上からも下からも
- 2012/03/05 13:07
- カテゴリー:散財
あちこちで話題になったので今さら説明は不要かと思いますが,どちら向きにも差し込むことが出来るUSBコネクタを装備したUSBハブ,バッファーローコクヨサプライの「BSH4U17WH」を買いました。お値段は1280円に10%のポイント。
今さらUSB2.0の4ポートバスパワードのハブにしては,面白いギミックで久々に注目度が高く,私の嫁さんでも「あーあれね」と知っている程です。これすなわち,USBのコネクタに対する,潜在的な不満が既に一般の人々にも鬱積している証拠でしょう。
USBが登場して15年にもなりますかね,確か初代iMacにUSBが搭載されたのが1998年,そのころから急速にUSBを目にすることが増えたように思います。私がUSBのAコネクタを見た時に驚いたのは,ぱっと見て上下どちらでも差し込むことが出来るような,真四角の構造をしていることでした。
4極の端子を持ち,それぞれが正しく接続される必要があるUSBは,当然事ながら,逆向きにひっくり返して差し込めると壊れてしまうし,動きません。だから逆接続防止用の機構がついているわけですが,これがAコネクタの内側にあるので,外側からみても正しい向きがわからないのです。
いちいちコネクタの内側を覗き込んで向きを確かめるのが癖になるまで,私は差し込んでダメならひっくり返す,を繰り返すことになりました。
急いでいるときほど,また背面のコネクタに差し込むときほど,逆になることが多くて,このコネクタを考えた人,認めた人は,執事なりメイドなりにコネクタを挿すように命じるだけで済むようなお金持ちなんだろうなと思ったものです。
我々庶民は,自分の事は自分でせねばなりません。イライラしながらも,なんとか折り合いを付けていたのが,これまででした。
例えばですね,Aコネクタの外側の指でつまむところを少し工夫して,差し込む方向が指で分かるようにしてくれていればまだマシなのですが,そういうことをしてくれるケーブルメーカーも少なく,目の不自由な方にはとても困るだろうなあと,真面目に心配したものです。この点,IEEE1394などは5角形のコネクタですので,ちらっと見れば向きは一目瞭然ですし,指で触れば何となくわかります。
10年越しの不便さに慣れることは,確かに失敗を防ぐことと失敗したときの悔しさを緩和することには貢献しましたが,SDカードリーダーのカードスロットが向こう側を向いてしまうなどの,根本的な不便さを解消してはくれません。悪貨が良貨を駆逐する,の典型例だなあと思っていました。
しかし2012年,とうとうこれを根本解決するコネクタが登場するわけです。
ちょうどハブがなくて家で不便をしていた私は,通常のハブを買い足しても別の不便さがやってくることを恐れて,ハブを買うことを躊躇していましたが,とうとう登場した上下を気にしないで済むハブが登場するという話を耳にして,これこそ私が求めていたものだと,予約をして買うことにしました。
先日届いたのですが,ちょっとだけインプレッションです。
(1)看板に偽りなし
とても安っぽく,とても不格好な,なんでもない4ポートのハブですが,4つのUSBコネクタの形状は見慣れたUSBのAコネクタとはちょっと違っています。
上下をひっくり返してもちゃんと差し込めるという便利なコネクタですが,実際に試してみると本当にどちらの向きにも問題なく差し込むことが出来て,もちろんちゃんと動作してくれます。
まず,ここで「おー」と感心するわけです。
どんな風になっているのかと思ってよく見てみます。
通常,USBコネクタの内側には,4つの端子が列んだ板があります。この板がそれなりの厚みを持っていて,板とコネクタの枠との間の隙間が,上下で異なる事で,逆指しが出来ないようになっています。
コネクタの内側に逆指し防止の仕組み(これをキーと言います)を入れたことがそもそもの失敗だったわけですが,今回のハブのコネクタは,この端子が列んだ板を薄くし,どちらの向きにも差し込むことが出来るようになっています。
そして,端子を板の表と裏の両側に設けて,電気的にも接続が行われるわけですね。いやー,大したものです。
特殊なギミックでもないし,可動部分もないわけで,仕組みと言うほど複雑なものではありませんが,これを実際に思いついて実行に移すのは,なかなか大変だったと思います。
(2)USBロゴがない?
で,このコネクタですが,明らかにUSBの仕様違反です。よって,USBのロゴを付けることが出来ないのでしょうね,実際にこの製品のどこにも,USBのロゴは付いていません。
実害がないからそれでいい,という考え方もありますが,実は実害もあります。例えば外枠のないUSBコネクタを差し込む場合,端子の列んだ板が薄いので挟む力が弱く,安定しません。まあ,外枠のないコネクタは,そもそもUSBの仕様を満たしていないので,面倒を見る必要はないかも知れません。
正規のコネクタを差し込んだ場合でも,やはり差し込みが緩くて,特に上下方向にグラグラします。決して抜けそうになるというようなことはないのですが,これだけグラグラすると,ちょっと不安です。
(3)安っぽいかも
私は白を買いましたが,これがもう安っぽいのです。デザインもぱっとしないし,バリもあります。塗装がないのは当たり前としても,成型色そのままの白が,まるでノベルティで配られるハブのようなチープさです。
安っぽく見せている原因は,印刷やカラーリングが全くないことでしょう。文字のシルク印刷が全くないなんて,アマチュアの電子工作並みです。
また,4ポートのハブとしては,やや大柄です。はっきりいって邪魔です。
(4)そして案外使いにくい
差し込まれる側のAコネクタは確かに上下関係なく,便利そうです。しかし,PCなどに差し込む側の短いケーブルの取り回しが悪すぎて,ハブが邪魔な場所にしか置けません。
ノートPCの右側のUSBコネクタに差し込めば,ハブはこちらを向きますので便利そうです。しかし,左側に差し込むとハブは向こうを向いてしまうので,とても面倒です。
ねじってこちらを向ければ良いのですが,PCと繋ぐ短いケーブルが固く平べったいケーブルなので,ねじるのが難しいです。もう少し柔らかくて細いケーブルを使ってくれるか,あるいはこちらのコネクタも上下どちらでも差し込めるタイプにしてくれれば良かったのになあと,思います。
(5)結論
まず,バッファローブランドの1280円のハブですので,ごく普通のハブであり,それ以上でも以下でもないということを,最初に覚悟すべきでしょう。これが2480円くらいのものになると,もう少し高級感があったり,使いやすかったり格好良かったりするのでしょうが,所詮は1000円ちょっとの製品です。
そして,ハブとしては大きく邪魔,しかもケーブルが固く短いため,取り回しが悪くて,外したくなります。これなら,もう少し使い勝手の良いハブを探して買った方が幸せになる人がいるかも知れません。
ということで,近年希に見る面白い周辺機器ではありますが,おすすめ,という訳にはいきません。
おそらく,ですが,これだけ話題になった商品ですし,品薄で入手が難しかったとも言いますから,バッファローからもこれを踏襲する新製品が出てくるでしょうし,他社からも似たようなものが出てくる事と思います。
ある電子パーツ屋さんなどは,このコネクタだけ売りたいといったりしてますので,もしかするとコネクタメーカーが用意するということが起こるかも知れません。そうなると,自作PCのケースやUSBカードあたりに搭載されるようになるかも知れません。
ただし,これも事故が起こらないことが条件で,この「仕様違反」のコネクタのせいで不良品が多発する,故障が多い,火を噴くとかPCを壊すとか,そういう事故が起きてしまうと,この商品は以後出てこなくなるでしょう。そういうことがないように,祈るだけです。
気になっている方も多いと思いますが,今回はちょっと見送りでも,よいんじゃないでしょうか。次に期待しましょう,次に。