PC-386BookLに1GBの内蔵HDDを
- 2025/01/27 12:31
- カテゴリー:マニアックなおはなし
カラーLCDまで搭載してしまったPC-386BookL。ここまでくると,やはり内蔵HDDの40MBというのが窮屈で仕方がありません。
かつてのPC-9801の世界では,ノート型が先鞭を付けた内蔵HDDのIDE化に対し,容量制限を突破することがマニアの間では常識でした。私も当時のバイト先がパソコンショップだった関係で,初のHDD内蔵の98NOTEであったPC-9801NSのHDDを,20MBから40MBにするサードパーティーのキットを販売したことがありますが,付属の特殊なフォーマッタがBIOSを騙して純正の20MBを越えて40MBを使えるようにしていた事例をよく覚えています。
当時のNECはなにかと制限をかけたがるので,ハードウェアの柔軟性が削がれることが多かったのですが,これも今にして思えば動作の安定性を維持するという目的で理にかなっていたのかなと思います。(まぁ理にかなっていたことを実行出来たのも圧倒的なシェアがあってこそなんですが)
で,我がPC-386BookLはどうかというと,純正では40MBまでが用意されてたみたいです。
IDEのドライブをサポートする仕組みとしては,BIOSで内蔵SASIに見せかけて動かすという理屈ですので,SASIの制限である40MB以上のサポートはそもそも必要ありません。
ですが,HDDのサードパーティーの雄であったICMから120MBあたりまで用意されていたことは覚えていて,ということは,PC-386BookLでも40MBの壁を越えることが出来るということです。
しかし,具体的な方法については情報が全く出てきません。マイナー機ですし,内蔵出来るHDDも物理的なサイズの制限がありましたから,試みた人も少なかったのでしょう。
とはいえ,小耳に挟んだ情報では,同様に容量制限のあるPC-386NOTEシリーズでも,容量制限のない別機種で一度フォーマットをかけて戻せば制限を突破出来るらしく,そういうことなら同系列のPC-386BookLでも可能性はありそうです。
ということで,実は数年前も試してみたのですが上手くいかず,諦めていました。
1GBのマイクロドライブを内蔵しながら,このうち40MBだけを使っての運用は,安定性という点ではなにも心配ありません。
これでも決まった事をやるだけなからいいんですが,一番困るのはディスクイメージの書き戻しです。数枚組のゲームなんかだと,ファイルを解凍してFDに書き戻すのに10MBほど作業スペースがないとだめなのですが,もはやこの大きさを準備するのも難しく,カラーLCDになったときから,なんとかこの容量制限を突破出来ないかと,試行錯誤を行っておりました。
そして先日,ようやく突破しました。PC-386BookLに,IDEモードで動く1GBのマイクロドライブを内蔵し,1GBフルを使うことが出来たのです。
理屈はBIOSを騙すこと。これは他の機種でも原理的には同じなのですが,問題はPC-386BookLでそれが可能かどうかです。いろいろ試したところ,CLMODIFY.EXEというツールがバッチリ使えることがわかりました。(ありがとうございます>作者のかた)
常駐型のツールで,BIOSを騙して設定したシリンダ数を返すツールです。このシリンダ数でフォーマットをかけてしまえば,あとは常駐させることなく運用することが出来ます。
次の問題は設定するシリンダ数をどうやって調べるかです。当てずっぽうで試してみてもいいのですが,そこはやっぱり根拠が欲しいですよね。
そこで,ICMのツールであるATFORM.EXEを使いました。IDEとして繋がっているHDDの情報を表示し,テストを行うことが出来るツールです。名前からフォーマットもできるんじゃないかと期待したのですが,そこまでの機能はありませんでした。
この手のツールはいろいろあるのですが,PC_386BookLで動作する物がなかなか見つからなかったところ,どうもPackAシリーズに同梱されていたらしいという事で使ってみることにしたところ,上手く動作したというわけです。
ATFORM.EXEで調べたところ,
2088シリンダ x 16ヘッド x 63セクタ x 512バイト/セクタ
= 1077608448バイト
と出てきました。なるほど。
PC-9801では,ヘッド数は8,セクタ数は17である事が知られています。なのでPC-9801でこのマイクロドライブを目一杯使うために設定するべきシリンダ数は,
1077608448 / 8/17/512
= 15475.76471
となります。少し余裕を見て,CLMODIFYで15473をシリンダ数として登録します。
この状態でICMのフォーマッタであるEXFORM.EXEを起動すると,計算通り1GBのマイクロドライブの全域を初期化することが出来るようになっていました。
このまま装置初期化を選んでやると,結構長い時間がかかりますが無事に初期化が終了します。続けて領域確保を行いますが,私は純正のFORMAT.EXE(HDFORMAT.EXE)を使って領域確保を行いました。
領域の確保は,使い勝手の問題から500MBのパーティションを2つ確保しました。
DOS6.2をインストールする時にもCLMODIFYでシリンダ数を騙しておかないとエラーが出るので,インストール前に常駐させておけばあっさりインストールまで終了します。
再起動を行えば,目の前に500MBの広大な海が広がっています。素晴らしい。
起動も時間はかからず,全域が問題なく使えています。上手くいったようです。
ちなみに,6GBのマイクロドライブでも試してみました。4GB分の装置初期化を行って,そのまま4GBのパーティションを作ったのですが,この場合起動にちょっと時間がかかってしまうようです。
パーティションの大きさが問題なのか,4GBという装置全体の大きさが問題なのかはわかりませんが,どちらにしてもDOSのテンポの良さが損なわれるのは嫌ですし,DOSで4GBもあっても仕方がないので,1GBで運用することにしました。
ということで,私のPC-386BookLは,前代未聞の1GBのHDD内蔵となりました。この当時,500MBのHDDでもデスクトップ機しかなかったんじゃないかと思いますし,私自身もDOSで1GBのHDDを扱う事は初めてです。
そんなに容量があってどうするのよ,という話もありますが,ディスクイメージを保管しておくのもよし,当時容量不足で消したアプリケーションをインストールしておくのもよし,とにかく大きなHDDには心のゆとりも生まれます。もうこれで私のPC-386BookLに,HDDの容量の問題は完全になくなりました。
さてさて,このPC-386BookL,Cx486SLCに換装済み,387SXも搭載し,メインメモリは2.6MB,FDDは2台あり,HDDも1GBに大容量になりました。カラーLCD内蔵でゲームも問題ありません。マウスだってUSBマウスが使用可能で,当時のPC-9801を完全に再現出来ています。
そうなると,あと足りない物は・・・
もしかしてFM音源・・・