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ユーザー「gshoes」の検索結果は以下のとおりです。

昇圧型スイッチングレギュレータを我らに

  • 2008/10/15 17:12
  • カテゴリー:make:

ファイル 224-1.jpg

 電子工作をやってきて,先日とうとう手に入れた技術が,電圧を上げることです。スイッチングレギュレータを使って昇圧,というやつですね。

 何だ今さらと思われるでしょうし,私自身もそういう気持ちなわけですが,手軽な方法がなかったのだから仕方がないと,居直ってみます。

 78xxシリーズという俗にいう三端子レギュレータが簡単に手に入るようになるまで,電子工作のアマチュア達は電源を安定化せず,電池で動かすか,あるいは変圧-整流-平滑という三段階で商用電源から作った非安定化電源を使っていました。

 もちろん,それなりの規模の安定化電源回路をディスクリートで作って搭載するマニアもいたのですが,動かしたい回路よりも安定化電源回路の方が規模がでかくなったりすると本末転倒です。

 そもそも電池はなかなか都合のいい電源で,安価で持ち運びもでき,そこそこ安定化されているし,電圧も手頃です。それにノイズもリプルも含みません。

 しかし,TTLのように電圧が一定でなければならないデバイスが使われるようになったり,電池では消費電流が大きいため不経済で商用電源やACアダプタを用いる場合には,やはり安定化電源回路が必要です。

 そこへ登場したのが三端子レギュレータです。80年代後半には100円程度の価格になっていましたが,変圧-整流-平滑の後にくっつけるだけで安定化電源が完成,しつこいリプルもあっさり除去と,一気に安定化された電源が身近な存在になりました。

 とはいえ,あくまで高い電圧から低い電圧を得るのに,その差分を熱にして捨ててしまうことで安定化するもったいない方式によるものに過ぎません。エネルギーを「変換」するという方法で安定化するスイッチングレギュレータは,アマチュアにはなかなか難易度が高いままでした。だから,高い電圧を低くすることは簡単でも,逆は夢のままだったのです。

 「初歩のラジオ」などの電子工作の雑誌で見たことがある昇圧系の記事として,LM3909を使ったチャージポンプ,フォワードコンバータを応用した電子蛍光灯,電子びっくり箱,そしてTL497を使ったDC-DCコンバータくらいがあったように記憶しています。

 TL497を使ったDC-DCコンバータは,確か電池1本か2本を9Vまで昇圧して006Pの代わりにするような便利グッズだったように思うのですが,大きなコイルやコンデンサが必要で,大げさになってしまったように思います。


 さて先日,動作確認のために昨年秋に修理したキヤノンのX-07とNECのPC-2001の2つの機種の電源を入れてみました。X-07は「BatteryLow」の表示が出てしまいましたし,PC-2001は表示が薄く,使い物になりません。

 こういう「動態保存機」を維持するのに,乾電池は不経済で,よって自己放電の少ないエネループが最適なのですが,残念なのは起電力が1.2Vと乾電池に比べて0.3Vも低いことです。

 この頃の電池で動くパソコンは,電池を4本使って6V作り,これをダイオードでドロップさせて5V付近を供給していますから,ニッケル水素電池を4本使って4.8Vを作っても,実は動作電圧範囲ギリギリなわけです。先のX-07もPC-2001も,電池を取り出して測ってみると,1.2V/本とまだまだ十分な電圧です。

 それでも動いているうちは良いのですが,少し電圧が下がるともう「電池切れ」というサインが出てきます。

 例えばですね,単三のアルカリ電池は1500mAの電流を1時間供給できると,一般的に言われています。しかし,これは新品の電池を0.9Vまで使い切った場合に1500mA引き出せるという意味で,これが1.3Vや1.2Vくらいで使えなくなってしまうと,まだまだ残っているのに電池を交換しないといけなくなるわけです。

 ニッケル水素電池の場合,終始電圧は1セルあたり1.0Vと言われています。ですが,X-07が電池切れのサインを出すのは1.15V程度です。ここで交換してしまうと,全然使い切れません。

 PC-2001に至っては,4.8V位ですでに電池切れマークが点灯し,液晶表示も薄くなっています。どう考えてもアルカリ電池でしか使えまないようです。でもエネループで使いたいしなあ。

 X-07は4.6VというギリギリICが動作する電圧をディスクリートで作った安定化電源回路で生成しているので真面目だなと思うのですが,PC-2001やPC-E500などでは,単三電池4本の6Vからダイオードを1つ入れて5.4Vに落とし,これをそのままCPUやRAMに突っ込んでいます。いやー,実に牧歌的な時代だったんだなあと,そんな風に思います。


 そんなある日,三端子の昇圧型DC-DCコンバータICがアマチュア達の間で流行っていると耳にしました。秋葉原や日本橋で買えないようなものはすでに珍しいものではなくなっており,気が付かないうちに我々の持っているポータブル機器に内蔵されているものなのですが,アマチュアが1個2個から気軽に購入できるこの手のICは,まだまだ遠い存在です。

 調べて見ると,それはHT7750AというICでした。台湾のHOLTEKというメーカーのもので,TO-92という2SC1815なんかと同じようなパッケージに入っています。見た目はそれこそ三端子レギュレータと同じで,実にアマチュア向けです。

 これにチョークコイル,ショットキーダイオード,そしてコンデンサを2つほどくっつけると,1Vあたりから5Vを作ることが出来るのです。いやー,夢のようです。

 しかもお値段は1つ60円程度。マルツ電波で買うと30個以上で単価50円になります。安い。アマチュア向けの定番になりそうな気がします。

 簡単にHT7750Aのスペックを紹介しておきましょう。

・PFM方式(周波数200kHz)
・最低動作電圧0.7Vtyp.
・効率85%typ.
・出力電圧誤差±2.5%typ.
・出力電圧は2.7,3.0,3.3,5.0の4種類
・出力電流は最大200mA
・消費電流5uAtyp.
・スイッチングFET内蔵
・CMOS

 うーん,なかなか良くできたICです。PFMというのはスイッチングレギュレータの回路方式の1つで,一般的にはPWMが使われていますが,PWMがスイッチング周波数を一定にし,デューティを可変して電圧を安定化するのに対し,PFMは周波数を可変して制御します。

 PWMは負荷が軽いときでも同じ周波数で発振しているのでIC自身の消費電流が多めになりがちで,これが軽負荷時の効率を悪化させます。しかしPFMは電圧が下がったらスイッチON,上がったらOFFで制御しますので,負荷が軽いときには周波数が下がり,自分自身の消費電流も大幅に低下します。PFMが軽負荷のスイッチングレギュレータで効率を稼げるのはこれが理由です。

 詳しい話は書きませんが,PFMはPWMに比べて動作が安定していて,発振しにくいことも利点です。ぱっと作ってそこそこの性能が誰でも出せる,というのは,半導体にとってはとても大事な性能の1つです。

 PFMは周波数が可変するのでノイズ対策が面倒になることもあり,実際の設計ではPFMとPWMを使い分ける,もしくは両方の機能を持つICを使うのですが,今回の私の用途ではPFMでちょうどよかったと言えます。

 効率85%というのは「低い」と思う人もいると思いますが,同期整流でもない昇圧型のDC-DCコンバータで85%を無調整でたたき出すというのは,私は大したものだと思います。昇圧型では頑張って作っても90%くらいが関の山ですし,素人がぱっと作って本当に85%取れるなら優秀でしょう。

 消費電流が5uAというのもばっちりですね。負荷が重いときはIC自身が消費する電流など大した影響はありませんが,軽負荷時には無視できなくなります。特に,今回のようにSRAMのバックアップを行う回路では数十uAの消費電流が長く続くことになりますから,とてもありがたいです。

 出力電圧は固定で,4つのうちから選びます。好きな電圧が得られないことは不自由ですが,ぱっと作って±2.5%以内の希望の電圧が出てくるというのは確実ですし,楽ちんです。少しなら電圧を調整出来ます(後述します)し,最大200mAまで取り出せるという手頃さも(放熱設計などを考えなくてよいという点も含めて)アマチュア向きにはちょうどよいと思います。

 で,これを使うと,4.8Vのニッケル水素電池から,アルカリ電池の6V並の電圧を生成できるようになり,PC-2001やX-07を救うことが出来るんではないか,と思い立ちました。古いハンドヘルドマシンに近代的な電源回路を内蔵するという試みですね。

 早速注文し,届くまでに仕様書を詳しく見てみます。100uHのチョークコイルと手持ちの300mAクラスのショットキーダイオード,そしてタンタルコンデンサを集めて,準備完了。

 この手の電源の設計はコイルの選定がキモです。少し乱暴な言い方ですが,取り出す電流が多いときにはインダクタンスを大きくしないといけません。しかし,インダクタンスを確保するには,簡単に言うとたくさんコイルを巻かないといけませんから,そうすると直流抵抗成分が増えて,効率が悪くなります。

 HT7750Aをマルツ電波で買った関係で一緒にコイルも調達しますが,ここは面実装品の背の低いコイルが買えるのがよいですね。東光のA921CYのうち,100uHのものを選びました。価格は90円。

 これらが届いてから早速組み立て開始です。

 HT7750Aは出力電圧が5V固定です。5Vではちょっと心許ないですから,あと少しだけ電圧を上げる工夫をしてみます。

 1つは出力電圧をコンパレータの入力に戻す端子に抵抗を入れることです。こうすると内部の分圧比が変わり,高い電圧が出てきます。適当にやってみると10V位まで電圧が出てきましたが,これってHT7750Aの耐圧を越えているので即却下です。なんか電圧もふらふらとして危なっかしいので,この方法は危険と判断しました。

 もう1つは,GNDを浮かせることです。ここに普通のダイオードを入れると,GNDが0.6Vほど(実際は流れる電流が小さいので0.7から0.8Vくらい)浮きます。これで簡単に5.6Vまで電圧をかさ上げ出来ました。このダイオードを流れる電流はICが消費するわずかな電流だけですので,小型のスイッチングダイオードでも構いません。

 三端子レギュレータではよく使われたテクニックでしたが,これで本当に正しいのかどうか,私にはわかりません。たぶん大丈夫だと思いますが・・・

 あと,ちょっと出力にノイズが多く,発振しやすくなっている可能性も心配だったので,0.1uFのパスコンをGNDと出力の間に入れてみました。目視でもノイズが減ったと分かるほどの変化があり,これは正解です。

 というわけで,4.8Vから6V付近をあっさり生成出来たことに気をよくし,モジュール化して4つほど作ってみました。

ファイル 224-2.jpg

 では評価してみましょう。

 無負荷時の消費電流は入力電圧が低いほど増えますが,3Vで30uAほど,4.5Vで15uAほどで,一応合格の範囲です。

 安定した電圧(実測で5.9V)を出力できる入力電圧の最低ラインは負荷40mA時で2.2V。ちなみにGNDをダイオードで浮かせているから2.2Vなのであって,単体の特性では1.5Vくらいからになると思われます。動作そのものは1Vくらいからするようですが,電圧も上がらず,電流も引けず,実際には使えません。

 効率ですが,下のような感じになりました。まずはダイオードでGNDを浮かせてあるものの結果です。

・入力:4.48V,57.6mA 出力:5.96V,35.4mA 効率:81.8%
・入力:3.02V,99.1mA 出力:5.90V,35.0mA 効率:69.0%

 入力3V時の効率が予想外に悪いです。効率がGNDを浮かせたことによるのであれば,この方法で電圧のかさ上げをするのは失敗ということになります。そこで,単体の特性を評価してみます。

・入力:4.49V,41.4mA 出力:5.16V,30.7mA 効率:85.7%
・入力:3.59V,51.4mA 出力:5.16V,30.6mA 効率:85.5%
・入力:3.02V,61.6mA 出力:5.16V,30.5mA 効率:84.7%

 ほぼスペック通りの結果になりました。こちらはなかなか良い感じです。

 この結果から考えると,やはりダイオードによるかさ上げは効率の悪化を招くようです。入力も出力もダイオード1つ分の0.7Vだけかさ上げされていますので,HT7750Aは0.7V低い電圧で動作し,しかもより重い負荷が繋がっていると見る事ができますが,それを加味して入力の電圧が4Vくらいあれば,80%以上の効率を確保することは出来そうです。

 今回のゴールはエネループ4本で6Vを得る,であり,ニッケル水素電池の終止電圧が1セルあたり1.0V,4本では4.0Vですから,これでもとりあえず実用にはなります。ギリギリセーフとしましょう・・・(プロの世界では通用しないです)

 さて,もう少し電流を引っ張ってみます。

・入力4.50V,130.2mA 出力5.26V,96.1mA 効率86.7%

 効率のピークは50mAくらいのはずなのですが,100mA引っ張って87%近くまで上がっています。うむー,スイッチングレギュレータは奥が深いですね。

 結論ですが,データシートの回路をそのまま組み立てるだけで85%の効率は簡単に確保出来ます。電流も100mAくらいなら楽々引っ張れそうですし,リプルも少なく,ノイズも小さいので,手軽で良くできたICだと思います。

 で,ダイオードによる電圧のかさ上げ作戦は,かさ上げされた分の電圧を差し引いて比較すると,4%から5%程度の効率の悪化があります。ただし動作そのものに支障はなく,4V以上で使うなら効率も80%は確保出来そうです。また,IC自身の消費電流は増えません。使い方次第では便利でしょう。


 というわけで,早速PC-2001とX-07に組み込んでみました。電池からの配線をぶった切り,間にこのモジュールを挟み込むだけです。

 結果は上々。PC-2001は見やすく,生き生きと動き出し,X-07も「LowBattery」の表示を出す事はなくなりました。

 これだけお手軽に昇圧回路が作れるようになると,いろんなものに応用が利きそうです。コストも全部で200円か300円かそんなもんですので,値段もお手軽です。これでようやく,昇圧回路を我が手にしたという実感がわきました。

 これでエネループを骨までしゃぶれる・・・そんな風に思って布団に入ったのですが,寝る前に少し考えてみると,まずいことが・・・

 以下次号。

PE-101Aと6V6シングルアンプ

  • 2008/10/07 12:36
  • カテゴリー:make:

 先日押し入れから6V6シングルアンプを引っ張り出して,PE-101Aに繋いで音を出してみてがっかりしたことを書きましたが,このままあきらめてしまうのもつまらないので,少し手を考えてみました。

 まず,このアンプの出力は約3.5W。効率90dBのPE-101Aとの組み合わせでは,小さい部屋ならまずまずの出力です。ただし,線の細さが面白くない,低音を下支えする安定感がないことが問題です。

 帰還量は現在約16dBと結構かけていますが,ダンピングファクタは約4.9と,なんとか合格点です。しかしやっぱりもう少し欲しいところでしょう。ちなみに初段管の6SL7については,歪みの小さくなる動作条件で動かしていることがはっきりしたので,ここは問題ないとして先に進めます。

 それで,前回も書きましたが3極管接続を行い,帰還量を減らすという作戦を実際にやってみたくなりました。出力が大幅に減るので心配ですが,まあやるだけやってみましょう。

 配線を変更する前に,ACケーブルをプラグ式に改良します。以前はシャシーが込み入った関係で直出しだったのですが,取り回しが面倒なのでメガネプラグにしました。

 これが終わってから,3極管接続への改造です。スクリーングリッドをプレートにくっつけるだけの話ですから,とても簡単なはずです。発振止めの100Ωをシリーズに入れることもあるようですが,私の場合は面倒な出入れません。出力も小さいので大丈夫でしょう。

 しかし,スクリーングリッドに電源を供給する回路が浮いてしまうわけですから,負荷が軽くなって電圧が上がります。そうするとコンデンサの耐圧を越えてしまうかも知れず,もしそうなるとコンデンサを外すなどの対応が必要です。

 幸い,350Vの耐圧に対し,300V程度で収まってくれたので,対策は必要なし。予定通りスクリーングリッドをプレートに接続します。

 プレート電圧を測定すると300V程度です。ん?確か6V6のスクリーングリッドの耐圧は285Vではなかったっけ?定格オーバーになってしまうとまずいです。調べてみると,6V6は後期には耐圧が315Vに引き上げられていることと,3極管接続ではプレートと同じ電圧でもよい(そうでないと3極管接続のプレート電圧がスクリーングリッドの耐圧に制限されただでさえ小さい出力がますます小さくなる)とされる説があるらしく,今回はとりあえずよしとしましょう。

 改造が終わり,各部の電圧を測定してスピーカを繋いでみます。音を出してみるとあきらかにこれまでとは異なる音です。

 低音のポンポンいう感じがなくなり,音圧は乏しいながらも頑張って下支えをしているような音です。ボーカルの角が取れた音は以前にも増してふくよかになり,聞き疲れしません。

 これはいい。3極管接続というのは思った以上によいです。

 ここで終わっても良かったのですが,帰還量の調整と測定をしないとダメだろうと,ささっと測定を始めてみました。

 まず最大出力は,目視による正弦波のクリップが始まるのが1kHzで0.98W。1.5Wくらいは取れるかなと思っていたので,予想以上に低いです。これで足りるかどうか少々心配です。

 ダンピングファクタは500Hz,8Ω負荷で約6.2。あれ,5極管接続とあんまり変わりません。

 ではゲインを見てみると,約5.9dBです。これもあまり変わりません。では,帰還量はいくつなんだと測定すると,これが8.93dBと小さくなっています。

 なんだか,なんの調整もしないで,ちょうど私が狙っていた点に落ち着いてくれていました。5極管接続では大きかったゲインを大量の負帰還で小さくしたものが,3極管接続では最終的なゲインはほぼ同じで,帰還量が減っている,ということは裸のゲインも小さかったということになります。

 Ep-Ip曲線を見てみれば,5極管接続と3極管接続で(同じ負荷なら)ゲインに差が出ることは当たり前なわけで,つくづく5極管(今気が付きましたが6V6はビーム4極管ですね)というのは感度も効率も高い,優秀な真空管だったんだなと実感しました。

 周波数特性はあまり関係ないと思いつつ,0.73W出力時で-3dBになった周波数は,下が9.8Hz,上が98.5kHzと全然問題なし。ただし20Hz以下の歪みの大きさは目を覆うばかりです。完全にトランスの性能が出てますね。

 高域が結構伸びているので,トランスを含むオーバーオールでの負帰還をかけた今回の回路では,発振するかも知れません。1uFのコンデンサを出力に繋いで1kHzの矩形波を入れてみましたが,元々きちんと位相補償を行ってあるので,今回もわずかにリンギングが出たくらいで済みました。これなら問題なしです。

 ということで,測定を始めるまではすごく面倒だったのですが,終わってみると特に定数の検討をすることもなく,さっと終わりました。こうして簡単でもいいから様子を見ておくと,安心です。

 そして組み立てを終えて,リスニングに使ってみましょう。聞き疲れをしないこと,ふくよかな中域にとても自然な感じがすること,小さな音でも全然平気で,何かしながら聴くのにぴったりという印象は相変わらず,いやむしろ強まったといえるでしょうか。遊びに来ていた友人も「これはBGMに最適」と同じような感想だったので,あながちウソでもないでしょう。

 それにしても1Wでも立派なものですね。真空管アンプは元々パワーが小さくても実用になると言われているのですが,それも今回実感しました。3極管接続ですからソフトディストーションであることも理由でしょう。BGMとして使うこと,元々ニアフィールドで使うこと,を考えると,出力を下げても音質を確保するという今回の目論見は正解だったと思います。

LE-101Aも届きました

  • 2008/10/03 14:56
  • カテゴリー:散財

 PE-101Aを手に入れて裸でならし,その素性の良さに驚いてしまい,これはいい加減なエンクロージャを自作したのではもったいないと,専用のエンクロージャLE-101Aを買うことにしたのですが,意外にも数日前に届いてしまいました。

 もう少し大きさがあると思っていたのですが,届いたLE-101Aは想像以上に小さく,10cmのフルレンジのエンクロージャとしては少々物足りないのではないかと不安になります。しかしさすがにメーカーの完成品だけあり,木材加工は素晴らしく,たしかにこれが1つ1万円ちょっとというのは素人には真似が出来ないなあと思います。

 ただ,サランネットは非常にチャチで,接着剤のはみ出しや糸引きがそのままになっていたりします。こういうところに中国製のいい加減さが出てますね。見えないところだからよい,というのは正しくもあり,誤りでもあります。

 ユニットの取り付けはとても簡単で,エンクロージャから出てくる配線を取り付け,ユニットに付属するパッキンを挟み込んで木ねじで締め付けるだけです。

 早速ならしてみましょう。場所も仮置きで,アンプもすぐに試せる状態にあった自作のMOS-FETアンプ(考えて見るとこれを作ってからもう20年経過してるんですね・・・)です。

 ・・・これが良くできたフルレンジの音,なのでしょうね。全体として低域が完全に不足し,高域もややもの足りません。普段CM1を使っているだけに,余計に「足りないな」という印象が強くなります。CM1は高域も低域もなんとなく不自然ですから。

 ただし,アルミコーンようなトゲもありませんし,もう一歩欲しいなと思う一方で自然さには疲れが出ません。

 低域はバスレフポートからもあまり低音が出てきてないのですが,これは妙な味付けを廃し,低域と中域のバランスを考えた結果であると解釈しています。そもそも低域はかなり不足しているのですが,そこはサイズの小ささゆえ最初から期待してはいけないところだと思います。

 素晴らしいのはやはり中域,特に「人の声」です。目の前に「ぽっ」と立体的に現れる人の声は,作り込んだ美しい声ではなくあくまで普通の自然な声です。この中域を楽しむのがPE-101Aの真骨頂なんではないでしょうか。

 フルレンジゆえに,すべての音域が同じスピーカーから出てきますので,音が散らばらず,楽器の場所がチョロチョロ変化しません。抜群の定位感は聞く人に安心感を与えてくれます。位相特性も良いので,楽器の位置を非常に細かい分解能で特定することも出来ます。CM1でも感じた印象ですが,フルレンジなら安くても可能になるという例でしょう。

 面白いと思ったことが1つあります。大音量時には物足りなさを感じたPE-101Aも,小音量時には非常に心地よいのです。理由を考えてみたのですが,人間の耳は小音量時には元々低域と高域の感度が下がります。だから,小音量時には聞こえなくても当たり前と思うのではないでしょうか。人間の耳(といいますか脳ですが)は,本当なら出ていない音を出ているように錯覚することがあります。

 音響心理学という領域の話で,本当は出ていない低音を出ているように錯覚させるようなエフェクトが,すでにJ-POPSを中心とした制作現場で当たり前のように使われています。

 今回の件が音響心理学で扱われているようなものかどうかは分かりませんが,1つには絶対的な音量と低域あるいは高域の聞こえ方の関係から,小音量時には低域と高域が不足しても違和感を感じないというのがあると思いますし,さらにそこから,低域と高域を脳内補完していたのではないかとも思います。

 大音量時には脳が期待している低域と高域のレベルが大きくなりますから,期待に届かない現実との間に違和感を感じるのでしょう。

 ということで,静かな部屋で,人がひそひそと話すくらいの音量で,楽器の数の少ない,出来れば声の入っている音楽を「馴染ませる」ようにならすのが,一番ぴったりだと思いました。

 CM1はある程度のパワーで駆動してやらないとダメなスピーカーですから,あまり小さい音ではつまりません。それに小音量という事は自動的に近くで聞くことになりますから,設置も小さい範囲になります。そう考えると,もう全然違う使い方のスピーカーだということになってきます。

 小音量なら,と自分で設計した6V6シングルを引っ張り出して来ました。3.5W+3.5Wという非常に小さなアンプで,これまで出番はほとんどありません。音も窮屈でスケール感がなく,これといって特徴もありませんが,ひょっとするとPE-101Aにはマッチするかもしれません。

 試してみましたが,結果は×。せっかくの中域も耳障りになっています。歪みの出方が良くないのでしょう。音量を大きくしていけばますます歪みっぽくなり,かなりしんどいところです。アンプの自作というのは難しいものだと,つくづく思いました。

 中域を大事にするなら,やはり三極管でしょう。6V6を三極管接続で使い,負帰還を減らすという「今時の真空管アンプ」っぽく手直しすると,いくらかましになるのかも知れませんが,6V6はビーム管接続でもそんなに音は悪くない球です。もしかすると初段の動作点が悪く,ここが不快な歪みを作っているのかも知れません。

 PE-101Aはとにかくフラットで,LE-101Aとの組み合わせにおいては,物足りない低域と高域を無理に出そうとせず,あくまで自然な心地よい音を出すスピーカーです。数時間ならしてみて,少しだけ低域が出てくるようになりましたし,歪み感も減ってきて,より自然な音になってきたように感じます。

 きちんとしたリスニングルームでなくとも,ちょっとしたスペースで良質なBGM(そう,あくまでBGMです)を満喫できると考えると,良い使い方が出来るなと思います。

 しかし,これだけ素性がよいと,もう少し大きなエンクロージャにいれて低域を伸ばしてみたいなあと欲が出ますね。もし今からPE-101Aを手に入れてみようと思われた方は,少々面倒でもエンクロージャは自作されることをおすすめします。


 

PE-101Aを買いました

  • 2008/09/30 13:56
  • カテゴリー:散財

 最近のパイオニアはどうしたものかと,外側にいる私は非常に好印象を持っています。

 私にとってのパイオニアはスピーカーでも単品コンポでもなく,レーザーディスクとカーナビ,そしてミニコンポのメーカーで,いわゆるピュアオーディオからは遠い存在でした。

 いろいろ良くない噂も耳にしますが,それでもそれなりの価格のアンプやSACDプレイヤーを本腰を入れて作ったこと,割とまともなカセットデッキが最近まで売られていたこと,FMチューナ-がちゃんとラインナップされていることなど,かつてオーディオマニアだった人たちとこれからオーディオに入る人たちに,良質かつ広い入り口を用意してくれる,そんなありがたいメーカーになっています。

 SACDプレイヤーだって,100万円以上の超高級機以外はカス,という空気が強い中で,ヤマハとパイオニアの20万円弱の製品が一定の評価を受けている事実を考えると,やはり量産が得意な日本のオーディオメーカーが本気を出せば,この価格でこの内容のものが買えるのだと,我々が忘れていた80年代までの「常識」をふと思い出させてくれたりします。夢があっていいですね。

 パイオニアは元々,HI-Fiスピーカーでスタートしたメーカーですが,自作派のマニアにもスピーカーユニットを提供し続けた良心が基本的に生き続けているようで,彼ら自身もそうした歴史を「良い歴史」と捉えている節があるようです。

 今年の70周年を記念して,かつての名機「PE-101」が復刻,「PE-101A」として販売されることが決まったというニュースを聞いたのは8月の中頃でした。

 価格は1つ11800円と,10cmフルレンジとしてはなかなか高級です。自作派がガンガン作るためのユニットという感じではなさそうで,その辺はやはりアニバーサリーモデルなんだなあと思ったのですが,実は30年前のPE-101の価格もそれなりに高くて(5500円だったそうです),物価上昇を考慮すると今回の価格がべらぼうに高価であるとは言えないようです。

 それだけに変に妥協したりグレードアップして欲しくないところですが,当時の素材を使うなど,可能な限りの復刻を目指してくれているようで,そういう方針はありがたい話です。

 聞くところによると,パイオニアとしても普通の人には絶対に売れないこの手の商品を発売するのが久々で,全く数が読めないんで困っているんだということでしたが,やはり初回出荷分は完売の様子で,次は10月中旬になってしまうらしいです。

 ところが30年前とは違います。きちんとしたエンクロージャを作ることの出来る人は限られていますし,もっと手軽にPE-101Aの音を楽しみたいと考える人も多いでしょう。そこでパイオニアは,PE-101Aにあわせたエンクロージャの完成品を別売しました。

 1つ14000円ですが,これがなかなか高級感があり,「これを14000円で売ってしまえるというのはやはりメーカーはすごい」とため息をついた自作マニアがいるとかいないとか。

 さて,以前からスピーカの自作を考えていた私としては,PE-101Aという素晴らしい素材が手に入るこの機会を逃すのも惜しいと考えて,すぐに予約をしました。9月24日は手に入れていたのですが,肝心なエンクロージャをどうするか,現物を手に入れた時でも考えあぐねていたのです。

 パイオニアのホームページには,推奨エンクロージャの図面がいくつか出ています。バスレフやバックローデッドホーンという定番の中に,フロントローデッドホーンというちょっと見慣れないものが含まれています。

 見た目はあのアルテックのA7を小さくしたような感じのものですが,バスレフとの併用で低域を出そうとしているようです。高さも30cmほどとかわいらしい容姿で,置いておくだけでもさまになりそうな感じです。

 今や市販品でもほとんど目にすることがないフロントローデッドホーン,しかも30cm程のミニサイズで,ユニットはPE-101Aと来れば,もう自作以外に存在しません。これはやるしかない,と思って計画を練っていました。

 ただ,私は木材の加工が下手くそで,どうも精度を出すことが出来ません。工具類も木工用のものはほとんどありませんし,材料の入手も近所にホームセンターがないこともあって,手軽というわけにはいきません。

 また,確かにフロントローデッドホーンは効率を向上させ,低域を豊かにする力がありますが,高さ30cm程度の小型のものでどれほど効果があるのか,ちょっと疑問もわいてきます。結局ホーンは飾りでバスレフが支配的になるのであれば,良い素材と良い作りの完成品のエンクロージャが最適ということになるでしょう。

 それに自作だってそんなに安くはありません。板だけで2本分で15000円ほどもかかるでしょうか。工具や接着剤,塗料や端子などを買えば,2万円を越えるのは確かでしょう。

 見た目が悪い,精度が出ていないなどというのは,自作ならではの個性でもあるし,良いことであるとも思うのですが,加工精度の悪さがPE-101Aのポテンシャルを引き出せないのだとしたら,これはもったいない話です。自作をしたという満足感と,実際よりもいい音に聞こえるという心理的な効果を割り引くと,実は実用品としての自作には,それほど魅力がないのではないかと,そんな風に思ってきました。

 決め手になったのは,届いたPE-101Aが壊れていないか確認するのに,裸でならして見たときの音の良さです。箱に入れていませんから低音も全く出てこず,中音域にもおかしなクセがあるのですが,それでもボーカルがしっかり真ん中に浮かび上がってきます。このスピーカーの目指すところが分かった気がしたのですが,そのためにはおかしな自作のエンクロージャではなく,まずはメーカーが用意したものをきちんと使ってみようと,そう決心しました。

 どうせこういう事になるなら一緒に注文しておけばよかったのですが,すでに本日の時点で発送されたとの連絡を受けています。早いですね。

 最近のスピーカーはエッジを柔らかくし,ストロークを大きくした,いわゆるハイコンプライアンス型が主流です。口径が小さくともストロークが大きければ,多くの空気を動かすことが出来るという点でどちらも同じと見る事が出来るのだそうですが,小さい口径のスピーカーがしっかり低音を再生できているというのは,部屋の大きさに限りがある我々庶民にはありがたいことです。

 ところが,その結果として効率が下がってしまいます。効率が低いと,同じ電力を入れても音圧が上がりません。最近のスピーカーが真空管アンプで駆動しにくいのは,こういう事情もあるからですが,なるほど今から40年も50年も前の名機と呼ばれるスピーカーには,音圧レベルが100dBに達するものがあるのも納得です。

 また,ストロークの深さは,必ずしも入力電力に比例してくれません。だから大音量時に歪みが増え,破綻してしまう傾向があると言われます。大口径のスピーカーならこういうことは起こらないのですが,口径が大きい分だけ2次振動や3次振動が発生しやすくなりますし,高音が出にくくなるので2wayや3wayにしないと成立しません。

 PE-101Aというのは,基本設計が30年前のものだけに,この辺の無理をしていないようです。これが素直で整った音を出している理由だという人もいます。その代わり低域と高域の物足りなさ,レンジの狭さを嫌う人もいたりします。

 オーケストラのような壮大な音楽は,どうせ10cmのフルレンジではどうにもならないでしょうから,このスピーカーではボーカル,小さな編成のジャズを楽しむのが正しい使い方ではないかと思いますし,逆にそうした音楽が堪能できれば,私としては全く問題はありません。

 ということで,とにかく完成品のエンクロージャーが届くのを楽しみにしています。
 

読書灯で知ったLED照明の明るい未来

  • 2008/09/29 12:58
  • カテゴリー:散財

 私は本と本屋と図書館が好きで,毎日のように本屋に立ち寄り,ぐるっと一周するのが楽しいという人です。しかし,およそ読書が趣味,と言い切るほど高尚な本を読んでいるわけではない(そもそもこういう高尚な本が手に入りづらくなっているのもまた事実)ので,私をよく知る人たちだけが,私が本好きであることも知っているという感じでしょうか。

 もっぱら寝る前に活字を読んで眠りに就くというのが長年の私の生活パターンなのですが,部屋の照明は今ひとつ暗い上に,仰向けになって本を読むと影になってしまい,結局暗いままです。

 しかも,夏は暑い。天井から吊された蛍光灯は結構熱を出すものです。そこで,手元に置いておける読書灯が以前から欲しかったのですが,従来の蛍光灯や白熱灯ではそこそこ大きく,やっぱり熱がかなり出ることに抵抗がありました。LEDが照明器具として実用的になることを心待ちにしていたのです。

 そして,その時が2008年秋にやってきました。

 ツインバードの「LE-H222B」です。某サイトで紹介されていたのでご存じの方も多いと思いますが,まさにこれが私の考えていた読書灯にぴったり当てはまったのです。

 ただ,どうも人気商品のようで,在庫のあるお店が意外に少なく,私も入荷を1週間ほど待つことになりました。秋の読書シーズンに間に合って欲しいなと思っていましたが,9月初旬には手に入っていました。

 届いて現物を触っていると,畳に布団を敷いて寝る私の枕元に,どうやってこれを置くのかと,考え込んでしまいました。

 LE-H222Bはクランプでいろんなものに固定できます。挟んだものを傷つけないようにウレタンフォームも付いていて,よく考えられているなあと感心するのですが,いろいろ試した結果,頭上にある引き戸の端をクランプで挟むことにしました。軽いし小さいからこうした芸当も可能なんですね。

 照明が当たる角度もかなり自由度があるのですが,私が取り付けた向きではちょうど下向きに出来ず,逆向きに一周回してやる必要があったりします。これは少々面倒ですが,仕方がないです。

 あと,明るさの調整が2段階しかないのですが,明るいときと暗いときの落差が大きく,結局暗いときの明るさでは本を読むことは出来ません。ここで無段階で明るさを調整出来たりすると,さすがLEDだなあと思えたことでしょう。残念です。

 で,使ってみて1ヶ月,これはかなりよいです。レンズで集光してあるためにちょうど読書に適当な面積だけが明るく,他が明るくなる事もありません。十分すぎる明るさに加えて,発光色も電球色であるため,蛍光灯よりも見やすいという印象です。

 そして頭の真上にあるにもかかわらず,ほとんど熱くありません。消費電力が低いことも,電球を交換しなくてもよいことも,気が楽で結構なことです。

 電池で動く物もある中で,この商品はAC電源です。小型のACアダプタから電源が供給されていますが,本体とは直づけされているので,AC専用機と考える必要があります。しかし,電池で動く物は明るさが足りないですし,こうしてAC専用機になることでまぶしいくらいの明るさが確保され,しかも電池切れの心配もないというのは,私にとっては好都合です。

 この読書灯で読了したのが,1000ページほどある分厚い文庫本でした。暗いところで読書すると,疲れて読み進めることが難しく,結果的に目を悪くすることもあるのですが,さすがに読書灯を使えば疲れ知らずでどんどん先に進めます。

 まず読書灯のような用途からLEDが使われていくんだと思いますが,今回私はこの「第3の照明」を初めて日々の生活に取り込み,10年後,20年後の生活がより快適になっているであろうと想像することが出来ました。

 おそらくですが,この商品のヒットを受け,他の会社からもいろいろなタイプのものが出てくると思います。ACで動く物から選べばそんなに外すことはないと思いますが,値段も下がってくることが予想され,もう少しするといろいろ選ぶことも出来るでしょう。

 寝る前に5分でも10分でも本を読む習慣のある人は,その読書が快適になるように,1つLEDの読書灯を検討してみてはいかがでしょうか。

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