エントリー

2023年07月05日の記事は以下のとおりです。

2465Aのプチメンテ

 計測器関連で,あると便利かなと思うようなものは,もうないかも知れないと思っていた矢先,ふとしたことからアクティブプローブの故障品を入手しました。テクトロニクスのP6201というものです。

 オシロスコープが誰でも買えてしまう測定器になって久しいですが,だからといってプロとアマチュアの間の差が縮まったかと言えばそんなことはなく,そこに横たわる最も大きな差はおそらくプロービングでしょう。

 最近は最初のオシロスコープが新品だったという人が増えたこともあり,付属してくる1:10プローブを無意識のうちに使うようになってきていると思いますが,残念な事にここ止まりなのがアマチュアだと言い切ってしまいましょう。

 パッシブプローブは安価ですし,使い勝手も良い上,万能選手ですのでこれで不満が出ることは少ないと思いますが,これで不満が出始めるともうプロ級です。検討する回路の範囲が広がって行くに従って欲しくなるプローブは自ずと特殊性が高くなるわけで,その代表格が電流プローブとアクティブプローブでしょう。

 電流プローブはその名の通り電流を測定するプローブで,電流の波形が見たいとき,例えばスイッチング電源のコイルに流れる電流の波形を見たい時にはこれがないとお手上げです。

 一方のアクティブプローブはFETプローブとも言われていて,プローブの入力部がFETで受ける様になっているものです。パッシブプローブと違って測定対象から見た負荷がFETだけになりますから,回路に与える影響が小さく出来ます。(その代わり電源が必要になります)

 通常のパッシブプローブだと入力容量は10pF程度になりますが,アクティブプローブ(P6201)だとわずか3pF,1:10のアッテネータを用いると1.5pFになります。

 水晶発振子が発振しているかを確認しようとして,プローブを当てたら発振が止まったり,逆に発振していないんじゃないかと思った水晶発振子がプローブを当てると発振したりと,10pFで結果が大きく変わるような回路の測定が上手くいかなかった経験のお持ちの方もいると思います。

 あるいは100MHzを越えるようなデジタル信号の波形を見ようとして,パッシブプローブを当てたら回路そのものが動かなくなってしまったりとか,そういうことも思い当たるかもしれません。

 これ,いずれも10pFという容量が悪さをしています。水晶発振についてはこの容量のせいで発振が止まらずとも,周波数がズレてしまうものですので,パッシブプローブではもうお手上げなのです。

 そこでアクティブプローブです。かつてはこうした用途での測定に用いられる特殊なプローブという扱いでしたが,1GHzを越えるような高速オシロスコープでは,標準搭載されることも普通になってきました。

 で,P6201というアクティブプローブは,名門テクトロニクスのプローブの1つで,1970年代初期に発売になって,1990年頃まで現役だったロングセラーです。900MHzまで使える帯域の広さ,汎用性と安定した性能から,国産のスペアナなどの測定器も,P6201を使う事が前提になっていたほどです。

 電源はオシロスコープ本体から供給される仕組みですが,別売りの外部電源を用いれば現在でも十分に使えるもので,古き良きアナログ全盛のテクトロニクスの商品にあって,現在でもなかなかの人気商品だったりします。

 私も過去に何度か仕事でアクティブプローブの世話になり,その都度「いいなあ」と思ってはいたのですが,高価ですし個人で持つにはしんどいなと,今まで入手を考える事すらしてきませんでした。

 しかし,今回ふとしたことから入手し,俄然興味がわいてきたというわけです。

 P6201を動かすには,まず電源です。幸い私のアナログオシロ,2465Aにはオプション11というプローブ用の電源コネクタが用意されているので,とりあえず電源はここから確保です。

 電源ON,しかし残念な事にP6201はまったく動きませんでした。もともと故障品という事でもらったものですので期待していなかったのですが,入力部のFETが死んでいるくらいだろうと思っていたので,これほどうんともすんと言わないとは,思っていませんでした。

 P6201は,実は高周波と低周波で内部の信号経路が違います。高周波ではMMBF4416というRF用のJ-FETに入るのですが,低周波ではLM308AというOP-AMPに入ります。それぞれの出力は最終段のドライバで上手く合成されるようで,経路には切り替えスイッチなどはありません。面白い回路です。すばらしい。

 で,問題はこのJ-FETで,過大入力があったりすると,割に簡単に壊れるそうです。静電気もそうですし,GNDのミノムシクリップが外れたりするとGNDから浮いた信号で壊れたりすることもあるそうです。

  FETが壊れてもOP-AMPは壊れていませんから,100kHzくらいの周波数だと問題なく動いてしまい,FETの破損に気が付かないそうです。

 私はこのJ-FETの破損を予想していたのですが,1kHzでも全く波形が出てきません。これはかなり厳しい故障です。

 まず手始めに電源電圧を見てみました。すると,+15Vと-15Vが供給されるべきラインの電圧が,それぞれ+15Vと+5.5Vとなっています。あきらかにおかしいです。

 電源電圧ですので,これは2465A側の問題かもしれません。そういえば,10年前(もう10年もたってしまいました・・・)の大レストアの時に,プローブ用電源のコネクタの接続に迷ったことを思い出しました。

 気なってしまうと,もう確認をしないわけにはいきません。

 早速2465Aを分解して確認です。しかし,間違いはなさそうです。

 おかしい。

 ここから2465Aや別売りの電源ユニットである1101A,もちろんP6201についても調べてみることに時間を費やしました。すると,今回の件には関係ないのですが,2465Aには電源ブロックに持病があり,部品の交換が定番になっているという情報を得ました。

 なるほどと思ったのは,それが俗にXコンデンサと呼ばれる,ACラインにまたがって入る,ノイズ対策用のコンデンサの焼損だったからです。

 ACに入るコンデンサですので使用中はずっと高圧がかかり続けますし,万が一ショートでもすれば発煙発火騒ぎになります。以前AppleIIが煙を出しましたが,あの時も原因はこのXコンデンサのショートでした。

 この時代のアメリカ製のMPコンデンサ(メタライズドフィルムコンデンサ)は結構破損し,しかも故障モードがショートになるものが多く,壊れる前に交換するのがお約束になっています。

 2465Aも壊れやすいメーカーのコンデンサが使われているそうで,これを交換しないと安心出来ません。そこで取り急ぎ交換することにしました。

 あいにく,0.068uFという元の容量のXコンデンサに使えるような部品は手持ちがなく,定番の0.1uFを使うことにしたのですが,ここは測定器の性能に影響は与えませんし,むしろ容量が大きいくらいが都合が良かったりするので,これに交換します。Yコンデンサについても0.01uFだけは,手持ちの0.022uFに交換しておく事にします。

 しかし,2465Aってこんなに分解にしにくかったかなあ。10年前はサクサクと分解した記憶があるんですが,今回はえらく手こずりました。

 交換後は当たり前ですが問題なく動作。ついでにSRAMバックアップのリチウム電池の電圧も確認すると,3.3Vとまだまだ十分です。

 さて,本来の目的だったプローブ電源なんですが・・・

 改めてP6201を繋いでみたら,なんと+15Vと-15Vが来ているじゃありませんか。波形もそれっぽいものが出てきているようです。うーん,コネクタの接触不良ですかね。

 ということで,P6201はこれから本格的に故障診断と修理,そして調整をすることになります。そしてその前に2465Aの延命処置が終わって,一安心というところです。

 P6201が動き出したら,外部電源を作って他のオシロスコープでも使えるようになったら便利です。特にTDS3054Bで使えるとメリットがあります。

 その前に,実は手に入れたP6201には付属品が一切なくて,1:10や1:100のアッテネータがありません。特に1:10のアッテネータがないのは致命的で,これをどうするかも実は大きな課題だったりします。

 どうするかなあ。

 

 

ページ移動

  • 前のページ
  • 次のページ
  • ページ
  • 1

ユーティリティ

2023年07月

- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -

検索

エントリー検索フォーム
キーワード

ユーザー

新着画像

過去ログ

Feed