味を持った友人に出会った(なんかスティーブ・ジョブズっぽい)のですが,彼は私よりも1歩も2歩も先を進んでいて,私の知識や技能が一気に進歩したことがありました。
改めて考えてみると,今の知識や技能のベースは,この時に手に入れた物だったりします。タッパーにハンダゴテで穴を開けてケースを加工するのではなく,アルミケースにドリルで穴を開けるようになったのも,この頃の話です。
子供の工作から大人の趣味へ。ちょうど変化点だったように思います。
で,彼と話をしていると,「ミニパンチ」なるものを教えてくれました。
9mmや10mmといった,ドリルで開けるにはちょっと大きく,でもリーマーで広げたりヤスリで削ると綺麗な丸穴にならないという苦労は,ケース加工をやったことのあるホビーストなら経験したことがあると思います。
かくいう私もそうだったのですが,彼の工作物はとても綺麗なのです。聞けば,ミニパンチを使っていると言うことでした。
ホーザンという工具メーカーから出ている「ミニパンチ」は,真空管のソケットの穴開け用に用意された工具「シャシーパンチ」の小型版です。
シャシーパンチはウスとカッター,そしてセンターボルトからなる工具で,ウスのくぼみにカッターがねじ込まれることで,間に挟まれた板が切れるという仕組みの物です。
センターボルトでねじ込むということ以外は,プロが使うプレスと同じ仕組みで,とても簡単に綺麗な穴を開けることが出来ます。
写真の通り,ミニパンチも同じ構造をしていて,サイズに合わせて4種類が販売されていました。7mmと8mmがK-71,9mmと10mmがK-72,12mmと13mmがK-73,14mmと15mmがK-74という商品名で販売されていたのですが,20年ほど前に生産終了となり,現在は補修部品さえも手に入りません。
1つ1000円ちょっとと,そんなに安くもない工具だったのですが,特にRCAピンジャックなどで,綺麗に揃った穴を複数開けるときにとても重宝しました。
友人にお勧めされた9mmと10mmのK-72だけを買って便利に使っていたのですが,切れ味が落ちてきたことと,もう少し小さい径の物が欲しいと言うことで,K-71も一緒に買ったのが,25年ほど前の話です。
しかし,工具の扱いが荒っぽく,かつ鈍くさい私は,このK-71を買ってすぐにこわしてしまいます。K-71は7mmと8mmですので,センターボルトがM4と細く,K-71のM5に比べて折れやすいのです。
厚みはそれ程でもなかったのですが,アルミの厚さにムラがあり,斜めにカッターが入ってしまったことでボルトがねじれてしまい,写真のようにポキッと折れてしまったのです。
折れたボルトはウスからなんとか抜き取りましたが,短くなったボルトはもう使えません。強い力がかかるボルトですので,そこら辺のM4のネジでは耐えきれないだろうと,もうあきらめてしまいました。
後年,部品注文をしよう,あるいは修理依頼をしようと気が付いても時既に遅し。すでに部品がなくなっており,結局どうにもならないまま,工具箱に転がっておりました。
先日,そのK-71を眺めていて,手持ちの硬そうなM4のネジを使って,柔らかいアルミくらいなら切れないかとためしてみたところ,とても綺麗に開けることができました。プラスのネジでしたが,電動ドライバーでねじ込めば,非常に楽ちんでもありました。
これなら,もっと硬いボルトを探せばそれなりに使えるんじゃないかと思い立ちました。いつかアキバに行ったときに探してみようと思っていましたが,当面行くことがなさそうなので,通販で探してみると,いろいろ見つかりました。
とはいえ,M4で高強度,頭が六角で長さも30mmというのはなかなか見つからず,ようやく見つけたのがBUMAX88のキャップボルトというやつです。
ステンレスというのはそんなに硬いわけではないのですが,このBUMAX88というのは,鉄製の高強度ボルトと比較し,同等かそれ以上の強度があるんだそうです。だから,それまで太い鉄製のボルトを使っていた場所に,細いBUMAXを使えば同じ強度で小さく軽く安く,ダウンサイジングが可能になるんだそうです。
私はネジの専門家ではないので,普通に手に入る六角レンチで回せる硬いボルトがあればいいんですが,とにかくざっと探して一番強そうなものを選びました。2本で500円。高いと言えば高いですが,ミニパンチが復活するなら安いです。
届いたものが,以下の写真のようなものです。
早速試してみましょう。まず,4mmの下穴を開けます。これはラフでいいです。そして,ウスを下側に,カッターを上側にして,ボルトを通します。
あとは六角レンチでぐいぐいとねじ込んでいきます。そしてあいた穴がこれです。
とりあえずうまくいきました。1mmの柔らかいアルミですので問題なしだったんでしょうが,嫌な音もせず,急にトルクがかかったりすることもなく,非常にうまくいったと思います。
以外に六角レンチを回すのに手が痛かったので,ここは小型のラチェットを使えばいいように思いますが,あまり楽に回せてしまうと負荷がかかったことに気が付かず,またボルトを折ってしまうかもしれません。まあ,これくらいがちょうどいいのかも知れないですね。
ということで,K-71が復活です。
ドリルで開けられる6.5mm以上で,かつシャシーパンチで開けられる16mm以下の穴を綺麗にあける決定版であるミニパンチが手に入らないことで,私は小型のホールソーや,タケノコドリルも買ってみたのですが,やっぱりミニパンチが一番です。出来れば再販して欲しい所ですが,ホーザンしか作っていなかったという話から考えても,望み薄です。
7mmと8mmという穴も,綺麗に開けるのが難しいものです。20年ぶりに復活したミニパンチ。どんどん使っていけそうです。