EPSONタイマー
- 2014/05/21 10:19
- カテゴリー:マニアックなおはなし
私が現在使っているプリンタが,EPSONのPM-G850です。
随分古いプリンタで,インク代だけで随分EPSONさんを儲けさせてしまったと思っているわけですが,ちょうどこの機種の世代,インクカードリッジで言えば50シリーズあたりで,画質向上などプリンタ本来の性能アップが収束し,複合機の時代がやってきました。
ですから,PM-G850から買い換えを行っても,印刷,とりわけ写真印刷という用途から見て,それ程メリットがないというのがとても残念な所で,この骨董品をしぶとく使い続けている理由になっています。
コストは別にして,画質そのものはほぼ満足出来るレベルであり,性能向上が著しいデジカメやレンズの違いを印刷結果に表現出来るだけのものを持っていますし,カラーマッチングや明るさの調整を追い込んでこなれているだけに,むしろ積極的にこの機種を使い続けていたいと思っています。
もっとも,プロ用,あるいはセミプロ用に用意された,写真印刷用のプリンタはさらに高画質ですし,大きな紙に印刷できます。こういうものは長く使われるので,サポート面も心配は少ないでしょう。しかし,これらは高価です。現行機種の発売時期が比較的古いことも気になります。
ついでにいうと,このプリンタを買ったときには,すったもんだがありました。同梱インクの不良で動かなかったんですが,初期不良交換を拒否した販売店と交渉中にその販売店が倒産しており,もし不良品を送り返していたら代品が届くことなく,私はこの騒動の被害者になっていただろうと思います。
以後は特に大きな故障もなく,「写真は紙に焼いて完成」というポリシーを貫くための道具として,度重なる引っ越しにもめげずに付き従ってくれました。
ですが,おそるべしEPSON。
生みの親であるEPSONは,プリンタに自爆装置を取り付け,我々の意志に関係なく,二人の関係を破壊しようとしたのです。
といいますのも,EPSONのプリンタには,廃インクパッドなるものが内蔵されており,これがいっぱいになると交換の必要があるのですが,その警告が出ると,もう動かなくなってしまうのです。
実際に廃インクパッドの状態を監視しているわけではなく,印刷枚数や稼働時間というものから間接的に警告を出していると思うのですが,厄介なのかここからです。
交換しろとメッセージ出ただけなら,インクカートリッジのごとく交換すれば良いだけの話ですが,問題はユーザーが手元で交換出来るわけではなく,メーカーに修理依頼をすることで交換されるようになっていることです。
交換費用は4000円ほどと言いますから,別に法外なものではありません。
いやいや,あわてず聞いて下さい。修理扱いですから,その部品は製造終了後6年間は用意されますが,その後は部品が確保されていない場合が多く,そうなると修理不可能になってしまうのです。
事実,PM-G850の廃インクパッドは部品が払拭しており,交換は出来なくなっているそうです。
必ず交換が必要となる消耗品で,交換しないと動かなくしてしまうようなきついロックをかけておきながら,その部品が他の部品と同じくらいの間しか供給されないなんて,あまりにひどいと思いませんか。
かりにも,ユーザーの所有物ですよ。それを勝手に動かないようにしておきながら,それを解除する方法は現在提供していません,なんて,勝手な話にも程があります。
私には「もっと生きたかった」という,彼女の力なきつぶやきが聞こえました。そこには,もっと働きたいという無念さと,自分を生んでくれた親が自らに課した仕打ちに対する絶望が,滲み出ていました。
考えてみて下さい。
今でこそ,50シリーズのインクカートリッジはどこでも買うことが出来ます。しかし,EPSONとしては,いつまでこのインクを消耗品として供給し続けないといけないのでしょうか。古いインクを現行品として作って売り続けるのは負担も大きく,さりとてユーザーがいるのにインクが買えないというのは,社会的責任上そうそう許されるものではありません。
望ましいのは,ユーザーが減り,インクが売れなくなって,それを理由に生産中止にすることです。でも,どうやってユーザーを減らすのか。私のように画質や性能に不足を感じない人を,どうやって新機種に誘導するのか。中には10年も20年も使い続ける人がいるんじゃなかろうか。
EPSONは,ここでやってはならないことをしました。使える時間を決めてしまったのです。いわば,このプリンタを「レンタル」にしたのです。
でも,表だって動かなくしてしまうのは問題です。そこで消耗品の交換時期が来たらs動作を止めるようにしておき,しかしその消耗品の供給を断ってしまったのです。そうすれば,稼働するプリンタは確実に減っていき,インクカートリッジの供給を止めても問題にならなくなります。
こんな馬鹿な話がありますか。いくらなんでもやりすぎです。
こんな消費者を小馬鹿にした話が事実であるはずがないと思っていたところ,随分昔から行われている事だと,知りました。そして,この横暴に果敢に挑んだ勇者が世界中にいることも,知りました。
やるべき事は2つ。1つは動作のロックを解除すること。もう1つはいっぱいになっているであろう廃インクパッドを交換することです。
まず,ロックの解除は,廃インクパッドの寿命を決めている印刷枚数のカウンタをリセットすることで可能になります。他機種ではツールが配布されていましたが,PM-G850には未対応らしく,他のツールを探し出し,試行錯誤を繰り返したところ,なんとかリセットが出来ました。
そのツールは,他機種では自動でリセットが出来るようになっているのですが,PM-G850の対応版は手動で行わねばならず,ちょっと手間になりますが問題はありません。
電源を入れ直せば,何事もなかったように動くようになりました。
まずは成功。次に廃インクパッドを交換する作業です。これはなかなか大変でした。PM-G850のサービスマニュアルを見ながら,交換する部品がどんなもので,どうやって交換するかをよく見ておきます。
1つは向かって右端にある,繊維を詰め込んだ白い箱です。ここはおそらく,ヘッドの掃除を行った時に出る廃インクを吸収しているのでしょう。私の場合,3/4ほど染み込んでいました。
もう1つがややこしいのですが,縁なし印刷を行うときに出る廃インクで,これはプリンタメカの下,ちょうどプリンタのヘッドが走る部分の真下にあります。私の場合,右側のパッドがほぼ満タンになっていました。
さて,交換です。一応消耗品なんだし簡単に交換出来るようになっているだろうと思っていたのですが,それは間違いでした。再調整が必要になるプリンタメカの分解こそ必要はありませんが,メカ全体を筐体から完全に取り外してしまわないとアクセス出来ない場所に廃インクパッドがあるので,かなり深い部分まで分解する必要がありました。
分解したところで,交換するパッドがないと駄目ですよね。私の場合,嫁さんが大量に買いだめをしたキッチンタオルを分けてもらって,これを切って重ねて作りました。
脱脂綿は油が残っており,実は水をあまり吸い込みません。自動車のオイル交換に使う処理箱を使うという手もありますが,これもわざわざ買いに行かないと行けません。
その点,このキッチンタオルは優秀です。紙と言うより繊維で,よく水を吸い,フカフカしていて,しかも水を吸った後にボロボロのなったりしません。
手を汚しながら,大きさを揃えて切り出し,重ねてはめ込みます。案外簡単に交換が終わり,元のように組み立てます。
途中でPCにつなぎ,動作を確認します。ヘッドを動かして作業をしていたので目詰まりがあるかと思っていましたがそれもなく,クリーニングをしてやれば元通りです。
さて,ここからが私らしいのですが,ビスを締めているときに,ぽろっと内部に落ちてしまいました。取り出そうと揺すっていると,なにやらバネも一緒にポロッと出てきてしまったのです。
どっかから外れたのならわかるのですが,なにぶんビスと一緒に出てきたバネです。元々どこについていたのかさっぱりわかりません。ぱっとそれらしい場所を探しましたが見当たらず,結局これは取り付けないままにしました。それでも動いているので,まあいいことにしましょう。
ということで,PM-G850はまた動き出しました。次に廃インクパッドを交換することはさすがにないと思います。前述のように廃インクパッドの交換時期がきたことを示す警告のせいで,プリンタを使っている人は買い換えをして,このプリンタ用のインクは売れなくなりますし,使わない人は警告こそ出ませんが,そもそもこういう人はインクを買いませんし,買えなくなっても困りません。
故に,インクが供給される時期は,案外短いはずです。サードパーティの互換インクという手はありますが,色も耐久性も,本体への影響度も変わって来ますから,話はそんなに簡単ではありません。
ということで,次はEPSONをやめようと思います。性能とか値段とか,そういう問題ではありません。気に入ったもの,私にとって良い結果が得られるものを,こんな方法で採り上げてしまう,その横暴さが許せないからです。わかっていたら。EPSONのプリンタなんて,最初から選びません。