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2021年11月10日の記事は以下のとおりです。

ピクセルマッピングの世話になる

 先日,いつものようにZfcをいじっていたのですが,レンズキャップをしたままファインダーを覗き込むと,やや左下の真ん中辺に,赤い点が出ているのを見つけました。

 これだけ目立っているのですから,購入時にあれば気付くはず。これはきっと最近出てきたものでしょう

 通常撮影時にも目立たないとはいえ出ていますし,レンズを外しても出てくるものですので,これはボディ側の問題でしょう。

 点の出方からして違うだろうなと思いつつ,期待を込めてセンサ表面のホコリを疑い,ジャンボハリケーンで吹き飛ばそうとするも,点はピクリとも動きません。

 そうなると可能性は2つです。ファインダーのOLEDディスプレイのドット抜けか,撮像素子のドット抜けです。どっちも厄介な問題です。

 ちょっと話が逸れるのですが,LSIの製造の基本的な話として,膨大な数を作り込むLSIのトランジスタが,わずかに不良になることは避けられません。しかしウェハーから取れるLSIの数が大きければ,不良だったトランジスタが含まれるものを不良品として捨ててしまっても,他にたくさん良品が取れるので,不良率は下がります。

 LSIの面積が価格に影響する話であるとか,プロセスを進める事のメリットは歩留まりを上げることだと聞いたことがあると思いますが,これが理由です。

 で,撮像素子のCMOSセンサは言うまでもなく,OLEDのディスプレイもLSIの製造と仕組みとしては変わりません,これらは面で表示や撮像を行いますから,面積を小さくすることは出来ませんので,歩留まりの悪化は避けられません。

 もし不良のピクセルが全くないものだけを出荷していたら,良品が取れなくなってしまうので数も揃いませんし,価格も無茶苦茶あがります。これは誰も幸せになりませんから,1つ2つのピクセルが不良になっていても,それは良品として出荷してしまうようにしました。

 こうすると価格も下がり,数も揃います。なので,テレビでもデジカメで1つ2つのドット抜けがあっても,メーカーは不良品として交換に応じないわけです。

 厄介なのは,初期の段階で台上だったものが,経年変化で少しずつ不良のドットが増えてしまうことです。こうした長期信頼性の問題は,もちろんメーカーとしても加速試験などである程度信頼出来る方法で試験を行って見極めるのですが,未来の話ですからね,実際に時間が経過しないとわからないものです。

 これを,いちいち交換だ修理だとやっているとお金がかかって仕方がないので,ある程度の不良は「不良ではない」という対応を取って,なんとか価格とバランスさせてると考えるべきでしょう。

 とはいえ,実際ドット抜けは本当に少なくなりました。1990年代初期のTFTのLCDなど,10インチでも2,3個の抜けがあるのは当たり前でしたし,10個並べてみれば10個とも抜けた数も場所も違うのが当たり前でした。

 さて,静止画を撮像するCMOSセンサでも同じようにドット抜けがあるわけですが,これもいちいち不良だ修理だ交換だとやっていたら,ただでさえ高価なセンサがますます高価になってしまい,商売になりません。

 そもそも,センサの1ピクセルはRGBのどれか1色の情報しか得ることが出来ず,そのピクセルの色は,自分の色1つと周囲のピクセルの色を使って計算で求めたものです。だから,他のピクセルの情報を使って元の情報と違わないものが得られるなら,すべてのピクセルが正常な値を吐き出す必要もありません。

 もちろん,それも限度があって,計算で情報を再現出来ないほどに不良ピクセルが増えてしまうとマズいのですが,それはメーカーごとに基準を設けていますので,我々エンドユーザーはそれを信じるしかありません。

 さて,私のこの「赤い点」は,CMOSセンサでしょうか,ファインダのOLEDでしょうか?

 あれこれいじっていると,「ピクセルマッピング」なるものをメニューに見つけました。うーん,ニコンのカメラを長く使っている私には,あまり馴染みのないメニュー項目です。

 これは,壊れてしまって抜けたピクセルを,周辺のピクセルの情報を使って補完する機能です。抜けたピクセルは記憶しておき,以後はそこからの情報を捨ててしまい,計算で求めたものを使うと言うことです。

 CMOSセンサのドット不良は,ずっと黒を吐き出すコールドピクセルと,ずっと白(あるいは特定の色)を吐き出すホットピクセルの2つがあります。

 どちらもその画素が正しい情報を吐き出さないわけですから,隣接するピクセルの色や明るさによっては目立ってしまうと思います。しかし,これをゼロにする,そしてその先ずっとゼロを維持し続ける事は先に説明した通りお金がかかりますし,数を揃えることも出来ません。

 そこで,機能しなくなったピクセルを登録しておき,そのピクセルの情報は周辺のピクセルの情報から演算で求めることにします。これがピクセルマッピングです。

 ピクセルマッピングはいわばごまかしですし,悪くいえば捏造だと思うかも知れません。厳密にはそうかも知れませんが,あるピクセルと,その周辺のピクセルとの間には強い相関関係があることが数学的に分かっていて,完全ではないとしても,ほぼ完全にその情報を再現出来ることを,我々は知っておく必要があります。
 
 こうしたエラーの訂正や補完の技術というのは,フラッシュメモリのセルのエラーによる訂正や置き換え,通信経路で発生したエラーの訂正,CDやDVDのキズによる読み出しエラーの訂正や補完でも使われています。

 私は正確な数式はCDのケースしか知らないのですが,CDの場合はエラー訂正が可能な範囲,補完が可能な範囲,それも無理でノイズになってしまう範囲が数学的にきちんと分かっていて,完全にあてにならないものとそうでないものを分けて扱う事が出来ています。だから我々エンドユーザーは,今出ている音が偽物かもしれない,などと疑心暗鬼になることなく,音楽を愉しむことが出来ているわけですね。

 CMOSセンサも同じ事だと思います。そもそも,現在のベイヤー配列の撮像素子は前述のようにピクセル単位ではRGBのどれか1つの色情報しか持ちません。周辺のピクセルから足りない2つの色を計算で求めていて,それを我々は「高画質だ」とありがたがっているわけですから,ピクセルマッピングを許せないという話は,私にはナンセンスに思えます。

 ということで,もしかするとと,メニューにあったピクセルマッピングを選んでみました。数分待たされ,終わってからファインダーを覗き込むとあら不思議,見事に「赤い点」が消えています。

 この赤い点はCMOSセンサの問題で,ディスプレイではなかったのです。そしてピクセルマッピングによって解消したのでした。めでたしめでたし。

 いやー,助かった。これで解決してよかったよかったと喜んでいたのですが,他のカメラもやっておこうと思うのはこれ人情というもの。愛機D850を始め,いくつかあるデジカメは,皆Zfcよりも古いです。

 早速ピクセルマッピングを行おうとしたのですが,メニューにピクセルマッピングが見当たりません。D850もD300もGRもありません。うーん,ないものは仕方がない。

 調べてみると,もともとニコンはピクセルマッピングをユーザーに公開していなかったようです。Z6もZ7にも搭載されておらず,Z6II,Z7IIになってから可能になったとあります。(持っていないので本当の所はわかりません)

 ならD850にないことも理解出来ます。なら,ホットピクセルはどうやって直せばいいのか?

 サービスセンターに持っていくと,昔は1000円でやってくれたという記述を見つけました。今はもっと高いそうですが,手段がないわけではなく,ユーザーにやらせなかったという話のようです。

 それだけ危険で,リスクを伴い,頻繁に行うようなものでも,すべての人が必要とするものでもない,という判断からサービス対応となったのだろうと思いますが,このピクセルマッピングという機能はオリンパスが先鞭をつけたものであるらしいこともわかりました。うっすらと,かつて使っていたE-20にはそんなメニュー項目があったような気が・・・

 他の会社については,機種にもよるのですが,センサクリーニングを行うとピクセルマッピングが自動的に行われるという記述も見ました。

 ということで,メーカーとしてはあまり積極的に使って欲しいものではないようです。でも,ホットピクセルが手元で直せたらうれしいですよね。

 そんなピクセルマッピングですが,この機能を一度実行すると,実行前の状態には戻せません。戻す人もいないと思いますが,最初の状態を残さなかった私のような人が,実行前に戻って比較をやろうと思っても手段はありません。

 ホットピクセルやコールドピクセルは,長年使っていれば,発生してしまっても不思議ではありません。センサの交換には大きな費用もかかりますし,交換後にまたホットピクセルが出ることも大いにあります。

 そう考えると,画質に極端な低下を引き起こさないのであれば,ピクセルマッピングを使ってさっと解決するのが望ましいです。

 私が次に新しいカメラを買うことがあったら,ピクセルマッピングの有無を調べて買おうと思います。

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