エントリー

ユーザー「gshoes」の検索結果は以下のとおりです。

Kindleアカウントの統合

 最近,通勤経路が変わり,始発駅から乗る事がなくなった関係で,座席に座って本を広げるという習慣が難しくなりました。

 新しい通勤経路は日本でも屈指の混雑路線。座ることはもちろん,本を広げることも難しい状況です。

 しかし,通勤中に本を読むという習慣はなかなか断ち切りがたく,小さくコンパクトで,片手で快適に読む事ができる,Kindleを本格的に使う事にしました。

 まず,従来の文庫本に対し,Kindle Paperwhiteの扱いやすさはどうかというと,これは想像以上に快適です。持ちにくいわけでもなく,滑ってしまうこともなく,ページをめくるときに持ち直すこともなく,またほんの少しの場所さえあれば取り出して読む事ができるのも良いですね。

 また,電子ペーパーは高解像度・高コントラストで大変読みやすく,液晶と違って視野角も広くて,電車での読書にはもってこいです。

 誤解されている向きもあるようですが,フロントライトは暗いところでの補助光ではなく,白をより白くみせてコントラストを向上させるためのものですから,明るい車内ではしっかり明るくしておくのが読みやすさの秘訣です。

 自炊した本を読むのはもちろんですが,電子書籍を購入・ダウンロードすることもしばしばあり,確実に時代は変化しているなと感じます。

 ところで,私は2010年からKindleのユーザーです。KindleDXとKindle3(現在はKindle Keyboardと呼ばれているが面倒なので以下Kindle3と書きます)の2つを,amazon.comから買いました。KindleDXは3G付きです。従って,Kindleのアカウントは,amazon.co.jpにもamazon.comにも存在します。

 そうすると考えねばならないのが,アカウントの統合です。日本でKindleがサービスを介するという話が出たときに,amazon.comで買ったコンテンツは日本のKindleで読めるのか,という至極当然の心配から随分話題に上った問題への答えですが,私はしばらく統合せず様子を見ていました。

 KindleDXとKindle3は自炊の本を読むために購入したものですし,そもそも日本のサービスには対応しません。特にKindleDXで日本のコンテンツが読めるとメリットが大きいと思うのですが,アカウントの統合で可能になるのは,最新のKindle Paperwhiteで,amazon.comで入手したコンテンツが読めるようになることくらいです。

 そのコンテンツだって,せっかくの3G付きだしと,マニュアルやら無料のコンテンツを試しにダウンロードしてあったくらい程度の話ですので,別に統合の必要性を感じてはいませんでした。

 ですが,気が変わりました。

 Kindle Paperwhiteが主力機の座を確実な物とした今,ここにKindleのコンテンツは統合しておこうと考えたのです。

 統合できることは分かっていましたが,どういう手順で行うかは分かっていません。そこで私が行った手順を少し書いておきたいと思います。

(1)まず,amazon.comのKindleのページのトップに表示される,「統合できますよ」というバナーをクリック。居住地が日本になっていないと表示されないかも知れないので注意。

(2)指示通りに統合のステップを踏むが,エラーで進めない。しかしこれは分かっていたことなので慌てる必要はない。2つのアカウントにKindleの登録があるせい。

(3)ここで素直に,カスタマーサービスに連絡。多くの先人達は電話をしているようだが,高校時代に学んだ「電話は暴力」という師匠の教えに従い,ここは電子メールでサポートを受けることにする。

(4)Kindle - アカウントの統合というカテゴリを選び,アカウントの統合をしたいとメールを送信。

(5)速攻で返事が来る。いわく,

 ・統合によって変更されるサービスの説明を読み,了承すること。
 ・amazon.comとamazon.co.jpの両方から,端末とアプリの登録を消去すること。
 ・amazon.comに登録したメールアドレス,ユーザー名,住所を返信すること。

 ということで,すべての端末とアプリの登録を消去,amazon.comから登録情報を調べて,頂いたメールに返信。なお,当たり前の事だが登録解除で,端末からもクラウド上からも,コンテンツは消えない。

(6)またしても速攻で返事が来る。アカウントの統合が完了したので,ライブラリから統合されていることを確認してみて下さいとのこと。確認すれば確かにamazon.co.jpのライブラリから,amazon.comで入手したコンテンツが見える。

(7)登録を解除したKindleを再度登録する。登録はKindle本体から行う。登録を解除して再登録してもコンテンツは消えないが,コレクションは全部消えてしまったので作り直し。面倒臭い。お,クラウド上にすべてのコンテンツが見えているし,ダウンロードもできる。

(8)PC版のKindleアプリも再登録。しかし,amazon.co.jpで購入したコンテンツは未対応となって開くことができない。技術的に出来ないのか,政治的に出来ないのかは不明。

(9)KindleDXとKindle3も登録。やはりamazon.co.jpのコンテンツは開くことが出来ない。

(10)Kindleストアの設定を確認。統合直後はamazon.comのストアに設定されているため,Kindle PaperwhiteでKindleストアに行くと「しばらく待て」と表示され,amazon.comのストアに飛ぶ。これではなにかと不便なのでKindleストアの設定からamazon.co.jpのストアを利用するように変更。

(11)この設定変更をすると,以後は見慣れたamazon.co.jpのkindleストアが表示される。なお,この状態から端末上でamazon.comのKindleストアへの変更は出来ないので,もしamazon.comのストアにしたかったら,amazon.co.jpのMyKindleから,居住国設定をクリックすると,USと日本の2つから選べるようになる。

(12)amazon.co.jpのストアを設定し,KindleDXとKindle3からストアを開いて見ると,こちらはamazon.comのストアが開く。いちいち切り替える必要はないようだ。


 と,こんな感じです。実際にやってみて分かった事は,私の場合統合してもなんら問題はなく,さりとて特にありがたいメリットもない,ということです。ただ,Kindle Paperwhiteでamazon.comから書籍を買うことが出来るというのは,考えようによってはありがたい話で,その恩恵を受ける人もいるかも知れません。

 これで,KindleDXやKindle3でamazon.co.jpの本が読めて,しおり情報が共有されればこんなに便利な話もないんですが,そういうわけにはいきません。だから,アカウントを統合しても,なんのメリットもないなあというのが,私のケースです。

ハンドセットの増設と充電台の改造

 先日,固定電話を買い換えたという話を書きました。xxxがyyyしてzzzだったりするので詳しいことはちょっと差し控えたいのですが,後日談です。

 本格的な運用に入ってみると,これがなかなか便利でして,親機と子機という訳のわからん区別ではなく,ベースステーションにワイアレスのハンドセットという携帯電話のようなシステムは,どの電話機を使っても機動性が損なわれることなく,また電話機によって機能差があったり使い方が違ったりするという問題もありません。たいへん合理的です。

 そして,インターコム(内線ですね)がまた便利です。フロアが分かれているときには手軽に連絡が付く手段として我が家では定着しつつあります。

 今は2階の家に住んでいますが,近々引っ越しをする新しい家は3階建てですので,2つしかハンドセットがない今のシステムをどうやって設置するかが問題です。

 外線は1階に来ます。リビングは2階,寝室は3階に来ますので,ベースステーションを1階に置き,ハンドセットを2階と3階に置くというのは結構自然だと思うのですが,悪いことにベースステーションが充電台を兼ねていますので,残念ながらベースステーションだけ単独で設置するわけにはいきません。

 最初からハンドセットが3つのシステムを買っておけばよかったのですが,使い物になるかどうか半信半疑でしたし,3台のシステムは2台のシステムよりも割高なので,まあ2台で試してから考えようと思ったのです。

 そもそも1階にもハンドセットがあった方が便利ですし,追加でハンドセットを買い増しすることにしました。

 しかし,悪いことに簡単には手に入らないんですね。

 そこで,同じハンドセットを同梱する,ベースステーション付きのセットを買ってみようと言うことになりました。ハンドセットが1台だけのセットなら,そんなに高価ではありません。

 ただ,ベースステーションとのセットで販売されているハンドセットが,別のベースステーションに登録出来るのかという問題はあります。しかも,全く同じハンドセットを買うことが出来ず,下位機種の留守番電話機能なしのモデルしか買えませんでしたから,これはかなりのバクチです。

 まあ,3600円だし,面白そうだから試してみました。


・異なるベースステーションに登録出来るか

 結論から言うと可能でした。

 ベースステーションのシステムはL702M,今回買ったのはL601Mです。L70xとL60xとの違いは,留守番電話の有無です。

 留守番電話はベースステーションの機能ですので,ハンドセットは一見すると同じに見えるのですが,その留守番電話を操作するためのキーに,印刷があるかないかが見た目の違いです。

 実は,追加用の別売りハンドセットは,L70xとL60xで共通のL7という製品です。つまり,L7を買えば留守番電話のないL60xでも使えるわけです。ということは,L70xのハンドセットはL60xでもつかえると推測されます。

 問題は逆が可能かどうかです。印刷の違いだけで中身が同じであれば,L70xのベースステーションにL60xのハンドセットを登録することは可能でしょう。ですが,下位機種のハンドセットが登録出来るとなにかと不都合もあるだろうし,あえて登録出来ないようにしてあるかも知れません。

 届いてから試したところ,うまくL70xのベースステーションにL601Mの'ハンドセットを登録することが出来ました。ちゃんと電話もかかります。

 DECTという規格は汎用の規格ですので,メーカーや機種が違っても同じ仕様に従っています。異なる携帯電話メーカーの電話が同じように使えるのと同じ話ですが,話はベースステーションとセット販売されるコードレス電話ですから,特定の相手しか登録出来ないようになっている可能性は大いにありました。

 しかし,少なくとも今回のケースでは大丈夫でした。

 
・機能制限はあるか

 L601は留守番電話のない下位機種です。留守番電話の機能そのものはベースステーションにありますが,操作はそれぞれのハンドセットから行います。ですから,ハンドセットには留守番電話の操作という機能が求められるのです。

 L702Mの留守番電話の操作には2つの方法があります。1つはメニューから留守番電話機能を呼び出して操作する方法,もう1つは左上のボタンにあるショートカットを使って直接機能を呼び出す方法です。

 試したところ,前者はメニューに現れず,選ぶ事が出来ませんでした。フタをされてしまっていますね。

 そこで後者を試したところ,左上のボタンを押した瞬間にメッセージの件数を知らせる音声が流れ,留守番電話の操作メニューが表れました。

 そこからは,テンキーに割り当てられた操作も受け付けるようになり,留守番電話機能のすべてにアクセス出来るようになりました。

 つまりこの操作にはフタはされていないことになるのですが,ひょっとするとフタをすることが出来なかったのかも知れません。

 つまり,ショートカットでの機能呼び出しは,キーが押されたことをベースステーションに伝えるだけがハンドセットの仕事で,そこから先は決まった手順でベースステーションとハンドセットがやりとりをするという仕組みなのかも知れないです。

 メニューなら,メニューに出てこないようにフタをするのは簡単です。ショートカットボタンの処理がハンドセット側で行われているなら,ここにもフタをするだけですので,話は簡単だったはずです。

 しかし,そうなっていないところを見ると,ハンドセットではボタンを押したことをベースステーションに送るだけの機能しかしていないんじゃないかと思うのです。ボタンを押したことを伝えないようにフタをすると,他の機能にも影響が出ますので,それは出来ません。

 ベースステーションからの返事がハンドセットから届くときに,ハンドセット側で無視するような修正は可能でしょうが,それは新機能の追加になるくらい面倒な修正でしょう。それなら放置が一番楽です。

 つまり,メニューからの留守番電話機能へのアクセスが出来ないのは,入り口がふさがれているだけで,機能そのものが消されていたわけではなかったということです。

 留守番電話機能のキーへの印刷がありませんので,慣れていないと使いにくい物になるかもわかりませんが,ショートカットで留守番電話機能に入ってしまえば,あとはメニューに従うだけですから,なんということはないでしょう。むしろキーがスッキリとして,見やすくなり,格好良くなっていることの方がメリットがあるかも知れません。


・充電はどうする?

 登録がうまくいった場合に,ちょっと考えないといけないなあと思っていたのは,この問題でした。

 一番簡単なのは,追加のハンドセットに付いてきたベースステーションをそのまま使う事です。もちろん外線には接続しません。

 しかしこの方法は2つの懸念点があります。1つは,ベースステーション機能を殺しているわけではないので,電波が出続けている可能性があるということ,もう1つはベースステーション機能が動いていることで消費電力が大きいこと,です。

 この問題を根本的に解決するには,ベースステーションを改造し,単なる充電スタンドにすることです。

 そこで,ベースステーションを分解し,中の基板を取り出しました。

 そして6Vのスイッチング型のACアダプタを用意し,これに合うジャックをベースステーションの穴に接着剤で貼り付けます。

 充電の接点との間を配線して完成です。

 ただ,充電端子にどんな電圧が出ているかわかりませんので,L702Mのベースステーションと充電台それぞれの電圧を測ってみます。ベースステーションは6.8V,充電台は7.9Vほど出ています。これだったら6Vに安定化されたACアダプタを直結しても大丈夫だと,考えました。(これが間違いだったのですが)

 改造したベースステーションに電話を置くと,ちゃんと充電を開始します。しかし1時間ほどで充電が完了しています。随分早いです。

 消費電力は,AC100V側で0.2Wほど。無改造のベースステーションでは2Wくらいでしたから,ヒトケタ違います。よしよし,これでok。

 ・・・と思って数日後にハンドセットを手に取ると,ほんのり暖かいのです。まあこういうことは別に珍しいことではないので気にしないでいたのですが,問題なのは電池そのものが暖かかったことです。

 気になって他のハンドセットを確かめると,冷たいままです。

 おかしい。

 この時,L702Mに付属の充電台を分解したときのことを思い出しました。なにやら大きめの抵抗(47Ω)が入っていたのです。

 なるほど,これが電流制限抵抗か。

 そこで,電圧を無負荷で測るだけではなく,負荷を入れた時の電圧も測定してみました。予想通り,大きく電圧がドロップします。直列に大きめの抵抗が入っている証拠です。

 まてよ,この抵抗は,もしかするとトリクル充電の為の抵抗なんじゃないのか。

 そう考えて計算すると,やはりその通りのようです。ざっと20mAから30mAくらいの電流が流れます。トリクル充電は,電池の容量の1/20から1/30の電流を常時流しますので,まさにぴったりの数字です。

 私は,ハンドセット側に充電回路が入っている物だと思い込んでいましたが,トリクル充電しかしないなら,抵抗1本で済んでしまうのですね。それならベースステーションなり充電台に入れた方がよいですよね。

 今度はベースステーションも測定します。無負荷で6.79V,1kΩの負荷で6.00Vまで下がりました。この結果,等価的に見える内部抵抗は131Ωとなります。

 私はここでかなり焦っていました。トリクル充電の抵抗を入れず,電池に直接ACアダプタの出力(しかも6Vに安定化されている)を繋いでいたかも知れないのです。電池があっという間に過充電になり,もしかすると安全性も損なっているかも知れません。

 そこで,ACアダプタと充電端子の間に100Ω2Wの抵抗を入れることにしました。47Ωでもよいのですが,手持ちに適当な物がなかったことと,充電電流が少ない方が安全だという考え方からです。

 これで試してみると,30mA程でトリクル充電されることがわかりました。仮に電池の容量が700mAhなら1/20以下ですので,大丈夫でしょう。

 今のところ,これで満充電にもなりますし,おかしな発熱もありません。やれやれです。

 後日,他社製のコードレス電話の回路図を見てみると,やっぱり私の推測は当たっており,トリクル充電を抵抗1つでやっていました。充電回路であるこの抵抗はハンドセット側にはなく,充電台側に仕込まれていました。いやはや,危ないところです。


 そんなわけで,これでようやく3台体制になりました。今どき固定電話に手間とお金をかけるなんてどうかしてるなあと思いつつ,やはり携帯電話とは違う面白さがあるものです。昭和生まれはこれだからなあと,自分の年寄りっぷりに,苦笑いが出てしまいます。やれやれ。

2012年の散財を振り返る

 今年は冷静に考えると,毎年年初にやっている「昨年の散財」をまとめてませんでした。

 遅ればせながら,自戒の念を込めて,昨年の散財を振り返っておこうと思います。


(1)ネットワークオーディオプレイヤーN-30

 まずは,ネットワークオーディオプレイヤーです。パイオニアのN-30です。

 購入してから11ヶ月経過していますが,すっかり我々の生活に定着しています。DLNAによるFLAC再生,AirPlayによるiPadからの再生,そしてインターネットラジオと,大変便利に使っています。

 価格も安く,比較的大きなカラーディスプレイも装備されていて,基本性能も十分な物があります。ちょうど先日アップデートがあり,さらに完成度が上がったわけですが,音質云々ではなく仕様については,個人的にこの機種を越える物はないんじゃないかと思うほど,そつなくまとまっています。

 価格を考えると大変良く出来た製品だと思います。買って良かったです。人が集まる部屋には1台欲しいので,もう1台買おうかと思うくらいです。


(2)食洗機

 これも大変よい買い物をしたと思います。ただし,プチ食洗機は小さすぎて,使いこなしはなかなか苦労します。

 プチ食洗機は2人から3人くらいの家族を対象にした小型モデルなわけですが,通常サイズの食洗機との差分が対象とする人数,つまり格納できる食器の数だけだと思ったら大間違いで,特に奥行きが狭いことによる影響は大きなお皿が入らないという,数以上の形で表面化します。

 カゴの形状や食器の入れ方は大変工夫されていて,よくこのサイズにこれだけ入る物だと感心しますが,余裕のないギリギリの設計になっているので,ちょっと変わった形の食器や,少し深いお皿をいれると,途端に数が入らなくなります。

 ですから,経験的に格納しやすい食器ばかりを使うようになってしまいます。あれこれとお皿を使い分けるという楽しみが食洗機の導入以後なくなってしまい,食事が殺風景になったことは否めません。

 
(3)HP15cLE

 復刻版のHP15cLEも昨年の買い物です。買った時は全然使うこともなく,なんだか使いにくい電卓だなあくらいの感じだったのですが,HP20bを改造して作ったWS34Pのあまりの使い心地の良さに,HP15cLEも難なく使えるようになってしまい,単なるコレクターズアイテムから,実用マシンへの昇格を果たしました。

 とはいえ,もったいないので普段は箱にしまってあります。それでも目立つ傷がついているのはなんでだろうと,ちょっと凹みます。


(4)D800とレンズ

 なんといっても昨年の散財の筆頭は,D800とレンズでしょう。D800が27万円,AF-S24-70mmF2.8が15万円,AF-S300mmF4Dが10万円,そのほかなんだかんだで・・・いやー,すごい買い物ですね。いくら下取りを使ったとはいえ・・・

 しかし,D800は価格以上の価値がありました。36Mピクセルという超弩級の画素数を誇るフルサイズ機ですが,ボディの作りも高レベルで,今のところこれ以外に欲しいカメラが見当たりません。間違いなく一眼レフの頂点の1つです。

 高画素,高画質であることは,それ自身も重要なことですが,失敗の多くが救われるようになったことも思わぬ収穫でした。当初,高画素機ゆえの手ぶれによる失敗が多発することを覚悟していましたが,葉書サイズくらいに印刷するのであればそんなに神経質になることはありません。

 それより,フルサイズで高画素なのでトリミングの自由度が高いこと,高感度なので露出の失敗を救えることが多く,大変助かっているのです。

 そもそも失敗しないことが一番大切なのはわかります。

 しかし,失敗を意識してシャッターを切るのをためらうようなことがあると,貴重な瞬間を逃します。私はアマチュアですので,あまりストイックなことを言っていても始まりません。下手なんですから意地を張っていてもプラスにならず,そんなことよりむしろ,シャッターチャンスを逃さないことの方が大事です。

 ですから,トリミングも露出の調整も出来なかったD2Hに比べて,撮影が随分ラフになりました。本気のD2HとラフなD800を比べても,D800の方がはるかに良い写真が撮れるという現実は,受け入れなければなりません。

 これは私だけの話かも知れませんが,D800の唯一気にくわない点であるAFの性能が今ひとつなことでシャッターチャンスを逃しがちです。失敗写真の大半はピンぼけである現状で,1枚でも多くの写真を救えることはとても大きな意味があります。

 D800の被写体は,1歳ちょっとの娘です。生まれてから現在に至るまでの成長の早さ,変化の大きさには目を丸くするばかりですが,それを現時点における最高性能のカメラでたくさん残せたことは,本当に有意義だったと思います。

 とはいえ,レンズは試行錯誤ですね。AF-S24-70mmF2.8はなるほど良いレンズですが,大きくて重くて寄れないので案外出番は少なく,AF-S300mmF4Dなどは円高を理由に海外から買いましたが,本格的な出番は一度もありません。いずれ必要になると思われるレンズですから,大幅な価格上昇が予想されるリニューアルの前に,しかも超円高のうちに買っておこうと思ったのですが,ちょっともったいなかったかなと思います。

 結局のところ,一番稼働率の高いレンズは,AiAF35mmF2Dです。おそらく私だけでしょうね,D800のオーナーの中でこんなもったいない使い方をしているのは。


(5)ベビーカー

 マイクラライトのベビーカーは,5万円を越えるのが普通になったベビーカーの現状から考えると,性能に対して安価だと思います。

 ただ,必ずしも使い勝手がよいとは言えず,やはり重量の問題と取り回しの問題,そして前輪からの振動が多くて案外乗り心地が良くないのではないかと,そんな懸念もあります。

 今年の冬は寒く,インフルエンザも流行っているので,晩秋からずっと,積極的な外出はしていません。夏は夏であまり外に出ることはしませんでしたから,案外ベビーカーって活躍しないものです。

 これは親が出不精だからという理由が一番大きいのでしょうが,毎日ベビーカーで出かけるようになると,もっと軽くてコンパクトなベビーカーがありがたくなり,マイクラライトという選択肢が必ずしも正解とは言えなくなるかも知れません。


'(6)NAS

 不安定で遅いPogoplugにぶち切れてQNAPのNASを導入しましたが,これもなかなか良い買い物でした。NASという本来の機能に加えて,WEBサーバーもこれに統合し,Linuxであげていたサーバーを1台廃止(のち廃棄)することが出来たのですから,大したものです。

 DLNAによるオーディオ再生,複数台のMacをTimeMachineでバックアップなど,日常的に便利に使っている機能だけではなく,写真や動画の共有なども出来るQNAPのNASは,個人用のNASとしてはとてもよい製品だと思います。

 また,これをきっかけに導入したギガビットEtherの恩恵も大きく,USBなどの外付けストレージのプライオリティは低くなったと思います。それでも,無線LANを使っているとギガビットEtherと高速NASの恩恵は受けられません。ここが今後の改善点になるだろう思います。

 ついでにいうと,近頃の円安でHDDも値上がりしていますが,WDのREDシリーズの3TBもよいです。そこそこ速いし,発熱も少なく,SMARTのレポートを見ても壊れる気がしません。通常の3TBよりも高価ですが,その分の安心感は大きな物があります。


(7)Lightroom4

 購入したソフトの中ではダントツの稼働率で,もはやこれがないと私の写真趣味は成り立たないと言っても言い過ぎではありません。

 D800のように画像データが大きいカメラを使うには,写真の管理から現像,調整,印刷というワークフローを効率よく行う必要があります。容量と速度で大きなデータにへこたれないストレージ,高速なCPUに大容量のメインメモリというハードウェアは当然としても,自分にあったソフトウェアを見つけて使いこなすことも同じくらい大切な事です。

 D2HやK10Dをメインに使っていた頃にLightroom4を使い始めましたが,D800のようにデータのレタッチ耐性が高く,前述のように多少の失敗が救えるようになってくると,ますます現像ソフトの役割は大きくなります。

 ここで,メーカー純正のソフトを使うのが一番良いは説明の必要もないわけですが,メーカーが違えば異なる操作体系や概念を学習し直さねばなりません。また,データ管理から印刷までを一気に行えるバランスの良いソフトは純正には少なく,現像は優れていてもノイズ除去が下手くそとか,印刷が苦手とか,得手不得手があるものです。

 それをカバーするために,データが小さかった時代なら複数のソフトを組み合わせる方法でなんとか出来たかも知れませんが,1枚あたり30MBになろうかというD800の巨大なRAWデータでそれはなかなか大変で,多少の欠点には目を瞑ってでも一連のワークフローを1つのソフトで完結させることが出来ないと,現実的に作業が難しくなると思います。

 Lightroom4は安価で高機能,優れたUIを持ち,現像の能力はプロも認めた安定性を誇り,印刷の機能も本気で実装されている,コストパフォーマンスに優れたソフトです。ファイル管理は私はOSに任せているのでLightroom4の機能を使ってはいませんが,それ以外の機能については大変手に馴染み,D800との組み合わせにおいて不自由を感じません。

 現像機能だけとっても,メーカーが違っても同じ手順で処理が出来,そのくせ仕上がりは撮って出しのJPEGに近い物がちゃんと出てきて,そこからの調整や修正も問題なし,ノイズ除去性能の高さも手伝って,カメラの性能を1段引き上げていることは間違いないと思います。

 そこに良く出来た印刷機能やファイルのフィルタリング機能があって,使いやすく統合されたLightroom4は,買って良かったソフトの1つであると思います。


(8)ブラックアンドデッカーmultievo

 ブラックアンドデッカーの電動ハンドツールで,アタッチメントを交換するとドリルになったり丸鋸になったりジグソーになる,便利ツールです。

 リチウムイオン電池で動作し,多機能で安価といいことずくめなわけですが,そこはやはり価格相応のクオリティであり,剛性感も5万円クラスの電動ツールと比べれば,みじめな気分になります。

 でもそこはDIYの本場アメリカです。無骨でアメリカンな外観通り,不思議と不安感はありません。よく考えられているようで結構大雑把,持ちやすそうに見えて実はそうでもないとか,無駄にゴツゴツしていてやたら存在感だけはあるとか,マキタやボッシュにはない,独特の押しの強さがあると思います。

 と言いつつ,実はこれ,まだ本格的に使っていません。ですから使った実感というのはまだ沸いていないのですが,十徳ナイフやアタッチメント式の道具にありがちな,結局中途半端でどれも使いにくいという話は,ないように思います。

 パワーもあるし,予備の電池もあるので,このツールが作業の足かせになるようなことはないでしょう。


(9)Kindle Paperwhite

 3台目のKindleです。最初に買ったKindleDXは良く出来た機器でしたが,昨年秋に249ドルに値下げされた後,今はディスコンになってしまいました。惜しいですね。

 2台目に買ったKindle Keyboardは安くて軽くて小さく,標準で日本語に対応した初めてのKindleでしたが,やはりSVGA相当の解像度の低さがネックでした。

 そしてKindleの日本でのサービス開始を受け昨年末に購入したのがしたのがKindle Paperwhiteです。

 実は,購入してからずっと,ほぼ毎日使っています。以前は寝る前にふとんの中で読むことが多かったのですが,最近は通勤中に電車で読むようになりました。小さいのにXGA相当の解像度を持ち,高いコントラストをフロントライト併用で実現したこのマシンは,手で持った感触もすばらしく,読むという行為へのストレスが随分小さくなったなあと思います。このあたり,さすがに一日の長ありです。

 欠点は,PDFでは綺麗に読めないのでmobiに変換が必要であること,変換に手間がかかるので一気にやって蓄えておきたいのに容量が小さく,油断していると内蔵ストレージがいっぱいになり,ファームのアップデートすら出来なくなっていることでしょうか。

 そうそう,私は3Gモデルを買ったのですが,WiFiモデルで十分だったと思います。3Gで出来る事は限られ,ファームのアップデートすら自動で行われません。WiFiにバグがあるので3Gがないと時計も狂うという状況でしたから,確かに3Gに意味がなかったとは言いませんが,WiFiとの価格差を考えると自炊の人はWiFiにすべきですね。


 ということで,昨年も随分散財しました。それぞれに価値のあるものであり,純粋な無駄遣いは減ってきていると思うのですが,D800とレンズがこれだけ高額であることを考慮すると,今年以降はかなり引き締めて行かねばならないと,そんな風に思った次第です。

 なにかの雑誌で読んだのですが,年収400万円の人も年収1000万円の人も,そんなに貯蓄額は変わらないそうです。理由は年収に応じたお金の使い方をしてしまうからなんだそうですが,私の場合年収が高くないのに欲望に抗わずに散財しますから,このままでは破滅します。そう,身の丈に応じた生活をしないといけないのです。

TimeMachineがエラー

  • 2013/02/22 12:31
  • カテゴリー:備忘録

 先日,生活マシンであるMacBookAirが,エラーを吐き出しているのを見つけました。いわく,

 信頼性を向上するために、Time Machine は新規バックアップを作成する必要があります。

 とのこと。

 QNAPのNASを導入してから,TimeMachineによるバックアップを積極的に行うようになったのですが,もともとMacBoorAirは内蔵のSSDが64GBと少なくバックアップの負担が軽く,しかもうっかり操作でメールなどを消してしまうことが多い私としては,それなりに便利に使っていたのです。

 TimeMachineのような,履歴を遡って復元できるバックアップというのは,その保存期間が長いほど安心感があります。時間が経てば経つほどそのバックアップに値打ちが出てくるような錯覚に陥るのはそのせいですが,老舗のとんかつ屋の「秘伝のソース」のような気分で,ずらーっと列んだ自分のTimeMachineを見るのは,悪い気分ではありません。

 このエラーメッセージが出た時の選択肢は2つ。バックアップをやめるか,親近いバックアップを作り直すか。突然出てきたエラーメッセージに,過去の資産をすべて捨てろと言われることの,精神的ショックはかなり大きいです。

 こんな貧乏くさいのは私だけかなと思っていたら,国内外の先輩諸氏が同じ気持ち(かどうかは定かではありませんが)でこの問題に取り組み,見事に打破していることがgoogle先生の指南により,はっきりしてきました。

 まあ,こういうのはケースバイケースで,同じ手段で必ず解決出来るわけではない,特に最近のPCやMacは複雑化しているので,ダメモトでやってみました。

 なかなかうまくいかず,あきらめかけたのですが,幸いなことにうまくいきました。UNIXのコマンドに抵抗がないこと,MacOSXにおけるファイルシステムの扱いと共有の概念がきちんと分かっていることが求められますが,尻込みしていても仕方がないので,試行錯誤を繰り返したのです。

 このトラブルは今後も出てくると思います。そこで,ここにメモしておくことにしました。

 先輩諸氏は汎用性のある書き方をしてくれています。それは分かっている人にはありがたいのですが,分かっていない人には具体的な作業が分からず,結果が好ましくない場合になにが間違いだったのか,わかりにくい側面があります。そこで今回は,私のケースをそのまま記述しておくことにします。

(1)まず,TimeMachineのエラーが出たときに,バックアップしないを選択する。

(2)ターミナルを立ち上げて,
sudo su -
と入力する。これで以下の作業はrootで行う事が出来るが,失敗すると大変なことになるので,くれぐれも気をつける。

(3)カスタムアクセス権がかかっている場合に解除の必要があるため,以下のように打ち込む。
chflags -R nouchg /Volumes/TMBackup/MacBook\ Air.sparsebundle

 /Volume~は環境によって違うのだが,私の場合はこう。

 ここで出てくる「sparsebundle」というのは,MacOSX Leopardから採用されたディスクイメージの形式で,約8MB単位でファイルを細かく分割して保存することで,差分の保存を素早く行う為のもの。「スパースバンドル」と読む。

 成功してもなんのメッセージも出ないので気を落とさず次に進む。

(4)いよいよ修復。以下のように打ち込む。

hdiutil attach -nomount -noverify -noautofsck /Volumes/TMBackup/MacBook\ Air.sparsebundle

 すると,以下のように表示が出る。あくまで私の場合。
 
/dev/disk1 GUID_partition_scheme
/dev/disk1s1 EFI
/dev/disk1s2 Apple_HFS

 これを見ると,TimeMachine用のディスクイメージは/dev/disk1s2にマウントされていることがわかる。

 実はこのコマンドを実行すると,すでにfsck_hfsが走っており,修復がバックグラウンドで行われている。topコマンドを実行するとfsck_hfsが走っていることがわかるし,以下のように打ち込むとfsck_hfsのログがリアルタイムで見られる。

tail -f /var/log/fsck_hfs.log

 私の場合,こんな感じに。

QUICKCHECK ONLY; FILESYSTEM DIRTY

/dev/rdisk1s2: fsck_hfs run at Thu Feb 21 21:33:32 2013
/dev/rdisk1s2: ** /dev/rdisk1s2
/dev/rdisk1s2: Executing fsck_hfs (version diskdev_cmds-557~393).
** Checking Journaled HFS Plus volume.
** Detected a case-sensitive volume.
The volume name is Time Machine Backups
** Checking extents overflow file.
** Checking catalog file.
** Checking multi-linked files.
** Checking catalog hierarchy.
** Checking extended attributes file.
Invalid sibling link
・・・以下つづく

(5)ログに以下のように出てくると,修復は成功。

** Checking extents overflow file.
** Checking catalog file.
** Checking multi-linked files.
** Checking catalog hierarchy.
** Checking extended attributes file.
** Checking multi-linked directories.
** Checking volume bitmap.
** Checking volume information.
** The volume Time Machine Backups was repaired successfully.

 ここで,修復できないというメッセージが出てきた場合には,

fsck_hfs -drfy /dev/disk1s2

 と打ち込めば,もう一度fsck_hfsが走る。

(6)ディスクイメージをアンマウントする。以下のように打ち込む。
hdiutil detach /dev/disk1s2

 すると,以下のようにかえってくる。

"disk1" unmounted.
"disk1" ejected.

(7)壊れていることになったままの設定を変更する。以下の操作をする。

cd /Volumes/TMBackup/MacBook\ Air.sparsebundle
vi com.apple.TimeMachine.MachineID.plist

 viを使えるようになっておくと,こういうときなにかと便利。

 そして,以下の2行を削除。

RecoveryBackupDeclinedDate
{whatever-the-date}

 続けて,

VerificationState
2

 の2を0に変更。

 ファイルを保存して終了。

(8)これで復活。TimeMachineを手動で実行すると,おそらく成功するはず。


 という感じで,書けばなんてことない作業なのですが,私の場合何度も失敗していました。まず,TimeMachineのディスクをマウントしておくという先輩諸氏の記述を忠実に守らんとし,デスクトップにアイコンが出るようにするために,TimeMachineに入って中止するという手順をやったのです。

 はっきりしないのですが,これがよくなかったらしく,fsck_hfsがすぐに止まってしまいます。

 それで,こうした手動のマウントしないで,いきなり上記の手順を始めると,/dev/disk1s2 Apple_HFSてのは出てくるのですが,そこから進んでいないように見えます。

 仕方がないので手動でfsck_hfsをやるのですが,最後の最後にエラーが修復できない,と返ってきます。何度やっても修復できず,これはもう私の場合は修復できないエラーだったのかなあと,くじけそうになりました。

 今にして思い返してみると,hdiutilを行った後に,自動でfsck_hfsが動いているにもかかわらず,fsck_hfsを手動で実行してしまったからではないかと思います。

 そして最後に上記の手順に素直に従ってみると,どういうわけだかうまくいったと,
こういうわけです。

 とりあえず結果オーライということで,TimeMachineは順調に動いています。他に問題も出ていないようですから,これでよいということにしますが,TimeMachineは気持ち悪さも含みつつ,しかし一度でも救われた経験があるとやめるわけにはいかなくなる,そんな存在です。

 もう少し信頼性が上がってくれればありがたいのですが,NASとの組み合わせで問題が出てもそれは自己責任ですし,なんとかやっていくしかありませんね。

埋もれたHDCDでハイレゾ音源を入手

 ハイレゾ音源がにわかに脚光を浴びています。SACDの基盤技術として生まれたDSDも配信ですっかりメジャーな存在になりましたし,かつては雲の上の存在だった24bit/192kHzのPCMでさえも楽しめるようになってきました。再生環境もPCを使うか,一部のハイエンド機器しかなかった時代を経て,今はネットワークプレイヤーを使えば3万円ほどで楽しめます。

 良い時代になったものです。

 私もN-30というネットワークプレイヤーや,SACDでCDを越える情報量の音楽を楽しむ人間ではありますが,いかんせんハイレゾののソースを確保するのがなかなか面倒です。SACDはリッピングできませんし,DVD-Audioはすでに死んでいます。

 そうすると配信に頼るほかなくなりますが,なかなか高価ですし,一気に揃えるのは難しいです。

 まあ仕方がないなあと思っていたのですが,ある時「HDCD」という4文字を見て,突然記憶が蘇りました。

 そう,前世紀の遺物ゆえ,すっかり忘れてた,あのHDCDです。

 HDCDは日本国内ではマイナーな規格に終わりましたので知らない人が大多数かと思いますが,これ,アメリカで生まれた高音質フォーマットです。

 CDと完全な互換性を有しており,従来のプレイヤーで再生可能,しかしHDCDに対応したシステムで再生すれば,20bitに拡張されるんです。

 対応機器は1990年代後半から2000年代にかけて様々なメーカーからリリースされていて,アメリカやヨーロッパのメーカーだけではなく,日本のメーカーにも対応機種がいくつか発売されていました。

 「ほーすごいなそいつは」と感心する事なかれ。

 大体,16bitのCDに,余計に4bit追加して20bitの情報を詰め込むような錬金術や永久機関などどう考えても不可能です。だから,HDCDというのは冷静な目で見る必要があります。

 Wikipediaを見ても,どうも読みにくくてスッキリしません。そこで,私の知っている範囲で簡単にHDCDのことをまとめておこうと思います。正確な表現をすると難しくなるので,簡単な言葉で直感的にわかるような説明をしますので,厳密には正しくないことを書くかも知れません。ご了承下さい。


・そもそもHDCDってなんだ?

 HDCDは「High Definition Compatible Digital」略です。最後のCDがCompact Discでないことに注目して下さい。つまり,CDのハイレゾというわけではなく,デジタルの音楽そのものを,互換性を維持して高精細化するという,まあ夢のような嘘のような話です。

 実際にはDATにもMDにも適用可能なんだそうですが,そういう例を私は知りません。ですので,ここでは「CDと完全互換ハイレゾCD」という意味ぐらいに考えておいて下さい。面倒ですから。


・HDCDの特徴って?

 HDCDは,従来のCDと完全な互換性を維持しつつ,20bitに相当する情報を詰め込んだものです。HDCD対応のプレイヤーで再生すれば20bitで再生されますが,非対応のプレイヤーでもちゃんと16bitで再生されます。極端に劣化したり,再生出来なくなったりするようなことはありません。


・どうやって20bitを16bitに詰め込むの?そんなこと出来るの?

 例えば,ソニーのSuperBitmappingという技術があります。これはノイズシェーピングという手品を使って,低域のノイズを高域に移動させるものです。

 20bitでA/D変換された音を16bitに丸めてしまうと,本当なら録音されていた小さな音がノイズにうもれて再生出来なくなってしまいます。そこで,低域のノイズを減らし,20bitで記録出来ていた小さな音が埋もれないようにするわけです。

 ノイズを減らすとS/Nが上がり,ビット数を増やしたのと同じことになります。20bitでA/D変換した情報が無駄にならないわけですね。

 とはいえ,CDは16bitしかない箱ですから,20bit相当の情報をそのまま入れるわけにはいきません。そこで,ノイズシェーピングによって低域のノイズをノイズが耳に付きにくい高域に移動させ,全体の箱の大きさを変えずに,耳に付きやすい部分のS/Nを改善しようというのが,SuperBitMappingです。

 なんだか騙されたような気分になるのは無理もありません。私だって騙しているような気分ですが,まあ難しい数学の話はちょっと置いておいて,そういうことが出来るんだと思って,納得して下さい。

 HDCDは,これと同じような事をやっています。聴感上目立たない高域にノイズを持って行き,低域のノイズを減らすという点ではSuperBitMappinngと同じなのですが,それを実現する方法がノイズシェーピングではなく,ディザという方法になっています。

 ディザというのは「震える」という言葉を語源に持つ処理なのですが,わかりやすいのは白か黒しか印刷出来ない場合に,点描によって中間のグレーを表現するという例えでしょう。この点描のことをディザといいます。ディザを使えば,離れてみたときに白と黒が混じってグレーに見えてくれます。

 しかし,近づけば白と黒がはっきり点々になって見えてきます。それに,細い線などは完全に潰れてしまうでしょうね。

 白と黒しか表現出来ないということは,つまり1bitです。1bitしかないのですから,中間のグレーは本来なら表現出来ません。しかしディザを行うとグレーが表現出来ます。1bitの器しかないのに,それ以上の情報を埋め込む事が出来ていますよね。

 その代わり,近づけば白と黒がブツブツと見えてきますし,細い線は潰れてしまい,表現することが出来なくなります。細い線,つまり白と黒の繰り返しの回数が多いものは表現出来なくなるわけですが,繰り返し回数が多いということを「周波数」と置き換えて考えると,低い周波数は1bit以上の情報量を持つ一方で,高い周波数は情報量を減らしているわけです。

 これが,ディザによる,低域から高域へのノイズの移動です。近づくというのは人間の目の周波数特性を高域に拡大する事で,その時に見える白と黒のブツブツは,つまりノイズと置き換えてよいでしょう。

 ノイズシェーピングは,高域に行けば行くほどノイズが増えるという特性を持っていますが,ディザの場合には最終的に高域にノイズを押しやることになっても,低域や中域のノイズの量を一定にすることが出来ます。

 HDCDでは,高い周波数の成分を元の信号に加算することでディザを行って,16kHzまでのノイズの量を一定に保つことで,聴感上不自然にならないようにしています。

 このように,HDCDでは,20bitでA/D変換した音を,ディザによって16bitの器に押し込んでいます。人間の耳には目立たない16kHz以上のノイズは増えていますが,その代わり16kHz以下のノイズは均等に減っていますので,効果が大きいというわけです。

 これで分かるように,HDCDはエンコードの時に仕込む物で,再生時には特別な仕組みが入りません。ですから,HDCDは普通のCDプレイヤーで再生しても高音質だということになりますね。


・んじゃ結局16bitなんじゃないの?

 その通りです。16bitの器に,捨てていた20bit相当の情報を詰め込んだだけですので,全体の情報量は16bitのままです。それに,20bit相当の情報を入れても,再生時のD/Aコンバータが16bitだったりしたら,ここでノイズがばーっと発生してしまいますので,無意味になります。

 つまり,デジタルフィルタによって20bitになった信号を,20bitのD/Aコンバータで変換して初めて,その恩恵を受けることが出来るわけです。ただし,この時も特別な処理が必要な訳ではありません。


・でも20bitになるという話もあるんじゃ?

 そうそう,そうなんです。HDCDにはオプション規格があり,本当に20bitのデジタルデータを作る事が出来るんです。16bitの器から20bitのデータが出てくるなんて,なんだか嘘のような話ですが,これは一種の圧縮によるものです。このオプションを,ピークエクステンションといいます。


・ピークエクステンションとは?

 HDCDのうまみは,このピークエクステンションにあると思います。

 例えば,CDの16bitの器に入りきらないような音量差を録音しないといけないとします。この時,一番大きな音に合わせて録音するので,小さい音はノイズに埋もれて録音されなくなります。

 けど,1時間の録音のうち,大きな音が出るのはほんの一瞬で,ほとんどの時間は16bitの器で十分取り込めるような場合,この大きな音の為に他を犠牲にするのはあまりに惜しいですよね。

 同じ事は,デジタル録音が生まれる前,テープレコーダで録音していた時代にもありました。しかし,デジタルではある最大値を超えると急激に歪むのに対し,アナログでは大きくなるに従って徐々に歪みが増えるような特性になっていました。

 だから,アナログの場合には,急激に大きな音が入ってきても,そんなに大きく歪みません。アナログ録音の時には,多少オーバーになっても,普段の音量を重視して,大きめの音で録音することができたのです。

 HDCDではこの仕組みを再現しようとしました。音が小さいときはそのまま比例関係でA/D変換しますが,音が大きくなると,比例関係をわざと崩し,A/D変換の時に音が10増えてもA/D変換は5しか増えないというような,一種のコンプレッサをはさんだのです。

 こうすると,大きな音が実際よりも小さい音になってしまいますが,その代わり大部分の時間を占める小さな音がちゃんと記録出来るようになります。自然界の音は,16bitくらいではどうせ取り込めません。だから切り捨てるか,曲げて押し込むか,どちらかしか方法はありません。

 つまり,HDCDでは曲げて押し込む事を選んだのですが,ここではっと気が付くことがあります。もしもHDCDであることを判別できるなら,HDCDの時には,その曲げた部分を逆の規則によってまっすぐに伸ばして元通りにしてやればいいんじゃないでしょうか。

 これがピークエクステンションです。

 HDCD対応のデコーダーは,HDCDであることを判別し,かつピークエクステンションが有効であることが分かった場合に,ノンリニアPCM部分をテーブルから伸張し,20bitのデータに戻します。

 ノンリニアの部分を演算でリニアに戻すわけですから,当然情報の欠落はあります。ピュアな20bitではないのですが,それでも小さい音から大きい音まで,全部取り込む事の出来るメリットはとても大きいと思います。

 Wikipediaによると,ピークエクステンションはオプションであり,これが使われている例は少ないとありますが,実は私の手もとには結構な割合で使われているディスクがあります。HDCDの存在意義はここにあると私が思うゆえんです。

 ただし,注意があります。

 もともと16bitだったものを,ピークに合わせて20bitにしたのですから,全体の音量は下がってします。4bitも追加されますから,音量は24dBも下がるんですね。

 そこで,HDCDでは,20bitになった状態を基準におき,16bitの場合にはこれと同じ音量になるよう,16bitの時の出力を小さくすることを求めています。でも,なんだかバカバカしいなあと思うのは,出力を小さくすると,今度はアナログのステージでノイズに埋もれてしまうかも知れませんよね。アナログ部の設計がなかなか高度になってしまいます。


・他のオプションはないの?

 あります。ローレベルエクステンドがそれです。これはピークエクステンションの逆で,レベルが低い時間が続く場合に,その部分の音量をブーストして記録し,再生時に元に戻して再生するものです。

 しかし,このオプションが使われているディスクはかなり少ないと思います。実際に,私の手もとには1枚もありませんでした。

 技術的にも,レベルが低い時間がどのくらい続けばいいのか,急に大きな音が来たときはどうなのか,エンコード時のブーストと真逆の変化が,本当にデコード時に実現出来るのかなど,ちょっと疑問なところがあります。


・HDCDを判別する仕組みは?

 従来のCDとの互換性を維持するために,なかなか巧妙な方法を取っています。CDのフォーマットをいじる訳にはいきませんので,そこに書き込まれるデータに細工をして,判別しています。

 音が変わってしまわないように,比較的長い間隔をおいて,判別する信号を入れてあるというのが1つ目の工夫です。

 2つ目の工夫は,16bitのデータのうち,LSBの1bitだけ,ディザの信号を重ねるというものです。その信号の揺れ方がHDCDだと判別できるような規則に従っていて,まるで隠しコードを埋め込んだように見えます。

 このように,ディザのかけ方をある規則に従って行うことで,HDCDかどうか,あるいは各種オプションが使われているかを判断出来るようになっています。確かにこれだと,従来のCDとの互換性を維持することが出来ますし,音質の劣化も最小に出来ますね。


・どこにもHDCDと書いてないけど,実はHDCDだった?

 HDCDのエンコーダを通せばHDCDの判別信号が埋め込まれます。だから,スタジオに設置されているHDCDエンコーダの存在を意識しないで,いつのまにやらHDCDになっているものもあるんじゃないか,という意見があるようです。

 HDCDをうたうのに,特にライセンス料が発生したり面倒臭い手続きがあるわけではありません。だから,「知らないうちにHDCDになってた」という話は本当の話じゃないかと思います。

 こういう場合,問題となるのはHDCDにふさわしいデータになっているのかどうかです。

 極端な話,マスターが16bitだったらHDCDにする意味はありません。HDCDデコーダを通して20bitになっても,その中身は16bitです。

 また,マスターが20bitや24bitであっても,A/DコンバータがΔΣ型だったら,ちょっと面倒です。

 先に,HDCDはディザによって16kHzまでのノイズを均等に下げると言いましたが,これは均等に量子化ノイズを含むマルチビット型のA/Dコンバータが疲れている場合にのみ,意味があります。

 ΔΣ型はノイズシェーピングを使ったA/Dコンバータですから,すでに高域になるに従ってノイズが増えた状態のデータを吐き出します。そんなデータで均等になるようにディザをかけても,意味がありません。

 元のデータがどうやって作られたのかが結構大事で,HDCDではその規定もあります。


・CDと完全互換で20bitならすごいじゃないか。今後も期待したい。

 残念ながら,エンコーダを作っていた会社はすでになく,スタジオで稼働しているエンコーダが壊れてしまったら,もうおしまいです。

 デコーダについても,半導体はすでにディスコンになっていますから新規に採用して製造することは難しいでしょう。

 ソフトウェアデコードなら可能性はあって,PCでHDCDを楽しむ方法はあると思いますが,以前正式に対応し,解説まで丁寧に行っていたマイクロソフトも,最近はHDCD対応を積極的にうたわなくなりました。


・自分のCDがHDCDかどうか見分けるには?

 いろいろ手はあるのですが,私の場合foobar2000というソフトを使いました。HDCDのプラグインをインストールしたfoobar2000には,HDCDかどうかをスキャンする機能が備わります。

 HDCDの判別信号は,CDからのリッピングでも維持されます。さらに面白いのは,可逆圧縮であるflacで圧縮して,ちゃんと維持されることです。

 ですから,flacになっている音楽データをfoobar2000に登録,そしてHDCDスキャンをかけると,HDCDと判別されたファイルがリストアップされます。この時,ピークエクステンションなどのオプションの対応具合も分かるので,大変便利です。


・HDCDのデータを作ってみよう

 HDCDスキャナでHDCDのファイルが抽出できたので,これをハイレゾ音源に変換してみましょう。ツールはDOSコマンドになっているのですが,HDCD.exeを使います。

 HDCD.exeはなかなか使いにくく,ワイルドカードが使えなさそうなので,私の場合バッチファイルを使って一気に処理しました。変換に時間のかかる物もあり,そうかと思うと数十秒で終わるものもあったりで,どうもよくわかりません。

 まず,HDCD.exeに食わせるために,flacをwavに戻します。

 そして,wavファイルをこのコマンドで処理します。そのファイルがHDCDだと判断されれば,Detected HDCDと表示されます。そしてしばらくすると,24bitのwavファイルが出来上がります。

 ここで音を出しても良いですが,私の場合はこれをflacに変換してN-30でならしてみました。

 結果ですが,やはり音量は相当下がっているように思います。24bitのデータに,ほぼ16bitのデータを入れるのですから,8bit分,つまり48dBも小さくなるのですから,当たり前ですね。

 それで,20bitにした音はどうかというと,はっきりって私にはよく分かりませんでした。もともとそれなりに音の良いCDだったので,これが20bitになっても微々たる差だと思うのですが,じっくり聞き込めば違いがわかるようになるかも知れません。

 ここで注意しないといけないのは,ピークエクステンションの有無です。ピークエクステンションが有効であろうとなかろうと,HDCD.exeはDetected HDCDと表示し,24bitのデータを作ります。HDCDに対応していない普通の16bitのファイルでも,HDCD.exeはMSBに8bit分のゼロを追加して,24bitのファイルを作ります。もちろん,音量はそのまま小さくなります。

 ピークエクステンションが有効なHDCDを24bitに変換し,これをflacに圧縮すると,元のflacに比べて大きなファイルが生成されます。しかし,ピークエクステンションが有効ではないファイルを24bitに変換してflacに圧縮すると,HDCDであるにも関わらず元のファイルとほぼ同じ大きさになるのです。

 つまり,ピークエクステンションが有効でないと,元の16bitから意味のあるデータは増加しないということになります。こういう場合,音量が小さくなってしまうという弊害しか出てこない訳で,手間もかかるし作業自身の意味がありません。

 ピークエクステンションが有効な場合には,明らかに意味のあるデータが加わっていることがわかりますから,これは意味があります。結論から言うと,foobar2000のHDCDスキャナでピークエクステンションがかかっているものだけを選び出し,変換すべきだったということです。


 そんなわけで,見慣れたCDラックからお宝を発掘する楽しみと,費用をかけずにハイレゾ音源を増やせるメリットがHDCDにはあります。今後増える事はないでしょうが,当時のCD製作者が,出来るだけいい音で聞いてもらいたい,と言う気持ちを込めたHDCDを,ようやく味わうことが出来たことを素直に喜んでおきたいと思います。

ユーティリティ

2026年04月

- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -

検索

エントリー検索フォーム
キーワード

ユーザー

新着画像

過去ログ

Feed