DM15Lの製造不良
- 2019/02/07 12:49
- カテゴリー:マニアックなおはなし
DM15Lを手に入れてから,すっかりHPの電卓の虜になってしまって毎日遊んでいるのですが,そのDM15L,最上段左から4番目にあるy^xキーがおかしいことに気付き,気になっていました。
このキーだけ,やたらと固いのです。
押し込むのに明らかに力が必要で,他に比べて強く押し込まないといけません。心なしかキーストロークの遊びも少ない感じがしていて,没頭してキーを押す私の楽しみに水を差します。これはいかん。
分解してみると,分厚い基板に作られたキーのパターンの上に,通称ペコ板といわれているメタルドームがおかれていて,これも少し厚めのテープで貼り付けられています。
ペコ板はバネ性の薄い金属板なのですが,中央部がこんもりと盛り上がるようにプレスされていて,ここを押し込むと金属板が歪んでへこむ仕組みです。押し込むのをやめればバネの力で元の形状に復元するので,押しボタンスイッチとして使えるわけです。
ポチポチといった感触のスイッチには概ねこの仕組みが使われているのですが,HPの電卓に共通するポチポチ感は,このペコ板スイッチによって作られています。
感触の違いがあるのは珍しいことですが,ペコ板の成型不良や腐食,破損はもちろんのこと,ペコ板を張り付けた位置が少しずれると感触が大きく変わってしまうので,私はこのあたりを疑っていました。
ペコ板を直接押し込んでもやっぱり固く,位置がずれていることが問題ではなさそうです。となるとペコ板そのものの問題という事になりますが,面積の大きなテープが再利用できなくなるのが怖くて,剥がすことは避けようと考えました。
そこで,ペコ板のバネの力を弱めてみようということになり,プレスされた角の部分をドライバーの先っぽでぐいぐいと押し,柔らかくなる方向で変形をさせます。
微妙な変形によってあのクリック感が作られているので,事は慎重に進めねばなりません。
まだ違和感がありますが,かなり改善されたことに妥協し,組み立て直します。固さは改善されたものの,ストロークの遊びやストロークそのものの浅さ,そして押し込んだ時のおかしな音がとても気になります。
さてどうしたものか。数日間考えて出した結論は,固くても問題がない特殊キーの代表であるONキーのペコ板と交換することでした。そのためにテープを剥がしてしまうことはやむを得ず,再利用できるように慎重に作業することにします。
昨夜作業を試みたのですが,まずテープを剥がす前にペコ板の中央位置を示すマーキングを油性のペンでしておきます。
それからテープを剥がしてペコ板を取り出すのですが,テープを剥がすことは簡単で,ドライヤーで暖めることも必要なく,端っこをつまんで引っ張るとペリペリと綺麗に剥がれてくれました。
最初に取り出しやすいONキーのペコ板を取り外します。
次にy^xキーのペコ板を取り出すのですが,ここで驚くべき事実が判明します。
ペコ板が2枚重なっていました・・・
なるほど,それで固く,ストロークも浅く,遊びも少ないわけですよ。2枚重なっているからクリック音もポコポコと言いますしね。
ペコ板を1枚にして押し込んでみると,確かに感触は1枚分のそれです。しかし,すでにドライバーの先っぽで変形しているペコ板は,元の軽快なクリック感を保ってはいませんでした。ああ,くやしい。
しばらく考えた後,やっぱりONボタンのペコ板と交換することにしました。これにより,Y^xキーは他のキーと同じ感触になりますが,ONキーはちょっと柔らかい感触になります。
ただ,ONキーのキートップは薄くなっているし,端っこにあるので少々感触が違っていても構いません。それに,使う度に必ず押すキーではありますが,何度も何度も押されるキーではありません。
実際に入れ替えてみると,y^xキーはもちろん文句なし。しかしONキーはふにゃっとした感覚が若干気になる感じです。まあ,十分許容範囲なのですが・・・
とりあえず,これで組み立てを完了することにしました。実際に使ってみると確かにONキーには問題がありますし,最初の行う儀式として,ONキーの感触には特にこだわるべきなのではという気もするのですが,ここに至って部品の交換以外に手はありませんから,現実的にはあきらめざるを得ません。
どうしても気になるというのであれば,また別の方法を考えてみますが,今はこれが最善でしょう。なんといってもy^xキーが完治したのは大きいです。
とまあ,これが大手メーカーの製品なら,修理なり交換なりのサポートをお願いするところなんですが,細々とやってるらしいと言う遙かスイスのメーカーに文句を言う気にもなりません。
製造不良ですし,言えばちゃんと面倒を見てくれるようにも思うのですが,ユーザーが一手間二手間かけて完成させていくのも折り込み済みで,誤解を恐れずに言えばそれも楽しみの1つだったりします。(もちろん手に負えないときには深追いしないでサポートをお願いするのが最善です)
とまあいうわけで,Swissmicrosの製品を買うときには,注意しましょう。