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2024年09月09日の記事は以下のとおりです。

夏休みの工作 - PC-6001のキーボードをUSBに!〜 分解清掃編

 今年の夏休みは,恒例の夏休みの工作が全く出来ませんでした。小学3年生からずっと続けている習慣がこれで途切れてしまうのももったいない。

 そこで,ふと思いついた小ネタ夏休みの工作としたいと思います。

 ことの始まりは,きつい日差しです。


日差しがきつい ->
プラスチックの黄ばみを強力に漂白できる ->
そういやPC-6001の部品取り機のキーボードがひどい変色をしてたな ->
漂白するのはいいけど使ってないキーボードを漂白してどうする? ->
じゃ使えばいいんじゃないか ->
USBに変換して最新のマシンでPC-6001のキーボードを使うというのはおもろいかも

 ということで,決定です。

 冷静に考えてみると,最近流行の自作キーボードでは,自分でキーマトリクスを組んで,それにあわせてキーボードマイコンのファームを修正して動かしていますよね。いってみれば,PC-6001のキーボードをそのまま使うことで,キーボードマトリクスを組む作業をすっ飛ばして,自作キーボードをつくるようなものですので,実は全然大した事ではありません。

 何はともあれ,漂白です。9月には行っても日差しはきつく,    黄変と言うより茶変という感じで,まるでタバコのヤニみたいなヤケ方をしている予備のPC-6001のキーボードを分解して漂白を開始します。

 今回はジップロックで密封して漬け込みましたが,さすがに3日もかけると漏れてくるもので,後で掃除するのが大変でしたが,とりあえず変色は綺麗になりました。特徴的なオレンジ色がやや褪せてしまったのが残念ではありますが,かなり綺麗になったと思います。

 ちょっと余談を。

 PC-6001のキーボードって,いわゆるスカルプチャー型のキーボードではないため,チクレットキーボードと揶揄されることが多いのは,ご存じでしょう。

 今でこそ,私は40年も前にディスクリート型のキートップを実装した先進的なキーボードだと思っていますが,当時は後継機のPC-6001mk2ではスカルプチャー型になり,絶賛されたものです。それほどPC-6001のキーボードを難点に挙げられていたのです。

 当時の私も含めて,このチクレットキーボードというのはコストダウンだろうと思っていました。兄貴分のPC-8001が168000円,2年後に出たとは言え一部の機能はPC-8001を凌駕しているPC-6001が89800円ですから,こういうところでコストダウンが行われているんだろうとみんな思ってたわけです。

 しかし,今回の分解と清掃で,それが誤りであることを確信しました。

 PC-8001と比べると,確かにメカニカルスイッチではなく後にメンブレン方式と呼ばれるものには違いないのですが,リモコンや電卓のようなラバードームとキートップが一体になっているいわゆるゴムキーではなく,ラバードームと軸が別体で,軸には2色成形のキートップが差し込まれている,本格的なキーボードだったのです。

 この構造は評判の良かったPC-6001mk2のキーボードと同じなわけですが,PC-6001も同じ構造であることから,決してPC-6001がローコストを狙った訳でも,PC-6001mk2が評判の悪かったPC-6001のキーボードをお金をかけて改良したわけでもなかったのです。

 また,アメリカに輸出された北米版のPC-6001Aでは,キーボードが国内版とは違っていて,本格的な見た目のスカルプチャー型になっていました。PC-6001ファンとしてはこのキーボードが羨ましく,完璧なPC-6001の姿に見えるわけですが,配列が全く同じであることからも,わざわざ専用のキーボードユニットを作ったと言うよりは,キートップだけを交換した物というのが正しいでしょう。

 なら,なぜわざわざこんなオモチャみたいなキーボードにしたのか,疑問ですよね。

 その答えは,オーバーレイシートです。PC-6001は国産のホビーマシンとしては初のROMカートリッジのスロットを備えていて,電源を入れたら即座にソフトが動作するような,簡単に使いこなせる家庭用パソコンを目指した,志の高いマシンでした。

 パソコンはソフト次第でどんなことにも使えることが素晴らしいわけですが,まだまだキーボードに不慣れな日本人が多かった時代の話ですから,当時「キーボードアレルギー」と呼ばれた,キーボードへの抵抗感を減らして,専用機に匹敵する使い心地を考慮する必要があったのだと思います。

 しかし,キーボードに専用の機能を一々印刷するわけにもいきませんし,専用のキーやスイッチを設けることも出来ません。そこで,その頃よく見られたオーバーレイシートを使うことになります。

 オーバーレイシートはその名の通り,上から被せて使うシートですが,PC-6001の場合は本体のキーボードの面にぴったりフィットする大きさのシートに,キーが頭を出すように穴をあけ,専用機能の文字などはここに印刷することにしました。シートをソフトごとに付属し,使う時に交換すれば専用キーボードの出来上がりというわけです。

 標準ではカナが印刷されたオーバーレイシートが付属していました。グレーとオレンジのキーに,焦げ茶色のオーバーレイシートはとても映え,本体色のクリーム色ともマッチして,とてもフレンドリーでありながらも,デザイン的に洗練されていたと私は今でも思います。(蛇足ですがPC-8001は底板が金属,上ケースがFRPで成型されていたので成形時の制限もあったのですが,PC-6001は下ケースも上ケースもABSで,曲面を多用した非常に凝ったデザインが実現していました。ケースにABSを使ったNEC初のマシンでもあったのです。)

 実際,当時からPC-6001のキーボードのことを悪く言う人は実際に使ったことがない人か,AppleIIやPC-8801,FM-7などの本格的なキーボードを使っていた人が多くて,私自身はPC-6001のキーボードって,いわゆるゴムキーのような悪い物ではないなといつも思っていました。特にPC-6001mk2と比べても遜色ないというか,はっきり言えばどっちもそんなに良くないというか・・・

 その謎が確信に変わったのが今回のオーバーホールの結果だったのですが,こうして今実際にPC-6001のキーボードでこの文章を書いてみても,全然違和感がないですし,快適なのです。さすが往年のアルプス製と言いますか,反発力の調整が絶妙で,押した時は軽いのですが,徐々に重くなっていって,底打ちは余程の事がないと起きません。ぐっと反発力が増すところでさっとキーインされるあたりもまるでメカキーのようです。これはかなり本格的なタイピングが可能だと再認識しました。

 SHIFTキーやRETURNキーのような長いキーは丁寧に左側の軸とは別に右側にも軸が出ていて,これがキートップの穴に高精度にはまり込んで上品にストロークします。グラグラしないですし,左右のどこを押しても均等に沈み込んでくれます。しかもダンパーまで用意されているので打ち心地は快適です。

 また,当時から評判の良かった赤色のLEDも美しくて,今どきのギトギトしたレインボーカラーよりもこういうシンプルな表示の方が気が散らなくて好ましいです。

 残念なのは,やはりキートップが小さいので誤入力が起きやすいことと,ブラインドタッチが難しいことがあると思います。こういう異形のキートップは当時も今も熟練者ほど違和感を感じるのでしょう。

 それと,これは致命的とも言えるのですが,Nキーロールオーバーに対応しておらず,3つの同時押しにも対応しません。例えば大文字でLEDと入力するときに,SHIFTを押しながらEを押し,Eを離さずにDを押すと全然違うキーが入ります。これはゲーミングには使い物にならないでしょう。当時のPC-6001もこうだったっけなあ?

 とまあいうことで,PC-6001のキーボードを再生し,その志の高さが誤解されて安物扱いされた不運な歴史を語ったところで,次回は完結編,このキーボードをUSBで繋ぐことにします。

 まて次号。

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