NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S,買っちゃいました
- 2026/02/18 15:12
- カテゴリー:散財, カメラに関する濃いはなし
買っちゃいました。NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S(以下Z24-70mmF2.8S)。
いや,GR4の抽選販売が全くあたらず,また今後もあたる気が全然しないということで,衝動的に買ってしまった感じがあります。
家族からは「毎日外れた外れたと騒いでるけどそんなに毎日抽選ってやってるわけ,GR4って?」などと皮肉を言われてましたが,経済的に退路を断ち,すがすがしい気持ちでこのレンズをお迎えしました。
実のところ,昨年末の旅行の前にこのレンズが気になったことがありました。II型の登場で新品の在庫処分があり,一時は実質22万円ちょっとという破格値で出ていた事を知ったのですが,この時にはそんな底値のものは払底しており,別のお店で24万円程度でアウトレット品が出ていることを知って,今買わないと後悔するかも,と思ったわけです。
この時は,新品とはいえアウトレットであること,なのに底値に対して2万円近くも高い,中古との価格差も結構あるという事実に加えて,24-120mmF4Sで画質は十分,しかも便利という実利の面でも,割と簡単にあきらめが付きました。
しかし,今回某店からのメールを見て,私の心はざわざわしました。新品218900円。
これは底値です。この値段で新品が出てくることは,円安,インフレなど,値下がりの要素がなにも見当たらない今後,絶対にないでしょう。さらにいうなら,大三元の標準ズームの新品がこの値段で買えるという事は,あらゆるマウントにおいて奇跡です。
これが,性能や品質に問題があったり,評判の悪くて処分されるようなレンズならともかく,天下のニコン純正,現行Zマウントで,2019年に登場した時にはその画質に絶賛の嵐,そして現在もトップクラスの性能を誇っています。
ここで買わないと後悔する,この値段でこの性能は破格だと,私はまず自らの気持ちを整理しました。というのも,これは私にとっては大きな方針変更で,ZマウントがFマウントと同じメインのシステムになるということを意味するからです。
私はフィルムのカメラとレンズを共用したいと思っていたこともあり,Fマウントからの完全移行は考えていませんでした。それに,Zマウントが本当に育つのかどうかも見極めたいと思っていたので,Zマウントへの投資は限定的でした。
Zマウントのお試しにと,あくまでサブという位置付けでZfcを買ってみたところ,期待以上の感触を得た私は,次に登場したZfでフルサイズを導入します。
サブに見合った投資で済んだAPS-CのZマウントに対し,一気に投資額が増えてしまったフルサイズZマウントではありましたが,ニコンの最新機種らしい高画質にミラーレスのメリットである静粛性,Zシリーズに共通するEVFの見やすさ,そしてZマウントレンズにハズレなしと言われるほど優れたレンズたちを前に,自然に持ち出す機会が増えていきました。
とはいえD850は我が家では最も高画素で,その画質も未だ最高です。ZfはまだまだD850の代わりにはなりません。手に馴染んだ操作系であるD850を差し置いて,そんなZfの出番が増えている事は,やはり総合力でZfがよく出来ていることを認めざるを得ません。
ですが,前述の通りFマウントからZマウントへの移行には躊躇していました。そのうち,Fマウントのレンズの買い取り価格が下がり,売り時を逸したというのが,これまでの経緯です。
大きくなるとはいえ,AF-S70-200mmF2.8EあるいはAF-S14-24mmF2.8GとFTZの組み合わせでZfに取り付ければ,画質も操作感も問題なく運用できますし,ZマウントのレンズとしてZ24-120mmF4Sを持っていれば画質もほとんど妥協しません。支出もほとんどなく,FマウントとZマウントを使い分けることが出来るこの状況は,非常に望ましいともいえます。
こうして私のZマウントはメイン並の役割を負いながらも,サブに甘んじていたわけです。
ですから,大三元の標準ズームをZマウント用に用意するという決定は,Zマウントをメインに格上げすることを意味します。いくら気持ちでFマウントもメインだと思っていても,Zマウントに対する歯止は利かなくなるはずです。
大げさな話ではありますが,Zマウントを格上げするという決断は,慣れ親しんだFマウントからの距離が自然と出来てしまっていることを追認することになり,大きな転換であることを意識せざるを得ないのです。
なによりFマウントとZマウントの二重投資になることを許容しなければなりません。D850とZfの使い分けがなくなり,やがてZfに次第に一本化されることにつながるでしょう。ひいてはFマウントレンズの処分も検討する事になるかも知れません。次第にZマウントへの移行が進むことは止められないでしょう。
一方で,FマウントのAF-S24-70mmF2.8Sはかなり大きく,それに高価だったこともあり,なにか特別な事でもなければ持ち出しませんでしたから,使用頻度は低く,標準とは裏腹に「特殊」だったことは事実で,宝の持ち腐れであったことに後悔があります。
これがZ24-70mmF2.8Sの導入によって,一気に大三元が日常に降りてきます。これこそ進化ではないかと思ったわけです。
それこそ特別な時に持ち出す14-24mmや70-200mmはFマウントと共用でもいいでしょう。しかし標準ズームはZfにつけっぱなしであることが理想です。それが今なら現実になると結論し,私は目の前に座っている嫁さんに,素直にレンズが欲しいことを打ち明けました。
私:レンズ買いたい!
嫁:いいよ。いくらなの?
私:高いよ。
嫁:15万円くらい?
私:(ぼそっと)もっと高い。
嫁:(しばらく絶句して)22万円くらい?
私:(目を逸らしつつ)うん,そんなもん
大人の駆け引きが繰り広げられ,かくて私はZ24-70mmF2.8Sを買うことにしたのでした。(なお,この会話で最も重要なことは,嫁さんにとって高価なレンズとは15万円くらいを境目にするということが分かったことでした。)
そして先日の土曜日,私の手元にF2.8通しの標準ズーム,Z24-70mmF2.8Sが届いたのでした。
ということで,お約束のファーストインプレションです。なお,私はFマウントでもAF-S24-70mmF2.8GとEを使っていましたので,どうしてもそれらとの比較になります。
・大きさ,質感
大きさはFマウントに比べて大幅に小さく,軽くて本当に大三元なのか,と思ったほど驚きました。いや,数字上のF2.8通しなら,かつてタムロンから出ていた28-75mmとか,APS-Cの標準ズームにも小さい物はあったと思います。
しかしZ24-70mmF2.8Sはニコンの看板レンズであり,最高画質を期待するプロの使用を前提とした,その時々の最高水準の技術で作られる,とても高価なレンズです。それがこのサイズです。拍子抜けしました。
フィルターサイズはも82mmとII型に比べて大きいのですが,AF-S24-70mmF2.8Eを同じだと思えば許せます。ズーム時に鏡筒が伸びることはII型に比べてウィークポイントかも知れませんが,収納時に小さくなることはむしろメリットとも言えます。
質感は大変良く,さすが高価なレンズだけあります。フードも内側にフェルトが貼られており,そもそもフードなんていらないんじゃないかと思うほどの耐逆光性能を持つZマウントのレンズにそこまでの手間が必要だったかと不思議な気持ちになるほどです。
デザインもなかなかよくて,調べてみるとこのレンズあたりから,現在のZマウントレンズのデザインになってきたらしいです。なるほど,Z50mmF1.8Sとは違ってゴムの巻かれたリングは手に馴染みますし,シルエットもZ24-120mmF4Sと似たような印象があります。個人的にはZ24-70mmF4Sがとにかく全面的にダメで良い思い出も何もないので,よかったです。
・操作系
ズームリングやフォーカスリングは使いやすく,滑らかで素晴らしいです。コントロールリングがあるのはさすがにSシリーズで,クリックはありませんが私は絞りに割り当てて使っています。ただ,Zfは絞りのステップが1/3段から変更出来ないので,そこが残念ではありますね。
Fnボタンも装備していて,被写体を追いつつ操作が必要なシーンで活躍しそうです。。私はAF-ONに割り当てています。それから高価なレンズに象徴的なOLEDのディスプレイには距離だけではなくズームや絞りも切り替えて表示出来るのですが,距離の場合にはAFが停止する直前にぐぐっと少しだけ行きすぎて戻るような表現がなされており,キビキビとした印象を与えてくれます。楽しいですよ。
正直,目をファインダーからそらしてわざわざ見ることになるレンズの指標を昔から見た事はなく,II型で廃止されたことを考えても,あまり必要のない装備だなと思います。故障する箇所も増えるわけですし,鏡筒が太くなった理由の1つでもあるでしょう。
ただ,高級なレンズには備わっている装備でもあるので,私はズームの指標にでも使おうかと思っています。
・画質
肝心の画質ですが,当然ながら文句なしです。本当に良く写ります。良く写りすぎてつまらないくらいです。高解像度でカリカリで色も鮮やかですし,ボケも綺麗。広角から望遠まで破綻なく,同じ画質でズームします。
もちろん開放から高画質ですが,F5.6くらいまで絞ればさらに画質は向上し,これ以上を望まなくなってしまいます。もはた単焦点レンズを使う理由は,固定された画角による縛りを積極的に楽しむ事くらいなんじゃないでしょうか。
一方で,当たり前の画像すぎて,冷たい感じがします。何を撮っても真実が写るというのは正しいのですが,時に人間は真実以上に感情を強調したい時があるもので,AF-S24-70mmF2.8GやEにあった線の太さや色のり方が引っ込み,あまりに優等生になってしまっていて,どんどんシャッターを切ろうと言う気持ちに乗ってきませんでした。
それと,ちょっと周辺光量の落ち方が大きいように思います。広角側もそうですし,望遠側でも絞り開放だとちょっと目立つようです。絞れば改善しますし,現像時に補正することも可能ですが,優等生のくせに周辺光量が落ちることを計算に入れないといけないレンズというのも,大三元としてはちょっと面倒くさいように感じました。
あと,逆光への耐性ですが,これは確かに強烈です。少し厳しい条件で光が入ってくると,並のレンズならすぐにコントラストが下がったりいろが褪せたりするものですが,全然破綻しません。
・II型と比べて
II型との比較は,気にはなりましたが行っていません。II型を触る機会が全くなかったからなのですが,画質や操作感を除くと,まずインナーズームであるかどうかがポイントかなと思いました。私は望遠ズームはインナーズームでないと困ると思っていますが,標準ズームなら別に構いません。それより持ち運びが楽なように,小さくなることが大切です。
II型はインナーズームですがI型に比べて全長が長いので,持ち運びを考えると私はI型の方がありがたいと思います。また,II型はフィルターが77mmだそうで,これはちょっと羨ましいです。
画質は実写していないのでなんともですが,MTFを見る限りI型の急な落ち込みも改善されているので,全体的に向上していると思います。ただ,I型のMTFも文句なく素晴らしいので,その違いがどれほどの画質の差になっているかは,もうわかりません。
そうそう,I型はニコンのF2.8通しの標準ズームとしては珍しく,凸先行なんですね。II型もそうですしAF-S24-70F2.8GもEも,凹先行です。
どちらが優れているとか,そういう問題ではないことを重々承知の上で言うのですが,凹先行型には独特の線の太さやボケの変化があるように思います。凸先行型は線も細く,解像感も高いですし,望遠から広角までとにかく自然にまとまった画です。それがかえって無個性な印象を与えてしまうのかも知れません。大げさに言えば,まるで他社のレンズのようです。
個人的にはAF-S24-70mmF2.8Gが好きだったので,これと同じ傾向を期待したのですが,F2.8通しの標準ズームがレンズタイプでそんなに変わるものではないと思いつつも,ニコンらしい三次元Hi-Fiを目指して欲しかったとも思うのです。
II型が凹先行に回帰したからと言って,以前のような味わいになっているとも思いませんが,少なくともI型は「平凡」で「まじめ」な「超」高画質レンズだと思いました。果たしてこれ楽しいかなあ。
・まとめ
明らかにZ24-120mmF4に比べて高画質で,大きさはむしろ小さいくらい,それでいて1段明るいなんてのは,もう日常にガンガン使えという事でしょう。とはいえ,70mmから120mmまでは実はなかなか美味しいところで,これがないことでZ24-70mmF2.8Sはちょっとしんどいなと思う事もありました。
しかしZ24-70mmF2.8Sが見せる繊細さや色には,便利ズームが持ち得ない物があります。私が使いこなせていないということの証ですが,Z24-70mmF2.8Sという,ごく普通の標準ズームを進化させたレンズでは,ただ撮影しただけでは作品にはなりません。そこにあるものをただ素直に高解像度で写し取る馬鹿正直なこのレンズを自分の想いのとおりに使うには,また別の訓練が必要になるような気がしてきました。
AF-S24-70mmF2.8Eに比べて,さらに高画質になったことは実感しました。しかし,被写体を滑らかにふわっと浮かび上がらせる独特の表現が引っ込み,細い線で輪郭を正確に切り抜くような画像が出てくるZ24-70mmF2.8Sは,同じ大三元でも別物だなと感じました。
20万円を越える高価なレンズですが,温存するのはもったいない。特別なレンズではなく,贅沢な普段使いレンズとして,手に馴染ませて,線の細さも武器にしていければと思います。