54645Dが壊れていた~CH2のトリガが復活!編
- 2017/04/20 10:28
- カテゴリー:make:
CH2のトリガがかからない原因が,チャネルごとに用意されたトリガ用の高速コンパレータの不良と判明した私のHP54645D。しかし,その高速コンパレータSPT9687が入手できず,修理まで到達出来ない・・・
様々な作戦を考えたうち,セカンドソースか互換品を探してみた結果,ちょっとスペックが落ちるが現行品のAD96687が入手可能であり,しかもdigikeyに在庫まであるとわかって早速注文したところまでが,これまでのあらすじです。
digikeyの利用はこれで2回目なのですが,前回も超高速で届けてくれて,本当にアメリカから飛んできているのかと疑ったほどです。誰に聞いてもdigikeyでトラブったとか,遅くなって困ったという話を聞かないので,値段,在庫,スピードも最高で,しかも信頼性も抜群という,完璧超人な電子部品店が,このdigikeyです。
勘違いしたらだめだと思うのは,そのdigikeyもプロ相手の商売が軸だという事です。我々アマチュアは,そうしたプロのためのインフラに相乗りさせてもらえるから,こんなに素晴らしいサービスにあやかることが出来ていると,ちょっと自虐的に言い切ってしまいましょう。
これが他の業者だと,プロとだけ(つまり法人としか相手をしない)しか商売をしないケースがほとんどなわけで,digikeyは寛容にも個人に対し,プロと同じだけのサービスを提供してくれているんだから,うれしいじゃないですか。
秋月なんかも似たようなものなんですが,秋月の場合プロとアマチュアを区別していないというのが正解なような気がしていて,そのかわり秋月にとっては個人か法人かではなく,数が多いか少ないかを問題にしているように思います。
ともあれAD96687を在庫していて,最短で2日で届くというのですから,前回書いたように,頼んでみたわけです。
4月17日のお昼頃に注文し,その日の23時半頃に出荷の連絡が来ました。4月19日中に届くという予定です。早いですね。現地との時差が14時間あるので,半日得をするわけです。
その後は順調にUPSのステータスが更新され,ミネソタからケンタッキー,そしてアンカレジと通過し,成田に到着したのは4月19日の昼前です。前回はここから16時前に自宅まで持ってきてくれました。
自宅で待っていたのですが,UPSのステータスがなかなか更新されません。そう,成田から出て行かず,配送車で配達中になってくれないのです。
まあ,そもそもアメリカからの電子部品が中1日で届く方がおかしいわけで,その間に想像を超える多くの人の手に渡り,関門を抜けて私の所までくるのですから,そのどこか1つでミスがあれば,こんな短時間では届きません。そういうこともあるわな,くらいの寛容な気持ちでいようと思っていました。
呼び鈴がなります。嫁さんが娘の洋服を買ったものが4月19日の夕方の便で届くようにしてあったので,これが届いたのだろうと出てみると,なんとヤマトがdigikeyの荷物も持ってきてくれました。
つまり,UPSは成田から自社での配送をせず,提携先のヤマト運輸に委託したんですね。そのけっかUPSのステータスは更新されず,私の荷物は成田にとどまっているように見えたわけです。
結果オーライ。検品も終わり,希望していた部品が届いたことを確認できたら,早速修理を開始です。
問題となっているSPT9687を外し,届いたばかりのAD96687に交換です。作業そのものはとても簡単で,5分ほどで終了です。
ファンクションジェネレータの出力を分岐してCH1とCH2につなぎ,54645Dの電源を入れます。うーん,画面に輝線が出ないのでびびりましたが,ちょっと操作をすると問題なくCH1でもCH2でもトリガがかかって,ピタッと波形がとまります。
よし,修理はとりあえず出来た。
しかし,あまり感動はありません。SPT9687とAD96687は異なる仕様の部品であり,CH2でトリガがかかったとはいえ,測定器として使い物になるのかどうかは,別の問題だからです。
設定したトリガレベルに達してから実際にトリガかかるまでの時間にズレが出ることが予測されたので,それを測定しようと試み,2kHzの矩形波を5ns/divで重ねて表示をし,CH1とCH2を同じトリガレベルに設定して,0Vを横切る時間差を見る事にしました。
結果は,400psほどのズレがあるということになりました。SPT9687とAD96687の遅延のスペックは,前者が2.3ns以内,後者が2.5ns以内ですので,200ps位の差なら許せるのですが,ちょっと大きいです。
これは生きているCH1のSPT9687もAD96687に交換して揃えた方がいいかもと思い立ちました。散々まよったのですが,しないで後悔する方がよくないと思い,CH1もAD96687に交換しました。
パターンを1つ剥がしてしまい,あわてて修復しながら交換。これで壊してしまったら目も当てられません。
幸い動作はしたのですが,遅延差は拡大し,800psまで大きくなってしまいました。1ns近くの差があるというのは悲しいものがあります。
そこで,自己校正をかけてみることにしました。これまでCH2が壊れていたので最後まで進まず,Failで止まってしまったのですが,今回はきっとうまくいくでしょう。ひょっとすると,この校正でトリガの時間差も修正されるかも知れません。
ドキドキしながら自己校正をかけます。数分後無事に通り(この時はちょっと感動した),遅延時間をチェックします。
残念ながら,時間差は変わりません。
まあ,こんなもんかなあと思ったのですが,よく見ると波高値も違っていますし,左右の波形の時間軸のズレ(スキュー)も大きいようです。スキューは引き算をすれば済むと思っていたのですが,波高値が変わってしまうとトリガレベルも変わってくるので,かなり面倒です。
波高値の差はプリアンプの誤差かも知れませんし,もう少し調べて見ないとわかりません。どっちにしても,今トリガのかかる時間がずれることに一喜一憂することはやめた方が良さそうです。
ということで,CH2でトリガがかかるようになり,自己校正も通るようになるところまで確認して,この日の作業は終了。あとは気になっているフロントパネルの爪が折れてブカブカしていることの対策をすること,あとはケースを閉じて1時間ほど通電して再度の校正をかける事,そして最終的な性能の確認をすることを,ゴールとしましょう。
中途半端な状態ではありますが,改めて54645Dを触ってみたのですが,やっぱりいいですね。心配していたトリガのキレもちゃんと維持されていますし,操作つまみのチャタリングも少なくっていて,快適な操作が出来ています。
見たい波形がどんどん見られることの面白さ,指が迷わない直感的な操作と,使って楽しいオシロスコープであることを再認識しました。
あともう少し調整と確認をして,主役の座に戻ってもらいましょう。
確かにまだすっきりしていないのですが,我ながらよく修理したなあと思います。以前も書きましたが,測定器を修理するにはそれなりのスキルが必要で,部品の手配も含めてよくもまあデジタルオシロを修理出来たものだと思います。
もちろん,測定器の修理に高い技術力が必要と言われるには,その校正作業も首里に含まれるからなのですが,動くようにするだけでもなかなか大変なのが測定器でもあります。ただ,測定器はある程度修理も考慮されているもので,民生品のように壊れたら買い換えという話ではないだけに,修理不可能で行き止まりにぶつかることは少ないように思います。
この話,もう少し続きます。