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2025年12月19日の記事は以下のとおりです。

KODAK Charmeraが面白い

 トイカメラが流行ってます。エモいとかいろいろ言われていますが,スマホ以外の撮影機材を若い人が興味を持って選択するときに常に壁になるのがズバリ価格で,デジタルカメラが高価だからフィルムカメラ,フィルムが高価になってしまったからコンパクトデジカメ,そしてとうとうコンパクトデジカメも高価になったのでいよいよトイカメラに,と対象が変わって来ただけではないかと思う所もあります。

 もちろんそこには画質や機能,質感に大きな差があるわけですが,スマホの高画質カメラがベースを押さえているので,サブとして使うカメラはもはやどんなものでもよく,面白ければもうなんでもよいんです。

 インフルエンサーが採り上げたことで認知され流行するという話ももちろんそうですが,そもそもインフルエンサーがなぜ採り上げるのかというところまで考えると,やはり彼らの評価軸に,スマホのカメラにない別の個性が魅力的に見えているかどうかが決め手になっているように感じるわけです。

 実際,トイカメラは随分昔から売られていましたし,トイカメラと言うだけあって現在においても性能の向上や機能アップがあったようには見えません。相変わらずトイカメラはトイカメラとして,昔ながらの画像を吐き出し続けています。

 では,それら傍流であるトイカメラがなぜ,KODAK Charmeraになるとこれほどヒットするのか・・・

 そんなもん決まってます。かわいいからです。

 58×24.5×20mmで30g,プラスチッキーなまるでカプセルトイで,まんまキーホルダーなのに,レンズもLCDも物理ボタンも備えた,ちゃんとしたデジカメです。

 小さくて丸い物が本能的に大好きな哺乳類にとって,これほど愛でるべきカメラがあるのかどうか。

 スペックを書くのも野暮ですが,1/4インチのCMOSセンサー,1440x1080というフルHDですらない画素数,20年前のデジカメにすら負けている160万画素,その割にレスポンスは凡庸でキビキビ動くわけでもない。レンズは35mmF2.4と無難な画角でパンフォーカス。しかもプラスチック製。動画撮影対応でも今どきAVIファイルです。インターフォンのカメラの方が高性能かも知れません。

 しかし,USBはtype-Cで充電もデータ転送も対応,電池は200mAhの電池を内蔵していて,LEDによるフラッシュも内蔵しています。記録メディアはmicroSDで128GBまでOK。つまり,昔ながらのトイカメラを現代風にアップデートしてあるわけです。

 そうすると見えてくるのが,レトロな画質の現代のカメラという個性です。地デジ同等の少ない画素数,すぐに白飛びするダイナミックレンジの狭さ,淡泊な色とコントラストに盛大な収差,JPEGノイズと輪郭強調で破綻した画像・・・20年前の画質です。

 しかし,これにオレンジ色の日付を入れればどうか,面白いフレームやフィルターでさっと画像を加工出来たらどうだ,それらをさっとスマホに転送できたらどうだ。難しい操作も知識も必要なく,電源を入れてシャッターボタンを押すだけの簡単操作はどうだ。
 
 そして価格は$30(今B&Hをみたら$39でした)。円安の日本ではこれを6000円で売っています。

 大切な事を忘れていますが,この価格で買えるデジカメは,いわゆる幼児向きのオモチャを除くと,もうあんまり選択肢がなかったりするのです。

 "写ルンです"でカメラの面白さに目覚めた人がランニングコストに耐えかねて中古のコンデジを買ってみたものの,電池は死んでいるし記録メディアも見た事のないへんなものでどこにも売っていない,幸運なことに付属していても撮影枚数が少なすぎるだけでなく,PCやスマホで読み込む方法が見つかりません。もう途方に暮れるしかない・・・

 そういう声をちゃんと聞いて作ったんじゃないかと,私は感心したわけです。

 そんなカメラを,KODAKブランドで出す。しかも6種類がランダムに売られていて,1/48の確率でシークレットが入っているんですよ。集めたくなるじゃないですか。

 それぞれ1980年代を彷彿とさせるデザインで,もちろんKODAKイエローも健在。これをデジカメとしてではなく,チャームとして売るんです。そりゃ流行しますわ。

 ということで,私も買いました,KODAK Charmera。

 とはいえ,存在を知ったのが11月末と遅く,娘に「こんなんあるで」と紹介したのが10日ほど前の事です。すでに流行が過熱し,年内の入手は絶望と言われていました。

 中学生の娘なら知っていて,みんな持ってる私も欲しい,というかなと思ったのですが,案外そういうわけでもなく,初めて見たと言ってました。見た瞬間,欲しいと言い出したのですが,これは入手が難しいからしばらく無理だなあと言ってなだめたのでした。

 ところが先日,大手量販店がお一人様3個限定で緊急販売をスタート。私も乗り遅れることなく家族全員分のCharmeraを買うことが出来たのでした。

 翌日届いた3台のCharmeraを,家族で一人1つ手に取って開封しました。黄色が欲しいなあと思っていたのですが,結果は黒と赤が2台。赤は今ひとつ琴線に触れなかったのですが,まさかそれが早速ダブるとは,なかなか幸先の悪いスタートです。

 手持ちの16GBのmicroSDカードをフォーマットすると約58000枚。娘には32GBのものを渡したので,99999枚でカウントストップです。もう無限に撮影出来ると言っても過言ではありません。

 電源を入れて初期設定をしますが,独特のUIで混乱します。でも簡単なのですぐになれます。このあたりは悪くないですねえ。

 そして撮影。電源を入れるのに長押しはカバンの中で勝手に電源が入るのを防ぐためなのでよいとして,起動後すぐに撮影可能な状態にならず,静止画か動画を選ぶところから毎回スタートするのは確かにまどろっこしいです。

 ですが,シャッターボタンがすぐに静止画モードに移行するショートカットボタンですので,大した手間ではないと思います。

 書き忘れていましたが,ここまで何かと音が出ています。起動音やボタンのクリック音など,結構うるさいです。シャッター音も出ます。消せません。

 撮影しますが,ズバリ楽しいです。我々が忘れていた何かが,ここにはあります。小さなLCDはファインダーとしても撮影後のプレビューとしても案外使える印象で,むしろ小さく画素数が少ないため,画像の粗が目立ちにくくて「お,案外綺麗に撮影出来るんだな」と騙されてしまいます。

 でもそれがいい。騙されましょうよ,この際ですし。

 フィルタも楽しいですよ。個人的には2値化もKODAKのレトロフレームもいいんですが,モノクロも楽しかったです。

 それから動画です。動画こそオマケだと思っていたのですが,30FPSですし,生意気に音声も録音されました。ちゃんとマイクも内蔵しているわけで,オマケとして真面目です。マイクがなくて音がない動画でも,このカメラなら誰も怒らないと思いますよ。

 欠点はですね,消費電力が大きいので,電池が結構早くなくなるということです。ここはこのカメラの本質でもあるので,頑張って欲しかったです。

 それから,付属のUSBケーブル。本体側のtypeCはともかくとして,反対側がtypeAってどうなのよ。もしここにtypeC-typeCのケーブルだったら,スマホと直結できて便利だったはずです。充電だって今どきtypeCで困る人などいないでしょうし,typeAの方がむしろ困るくらいでしょう。

 設定項目が少なすぎるのも問題です。いや,誤解のないように言っておくと設定項目などゼロが理想です。ただそれは理想的な設計が成されている商品という意味の裏返しであって,通常は設定を変更出来ないと困ることも多いです。KODAK Charmeraの場合,音が出ないようにする設定がないこと,フラッシュの発光禁止が設定出来ないことが問題です。

 特にフラッシュは致命的で,フラッシュ撮影禁止の場所では実質使えません。まだ目が弱い赤ちゃんの撮影で使うことは避けたいところですし,そもそも光が弱すぎてほぼ役に立たないフラッシュを発光させることにはデメリットしかありません。

 最後にちょっと強度が心配です。特にキーチェーンを取り付ける部分が,すぐに壊れてしまいそうで,そうなるといつの間にか落として紛失,仮に見つかってもチャームとしての価値はありません。ここはしっかり作って欲しかったなあと思います。

 ということでKODAK Charmera,娘は早速カバンにつけて学校に行きました。全く同じ形でKODAKでないものも売られていて,それらはもうちょっと安かったりするのですが,中国で標準品として作られて供給されているトイカメラが,KODAKブランドでうまくマーケティングすると世界的なヒットになるという,誠に面白い例でした。

 いやでもまてよ,そんな風に斜に構えなくても,十分に面白いんじゃないかい,これは。

 

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