はじめてバックロードホーンを作った
- 2015/08/25 07:54
- カテゴリー:make:
最後のネタですが,すでに毎年恒例となった感のある,ステレオ誌のスピーカーの付録です。
さすがの私も,毎年彼らに付き合うほどスピーカー作りが好きなわけではないのですが,今年はその祭りに参加してみました。
スピーカー工作というのは,まさに夏休みの工作らしく,子供でも大人でも楽しめるもので,かつ実用性もあるものですが,そうはいっても数が必要なものではないですし,それなりにかさばるものですから,作ったあとどうするかを考えると,ちょっと頭が痛くなります。
そういう理由で,スピーカー工作を避けてきた私ですが,今回は付録のスピーカーにあわせて用意された,エンクロージャーのキットが大変興味深く,これなら作って見る価値があると思ったのです。
それは,側面がA4サイズのバックロードホーンのエンクロージャです。
私は,バックロードホーンには昔から興味があるのですが,ある程度の大きさがないとダメだろうし,なにかとクセも強そう(だから市販品にほとんど存在しない)だと思っていて,なかなか手を出せずにいました。
ただ,私が今の道に入るきっかけの1つになった,叔父が自作したスピーカーがバックロードホーンだったこともあり,いつかは自分の耳でその性格を確かめてみたいものだと思っていました。
とにかく小さいものでないと置く場所もないし,ということで,数年前にはブックシェルフくらいの大きさの,小型のバックロードホーンのエンクロージャを,見よう見まねで設計まではしたのですが,なにせ木工が昔から下手だった私の事,実際に作ることまでせずに来てしまいました。
それが,今回はキットになっています。価格も5000円未満です。
ということで,私はこのキットと,せっかくだから付録のスピーカーも手に入れるため,雑誌の方も手に入れました。木工はほとんどやらないので,木工ボンドと水性ウレタンニスも用意しました。
木工なんて中学生の時以来じゃないでしょうか。
付録のユニットはフォステクスのP1000で,全く同じ物ではないとはいえ,1500円程度で市販されている10cmのフルレンジです。付録ですからそんなに期待してはいませんが,このご時世に,1500円くらいでちゃんとしたHiFi用のスピーカーを用意してくれているというのは,大変うれしいことです。1980年代には,フォステクスをはじめ,テクニクス,コーラル,パイオニアと,ユニットもいろいろ選べたんですが・・・
ちょうど東京は真夏日の連続記録を更新中という酷暑の真っ最中でしたが,夜中に汗をタオルでふきふき,組み立てていきます。
他でも紹介されているように,切り出されたMDFボードの加工精度は高く,あまり余計な事を考えなくても,普通に木工ボンドで接着すれば完成します。ただ,バックロード本は内部に細かい仕切りがありますから,これが傾いたりしないように,直角だけは意識して組み立てないといけません。
そのために,組み立て方としてクラフトテープで固定しながらの作業が紹介されていました。私は手持ちの関係でマスキングテープを使いましたが,これでも十分です。
誤算だったのは,板に押された数字のスタンプが消えないことでしょうか。私はてっきり,消しゴムで消えるんだろうと思っていたのですが,残念ながら紙やすりで削るしかないようです。
組み立てそのものは問題なく,さくさくと進んだのですが大変だったのは塗装です。MDFですから塗装しないとちょっと格好悪く,いろいろ考えた末に,随分と使いやすくなっているという,水性ウレタンニスを使う事にしました。
木目のビニルシートを貼ることも,奮発して突き板を貼ることも考えましたが,どっちにしても買いに行かないといけませんし,夏休みの工作っぽいのは,やはりベタベタと厚塗りをした,ニスで仕上げることです。
組み立てたエンクロージャをmサンダーで研いで表面を滑らかにします。といってもMDFですから,そんなに気合いを入れる必要はありません。
そしてニスを塗ります。この水性ウレタンニスは,私は始めてつかいますので,どうも勝手が分かりません。大きめの刷毛でベタベタ塗ったところ,刷毛のムラが強烈についてしまい,さながら木目のようです。いかにも不細工で,これはいけません。
何度か重ね塗りをしてから,今度は400番のサンドペーパーで磨き,表面を滑らかにします。そして軽く,仕上げ塗りをしようという作戦です。
ただ,細かいカスがいっぱい出てあたりを汚すのは間違いないし,目詰まりしてすぐにサンドペーパーがダメになるのは目に見えているので,ここは意を決して風呂場で水研ぎです。
茶色いカスが水に溶け,それはそれはひどいことになってしまったのですが,スポンジで擦れば落ちる汚れですから,気にせず磨いていきます。途中,嫁さんと娘に見つかり,「ありゃー」と嘆かれることもありましたが,なんとか作業を終了。
良く乾かしてから,水で薄めたニスで仕上げ塗りです。この薄めるという話は非常に重要で,乾きが早いとムラになりがちです。水で薄めて,乾く時間を遅くしてやると,表面がすーっと滑らかに広がってくれます。
そして完成。おかしいなあ,まるで木目のような模様が出ています。
ぱっと見ると,なかなか味のある仕上がりです。決して上手ではないのですが,これはこれでありだなと,思いました。
実はこの塗装の前に,問題が1つ残っていました。スピーカーのターミナルが外れてしまったのを,どうするかです。
側板を接着する前に,ユニットとターミナルを繋ぐ配線をして,通した穴をホットメルトで埋めたのですが,ターミナルをネジ止めせず磨いていたら,抜けてしまったのです。
少し余裕を見て長めに配線しておけば問題はなかったのですが,うっかりギリギリにしてあったので,抜けた配線をターミナルに差込直すことが出来ません。最悪ハンダ付けで配線を延長するかなと思っていたのですが,それもうまくいかずに,困っていました。
そこで,ホットメルトを剥がして,長さを調整することにしたんですが,失敗すると取り返しがつきません。慎重に作業を進めると,うまく2cmほど,後ろ側に引っ張ることができました。
めでたくターミナルもユニットも取り付けることが出来て,これで音が出せるようになりました。
早速音を出します。
・・・うーん,なんだか,期待外れです。完全なかまぼこ形で,中音域だけしか聞こえてきません。まずなんといっても,高音がさっぱり出てこず,まるでラジカセの音のようです。
低音についても,伸びる伸びないという話以前に,全然出ていません。開口部に耳を近づけると,なるほどボンボンと低音が出ているのがわかりますし,バスレフのような弾むような音ではなく,迫力はないとは言えホーンスピーカーらしいズドーンとした音の傾向があるのはわかります。
しかし,帯域と量が足りません。バスドラムの音がポンポンと言っています。ベースも良く聞こえません。
でも,フルレンジならではの定位の良さはさすがで,ボーカルは真ん中にばちっとはまって,動きません。人の声は心地いいです。
元のパイオニアのフルレンジに戻すと,とてもいい音です。高域も低域も伸びているし,定位も抜群です。
これはもう,ユニットの性能差だなと思い,このバックロードホーンを常用するのは,あきらめました。
10cmのユニットをもっといいものに交換するとよいように思います。数年前のステレオ誌の付録にあった,スキャンスピークの10cmフルレンジをとりあえず取り付けるのもいいんですが,せっかくですからフォステクスのFE103Enなんかを取り付ければ,きっと満足のいくスピーカーが出来そうです。
でも,2本買うと12000円ですからね。ちょっと考え込んでしまいます。
エンクロージャそのものは,なかなか良く出来ましたから,これは継続検討です。
ところで,この検討で改めて感心したのが,同じステレオの付録についてきたデジタルアンプ,LXA-OT1の素性の良さです。
実は,リビングにあるCM1の音が物足りないのは,もしかするとDENONのアンプが悪いんじゃないか,と思っていり,かつてボーカルの再現性や定位感が感動的だったことの理由は,ひょっとしてLXA-OT1が良いものであったから,ではないかと最近思っています。
LXA-OT1で今回のバックロードホーンのエンクロージャも試して見ましたが,やはりボーカルは素晴らしく,定位感もよいのです。パイオニアのスピーカーに変えてもその傾向は同じで,実に心地よいのはやっぱりLXA-OT1のおかげじゃないかと思っています。