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電子負荷キットを作る[発動編]

  • 2016/02/15 14:26
  • カテゴリー:make:

 前回は,電子負荷キットRe:Load2を作って動作の確認まで行いました。最大で18W位を吸い込む事が出来,外部電源モードでは0Vから動作してくれます。

 ただ,12Vで1.5Aも吸い込むと,数分でサーマルシャットダウンが動作して,電流を吸い込まなくなります。

 こういう保護回路が入っているのが,BTS117の素晴らしいところで,もしなにも入っていない普通のFETだと,壊れるまでそのまま突き進んでしまいます。かといって保護回路を別途用意するのはなかなか面倒なので,これは本当にありがたいです。

 で,安定して吸い込めるのは,やっぱり12W程度な感じです。少し大きめの放熱器を,アルミのケースにがちっと取り付けているので12Wくらいはなんとかなっている感じですが,それでも非接触型の温度計でFETの表面温度を測ると100℃を越えています。

 放熱器の表面温度は60℃ほどですが,ここも出来れば45℃くらいに押さえたいところです。

 ということで,自然空冷ではこの程度ですから,強制空冷を検討します。

 まず,手持ちのファンを探してみます。探してみると,40mmのファンが3つ出てきました。いずれも20年近く前のものです。電圧は12Vですから,5Vで回すとかなりゆっくりでしょう。ここまで電圧が低いと,そもそも回るのかさえ怪しくなります。

 回してみるとゴリゴリと嫌な音がします。軸受が駄目になっていますね。ちょっと油を差してやると,ぐぐーんと回転数があがります。5Vまで電圧を下げると,ゆっくりですが,回ってくれています。

 風量は少ないのですが,これを放熱器にセロテープで貼り付けてみます。早速実験です。結果は,20Wまでならなんとか大丈夫,25Wになるとダメでした。まあ,気休めに近いです。

 次に,秋月で一緒に買ったファンです。25mmという小型のものですが,電圧は5Vです。回してみると,小さいのにしっかり回っています。

 同じようにセロテープで取り付けますが,さすがに20mmでは放熱器のフィンの全部に風は当たりませんので,部分的に冷えるだけという感じです。

 結果は,先程とあまり変わりません。25Wだとだめです。FETの表面温度も100℃を越えています。

 ならばと,この小型ファンを2つ並べてみました。並べると50mmですので,54mmの幅のあるこの放熱器にはぴったりサイズです。

 回してみると,さすがにうるさいです。2つのファンが微妙に違う周波数を出しますので,変なうなりが出ています。不快です。

 ですが,効き目はさすがにあります。20Wなら全然余裕,25Wでも大丈夫です。FETの表面温度も100℃を越えません。しかし30Wはダメです。5分くらいなら大丈夫ですが,それではこわくて実験に使えません。

 ならばと,先程の40mmのファンを12Vで動かしてみます。かなりの風量ですから,期待出来そうです。結果は,30Wもなんとか大丈夫でした。FETの表面温度も100℃までに入りますし,温度上昇も緩やかでした。本当は,どこかで熱的に平衡する温度まで測定したかったのですが,時間切れでした。

 ということで,今回の結論としては,放熱器全体に風を当てること,風量は出来るだけ増やすことです。頑張れば30W動作は可能です。

 しかし手持ちのファンでは12V駆動せざるを得ず,そうすると嫁さんからパクったACアダプタが使えないという悔しい事態になりますので,この際5V駆動のファンを買うことにしましょう。なんか,本末転倒な気がしますが,それはおそらく気のせいです。

 早速探してみると,50mmで5V駆動というファンがamazonで見つかりました。そんなに安いわけではありませんが,500円弱です。50mmあれば,放熱器のほぼ全体に風を当てることができますし,5V動く物ですので,今のACアダプタをそのまま使っても十分な風量を確保できるでしょう。

 マーケットプレイスなので時間がかかることは覚悟していましたが,発送済みのメールを見ていると,なにやら見慣れない中国語っぽい運送会社が2週間以上かけて運んでくれるんだそうです。

 どうも中国から発送されるものらしく,未だにトラッキングができません。なんとなくなのですが,このまま無事に届かないんじゃないかという気がしてきました。

 ちょっと他を探してみようとgoogle先生に聞いてみたら,なんとまあこの電子負荷を買ったSHOP-Uさんで取り扱いがあるじゃありませんか。しかもお値段は400円弱。メール便でお願いすれば400円台で買えます。

 もうね,届くかどうかわからないものを3月上旬まで待つなんて,バカバカしくってできません。1000円でファンを買ったと思って,SHOP-Uに注文。この土曜日に届いてしまいました・・・

 ねじ穴の位置の関係で,放熱器にネジを切って取り付ける方法が採れないとわかり,どうした物かと考える事10分,3.5mmというちょっと太めのビスで,フィンに直接ねじ込んでみます。

 穴を開けることもせず,ちょっと不安ではありますが,かなりがっちり固定できているのでこれで良いことにします。いやー,アマチュア精神炸裂です。

 そしてケースの背面に小さい穴を開けて,ここから配線を通し,5Vに繋ぎます。

 ちょっと回転数が低めで,風量も少ないなと言う印象があるのと,それと回転数が結構不安定で,ムラがあります。向きを変えても回転数が変わりますし,まあ中華クオリティってこんなものかも知れません。しかし,空冷のファンが死んだら,装置そのものも死んでしまう場合が多いと思うんですが・・・

 さて,これで実験です。まず30W。15Vで2Aを吸い込んでみましたが,ファンなしだと数分でアウトだったのに対し,1時間以上の連続動作もOKでした。FETの表面温度を測定すると106度でほぼ均衡しています。熱的に安定しているので安心です。

 ここで欲を出し,16Vで2A,32Wを吸い込んで見ましたが,これも大丈夫。17Aで2Aだと数分でシャットダウンするので,実力として32Wまではなんとか大丈夫,安定動作は30Wまでというのが,この電子負荷の仕様となります。

 ところで,30Wを吸い込んでいるときにスイッチを切り替え,セルフパワーにしてみました。すぐにシャットダウンすると思ったのですが,ファンが突然強烈に回り出してしまいました。びっくりしてすぐに電源を切断したのですが,冷静に考えたら当たり前です。

 外部電源モードでは,電子負荷本体とパネルメーター,そしてファンにも5Vが供給されています。これはいいですよね。

 これがセルフパワーモードになると,入力された電源が,電子負荷本体とパネルメーターにも供給されるようになります。セルフパワーモードでの入力電圧の制限(最大30Vまで)というのは,この電子負荷とパネルメーターの最大定格から来る物です。

 で,ファンの電源をこれらと並列に取っているのですから,セルフパワーモードでは入力された電源の電圧がそのままファンにかかるわけです。15Vを入れればファンも15Vでブン回るんですね・・・こりゃいかん。

 シリーズレギュレータで5Vに落とす事も考えましたが,そうすると外部電源モードで5Vを得るために,ACアダプタは8V近い電圧のものが必要になります。しかも,セルフパワーモードの動作下限である4Vが,ファンを回すために8V付近まで上がることになります。こりゃだめです。

 では,セルフパワーモードではファンを回さないようにすればいいんじゃないかと思いました。セルフパワーモードではファンの電源ラインを切断すればいいのです。

 しかし,そうは問屋が卸しません。

 今回使った切り替えスイッチは1回路2接点の3Pのものです。前回の検討で,一度はリレーを使ってパネルメーターの接続を切り替える作戦を立てて配線をしたところ,結局切り替えの必要がなくなって,リレーを外した経緯がありました。

 しかし,ファンを止めるには2回路必要です。ダイオードを使ったりしてなんとか1回路で出来ないか考えてみたのですが,やはり無理。かといって2階路のスイッチは手元にありませんので,ここは再び,リレーを使う事にしました。

 なんだか鈍くさい話なんですが,実はリレーを使う事のメリットがないわけではありません。

 リレーは,ACアダプタの5Vで動作します。したがってACアダプタが外されて外部電源が切れてしまえばリレーも動作しなくなり,スイッチの位置に関係なく自動的にセルフパワーモードになってくれます。

 リレーでなく,2回路のスイッチを使うと,ACアダプタが外れてしまっても外部電源モードの配線のままなので,全く動作しないという状態が起こってしまうのです。

 ということで,リレーを使うことでより完璧になりそうです。こらそこ,笑わない。

 いいじゃないですか,リレーも1つ100円もしないんですから。2回路のスイッチって結構高いですよ。300円とか400円とかしますし。安いしいいんですよ,これで。

 さっさと配線を変更して,外部電源モードもセルフパワーモードもちゃんと動作することを確認し,これで電子負荷は完成です。

ファイル 794-1.jpg

 なかなかコンパクトにまとまりました。ACアダプタの試験とか,電源回路の試験とか,いろいろ面白く使えそうです。

 以下は背面の様子です。放熱の奥行きが小さく,ファンも薄型ですので,最終的に飛び出す量がそんなにおおきくありません。
 
ファイル 794-2.jpg

 何だかんだで30Wを吸い込む物ですからね,長期試験とかいって繋ぎっぱなしにすると,それがそのまま電気代として見えちゃうので要注意です。それに,不用意に放熱器に触るとやけどします。ファンを回さないと60℃くらいになったりしますので,びっくりします。ファンを回せば冷えますが,ファンがむき出しなのでちょっと怖いです。

 ま,そういうのをそのままにしておくのも,アマチュアの特権ですね。

秋月で通販するということ

  • 2016/02/10 13:29
  • カテゴリー:make:

 電子負荷の検討を続けたいところですが,注文したファンが届くのに少し時間がかかりそうなので,先にこっちを書いておきます。

 その電子負荷キットを完成させるために,ケースなどを秋月で買うことにしたわけですが,秋月は送料が別途かかるので,まとめ買いをする癖がついてしまいました。

 このまとめ買いのクセは,私が中学生の時からついたものです。当時大阪に住んでいた私は,秋葉原など見たこともなく,まるで桃源郷のような場所だと聞かされていました。

 その秋葉原でも特に知られた部品屋さんが秋月電子なわけで,確かにここで売られている物を日本橋で買うと数倍の価格になったり,そもそも買えなかったりする上に,基本的には貴重な「資料」がついてくることが,我々ホビーストには重要でした。

 日本橋でも,いわゆるジャンク品は売られていましたが,いくら安くても使うために必要な資料や仕様書がないことが多く,結局知ってる人だけが大喜びという,間口の狭い世界だったのです。スキルはあるけど情報がないということで,腕に覚えのあるホビーストが,涙をのんでいた時代でした。

 そこへ行くと秋月は,トランジスタ1つにもデータブックのコピーを添付していて,使いこなしのスキルがあればどんどん面白い事ができました。

 今と違って,インターネットがなく,それ以前の話として部品メーカーも資料を積極的に出さなかった時代です。部品の仕様書を出すのは,その部品を正規に購入して使う技術者だけ,と言うスタンスのせいで,一般の人はもちろん,学生など門前払いでした。

 だからこそ,初歩のラジオやトランジスタ技術と言った「誰でも手に入る情報源」が重要な位置付けを保てていたわけですが,情報流通の範囲が制限されて差が作られるというのは,いい意味でも悪い意味でも一種の職業上の特権だったといえばそうかも知れません。

 私などは,情報がないせいで悔しい思いをしてきた人でしたし,展示会でも追い払われる経験をしましたから,学生の時に手に入れた技術情報はそれこそ宝物でしたし,情報をもらえる立場,是非見に来て下さいと言われる立場になることを目指して,この仕事を選んだようなものです。

 情報がなければどんな素晴らしい部品でも,ただのゴミになります。しかし資料を作る側にしてみると,それも結構な手間とお金がかかるので,ただでばらまくなどは考えられなかったでしょう。事実,家電メーカーのエンジニアには無料で配られるデータブックの中には出版社を市販されるものもありましたが,1冊数千円で売られていました。

 だから,秋月で買ったものの価値は,その部品と共に,一緒についてくる資料にも存在しました。今でもちゃんとファイルに綴じてありますし,あの独特の,蛍光ピンクや水色のインクで印刷された,いかにも切り貼りしましたという資料は,見ていてワクワクするものがあります。

 その秋月が大阪にいた私からとても遠いと感じたのは,秋葉原にあるという物理的な距離と同時に,どんな小さな物をかっても送料は一律600円という仕組みのせいでした。(秋月がとても面白かったのは,送料が余った場合に,他の部品を同封して返してくれたんですね。その部品は完全に向こうにお任せですから,何が来るのか楽しみだったのです。)

 今でこそ送料600円はリーズナブルと言えますし,今は500円ですから値下がりしているというのもびっくりですが,当時は郵便だけが通販の流通を担っていた時代で,この600円というのもほぼ切手代だったわけです。

 600円といえば,秋月なら,それこそたくさんの部品やキットを買うことが出来る値段です。送料まで考えたら,日本橋で買った方が安くなる物もありましたが,だからといってこの600円は秋月の儲けにならないわけで,なんだか理不尽だと思った記憶があります。

 ついでにいうと,送料だけではなく,支払いの手数料もバカになりません。当時は現金書留か振替くらいしかありませんでしたから,お金を払うことに何百円も取られていたのです。

 そこで,欲しいものをリストアップしておきまとめ買いをすることをするようになりました。店頭で特価品を買うことはもともと出来ませんから,常時在庫の定番品しか買えません。それでも十分面白かったのが,当時の秋月でした。

 ここから一歩進めて,友人に声をかけて共同購入もやりました。同じような思いの友人を何人か集めると,簡単に合計金額が1万円を越えるので,子供だった私はドキドキしたものです。

 そうしたクセが抜けきれず,秋月で買うときにはまとめ買い,と,自然に発想するようになりました。

 個人的には,秋月のような単価の安いお店では,送料別がいいと思いますし,そういうお店を積極的に選んで買い物をしています。amazonでも,ちょっとした部品を買うことが出来る時代になりましたが,送料無料というシステムのせいで,価格に送料が乗っていますから,単価が高いため,数を買うと大変な価格になります。

 そんなわけで,長々と秋月でたくさん買い物をする「言い訳」をしてきたわけですが,今回も余計な物をあれこれ買って,随分高額になったことを白状しておきます。

 今回高かったのは,やっぱオシロのプローブです。今どき1000円で2本買えるプローブですが,500MHzのプローブはやっぱり高いです。メーカー純正品なら数万円しますが,消耗品であるプローブにこんな値段は出せません。

 ということで,秋月で2465A用に昔に買った500MHzのプローブでしたが,同軸ケーブルが細くて断線しやすいのも広帯域のプローブの運命でして,あまり使わないうちに2つとも壊れてしまったのです。

 いつも使うわけではない2465Aですので,1本だけ購入し大事にとってあった純正のプローブを1本だけ出してきてその場しのぎをしていました。しかしこのまとめ買いの機会に2本買いましょう。いつの間にか最新版に商品が入れ替わっていて,コネクタ部分の大きさが随分小さくなっています。でも,ケーブルは弱いままだろうなあ。

 プローブ2本で8400円。高いような安いような・・・でもまあ,最近はなんだかんだで2465Aを使う事が増えましたし,いいか。

 あとは,先日電解コンデンサの交換やメカのメンテをやったDTC-59ESJ関連です。ちょうどいいコンデンサがなかったという理由で交換をサボっていた,電源周りの大容量コンデンサですが,本当はこういうところから劣化が進むので,真っ先に交換したいところです。

 事実,ロットによっては激しい漏液でやる気も失せるほど,ということですので,私のように漏液しやすいコンデンサが使われていないもので,やっぱり交換したいと思っていました。

 しかし,やっぱり,6800uFの25Vと,5600uFの35Vは,秋月には売っていません。そこで,回路図を見ながらちょっと考えてみました。

 まず,6800uFについては,デジタル系の5Vを作る電源です。25Vという耐圧は非常に妥当ですが,ここは10V程度の電圧なので16Vでもギリギリ大丈夫と踏みました。なら,8200uFで16Vというものが特価(105℃品なのにたった50円)で出ていますのでこれを使いましょう。

 次に5600uFの35Vですが,これはアナログ系の12Vを作るもので,正負両電源なので2つ必要です。ここも16V程度がかかるだけですので25V耐圧なら十分なのですが,案外売っていないものです。

 いろいろ考えた結果,15000uFの35Vが450円でしたから,これを2つ使う事にします。一応オーディオ用なんだそうですが,まあそんなことはどうでもいいです。

 さすがに5600uFが15000uFですので,ちょっと大きすぎかなあとは思いますが,突入電流が大きくなってしまうことと,電源OFF時に電荷が抜けるまでの時間がかかること以外は,むしろリプルが減ったりしてありがたいものですので,これでいってみましょう。

 それから,ACコードです。まるで電動工具かと思うような太くて取り回しの悪いコードが筐体から直接出ているせいで,とても煩わしかったのですが,ここを3Pのコネクタに付け替えて,市販のACケーブルをそのまま使えるようにしようと思っていました。

 ですがあいにく,コネクタの在庫を使い切ってしまったので,一緒に買いました。3つ買ったのですが,1つは皿ビス用にざぐったところ,失敗して割ってしまったので廃棄しました。もったいない。

 これだけの作業をささっとすませて,本当にもうDTC-59ESJの改造はおしまいにします。

 さて,今回の買い物のメインは,実は他にあります。Si5351というICと,その周辺部品なのですが,この部品が私が長年悩んできた問題を一発で解決してくれる可能性があります。

 決して簡単に使えるデバイスとは言えませんが,ぼちぼち検討していこうと思います。

電子負荷キットを作る[製作編]

  • 2016/02/09 13:49
  • カテゴリー:make:

 少し前の話になるのですが,SHOP-Uという面白そうな電子工作のお店で「Re:load 2」という電子負荷のキットを買いました。

 電子負荷?なんじゃそりゃ?

 電源に抵抗なりモーターなりの負荷を繋げば,当然電流が流れて,電力が消費されます。電子工作では通常,電気で動く物,すなわち負荷を作りますので,設計や実験,場合によっては実使用においても,少々のことでは性能が変化しない,理想的な電源を使います。

 この理想的な電源を,電圧を安定化したり,電圧を可変できたり,たくさんの電流を供給出来たり,ノイズが少なかったり,ショートなどでも安全なようにしたり,様々な回路を工夫して取り付け,実験器具として独立させたものが安定化電源器です。

 電子工作を始めると,欲しくなるのが安定化電源器なわけですが,これは前述のように電気で動く物を作るから欲しいわけです。

 それでは電気を供給する側を作る時には,なにが欲しくなるでしょう?

 そう,理想的な負荷です。電圧を変えても同じ電流が流れること,流れる電流を調整出来ること,電流が流れることでノイズなどを発生しないこと,壊れないこと,壊さないこと,という理想的な負荷があれば,電気を供給する電源器の設計や製作,実験が,より確実に,より素早く行えるようになるわけです。

 でも,普通は電源回路などを設計することはあまりしません。どんな回路でも電源は必要な物ですから,設計しないというのはおかしいのですが,昨今は三端子レギュレータを使うだけで性能のいい電源回路が出来てしまうので,設計すると言う手間をかけることは必要がなくなってしまいました。コピペで動いちゃうんですよ。

 しかし,そうも言ってられない場合があります。

 例えばACアダプタ。手持ちのACアダプタに,「6V-500mA」と書いてあるとしましょう。テスターでとりあえず出力電圧を測ると,6V出ています。さてこれで,このACアダプタは良品といえるでしょうか?

 次に,6Vで100mAを消費する装置に,このACアダプタを使うことは出来るでしょうか?

 まあ,実際にやってみりゃわかることだと言われればその通りなわけですが,そこをもうちょっと科学的に,論理的にやりたくなったら,もう上級者です。そして,そのために使う装置が,電子負荷と呼ばれるものです。

 ACアダプタについて誤解をしている人がたまにいるのですが,先程のように6V-500mAというのは,6Vの電圧が出てきて500mAまで電流が取れますよ,という意味ではなく,500mAの電流を引っ張った時に,6Vの電圧が出てきますよ,と言う意味が正解です。500mA以外の電流では,6Vとは限りません。

 特に安定化していないトランス式のACアダプタは,引っ張る電流によって電圧が大きく変動するのがあたりまえで,電流が小さい時には電圧が高めに出ます。ですが今普通に出回っているスイッチング式の場合は,あまり変動せず6Vくらいで安定化されています。

 ですから,テスターで電圧をみて6Vであることを確認出来たとしても,それでACアダプタが良品かどうかは,全然わからないのです。ちゃんと500mAの電流を流してみて6Vの電圧が維持されているか,熱くなったり唸ったり,煙が出たり,おかしな波形が出てたりしないかを,ちゃんと見ておかないといけないのです。

 同じ理由で,100mAの装置にこのアダプタが使えるかどうかは,100mAを流してみて,ACアダプタに異常がないことはもちろんのこと,その出力電圧がいくらかを見ないといけません。トランス式なら8Vくらい出ていることがほとんどでしょうが,それでもその装置が正しく動くのか,壊れないかをきちんと確かめないといけないのです。

 抵抗じゃだめなの?という質問が来そうですが,抵抗でもいいです。電池チェッカーなんかは,負荷として単純な抵抗を使っていることがほとんどです。

 ただ,駄目な場合もあります。抵抗は電圧が変わると流れる電流が変わります。だから電圧に関係なく一定の電流を引き出すという事が出来ません。
 
 そもそも電流の値を調整する仕組みも大変です。可変抵抗を使えばいいと思うかも知れませんが,可変抵抗も抵抗ですから電圧が変われば電流も変化します。加えて,吸い込んだ電流は熱になりますが,一般的に可変抵抗は,そうした熱を放熱出来ずに壊れてしまいます。

 もっというと,大きな電流を引っ張り込むためには,発生する膨大な熱をうまく発散させねばならず,そのための仕組みが抵抗だけではとても難しいということです。

 ということで,前置きが長くなりましたが,趣味で電子工作をやる人間にとっても,電子負荷があるとどれだけ便利で安心か,お伝えできたかと思います。

 では,「理想負荷」としての「電子負荷」は,どういう原理で動く物なのでしょうか。これは,電流を制御出来る素子,つまりトランジスタなりFETなりに電流を流すということと,その電流が一定になるよう,トランジスタを制御する回路をくっつけた物です。

 負荷に直列にトランジスタと電流検出抵抗を入れて電流を流します。電流検出抵抗の両端には電圧が発生するので,これをOP-AMPに戻してやり,基準電圧との差がなくなるように,トランジスタを制御します。これで一定の電流が流れてくれますね。そして基準電圧を可変してやれば,その電圧との差がなくなるように動きますから,電流が可変出来るようになるわけです。

 原理は簡単なのですが,市販品はとても大げさで高価です。電子負荷は概して大きな電圧を扱えて,かつ大きな電流を吸い込むことが出来るものが多いのですが,仮に30Vで3Aという,そんなに大きくもない電子負荷を作ろうとすると,実に100Wの熱をどこに捨てるかを考えないといけなくなります。これが,60Vで15Aなんて話になると1kWというトースターやホットプレート並の熱を長時間安定して,かつ安全に捨てることが出来ないといけないのです。

 私たちはアマチュアですので,そこまで大きな電力を扱う事はあまりありません。本業ではない我々が,本気の電子負荷を持つことはとてもしんどいことです。あれば便利なことは分かっていましたが,さすがの私も躊躇していました。

 ところが,小さい物でいいから電子負荷があったらなあと思っていたのは私だけはなく,世界中のホビーストが考えていたことのようで,SHOP-Uで売られていた「Re:load 2」も,そんな人が作った海外のキットでした。

 詳しい説明は,

http://www.arachnidlabs.com/blog/2013/02/05/introducing-re-load/

 を見て頂くとして,なかなか工夫のされている,真面目な面白いキットだと思いました。

 原理は先程書いたように比較的単純ですが,その分部品の選び方は結構難しいものです。

 設計者は,そこにきちんと根拠を与えて,部品を選んでいます。いいですね。

 まず,電力を熱に変えるデバイスには,MOS-FETのBTS117を選んでいます。BTS117は単なるN-chのMOS-FETではなく,そこに熱,過電圧や過電流,ESDの保護回路が入った一種のICです。大電流を扱う回路では,破壊や熱暴走が心配で,ここでヘマをすると命にかかわることもあります。

 BTS117やその大電流版であるBTS141は,そうした保護回路を内蔵することで,特別な配慮を必要とせず,安全なMOS-FETとして簡単に行うことが出来るという優れものです。

 今回使うBTS117の最大定格は,VDS=60V,ID=3.5A,P=50Wです。パッケージはおなじみのTO-220ですが,フィンが絶縁されていないので取り付け時は注意が必要です。

 そしてこのデバイスの便利なところ,サーマルプロテクションは150℃で動作するそうです。電流リミッタは7Aで動作という事で,安全対策もばっちりです。(実際,この保護回路のおかげで私は何度も救われています)

 そしてOP-AMPです。ここはなんでもいいように思うかも知れませんが,とんでもない。電流を引っ張る相手から動作用電源をもらえると便利ですが,その場合出来るだけ低い電圧から動作するOP-AMPでないとダメです。

 しかも,0Vから電源電圧まで,ギリギリまで出力の電圧が振れないと制御範囲が確保できません。いわゆるRail to RailというOP-AMPが必要なのです。

 また,出力電圧が制御に使われる関係で,オフセットが大きかったり,変動が大きいと問題です。だから,交流特性よりも直流特性の良い,低電圧動作のOP-AMPが必要になります。

 設計者はここに,MCP6002を使っています。なるほど,今回の目的ではぴったりなようです。電源電圧が6Vまでという制約はつきますが,もともとOP-AMPの電源用に三端子レギュレータ(LP2950)が用意されていますので問題なしです。
 
 とまあ,たったこれだけの回路でも,それなりに考えて部品を選ばないと失敗するわけで,その結果をキットにしてくれているととても便利です。これが基板や放熱器までついて$20,私が買った値段でも3000円ですから,安い物です。

 ギックリ腰やFMブースターのことでなかなか取りかかれなかったのですが,先日からようやく製作を始めました。

 まず,基本方針を決めましょう。電源の供給を外部にするか,内部で済ませるかを考えます。先程書いたように,電流を引っ張る相手からOP-AMPが動作する電源をもらうと便利になりますが,それではOP-AMPの動作電圧を下回る場合,動いてくれません。またLP2905という三端子レギュレータが壊れてしまう30V以上の電圧もかけられません。

 そこで,OP-AMPには他から電源を供給することにします。こうすると相手の電源電圧に無関係となりますから,0V付近からBTS117の定格である60Vくらいまで,印加できるようになるわけです。

 ただし,外部から電源が取れない場合も想定し,セルフパワーで動作するモードも用意しておきます。3.5V以上30V未満という入力の制約がつきますが,動く事が重要です。

 その電源ですが,嫁さんが持っていた携帯電話充電用のACアダプタをパクってきて使う事にします。いやなに,嫁さんは使い方が荒っぽいので,コネクタの根っこの部分が破れて,銅線がむき出しになっていたんです。修理しようと預かったのですが,コネクタをうっかり割ってしまい,修理不能になりました。

 嫁さんには「すで手遅れだった」と伝えて,こちらで処分することにしたのですが,これに普通のACアダプタのプラグを取り付けて再利用しようと,まあそういうことです。

 さて,これで5Vの電源は確保出来ました。ただ,こういう勝手なことをすると,またACアダプタの極性を逆にして壊したりしますので,ダイオードを一発いれて逆接続から保護しましょう。ついでに,このACアダプタは5.7Vですので,ダイオードを入れればちょうど5Vになって,好都合です。

 次に電圧計と電流計です。必ず必要となるものですから,内蔵できればとても便利です。ここにはSHOP-Uで売られている電圧計と電流計が1つにまとまったものを使います。でも,これが後で足を引っ張ることになるのです。

 電流調整用のボリュームは10kΩです。他の値のものなら信頼性の高いものが手持ちにあったのですが,回路図を見ると抵抗値の可変範囲がけっこうきっちり計算されているようなので,ここは素直に10kΩにしておきます。

 残念ながら密閉されていない16型のものしか手持ちはなかったのですが,これがかつて多回転型に交換した安定化電源器の電圧調整用ボリュームでして,そんなに悪い子のもなかろうということで,使う事にします。

 ケースは,リードのMB-3です。ちょっと大きいのですが,放熱器とパネルメータの取付を考えると,このくらいがいいところでしょう。デザインは無骨で面白くも何ともないのですが,安いからいいとします。それにしてもこんなものまで秋月で買えるようになってるとは,驚きです。

 さて,最大の問題である放熱についてです。同梱の放熱器は12Wが最大という事ですが,BTS117の最大定格は50Wですので,本来の実力は20Wくらいまではいけそうですし,もっと頑張れば30Wくらいまで頑張ってくれるかも知れません。20Wといえば12Vで1.5Aですから大したことではないように思いますが,安定してこの電力を吸い込むのはなかなか大変なことです。

 大きめの放熱器,出来れば空冷ファンもついていると安心なのですが,そういうのってCPUクーラーがぴったりです。しかし残念ながら,昔は売るほどあったクーラーも処分してしまい,手元には残っていません。

 悔しいのですが,放熱器も秋月で買うことにします。54x50x15mmのヒートシンクが110円でしたので,これにします。もうちょっと大きいといいんですけど,仕方がありません。

 このヒートシンク,スペックシートをみていると,熱抵抗が5.6℃/Wです。非常に乱暴な計算をすると,20W突っ込むと112℃の上昇があるわけですが,グラフをみていると20Wでおよそ90℃です。まあこのくらいがこの放熱器の限界でしょう。

 てことで,ざっくり熱周りの計算をしておきます。BTS117の放熱器なしの熱抵抗は75℃/Wだそうです。ということは,ざっと2Wで150℃になるわけですね。こりゃひどい。

 そこで放熱器を付けた場合を計算します。BTS117のジャンクションからフィンまでの熱抵抗は2.5℃/Wです。これに今回の放熱器の熱抵抗5.6℃/Wと,絶縁シートの3℃/Wを加算すると11.1℃/W。ざっくり11℃/Wが今回の熱抵抗です。

 なになに,10Wで110℃。15Wで165℃!あかんがな。

 ということは,周囲温度が25℃のとき,150℃になるのは11.3Wですか。うむー,全然ですね・・・

 おかしいと思うので,放熱器のスペックを,グラフから読み取ったものにします。これによると,80℃の上昇で16Wですから,熱抵抗は5℃/Wです。これで再計算するとトータルの熱抵抗は10.5℃/Wです。おまけして10℃/Wとして。周囲温度25℃のとき150℃になるのは12.5W・・・結構かなしいですね。

 てなわけで,連続使用可能な電力は,とりあえず10Wとしておきましょう。短時間で,かつ気温が低いときは実力で20WはOK,25Wでも短時間なら大丈夫なのですが,長時間の使用では危険なので,やっぱり10Wですね・・・

 ところで,ファンがついているCPUクーラーなんかだと,これが0.45℃/Wくらいになったりするそうです。ということは,トータルの熱抵抗は約6℃/W。周囲温度25度のとき150℃になるのは,20.8Wになります。おー。

 ようやく20Wを越えました。強制空冷,伊達じゃないですね。でも,逆に言うとこのくらいの放熱能力で大丈夫なのかなあ。CPUって,35Wとか50Wとか,それくらいのTDPだったように思うのですが・・・

 まあいいや,今回の計算結果をふまえて,ファンの取付を前提に考えてみましょう。ただし,実験して効果がなかったらやめます。

 基本方針が決まったので,ケースに穴を開けていきます。放熱器に3mmのネジを切り,ケースに取り付けます。

 パネルメータの角穴もあけて,2時間ほどで完成です。味も素っ気もないケースですので,いつものようにプリンタで正面パネルに張り付けるステッカーを印刷し,張り付けます。

 あとは部品をケースに取り付け,基板も固定して,配線をして終了です。気をつけないといけないのはFETと放熱器で,前述のように絶縁をしないといけませんので,ブッシングをFETのフィンにはめ込み,ここにビスを通して直接触れないようにします。そして背面には絶縁シートをはさみ,固定します。最後にテスターで導通していないかどうかを確認します。ここでミスをすると,FETや基板がぶっ壊れます。

 3Pのトグルスイッチを使って,外部電源モードとセルフパワーモードを切り替えます。もともと外部電源動作専用で作るつもりでしたが,それでも電源スイッチは必要になりますから,せっかくですので電源OFFの時にはセルフパワーで動くように工夫してみましょう。

 そのために3Pのトグルスイッチを用いるわけですが,ややこしいのはパネルメーターです。パネルメーターの説明書によると,外部電源モードとセルフパワーモードとで配線が違うとかかれています。具体的には,パネルメーターのGNDの配線を,外部電源モードでは配線をしないといけないのに,セルフパワーモードでは配線せずにオープンにしておく必要があるのだそうです。

 そのため,3Pのスイッチでは切り替えが出来ず,2階路3接点の6Pスイッチが必要になりますが,あいにく手持ちがありません。というか,あるにはあったんですが,壊れていました。

 しかし,パネルメーターのGNDを,常に配線しておいても動くんじゃないかと勝手に妄想して,3Pスイッチで進めます。(しかしこれが甘かった)

 配線をさっさと済ませて,まずはセルフパワーモードで動作させます。電源器を繋いで見ますが,パネルメーターが動きません。これは単純な配線間違い。さっさと修正して動かすと,おお,ちゃんと動きました。どんどん電流を吸い込んでいます。

 あれ,パネルメーターの電流の値が随分ずれています。3割も狂っていたら話にならないです。そこで,GNDの配線をオープンにしてみたら,ほぼぴったりな値になりました。ということは,やっぱりセルフパワーの場合にはここは配線したらダメなんですね。

 しかし,外部電源モードではGNDに配線しないといけないのですから,やっぱり2階路のスイッチがいるんですね。困った。

 スイッチを買うことも考えましたが,せっかく穴開けも取り付けも済んだのに違うスイッチを付けるのも面倒です。そこで,今回はリレーを使う事にします。秋月で売っていた100円弱のリレーを使います。このスイッチはリレーを動かすだけのスイッチとして動き,肝心の切り替えはリレーで行うわけですね。

 そうと決まればさっさと回路変更です。

 それにしてもリレーの「カチ」という音はいいですね。なんかやる気になってきます。

 配線完了。試して見ます。まずはセルフパワーモードですが,これは問題なし。電流計も電圧計もちょうどいい値を示しています。次に外部電源モードです。切り替えは小気味良く,まるでスポーツカーのシフトレバーのようです。

 あれ,電流計の値がおかしい。狂っています。まずは配線ミスを疑いましたが,どうも正しい様です。もしや,と思いリレーを介して繋がっているGNDをオープンにしてみたところ,ばしっと正しい値が出てきました。

 なんと,このパネルメーターは,どっちのモードでもGNDはオープンにして置く必要があるようです。騙された-。

 そうなると,もうリレーは必要ありません。3Pのスイッチだけで事足ります。また配線を戻し,今度こそ完成です。

 これで,外部電源モードとセルフパワーモードの両方で,同じ動作をすることが確認出来ました。さらに確認を進めて,外部電源モードでは0Vから動作することも確認,1Vで2Aを吸い込むことも出来ています。そして現在の所,12Vで1.5Aまでは,自然空冷だけでなんとか動作している感じです。

 と,ここまでで製作編はおしまいです。

 続きはチューンナップ編,目標30Wを目指して,試行錯誤をします。

洗濯ロボの修理

 我が家でせっせと洗濯をしてくれる「洗濯ロボ」こと,NA-VR5600型斜めドラム全自動洗濯乾燥機。白物家電の多くに共通である「壊れると則困る」という商品性ゆえ,高い信頼性と耐久性を備えていることが,なにより求められています。

 しかし,かつての洗濯機のように,ただグルグル回るモーターがついていれば済んだ時代とは違って,今や複雑な機能をコンピュータとパワーデバイスで実現し,小型化のために入り組んだ配管が,機内を走り回っています。

 可動部分が増えるほど壊れやすくなると言うのは言うまでもないことで,私自身はギミックが増える楽しみとその面倒臭さの両面に,ちょっとした葛藤を繰り返しています。

 で,このNA-VR5600ですが,当時流行していた斜めドラムの上級機種です。洗濯物の出し入れが楽に出来る斜めドラムに,ヒートポンプを使った乾燥機構を組み合わせた,まさに究極の洗濯機として,新生活のスタートにあわせて最優先で導入したものでした。

 あれからなんと6年。なんと月日の流れの速いことか。

 その間,子供が生まれ,毎日の洗濯の負荷が増大する中で,この洗濯ロボの果たした役割は大きく,通常の洗濯機では労力か電気代か,どちらかが破綻していたんではないかと思うほどです。

 あまり汚れが落ちない,生乾き,などの問題は一通り経験しましたが,これは使いこなしで十分対応出来ました。何より大事なことは安定して結果が出てくることで,ある日は乾いていない,ある日は臭いが残る,ある日は時間がかかる,なんてことがあると家事が止まってしまうのです。

 安定して稼働するようになったこの洗濯機は,もうなくてはならないものになりました。

 しかし,購入して3年ほどで,乾燥時に大きな音がするようになりました。調べてみると,どうも乾燥用のモーターの故障らしいです。しかし,修理を依頼すれば何日か洗濯機が使えなくなる恐れがあります。

 そういう心理が働いたことで,修理を頼まず使い続けていました。

 そして10日ほど前のこと,それまで爆音を出していた洗濯機が随分静かなことに気が付きました。見てみると,H59というエラーを出して,停止しています。幸いなことに洗濯物はほぼ乾いていたので,そこで終了しましたが,エラーで止まってしまった以上,このまま使い続けると,留守中の洗濯が途中で止まってしまう可能性があります。

 これはもうあきらめて修理です。

 この洗濯機,実は壊れやすいと評判だった斜めドラムだったので,販売店の長期保証に入っていました。5年間の保証があれば,それまでに初期故障はつぶせて,あとは10年使えるだろうという目論見だったのですが,前述のように購入から約6年が経過しており,長期保証も切れていました。

 バカですねぇ。モーターから異音がしたときに修理をしていれば良かったものを。

 でもまあ,6年ですしね。10年使おうと決めた洗濯機ですが,乾燥機の使用頻度も高く,子供が生まれてからはほぼ毎日動いているんですから,よく頑張ってくれたんじゃないかと思います。

 乾燥機はつかってよいが,途中で止まる覚悟をしてくれ,と嫁さんに言うと,嫁さんは「乾燥機は使ったらだめだ」と解釈したらしく,子供の洗濯物が家中に吊されることになりました。手間もかかって大変だったと後日言っていましたが,大変殊勝な心がけです。

 話が脱線しますが,嫁さんも理系ですし,ソフト屋でUIの担当者だったりしたわけですから,実は機械音痴ではなく,習熟度も高いレベルまで持って行ける人なので,私の言うことに盲目的し従う必要はありません。

 ・・・ないのですが,私が内部の構造とか回路とか,アルゴリズムとか,そういう普通の使い方において,わざわざ設計者が隠蔽した「情報」を持ち出してはあれこれと細かい使い方を試行錯誤するので,「あーめんどくさい,黙って従っておこう」と考えてしまうようです。

 結果として,私がウヒョウヒョ言いながら使う家電品は,自ずと私の管理下に入り,嫁さんはこわごわ使うと言うことが起きてしまうのです。

 で,パナソニックのWEBから修理依頼。土曜日の午前中に来てもらうことにしました。症状が乾燥時の爆音とエラーコードH59で交換すべき部品はほぼ特定出来ているでしょう。修理金額も修理時間も,そんなにおかしなことにはならないと思います。

 当日,修理担当者が慌ただしく訪問,失礼ではないにせよ無愛想な対応にちょっと辛抱しつつ,私と同じくらいの手際で洗濯機をばらしていきます。

 ヒートポンプの横にあるカタツムリのようなシロッコファンを外して,そのモーターを指で回すと,ゴリゴリと嫌な音がします。担当者はうむ,とうなずき,用意してきた新品のモーターに交換します。もしファンが壊れていたら,それも交換する予定だという事でしたが,それは大丈夫だったようです。

 参考までにモーターの型番は「AXW401-7 JG0」というものです。下位機種であるNA-VR3600を対応機種として記載してあることから想像するに,このモーターはこの世代の専用品で,新しい機種に流用されているものとは違うでしょう。つまり,流用するメリットのない「過去の部品」であり,かつ「改良された部品」でもないということでしょう。残念ですが,部品の改良による性能向上や信頼性向上は期待出来そうにありません。

 担当者は「ホコリが詰まってきている」と言っていましたが,実は以前,私が分解して可能な限りホコリをとっています。それから2年ほどしか経っていませんが,それでホコリが目立つというのですから,もう手がありません。

 この点,はっきり言っておきたいのですが,洗濯乾燥機ですから,水と同時にホコリに対する耐久性も考えておかないといけない話です。1年や2年で買い換えるものと違うわけで,他の部分の耐用年数にあわせて,ホコリに対する対策をしておく必要があるんじゃないでしょうか。

 事実,このモデルの後継機種では,ホコリ対策が許可されているときいています。ホコリ対策が不十分だと乾燥時間がかかる,生乾きになる,途中で止まる,故障が頻発する,修理代が高額になるという,従来の洗濯乾燥機では考えられないトラブルが出ますので,そこで悪印象が定着したんじゃないかと,昨今の縦型洗濯機の復権を見て思うわけです。

 モーターの交換だけをさっさとして,他の点検も清掃も全然しないで,裏蓋を閉じた担当者に残念な気持ちを抱きながら,再設置後に問題のなかった試運転を見届け,修理代である15000円を現金で支払い,修理は終わりました。ざっと1時間半ほどだったと思います。

 この担当者,私の家の前にでーんと車を停めて,お隣から邪魔だと呼び出されたり,修理代の着服は自社のサービスマンに多かったとか,そういうどうでもいいことはやらかしたんですけども,修理作業の一環としてちょっとした点検とか清掃とか,そういうこともまったくせず,問題点だけをさっさと潰して帰ってしまう人でしたから,また来て欲しいとか,次もこの人にお願いしたいとか,そういう風には思えませんでした。

 そんなわけで,修理は終わりました。購入当時の静かさに戻り,おそらくですが風量も元の量に戻ったでしょうから,早く良く乾くようになってくれたのではないかと思います。乾燥時の騒音が激減したことは,ダイニングに洗濯機が置いてあるうちでは大きな意味があり,6年使って15000円かけて修理した結果としては,まずますだったんじゃないかと思います。

 ちなみに,モーターだけなら5000円ほどです。次はこのモーターをどこかで購入し,自分で修理してみましょう。

 で,担当者にお願いして,交換した壊れたモーターを置いていってもらいました。分解して見たかったことと,ひょっとしたらモーターを修理出来るのではないかとおもったからです。

 分解して見たのですが,音の原因は,モーターのシャフトを支えるベアリングから出ていました。注油しても音が減らず,引っかかりもなくなりませんので,ベアリングの交換をするしかないでしょう。

 ローターが強力な磁石になっているブラシレスモーターで,その磁力でカードやテープをダメにしそうな気配です。汚れているし邪魔だし,置き場所や管理が面倒くさいのでもう捨てることにしました。

 余談ですが,最近磁気記録を使ったものが周りから少なくなっていますよね。昔だったらキャッシュカード,カードキー,定期券,カセットテープやフロッピーディスク,果てはカラーブラウン管まで,磁石を近づけると壊れてしまうようなものがそこら中にありました。

 しかし改めて今周囲を見渡して見ると,ほとんどの物が磁気を使わない方法に変わっています。昔はスピーカーも「防磁型」かどうかが選択肢の1つだったのですが,いつのまにかそういうことを謳わなくなっていますしね。

 ということで,初めて本格的な修理をした洗濯ロボ。修理後は元気でせっせと洗濯物を処理してくれています。なくしてわかるありがたみとはこのことで,この洗濯機が動いていることがもう当たり前になっていることを実感しました。

 洗濯機は,いいものを買っておくと,生活が豊かになりますよ。

 あと4,5年は働いてもらおうと思います。壊れないように,汚れないように使うこと,こまめにメンテをすることを,やっていこうと思います。

 これまでに,ホコリをとる,紙オムツを洗う,ドアのパッキンが外れて水がダダ漏れ,というトラブルがあるたびに,自分で修理をしてきたわけですが,なまじ自分で問題が解決出来てしまうと,こうやって本当に修理が必要になる事態に気が付かないことも出てきます。

 家事が止まることの被害は大きいですが,買い換えはもっと大変です。自分で出来る事と頼むべき事を,ちゃんと区別しないとダメだなあと,グルグルと元気よく回る衣類を見ながら,そんな風に思いました。

 

またやってきたギックリ腰

  • 2016/01/29 12:55
  • カテゴリー:備忘録

 昨年9月末に,ぴくり友動けないほどのギックリ腰をやってしまい,その経過はここにも書きましたが,わずか4ヶ月しか経過していない先週に,またギックリ腰をやってしまいました。

 ギックリ腰は何度もやると癖になる(中毒するという意味ではないですよ)と聞いていましたが,もしかすると本当にそうかもなと思ったりします。

 今回は,初期の段階では普通に動けるほどで,ほとんど痛みもなかったのですが,時間の経過と共に痛みがひどくなって,ピーク時には前回に匹敵するほど重度化しました。

 悪くなり始めると30分ごとに行動が制限されるようになってしまい,精神的に恐ろしくなるほどでした。

 前回とは明らかに経過が異っていましたので,自分自身のメモとして,径かを書いておこうと思います。

・発生以前
 1週間ほど前から,腰に重さ,軽い痛み,疲れがあり,長時間椅子に座っていると,立ち上がったときに痛みで腰が伸ばせないということが続いていた。

・1月17日 11時過ぎ
 トイレの床に掃除機をかける際,左手で子供用の便座を拾い,右手で掃除機を動かしたが,この時に腰の右側に激しい痛み。

 ただし,体を起こすことが出来る上,熱も感じず,起き上がれば痛みも消える程度で,今回は程度が軽い。特に痛みも続かないので,慎重になりつつも普段通りに動く。

・1月17日 11時30分頃
 床に座って,ソファーにもたれようとおもったところで激しい痛み,思わず飛び跳ねてしまう。床に座って腰をL字に曲げることが大きな負担になることと,やはり腰を痛めたという事を思い知り,以後は安静にする。

・1月17日 夜
 夕方は若干の痛みはあるものの,問題なく動けたので夕食を作る。夜は徐々に痛みが出てきて,歩くのに支障を来し始めたので,翌日の出社を取りやめる方向で検討に入る。

・1月18日 朝
 痛みは寝る前と同じくらい。動けるが,痛みがあって歩くのが大変。トイレも問題ないが,便座に座ると激しい痛みが出ることがあるが,これも昨夜と同じ。大雪だったこともあり,会社を休んで安静にする。

・1月18日 11時
 発生から24時間経過。悪化も回復もないが,動けるのであまり心配していない。

・1月18日 13時
 布団に入りながら,DATのダビングをしようと,DATとICレコーダを寝室に運び込む。うつらうつらしながらダビングを行うが,痛みのために寝ていることが次第に苦痛になってくる。

・1月18日 16時
 布団から起きてDATを片付けようとするも,すでに起き上がることができない。やむなく四つん這いになるが,まだDATを部屋の外に持ち出すことくらいは可能。

・1月18日 17時
 立ち上がることが出来なくなる。四つん這いでも動けなくなりつつあり,トイレに行くのに非常に苦労し始める。

・1月18日 18時
 四つん這いでも動けなくなり,寝ているしかなくなる。布団から体を起こせなくなっているし,楽な姿勢が少なくなっていて,寝返りを打つのが難しくなる。

・1月18日 19時
 腹ばいで体を引き引き摺って動く事も出来なくなる。ちょっとした姿勢変化で激しい痛みが出るため,動く事が出来ない。また,痛みが出ると力が入り,それがまた痛みを起こすというフィードバックがかかるようになる。布団に入り込めないまま30分が経過し,寒さから震えが出ると,それが原因でまた痛みが発生する。これが痛みのピーク。ボルタレンを張ってもらうと,痛みが軽減し震えも止まった。ここからロキソニンも服用。

・1月19日 朝
 夜の状態から改善はなく,ほとんど動けない状態。それでもロキソニンが効いているのか,痛みが少し弱くなっている。

・1月19日 11時
 48時間が経過。そろそろ動きだしてもいいはずなのだが,全く動く事が出来ない。

・1月19日 19時
 やむなくシャワーに入る。しかし,あまりに痛さに満足に洗えず,とても苦労する。この段階では,少しは歩けるようになっているが,油断すると痛みのために座り込んでしまうし,手に物を持って動く事もままならない。

・1月20日 朝
 この日もようやく歩ける程度ということで,会社を休む。

・1月20日 11時
 発生から48時間が経過。ようやく痛みが軽くなり,立ち上がって歩くことが出来るようになってくる。椅子に座ること,長時間同じ姿勢でいることはまだ痛くて出来ない。

・1月20日 午後
 翌日からの出社に備えて,できる限り普段通りの生活をするため,椅子に座って過ごす。長時間は難しいので,30分ごとに立ち上がって背筋を伸ばす。

・1月20日 夜
 保育園のお迎えもいけるまでに回復。風呂も久々にきちんと入る。

・1月21日 朝
 ちょっと痛みが残っているが,出社。問題なし。


 ということで,発生直後は普段の生活が可能なほど痛みがなかったのに,翌日から悪化していき,最終的に動く事すら出来なくなりました。30分単位で状況が変化していく恐ろしさがあり,いったいどこまで悪くなるのかと不安になりました。

 回復も遅く,痛みの消え方も弱くて,布団から起き出すことも歩くことも,なかなか出来るようになりませんした。

 初期の状態が良かったので,発生直後に安静にせず,どんどん動いてしまいましたし,薬を使う事もしなかったために,そこから急激に悪化した可能性もあります。

 これはひどくなって来た,と思ってからボルタレンとロキソニンを使いましたが,ここからは薬の効果が実感出来ました。また,ナボリンもききますので,飲んでおいた方がよさそうです。

 ということで,関東地方の鉄道網が雪のために麻痺したことを,私は結局知らないままで過ごしたわけですが,前回のギックリ腰と同じ経過をたどるなら,早期に回復して動けるようになり,そこまでの時間も読めるという事で焦ることはしないで済むと思っていたところ,痛みの程度も経過も全然異なるケースが出現し,その結果3日間も会社を休むことになるというのは,考えもしませんでした。

 前回の痛みのピークは発生時で,そこからは良くなるしかなかったわけですから,希望も持てました。しかし今回は徐々に痛みが増し,行動に制約がかかるようになります。いったいどこまで悪くなるのかという不安は,本当に厳しいものがあります。

 今後,回復の見込みのない病気にかかったりして苦痛と直面したとき,私は正気を保てるかと不安になりました。

 とにかく,ギックリ腰にもいろいろなパターンがあり,程度も経過も同じではないということです。

 それでも大事な事は,初期の状態にかかわらず,発生直後はとにかく動かないようにして安静にすることです。これだけは忘れないようにしたいと思います。


 

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