ミニテーブルソーは極楽工具
プリント基板を中国に発注して作る事が出来るようになると,基板のカットが問題になるのは多くの方に共通の悩みのようです。
そもそも個人では大きな回路を作りませんので,コストを下げようと1枚の板から複数の基板を割り付けようと考えるのですが,Vカットという手で簡単に分割できる加工がそれなりに高価なオプションサービスだったりするので,トータルで安くなるかどうかはよく考えないと失敗します。
それに,Vカットも正しい指定方法がある訳ではないので,「この指定で上手くいったよ」という経験則が伝承されているに過ぎないようです。だから時々失敗したという話を見聞きします。
こんな時思う訳で,自分でカット出来たらなあ,と。
もちろん,Vカットなどという高度な加工はNCフライス盤がないとダメなのですが,単純なカットであれば,まず思いつくのがPカッターでしょう。PカッターはVカットを手動で彫る道具なのですが,まっすぐ切るのも難しいですし,裏と表で同じ場所に筋をつけるのはもっと難しいです。
そこで次に考えるのが,テーブルソーを使うことです。丸鋸がテーブルの表面からちょっと顔を出しるもので,丸鋸ではなく材料の方を動かして直線カットを行う工具です。
もちろん,木工用の大きなものは高価ですし個人で持つのは非現実ですが,世の中にはホビー用途に向けた小型のものが売られています。これを使えばプリント基板もちょっとしたアクリル板もまっすぐ素早く,そして綺麗にカット出来ます。
昨今,こうしたパワーツールも中国製のものがたくさん流入し,広く使われるようになりました。しかし必ずしも安いとは限らず,日本製の「プロクソン」と似たような値段のものもあったりします。
こういうとき,真面目に実用的な制度で安全面に配慮されたプロクソンを選べば,ほぼ間違いがありません。そう,私はプロクソンのファンでもあるのです。
くすんだ緑色と,カラシの黄色が特徴のプロクソンですが,随分長い間ホビーストの定番であり続けました。本物よりも安いけど,決して子どもが手軽に買えるようなものでもないという,ちょっとプロっぽいパワーツールのシリーズなのですが,AC電源で動くものはパワーもあり,本物のミニチュア判という感じで,私は気に入っています。
そのプロクソンからも小さいテーブルソーが出ています。「ミニサーキュラソウテーブルEX No.27006」です。amazonで12000円ほどです。
セールの時に買ったので,1万円ちょっとで買えたのですが,これ,電気電子の工具で知られるホーザンにも供給されていて,プリント基板のカット用として販売されています。なのでその性能は折り紙付きです。
これにプリント基板カット用に用意されたダイヤモンドブレードの丸鋸No.27012(ちょっと高いです)を組み合わせれば,基板のカットはもうプロ級です。
なんて書いてますが,私も半信半疑で,どうせ切断面が汚いだろうとか,直線が出ないだろうとか,手間がかかるだろうとか危ないだろうとか,いろいろネガティブなことを考えていました。
実際に手に入れたのは今年の2月,回転数を調整出来ないと不便なのでこれも多くの方がやっている改造として,秋月電子のパワーコントローラのキットを組み込んで,回転数を可変出来るようにしたのがつい2週間ほど前の話です。
ということで,早速実際に使ってみることにしました。
作業の邪魔になる丸鋸のカバーを取り外してしまわないと作業性が悪いので, 私はさっさと取り外してしまいましたが,これは安全性を損なう改造ですので,あまりお奨めできません。
さて,使ってみて思ったのは,なんでこれをもっと早くに買わなかったのだろう,と言う後悔でした。それくらいスイスイ,綺麗に切れます。もう病みつきです。
確かに気を抜くと危ないのですが,そこは注意して扱うものとし,直線も出るし断面も綺麗,あっという間に切れるので,これはもうPカッターなどを使うのがバカバカしくなります。
基板があまりにあっさり切れたので,次は1.6mm厚のアルミのケースをカットします。押し出し加工を上下に組み合わせたアルミケースが売られていますが,これを小さいセット向けに半分でカットし,コストを下げることを私はやることがあります。
ただ,それなりに硬いアルミですし,のこぎりで切ると時間もかかるししんどいし,汚いしまっすぐ切れないしで,ろくな事がありません。もう二度とやるかと思ったのですが,このテーブルソーを使えば一発じゃないかと試してみました。
丸鋸を別途買ってあった超硬タイプ(No.27011)に交換し,少しだけオイルを付けて慎重にカットしていきます。切断中に回転数が極端に落ちない程度にパワーを供給して切り進めていくと綺麗にカット出来ました。,発熱も少なく,これは切断面も綺麗で素晴らしい。カットだけで30分もかかっていたのに,これだと僅か数分ですよ。
しかし,辺り一面切りくずだらけです。これはちょっと厄介だという事で,amazonでボッシュのパイプを購入,これを40cmくらいにカットして,古いダイソンのクリーナーに取り付けて集じん器にします。
これでカットをすると全然散らかりません。いやー,いいですよこれ。
テーブルソーは丸鋸ですから,指をスパっと切り落としてしまう危険性もある,危ない工具です。大きいですしパワーもあるので設置場所も選びますし,使う人も注意しないと本当に危ないですが,ミニテーブルソーは小さく,パワーもそんなに大きくありません。丸鋸が飛び出ている高さもそんなに大きくないので,危険であることはかわりませんが,それでも危険性は下がるでしょう。
十分に注意して使えば,これほど便利な工具もないと思います。アクリル工作とか,もう全然怖くないです。