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2025年11月14日の記事は以下のとおりです。

DL2050の修理

  • 2025/11/14 14:48
  • カテゴリー:make:

 ほとんど使うことがなくなっているベンチ型DMMのDL2050に,先日偶然電源を入れてみました。すると,どうも測定値が不安定になっているようで,これはいよいよ調整が必要になったかと,詳しい状況の把握を始めました。

 なかなか状況は深刻なようで,測定誤差が大きいというよりも,値がフラフラと変動し続けます。入力端子をショートしてもゼロにはならず,やっぱり数十mVの範囲でフラフラと値が動いています。

 これはもう話になりません。調整で済むレベルではなく,完全に壊れています。

 修理という趣味には,壊れているものがなければなりません。私は内心喜んだのですが,果たしてDL2050という中途半端なDMMで,修理を完遂するだけのモチベーションを保てるか心配になりました。

 DL2050というDMMは,15年ほど前に広い部屋に引っ越し,自分のラボをコツコツ作ろうとしていたときに中古で買った測定器です。秋葉原の計測器ランドで,会社の帰りに立ち寄って買ったことを覚えています。

 買ったはいいものの,120000カウントでは1秒に2回しかサンプリングしてくれず,40000カウントならハンディタイプのテスターで十分だったりするということで,案外出番は少なく,数年後にHPの34401Aを購入してからは完全に不必要な物に成り下がってしまいました。もったいない話ですが,電圧計なんてのはそもそもテスターで十分なことが多くて,DL2050のようなスペック的に飛び抜けた物のないDMMを,わざわざ使おうと思うことは少ないです。

 しかし,前述のような思い入れもあり,捨てるには惜しいですし,とりあえず修理を試みることにしました。

 以前ここにも書きましたが,DL2050はESCORTというブランドの3146Aというモデルがオリジナルのようで,これが各社にOEMで出され,例えばAgilentではU3402という名前で売られていたりします。

 兄弟機を合わせるとそれなりに売れたDMMのようですが,そのくせサービスマニュアルや回路図などの情報は出回っておらず,2018年の11月に調整を行った時に集めた断片的な資料以外に,新しい情報を手に入れる事は出来ませんでした。

 頼りになるのは回路図ですが,これも今見るとメーカーから出た物ではなく,誰かが書き起こしたもののようで,あくまで参考程度にとどめておくのが良さそうです。

 修理の方針ですが,まずはセオリー通り,電源電圧をチェックです。電源基板と繋がるJ602の電圧は,茶色がGND,黒が8.9V,赤が5V,黄色が16.5V,青が-1.95Vです。馴染みのない電圧が目に付きますが,これもまあ測定器ならではですから仕方がありません。

 チェックすると,電圧は一応問題なく出ているようです。オシロで確認しても変なリップルやノイズもなく,綺麗なものです。

 次に基準電圧を見てみます。基準電圧はMAX6225というICで作っていますので,これの6ピンを見ます。2.5Vが出ているので問題なしです。

 ひととおり目視で部品の破損を見たのですが,液漏れや焦げなども見つからず,がっかりしながら次の作戦に駒を進めます。

 入力端子をショートしても0Vにならずオフセットが乗っており,しかもその値がフラフラしているわけですから,入力をショートした状態で,入り口から順番に電圧を見ていってなにか電圧が出てきたらその手前に故障箇所があるはずです。

 とまあ,とても簡単に書きましたが,DMMはレンジや測定モードがたくさんあって,リレーやアナログスイッチによる切り替え箇所が多数あります。迷路のような回路を順番にほどいていきながら,順番に電圧を見ていきます。

 すると,あるアナログスイッチの手前で変動する電圧を見つけました。そのアナログスイッチを直列に入っている抵抗を外してみると電圧の変動が軽減したので,このアナログスイッチからのリークだろうと目途を立てました。

 MAX4611というアナログスイッチで,4066とピンコンパチということで,早速74HC4066を注文し,届くまで修理は中断としました。(使われているのがフラットパッケージなので,DIPでは交換出来ないのです)

 翌日,もう少し検討しようと電圧をあちこち測るのですが,どうも思ったような電圧が観測されません。おかしいなと思って調べてみるとMAX4611は4066とピンコンパチだが,コントロール端子の論理が反転していました。つまり,アナログスイッチの切り替えを全部逆にして回路図を読んでいたのです。

 これはいかんと,もう一度回路図を読み直し,入力端子をショートして電圧を確認していきました。おそらくここではないかという場所を見つけたのですが,それを確認するにはパターンをカットするしかありません。

 そこでパターンをカットすると,電圧の変動はほぼなくなりました。しかしオフセットは残っており,長い周期での変動は残っています。どうもこのラインから変な電圧が入り込んでくるようでした。

 元に戻そうと,カットしたパターンを繋ぐと,電圧変動もオフセットも小さくなっています。あれ,ひょっとして部品の問題じゃないかも・・・ハンダ付けの不良かも知れません。

 この周辺のICのハンダ付けをやり直してみると,値がバラバラと変動することはなくなっており,数分かけて0mV程度のオフセットが徐々になくなっていくような感じになっていました。

 おそらくですが,ICの足をハンダ付けし直したことと,スルーホールの補修を行った事で,問題の1つが解決したみたいです。

 この状態で一度組み立て直したのですが,入力をショートしてもすぐには0Vにならず,ゆっくり0Vになったりするのは,まだどこかおかしいのだろうと再度分解して調査を再開します。

 引き続きICのハンダ付けをやり直していくと,独特の臭いに気が付きました。これは電界コンデンサの電解液の臭いです。見た目では分かりませんでしたが,どうやら電解コンデンサの液漏れが発生していたみたいです。

 これはまずいとあわててすべての電解コンデンサを外して容量を確認すると,100uFの電解コンデンサの1つが30uF程度になっているものを見つけました。14個ある100uFの電解コンデンサのうち全体の半数は正常だったのですが,残りは80uF以下になっていて,ひどい物は50uFや40uFになっていました。

 他の容量の物も含め,とりあえずすべての電解コンデンサを交換することにしましたが,100uFの電解コンデンサなど20個近くも持ち合わせがありませんので秋月に発注,届いた段階で交換にかかります。

 交換して試してみると,フラフラと変動する電圧もなくなり,入力端子をショートするとスパッと0Vを示すようになりました。

 やはり,電源ラインに入っている電解コンデンサの容量ヌケも1つの原因だったみたいです。電源ラインに入っているパスコンというのは,やはり大切なんですね。

 ハンダ付けの不良やスルーホールの腐食も電解コンデンサの液漏れで起きていると思われますから,元凶はやはり電解コンデンサということになりますが,2000年代前半の製品ですので仕方がないところもあるかも知れません。

 これまでの不調が嘘のように,値が安定して表示されているのを見ると,とりあえずこれで修理は出来たかなと,組み立て直しました。

 ただ,Lモード(120000カウント)での誤差が大きいので,これは調整をやり直す必要があります。そういえば前回の調整では,CALボタンを不用意に押してしまい,無茶苦茶な較正データを書き込んで動作不能に陥り,結局内部のEEPROMを直接書き換えて復活させたのでした。

 今回の調整についても,100Vや1000Vの基準電圧があるわけではないので,同じような方法で調整を行うことになりそうです。あまり寒くなると調整作業に適さない気温になりますから,まだ秋と言えるうちに,作業を終わらせようと思います。

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