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今さらMCカートリッジ

  • 2007/02/20 18:08
  • カテゴリー:散財

 先日,LPレコードを久々に聴いて,MCカートリッジを買ってみようという気に突然なりました。

 MCカートリッジといえば,必ず名前の挙がるDL-103というDENONのカートリッジは放送局で使われるリファレンスで,特に特徴もない素直な音が特徴という定番です。

 昔はそんなに高いものでもなかったと思うのですが,今は26000円。実売でも2万円ちょっとするというので,ちょっとした高級品が買えてしまう値段になっています。

 もっと手軽にMCカートリッジを楽しむ方法はないものかと調べてみると,ありましたよ,私の大好きなオーディオテクニカから廉価版のMCカートリッジが。

 AT-F3IIというカートリッジで,実売で9000円ほど。これならちょっと試してみようという気分にもなります。(というかこないだからちょっと試してみようが購入動機になり続けているように思いますね,やばいですね)

 ご存じの通り,レコードを再生するには,イコライザアンプと呼ばれる専用のアンプが必要です。以前はアンプ本体に内蔵されていたのですが,省略されたものも随分増えました。レコードプレイヤーに内蔵されたものもよく見ますが,これなどはイコライザアンプが内蔵されていない今時のアンプに直結できることを売りにしています。

 ところがイコライザアンプだけで済むのはMMカートリッジの話で,MCカートリッジにはMCヘッドアンプか昇圧トランスが必要になります。ややこしい世界です。

 MCカートリッジはこうして敷居が少しだけ高いので,1万円というお手頃価格のAT-F3IIがどういった客層を狙ったものなのかよく分かりません。

 MMカートリッジの経験で言えば,1万円を切るカートリッジは今ひとつという印象を拭えず,結局V15typeVに落ち着いたわけなので,MCカートリッジも1万円以下が残念なものになってしまう覚悟はしておかねばなりません。

 とはいえ,これがDL-103にすれば期待通りなのかと言われれば,特徴がないのが特徴なわけですし,むしろがっかりするかも知れません。カートリッジ以外に機材が必要なMCカートリッジですから,1万円でも手を抜いていないだろうと考えて,買ってみることにします。

 はて,ヘッドアンプも昇圧トランスも持ってないのにどうするのだと思われると思いますが,実は今使っている自作のイコライザアンプには,ゲインを切り替えてMCカートリッジにも対応できる仕組みがついています。本格的には昇圧トランスを用意するとして,とりあえず暫定でこのイコライザアンプで試してみようという作戦です。

 買ってきたAT-F3IIは私にとってオーディオテクニカの初めてのカートリッジです。カートリッジのメーカーとしてスタートした,日本ではよく知られたメーカーの製品をこれまで1つも持っていなかったのは,偶然とはいえ意外に感じました。

 一緒に買ってきたヘッドシェルのMG10にマウントし,トーンアームに取り付けます。針圧の調整を行って何枚かレコードをかけてみます。

 V15typeVとの比較になりますが,その差ははっきりと分かります。

(1)伸びやかな音
 V15typeVも決してナローレンジではありませんが,AT-F3IIに比べれば急激に高音が天井にぶつかるような印象を受けます。AT-F3IIはすーっと頭のてっぺんを抜けていくような高音を出してくれるカートリッジで,闇雲に高音を強調せず,あくまで自然に「のばす」ということを心がけているような感じがして,とても好印象でした。

(2)高い解像感
 解像度の高さもあり,V15typeVとの比較でも,それぞれの楽器が綺麗に分離して,これまであまり目立たなかった音が良く聞こえるようになります。

(3)平面的な定位感
 奥行き感についてはV15typeの方が好ましく,AT-F3IIは楽器の分離が良い上に,平面的に楽器が列びますので,目の前にわーっと広がる空間の広さは,特に奥行き方向でV15typeVの方が優れているように思います。(ただ,こうした奥行き感はチャネルセパレーションが悪い方が良く聞こえるものでもあるので,ひょっとしたらAT-F3IIのチャンネルセパレーションの方が良いということなのかも知れません)

(4)細い中域
 中低域のエネルギーや密度の高さでAT-F3IIはV15typeVの足下にも及びません。V15typeVの場合,その中域のエネルギーがボーカルの存在感を非常に高めてくれるので,まるで目の前で歌っているかのような生々しさを味わうことが出来ますが,AT-F3IIではそこまでの張り出し感はなく,あくまで自然に音が出ているという感じです。

(5)まとめ
 KennyDrewのピアノソロを聴いてみたのですが,ピアノの機種が変わったのか思うほど劇的な変化がありました。V15typeVではよく耳にする普通のピアノなわけですが,AT-F3IIではキンキンとした金属音が耳につくようになるため,華やかな印象を受けるのと,強弱の変化がより明確になります。

 そんなわけで,MMCカートリッジの場合,安物になるほど磨りガラスを目の前に置いたようなもどかしさが増えるものなのに,MCカートリッジでは,いかに廉価なAT-F3IIでもすきっととても明瞭な音を出してきます。

 その上で,レンジの広さや粒状感の少なさ,まるで高い秋の空を思わせる音を味わうことが出来るということに,まず感心しました。

 よく言えば上品でおとなしく,しかし繊細であるという感じがしますし,悪く言ってしまえば「CDみたいな音」と言えなくもありません。

 カートリッジによってこれほど音が変わってしまうと,なにが本当の音なのか迷ってしまうのですが,おそらくどれも本当の音なんだと思います。

 私は,あまりジャンルによってカートリッジを交換しようとは思いません。ボーカルを生々しく聴いてみたい時には,V15typeVを使うと思いますが,今回のAT-F3IIの音が大変に気に入ったので,常用カートリッジとして使うつもりでいます。

 カートリッジはの多くは手作りで作られます。その点では工業製品でありながら同時に工芸品のような側面もあります。

 レコードやプレイヤーの生産台数は減りもせず増えもせずと言う状況のようですが,採算性が良い世界ではありませんし,職人さんはどんどんいなくなります。

 このくらいの手頃さで,カートリッジを取り替える楽しみを味わえるのは,ここ数年が最後になるかも知れないです。

 一応,タムラ製の昇圧トランスは以前に買ってあって,ケースに入れて組み立てれば使える状態になります。すでにケースの加工は済んでいるので,本当に組み立てだけ。1時間もあれば終わってしまう作業です。

 イコライザアンプのゲインを上げてしまうと,ノイズやハムが目立ってしまいます。半導体アンプの性能が向上した今日でさえ,定番として使い続けられる昇圧トランスがどれほどのものなのか,今から楽しみです。

ペンタブレット初体験

  • 2007/02/19 15:47
  • カテゴリー:散財

 先日,CaptureNXで写真の加工を行っていたのですが,投げなわツールで範囲指定を行っていたところ,トラックパッドではどうにもうまくいかず,イライラすることがありました。

 それでもマウスで範囲選択を行っていたときに比べると随文楽になったと思っていたのですが,マウスやトラックパッドの移動範囲を超えるようなケースの場合,ボタンを押しながらマウスや指を中央に戻すという作業が厄介であることは変わりません。ついつい辛抱しきれずにボタンから指を離してしまい,作業をまたやり直すことになることもしばしばです。

 こういう事が起こらないように,本格的にフォトレタッチを行う人はペンタブレットを使うと聞きます。10年ほど前に5万円ほどした電磁式タブレットは,調べてみると1万円を切っているんですね。それなら試してみるか,とamazonで買ってみました。

 買ったのは一連の商品の中でも最廉価になる,ワコムのFAVOでA6サイズ,CTE-440W0という製品です。

・第一印象
 A6サイズのくせに,結構設置面積をとります。マウスパッドくらいは覚悟しておく必要があるでしょう。ただ,設置してからの安定感はよく,どっしりと机にへばりついてくれるおかげで,タブレット本体がガタガタしたり動いてしまうようなことは一切ありません。安くともこのあたりは手を抜いていないようです。

 なお,心配していたCaptureNXでの対応ですが,筆圧機能も含め,きちんと動作しています。


・操作感覚
 他のどんなヒューマンインターフェースデバイスとも似ていません。A6サイズのタブレットの表面が画面全部を投影する絶対座標系であることがマウスとは全然異なりますし,はたまたペンが接触したときだけ反応するPDAなどのタッチパネルとも全然違います。

 ろくに説明書も読まずに触り始めたのですが,ペンをタブレットから浮かせて動かすとマウスカーソルの移動,ペンダウンで動かすとドラッグなんですね。ペンを浮かせて動かすという動作は,本物の紙とペンではほとんど行わない動作ですし,タッチパネルやトラックパッドでも行わないので,私はここに一番面食らいました。

 どうしてもペンダウンをしてしまうクセがついてしまっていて,マウスカーソルをただ移動させたいだけなのについついファイルやフォルダをドラッグしてしまい,ファイルがあちこちに散らばってしまって大変な目に遭いました。

 おそらく一番自然なのは画面の上に直接ペンを走らせるということなのだろうと思いますが,ペンでなぞる面と画面とが分離している今回のような場合,やはりペンを浮かせてカーソルを動かすという「不自然」な操作は,やはり避けようがないのでしょう。

 これも慣れてしまえばなんと言うことはなく,慣れてからはペンを意識せず自然に操作することができ,快適に使えます。手首の移動だけでサクサクと操作できる感覚は非常に新しいものだと思いましたが,だからといってマウスとの比較で利点となるような部分が見あたらなかったので,常用することはやめました。


・筆圧
 マウスやトラックパッドではどうやっても実現できない機能が,筆圧の感知です。私はイラストを描くわけでもないので筆圧機能を特に必要としていたわけではないのですが,せっかくですから試してみました。

 これは実に楽しい機能です。筆圧で線が太くなったり細くなったりするというのはペンや筆がもつ価値の1つですが,これがコンピュータの画面上でも再現できると,確かにいろいろな事が出来そうです。

 ただ,世の中にある筆記用具のうち,筆圧で表現を積極的にコントロールするものはそう多くなく,むしろボールペンやシャープペンシルのように筆圧による変化が少ないものを日常的に使うことが多いでしょう。だから,筆圧機能があるということを,私のような画を描かない人間はどうやって使うか,ちょっと考え込んでしまいます。

 1つ,手書き文字があるかも知れません。言うまでもなく,筆圧によってはねる,はらう,とめる,を表現するには筆圧機能がなくてはなりませんが,試してみたところ実に見事に再現できるのです。

 太さと色をうまく筆圧でコントロール出来ると,味気ない年賀状も一気に人間くささを取り戻すことが出来るかも知れません。


・問題点
 MacOSXでの話ですが,一定時間が経過するとバックライトが消えるように設定してあっても,タブレットを接続しているといつまで経ってもバックライトは消えません。おそらくですが,タブレットの接続自体か,あるいはバックグランドで動作しているタスクが,操作していない時間をリセットしてしまうため,無操作時間がいつまで経ってもバックライトの消える時間に達しないせいだと思います。

 同じ事は無操作で自動的にスリープに入るような設定をしているケースでも起こるのではないかと思うのですが,私はこの点も気に入らず,常用する気にはなりませんでした。


・マウス
 電磁式のタブレットは,ペンの形を変えればマウスを作ることも簡単です。ということでこの製品には専用のマウスも付属するのですが,可もなく不可もなく,ただのマウスに過ぎない代物です。

 操作感が良いとか,精度が抜群とか,わざわざ特殊な方式でマウスを実現しているのだからと期待をするのですが,使ってみると本当に1000円ほどで売っている,何の取り柄もないマウスです。

 大きさも形状も使いやすいわけではなく,でも別に使えないわけでもないという中途半端なもので,おそらくタブレットをマウスパッドと置き換えた場合に,汎用のマウスが使えなくなることを想定して専用のマウスを同梱したのでしょうが,タブレットの上にマウスパッドを置けば済むことですし,それにノートPCのトラックパッドを使っている人には,まさに無用の長物です。

 これを付属させないセットも「コミックセット」として用意されていますが,これにはマンガ用のソフトが付属しているので,通常のセットでマウスなしというものを用意してくれれば一番良いと強く感じました。


・結論
 私の場合,常用はしない,写真の加工の時だけ使う,という使い方になりそうです。ひょっとしたら今度の年賀状で使うことがあるかも知れませんが,そもそも字が綺麗ではないからプリンタを使ってきたという現実に矛盾するので,おそらく使うことはないでしょう。

 私のように絵心のない人間がタブレットまで揃えるとは全く考えなかったのですが,マイクロソフトもTabletPCを立ち上げていますし,MacOSXでも標準でタブレットをサポートしています。

 紙と鉛筆という非常に身近なものにお手本を求めたユーザーインターフェースには長い歴史がありますが,これまで縁がなかった方にとっても,試せば面白い発見があるかもしれません。この値段はそういうきっかけを提供してくれるものもあると思います。

 ただ,我々のように,紙と鉛筆を知っている人間がタブレットを使って感じることと,紙も鉛筆も知らずにいきなり学校でタブレットを触る子供が感じることには,随分と開きがあるのではないかなあと,少しだけ心配になりました。

 なにもわざわざ不自由なメタファーを持ち込む必要は,オリジナルを知らない新しい世代には不必要なんじゃないのか,という気がしたということです。

 筆圧だって例えばマウスを握る強さで変化がつくようにすればいいだけの話であって,我々がそれに拒否反応を示すのは,マウスという道具を「こんなもんだ」と決めつけているからに過ぎません。

 握る強さで線の太さが変わるマウスと,押しつける強さで線の太さが変わるペンタブレットとの違いは,どちらも初めて体験する人にとって,純粋に使いやすいかどうかだけにかかってくるではないでしょうか。これから20年,30年と経過する中で,どういったインターフェースが生き残るのか,楽しみだなあと思います。

真空管アンプのリニューアルに取りかかる

  • 2007/02/18 01:45
  • カテゴリー:make:

 ハンマートーン塗装というのをご存じでしょうか?金属の表面をハンマーで叩いたような質感を得ることの出来る特殊な塗装なのですが,これを手軽にスプレーで実現できる塗料が,以前は東急ハンズに売ってたそうなのです。

 真空管アンプのシャシーの塗装には,このハンマートーン塗装は定番で,戦前のアンプの名機をモチーフに,道具としての質実剛健さを目指した印象を与える塗装が今日でも好まれるというのは,やっぱり真空管アンプの世界ならではといえるのかも知れません。

 で,その塗料ですが,今はさすがに在庫はなく,取り寄せになるというので,先月渋谷に出るついでに,注文しておきました。ずっと探していたので,手元にあるといろいろ面白いことが出来そうです。

 そして,気になっていた一件が・・・

 300Bシングルの真空管アンプを作ったのが2002年2月。昨年の冬にはみっともなかった塗装をやり直そうとして,余計にみっともなくなってしまい,音の良さの反面で見た目の悪さがずっと気になっていました。

 以前知人に写真を見せたところ,いかにも素人の工作だと罵られ,がっかりしていました。やはりシャシーは安物を使ってはいけません。

 それでもこのシャシーをハンマートーン塗装すればましになるだろうと思っていたのですが,せっかくですのでシャシーをもう少し小振りなものにして,強度的にもしっかりした,高級感のあるシャシーに作り替えようと考え至りました。

 ご存じのように真空管アンプにはプリント基板など使いません。つまりシャシーを作り直すということは,すなわち配線をやり直す,ひいては「いちから全部作り直す」ということと同義語です。

 さすがにこの決断は勇気がいったのですが,数年に渡る懸案事項でもあったので,先日秋葉原でシャシーを買ってきました。今はなき鈴蘭堂の定番シャシーで,今はタカチが引き継いで生産してくれているSLシリーズのなかから,SL-8HGと選びました。約1万円。手のかかった塗装や質感を考えると,この価格は安いと思います。

 今までのシャシーが横幅400mmで,SL-8が340mm程度ですので,かなり小さくなります。ただ,常識的に300Bのシングルでこのサイズが小さすぎるということはないでしょうから,厳密な検討もしないまま,決めて買ってしまいました。

 さて,2mm厚のアルミを加工するのは,なかなか骨の折れる作業です。そこで今回は,綺麗な仕上がりも期待して,新しい電動工具を2つも導入することにしました。

 どちらも手頃な大きさと価格で,あまりいい印象を持ってなかったPROXXONのものです。

(1)マイクロニブラー

 ニブラーという工具があります。金属板を自由自在に切り抜く工具ですが,私は手動のハンドニブラーを持っていました。

 ところが刃先を破断してしまい,交換しないといけない状態です。今回のシャシー加工には,電源トランスの大きな角穴が必要で,ニブラーなしでは時間がかかって仕方がありません。

 ところがこのニブラーの交換刃が3000円ほどもするんですね。それで結構使いにくいこともわかってますので,どうしたものかと思っていたところ,電動工具にあることを知って通販で買いました。うまい具合に昨年秋に値下がりしていて,1万円を切る値段で買えました。

 アルミ板の切り出し,くり抜きなど,手間のかかる作業が楽々出来ます。厚みが2mmくらいになるとなかなか手こずるものですが,この工具は板厚に関係なく作業を進めることができます。

 ただ,結構傷が付くのですね。養生用のテープは必須です。それと,角で方向を変えることが出来ないので,トランスの角穴を開ける作業では,ちょっと頭を使いました。

 それと,切り子をまき散らします。家の中でやると,嫁さんの怒りを買うことは必至でしょう。


(2)ベルトサンダー

 以前職場で,布ヤスリをベルト状にして回転させるヤスリを使ったことがあります。角穴はヤスリで仕上げるのが基本なので,私は平ヤスリ1本でどんな穴でも開けてきましたが,冷静に考えるとこのベルトサンダーの小型のものがあれば,実に楽が出来そうです。

 探してみるといろいろ出てます。パワーが小さいのが心配でしたが,太さが9mmという小型であることを評価して,PROXXONのものを買いました。幸いにして新品がオークションで安く出ていたので,これを買いました。約1万円。

 これは本当にかってよかったです。今まで手が痛くなって時間もかかったヤスリの作業が,効率よく進みます。パワーも2mmのアルミくらいなら全然問題はありません,

 掃除機のホースを取り付けることが出来て,削りカスを吸い込んでくれることもありがたいところです,。

 ただ,やっぱり手動の平ヤスリとは違い,小回りがききません。細かいところを削ろうとして手元が狂い,ベルトがガガガガーと別の部分を走り回って傷だらけにするということを,何度も経験しました。

 でも,これは本当に楽です。


 とまあ,こういう2つのパワーツールを導入したのはいいんですが,300Bの取り付け用に50mmの大穴を開ける際,コンパスのような構造のホールソーを電動ドリルに取り付けて使ったのですが,もう少しで穴が開くというところで油断をして,刃先を全然関係ない部分に当ててしまい,大きな傷を付けてしまいました。

 せっかくのヘアライン加工&アルマイト仕上げのシャンパンゴールドが台無し・・・これは凹みました。

 私は,こういう金属加工が好きな割には,下手なのです。基本的に不器用なんでしょうね。

 再塗装することも考えましたが,せっかくのアルマイト仕上げですので,格好悪いですがこのままいきます。

 シャシーの下側は黒色で塗装されていますが,ここはやっぱりハンマートーンです。穴あけが済んでからハンマートーンのブラックでさっと塗装してみたのですが,この塗料はすばらしい。厚塗りすることなく,綺麗なハンマートーンが実現出来ます。まさに期待通りというところでしょうか。

 とりあえず今日のうちにすべてのシャシー加工が終了しました。ここから旧シャシーから部品を外し,新しいシャシーにマウントしつつ,配線を間違わないようにしていかなければなりません。この作業がなかなか大変です。

 今回は,300Bのフィラメントを,レギュレータで安定化してリップルをさらに減らす計画も盛り込むつもりです。

 今から完成が楽しみです。

CaptureNXは使えるツールなのか

 昨年の秋だったのですが,Nikon純正のRAW現像ソフト「NikonCapture」の正規ユーザー向けに,次世代の現像ソフト「CaptureNX」への優待販売がありました。

 私もせっかくだからと申し込んだものの,銀塩カメラの修理やらフィルムのスキャンやらで全然触っている時間もなく,今になってようやくじっくり使うようになりました。

 登場から時間を経て,それなりに評価も出そろってきているCaptureNXですが,全体的にネガティブな意見が多いように思います。使い込んだ道具ほど,手放すのが惜しいものです。そんな職人達の感情を逆撫でするような,新しいデジタル一眼への対応が古いNikonCaptureで見送られるという事に対する反発も大なり小なり影響しているように思います。

 ただ,NikonCaptureに比べて重いとか,ツール類のレイアウトが大きく変わったとか,保存時のデフォルトフォルダが毎回リセットされるとか,そういうまっとうな意見もあるので,一概に好みの問題と言えない部分もあるでしょう。

 私は逆に旧世代のNikonCaptureをほとんど触っていません。ですからCaptureNXには自然に入っていけたのですが,その印象はかなりよいです。

(1)コントロールポイント

 Photoshop(自慢じゃないですが私はVer.3.0以来CS2まで毎回アドビ税を払い続けている優良顧客です)にしてもなんにしても,フォトレタッチという作業は結局の所,範囲選択に始まり範囲選択に終わります。

 ところが,この範囲選択という作業にはそれなりのスキルも必要ですし,手間も時間もかかる場合があって,結構緻密で面倒な作業なわけです。

 「魔法の杖」ツールのようにこの作業を半自動化するものもありましたが,それではどうしても狙ったとおりにならないため,投げ縄ツールでコツコツと選択範囲を指定する人も多いと思いますが,現実の暗室作業で行われる範囲選択はもっと簡単で,もっと直感的です。(あたりまえですね)

 CaptureNXのコントロールポイントが素晴らしいのは,デジタル暗室に不可欠だった範囲選択という作業が必要ない,ということです。範囲の選択は自動で行われ,それをユーザーが意識することはほとんどありません。この「自動で行われる」というところに気持ち悪さを覚えるかも知れないと思いましたが,実に良くできています。

 空の色をもう少し青くしたい,顔にもう少し光を当てたい,といった修正は日常的に行われますが,コントロールポイントのうちの1つであるカラーコントロールポイントを使えば,空に,あるいは顔にポイントを置き,明度やコントラスト,彩度をスライダでちょちょっと変更すれば,自分の狙った範囲にだけその効果が現れます。これは実に見事です。

 不自然な結果になるかもしれないとか,意図しない部分にまで効果が及ぶとか,そういう心配もありましたが,やってみるとおおむね自分の思ったとおりになるのは大変助かります。

 少なくとも,空の色を変えたいのに山の色が勝手に変わるというわかりやすいケースではほぼ確実に動作してくれますので,「これくらいわかりきった範囲指定は自動化して欲しいよなあ」と思いながら空をぐるぐると範囲指定していたような人には,作業を簡略化してくれる強力な武器になると思います。

 ブラック/ホワイト/ニュートラルコントロールポイントも,単に明度の最小と最大を指定したり,ホワイトバランスの規準となるグレーを指定するだけのスポイトツールではなく,その点をどの明るさにするのか,という操作が可能なので,思い通りのダイナミックレンジをヒストグラムを見ながら調整することができます。

 赤目の修正も同じようにコントロールポイントで一発。不自然にならないように修正するには範囲選択をうまくしないといけなかったですし,それに集合写真のように数をこなさないといけないケース(一人あたり2つありますからね目玉は)では,非常に楽ちんです。

 CaptureNXの最大の特徴はこのコントロールポイントにあると言えると思います。CaptureNXはRAWだけではなく,JPEGやTIFFも扱えますので,怠け癖のある私などはついつい,JPEGのレタッチにもCaptureNXを使うようになってしまいました。

 単なるRAW現像ソフトから汎用レタッチソフトとして私にとっての位置付けが変わってしまったと言っても良いのですが,考えてみるとこれをニコンが15000円ほどで販売してくれているというのは,とてもありがたいことと言えるかも知れません。


(2)角度の修正

 ついつい画面が傾いた写真を撮ってしまった経験は誰にでもあると思いますが,これを修正する作業はPhotoshopでも簡単に行うことができます。

 同じようなもんだろうと思っていたらCaptureNXはちょっと違っていました。CaptureNXでは,2点を指定し,この点を結ぶ直線が垂直になるように傾きを自動で調整してくれます。

 例えば,電信柱が傾いてしまってみっともない場合,電信柱の上から下にすーっと直線を引くだけで,電信柱がまっすぐに修正されます。目測で「こんなもんかなー」とマウスをぐるぐる回すことはしなくてよいのです。

 ただ,目測が便利な場合もありますね。自動で修正してくれた後の微調整は,角度を打ち込む方法しかないので,修正の結果自分の狙ったとおりにならない場合は,2点を指定し直すか角度を打ち込むしかありません。これはちょっと面倒です。


(3)ノイズ除去

 私のD2Hがノイズまみれの画像を吐き出す(w)とかそういう話は少し置いておいて,フィルムのスキャン画像や携帯電話のカメラで撮影した画像のように,カラーノイズが目立つ場合,これを軽減することがかなり良い感じに出来ます。

 原理的にシャープネスが失われ,階調もつぶれてしまうので塗り絵のような画になりがちですが,CaptureNXではエッジノイズリダクションのようにエッジを潰さないようにノイズを軽減することも可能になっていて,丁寧に調整すればかなり悪い画像でも復活させることができます。


(4)アンシャープマスク

 アンシャープマスクはシャープネスを高めるための古典的な手法ですが,効果が絶大である一方で画質の劣化も大きい,まるで副作用の強い薬のような存在です。

 どのくらいアンシャープマスクをかけるかはなかなか判断が難しく,ここでもセンスが問われるわけですが,CaptureNXでは色を選択してかけるという技が使えます。

 アンシャープをかけたい対象物の色だけにかければ,他の色にはかかりにくくなりますし,対象物への効果も穏やかで,自然にシャープネスが改善されます。

 人の顔の場合は赤だけにアンシャープをかけると,画質の劣化を抑えて,きりっとした顔になってくれます。


(5)白黒変換

 白黒変換って,単純に彩度をゼロにすればよいと思っているとそれは大間違いです。人間の目は緑色の感度が高いので,RGBそれぞれのレベルに重み付けをきちんと行って最終的な明度を決定しないといけません。

 モノクロのフィルムや印画紙でも,どの波長に反応するかで個性があるのは事実ですし,もっと積極的に赤や黄色のフィルターを取り付けてコントラストを調整したりしますので,白黒への変換というのは実に奥が深いのです。

 Photoshopでもこのあたりは結構弱く,さすがにカメラメーカーのソフトだなと感じるのですが,モノクロの写真を表現の1つとして積極的に使っていこうと思う場合,CaptureNXの自由度の高さは非常に魅力的でしょう。


(6)範囲選択

 それでも範囲選択は不可欠な作業ですが,Photoshopなどの場合,投げ縄ツールで範囲選択を行うと,次の作業がその範囲で実行されます。しかしCaptureNXではそうはなりません。

 投げ縄ツールで範囲を選択しても,実際には選択されたことにはなっていません。そのあと「塗りつぶしツール」を使って囲った範囲を塗りつぶすときに,選んだ機能で塗りつぶされるのです。

 その機能がカラー化なら選んだ色で塗りつぶされます。つまり,

  範囲選択->機能選択->塗りつぶし

 という操作によってようやく機能が有効になるのです。

 Photoshopだと,塗りつぶしというのは「色で塗りつぶす」機能のことを言いますが,CaptureNXでは独立した機能ではなく実行コマンドのような扱いになっています。ですから,Photoshopでは範囲選択->機能選択で済んだ処理がもう1ステップ増えるわけです。

 このことに,私は今でもしっくりきませんし,慣れてもいません。範囲選択->明るさの変更という流れで操作しても,全く明るさは変化せず,ここからさらに塗りつぶしを行って初めて,変化が反映されるのです。

 なぜこういう仕組みになったのは,私にはわかりませんが,よくこれでみんな混乱しないものだと思います。

 ただ,この方法にはメリットもあって,塗りつぶしの代わりにグラデーションツールを選ぶと,選択された機能の効き具合がグラデーションにあわせて強弱がついてくれます。

 一方で選択ブラシを使うと選択と機能実行が同時に行われるという自然な流れになっているので,選択ツールとして分類されているものでも,その挙動に違いがあることは非常に不自然だと思います。

 よって塗りつぶしとグラデーションについては,選択ツールに分類するのではなく,機能実行という別の機能として独立させるべきだったのではないかと思います。

 

(7)スタンプツールがない

 CCDについたゴミとかネガの傷やホコリとか,ちょっと修正をしたいと思うことは普通にあることで,そういう場合に使うのがスタンプツールです。

 しかし,信じられないことに,この機能がありません。CaptureNXはそもそも何のためのソフトなのかをよく考えて欲しいなと思います。

 よく知られているように,スポイトツールで色を合わせて,ブラシで塗りつぶせば一応似たようなことは出来ます。しかし色が少しずつ変化する部分に線状に入った傷を消す場合,極端に言えば1ピクセルごとに色を合わせないといけないわけです。

 スタンプツールがあれば,この問題は解決します。やっぱり必要な機能でしょう。

 CaptureNXはPhotoshopと併用しないといけないと言われるのはこのあたりのこともあるのだろうと思います。価格が10倍近くも違うツールですから,出来ることに差があっても当然だとは思いますが,CaptureNXがもう少し高い目標を持ってくれていればなあと,残念です。


 ざっと思いついたところを書いてみると,こんな感じです。私の場合バッチ処理を行うことはほとんどなく,たくさん撮った写真から,良さそうなものを選んで現像していますので,プロのように大量の写真を現像するようなことはしません。バッチ処理に有利なのがNikonCaptureの強みだったというのですが,CaptureNXがどうなったのか,私は試せてはいません。

 15000円という価格でここまで出来るというのはかなりお得だと思います。このソフトを理由に一眼レフをニコンにするというは十分価値があると思いますし,デジカメがニコンでなくても,使ってみる価値はあるのではないでしょうか。

 Photoshopはプロ用のツールで,印刷原稿を仕上げるために不可欠な機能も多く含まれています。そんなものは普通の人には全く必要ありません。多くの方はPhotoshopElementsの方が関係が深いと思いますが,CaptureNXももう少し頑張れば,十分対抗馬になると思うのですが・・・惜しいなあと思います。

LPレコードを久々にならして思ったこと

 昨日,久々にLPレコードをかけてみようという気になりました。数年も使ってなかったのでちゃんと動くか心配になりましたが,幸いなことに,記憶にあるLPレコードの音と違っていません。

 一気に聴いたThe BeatlesのABBEY ROADですが,20年ほど前に購入した再販された国内版で,当時のもの(考えてみるとオリジナルの発売から40年近くが経過しているわけですね)とは違うのですが,実は先日から読んでいた「ある本」に看過され,やはりThe BeatlesはCDではなく,アナログレコードでなければならないかも知れないな,再販ものとはいえCDよりはエンジニアが込めた魂を感じることが出来るかもなあ,とそんな風に考えたのが,手間をかけてもLPレコードを聴いてみようと思ったきっかけです。

 ジャケットはすっかり黄色くなってしまいましたが,中のレコード盤は当時のまま。ターンテーブルの電源をいれ,レコード盤を置き,さっとクリーナーでホコリをぬぐって,針を落とします。

 真空管のパワーアンプと,自作のイコライザアンプはもう十分に暖まっています。

 自分の耳にさっぱり自信のない私ですが,The Beatlesのアルバムでも,特にRevolver以降については,LPレコードで聞くとまるでヴォーカルが目の前にいるような,そんな錯覚に陥るのです。

 中学生だった私は,オーディオマニアだった私の叔父がV15typeIIIで聴かせてくれたLet It Beのヴォーカルの生々しさに,それまで自分が使っていた安物のオーディオシステムとは別世界の音を垣間見て心底感激したことがあります。

 以後,私の目標は,The BeatlesのLPを生々しく再生できることに置かれることになるわけですが,理屈の上ではCDの登場によってこの目標は軽く達成されるべきだったはずです。

 しかし,私個人の主観的結論で言えば,そうはなりませんでした。

 数値上の比較において,やはりCDとLPレコードでは明らかにCDが勝っているということは否定出来ません。加えてLPレコードは再生に使う機材によって音が大きく変わるので,どれが正しい音(正しい音の定義は難しいですがここでは原音と一致する音,ということにします)なのかがはっきりしません。機材の価格が上がれば原音に近づくと言い切れるわけでもありませんから,非常に不安です。

 その点,CDは再生に使う機材で変化する音の差が小さいですから,多少の差異はあっても作り手の音がほぼストレートに出てくるものだと考えて良いわけです。

 そこまで頭で分かっていても,やはり改めてLPレコードを聴くと,目の前にヴォーカルが現れます。CDでは残念ながら,それはないのです。

 思いこみでしょうね,どう考えても。LPレコードをかけるまでにかかる手間が呼び込む心理的影響とか,大きな円盤がゆっくり回っている視覚的な効果によるものとか,そういうものも大きなバイアスを与えているはずです。

 それでも,仮にそれらのせいであったとしても,また作り手の意図とは違った音に再生されてしまっているのだとしても,結果としてLPレコードの方が私にとって心地よいなら,もうそれでいいと思うのです。

 考えてみると,原音に忠実な再生を目指していたのはいつの時代も同じであったはずなのに,カートリッジ1つで大きく音が変わる世界を許容し続けていたかつてのオーディ業界は,そもそも矛盾していたのではないか,と思います。V15にはV15の,DL103にはDL103の,SPUにはSPUの音があったわけで,それらを交換して楽しむというLPレコードの面白さは,実は原音再生という基本方針に背く可能性もあるのです。

 このことをどう考えたらいいのか,私はちょっと困っています。作り手はここまで生々しいヴォーカルを感じて欲しいわけではないかも知れません。しかし私はCDを規準にした場合において,大きくかけ離れ,色づけされた再生音を心地よいと感じてしまっているのです。

 許されることがあるとすれば,頭の形も部屋の大きさも,もちろんこれまで生きてきた環境も時間も違うから,同じ音でも人によって違って聞こえるということが前提にあり,その上で経験が支配的な「感性」の問題として,作り手と聞き手の「心地よさ」が一致するためには再生音の物理的データが異なっていて当然,という結論でしょうか。

 この物理的データの違いを,もしも「好み」というのであれば,オーディオはある水準から上は,すべて好みの問題ということになります。(水準に満たないシステムは論外で,そのためにある程度の経済的負担はやむを得ません)

 私はエンジニアという仕事柄,数字で表現されることを第一に考えてきたのですが,最近それだけでは片付かない問題が多いことに考え込むことが増えました。それらをなんでもかんでも「好みの問題」で片付ければ楽ちんですが,もう一歩踏み込んで,その好みの差の存在を胡散臭い印象から遠ざけ,気持ちよく肯定するにはどうすればよいかを,しばらく考えていたのです。

 昨日LPレコードで聴いた時に,考えついた結論は,前述のようなものでした。こうすれば,作り手も,CDも,そして音がコロコロ変わるLPレコードも,すべての世界を肯定することが出来ます。

 そして最後は個人的な好みがすべて。好き嫌いがきちんと許された世界観とは,なんと気分の良いものでしょうか。

 かくして「原音からどれくらい変わったか」を肯定的に楽しむLPレコードの面白さが正当化されるに至り,その懐疑的な意識は薄れ,自由な楽しみ方を得たような気分になったわけです。

 そう考えるとますますLPレコードが面白くなるものですね。目標は原音に忠実にあることだけではなく,私にとって心地よい音であること,です。

 心地よさは原音に忠実ではないという後ろめたさに悩まず,胸を張ってオーディオを追求していきたいなあと,気持ちを新たにした,そんな午後でありました。

 ある水準,は,CDのようなディジタルオーディオでは非常に低く,LPレコードのようなアナログオーディオは非常に高いものです。

 同時に,CDは水準を超えた所からの「心地よさ」への追い込みが,差が小さいだけに難しいのに対し,アナログオーディオは,お金をかければ,あるいは工夫をすれば,どんどん音が変わっていきます。ある水準に達するのが大変でも,そこからどんどん追い込めるアナログオーディオは,本質的に異なる世界なのかも知れません。

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