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新生シリコンハウス共立と本の山

 昨日の続きです。そう,新しくなったシリコンハウス共立を目指して,北側にガシガシ歩いて行きます。眼前に,それらしいお店が見えてきました。

 私が初めて日本橋に足を踏み入れた頃は,すでに日本橋の南側に大きなパソコン専門店であるJ&Pテクノランド(かつてのテクノランドは今の半分ほどの大きさで,2階へは階段で上がるような感じでした)が存在し,中程にあったお店はメデイアランドを名乗っていました。メディアランドは小さく地味で,日替わり特価品などは最後まで残っている,いわば穴場でした。これが後にスーパーキッズランドにとなり,私も何度か鉄道模型やプラモデルを買ったことがあります。

 一方,シリコンハウス共立は恵美須町駅のそば,今はマクドナルドが入っている場所の2階と3階にあり,狭くて急な階段を上がると,狭い店内に電子部品が所狭しと並べられていました。余談ですが当時のシリコンハウスの店長さんが,後にデジットの店長さんとして,アルバイトで入った高校生の私を随分かわいがってくれました。

 そしてこの7月,スーパーキッズランドがシリコンハウス共立に生まれ変わったわけですが,いくら日本橋が変化する街とは言え,この変化を誰が予想できたでしょうか。

 かつてのパソコンのメッカ,かつてのオモチャと模型のお店として,何度も出入りしたこの扉をくぐるときの感覚の不思議なこと。案外広くて閑散とした印象があるのは,電子部品という小さなものを売っているからでしょうか。

 1階を一回りし,かつてのシリコンハウスの1階と似たような感じであることを理解して,用事のある2階に行きます。うー,電子部品を買うのにエスカレータを使うなんて,ニノミヤが元気だったころ以来です。

 2階に行くと,確かに広いし清潔なのですが,時間が経つにつれて「あれ」という違和感が強くなります。かつてプラモデルを売っていたフロアに電子部品があることが違和感というのではなく,売り場も大きくなったのに,売っているものがほとんど変わっていない,はっきりいうと品物がちっとも代わり映えしないという感じなのです。

 かつてのシリコンハウスになかったものが揃っているとか,そういう印象は非常に薄く,なんだかんだで昔と同じか,と言う残念な気分が支配的になると,もうそういうモードで見てしまうようになります。これはもしかすると,失敗の序章なのか・・・

 確かに,ストロベリーリナックスをはじめとするキットも充実しています。カウンタの中にあったIC類が自分で探せるようになりました。人とぶつかることもなく,ゆったり買い物が出来るようになったことも大変便利です。

 しかし,店が広くなっただけに,かえって寂しく見えるところもあるのです。例えばケース。テイシンやタカチといったメーカーはありますが,リードやアイデアルのケースは少ないか,あるいは全然ありません。そもそも,選ぶほどの品物がないので,相変わらずケースはシリコンハウスでは調達できません。ここは旧ニノミヤのパーツランドやマルツ電波の圧勝ですね。つまみも全然少なく,昔のシリコンハウスの方がいいものが買えました。

 3階はオーディオのジャック類やコネクタ,中古測定器のフロアなのですが,なぜ中古測定器を含む測定器や開発環境専門のフロアにしないのかなあと思いました。それだけ,中古測定器が面白いのですね。

 個人的には,キットと測定器は3階に集めてもいいと思うし,2階は電子部品を集めて,エース級店員さんを集中配備すべきではないかと,思いました。

 まあ,でも平日の昼間にもかかわらず,作業服を着た人たちを含め,結構な繁盛ぶりでした。これが休日や夏休みになると,どんな混雑になるんだろうと想像すると,ちょっとうれしくなりました。

 考えて見ると,日本橋にはこのシリコンハウス共立にデジット,パーツランドといった地元資本の老舗に加えて,マルツ電波に千石電商と,今やアキバよりも面白い街になっているような気さえします。(秋月がないのが致命的ではありますが,その秋月もかつての面白さを失っていますし,デジットと似たところもあるので,通販で補えるレベルだと私は思います。)

 結局,シリコンハウスだけでは揃わなかった部品を探しにデジットに出向きます。デジットが近くなったのはありがたいですが,結局ここはさらに部品が少なくなっており,デジットでなければならない魅力が随分と薄れてしまった印象です。誇るべき店員さんのレベルも下がったなあと思わせることもあったりして,生まれて初めて,デジットを手ぶらで出ることになりました。残念至極です。

 ケースは結局,マルツで買いました。現品限り半額ということで,アイデアルのCL140というちょっと変わったケースを1000円ちょっとで買いました。これには,TA1100のアンプを組む込む予定です。つまみはパーツランドで調達。ニノミヤ時代の在庫を売り切ったら,この店は一体どうなるんでしょうか。

 あと,今回はフィルムコンデンサの入手が難しくなってきたと感じました。今年1月頃にはまだニッセイ電機の1%品が難なく買えたのですが,今回デジットに行って話を聞くとニッセイ電機は倒産したとのこと。調べて見ると今年5月に倒産したんですね,残念です。

 代わりということなのでしょうが,WIMAのコンデンサが入荷していました。でもデジットは種類も少なく,さすがにシリコンハウスの方が品揃えも豊富でした。在庫を切らしてしまうことは,私がデジットにいた頃は御法度だったんですがね。

 結局デジットからまたシリコンハウスに戻り,ここでコンデンサをいくつか買いました。そして,ちょっと気になっていたストロベリーリナックスのL/Cメーターキットを買って帰りました。

 これ,店頭には在庫がなかったのです。カウンターできいてみると,1つだけあるという話になり,それを買ってきたのです。

 このL/Cメーター,4600円とちょっと微妙なお値段で,AVRを使った無調整で高精度な今時の測定器キットです。容量計を作ろうかなと思っていたところでもあり,キットなら楽だろうと飛びついたわけですが,これについてはまた後日。

 さて,嫁さんの飛行機は離陸が30分ほど遅れたらしく,到着は15時をまわってしまいました。この日,大阪も強烈な暑さで,私は直射日光に顔を焼かれて,ひりひりしていたほどです。今年の暑さは,まさにあの日が最後だった,ということです。

 23日は8箱の本のうち,5箱の発送手続きを行ってからのんびりと過ごし,24日にこちらに戻ってきました。そして24日の夜には,5箱の本がちゃんと届きました。150kgをえっちらおっちらと自室に運び込んで,怖い目をした嫁さんのご機嫌を伺います。

 この土日で,Oh!Xの2年分をスキャンしました。実家の近くのスーパーで買った砥石で切れやんだ裁断機の刃を研いで,これから続く厳しい戦いに備えた後,Oh!Xを4冊まとめて,背を切り落とします。

 こんなに頑張ってスキャンしているのに,全然山が小さくなりません。途方に暮れながらも,しかしもうコツコツやっていくしかありません。

 記念に,その5箱分の本の山を,挙げておきます。

ファイル 409-1.jpg

 いやはや,心が折れそうです。

長い大阪での滞在

 9月17日に急に叔父が亡くなり,翌日から実家のある大阪に戻っていました。翌週は偶然にもお休みを取ってあり,他の用事もあって結局1週間まるまる,実家に滞在していました。今後,これほどの長期間実家にいることはもうないのではないかと思います。

 せっかくの長期滞在といろいろ予定を立てたのですが,そのうち大きなものは子供の頃から蓄積している大量の本や雑誌を,自宅に持ち帰り電子化するという作戦です。

 これまで,スキャンをしても紙を捨ててしまえばもうオシマイ,となかなか捨てられずにいたのですが,スキャンしたデータは必要に応じてプリンタで印刷することも,あるいはKindleやPCで読むことも十分可能であることがわかり,オリジナルの紙にこだわる気持ちもかなり薄れています。

 そうなると,実家もいつまでもあるわけではありませんし,今回の不幸のように,これから私の親にもなにか急なことがないとは限りません。その時がやってきてしまうと,もう本どころの話ではありません。今だから出来る事があるというわけです。

 まあ縁起でもない話をするのはやめときますが,年々紙で残す本の基準が上がり,余程の本でないと電子化を免れない昨今,改めて屋根裏部屋の本の山を眺めてみると,むしろスキャンした方がメリットがあるのではないかと思うような本がたくさんあることに気が付きます。

 そんなこんなで,現在の基準で残す,スキャンするを区別し,スキャンするものを躊躇なく自宅に送るのに,期せずして得たこの長い実家での滞在を利用することにしました。

 まず,Oh!X(mz)。1984年から休刊までほぼ揃っていますので,11年分ですね。130冊ほどありますが,ゆうパックで受け付けてもらえる30kgを1つの箱につめると,ざっと2箱分です。レア度の高い「それゆけX1」もスキャン決定です。

 1980年以前の古い古いトラ技も貴重という事で残してありましたが,むしろ電子化して手元に置いておいた方が面白いでしょう。これも1箱ほどあります。

 1980年代前半のI/Oの別冊も,今や技術的な価値はなく,技術史の資料としての側面が大きいでしょう。そうなると紙で残すべきなのですが,私は裕福ではないので,スキャンするのが限界です。だって,RANDOM BOXの総集編やら,8ピンドットプリンタの使い方やら,自作ワンボードマイコンのモニタプログラム集やら,そんなものがあっても,おそらくほとんど役に立たないでしょう?

 マイコンBASICマガジンは弟の管轄なので,今どうなっているのか分かりませんが,私たち兄弟が毎月買うようになった以前の記事は,BASICマガジンデラックスという別冊で確保しました。この別冊をVol3まで買うと,とりあえず創刊号からのプログラムが全て網羅されるはずですが,この3冊については私の管轄なので,私の判断でスキャンします。

 廣済堂出版のRAMも,今や伝説の雑誌です。1980年とか1981年とか,かなり古いものも数冊あるのですが,これは私が学生の頃こまめに古本屋に通って買ったものです。全然数が揃っていないので,ほとんど価値はないでしょう。同じ理由で電波新聞社のマイコンも,数冊しかないのでスキャンします。(1983年2月号は私が生まれて初めて購入したコンピュータ雑誌なのでちょっと惜しいのですが)

 エレクトロニクスライフは,かなり迷いました。1986年ごろから,面白い記事があると買うようにしていましたが,これもそんなに数が揃っておらず,その内容にこそ価値があるのは明白です。断腸の思いでスキャンすることにきめます。揃っていないとはいえ,休刊までの20年ほど間に,箱に半分ほどの量はありました。

 むー,バックアップ活用テクニックが大量に出てきました。Vol4からVol30くらいまであります。結構な分量です。個人的には,Vol5からVol20くらいまでが最も面白く,勉強(なんの?)になったと感じていて,それだけに思い入れもあります。

 実際,このあたりのバックアップ活用テクニックにはそれなりの値段が付いていた時期もあったそうで,そういう事情からもスキャンすることはしないでいました。しかし,ペンキをこぼしたりしてかなり程度が悪く,この状態では価値などありません。といいますか,そもそも現在はそんな高値ではありません。

 というわけで,バックアップ活用テクニックもスキャンします。

 あとは大人になってから買った本ですね。ハードカバーの本が2箱ほど,ブルーバックスをはじめとする新書のたぐいや文庫も大量にあって,これでまた1箱ほどありそうな感じです。

 ということで,2011年の基準でスキャンする本を集めたところ,30kgの箱に8箱出来てしまいました。合計240kg・・・よくもまあ,これを屋根裏部屋から降ろせたものです。

 こうして,紙で残すことになったものは,1982年から1984年までの子供の科学,1983年から1988年までの初歩のラジオ,そして1983年から1986年までのI/Oまでになりました。子供の科学と初歩のラジオはリアルタイムで毎月買っていて,数も揃っています。I/Oは後に古本屋でまとめ買いしたもので,これもかなり数が揃っています。これは今のところは残しておきましょう。全部で6箱ほどです。

 この,本と雑誌の選別と整理,そして梱包に,20日と21日両日をあてました。

 22日は嫁さんが短期滞在の予定で実家に来てくれることになっていたので,迎えに行きます。といっても,伊丹空港までは面倒臭いので,阿倍野までバスで来てもらうことにします。

 この時,もう1つの目的である,新しくなったシリコンハウス共立を見てみようと考えました。嫁さんの飛行機が到着し,阿倍野までやって来る14時頃まで,のんびり買い物をするため,11時半頃に日本橋に到着。

 するとなにやら,堺筋に面した小さいお店が騒がしいです。恵美須町駅のそば,かつてのシリコンハウスがあったあたりです。

 この街で働いていた人間にとって,シャッターが閉まったお店の前に人がワラワラいるのは,おおむね倒産や夜逃げです。集まった人たちには怖い人も混じっているので,目を合わせると取り返しが付かなくなります。

 そーっと眺めていると,報道用のテレビカメラ,大きな一眼レフに腕章と,完全に報道関係の人たちのようです。怖そうな人はいないようですが,なにやら騒然としています。こういう場合,おおむね火事なわけで・・・

 しかし,それも違うようです。50cm程上がっただけのシャッターの隙間にカメラを突っ込み,中の様子を撮影している人もいます。これは結構大きなニュースのようです。

 その日の夜のニュースで,それが違法無線LANを売っているお店の摘発だったと知ります。この手の摘発としては全国初とのことで,NHKの9時のニュースでもちらっと放送していましたので,びっくりしました。もしかしたら私が写っていたかも知れません。

 長くなったので,続きは明日。シリコンハウス共立での買い物のお話からです。

ネットワークオーディオが変えるハイエンドオーディオの世界

 ここ最近,ちょっと大きな変化が来ていると感じていることがあります。

 それは,ハイエンドオーディオの世界で起きつつある,ネットワークオーディオへの脱皮です。

 私はハイエンドオーディオの所有者でもないし,それほど興味があるわけではありませんが,ディジタル技術に対しては比較的保守的と言える姿勢の人々に対して,各メーカーがこぞってネットワークオーディオ機器を用意していることに注目をしています。

 CDの売り上げが下がり,配信による売り上げが大きくなっていることはすでにご存じのことと思いますが,これは携帯電話で音楽をダウンロードし,そのままそれを聴く,あるいはiTunesStoreで音楽を買い,それをiPod/iPhoneで聴く,と言うスタイルの定着によって起きていることであり,つまるところオーディオのカジュアル化がさらに進んだ結果であると,考えられる傾向があるようです。

 私もそう考えていました。つまり,CDは大規模店でないと買えなくても,ダウンロード販売ならいつでも1曲単位で買えるという利便性が支持されているのだと信じていたわけです。利便性と引き替えに失ったものは音質であり,圧縮された音楽は,およそHi-Fiとは言えないものであって,面倒な事でも「儀式」として尊び,全ては音質のためにというハイエンドオーディオには,およそ無縁だと思っていたのです。

 しかし,ハイエンドオーディオがネットワークオーディオに舵を切っている事は事実です。これをオーディオのカジュアル化という文脈で捉えようとすると,失敗するように思います。

 これらハイエンドオーディオをターゲットにしたネットワークオーディオ機器の特徴は,USBによるマスストレージに記録されたファイルと,DLNAなどネットワークで運ばれるファイルの再生を行うもので,その点ではカジュアルなオーディオ,あるいはゼネラルオーディオとなんら変わらないように思えます。

 しかし,これらの機器が,24bit/96kHzといったフォーマットにちゃんと対応していることを見逃してはいけません。16bit/44.1kHzでさえも,あれだけの物量を投入するマニアの人たちですから,情報量が2.5倍にも膨れあがる24bit/96kHzに対しては,それを上回る高音質化を行わなければ納得しないでしょう。

 私が先日購入したZoomのH1も,1万円そこそこで24bit/96kHzの録音と再生が可能です。しかし,潜在的に多くの情報を含むデータから,その情報を余すことなく再生するシステムを組み上げるのは尋常ではありません。

 ここでふと気が付きます。つまり,音楽を聴くことに大きな価値を感じてお金と時間を投入するマニアをして,すでにCDやSACDといったパッケージメディア見限ったのではないか,ということです。

 CDは30年近く前のフォーマットで,制作現場で使われている24bit/96kHzに対してあまりに器が小さすぎ,かなりの情報を削り落として押し込んでいます。SACDは音質には定評がありますが,いかんせん新譜が少なく,供給という点で問題があります。

 ハイエンドオーディオのマニアが,これらのメディアに対して長年不満を募らせていたことは事実で,その中で出てきた1つの流れがLPレコードへの回帰だったと言えるのかも知れません。

 このままパッケージメディアに頼っていては,スタジオで鳴っている音には永遠にたどり着かない,そのことに気付き,焦り始めたマニアが,自然に目を向けるようになったのがネットワークオーディオだったとすると,それはとても自然です。

 言うまでもなくハイエンドオーディオのマニアたちの執念は強烈で,1mあたり何十万もするケーブルに一喜一憂し,スピーカーの位置を1cmずつ動かしてはその変化に聞き耳を立てる人たちです。どちらかというとディジタルオーディオに懐疑的な人種でありながら,フォーマットの優劣はケーブルくらいでは越えられないこともまた良く承知している聡明な人々でもあるので,彼らが本気になってネットワークオーディオに取り組み始めた時には,もうその流れを止めることは不可能でしょう。

 数年前から,24bit/96kHzなどのフォーマットをPCとUSBオーディオ機器を使って高音質再生するという試みが一部のマニアの間で検討されていましたが,オーディオ用にチューニングされていない機器を使いこなすのは難しいことであったようですし,そもそも高音質フォーマットによるソースの供給が少なすぎて,主流にはならなかったようです。

 そこへ,ネットワークオーディオに特化したハイエンドオーディオ機器が,きちんとしたチューニングとD共に相次いで登場して来たことを,見逃してはいけません。

 この流れの一番乗りは,イギリスのLINNというハイエンドオーディオメーカーです。

 高級オーディオ機器のメーカーとして知られるLINNは,2009年の年末をもってCDプレイヤーの生産を取りやめました。なんだかんだでオーディオソースの主役であるCDをラインナップから外すという英断に,私は当時大変驚いたのですが,2007年ごろから彼らが注力してきたネットワークオーディオ機器,LINN DSシリーズに対するユーザーの反応が,この大きな決断の背中を押しているわけです。

 LINNがいうには,2009年度はワールドワイドの売り上げのうち,ネットワークオーディオ機器が売り上げ全体の30%を稼いでるというのです。しかもCDプレイヤーの売り上げは前年比4割減です。もうそんな時代になっているのかと驚かれるのではないでしょうか。

 CDも,その長い歴史の中で高音質化が行われてきましたが,やはりフォーマットの壁はいかんともしがたいわけで,アナログ放送の地上波が,どれだけ高画質化しても根本的な情報量に絶対的な差のある地上デジタルのハイビジョン映像には全く歯が立たないのと同じ話です。

 ネットワークオーディオにはフォーマットへの縛りが緩いという特徴もありますし,駆動系がなく音質にも有利,しかも信頼性も高いです。PCとの親和性も高く,利便性にも優れています。中身と器を完全に分けたというのも現代においては必須の概念でしょう。

 利便性によって普及したネットワークオーディオは,ここに至ってオーディオ史上最高音質という能力を身につけ,一躍ハイエンドオーディオ向けの最重要ソースになりつつあります。

 LINNの勇気ある決定に続き,ここ最近数十万円クラスのハイエンドオーディオ機器にもネットワークオーディオが用意されるようになりました。日本のメーカー重い腰をあげてようやく参戦しつつあります。LP,CDに続く,ソースの主役に君臨する日は,もうすぐそこです。

 自宅にネットワークが張り巡らされ,サーバーには24/96を含む可逆圧縮のオーディオデータが収められて,これが数百万円のアンプとスピーカーを鳴らし切る,そんな時代がすぐそこまで来ています。これは,音楽を聴く人にとってはもちろんのこと,音楽を作る人にとっても,極めてエキサイティングなことだと思います。

 しかしながら,CDはおそらく消えません。音楽を詰め込んだパッケージには,最新の音楽を高音質で配布するという役割だけではなく,文化と歴史の担い手という非常に重要な役割があります。

 SP盤は音質としては決して良いとはいえません。しかし今でも愛好家がいますし,むしろ貴重な録音,貴重な記録という文化的側面が強いわけです。LPもしかり,CDもしかり。いずれも,これほど多くの資産を持つメディアですから,そうそう簡単に消えはしないでしょう。メディアが担う役割の比重は,年々変わっていくのです。

 ならば,ネットワークオーディオの時代になると,供給される音楽はどういう形でアーカイブされ,文化として次代に引き継がれることになるのでしょうか。

 そう,趣味性の強いハイエンドオーディオにおいては,その音質で主役になることは間違いないでしょうが,パッケージメディアが持つアーカイブという能力が欠如していることについての議論は,まだまだ浅いのではないかと思います。

 LPレコードの再生に数百万円の出費を厭わないマニアだからこそ,今の音楽を次にどうやって残していくのかを,一緒に考えてもらいたいものだと,私はそう思います。

秋は文化祭の季節

 文化祭の季節です。

 遙か昔,私のいた中学校には文化祭がなく,またそれに類する文化的な催し物もない上,そもそも文化系がマイノリティの扱いを受けていたこともあり,特に文化祭の激しさに定評のある高校に入学した私は,3年間その盛り上がり方に心地よさを感じていました。

 第二次ベビーブームの頃の話ですので,13クラスが3学年,しかも一クラスで48人もいましたので,ざっと2000人近い人間が通う大きな公立高校でした。創立が100年を越えるような古い学校ということもあり,私が通っていた頃は某女子高生バンドのアニメに出てくるような,天井が高く床が木で出来た校舎に,この上ない愛着を感じていました。

 みんなそこそこ賢く,しかし勉強のプライオリティは低く,入る時に賢くないとだめだが,入ったらアホになると有名な学校だっただけに,文化祭は3日間行われ,校内の施設だけでは足りずに,近くの公会堂まで借りるような,大きなイベントだったように思います。

 3年生はほとんどのクラスが演劇をクラスの出し物として企画し,うまい脚本を書くこと,お芝居がうまいこと,上手に縫い物をし衣装を仕立てること,木工や塗装のプロ級であること,立て看板やポスターに描く絵が素晴らしいこと,などなど,各々の意外な一面を垣間見る,そんなことも面白さの一端だったように思います。

 そんなわけで,私は文化祭が大好きなわけですが,この春引っ越したところがちょうど高校の真そばということもあってか,学校から案内の手紙を頂戴しました。

 そうなんだよな,高校の文化祭は一般の人間も行ってよいんだよな。

 ということで,先日嫁さんと一緒に,歩いて2分で到着する高校に,文化祭に行ってきました。

 9月になったとはいえまだまだ蒸し暑く,校舎内は特に暑いのですが,最近の高校はあれですね,エアコン完備の部屋も結構あるんですね。美術部などは喧噪とは全く無縁,我関せずと言う文字通り涼しげ様子で,見学者の我々を完全に無視して,くつろいでおられました。

 我々が行った学校は歴史ある学校のようですが,校舎は新しく,しばらく方向感覚が分からずウロウロすることになりましたが,なにぜ1学年で6,7クラスで,私の頃の半分です。そんなに多くの展示があるわけではありません。

 残念だったのは,写真部も科学関係の部もなく,展示系に案外見る物がなかったことでしょうか。今の高校生は写真を楽しむ人も多いと思っていたので,写真部がないというのはちょっと意外だったのですが,まあそんなものかも知れないですね。

 私が文化祭に出かけた最大の目的は,高校生バンドを見ようと思ったことです。高校生バンドは流行廃れのサイクルを繰り返しながらなんとかその脈名を保っている文化系クラブの代表ですが,現在はそれなりに人気のあるクラブのようで,会場となっていた視聴覚室前の出演バンドの数は,2日間でこれだけやんのか,と思うほど充実しています。

 高校生のバンドですから,ジャズやファンクがあるとは思えず,そんなものを期待することはないのですが,キーボーディストとしては高校生がどんな楽器をどんな風に使いこなしているのか,大変興味もあるわけです。

 それと,高校生とはいえ,爆音を鳴らすことには違いなく,上手下手関係なく,爆音に身をゆだねることを久々にしてみたかったことも,大きいです。

 果たして,潜り込んだ結果はどうかというと,これがとても面白かったのですよ。

 何かのコピーだと思いますが,私には分かりません。ですが,ボーカルの男の子はギターもなかなかうまくて,声も良く通っていました。ステージの前には,1年のTシャツを着た学生が陣取っていたので,1年生なのでしょう。大した腕前です。

 ドラムは女の子ですが,なかなかタイトな音を出しています。ちょっとタムの連打でばたつきますが,もっと下手なのがいっぱいいますのでね。男の子のベースもしっかりその役目を果たし,バンドを支えています。

 サイドギターはピンク色の派手なギターを抱えた小柄な女の子ですが,この子が実は下手でした。音作りもしておらず,リズムを無視してガシガシ弾いている感じがします。本人も分かっているのか,音も小さめになっていて,控えめなプレイをしていました。

 しかし,コーラスを始めるとこれがすかーんと良く通るいい声をしているんですね。ギターもいいけど,ボーカルをやった方がいいんじゃないかと思いました。

 残念ながら,締め切った視聴覚室の蒸し暑さと匂いに2曲ほど聴いて退散したのですが,私としてはもう十分。久々にザクザクとしたギターを聴いて満足でした。え,キーボーディストですか?いなかったですね。残念ですが,高校生でキーボードというのは,なかなかいないものです。今時はベース以上に地味で,格好の悪い(はっきりいえばヲタクですな)存在ですから,形から入る高校生が「やってみよう」と思う楽器の対極にあるといっていいでしょう。

 私たちのころは,ピアノを習っていたとか,そういう理由で部の備品のしょぼいキーボードを演奏する女の子というのが,キーボードの形だったのですが,どこにでもマニアはいるもので,私の1年先輩にぶっといアナログシンセを弾きこなしていた人がいました。

 ということで,わずか30分ほどで帰ることになったのですが,帰りの階段で買い込んだチョコレートを処分しようと,売り歩いている女の子に声をかけられ,嫁さんの分と2つ買って帰りました。

 嫁さんいわく,

「よかったー,我々不審者にみないんだねー」

 ・・・まあ,本当によかったと思います。

本気のBluetooth,MW600

  • 2010/09/09 14:25
  • カテゴリー:散財

 散財が止まりません。

 今回は,まさに衝動買いをしてしまったBluetoothヘッドセット「MW600」です。

 ソニーエリクソンから今年5月末に発売され,神機としてカテゴリトップの売り上げを誇る人気機種です。お値段は少々お高く実売で11000円ほどです。

 ソニーエリクソンとしては実質この機種くらいしかお店にありませんので,メーカー別シェアを週単位で見てみると,この機種の在庫がなくなるとシェアは最低に落ち,入荷するとダントツのトップに躍り出るという,非常に売れている機種です。

 ヨーロッパで設計され,昔から海外では売られていましたが,Bluetoothヘッドセットがそんなに売れていない日本への導入はないものと思われていたなか,ちゃんとローカライズして発売されたわけで,発売前から随分と注目されていた商品でした。ですが私自身はそれほど興味を持っていませんでした。

 携帯電話をわざわざヘッドセットまで買って使いたいとは思わないこと,ワイアレスヘッドフォンとして使うにしても音質が悪く,遅延も発生するのに1万円の価値はない,すでにiPodもヘッドセットくらいの大きさになっているのにバカじゃないか,など,この商品と言うより,このカテゴリの商品について完全否定の立場でした。

 仕事柄無関係というわけにも行かず,しかしながら大した興味もないまま今までいましたが,ちょっとしたきっかけからMW600に触れる機会があり,その10分後には購入を決定,昨日の帰宅途中に寄り道して,たまったポイントで帰って帰りました。10800円でした。

 なにが突然琴線に触れたかというと,

・小さい・・・私の小指くらいの大きさです
・高音質・・・ノイズも小さく,音質も高いです
・ディスプレイ付き・・・有機ELのディスプレイに日本語表示!
・複数機器の接続・・・通話は携帯で,音楽はiPodでと複数機器に同時接続可能
・複数機器の登録・・・3台の機器までペアリング可能,簡単に切り替えて使える
・FMラジオ搭載・・・音質も良く,感度もよい
・長い電池寿命・・・音楽再生8.5時間,FMラジオなら11時間

 という点で,要するにこれまで私がBluetoothヘッドセットに対して抱いていたネガティブなイメージをすべて払拭したものになっていたからです。

 実際買って帰って使って見ても,この印象は全然変わらず,大変に満足な逸品となっています。

 とりわけ小型でも見やすいディスプレイの搭載は歓迎すべき点で,どんな状態にあるのかがわかりにくい機器のくせにディスプレイを持たず,LEDの点滅速度や回数で無理矢理表現しようとする従来のヘッドセットには反吐が出そうです。なにが悲しくて歩きながらマニュアル片手にじーっとLEDの点滅回数を数えないといかんのかと,私は以前から憤りを感じていました。

 小型機器だからこそディスプレイがいるのですよ,本来は。それをどうしてLEDで済ませるのか,そこまでユーザーの歩み寄りを期待するのは間違いじゃないのかと,そんな風に思うわけです。

 国内メーカーの国内設計品でもディスプレイを持つものはありますし,それはそれでそこそこ良くできているのですが,残念な事に曲名の表示がありません。それがMW600では曲名表示が日本語で可能というのですから恐れ入ります。

 実際に丸ゴシックで曲名が表示されると実に面白いのですが,本当にありがたいのは接続機器の切り替えがディスプレイでわかりやすく出来る事だったりします。いずれにしても,こういうややこしい,かつ他と繋がるもの商品だからこそ,ディスプレイは必須であると思います。

 しかし,ディスプレイがあるがゆえに甘えている部分もあるといえます。少ないキーに多くの機能を割り当てることが出来るようになったことは,説明書がなくては何をすることもできないという難しさをはらんでいます。MW600を手にした人は,単純にFMラジオを聴きたいなと思っても,説明書無しではまずもって不可能でしょう。

 ユーザーの努力と歩み寄りをここまで求めるヘッドセットですので,この難しさを乗り越えてまで「こいつでなきゃ」と思う人がターゲットユーザーになるということですから,なんでそんなに売れているのかと疑問も感じますが,やっぱり今のところ完全無欠であることは,少々の操作の難しさを覆い隠してしまうものであり,これは裏を返すと,それほどまでに未成熟な商品カテゴリだということなんでしょうね。

 欠点もあります。まず,多くの方が指摘していますが,ボリュームの調整を行うタッチセンサによるスライダの操作感は大変に悪いですし,不意に触ってしまうことも多くあります。普通にボタンにしてくれればそれで済んだことなのにという意見は,まさにその通りだと思います。

 慣れれば一応思い通りの操作もできますし,何ということもないのですが,iPodやiPhoneがあれだけ直感的に操作できるタッチパネルを持つだけに,問題があるなあと感じました。

 操作が難しく,説明書がないとなにも出来ない事も問題でしょうし,相手次第とはいえ,買って試してみないと日本語の曲名表示が出来る可動か不明というのも,消費者としては厳しいものがあります。

 ところで,私がこれを買った理由には,これが魅力的な商品であるということに加えてもう1つ,これくらい尖ったBluetoothヘッドセットはもう市場には出てこないんじゃないかと言う予想がありました。

 少なくとも,ソニーエリクソンからは,こういう個性的なヘッドセットは出てこないと思われます。噂では設計をしていた部隊がいなくなったそうで,この機種の後継も余程のことがないと絶望的でしょうし,この機種だっていつまで販売されるのか分からないように思います。

 この機種が尖っている理由は,そのシステム構成にもあり,多くのヘッドセットが採用しているヘッドセット用ワンチップICをわざわざ使わず,独自の構成で作り上げているのです。この世界標準のワンチップICを使うと,必要十分な性能のヘッドセットがささっと作れる一方で,どれも似たようなものになってしまいます。

 独自の構成で,と簡単にいうものの,Bluetoothは特に自力で作るのが難しいものですから,技術力がなければ本当にどうにもなりません。ソニーエリクソンには,そういう本物の技術力があったから,こうした他にはない面白い商品が作れたんでしょうね。

 まあ,他の会社から独自の構成により,個性的なヘッドセットが登場する可能性は大いにあると思いますので悲観的になることはないのですが,単純な通話だけのモノラルヘッドセットと違って,音楽を楽しむことを可能にするステレオヘッドセットについては,もっといろいろ面白いものが出てきても良いんじゃないかと,そんな風に思います。

 私が現在使っているSH-03Bでは,先程書いたように日本語タイトルが表示されます。通話も本体のみではなかなか面倒なところもあるので,ヘッドセットの導入は案外私の携帯電話との付き合い方を変えてくれるかも,知れません。

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