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2023年04月10日の記事は以下のとおりです。

PC-1475もやってきた

 何年かぶりにやってくるポケコンブーム。今回は2行表示のマシンに手を出したということで,すでにPC-1261がコレクションに加わったことを書きました。

 1986年ごろ,私のパソコンの興味はX1turboIIIに移っており,ポケコンは視野の外にありました。今にして思えば面白い時代を通り過ぎてしまったことに後悔がある訳ですが,その頃ちょうど長く続いたPC-125x系のCPUが引退し,後にZaurusにも搭載される新世代のCPUを搭載したPC-E500が登場します。

 至るまでのポケコンの歴史は,私の中から抜け落ちているのですが,それはI/OやOh!Xといった当時呼んでいた雑誌からポケコン関係の記事が消えたことも大きいと思います。I/Oはポケコンジャーナルという専門誌に集約された結果,Oh!Xは単純に対象から外れたことが原因だったと思うのですが,それが結果として私からポケコンの記憶を奪うものになったわけです。

 その記憶の空白を取り返そうと,ポケコンの歴史を調べていたのですが,一世を風靡したPC-125x系のCPUであるSC61860の最終モデルは,PC-1475というモデルである事がわかりました。

 名前の通りPC-1400シリーズの最終モデルでもあるPC-1475は,2枚のメモリカードで最大64kBまでのメモリを搭載可能な大型モデルです。PC-1350等と同じ大きさですが,画面は24桁x2行ですから,グラフィックを重視したものではなく,あくまで関数電卓機能を持つPC-1400系の1つだと言えると思います。

 計算機能を重視していた証拠に倍精度対応があります。倍精度は科学技術計算では欠かせない機能ですが,ポケコンでは後期のモデルしか対応しません。

 ということで,PC-125xシリーズと共に登場し,ポケコンブームを支えたESR-HことSC61860はPAシリーズの電子手帳のCPUとして使われ続けるものの,ポケコンとしてはESR-Lに移行することになります。(なおPC-1246などの下位機種はESR-Jに移行します)

 そうした記念碑的最終モデルとしてPC-1475は結構有名ですが,なにせ球数が少ないこともあってやっぱり入手が難しいモデルです。特にメモリカード欠品は痛い問題で,メモリカードがなければ起動すらしません。

 逆に言えばメモリカードの欠品したモデルは安価であることも多く,私も4000円ほどで入手出来ました。程度は悪く,あくまで実用品として使い潰すことになるようなものです。

 届いたPC-1475の程度の悪さは想像以上で,汚い,日焼けがひどい,メモリカード欠品,カバーも1枚欠品,LCDは傷だらけという状態でした。電源は入りますが動作までは確認出来ません。

 早速分解と清掃です。日焼けだけはどうにもなりませんが,とりあえず気持ち悪くない程度に綺麗にしました。

 すでに分解された跡があり,間違った長さのネジを無理にねじ込んだ事による前面パネルの浮きもありますが,まあそれは気にしないことにしましょう。

 組み立て後はメモリの搭載です。私の場合メモリを交換出来ることは大したことではないので,最大容量を内蔵出来ればよいことにしています。いろいろ考えた結果,今回は256kbitのSRAMを2つ搭載することにします。

 まずS1にSRAMを搭載します。PC-1475は情報が少なく,もちろん回路図もありません。しかしメモリカードはPC-E500と共通ですから,PC-E500の回路図を参考します。

 メモリカードは35ピンで,純粋にSRAMの端子を引っ張り出したものに過ぎません。スロット2から主な信号を取りだし(つまりスロット2はゴムコネクタも外してしまい,完全に殺してしまったということです),その通りに配線して簡単に改造が終わるかと思ったのですが,残念なことに起動しません。

 最近失敗続きなのでがっかりしながらも配線を確認しますが間違いはなく,ますますがっかりしていたのですが,回路図を眺めていて気が付いたのは,CEの論理でした。

 メモリカードの回路図(CE-212M)を見ていると,CEが6264のCE端子に繋がっています。そう,6264は正論理のCEと負論理の~CEを持っていて,メモリカードの回路図では正論理に繋がっていたのでした。

 そういえば,PC-E500の改造の時もここではまったような記憶が・・・早速TC7S04を追加して論理を反転させたところ,あっさり起動します。PowerOFFの時のスタンバイ電流も全体で30uA程ですから,何も問題はなさそうです。

 MEMコマンドでフリーエリアを確認するとちゃんと32kBになってます。良かった良かった。

 気をよくしてS2にも搭載するのですが,久々にカメカメによるSRAMの取り付けを行う事にしました。CEだけS2からもらってくる感じです。

 さて,久々のカメカメに手こずりながらも配線をすませ,動作の確認を行ったのはいいんですが,果たしてどうやってこのメモリを実際に使いこなすかという話が問題です。マニュアルもないのでどうしていいやらという感じもあるのですが,唯一手に入れたドイツ語のマニュアルをなんとなく読んでいると,こんな感じになっていました。

 まず,S1とS2に入れたメモリカードの使い方に関する設定です。これはSET MEMという命令を使います。

S1の32kBをプログラムと変数に割り当てるには,

SET MEM"1"

とします。S1ではなくS2に割り当てるには,

SET MEM"2"

とします。

 どちらかを設定しないとPC-1475は動作しません。初回起動時にS1もしくはS2にメモリカードが入っていると,それぞれのメモリカードの内容を消してもいいかと尋ねられるのはそのためです。

 さて,S1にプログラムと変数を割り当てると,S2はRAMディスクに割り当て可能です。割り当てるには,

SET MEM"1"
INIT"F:"

とします。これ以後,ファイルディスクリプタF:でRAMディスクにアクセス可能です。ちなみにFILES"F:"でファイル一覧が,DSKF(3)でRAMディスクの空き容量がわかります。

 このRAMディスクって結構便利で,メインメモリと同じ大きさのストレージなんて役に立つのかと思っていましたが,実際には数kB程度のプログラムがほとんどですから,結構な数が入ります。データファイルを作って置く事も可能ですし,共存の難しいプログラムを入れ換えて使うことも,他のポケコンには出来ない芸当です。

 欲を言えばRAMディスクには64kBくらいあると良かったんですが,冷静に考えるとPC-1475はSC61860ですからね,高望みしすぎというものです。

 次,S1の先頭からをプログラム,S2の終わりからを変数にするには,

SET MEM"B"

 とします。これでMEMとやると64kBがフリーエリアになっています。これ結構感動しますよ。

 これに似た設定として,S1をプログラム,S2を変数にするというのがあります。

SET MEM"D"

 これも同様にMEMとやれば64kBがフリーエリアとして出てきます。違いは変数の置き方です。私はポケコンでプログラムと変数が拮抗するようなきついプログラムをつくったことがないので,この違いを意識することはほとんどないと思います。

 ただ,BとDには注意点があります。S1とS2にまたがってBASICが動きますので,一度に片方しかアクセス出来ないCPUにとってはかなり厳しい設定のはずで,実際に処理速度を測定してみると,BとDではやはり遅くなってしまいます。

 試したのは1から1000までを足すというプログラムですが,SET MEMが1の場合は35秒ほど,SET MEMがBやDの時は40秒ほどかかりました。大した違いはないように思いますが,それでも20%近い速度低下ですから,許せない場合もあるでしょう。

 ということで,お奨めはRAMディスクです。

 実際使ってみると,PC-1475はかなり無理をしたマシンだと思う一方で,ESR-Hらしい小気味のいい挙動を示すマシンで,これはこれで面白いと思います。PC-1500やPC-1600は鈍重な感じがありますし,PC-E500もシステムが大きすぎてなにやら見えにくいものがあります。PC-E200はZ80マシンとして割と普通という感じもしなくもないので,電卓の延長線上にあるスタンドアロンな感じがここまで巨大化することに,ちょっとした感激もあるくらいです。

 使い出せばPC-1400シリーズそのものですし,トルクの細さもESR-Hらしいです。キーや表示のレスポンスは電卓上がりの小気味良さが残っていますし,それでいて大容量ですから,面白いマシンだと思います。消費電力の小ささも魅力的ですね。CR2032でここまで動くのかと思います。

 BASICは強力で,RENUM命令もありますし,なんといっても倍精度です。2進-16進の演算も出来ますし,関数電卓としてはかなり強力なんじゃないかと思います。

 しかし,メモリがBASICと関数電卓で共有というのはちょっとややこし,例えばBASICにプログラムを入れておき,CALモードで統計計算をやると,次の起動時にメモリを消していいかと聞かれてビビります。これ,なんとかならんのかなあ。

 そうそう,欠品していた1枚分のメモリスロットのカバーですが,0.5mmのポリカーボネートの板を切り出し,両面テープで貼り付けたのち,製本テープを貼り付けてそれなりに仕上げました。メモリをハンダしたスロット2はもう死んでしまってますから閉じたままで良いですし,スロット1だってカバーが外れないといけないのは,電池の交換の時だけですしね。


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