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D-70完全復活への道

 先々週の土曜日から,D-70のオーバーホールをやっていました。

 考えてみるとD-70が登場したのが1991年,今年でもう17年にもなるんですね。この間のシンセサイザーの進歩って意外なほど少ないなあと思ったりするのですが,それでも17年です。毎週必ず持ち歩いていたシンセサイザーですので,もうガタガタです。

 しかし基本的に物持ちのいい私のことです。鍵盤をへし折ってしまったりタバコを落として焦がしてしまったり,ピッチベンダーのレバーを折ってしまうというような,定番の破損は全くありません。20年前に買ったD-20だって実家で健在です。

 ところが,D-70にはとても悔しい経年変化があります。

 キーの下側に付いているウェイトが剥がれてしまうのです。

 そう,単純に金属のおもりが外れてしまうだけなら良いのですが,D-70の場合はもっと致命的です。エポキシ系の接着剤で貼り付けてあるのですが,この接着剤が経年変化で溶け出して,まるで飴のようにウェイトと一緒に垂れてくるんです。

 この接着剤が非常にくせ者で,固まったり乾いたりしないので,いつの間にやらキーボードの下にたまっていたり,内部に広がったりしているのです。

 目に見える白鍵は言うに及ばず,隠れている黒鍵も同じように溶け出しているようで,ネバネバと粘度を持つこの接着剤のなれの果てが内部で他の部分とくっついて,私のD-70もいくつかの鍵盤が上がってきません。

 ほっとけばほっとくほど被害が広がり,白鍵のウェイトが4つまで剥がれ落ちた時,私は決意しました。何とかせねば・・・

 D-70はキーが外れやすいので,何度か自分で修理した事があります。分解そのものは慣れた物なのですが,76鍵ですのでそれなりに場所がなければ作業が進みません。

 まず裏返して,メイン基板とオーディオ基板,カードスロット基板を外します。その後キーボードユニットを外します。

ファイル 184-1.jpg

 キーボードユニットを固定しているネジは上部のフレームに4箇所,左右のプラスチックの部分に2箇所と,あの重さと衝撃を支えるにはどう考えても役不足だと思うのですが,冷静に考えるとキーボードは底板に多くの太いネジでしっかり固定されます。ということは,底板を取り付けずにねじったりすると,簡単に壊れてしまう構造なんですね。注意しなければ。

 せっかくなので基板の写真を撮っておきます。これはメイン基板です。

ファイル 184-2.jpg

 横幅がちょうどラックマウントケースにぴったりなので,このまま音源モジュールに出来るのではないかと思ったくらいなのですが,それなりの回路規模なようです。

 真ん中の四角いのがメインCPUで,インテルの80C196KBです。その右側に縦長にマウントされている3つのQFPがどうもSuperLA音源チップのようです。その下側にはエフェクト用のチップとDRAMがあります。さらに右側には波形を取り込んだROMがあります。全部がとは言えませんが,おそらく4MビットのROMですので,これが6つで24Mビット。ざっと3Mバイトの波形メモリです。

 CPUの上側にはおそらくMIDIインターフェースに関係すると思われるICがあります。その左側にはメインCPU用のメモリです。8ビットバスのROMを2つ使い16ビットバスに合わせています。

 変更のあったEPROMが2つとマスクROMが2つありますが,その下側に256kビットのSRAMが用意され,各種の不揮発データが格納されています。下側にあるコイン電池がバッテリバックアップを行っています。CR2032です。

 その左側にはメモリカードのインターフェース,下側にはおそらくキーボードインターフェースを司るICがあります。

 そうそう,基板の右上に白いケースに入った大きな部品がありますが,実はこれ,LCDのバックライト用のインバータです。D-70のLCDは東芝製のモジュールなのですが,バックライトが搭載されたものです。この時期の,このくらいの大きさのLCDに使われていたバックライトがELです。

 昨今の有機ELとは全く違うもので,こちらは無機ELです。輝度が低く,寿命も短いのですが,薄くて手軽だったこともあり,よく使われました。

 D-70は使用中に「チー」という音が耳障りなシンセサイザーなのですが,その音はこのインバータから出ています。困ったものです。

 こうしてみると,音源チップは多くが富士通製,マスクROMはシャープと東芝が供給しています。海外製の主要半導体はCPUと,アナログボードにあるDAコンバータくらいのものでしょうか。

 さて,修理作業です。まず最初に方針を立てるのですが,76個すべての鍵盤の接着剤を剥がして接着し直すのが一番いいのはわかるのですが,さすがにそれは大変です。しかし,いつ接着座卯が溶け出すかわかりません。

 そこで,鍵盤にシリコーン樹脂のコーキング剤を充填することにしました。ちょうどお風呂用のものが余っていたので,これでいきましょう。接着剤が溶けてしまっても,最悪外に出てくることは避けられるでしょう。

 そうと決まれば分解開始です。キーボードユニットからキーを取り外します。ユニットを裏返し,両面テープで接着された固定用のプラスチックを外して,キーを手前に少し引っ張れば「パチン」と外れてくれます。ステンレス製の板バネをなくさないように注意します。

 白鍵だけではなく黒鍵も同様に外れます。こうして76個すべてを取り外すのですが,予想以上に被害が大きいことに愕然とします。

ファイル 184-3.jpg

 これはある黒鍵の裏側なのですが,中からウェイトが出てきてしまっています。もちろん接着剤も外に溶け出していて,垂れています。おかげで鍵盤が上がってこず,しかも衝撃吸収用のフェルトもダメにしていました。基板にもついています。

 こうやって外れてしまっているものは完全に取り外して接着し直します。その上でコーキング剤を充填して乾くのを待ちます。

 何日か経過して確認すると,なかなか良い感じです。

 早速キーボードユニットを組み立てていきます。

ファイル 184-4.jpg

 あらかじめ接着剤が染みこんだフェルトを交換し,清掃を終えたフレームに,まず黒鍵を取り付けて,その後白鍵を取り付けていきます。これを延々繰り返し,76鍵全部取り付けたら,先程外した固定用のプラスチックを両面テープで貼り付けて完成です。

 これで修理完了と喜んで組み立てていきましたが,キーボードユニットを左右のプラスチックにネジ止めするときに,ネジロック剤を使ったところ,プラスチックが溶けて折れてしまいました。

 ポリパテと瞬間接着剤で修理・補強して再度組み立て。しかし,一部に音が出ないキーがあります。

 うーん,困った・・・そんなことを言っていても始まりませんので検討開始です。8個飛びに音のでないキーがありますので,これをヒントに調べていくと,キースイッチのフレキシブル基板のパターンが切れてしまっていました。接着剤が垂れてたまっていた部分が切れていたので,非常に深刻です。

ファイル 184-5.jpg

 わかりにくいですが,家にあるねずみ色のゴムがキースイッチです。カップの内部には,前後に2つの導電ゴムがあり,しかも奥側ゴムが手前側のゴムより下に飛び出ています。

 このカップを上から押すと,その押す速度の違いが奥と手前の接点がそれぞれ導通する時間差となります。こうして鍵盤の叩く強さを検出するのです。

 その下にあるのが,おそらく2素子内蔵のダイオードで,エポキシ樹脂で固めてあります。なぜこのダイオード必要なのか,面倒なので考えていませんが,配線本数を減らしていることには間違いないと思います。

 今回切れたパターンを修復するために,エポキシ樹脂を削ってダイオードの足を露出させ,細い線を直接ハンダ付けしました。裏側のコネクタにハンダ付けして,一応修理は出来ました。試してみると,一応すべてのキーで音は出ます。

 今度こそと組み上げてみますが,今度は1つだけ音が出ない部分があります。キーを取り外して直接ゴムキーを押せば音が出るので,どうもキーの組み付けがまずかったようです。

 なんどかそうした調整を繰り返し,とりあえず完成。やや不安があるのは仕方がありませんが,鍵盤が壊れたシンセサイザーはもう捨てるしかないので,直ってよかったです。

 そして最後に,バッテリバックアップの電池を交換して終了です。

 何年かぶりにD-70を演奏してみましたが,今にして思うとかなり個性的なシンセサイザーです。相変わらず細かい泡のようなJP-STRINGSは秀逸ですし,いかにもLA音源というベルやチャイムの音も健在。

 U-20の上位機種として生まれながらも,マーケティング上の問題からDシリーズの頂点となった異端児D-70は,特に歴史刻まれることなく忘れ去られた機種の1つではありますが,私にとってはやはり思い出深いシンセサイザーで,何が何でも修理しなければと言う重いも強くありました。

 シンセサイザーを維持するのは,自分でメンテが出来るか,もしくはメンテできる人を確保できるか,そのいずれかの能力を持つ人しか基本的には許されません。少なくとも自分が持っているシンセサイザーについては,きちんと修理が出来るようになっておこうと,そんな風に思います。

 ちなみに,これをきっかけに他の音源モジュールのバックアップ用バッテリも交換しておきました。

 VintageKeysPlusは,BR2320というちょっと変わった電池が使われていましたが,無理矢理CR2032を取り付けました。D4はタブ付きのバッテリが直接ハンダ付けされていたので,これを取り外してソケットを取り付け,CR2032をはめ込みました。

 A-880とMatrix1000はCR2032に交換するだけです。これでもう5年は安心です。

 残念なのは,エフェクタのSE-50の電池が切れていて,メモリが吹っ飛んでいたことでしょうか。まあ,ノイズまみれのエフェクタですので,余り出番はありませんから,これはこれでいいとしましょうか・・・

 あとは実家のシンセサイザーをどうするか,ですね。もう電池が切れているだろうなあ。

KAOSSILATORは新しい発明なのか

  • 2008/03/17 19:33
  • カテゴリー:散財

 KAOSSILATOR,買いました。

 かおしれーた?顔がどうしたって?,と言われてしまったくらいマイナーなものではありますが,なにやら楽器に縁遠かった人たちをも巻き込んでちょっとしたブームになっているようです。

 コルグは世界でも知られたシンセサイザーの老舗ですが,御三家の他社と違い,なかなか遊び心が豊かな会社のようです。80年代中頃の名機M1を頂点とする「優等生」なコルグ以前には,MS-10やPS-3100,MONOPOLYやPOLY-SIXといったやんちゃなコルグがあったわけですが,今世紀に入ってからは再びやんちゃなコルグが戻ってきたかのような印象があり,そこがまたコルグという会社の好き嫌いを分けているように思います。

 私はダンスミュージックやDJを自らのフィールドとしている人ではないので,この種のイクイップメンツにはとんと疎いのですが,どうもKAOSS-PADが先にあるようなんですね。これはサンプラーとかエフェクターをタッチパッドで操作するというもので,複雑な装置を操作する,訓練の必要な楽器演奏をマスターする,という敷居の高さを解決し,同時に直感的な操作と偶然性に期待をするという,一石二鳥なものらしいです。

 これはこれで1つのジャンルとなっているようですが,このユーザーインターフェースをシンセサイザーに応用したのがKAOSSILATOR,なんでしょうね。(ひょっとしたらタッチパッドを搭載した普通のシンセサイザーがすでに存在していて,それを切り出したものなのかも知れませんが,正直なところ私にはわかりません)

 それはともかく,ニッチな商品であることには違いがないのですが,このKAOSSILATOR,昨年末に登場して以来品薄で,なかなか手に入らないようなのです。

 まず,非常に面白いこと。そしてその面白さがあちこちのblogに取り上げられ,さらにはITmediaやImpressのサイトに取り上げられて,どんどん人気が出て行った感じです。

 極めつけが日経エレクトロニクスのユーザーインターフェースの特集でどどーんと紹介されたこと。普段電子楽器やDJに興味のないエンジニアやその上司の皆さんにまで知れ渡るに至り,とりあえず「なんだかわからんがすごいらしい」と評判になっているようです。

 価格は2万円と,この種の楽器としては安いのか高いのかわからん微妙なところです。シンセサイザーといえばもっと高価な物と思われがちですが,実際の所5,6万円でも十分ステージプレイに耐えられるものがあるわけですし,その大きさや鍵盤のコストを考えると,KAOSSILATORの2万円は,私としては高いなあという印象です。

 とはいえ,この手の物は買って試すしかありません。面白そうに思えても,コルグの製品には近寄りがたい物が常にあり,こんなことでもないとなかなか購入にまで至らないものなので,探してみることにしました。

 しかし,やっぱりないんですね,どこも在庫が。1月に予約しても3月になるとか,そんな状態だったのでほとんど忘れていたんですが,先日の木曜日,偶然アキバのヨドバシのガラスケースに収まっているのを発見して,衝動買いしてしまいました。

 「帰りの電車で乗り過ごした」などと評判なKAOSSILATORですので,中毒性があるのだろうと覚悟を決めて,帰宅してから電源を入れてみます。

 そして30分後に出来たのが,これです。

ファイル 183-1.mp3

 まったく初めて触る人間が30分でここまで出来るわけですから,確かに面白いといえば面白いです。もっとうまく作ることが出来る人はいくらでもいるでしょう。

 それで,このお休みにいろいろ触ってみた感想ですが,結論だけ言えば,これはそれほどおもしろいもんでもない,という感じです。

・あまりにチャチ
 ダンスミュージックやDJの人々はこれがいいというのかも知れませんが,私は2万円もする製品でこんなにチャチで質感のないものが日本の店頭に並ぶとは思っても見ませんでした。
 電池ブタに隙間があるとか,RCAピンジャックが曲がって付いているとか,工業製品としてすでに破綻しているとしか思えません。9800円がいいところ,NintendoDSなんかと比較すると,5800円でもいいかなと思うほどです。

・割り切りすぎ
 コルグの人もいろいろいってますが,はっきりいって割り切りすぎです。2小節しか録音できないレコーダー,3桁の7セグメントLEDが表示のすべて,紙っぺら1枚の説明書,そして激しいノイズと薄い音。ユーザーインターフェースが売りの商品なのに,演奏以外のユーザーインターフェースが絶望的にわかりにくく,音にこだわったといいつつオーディオ機器の水準すら満たしていない作りの甘さには,非常にがっかりしました。

・電池がすぐになくなる
 単3電池4本で5時間という電池寿命を長いと見るか短いと見るかは人それぞれですが,底面がほんのり暖かいというのは,この手の機器には許されないんではないかと思います。しっかり低消費電力設計をやらんかい。

・曲を保存できない
 作った曲を保存できません。電源を切るとあっさり消えてしまいます。2小節のレコーダーですので,作ってるときはグルグル頭の中を回ってるわけですよ,曲が。でも,しばらくすると忘れてしまい,何だっけなあと気になって聞き返したくなるものです。しかし電源を切った後ではそうも行かず,「失ってわかる」ある種のフラストレーションに悶々とするのです。SDカードスロットを付ける,不揮発メモリに残しておく,くらいのことは出来たんではないかと思います。

・設定も消える
 不揮発メモリやSRAMが安い昨今,せめて設定くらいは残しておいて欲しかったです。

・MIDIが壊滅
 実際,MIDIで他と繋がる仕組みにかかるお金は大したことないのですが,ここも割り切ったんでしょうね。個人的には,音源としては使い物にならないのでMIDI-INはいりませんが,インターフェースとしてのタッチパッドが他の音源を操作できたら面白いと思うので,MIDI-OUTだけあればいいと思いました。

・アルペジエータが絶望的
 普通アルペジエータといえば,分散和音を作る装置を言いますわね。和音を押さえればそれが時間的にずれて発音されることを期待するわけですが,このアルペジエータはゲートアルペジエータと言うだけあって,和音ではなく単一の音が時間的に細切れにされて発音されるだけです。まあ,正直これでは使う気にはなりません。

・シーケンサと違うがな
 誰もシーケンサとはいってないのですが,テンポを変更しても,録音済みのトラックには反映されません。これにはつくづくがっかりしました。

・パッドの精度がさっぱり
 後述しますが,KAOSSILATORはタッチパッドという無限音階の入力インターフェースにスケールを実装し,指でなぞればそのスケールで音を出してくれるというありがたい機能が最大の売りです。しかしそのパッドの精度が今ひとつで,慣れもあるんでしょうがなかなか思い通りにはなってくれません。

・やりたいことができない
 例えば,こんな感じの曲を作ろう,という感じで頭の中でなってる曲があるとします。しかしKAOSSILATORに入っている素材は必ずしもそれを再現できる材料にはなりません。

・コードが蚊帳の外
 これがもう致命的。リズムとスケールが機械任せに出来るメリットがここまでシンセサイザーを面白くしたのに,コードに関しては全くケアされていないのです。まあ,ここにコードを扱えるようにしてしまうと途端に難易度が上がってしまうこともわかりますし,それがDJやダンスミュージックに必要とされていないこともなんとなくわかりますが,ここでコードチェンジをしたい,とか,こういうコードを使っていこうとか考え及ぶ人にとって,猛烈なフラストレーションがたまります。


 とまあ書き並べましたが,おそらくこれだけ人気の出た機種ですので,続編があるでしょう。KAOSSILATOR2では特にコードとアルペジエータに関して強化されることを期待したいです。この際素材が云々は,ダンスミュージックのツールと割り切っているので贅沢は言いません。

 なにせ,KAOSSILATORの優れたところは,タッチパッドを入力デバイスにするために,スケールを割り当てて無段階に音が変化しないようにしてあることです。これは確かに新しい楽器の出現といっていいかもしれません。

 本来無段階に変化する弦楽器にフレットを取り付けてスケールを割り当てることで,ギターは和音の演奏が楽になったり初心者でも取っつきやすくなったりしたわけです。鍵盤楽器などは最初から無段階に音を変化させることが出来ませんから,最初から何らかのスケールに沿って音が区切られています。

 ただ,この楽器のスケールは最大公約数的なものであり,1オクターブに存在する12の音からいくつかを選んで演奏する必要があるわけです。演奏に使うスケールを体と頭で覚えることでとりあえず外さないソロを取ることが可能になりますが,なかなかそれが難しいものです。

 KAOSSILATORのすごいところは,誰でもなぞれるタッチパッドに覚えることが難しい多彩なスケールを割り当て,とりあえずぐりぐりパッドをいじるだけで,外さないソロが演奏できてしまうことにあります。

 さらに横方向に音の高低と,縦方向にエフェクトや音色の変化を割り当ててあるので,指先1つで複雑な操作を(自由にというにはほど遠いが)したのと同じに出来るのです。同じ事をキーボードでやったりギターでやるのは,ちょっと大変だと思います。

 そして,これは音楽作成ツールではなく,ループを作る装置です。だから最大2小節しか録音できません。この2小節に半完成となっている素材を貼り付けて作り上げるのが,KAOSSILATORの醍醐味なんでしょうね。

 2小節しか録音できないことは,思わぬ利点を生みます。まず完成に持っていくのに時間がかからない。工夫をしようにも自ずと限界があるので,さっと遊べる気軽さがあります。

 しかも,どれも派手でキャッチーな音ばかり。パッドをいじって変化するバリエーションまで考えると,無数とも言える音が備わっていて,それらを一通り試す気も起きないほどです。

 こういうところから考えると,楽器の演奏が出来ない人でも,スケールの概念を理解できておらず,理解できていてもそれを楽器で演奏出来ない人でも,また複雑な機器の操作やPCの扱いを面倒と感じる人でも,さらにいうとダンスミュージックに関する抵抗を感じるような人でも,気軽に楽器演奏が楽しめるという絶対的な敷居の低さが,KAOSSILATORの最大の発明でしょう。

 そこにさらに偶然性を重ねて出来上がる物を第三者的に楽しむのもよし,万人にお勧めできるものではないと思いますが,まずは持っている人に使わせてもらって,自分のセンスにフィットするかどうかを試してみたらいかがかと思います。

 しかし,私もこれを使いこなせているとは到底思えません。きっと達人がいるんだろうなあ,この2小節をPCに取り込んで,DAWで加工しながら1曲のボリュームに仕上げるような人もいるんだろうなあと,そんな風に思ったりします。

 私は,もし機会があればですが,アンサンブルでソロをこいつで取れればなあと,そんな風に思います。

なんとかES2は直りました

 ES2,ようやく動作確認が取れました。

 修理そのものは少し前に終わっていたし,試し撮りも終わっていたのですが,現像するのが随分後になってしまい,確認できたのは昨日でした。

 寒さもあって,幕速が安定せず,1/1000秒で後幕が先幕に追いついてしまうという問題がそもそものスタートでした。その後,余計なオイルを拭き取るために分解したり,分解したせいで調整をやり直す部分が出てきたりと,大事になってしまいました。

 いくら頑張っても時間が経てば後幕が追いついてしまいますので,これはもう考え方をかえようと思いました。幕速測定器を使って調整をしていましたが,これを基準に合わせると,どうも数日で狂ってしまうのです。

 幕速測定器を信用できないのか,それともES2を信用できないのかと言われれば,実はどっちも信用できないのです。もっとも,幕速測定器は他のカメラの調整にも使っているので,ある程度信用していますが,かといってES2側を徹底的に調整しても,返って調子が悪くなるだけのような気もしてきたのです。

 そこで,もう実力勝負で合わせることにしました。

 ある程度の目処は幕速測定器で合わせておくのですが,そこからの微調整はオシロスコープを使ったシャッタースピードの確認と,後幕が先幕に追いつかないことを交互に確認しながら進めます。

 そうすると,結構後幕のテンションを低くしても使い物になることが分かり始めるんですね。それを数日繰り返し,今年一番の冷え込みになった二晩を放置して,問題のないことを確認できました。

 露出計が1段ほどおかしいようにも思うのですが,どうせポジは使いませんし,どうしてもというなら露出補正で逃げればいいです。それにこのカメラは平均測光ですから,今のカメラと比べてもあまり意味がないのかも知れません。

 現像した結果ですが,おおむね大丈夫でした。オートではレンズの絞りを変えても一定の露出になってくれています。マニュアルにするとちょっとずれますが,オートの場合は無段階のシャッター速度が使えるので,結果に差が出ることは悪いことではありません。

 絞り込み測光でのオートが1段ほど狂うのですが,絞り込み測光はほとんど使いませんので,大目に見ます。

 どのコマも失敗がなく,期待以上の結果に満足です。なんとかなるものですね。

ファイル 182-1.jpg


 それで,気になっていたボディの歪みです。

 修理中に落下させてしまい,裏蓋が曲がってしまったのですが,もしボディが歪んでしまっていたなら,このカメラはもう捨てるしかありません。望遠系のレンズでピントが狂えば,ボディの歪みが考えられます。

 結果は問題なし。狙った被写体はもちろん,その左右の同じ距離にピントがきています。

 ということで,ES2はどうにかこうにか復活しました。こういうカメラですので,またどうせ悪くなると思います。ただ,その場合でもあまり大げさな事はせず,こういう感じで調整出来るとわかったので,ES2についてはボディの状態も考えて,カメラの優しい調整をしてあげようと思います。

 それにしても,ES2は手間のかかるカメラです。予備機を3台確保し,そのうち1台は調整すればすぐに使えそうなほど程度がいい(しかもクローム)ので,復活させることも考えたのですが,結果としてこんなに不安定なら,やらなくて正解でした。

 ES2といえば,私にとってはSMC-takumar28mm/F3.5です。このレンズとES2があるだけで,私にとっては十分楽しいのです。

ファイル 182-2.jpg

散々な出来の池上線1000系

ファイル 181-1.jpg

 久々にグリーンマックスの模型を買ってみました。

 一時,エコノミーキットを寝ても覚めても作っていたことをがあったりしましたが,近鉄の16400系の完成品を買ってから,あまり気になる物もなくて遠ざかっていました。

 完成品はそもそも高いし,実はKATOやTOMIXよりも出来は今ひとつですし,積極的に買おうという理由は見つからずにいたわけです。

 ところが,年明けにふと模型屋さんの案内などを見てみると,東急1000系の池上線仕様が出るといいます。完成品に準ずる組み立てフルキットということですし,それに池上線ですから3両編成でフルセットです。お金もかかりません。

 池上線というと,私がかつて世話になった社員寮の最寄り駅がある線区です。

 いよいよ生活の場を移すその日,つい3時間前には片道の新幹線の切符を自分の覚悟と共にポケットに詰め,やがて山手線で五反田までやってきた私は,そこから初めて乗り込む「東京の私鉄」に,目を丸くしました。

 およそ近代的とは言えないような古びた駅は,ホームが1つだけで両側に線路がある,折り返し運転前提の始発駅です。そこにいた3両編成の小さく短い電車は,私をどんな田舎に連れて行ってくれるのかと,相当の不安に陥れるに十分でした。

 ゴトゴトと小さな振動に揺られながら,昔ながらの町並みを抜けていきます。地下の駅は別ですが,地上の駅は柱も木のまま,まるでローカル線のようです。

 自分の降りるべき駅はそう遠くはなく,10分ほどで到着したのですが,そこで案の定道に迷った私は,散歩中の叔父さんに場所を尋ねることにしました。

 春から社会人だ,この木近くの寮に入る,という話をしながら道を尋ねた私は,「東京の人は冷たい」という固定観念を打ち崩すような,とても優しい口調で丁寧に場所を教えてくれた上,この街がどんなところなのかを教えてくれたりしました。

 そこが東京でも屈指の高級住宅街であることを,私はその時知ることになります。

 そして以後数年間,最も変化の激しかった新人時代に,私は毎日池上線を利用するようになります。時には反対側の蒲田に出かけ,あの独特な猥雑な雰囲気を楽しむこともありました。道中の小さな古びた駅を池上線の味として楽しむことも忘れませんでした。

 ある夜,酔っぱらいに絡まれ,成り行きから電車を一緒に降りることになったのですが,姿の見えないその酔っぱらいをきょろきょろ捜すと,駅の前の果物屋でミカンを買っていて,私が近づくと「食べるか?」と,おいしそうなミカンを手渡されたことを思い出します。

 今にして思えば,池上線ではいろいろな思いをしましたが,結局どれもほのぼのだったなあと,そんな風に思います。

 1000系は,ちょうどそんな私が乗っていた電車です。

 1000系に搭載されているVVVFインバータは1980年代後半のもので,その発振音が可聴帯域にあるため,加速時には独特の「音」がします。これが敬遠されて1990年代のVVVFインバータは可聴帯域よりも上の周波数を使うようになりました。

 1980年代後半という時期にVVVFをいち早く導入したのは,東急もそうですが関西の近鉄もそうでして,ちょうど私が高校生の頃,ピカピカの最新型の電車の証として,その「音」を鳴り響かせていましたから,普通は敬遠されるあの音は,私にとってはある種の郷愁と青春のほろ苦さを思い起こさせる物になっていたりします。

 前置きが長くなりましたが,発売日の前日にいつもの模型屋に予約を依頼,翌日無事に手に入れることが出来ました。

 エコノミーキットと違い,黙って説明書に従って組み立てれば完成品と同じ物が出来上がるというキットですので,あまり手を汚すことはないだろうなあと思っていたのですが,塗装を全くしなくて良いわけではなさそうですし,保護用のクリアは吹いておこうと考えたので,結構大事になってしまいました。

 冬場は塗料の乾きが遅い上,どうしても衣類からのホコリが多く出てしまいます。そのせいでホコリの付着が夏場よりも深刻なのですが,今回もかなりホコリに苦労しました。クーラーの塗装も何度もやり直す羽目に陥りましたし,それでも多少のホコリは割り切る必要がありました。

 そんなわけで,出来は今ひとつです。

 しかも,組み立てで普段ならやらないようなミスを連発。

 窓硝子のパーツをランナーから切り取るときに,うっかり割ってしまいました。ちょうどドアの窓です。割れた物をプラモデル用接着剤でくっつけようとしたのが初心者並のミスで,つなぎ目が目立って仕方がありません。

 クリア塗料を使ってごまかそうと思ったのですが,これがますます見た目を悪くする結果となりました。

 型を取ってプラリペアで複製も試みましたが,すでに溶剤が茶色く変色しており,まともな複製は作れませんでした。結局,0.4mmのプラ板を貼り付けるのが一番いいという結論に至ってショボーンです。

 また,ボディマウントTNカプラーを無理に付けようと改造したおり,動力台車のカプラー部分を削って加工した時の削りカスがギアに噛み込んでしまいました。

 スムーズに回らないことを発見して台車を分解したら,うっかりギアを紛失。動輪のうち片側は回転しません。

 こういう場合,すっかりモチベーションが下がって適当に作ってしまう物なのですが,意外にプロポーションもよく,DCCデコーダの組み込みもうまくいったので,ヤケにならず落ち着いて仕上げてました。

 たかが3両ですので,1軸くらい動軸が死んでいても,ちょっとした坂道くらいなら上ってくれます。

 そんなわけで,あの見た目につまらない東急の車両も,うちには8000系,8500系,8090系,そして1000系と揃いました。毎日見ていると,案外愛着がわくものです。

さらに今朝の出来事

 今朝,通勤客を乗せた電車の中で,系単電話の呼び出し音が鳴りました。

 声からサラリーマン風の男がその電話に躊躇なく出ます。

 「今電車の中なんです・・・はい,はいはい,パスワードですか?」

 パスワードを電話で聞くか? 私はそう思いました。彼の電話は続きます。

 「えと,アドミニストレータのアカウントで,パスワードはpassword,ぴーえーえすえすだぶりゅおーあーるでぃー・・・」

 さらに続きます。

 「これでだめだったら,xxさんのアカウントとパスワードで入れるから」

 これで終了。

 果たして,彼は全部でどれだけの「非常識」をやらかしたでしょうか?

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