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2022年12月12日の記事は以下のとおりです。

KT-1100Dを久々に調整する

 うちのFMチューナー,ケンウッドのKT-1100Dは,以前入手した時にセパレーションが機内温度と共に変動してしまい,故障なのか仕様なのかを判断するためにもう一台入手し,結局現在2台所有することになってしまっています。

 結局この時は2台目もセパレーションが同じように変動することがわかり,仕様として割り切ったという結論になったのですが,問題は2台目が故障していたことです。

 完動品という触れ込みで入手しましたが,検波コイルに内蔵された温度補償用のコンデンサが壊れるという持病でチューニングがズレるという問題を抱えていました。

 結局同等品のコンデンサに交換することで完調となった2台目のKT-1100Dですが,出番はなくずっと押し入れで眠っていたのです。

 しかし,ふとしたことから友人に使ってもらうことになり,動作確認と再調整のために6年ぶりに引っ張り出したというわけです。

 SSGや歪率計も数年ぶりに電源を入れますので心配でしたが,これらは今でも問題なく動いてくれました。ケーブル類が断線してたりして手間取りましたし,調整の手順も忘れており,時間がかかってしまいました。しかしかなりいい仕上がりになったと思います。

 忘れないように調整手順を書いておこうと思います。すでにFMチューナーの修理と調整には有名なサイトが存在し,私もそこで勉強させて頂きましたが,複数あるサイトで数値や順番が一致していなかったり,頼りになるはずのサービスマニュアルが案外使い物にならなかったりということもあり,自分用に調整手順を作らざるを得ませんでした。


(0)準備を念入りにする。KT-1100DはFMモード,IF BANDはWIDE,RF SELECTORはDISTANCE,TUNINGモードはAUTO,REC CALはOFF,PROGRAMはOFF,そしてQUIETING CONTROLはNORMALとして右端に。

(1)まずバリキャップ電圧の調整。アンテナを外し,TP6とTP7に電圧計を繋ぐ。76MHzで3.0V±0.1Vになるようにメイン基板上のL14を調整。

(2)次に90MHzで25V±0.1Vになるようにメイン基板上のTC1を調整し,(1)と(2)を何度か繰り返して追い込む。

(3)次は検波の調整。83MHz,80dB,無変調を受信し,TO10とTP11に電圧計を繋ぐ。0V±10mVになるようにDET基板上のL9を調整。L9内蔵のコンデンサが壊れているとここで詰む。

(4)続いてPLL検波の調整。(3)のまま電圧計をTP12とTP13につなぎ替え,0V±10mVになるようにDET基板上のL12を調整。

(5)次にRFの調整。83MHz,40dB,変調を受信し,DET基板にあるCN3の4ピンとGNDの間の電圧が最大になるよう,L1,L4,L7,L18を調整。

(6)このままIFTの調整へ。(5)からSGのレベルを30dBに下げ電圧が最大になるよう,L10を調整。

(7)ここで神経を使うRFの調整は終わり。続けてオートストップレベルの調整。これは放送局の電波を受信したかどうかを判別するレベルを調整するもので,これを下回るレベルはサーチで引っかからない。83MHz,30dB,変調を受信しメーター基板上のVR1を調整。

(8)チューニングメーターの調整。83MHz,80dB,変調を受信し,バーグラフが中央で白く点灯するようにメーター基板上のVR2を調整。

(9)ここからはいよいよステレオへ。まずはMPXのVCOを調整。83MHz,80dB,無変調を受信し,TP14に周波数カウンタを繋ぎ,19.00kHz±50Hzになるようにメイン基板上のVR4を調整。

(10)次にサブキャリアの調整。83MHz,80dB,SUBを受信し,Lチャンネルの音声出力が最大になるようにメイン基板上のL25を調整。

(11)そしてKT-1100Dのキモの1つ,歪みの調整。83MHz,80dB,モノラルを受信し,音声出力の歪みが最小になるようにDCC基板上のVR3を調整。

(12)(11)のままDCC基板上のVR4を調整し,さらに歪みを最小にする。ここで2次歪みが最小になる。

(13)(12)のままDCC基板上のVR6を調整,さらにさらに歪みを最小にする。ここで3次歪みが最小になる。

(14)次はステレオの歪み。83MHz,80dB,LEFTを受信し,音声出力の歪みが最小になるようにDCC基板上のVR5を調整する。

(15)83MHz,80dB,SUBを受信し,音声出力の歪みが最小になるようにDCC基板上のVR7を調整する。

(16)IF BANDをNARROWに切り替えて,80MHz,80dB,LEFTを受信し,音声出力の歪みが最小になるようにDCC基板上のVR2を調整する。出来れば(9)までを何回か繰り返す。

(17)ここからはセパレーションの調整。IF BANDをWIDEに戻して83MHz,80dB,RIGHTを受信し,Lチャンネルの出力が最小になるようにメイン基板上のVR2を調整。

(18)83MHz,80dB,LEFTを受信し,Lチャンネルの出力が最小になるようにメイン基板上のVR3を調整。

(19)IF BANDをNARROWに切り替えて83MHz,80dB,LEFTを受信し,Lチャンネルの出力が最小になるようにメイン基板上のVR1を調整。

(20)次はSメーターの調整。83MHz,80dB,変調を受信しバーグラフの最も上のセグメントが点灯するようにメーター基板上のVR3を調整。

(21)変調度のメーターを調整。REC CALをONにし,MODULATIONのメーターが4つ点灯するようにメーター基板上のVR4を調整。ついでに75%変調で7つ点灯するかどうかも見ておく。


 ここまででFMは完了です。続けてAMです。

(0)準備として,ループアンテナを取り付け,モードはAM,IF BANDはNARROW,TUNING MODEはAUTO,REC CALはOFFにする。

(1)バリキャップ電圧の調整。TP6とTP7に電圧計を繋ぐ。522kHzで1.5V±0.1Vになるようにメイン基板上のL20を調整。

(2)次に1629kHzで8.0V±0.1Vになるようにメイン基板上のTC2を調整し,(1)と(2)を何度か繰り返して追い込む。

(3)続けてRFの調整。630kHz,30dB,変調を受信し,シグナルメーターが最大になるように,メイン基板上のL21を調整。

(4)今度は1440kHz,30dB,変調を受信し,シグナルメーターが最大になるように,メイン基板上のTC3を調整。

(5)いよいよ最後,IFTの調整。999kHz,30dB,変調を受信し,シグナルメーターが最大になるように,メイン基板上のL22を調整。


 これで全部終了。調整を追い込めなくて故障が見つかったり,設定を変更するのをうっかり忘れたりすると,あっという間に1時間や2時間の時間がかかってしまいます。しかし,これでKT-1100Dは甦ります。

 友人のKT-1100Dは,最終的に歪率が0.02%以下,セパレーションは54dBになりました。チャンピオンではないでしょうが,一応スペックは満足する数値です。

 自分用のKT-1100Dもせっかくなので調整を行いましたが,6年くらいでは調整はそれほどズレておらず,相変わらず調子の良い状態であることがはっきりしてよかったと思います。

 悩んだのはシグナルメーターとオートストップレベルの調整です。サービスマニュアルにある数値をそのまま使うと,どうも調整しきれなかったりするので,いろいろ調べてこの数値で調整することにしました。

 というわけで,調整手順をマニュアル化できました。これで気軽に調整ができるというものです。あとどれくらい使えるか分かりませんが,3年に一度くらいは調整できればと思います。

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