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D850を買いました~その2

  • 2017/09/12 10:46
  • カテゴリー:散財


 さて,D850を発売日に手に入れたので,早速触ってみました。

 最初に書いておくと,バッテリグリップMB-D18は,なんと55000円もするので,必要になったら買うことにしてありました。D800の時もバッテリグリップの値段の高さに目を回していましたが,結局不便で買ってしまいました。D850の場合,さらに高くなっているのでもう気絶しそうです。(気絶したついでにポチってました)


(1)質感,外観

 剛性感の高い骨格に,ぎゅっと内臓が凝縮された密度の高さは,手に取ったときにしっかりとした質感と満足感を伝えてくれ,D800同様大変好ましいです。これはもうD800系の伝統でしょうね。

 外観もほとんど変わらず,握った感じもほぼ同じです。グリップ部が数ミリ変わっていて,そこに気が付く人が大半だそうですが,私はそんなに違いを意識しませんでした。

 ボタンの配置は随分変わってしまっていますし,場所もちょっとずつ動いているので,後で書きますが結構違和感もあるものも,困った事もありました。

 重さもこんなものでしょう。むしろ,秒間9コマで20万回の耐久のメカをここに押し込んで,4500万画素を支えるのに必要な精度を維持するシャシーがこんなに軽いとは,不思議な気がします。

 そうそう,ニコンはD1のころから,それとわかる白いLCDカバーを付属していて,これまでニコンの象徴的なオプションでした。

 カバー越しの画像は見にくくなるので,必ずしも便利なものとは言えなかったのですが,多くの人が装着していたように思います。

 しかし,バリアングルLCDになったこととタッチパネルになったことでカバーが取り付けられず,ニコンは純正で強化ガラスのカバーを用意しています。

 おかげで画質と操作性を損なわずにLCDを保護できるようになったわけですが,カバーを引っかける場所も用意されているようなので,ぜひ用意して欲しいと思います。


(2)シャッターフィーリング

 私は,シャッターの音や振動が,撮影者の脳内麻薬を増やすものだと思っているので,それが心地よいかどうかを非常に気にしています。D2HやD3などのプロ機はその辺は抜かりなく,さすがヒトケタだといつも思うのですが,D800は少々切れ味が悪く,今ひとつな感じが拭えませんでした。

 でD850ですが,さすが秒間9コマ,その切れ味は素晴らしいです。D2Hのように金属の甲高いキーンという音がしなくなったので,刀を思わせる切れ味はないのですが,モーター駆動のシャッターとは思えない機敏な動きとリズムは,結構癖になるものがありました。

 シャッターボタンを押している指が,もっとこの音を聞いていたいと離れないというのは,久しぶりに味わった感覚です。

 そういうこともあって,CHモードの秒間7コマでは,1コマだけのつもりが2コマシャッターを切ってしまうこともありましたし,ミラーの動作もAFの動作も,とにかくすべての動作が次の世代に入ったと思わせる,非連続な進化を遂げています。


(3)AFとAE

 AFはD5ゆずりの153点,AEは180k画素のセンサで顔認識までします。D5が出た時に,ここまでやらないかんのかと思ったものですが,D850に移植されたAFとAEを使っていると非常に肯定的な印象で,もう人間がすることは構図を決めるだけ,人間に出来ない事をカメラがやってくれる時代になったなあと,そんな風に思いました。

 AFですが,私はAF-Cの3Dを主に使います。D800も悪くはなかったのですが,D850のそれは本当に素晴らしく,被写体に食いついていくという表現がぴったりです。

 AEもより精度が上がっているようで,マルチパターン測光でも強い逆光は補正が必須と思っていたところ,かなりのシーンで補正無しでいけそうな印象を持ちました。

 特に人の顔を認識したときの露出は,D800に比べて1段ほど明るくなることも多く,露出補正を戻し忘れたかと思うほど,鮮やかです。高感度特性も良くなっているので,これはこれでいいのかも知れません。

 とはいえ,以前から積極的に補正を行った方が良い写真が撮れるんだけどなと,自らの横着に後ろめたい気持ちがあったのも事実で,これをきっかけに真面目に露出補正を心がけようと思います。


(4)画質

 D800とD810の違いは,その発色です。D800は割とナチュラルなニコンの伝統色だったのに対し,D810は記憶色に近く,鮮やかに見えるように傾向が変わったといいます。

 D850もその路線であり,D800に慣れた私としては,鮮やかで記憶をさらに強めるような画像が出てきます。これは違和感があり,もう少し落ち着いたトーンでもいいんだけどなあと思いつつ,特にレタッチすることもなくこれだけの画像が出てくるのであれば,処理は楽になるかと前向きに考えました。

 その前に4500万画素ですが,これはもう強烈で,なにもいう事はありません。というより,さらにブレには気を遣わないといけなくなったし,AFの微妙なずれも気になって仕方がないくらい,解像度が上がっています。

 しかし,全体のレスポンスが上がっているので,とても4500万画素だとは思えません。D800よりも軽快です。


(5)連写とライブビュー

 連写はさすがで,バネの力をため込んでミラーを動かすのとは違う,上品で高精度な音と振動が伝わって来ます。私にとって,心地よい音はD2Hの音なのですが,これとは方向の違う音とはいえ,やはり秒間8コマを越えるボディが出す音というのは共通点があるもので,他の人が言うように悪い音だとは思えませんし,むしろ静かで上品で,しかしやる気にさせる,素晴らしい音に仕上がっていると思いました。

 私見ではありますが,秒間8コマでカメラのコストは大きく変わってくると思っています。6コマくらいなら中級機の延長で作る事も出来るのでしょうが,8コマを実現するにはそれまでの延長ではだめで,大きなエネルギーを扱うために,あらゆる部分を強化しなければなりません。

 価格は10万円単位で上がりますが,その結果とても剛性の感のあるしっかりした骨格とレスポンスを持つに至ります。

 D800が5コマ程度だったというのは,それくらいの骨格しか持たなかったと言うことの裏返しでもあり,これがヒトケタモデルとの大きな質感の違いを生んでいたと思うのですが,D850は最大で9コマです。これはD2Hを越え,ヒトケタを名乗っても構わないほどの骨格を持っていると思ってよいのではないでしょうか。

 それがこのレスポンス,この質感を生んでいます。

 で,ライブビューなのですが,これは相変わらず使い物にはならないなあと思いました。タッチパネルとの併用で随分使い勝手が上がっているとは思いますが,常用するには厳しいです。

 もちろん,D800に比べて随分欲はなっているのです。しかし,一眼レフカメラとしてのあまりの完成度の高さに,ライブビューが見劣りしているという感じでしょう。

 ただ,恐ろしいのはサイレントモードで,ライブビューでサイレントモードを使うと,ブラックアウトすることなく,連写が無音で行われています。実に不思議な感覚です。

 本格的なミラーレス機を私は使っていませんが,この静けさと高速連写がミラーレスの世界なら,いずれにミラーレスが一眼レフに取って代わると,そんな風に思いました。


(6)ファインダー

 視野率100%,倍率0.75倍という光学ファインダーは,フィルム時代を思い出しても,トップクラスのファインダーと言えます。D800も悪くはなかったのですが,D850のそれはファインダーを覗いた瞬間に吸い込まれそうになり,鳥肌が立ちました。

 OVFの完成形だとか,ニコンはこれを最後にミラーレスに移行するとか,そんな風に言われても仕方がないくらいに見やすく大きな光学ファインダーです。

 私は,DK-17Mという1.2倍のマグニファイアを常用していたのですが,これをD850に付けると大きすぎてかえって見にくくなりました。もったいないですが,DK-17Mは使わず,直接アイカップを取り付けることにしました。

 あと,あまり触れられていませんが,ファインダー内表示が緑のLEDから白のLEDになりました。これが非常に見やすく,上品です。やる気にさせる一方で,冷静に情報を取りこんで判断出来るようになるので,表示の色が違うとこんなに印象が変わるのかと思いました。

 それから,D800で残念に思ったものの1つに,クロップ表示がありました。D800では,クロップ時は赤い枠が出るだけだったのですが,D850ではクロップされる部分は薄暗くグレーアウトするようになっています。

 赤い線では,撮影中についついはみ出してしまうことが多かったのですが,撮影出来ない部分がグレーで塗りつぶされれば,はみ出すこともないでしょう。

 ファインダーはホントに素晴らしいです。


(7)ユーザーインターフェース

 操作性についてはD800とそんなに変わりません。ただ,ISOボタンが右側に来たり,AE-Lボタンがマルチファンクションになったりと,ちょっと戸惑うこともありました

 私はD850を機に,完全な親指AFに移行すると決めていて,シャッターボタンの半押しでAFが起動する機能をなくしました。それでも問題なく操作できています。

 ボタンにイルミネーターがついたことも,高感度撮影機では必須の起動だと思いますし,タッチパネルも使ってみると意外に便利です。特にメニューの戻るボタンが右側に出ているのがすごく便利でした。


(8)XQD

 SanDiskのExtremeProを大枚はたいて購入した私としては,D850でCFが使えないのはちょっと残念ですが,今さらCFってのもどうかと思いますし,SDカードなんて不安で使えないですから,XQDを導入しました。

 縁あって,ソニーのGシリーズで,128GBのものを入手出来ました。これ,速いし信頼性も高いらしいしで,なかなかよいです。コネクタの感じもしっかりしてるので,私は安心です。価格も思ったほど高くないですし,CFの次世代規格としてXQDに統合されるようになったので,マイナーなメモリカードを使うという不安はなくなりました。

 選択肢が少ないのはむしろ好都合なくらいで,マイナー故に偽物の心配もいらず,今からだったら,XQDがおすすめです。


(9)高感度特性

 確かに高感度性能は上がっています。D800では常用感度6400に対し私が許せたのは3200まで,D850では常用感度25600に対し,許せるのは6400か12800というところだと思います。実際,6400ならかなり余裕がある感じです。

 増感ではノイズも色もコントラストも破綻しますが,それでも撮影出来てしまうところがすごく,私は初めて,娘が深い眠りに入っている時の顔を撮影することに成功しました。


(10)AF微調整

 最近のニコンの一眼レフにはすでに搭載済みとなっている,ライブビューを用いたAF微調整をD850で初めて試して見ました。

 事の起こりは,どうもフォーカスが甘いように思った事で,4500万画素だし手ぶれもあるだろうし,そもそも本体のLCDの拡大でフォーカスを確認出来るのかどうかわからないとは思うのですが,せっかくなので試してみることにしたのです。

 三脚でカメラを固定し,2mほど離れた場所の壁の模様をライブビューでフォーカスします。そのあとフォーカスモードのレバーにあるボタンとRECボタンを同時に2秒押し込むと,調整値が記憶されます。

 私の場合,全体に-2から-8くらいで,マイナス方向にズレていたのですが,これが被写体のせいなのかボディのせいなのかはよくわかりません。

 結果は,そんなにジャスピンになったという印象はなく,元々のままでも大差なかったかなあと思いました。とりあえず単焦点レンズを3本ほど試してみたのですけど,もう少し様子を見てみます。


(11)バッテリグリップ

 MB-D18という専用のバッテリグリップが55000円もすることは前述しましたが,本体の価格が高いから気が付きにくいですけど,この値段なら安い一眼レフがもう一台買えますし,ちょっとしたレンズなら買えてしまうくらいのお値段です。

 電池ケースにボタンがいくつか付いているだけのものなのに,なんでこんなに高いのか・・・まあ,本体と同じ材料と精度で作るから,本体と同じ堅牢性を持つから,本体と同じ防塵防滴性能を持つから,なのですが,それにしてもD800に頃に比べて2万円以上も値上がりしています。

 調べて見ると,昨年出たD500用のMD-B17も同じ値段なんですね。実売20万円くらいのD500に対して5万円のバッテリグリップって高すぎないかと思うのですが,こういうのって好き嫌いがはっきり分かれるオプションなので,数も出ないだろうし仕方がないのかも知れません。

 私も,せっかくのD850の小型軽量を損なわないように,バッテリグリップは使わないことにしていました。バッテリグリップを付けるとDヒトケタよりも大きくなってしまうのは,以前から疑問を感じていたわけですけど,やはり縦位置で脇があいてしまうことに耐えられず,縦位置を多用する私にとっては必要なものと再認識する結果になり,ヨドバシの在庫が復活した時に買うことにしました。

 結論からいうと,買って正解でした。安定性も使いやすさもばっちりで,AF-S 70-200mmも安定して縦位置に出来ます。

 バッテリグリップを使うメリットはもう1つあり,秒間9コマを実現するために必要なオプションの1つが揃ういう事です。このMB-D18にEN-EL18bというD5の電池,そしてBL-5という電池の蓋の3つが揃うと,秒間9コマというD2Hを越えた速度が手に入ります。

 問題なのはやっぱりお値段で,充電器のMH-26aまで揃えると,10万円かかります。本体40万円に連写速度を上げるためにさらに10万円で合計50万円もかかります。これなら,D5の背中が見えてきますよね。


(12)残念な事

 残念な事は4つありました。

 1つは,AFが動かなくなるという問題です。これは故障でも不良でもなく,レンズを取り外すボタンに,ちょっと触れてしまって起きた問題です。このボタンが2mmほど押されるとレンズが外されたことになってしまうようで,AFが切り離されて動きません。電源を入れ直してもダメで,レンズによってはAF/MFレバーで動くようになるのですが,根本的には一度レンズを外して付け直さないとだめでした。

 以前はこんな経験をしたことがなかったので,ボタンの位置が少し変わったか,ストロークが浅くなったのでしょうね。私の持ち方では,どうもボタンに左手が触ってしまうらしく,急にAFが動かず焦ることが度々ありました。ニコンが対策をしてくれるとは思えないので,残念ながらなれるしかないです。でも,これだけ簡単にAFが動かず,しかも復旧にはレンズを一度外す必要があるというのは,結構致命な気がしますが・・・

 もう1つは,D800にのころからの不満点だったのですが,AF-SとAF-Cのそれぞれで選択したAFモードが記憶されない場合があるのです。

 D850では,AF-Sでシングルを洗濯し。AF-Cで3Dを選択すると,以後はAF-SとAF-Cを切り替えると同時に,それぞれで選択したモードが記憶されています。ところがAF-SかAF-Cのどちらか一方でグループダイナミックを選ぶと,もう一方もグループダイナミックに変更されてしまうのです。

 なにか理由や意図があってのことでしょうが,記憶される場合とされない場合の区別がわからず,取説にもないのでD800時代から謎でした。

 私の勝手で言えば,AF-Cを常用しており,動き回るものに食いついて常時フォーカスが合っている状態を維持しています。一方でAF-Sは動かない被写体をじっくり撮影するときに使うので,シングルで使うのですが,AF-CとAF-Sを切り替えるだけでAFモードも一緒に変わってくれると,一々選び直す手間が省けていいし,切り替え忘れることもなくなります。

 次にストロボです。

 D850ではそれまで搭載されていた内蔵ストロボが廃止されました。このクラスのカメラになると本格的な補助光を用いるか,自然光で撮影するので,光源として欠点の多い内蔵ストロボは使用頻度が低く,廃止には否定的な意見は少ないです。

 確かに,ストロボがなくなったことで見やすいファインダーを搭載出来ていると思いますし,ペンタカバーも樹脂製ではなく,マグネシウムの一体になりました。それに,ふいにストロボがあがって発光するというトラブルの心配もなくなります。

 私も内蔵ストロボは使わない人ですが,ただ1つだけ残念なのは,外部ストロボへのコマンダー機能がなくなってしまったことです。

 D800では,SB-700を買い足すだけで,SB-700をリモートで発光させることが出来ました。ニコンにストロボ制御は高精度で定評があり,ストロボを1つ買うだけでこれを体験出来るというのは素晴らしいと思っていたのですが,D850ではこの機能さえ失われてしまったのです。

 リモートを利用するには,もう1つSB-700を買うか,コマンダーを買うしかありません。これは非常に残念で,それならコマンダー機能だけ搭載する(赤外線だけでOK)のも手だったと思うのですが,残念だなあと思います。

 最後の1つは,現像のワークフローがまだ未整備である事です。私はLightroomを使って管理から現像,印刷までを行っていますが,D850はまだ未対応です。Adobeによると,近いうちに対応しますとアナウンスしていますし,それまでは先に対応したDNG Converterを使ってくれと言う話なのですが,Lightroomのメリットは現像時のカラープロファイルを統一できることにあるわけで,そのプロファイルが準備されていない中でDNG Converterを使うのは,Lightroomを使うメリットもありませんし,後々正式対応したときに困ることになるので,今はLightroomで取りこんでいません。

 ちゃんとした画質の評価は,Lightroomが動くようになってからになるでしょう。でも,これは残念な事と言うより,いずれ時間が解決してくれる問題ですので,そんなに深刻な話ではないですね。


(12)最後に

 ライブビューでのAF精度,そしてサイレントモードでの無音連写撮影を経験すると,ミラーレスも実用範囲に来ているなあと感じました。

 加えて,本格的なミラーレスを開発中というニコンのコメントに加え,高画素と連写を高次元で両立し,一眼レフのアイデンティティーである光学ファインダーに最高のものを奢って,この値段で市場に投入されたD850に,ニコンの一眼レフへの意地を見た気がしています。

 もしかすると,社内的にはこれが最後の高級一眼レフという覚悟があったのかもしれないなと思うほど,現時点で高級な一眼レフに求められるものが惜しみなく投入されているように思うわけです。

 D5の次のD5sまでは出るとしても,その次のD6はもしかするとミラーレスになるかも知れず,D850の後継機はマイナーアップデートのD860で止まるのではないかと思ったりします。

 レンジファインダーが一眼レフに変わり,メカ技術を軸に長く続いたその歴史が,電気の技術によってミラーレスに変わろうとしている今の流れは,もう変えようがありません。

 ニコンがプロのカメラにそれを搭載するかどうか,つまり歴史を残す機材に,歴史を変えるつもりがあるかどうかが,ここ数年ではっきりするように思います。

 私はと言うと,カメラが精密機械から家電品に,財産からモバイル機器になってしまうことへの抵抗もさみしさもあるのですが,最終的に残るのは写真そのものであることを考えると,よりよい写真が撮れる以上の理由はなく,肯定的に考えています。

 おそらくですが,一眼レフが主役になった時代でもライカのようなレンジファインダーの良さを味わう人は消えず,同時に憧れであり続けたことを考えると,おそらくミラーレスが主役になっても,一眼レフは残るのではないでしょうか。

 D850は,ニコンにとっての,最後の一眼レフになるかもしれないという一部ユーザーのつぶやきは,案外本当のことになるかも知れません。

D850を買いました~その1

  • 2017/09/11 15:07
  • カテゴリー:散財

 D850を発売日に買いました。

 D800を買ったのが2012年の7月でしたから,5年ちょっとで買い換えです。

 そもそもカメラなど,買い換えるものではないと思っていましたし,事実フィルム時代には買い換えることの実質的なメリットは,ほとんどなかったと今でも思います。画質はレンズとフィルムで決まり,ボディはレンズを支える役割と,フィルムに決まった時間だけ光を当てるタイマーの役割をしたに過ぎません。

 しかし,デジカルカメラになると,いわばフィルム(と現像マシン)が内蔵されてしまったので,画質を握る大きな要素がボディと一緒になっていまいました。そしてその画質は,年月と共に確実に,そして大幅に向上していきます。

 こうなるともう,ボディを買い換えるメリットは大きく,私も「ボディは消耗品」という考えに勇気を持って切り替えてから,随分気が楽になったことを思い出します。

 ちなみに,D800を購入したときの価格は約27万円。後述するように売却して91500円になりましたから,差額178500円を5年間で2万カット使いましたので,1年あたり35700円,1カットあたり約9円です。

 フィルム1本が36枚として,36枚あたり324円ですから,安いフィルムよりもまだ高いです。しかし,現像代が500円かかるとすれば,半額くらいで写真を撮ってきたことになります。

 だからどう,という話ではないのですが。あらためてデジタル化によって写真のコストが大きく下がっていることに気が付きます。そう,昔は写真を趣味にすると,本当にお金がかかったものなのですよ・・・

 とはいえ,デジタル時代とフィルム時代とでは,コストの質が違っていて,フィルムは変動費ですから,撮影すればするとお金がかかるのに対し,デジタルカメラはほとんど固定費ですので,撮影すればするほどコストは下がります。

 ということは,お金があるなら,一気に買って使い込んだ方が,お得だという話になります。ここ重要ですよ。


 まあ,苦しい言い逃れはこの辺にしておいて,私の場合D810を見送っていますし,次にD800系の後継が出たら,あまり悩まずに買おうと思っていましたので,ここ1年くらいの間は,買うつもりでスタンバイをしていました。

 しかし,ライバルのEOS5D系の値段が大幅に上がってしまい,クラスが1つ上がったことで,どうもD800系も位置付けが変わってしまうのではないかと,そんな気がしていました。

 D800は当時としては(そして今でもですが)怒濤の3600万画素で27万円という破格のマシンでしたから,D850も買いやすい価格になるという期待はしていました。しかし,D750系やD600系という下位のラインナップのこともあるので,おそらく40万円前半くらいになるものと,半ばあきらめていたわけです。

 そして噂が飛び交い,開発が正式に発表され,8月24日価格と発売日,そして仕様が発表になって,私は即座に予約しました。忘れもしません,8月24日の14時過ぎです。

 値段は36万円。非常に効果ですが,40万円を大幅に割り込むバーゲンプライスです。そして私がD800で唯一妥協した,高画素と高速連写を両立させたカメラになっています。欲しい。これを買えば,カメラのせいで我慢を強いられるようなシーンはなくなるはず。

 とはいえ36万円は分不相応で,かなり躊躇したのが本当の所なのですが,機材を処分すれば25万円くらいでなんとかなる・・・品薄が予測出来ただけに,そう考えて予約をしました。

 予約をしたのは中野のフジヤカメラ。D800もここで買いました。あまりお金にならないだろうジャンクに近いレンズもそれなりの値段で買ってくれたので,今回も下取りをあてにして,予約しました。

 結果を先に書くと,幸いなことにD850の予約は成功し,私はめでたく発売日にフジヤカメラに出向き,店頭で支払いを済ませて,自宅に持ち帰ることが出来ました。

 しかし,その前の金策に,紆余曲折があったのです。

 ・・・フジヤカメラに予約する際,店頭で購入するときに,D800などを下取ってもらい,差額分を現金で払うつもりでいました。しかし,店頭では数が多いと待たされることもありますし,荷物が増えてしまうことも困りものです。それに査定額が予測よりも大きく下回ってしまうことや,そもそもの下取り額がD850の発売にあわせて大きく下がる事が考えられます。

 そこで,事前に買い取りをお願いすることにしました。発売まで2週間,その間に店頭に行く機会を窺うよりも,さっさと送ってしまったほうが値下がりと思ったのです。

 キットを依頼して到着するまでに価格が大きく下がり,暗雲が立ちこめている中で処分するカメラとレンズを梱包して送り出しました。D800,MB-D12,AF-S VR DX ZoomNikkor18-200/F4-5.6G,AiAF35mmF2D,AiAF24mmF2.8,シグマのDP1s,タムロンの28-75F2.8とTC-16Aを送って,査定額の連絡を待ちます。WEBから調べた下取り価格はざっと12万円にはなるだろうと・・・

 結果は残念な事に,9万円ちょっと。そりゃ厳しい。訳を聞いてみたら,D800はファインダースクリーンに傷があるので68000円,AF-S18-200は故障しているので2000円,AiAF35mmF2Dは絞り羽根に油が回って3000円と,悲しい話になっています。

 D800はかなり程度が良かったはずなので,これは足下を見ているなとちょっと腹が立ったので,ジャンクに近いものだけ遺して,D800とMB-D12,AiAF35mmとAF-S18-200mmを返してもらいました。

 そして,他の店に売ることを考えたわけです。

 今回買い取ってもらうことにしたのは,査定が心配で夜も眠れない思いをした私に福音となるワンプライス査定を行っているマップカメラです。

 早速買い取りキットを送ってもらい,発送日も確定させました。D800は91500になるんですよ。68000円に18%増しでも8万円ですから,これを割り込まなければマップカメラにして正解ということになります。

 その日のうちにフジヤカメラから返却されてきたので,返却品を確認しました。D800には傷らしい傷は見当たらず,ファインダースクリーンも綺麗なままです。修理が必要なほどではないとフジヤカメラも言っていたので,これならワンプライス査定の対象になるでしょう。

 MB-D12も同様,きれいなものです。残念だったのはAF-S18-200mmで,これは先日書いたように壊れており,復活も出来ませんでした。

 そしてAiAF35mは指摘通り,絞り羽根に油が回っています。これもやむなし。

 目標として,なんとか16万円になると,現金での支払いが20万円に出来るなあと考えていたのですが,当初売却予定だったPlanar50mmF1.4ZFはグリスが抜けて査定が下がることが確実でしたし,GRも手放すが惜しくて,処分し損ねました。
 
 その上,1万円以上になると思われたレンズがまさかの故障とあれば,ここはもう何かカツイレをするしかありません。

 悩んだ末,FA77mmF1.8Ltd.を売りに出すことにしました。

 FA77mmは言わずと知れた三姉妹の長女と言われているレンズで,美しいボケとしっかりした色のりには定評がある中望遠レンズです。このレンズを使えることがペンタックスユーザーの最大のメリットと言われているだけあり,ほとんどガラスじゃないかと思われるずっしりとした質感がまた素晴らしいです。

 とはいえ,私のペンタックスはK10Dだけで,後はフィルムカメラです。APS-Cでは焦点距離も変わりますし,FA77mmの魅力が半減します。かといってペンタックスのフルサイズはK-1だけで,いくらFA77mmが素晴らしいとはいえ,さらに20万円の投資など出来ません。

 それに,FA77mmを「素晴らしい」と思った事が正直なくて,出番は数回にとどまっています。FA43mmはそれこそしょっちゅう使っていたし,その素晴らしさに感動したものなんですが・・・

 これがマップカメラで45000円のワンプライス査定です。この値段で買い戻すことなど出来ませんし,私が買ったときよりも今は値段が上がっていますから,もう二度と使うことはないでしょう。そう思うとさみしいですが,使わないレンズを眠らせてももったいないですし,AiAF35mmやAF-S18-200のように,使わないまま壊れてしまい無価値になることも考えられます。売れるうちに売るのも,大切なことなのです。

 そう思ってFA77mmを箱に静かに詰めました。もう1本レンズを入れて,D800とレンズ達は,我が家を出て行きました。

 果たして査定額はどうなったかというと,なんと157000円です。

 D800はワンプライスで91500円になりました。FA77mmも45000円です。これはありがたい。マップカメラ,ありがとう。

 ちなみにマップカメラ,途中で2度ほど電話をしたりメールをしたのですが,いずれもとても丁寧で気分のいい親切な対応をしてもらいました。フジヤカメラは人に寄りますし,言っていることが二転三転したものですが,マップカメラはそんなことはなく,電話でもメールでもちゃんと履歴が残っていて,一々説明しなくても話がすでに通っているんです。言っていることは一貫していて安心ですし,次は最初からマップカメラにお願いしようと思います。

 結局,フジヤカメラの下取り23000円にマップカメラの157000円,そして購入当日にフジヤカメラで下取ってもらったSB-400が4700円と,合計で約185000円を作る事ができました。なんとか現金での支払いを半分以下に出来たわけです。

 どれも使わないレンズばかりでしたし,売った値段よりも多くのお金を払って買っているのですから,絶対に得にはなっていません。でも不思議ですね,D850が18万円で買えたと錯覚するんですからね。

 そうこうしているうちに,フジヤカメラから初回分の割り当てがあったことを電話で聞き,私は9月8日,中野のフジヤカメラに出向いたのでした。

 今回の買い取りで得た教訓です。

(1)現行品,ジャンクではない人気あるものは,マップカメラで売るのが良い。
(2)ジャンク品などはマップカメラでは値段はつかない。フジヤカメラで売るべし。
(3)最近のレンズは家電品なので,ほっとくといずれ壊れる。使わなくなった時にさっさと売らないと,大損する。
(4)箱がなくてもいいが,送るときには綺麗に掃除をして,動作の確認をしてから送ろう。

 長くなったので続きは明日。明日はD850のファーストインプレッションです。


最近のレンズはモバイル家電だと考えていい

 D850を本気で買う予定でいる私ですが,その価格がすでに私にとっては分不相応なものであり,私の収入ではそうそう手の出せないものであることを,自覚しています。

 今ここで現金で持ち出せるのを,多くても25万円,出来る事なら20万円に押さえたいと考えた時,私が予約したお店はおよそ36万円ですので,機材の処分で15万円を作る事を考えました。

 思えば,ジャンク品からまともな新品まで,いろいろなレンズが手元にあります。買うときにはそれなりの判断をして買ったものですから,簡単に売ってしまうと言うのは難しいわけですが,そこはしきい値を調整し,処分できそうなものを並べてみました。
 予約したお店は東京中野の有名店で,ここで下取りまでお願いするつもりでいたわけですが,値段が下がってしまうのも惜しいので,さっさと宅配買い取りをお願いしました。

 売るのは,D800とバッテリーグリップ,そしてAF-S DX Zoom-Nikkor18-200mmF3.5-4.5G ED VR,AiAF35mmF2D,AiAF24mmF2.8,DP1s,TC-16A,Tamron SP AF 28-75mm F/2.8 XRです。

 事前の試算では,いろいろ難癖を付けられていいところ12万円かなあと思っていたわけですが,査定が出るとびっくりで,10万円でした。D800だけでも10万円近くで買い取ってくれる店があるなかで,これだけ用意しても10万円とは,かなり厳しいと思ったわけです。特にD800については,目立った傷もなく,箱も付属品もすべて揃っていますので,まさか7万円を割るとは思いませんでした。要するに,買い換えで玉があふれているんでしょうね。

 これだけならまあ辛抱したんですが,私が具体的なアクションを起こすきっかけになったのは,AF-S18-200の査定が,わずか2000円だったことです。新品で購入,箱も付属品もあり,傷も目立ったものはないという良品だと思っていたのですが,電話で訳を聞いてみると,どうもフォーカスリングに引っかかりがあるので,修理が必要になるという話でした。

 出たり出なかったりだと言う話でしたので,一度でも問題が出たものを「気のせいだ」と考えて高く買い取るわけにはいかないでしょうから,その辺の事情は理解するとして,それにしても2000円はちょっと残念です。

 また,AiAF35mmF2Dは,絞り羽根にグリスが回っているということで,これも3000円でした。この2つで2万円近く査定額が下がってしまったことは,純正レンズとはいえども,売れる時に売ってしまわないといかんという教訓を私に残しました。

 それなら返して下さいとお願いすると,気持ちよく返却してくれました。

 返してもらったのは,D800にバッテリグリップ,AF-S18-200mm,AiAF35mmF2Dでしたが,D800は指摘された傷もなく,私にはとても問題があるとは思えませんでした。

 AiAF35mmF2Dは,指摘通り絞り羽根にグリスがべっとりで,絞りの開閉に支障が出ています。これは指摘通りです。残念。

 問題はAF-S18-200mmです。今日はこれが本題です。

 フォーカスリングに引っかかりがあるという指摘があったわけですが,先日偶然,引っかかりを解消するには,ギアの部分を分解して指で少し回してやれば治るというWEBの記事を見て,試してみたくなりました。

 実物が戻ってきたので確かめてみると,確かにフォーカスリングに引っかかりがあります。なにか,フィルムのようなものが引っかかっている様な感じです。ズームをしても,やっぱり引っかかりがあり,一瞬ですが鏡筒内にテープのようなものがちらっと見えたことがありました。無理に回すとブチブチという音がしたりしましたので,どうもギアだけの問題ではなさそうです。

 実際にボディに取り付けてみたところ,一応AFは問題なく動作し,写りも問題ありません。ただし,VRが動作していないことに気が付きました。これは嫌な予感。

 どうせ2000円の価値しかないし,修理を15000円かけて行っても出番はなし,かといって売っても15000円程ですので,まともな修理は赤字になるので,もう捨てるしかないレンズと割り切り,分解を始めます。

 フレキを慎重に分解していき,ビスを場所を覚えながら分解していくのですが,まだ引っかかりの原因が見つかりません。ギアを手で回すこともやってみましたが,原因はこれではないようで,改善しません。

 分解を進めていくと,恐ろしいものが見えてきました。フレキがフォーカスのカムに巻き込まれて,くしゃくしゃになっています。

 しかも,そのフレキの先端が抜けてブラブラしています。どうやらこれがVRユニットにいくフレキなんじゃないかと思います。

 さらにここでズームを行うと,ズームのカムの溝にフレキの先端が入り込み,ギロチンのようにフレキが挟み込まれて,今にも切れてしまいそうです。これはもうダメだ。

 さらに分解を進めていきます。

 もう組み立て直すことは半ばあきらめていて,とうとう鏡筒から光学系が抜けた時に分かったのは,フレキが切れてしまっていて,修理不可能になっていた事でした。

 そして,その原因を仮組みしながら考えてみました。

(1)まずフレキを固定していた両面テープが経年変化で剥がれてしまった。

(2)フレキが浮き上がったところに,フォーカスのカムが引っかかった。査定中の状態はこれ。

(3)何度か繰り返しているうちに,フレキが引っ張られてVRユニット基板のコネクタからフレキが抜けてしまう。

(4)抜けたフレキの先端がズームのカムの溝に入り込んでしまった。鏡筒内に見えていたテープのようなものが見えたのは,おそらくこれ。

(5)ここでズームを行ったので,フレキがカムに巻き込まれて切れてしまった。


 フレキの剥がれ具合を見ていると,ほぼ間違いないと思います。

 長く使わずに放置していたので,この間にフレキが剥がれたものと思いますし,フレキを巻き込んで切ってしまった直接の原因は,査定中の操作にあると言えるわけですが,根本の原因は経年変化にあり,誰が操作を行っても同じ結果になったのではないかと思います。

 さてさて,組み立てをどうしましょうか・・・VRのフレキが切れているのでVRはもう修理出来ませんが,このフレキを剥がしてしまえば引っかかりもなくなりますし,普通の高倍率ズームとしては使えるでしょう。

 しかし,ほぼ完全にフルサイズに移行している状態で,DX専用の画質も今ひとつな凡庸な高倍率ズームを,VRもなしで使うなんて,さすがにないと思います。そもそもそうした私のレンズの選び方に変化があったことから,このレンズを売ってしまおうと思ったわけですし。

 てなわけで,おもむろに絞りをユニットごと取り出した私は,娘に「こんなんいるか?」と声をかけ,絞り羽根を開けたり閉じたりして見せました。大人でもなかなか目にすることのない絞り羽根が,シュルシュルと開閉する様が面白いらしく,娘は即座に「欲しい」といって,自分で開閉して遊んでいました。

 次にレンズをいくつか取り出してみました。凸レンズなら虫眼鏡になると思っていたのですが,案外どれも曲率が小さいらしく,あまり大きく拡大出来ません。しかしそこはさすがにカメラのレンズだけに,実にクリアに歪みもなく,恐ろしいほどくっきりと画像が見えます。

 そんなわけで,発売と同時に購入した18-200は,あえなく分解されてしまいました。

 根本の原因が,フレキを固定する両面テープの剥がれだなんて,なんとまあ家電チックな話でしょうか。光学機器であるカメラのレンズは中古市場が確立していて,人は死んでもレンズは残り,何人ものオーナーの手を渡り歩くものです。

 製造時にそんなことが意図されていたかどうかは分かりませんが,そうした50年も60年も前のレンズがきちんと今も価値を持つものとして流通していることを考えると,ここ最近に作られたレンズがこうして電気的な理由でダメになっていくと,今から50年先にはどんなレンズが残るのだろうと,心配になります。

 今回のAF-S18-200も,光学系は完璧でした。しかし,プラスチックが多用され,フレキとケーブルが鏡筒内を走り回り,高度な電子回路が内蔵されている今どきのレンズは,今どきの家電品やモバイル機器と同じ程度の信頼性や寿命しか与えられておらず,せいぜい10年が限界だろうと思われる部品も使われています。

 そしてそうした部品はすぐに入手が出来なくなるほど世代交代が早く,メカ部品のように自作も出来ない状況から,その多くが使用不能になったり,価値がゼロになったりして,廃棄される運命にあります。

 カメラが家電になったことを憂う声は,今でも時々耳にしますが,レンズまで家電になってしまったことは,私には重い事実でした。

 そして,1990年代移行のレンズは,大事に持っておくのではなく,気に入ったものは使い倒し,使わないものはさっさと売ってしまうのが最善であると思いました。そう,ユーザーにも家電と同じ接し方を,求められるようになったということです。

 さて,話はいきなり変わりますが,肝心のD850・・・先日お店から電話があり,予約割り当てが私にもあり,発売日である9月8日に購入出来るとのこと。

 ニコンの初物は地雷,と言われている昨今,価格も価格なのでかなり勇気のいる予約だったわけですが,どうせ買うことになるわけですし,しばらくは値段も下がりませんから,早めに買ってその分楽しむのが良いと思いました。

 若いときと違い,もう残り時間もそんなに長くはありません。今をできるだけ無理せず楽しく生きる。カメラは入手出来ればそれでいいのではなく,それで写真が残せなければなりません。

 9月8日,楽しみです。そして,なにもトラブルがないことを,祈ります。

 

D850は最後の最強モデルになるのか

 以前から噂が出ており,半ば確定路線とも言えたD800系列の最新モデル,D850が昨日正式に発表になりました。

 開発そのものは7月末に発表になっていましたが,詳細スペックや発売日,価格などが出てきたのが昨日です。

 スペックは事前の噂通りだったのでそんなに驚くことはなかったのですが,驚いたのは発売日と価格です。発売日は9月8日とわずか2週間後ですし,価格はカメラ店での一発目価格が税込み約36万円です。

 いやなに,36万円は高いです。D800の価格が27万円くらいで始まり,D810が現在20万円前半で買えることを考えると,同じシリーズの後継機種が36万円は,やはり実質値上げだと,私などは思っています。

 しかし,世の中,安すぎる,ニコンは商売が下手,バーゲンプライスだと絶賛の嵐です。

 正直に言って,ここまで褒める気は私にはないのですが,安いという意見には私も同意します。理由は2つ。1つはD850はD800系列の最新モデルというよりもむしろ,D5の高画素機とも言える内容になっていることです。

 登場時に皆腰を抜かしたD5のAFシステムと同じAFを搭載し,連写速度も最大で9コマ/秒,シャッター耐久20万回のプロ仕様です。

 中級機種には必須であるストロボをあえて内蔵せず,小型ストロボが便利にならないプロを意識し,その代わりに見やすい光学ファインダーにこだわるという姿勢は,間違いなくD800やD810とは別のユーザーを取りこもうとしています。

 思えば,D800も一眼レフのその後の方向性を決定付けた記念碑的モデルでした。いきなりジャンプアップした3600万画素にD4から移植されたAF,しかし20万円台の価格と,その後の高画素モデルのあり方を決めたと言ってもいいと思います。

 その後,ライバルのESO5Dシリーズの価格が,性能アップと共に一気に上がり,40万円を越えるようになってしまい,完全にプロに軸足を置くようになりました。ニコンもこれに追従するのではないかと思っていたのですが,D810についていえば,それはなかったと言えます。

 でも,D850の噂が聞こえてそのスペックがわかってくると,これはもプロを相手にしたカメラだな,きっとD800系が担っていたハイアマチュアは,もう1ランクしたのカメラをあてがうつもりだなと,そんな風に感じてしまい,自分の世界から外に追い出していたのでした。

 そこへ,昨日の発表です。

 36万円なら,なんとかなるんじゃないか・・・今なら発売日に手に入る・・・とりあえず予約だけはしておこう・・・

 気が付いたら,D800を買ったカメラ屋さんに,電話で予約を済ませていました。

 D800を購入したのが2012年の6月頃。あっという間に大きくなるこの時期の子供を,可能な限りの高画質で残しておきたいと,思い切って買ったものでしたが,5年を経過した現在においても,D800の画素数や画質には不満はありません。むしろ手に馴染み,クセも分かったD800は,買い換える理由を見つけられません。

 しかし,D800に対する不満や,我慢をしていることがないわけではなく,それはやはり連写速度とAFの性能,そして高感度性能でした。

 D2Hと併用すれば,大昔の失敗機のシャッターの機敏さと心地よさにD800が色褪せて見えます。単純な連写枚数ではなく,高速連写を実現するために鍛えた筋肉と骨格が持つ,ゆとりと軽快感が欲しいのです。

 AFも当時は最高性能であり,今も十分なものを持っていますが,さすがに撮影や構図に集中出来るかといえばそれは難しいです。

 そして高感度性能。ノイズがの多い少ないなんてのはもう昔の議論であり,ノイズが気にならない範囲での,発色の良さとダイナミックレンジの広さがどれくらい維持されるかが重要です。D800は,ISO800くらいが劣化のない範囲であり,ISO3200は限界ギリギリでした。

 それらが,一気に解決します。約4600万画素という強烈な画素数で最大9コマ/秒です。ブレを押さえるためのシャッターカウンターバランサーの搭載まで搭載し,強靱なバネとしなやかさを兼ね備えた,まるでバレエダンサーのようなメカに,おそらく私の脳みそはアドレナリンをドパドパ出す事でしょう。

 ソニーが撮像素子の歴史を塗り替え,人類が後世に残す画像に新しい基準を作った裏面照射CMOSセンサは高感度と高速性を両立し,これもおそらく高感度時の画質を高い次元で維持していることでしょう。

 また,これまで撮影サイズで変化していた連写速度が,フルサイズでもAPS-Cでも変化しないことにも注目です。もはや,連写速度は,画像データの転送速度によって制約されるのではないと言うことなのです。

 AFはD5からの移植ですが,測距点をただ増やしても面倒なだけ,しかし増やした測距点をデータ収集拠点と考えたニコンは本当に偉いです。複数の測距点をまとめて,AF性能を高めると言う発想は強烈です。

 AEも,一点の明るさ,多点の明るさ,やがて色まで判断するようになりましたが,すでに初期のテレビカメラと同じ画素数をもつ18万画素のAEセンサは,とうとう画像そのものを判断するようになりました。

 これに加えて,私は冷静に,もしかすると,ニコンの長い歴史の中で,ミラーボックスを持ついわゆる「一眼レフレックス」が,このモデルで終焉を迎えるのではないかと,そんな風に思っています。

 すでにデジタルカメラになることで,光学ファインダーが必須ではなくなっています。電気的に解決しないといけない問題が多く,俗に言うミラーレスカメラがまだまだ光学ファインダーを持つカメラに追いつかなかったのですが,それももう昔の話です。

 一般撮影に限って言えばすでに光学ファインダーでなくても構わないくらいに電子ファインダーの性能は改善されており,一方で電子ファインダーのもつ素晴らしいメリットが,カメラをより魅力的なものにしています。

 ニコンも本格的なミラーレスの開発を宣言しており,フィルムカメラをデジカルカメラが置き換わったように,実は一眼レフがミラーレスに置き換わることの真実味を,ニコンがイメージし始めたのではないかと思うのです。

 そんな矢先に出たD850を見ていると,出し惜しみ無しで,今一眼レフに搭載出来るものをすべて盛り込んだものと,私には見えます。それはまるで,F5に対するF100のようです。

 そう考えると,D850は,価格と性能という単純な軸のみで考えるべきではなく,私が長く親しんできた一眼レフの1つの頂点であると見えてきます。

 単なる記念碑的モデルではなく,実用モデル,あるいは戦闘用モデルとしての最強一眼レフは,もしかするとD850で終わりになるのかも,知れません。

 なら,やはり欲しい。

 9月8日が,とても楽しみです。



amazonで買える部品だけでケルビンクリップを作ってみる

  • 2017/08/21 13:57

 このところ,技術的な検討に消極的な状況が続いていて,どうも知的好奇心の薄い毎日を送っています。

 相変わらず家事と子育てにバタバタしていることには変わりはないのですが,仕事も昨年比べると忙しくなっているのは事実ですし,子育てについても子供の急激な成長にその意味合いも内容も変化が大きく,否が応でもその興味が子供に向いてしまうものです。

 今日が昨日と変わらず,明日が今日と変わらないことを何より価値のあるものと考える大人としても,毎日必ずどこかに変化のある子供と時間の許す限り一緒に過ごすことを,今日と同じ一日は二度とやってこないという強迫観念のみならず,純粋に子供の話を聞いていると面白いわけで,すでに私の時間は目一杯になっているというのが,今の生活だとつくづく思います。

 まあ,こういう趣味や興味に関する波というのは往々にしてあるもので,数年周期でカメラ,電子工作,オーディオ,楽器,模型,という具合にグルグル回るものですが,不思議とどれにも没頭していない状態というのは,ちょっと珍しいかも知れません。

 そんな中でも,夏休みに工作をしないというのは,私の人生ではあり得ません。小学校の頃から続いている習慣ですし,なにより夏休みにと言うだけで,自然に工作したくなるものです。

 今年は,懸案だった「ケルビンクリップ」を作る事にしました。

 ケルビンクリップというのが正しいのかどうか自信がないのですが,ほら,4端子法による抵抗測定に使う,あのクリップにリードが付いているやつです。

 私の持っているマルチメータ,HP34401AやDL2050には,4端子法による抵抗測定機能があります。これを使えば,特に低い抵抗での測定誤差を小さくすることが出来ます。

 オームの法則はE=IRで,電圧と電流を測定すれば抵抗がわかります。テスターで抵抗を測定する機能はこれを利用しているわけです。

 2端子法というこの方法は,電圧計と電流計の内部抵抗の影響がどうしても出てしまいますし,リード線が持つ抵抗も測定誤差の原因になります。

 それでも,1kΩとか10kΩといった抵抗なら影響は小さいですが,これが1Ω以下の抵抗を測定したり,100Ωで0.5%の誤差を考慮しないければならない場合などでは,無視できなくなってしまうわけです。

 そこで,かのケルビン卿が考えたと言われている方式が,4端子法です。

 測定したい抵抗に直列に電流計を入れて,電源を繋ぎます。当然電流が流れるわけですが,ここで電圧計を繋ぐ場所を,抵抗の両端にします。電流計が繋がる端子が2つ,電圧計が繋がる端子が2つで4端子法と言われます。

 どうしてこれで正確な抵抗が測定出来るかを考えてみましょう。

 まず電流です。電流計は直列に入れるものですから,どこに挟まっていても同じ値を示します。もちろん,リード線に抵抗があれば電流も変わってしまいます。

 しかし,思い出して欲しいのは,先程電圧を測定したのは,まさに測定したい抵抗の両端だったということです。リード線の抵抗の両端の電圧はここには含まれませんから,電流計のリード線の抵抗がどれだけあっても,関係ないのです。

 電圧計のリード線の抵抗は無視できないだろうという声が聞こえてきそうですが,これも心配ご無用。電圧計の内部抵抗が極めて大きい場合,電圧計と,電圧計に繋がっているリード線にはほとんど電流は流れません。

 電流が流れないという事は,リード線の抵抗がどんな大きさであっても,電圧計の値には影響がないということですから,こちらもリード線の抵抗がどれだけえあっても,関係ないのです。

 見事にリード線の影響を無視できる測定系が完成しました。すごいですね。

 しかし,これには結構重要なポイントがあります。電流を流す端子と,電圧を測定する端子は,共用されていてはいけないのです。

 共用されれば,共用された場所に大きな電流が流れてしまい,ここで起きる電圧降下によって電圧の値に誤差が出ます。

 ですから,電流を流すミノムシクリップに接触しないように,かつできるだけ知覚に,電圧を測定するミノムシクリップを取り付けないといけないのです。これって,なかなか難しいです。

 そこで,専用のクリップが作られました。これがケルビンクリップです。

 洗濯ばさみのような大きなクリップの先端は,上と下に別々の金属で作られています。閉じれば接触していますが,開けば接触していませんので,絶縁されています。

 そして,上側と下側に,電圧計と電流を流す回路とを繋げておきます。これを2つ作り,測定したい抵抗を挟みます。

 そうすると,上側と下側は直接接触せず,それぞれ抵抗の足に接触するだけです。接触せず,できるだけ近くという難しい問題を,挟むだけで解決してしまうんですから,なんとまあアイデア商品なことでしょうか。

 ところがこれ,測定器メーカーから出ている完成品は結構なお値段がします。数千円から数万円と,さすがに手が出ません。それに,もともとmΩやμΩといったオーダーの超低抵抗を測定する専用の測定器を前提にした物だったりするので,実に真面目に作られています。

 マルチメータの機能ですから,そこまでの低抵抗を測定する力はそもそもありませんし,そんなにおかねのかかったケルビンクリップを買うのも,出番が少ないだけにバカバカしいです。そこで私は昨年,ミノムシクリップのついた普通のリード線を4本用意し,これを使って4端子法による抵抗測定をやってその場しのぎをしました。

 これでもそれなりに意味があったわけですが,何せ手間がかかります。そこで機会があったらケルビンクリップを自作しようと思っていたのです。

 今回はサブテーマとして,amazonから調達可能な部品で作る,というのも加えてみました。最近のamazonは,こうした特殊な部品も入手出来るようになってきました。

 まず,クリップ本体です。ただのでかいワニグチクリップを買うと泣きを見ますので,慎重にケルビンクリップを探します。すると2個セットで777円のものが見つかりました。安い。

 次にバナナプラグです。BNCコネクタではなく,あくまで34401Aに繋ぐバナナプラグが必要で,4つ使います。これがなかなかいいものがありません。スピーカーの端子としてよく使われている関係もあり,オーディオ用のものはあるのですが,普通のものはどうも安価に買えません。

 そんなとき,テスターリードが150円ほどで売られていることに気が付きました。これを2つ買えば,バナナプラグ付きのリード線が300円で手に入ります。

 合計で1000円ほどの材料費で,4端子法のケルビンクリップの材料が揃いました。

 ケルビンクリップははるばる中国から郵便で届きました。テスターリードは国内の業者から届きましたが,いずれも問題なし。

 早速作って見ます。テスターリードの先端を切り取り,ケーブルの皮を剥いてはんだめっきをします。そしてケルビンクリップにハンダ付け。たったこれだけです。

 早速試してみましょう。100Ω程度の抵抗でも,2端子法と4端子法では誤差の出方が違います。概ね0.3Ωくらいの測定差が出るようで,これは結構大きいですね。

 ということで,あっけなく完成したケルビンプローブ。これで超高精度な抵抗測定が出来ると喜んでいたのですが,冷静に考えるとそもそものマルチメータの精度がどれくらい出ているかを考えないといけません。

 DL2050と34401Aでは,4端子法による測定値にも差があります。その差は2端子法と4端子法の差以上のものです。これでは,4端子法を使う以前の問題です。

 一応,電圧リファレンスによる精度確認で34401Aの方が高精度であることが分かっているので,こちらを信用することになると思いますが,まさに測定器というのは底なし沼です。追い込んでも追い込んでも,納得出来ません。ああ恐ろしい。

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