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2025年01月05日の記事は以下のとおりです。

PC-386BookLをカラーモデルとして復活させる

 ワンダースワンを手始めに次々に襲いかかる恐怖のビネガーシンドローム。偏光フィルムの交換以外に修理の方法がないこの問題は,交換可能な新品の偏光フィルムが手に入るかどうかという問題に始まり,ホコリや気泡を避けて一発で綺麗に貼り付けるという,非常に難しい作業に打ち勝たねばなりません。

 もちろん,それらの作業中にLCDそのものを壊してしまえば元も子もないわけで,フレキを切る,フレキがガラスから剥がれる,ドライバICが壊れる,ガラスが割れるなどに気を遣いながら作業をするのはなかなか難しいと思います。

 満身創痍で,次から次へと壊れていく状況に抗い,頑張ってここまで復活させたPC-386BookLを,先日LCDのフレキの切断で失った悲しみは大きく,どうしたものかとこの年末年始,考え込んでいました。

 外部ディスプレイを繋いでやればもちろん使う事が出来ますから,捨てるという選択肢はありません。しかし,HDDにFDD2機搭載という1990年代のフルスペックで,2MBのプロテクトメモリを装備した486(Cx486SLCですが)マシンがディスプレイまで含んだ「オールインワン」になっている,電源さえ与えれば即当時の環境が甦るというメリットは捨てがたいものがあります。

 加えて,今はもう世の中に存在しないDSTNのモノクロLCDには,なんとも言えない味わいがあり,私にとっては見にくさを越えた魅力があります。これを失ったことはなかなか残念なことでした。(青/白のLCDはまだちょっとした小さいディスプレイで使われていますが,200ラインを越えるLCDでSTNはもう見られないと思います)

 しかしこればかりは復活に同じ物を手に入れる意外に方法はありません。同じLCDを手に入れるのはほぼ無理,それこそ同型機のジャンクを手に入れるしかありません。一応ジャンクも探しましたがオークションには見当たらず,もし仮に出品されていても高くついたりLCDそのものがだめになっていたりする可能性も考えねばなりません。

 ここは1つ,古いLCDにこだわらずに,なんとか「オールインワン」を維持することを目指してみましょう。(あ,オールインワンというキーワードは,1980年代初頭のパソコンを知る人にとってはおなじみで,ディスプレイやデータレコーダまで搭載したMZ-80シリーズが他の機種との差を印象づけるものとして,強力にプッシュしていた言葉でした)

 以前から考えていたのは,入手しやすくなっている10インチクラスのLCDを移植出来ないだろうかということです。幸いにしてPC-386BookLの時代のLCDは厚みが必要でしたし,バックライトのインバータ基板も大きいので,蓋の部分にスペースがたくさんあります。

 なので,画面のサイズさえ適合すれば,あとはなんなく組み込めるはずです。

 とはいえこれはあくまで物理的な話。電気的な話がそもそも立ちはだかっています。もとのLCDの信号を使うことは絶対にと言っていいほど無理ですから,なんらかの方法で画像信号を用意し,LCDに表示させることはこの話の前提となります。

 適当な物がないかと探してみると,10.1インチのLCDモニターが使えそうでした。1024x600ピクセルという前時代的なTFTのLCDで,HDMIとVGA,それからNTSC/PALが入力出来るものです。お値段はamazonなら13000円ほどもしますが,あるお店で同じ物が7000円ちょっとで手に入りました。

 届くの少々時間がかかってしまいましたが,手元に来てまず試したことは,このディスプレイのVGA入力が24kHzのRGBに対応しているかどうかです。もし対応していればPC-386BookLの外部ディスプレイの信号をそのまま使うことが出来ますが,もしだめだったら変換基板を介する必要があります。

 さすがに変換基板まで組み込むのはもったいないので,一度VGA入力を外に出し,外部に変換基板を置く方法を取ることになります。オールインワンにはなりませんが,24kHzが日本以外で使われたことは希であり,海外製のディスプレイが24kHzに対応しないという事は今に始まったことではありません。

 果たして試してみるとなんと映りました。安い割に24kHzに対応していたみたいです。ならばと15kHzを入れてみましたが,これは未対応でした。残念。

 もしも15kHzのRGBまで対応しているというのであれば,それはそれで貴重なので組み込むのやめてしまう,あるいは組み込んでも一度VGA入力を外部に引っ張り出して汎用性を維持することも考えていましたが,24kHzまでしか対応しないだなんて,まるで今回の改造のために生まれてきたようなものじゃありませんか。

 これで覚悟は決まりました。組み込んで使いましょう。

 まず,LCDや部品の配置を考えます。画面を表示させて,表示内容が枠で隠れてしまわないような位置を探して固定するのですが,なんと上下がギリギリ。左右方向は問題がありませんが,表示サイズを調整出来ないディスプレイなので,危ないところでした。

 LCDを両面テープと接着剤で固定したら,ドライバ基板をLCDの上側に固定し,配線を取り回します。このLCDはVGA入力がUSBのMiniBを流用しているのでコネクタも小さく楽ちんです。

 これに電源のケーブルの2本を取り回して長さを揃えて切断します。その先に10ピン程度のコネクタをハンダ付けし,メンテ姓も確保しておきます。

 次に考えるのはディスプレイの操作キーです。電源のON/OFFはもちろん,入力切り替えや画質の調整で頻度は高くないものの必要になる操作キーは,PC-386BookLに穴を開けることになるので出来れば用意したくありません。

 幸いにもこのLCDには赤外線リモコンが付属していて,これですべての操作が可能です。受光部は操作キーの基板についているのですが,受光部だけはコントローラ基板に直接繋がっているので,特に操作基板の回路が必要になっているわけではなさそうです。

 なので,受光部を直接コントローラ基板に繋いで試すと,ちゃんと動きました。これで操作に関しては問題解決です。

 もとのLCDの明るさやコントラストを調整するスライダの一部に3mm程の穴を開け,スライドさせると穴が出てくるようにした上で受光部を固定します。

 スライダは動かせるように,もとのインバータ基板を外さず,ダミーで残しておきます。これで綺麗にまとまりました。

 さて,次はとうとう本体側の改造です。外部ディスプレイの信号を取りだしてVGA入力に入れるというのが作戦ですから,メイン基板から信号を取り出す必要があります。従って全バラシです。

 メイン基板にマウントされているD-SUBの15ピンから出ているアナログRGB信号から,RGBの各信号とHとVの同期信号の5本とGNDの計6本を,コネクタの足にハンダ付けして直接取り出します。そしてケーブルの長さを調整して端っこにコネクタをハンダ付け。

 電源は12Vから15Vまで入力可能だそうなので,電源の容量を考慮しなくていいようにACアダプタからの入力のところから取り出します。本体の電源スイッチに連動させるために本体の基板から12Vを探して供給することも考えましたが,安全性を考えるとこれがベストでしょう。

 長さを揃えてこちらもコネクタにハンダ付けし,テストを行うとあっさり表示ができました。

 あとは組み立てて完成です。取り回しによってはノイズで画像が乱れることもあるのですが,上手く取り回して回避します。

 気を付けないといけないのは,PC_386BookLの外部ディスプレイの信号は,初期状態では出力されないという事です。バックアップのための電池が切れると初期状態に戻ってしまうので,こうなるともう全く画面が見えなくなります。

 起動時にHELPキーでメニューに入っても,そこからの操作が全くできなくなるのは辛いので,ブラインド操作で外部ディスプレイの信号が出るようにしないといけません。

 簡単なのは,DOSをフロッピーから起動し,CTRL + HELP + Dを押すことです。フロッピーから起動しないといけないのは,初期状態だと内蔵HDDの設定が256バイト/セクタに戻ってしまうからで,こうなるとHDDからの起動が出来なくなるからです。

 一度外部ディスプレイの信号が出漁されればあとはHELPキーで起動するメニューでも操作ができますので,HDDの設定などを変更して再起動。これで大丈夫です。

 ここまで出来たらあとは実際に使ってみます。安い割にLCDの品質は良好で,最初のTFTモデル,PC-9801NCを見た時の感動が甦ります。

 PC-9801は登場時からカラー表示が前提のマシンでしたから,やはりカラーはいいものです。私は滅多にゲームはやりませんが,ゲームも楽しめそうです。(あ,FM音源がないか)

 確かに当時の雰囲気を存分に味わうことの出来るDSTNの表示も恋しいですが,カラーの鮮やかな表示は,これはこれで楽しいものです。本体の重量も手に持った瞬間にわかるほど軽くなっていますし,最終的にアップグレードされた形で復活するというのもありではないかと思います。

 で,ふと気になったので調べてみると,PC-386BookLには,BookLCとBookLXというカラーモデルがすでに出ていたんですよね。LCがTFT(エプソンとしてはTFTとはいってませんが),LCがSTNモデルではないかと思いますが,それぞれメインメモリが2MB追加されているので,今の私のPC-386BookLと同じ状態です。

 そういう意味では,Bookタイプという今となっては存在価値のないプラットフォームにおける完成形として,当時既にカラーモデルが位置づけられていて,その価格にもかかわらず市場に投入されたという事でしょう。存在が空想の物ではなく,実際にカラーモデルが少数とは言え作られていたわけですから,私のPC-386BookLはオリジナルの価値や魅力を損なう物ではない,ということにしておきましょう。

 レトロマシン,ヴィンテージマシンのレストアは,オリジナルに戻すことが基本です。勝手な改造やアップグレードは御法度ですが,今有る部品で当時の状態を取り戻すことは十分に認められると思います。

 ということで,今度こそだめだと思われたPC-386BookLですが,まさかのカラーモデルとして復活を遂げました。これで本当にレストアが終わればいいなあ。

 

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