PC-386 Book Lの復活劇 その5 ~コンパクトフラッシュを内蔵
- 2022/09/16 08:51
- カテゴリー:マニアックなおはなし
PC-386 Book Lは過渡期のマシンだと言えます。この後可搬型のPCはノート型に急速に進化していき,PC-386 Book Lのようなラップトップ型は死滅します。
ノート型は高速なCPUと大容量メモリ&ストレージを持つようになり,しかも軽く小さく薄く,長時間稼働に耐えるようになっていきますが,ラップトップ型はキーボードとディスプレイが一体化したオールインワンモデルという意味合い以上のものを持たず,唯一のアドバンテージだった拡張スロットによる拡張性も肝心の拡張カードがほとんど入手出来ないという事情から,存在価値を失っていくわけです。
その後,PC-CardやCardBusの登場によって拡張スロットの問題も解決,しかし最終的にはUSBによってそれらも消えてしまいます。
PC-386 Book Lが過渡期と思うのは,メモリもストレージも内蔵出来ること,拡張スロットを持つこと,CPUはギリギリ32ビットということで,なんとかラップトップ型の意地を見せて,まだまだ制約の大きかったノート型に一矢報いたと感じるからでしょうか。
しかしそれも1年ほどで価値を失い,マイナーモデルとなるわけです。
そんな状態ですから,内蔵可能と言ってもメモリもストレージも現在ではほとんど入手不可能。30年前でもメモリは純正しかなかったですし,とても高価でしたから今手に入る可能性はほぼゼロでしょう。
いろいろ調べていると,PC-386 Book LのHDDはIDEであることがわかりました。この頃のPC-9800シリーズはIDEのHDDを正式にサポートしておらず,あくまで小型の必要性の高いノート型の内蔵HDDとして特殊な方法で使われていたに過ぎません。
PC-386 Book Lもその流れでIDEのHDDを内蔵することになっていますが,幸いなことにピン配置もIDEそのままです。BIOSの制約があるので容量は最大40MBですが,それでもないよりずっとましです。
でも,こんな小容量のHDDなんかもう絶望的です。そこで閃いたのがコンパクトフラッシュです。
コンパクトフラッシュはIDEモードを持っており,このモードに入ってしまえばあとはIDEのHDDとして振る舞ってくれます。それこそ20年前の128MBや256MBのコンパクトフラッシュなど使い道もありませんので,これを使えば解決しそうです。
amazonで変換基板を探すと800円ほどで購入可能です。ちゃんと動くかどうかはわかりませんが,これでIDEのHDDとして認識してくれるならありがたいところです。
コンパクトフラッシュを手持ちから探してみると,32MB,128MB,256MBありました。マイクロドライブもありましたが,1GBと6GBという大きなものしかありませんでした。これらはさすがに認識してくれないでしょう。
早速PC-386 Book Lに取り付け改造をします。HDDコネクタを基板からはずし,そこから40ピンの標準のIDEケーブルを直接ハンダ付けしていきます。信号名をあわせるだけなので簡単です。
出来たら変換基板に接続,コンパクトフラッシュは32MBのものを差し込んでおきます。
ドキドキしながら電源を入れて起動します。とりあえず暴走はしません。フロッピーからちゃんと立ち上がります。
MS-DOSが起動したらformatコマンドでコンパクトフラッシュを認識しているかを確認すると,残念ながら認識していません。やっぱだめか・・・
いえいえ,まだ試すことがあります。変換基板のジャンパがMasterではなくSlaveになっていたのでMasterにしました。さらにメモリスイッチからHDDのセクタ容量を512バイトに設定して再起動です。
起動後formatコマンドで確認すると「固定ディスク」と出ています。おお,認識しました。
しかし,32MBで認識してくれるわけではなく,20MBで認識しています。これは厳しいですね。そこで128MBに交換して再起動するのですが,あいにく起動しなくなりました。コンパクトフラッシュを見に行ったと時に止まってしまっているようです。
それならと256MB試してみるとあっさり再起動成功。40MBのHDDとして認識しています。BIOSの制限ですから解除できるかも知れないのですが,面倒なのでもういいです。
128MBのコンパクトフラッシュはフォーマットを別のマシンでやり直したりしましたがどうもだめで,これもあきらめました。
ということで,DOSだと40MBでも十分広いですし,高速で快適ですね。そういえば生まれて初めて使ったHDDが40MBだったなあ。
かつて私が使っていたPC-98RLのHDDの中身を保存してあったのですが,これを一部書き戻して,懐かしのMS-DOS環境が目の前に現れると,ちょっと感動するものがあります。
40MBですが十分な広さですし,ちょっとしたことになら今でも使えそうな感じがするくらい手に馴染んでいます。唯一プロテクトメモリが未搭載なのでUMBを駆使してコンベンショナルメモリを確保することが出来ないのですが,メモリを食うデバイスドライバ(日本語FEPですね)を外しておけば問題なし。
この段階でちょっとしたデスクトップ機なみのマシンが完成しました。
しかし,案外EPSON機というのはなにかと制限があるんですね。EPSONのユーザーはこんな面倒に耐えていたのかと今さら驚くばかりです。DOS版のN88-BASICが動かないなんて,みんな当時はどうやって解決していたんですかねえ。