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転ばぬ先の杖

 新しい音楽メディアとしてCDが登場したのが1983年。今年で実に27年になります。生まれたときには既に身の回りにCDがあった人たちがすでに27歳になっているということも衝撃的ではありますが,ともあれお茶の間に「デジタル」という言葉とその先進性を持ち込んだ,記念すべきメディアであることは,改めて書く必要もありません。

 そのCDは,かつてのアナログメディアの欠点をことごとく克服したことでも「明るい未来」を印象づけたものであったのですが,その1つに寿命が半永久的,というものがありました。

 かつてのレコードは針が溝の上をなぞっていく仕組みなので,接触している以上寿命は有限であることは誰の目にもわかりやすかったのですが,CDはレーザーで信号を読み取る非接触型なので,接触することが原因で起こる劣化は,なるほど「ない」といえるわけです。

 しかし,子供でも分かることですが,形あるものはいつか壊れる,CDについても例外はありません。大事に保存しておいても,酸化,分解,という形で壊れていくものです。

 CDは誕生してまだわずか27年です。加速試験という方法で十分な長さの寿命を確認しているのは確かですが,どんなに古いCDでも27年以上の時間を経過したものは存在しないわけですから,これから先,一日一日が劣化との闘いになるように思います。

 実際に,すでに古いCDは大事に保管してあっても破損して読めなくなっていると言う話も耳にします。多くは反射層のアルミの蒸着の剥がれ,によるものだそうで,こうなるともう復活させる方法はありません。

 ついでにいうと,CDはそのアルミの蒸着が薄い保護膜で覆われているだけで,ほとんど露出に近い状態になっています。危なっかしいといつも思っているのですが,これがDVDだと貼り合わせという構造のおかげで,反射層が露出していません。反りにも強く,製造が大変というかつての欠点が克服された現在,なかなか理想的なメディアであると個人的には思います。

 話が逸れましたが,私が初めてのCDを購入したのが1987年。ですので今年で23年が経過しています。中古で買ったものを含めると,最古のものは25年が経過しているものもあるはずです。

 温度や湿度,光やガスなどの環境要因が多く懸念される私の住環境において,すでに劣化しているCDがあってもおかしくなく,それはもう刻一刻と現実のものになっているのではないか,という危機感がここ数年ありました。

 劣化したCDは工業製品ですので,また買い直せばいいように思うのですが,一方で著作物であるという性格上,廃盤になっているとお金の問題ではなくなります。私に限らず,大多数の方はCDという入れ物に入った中身に対してお金を払っているわけですから,器が壊れてしまう前に中身をきちんと保存しておく必要があります。

 そこでCDのバックアップを真面目に考えるようになりました。ディスクイメージで保存しておけば,オリジナルが劣化して失われても,CD-Rに復元することが可能になります。

 ところが,音楽CD(以後CD-DAと書きます)は,CD-ROMと違って完全なディスクイメージを作る事は難しいのです。

 1つには,CD-ROMに比べてエラーの発生率が高いこと。音楽のような連続したデータは仮にデータが訂正できずに誤っていても,前後のデータの平均を取ればそんなに外すことはありませんが,CD-ROMのような用途では1つ違っただけでもまずいわけで,元々強力だったエラー訂正能力をさらに高めてあります。

 もう1つは,これは実験するとわかった,という話で,理由は諸説あるし,私もなにが正解なのかよく分かりませんが,ディスクの先頭と末尾のデータの位置が,読み出すドライブによって異なる,というものです。

 これはオフセットという言葉で知られている話なのですが,正しい位置より前で読み出しても全体にずれるだけで問題なし,正しい位置より後ろで読み出してもほとんどの場合読めなかった部分は無音区間ですから,別に音楽として失われるものはありません。

 しかし,あるアドレスに入っている値を2つのドライブで比べてみると,全く異なる場合があるということになりますし,ごく希なケースとして先頭や末尾が無音でないようなCDの場合は,データがわずかとはいえ欠損してしまうわけですから,果たしてそれで正しく読み出せたことになるのかどうか,と聞かれればNoでしょう。

 もともとファイルシステムを持たず,連続したデータを実時間で取り出すことだけを考えて作られたCD-DAを,ファイルという形にパックして実時間に従わない形で扱おうというのですから,リッピングというのはいわばPCを使ってマイクで音を録音する行為と同じといってよく,アドレスがずれたり無音区間の長さが少し違ったりするのは当たり前で,気にすることなどないようにも思うのですが,やはり気持ち悪いのは確かです。

 余談ですが,このオフセットが発生する原因について,よく言われているのがCD-ROMにはアドレス情報があり,CD-DAにはアドレス情報がない,というのがあります。確かにCD-ROMの場合,セクタから読み出すデータの中にアドレスが書き込まれていて原理的には,データと同時にアドレスを読み出す事も可能です。

 しかし,CD-DAにアドレスがない,というのは誤りで,サブコードのQチャネルに書き込まれた1曲目の先頭位置からの経過時間がアドレスとなります。そしてCD-ROMのセクタに書き込まれたアドレスというのは,この経過時間と同じ値です。

 1曲目の先頭の位置をどこにするかがドライブごとに違う,と言う意見もあります。1曲目の先頭位置からの経過時間がすなわちアドレスなので,先頭位置がずれればずれた分だけアドレスもずれるというのがその根拠のようですが,残念ながらCD-DAの場合でもQチャネルに書かれた経過時間の値そのものは変化しませんので,そのアドレスに書かれたデータは1つしかありません。

 また,CD-ROMのセクタには同期用の情報が書き込まれているが,CD-DAにはこれがない,という意見もあります。確かにその通りで,なかなか説得力もあります。CD-ROMの仕様が策定される際に必要がなければ追加されることはなかっただろうと考えると,これはちょっと否定しにくいです。

 信号処理,特に複数ブロックの読み出しが必要なC2エラーの訂正にかかる時間だけデータの出力が遅れるのが原因という意見もありました。だからドライブのメカの違いではなく,使っている信号処理LSIによってオフセットの値が変わるのだ,と言う主張です。

 これも説得力があります。前述のようにオフセットには個体差はなく,同一型番のドライブなら同じオフセット値を取りますし,違う型番でも同じ信号処理LSIが使われているとまったく同じ値になりますから,少なくともオフセットはバラツキで偶然発生するのではなく,発生するべくして論理的に発生しているようです。

 そこで話を少し前に戻します。CD-ROMの場合,エラー訂正を行った後のデータの中にも,アドレス情報と同期用のデータが含まれています。CD-ROMデコーダLSIは,データと共にそのデータのアドレスも正確に把握出来るようになっています。

 しかし,CD-DAの場合,アドレス情報についてはサブコードに書かれていますし,同期もテラー訂正前に取られることになるので,含めてエラー訂正前のアドレスしか残っていません。

 ですから,もしもエラー訂正に時間がかかってしまうと,同期もずれるしアドレス情報も狂ってしまうことになるはずです。

 オフセットがゼロのドライブもあるので,これらは処理時間がゼロなのか,というとそういうことではなく,処理時間を含んだ形でデータを出力するようにすれば解決します。

 起きている状況から考えて,CD-ROMでは正確である必要はあっても,音楽再生ではオフセットをゼロにする必要はないということから,リッピングの場合も再生された音楽のデータがオフセットを持ったまま出てくるようになっている,という風に考えた方が良さそうです。そして,オフセットゼロのドライブは,特別なケアを施してデータの同期を取ることで,リッピングの性能にこだわっているということでしょう。

 つまり,CD-DAにおいてもオフセットゼロにすることは可能なのだが,多くのドライブは音楽用のCDプレイヤーがそうであるように,オフセットをゼロにすることは面倒なのでやってません,ということになるというのが,私の結論です。

 さて,リッピングのためのソフトはオフセットをきちんと管理できるExact Audio Copy,通称EACを使う事にします。

 ドライブは,安かったと言う理由で購入した日立LGのGH20NS10を試してみようと思ったのですが,これは+637サンプルのリードオフセットと,+30サンプルのライトオフセットがあります。

 ところが,EACにこれらを設定し,リッピングして読み出したデータをCD-RWに書き込みリッピングし,オリジナルのデータとCD-RWのデータを比較すると一致しないのです。

 悔しいので徹底的に調べて見ることにしました。

 まず,先頭と末尾がゼロではないPCMデータをつくります。そしてこのデータをCD-RWに焼き,CD-DAを作ります。

 これをリッピングして,バイナリエディタで調べてきます。検証はノートPCに内蔵されていたパナソニックのUJ-852Sで行いました。UJ-852Sは,リードオフセットが+72,ライトオフセットが+60です。

 結果,このドライブでリッピングすると,先頭は完全一致しますが,末尾は72サンプル分のゼロが追加されていました。データの欠損はありませんが,データのサイズが72サンプル分だけ大きくなってしまいました。

欠損がないので問題ないといえなくはないのですが,問題は書き込みです。このCDを作る際に,CDRDAOを経由すると,ライトオフセットである+60サンプル分だけ,先頭がゼロで上書きされてしまいました。

 先頭の60サンプルなど普通のCD-DAは無音部分ですので,別にゼロが上書きされても実害のないのがほとんどだと思いますが,実際に今回のCD-RWをリッピングすると,オリジナルとは異なるデータ列になる事がわかります。

 むしろこれが問題です。私の持っているドライブで一番新しいGH20NS10はCDRDAOを経由せねば書き込みが出来ません。だから,ドライブを使った場合に考えられるのは,リード時は末尾に637サンプル分のゼロが追加され,ライト時は先頭の30サンプルがゼロで上書きされるのです。

 そこで,数年前に購入してほとんど出番のなかった,プレクスターのPX-W5224Aを引っ張り出します。オーディオ性能が高く,1万円程度で買える廉価版であり,しかもCD-Rドライブの最終世代という事で買うことにしたものですが,ほとんど使わずにいました。

 このドライブは,リードもライトもオフセットはゼロです。本当かと思って先のPCMファイルで調べると,確かにオフセットはなく,このデータをライトしたCD-RWをリッピングしたデータと,オリジナルとを比較すると完全一致します。

 ということで,リッピングはPX-W5224Aを使う事にします。

 さて,あとは圧縮をどうするか,と言う話になりますが,ロスレスのコーデックから,最も標準的であり,オープンソースで,バージョン間の互換性も高いとされ,様々なプラットフォームで動作するFLACを使う事にしました。

 FLACは圧縮率も高くありませんし,エンコードも高速ではありませんが,ソースが非公開だったり使っている人が少ない,あるいは現在も開発中というソフトだったりすると,いざというときデコードできる環境がなくなっていて困り果てることもあるかも知れません。なんとかFLACを使いこなしてみましょう。

 まず,圧縮率と速度の関係です。FLACは-0から-8までのオプションで,圧縮率を選ぶことができます。最高圧縮率の8では速度が随分遅くなるのですが,ならいくらならいいかを調べる必要があります。

 そこで,ある音楽をリッピングしたファイルを用意し,これを実際にエンコードしてみます。結果は以下のようになりました。

-8   12.14秒  圧縮率0.652
-8 -V 13.56秒
-7   8.75秒  圧縮率0.655
-7 -V 10.04秒
-6   3.85秒  圧縮率0.655
-6 -V 5.01秒
-5   3.57秒  圧縮率0.655
-5 -V 4.76秒
-4   2.87秒  圧縮率0.660
-4 -V 4.15秒
-3   2.44秒  圧縮率0.673
-3 -V 3.48秒
-2   2.66秒  圧縮率0.695
-2 -V 3.71秒
-1   2.42秒  圧縮率0.700
-1 -V 3.41秒
-0   2.24秒  圧縮率0.709
-0 -V  3.26秒

 -Vというオプションはベリファイを行うオプションで,エンコード時にデコードも行い,データの一致を確認するオプションです。

 これを見ると,-7と-8の間でわずか0.2%しか違わないのに,時間は1.4倍も増えています。割が合いません。しかも-7から-5まで同じ圧縮率なのに,時間は1.8倍も差があります。こちらも割が合いません。

 -4になると0.5%の差がありますが,時間は1.3倍になり,随分状況が変わってきます。-3では1.3%の差が1.18倍に時間差になっています。実は-2では時間がかえって増えてしまうという結果が出てしまい,あまりあてにならない数字になってしまいました。ディスクキャッシュの関係ではないかと思っています。

 まあ,どのみち-2などは圧縮率の関係で使うつもりはありませんので無視させていただき,一番リーズナブルな感じがする-4を選ぼうかと思ったのですが,なにせファイルのサイズもあまり大きいもので試したわけではなく,圧縮率も出来るだけ小さい方がいいなあと思っているので,ここは-5あたりを選ぶことにします。

 実は-5というのはデフォルトの設定値であり,なるほどこのあたりが一番おいしいということなのでしょう。でももし,CD300枚をリッピングする時にファイルサイズが5%違ってくると,最終的には1.1GBも違ってきます。悩ましいところですが,
 
 あと,-Vオプションを使うかどうかですが,-5で1.3倍も時間がかかっています。ほとんどの場合,ベリファイをしなくても問題がないことを考えると,安心代として3割増しというのはちょっと高すぎる気がするので,やっぱり使わないことにします。

 あとは大きめのハードディスクを調達するだけで準備はOKです。

 しかし,多くのCDを全部リッピングするには,随分と時間がかかることでしょう。そこまでして価値がどのくらいあるのか疑問ではありますが,お金では解決しない問題ですので,辛抱してやり遂げようと思います。

大型裁断機に圧倒される

  • 2010/02/01 14:21
  • カテゴリー:散財

 2006年にScanSnapを導入した私は,自宅と実家にある雑誌や本,資料などをスキャンして,かなりのスペースを節約してきました。

 実際,一度読んだら二度と読まないものって実に多くて,そういうものは思い切って処分するのも手なのですが,そういう時に限ってもう一度読みたいとか,そんな風に思うものです。

 とりわけ,技術系の雑誌や本は資料的価値のあるものも多く,今必要でないとはいえ,ひょっとすると未来の自分を救うかもしれない,と思うと,やっぱり捨てられません。

 それで電子化するという作戦に出たのはいいんですが,問題は綴じて本になっている状態を紙にばらして,スキャンできる状態にすることです。想像すれば分かることですが,これが実に大変です。

 一枚一枚ちぎるなんてのは話にならず,普通のカッターナイフで切るのは仕上がりも効率も悪い上,怪我はするわ床を傷つけるわゴミは出すわで,なにひとつ良いことはありません。

 当時から,事務機メーカーの大型裁断機がScanSnapユーザーの間で売れていることは知っていましたが,これは3万円以上もする高価なもので,おいそれと買えるものではありませんでした。

 そこで,私は一度に30枚程度しか裁断できないペーパーカッターを購入し,分厚い本は何度かに分けて,裁断していました。例えばトラ技などでは3から4回くらいに分けて裁断をしていました。

 ですが,トラ技3年分とか,広告も含めてスキャンとか,そういう状態になるともう腕も肩も痛くなるほどです。実用レベルとはいえお世辞にも綺麗に裁断できているとは言えませんし,なんとかしたいなあとは思っていました。

 つい先日,その大型裁断機が1万円ちょっとで売られているという話を耳にし,探して見ると,10900円で中国製のものが販売されていることがわかりました。amazonでは14800円なので,そのへんはさすが中国製,同じものなのに実売価格がバラバラです。

 細かい製品名などは意味もないと思うので書きませんが,一応スペックは,

  大きさ 約38(縦)×53(横)×17.5(厚さ)cm
  重さ 17kg
  最大裁断厚 37mm

 と,まあなかなか勇気のいる仕様です。

 そもそも,37mmってコピー用紙で400枚といいますから,そんなの素人にはどう考えてもオーバースペックです。それにこの17kgってなによ。

 設置面積,重量を考えると,処分する雑誌の方が小さいくらいじゃないかと思うほどです。

 購入者のレビューとしては概ね好評で,細かい文句はあるにせよ,1万円なら文句も言えないという実にサバサバとした感想です。

 人気商品らしく,安い店はすでに完売。ところが数日後,偶然在庫のあるのを見つけ,かなり迷いましたがポチりました。いやー,17kgですよ・・・

 この週末に届いたのですが,まずもって目障りなほどの大きさです。もしも嫁さんがいたら,裁断機ごと家を追い出されるんじゃないかと思うほど,暴力的な感じがします。

 大きく重く,重機のような無骨さ満点で男心をくすぐりますが,作りの雑さはやっぱり中国製で,塗装は剥げている,汚れている,溶接が綺麗でない,無理に板金を曲げて部品を取り付けてある,使い道の分からないパーツが付属している,説明書はさっぱり役に立たない,などは覚悟しておく必要があります。

 ちなみに,私の場合,ネジが1つ外れて転がっていました・・・大丈夫か,これ。

 安全ロックが付いているとはいえ,あくまでロックがかかってからは安全,と言う話に過ぎず,37mm厚の紙が入る隙間にはロックがかかってなくても手が簡単に入ります。長いハンドルがもし何かに触れて刃が下りたら,指など簡単に飛んでしまうと思います。

 大きな力のかかる,しかも危険な道具なので,取り扱いには細心の注意が必要ですが,この手の製品にはあると思われる,工場での検査を合格したという印が,どこにもありません。職人さんが手作りしてる感じが丸出しなだけに,力を入れて裁断を行った時に破損したりはしないか,と非常に不安です。
 
 ちょっとやばそうな雰囲気に及び腰になりながら,話の通り少々油で汚れているのでエタノールで綺麗に拭き取り,ともあれ裁断してみます。

 おー,これはすごい。確かに一刀両断です。しっかり本を押さえで固定しないと斜めに切れたりするのですが,切るときには全く力がいりません。切り口もきれいですし,なんと言ってもゴミが出ません。

 ということで,分厚い雑誌を裁断してみましょう。

 今やとても貴重なのではないかと思われる,1984年4月号のトランジスタ技術です。この時期のトランジスタ技術はトランジスタとは無縁の一般人からも「電話帳」と揶揄される専門誌だったわけですが,そのほとんどは購入直後に三枚におろされ,広告は捨てられてきました。

 私はこの号がどうしても読みたくなり,最近古本屋で買ったのですが,全部で約700ページという製本の限界にチャレンジした圧倒的なボリュームと,Japan As No.1時代の勢いに気圧されつつ,特に広告の懐かしさと面白さに本文以上の時間をかけて1枚1枚きっちり目を通してしまいました。

 例えばですね,今はT-ZONEと言われるお店が亜土電子だったころの広告が出ています。広告の内容は電子パーツとキットの広告ですが,なんと9ページもの広告です。今はなきダイデン商事が7ページ,藤商電子が6ページ,若松通商でなんと10ページです。

 90年代にはPC-9801用の周辺機器メーカーとして知られたグロリアシステムズはこのころApple][やPC-8001のデッドコピーの基板を売っていますし,IOデータ機器も1ページだけ,PC-8801用の拡張ユニットなどを広告しています。コンピュータリサーチや緑電子,ICMも広告が出ていますよ。懐かしいですね。

 お,本多通商の広告も見つけました。CP/Mですか・・・当時からマニアックですね。スーパービデオもあります。テレビ修理技術者募集って,応募した人たちは今どうしているんでしょうか。

 鈴蘭堂の広告もあります。コンパスオカモトの広告もあります。本州商会もCP/Mの広告を出しています。おお,キョーワインターナショナルの広告もあります。ロビン電子,イケショップ,広瀬無線,タンゴトランス,カホ無線・・・あれ,前が曇ってよく見えないや・・・

 求人広告もなかなか盛況ですね。九州松下電器,八重洲無線,タイトー・・・そう,80年代は,まだまだ日本人が普通に働く意義を見つけていた時期でした。

 当時のICの価格ですが,亜土電子の広告によると,74LS00で35円,74HC00が90円です。この辺のロジックICは驚くほどでもありませんが,Z80Aが580円,8086-2が18000円,68000-10が22000円ですか。uPD7220は8000円もします。TMS9918でも3500円ですか。うーん,高いですね。

 4164(64kbitのDRAM)が1350円,27256(256kbitのEPROM)が48000円です。いやー,これは高いわ。

 MOS-FETで,2KS134と2SJ49のセットが2700円,特価で2SC1815が10本100円だそうです。

 こうしてみると,今でも秋葉原にはCPUもDRAMもグラフィックチップもフラッシュメモリも売っていています。当時これらの部品を買う人はハンダ付けも設計も出来る,それ相応の技術力を持っていたので,今のPCパーツとはちょっと違うかも知れませんが,相変わらず秋葉原は電子部品であふれかえっている街なんだなあと思います。

 横道に随分それました。

 さて,この貴重な1984年4月号のトラ技を裁断してみましょう。

 最初に,前部ハンドルを回して押さえを本に押しつけて,動かないようにしっかり固定します。

ファイル 353-1.jpg

 続けて後部ハンドルで本の後ろも固定します。そして注意しながら裁断レバーを押し込むのですが,この時ロック解除ボタンを押さなければ,レバーが下がりません。

 特に抵抗もなく,すっと刃がおり,あの分厚いトラ技の背表紙がころんと転がります。ああ,これはまさに断頭台・・・

ファイル 353-2.jpg

 そして,裁断された本体の様子です。綺麗に裁断されており,紙がさっとばらけてくれます。

ファイル 353-3.jpg

 あとはこれをスキャンするだけです。

 実際には,紙が薄いこと,静電気の発生があること,そして長年密着していたことで,重なって紙が送られたりするので結構手間のかかる作業なのですが,この分厚いトラ技をわずか数秒でばらせるというのは,なんと画期的なことでしょうか。


 それで,私個人としては,費用対効果で大変満足な結果なのですが,残念ながら他の人には全くお勧めできません。確かにこの性能が1万円で手に入るというのは画期的なことですが,あまりに欠点が目に付きすぎるのです。

・でかい,重い
 本をスキャンするために裁断する,と言うだけに,この設置面積とこの重さというのは,ちょっと普通では考えられません。家族の同意はまずもって得られないと思います。それに,常に使うものではありませんから,普段は邪魔なことこの上ないです。

・作りが雑
 別に雑でもいいんですが,安心感が失せるほど雑な作りは,使用中の破損が大事故に繋がるだけに,もう少し考えて欲しいと思います。

・はっきりいって危険
 大型裁断機なんて普通使ったことがない人が大半なわけですが,どこが動いてどこが危険だからどこを触ってはいけないとか,そういう話が一切わからないんですね。これが日本やヨーロッパのものなら,危険なところには手が入らないとか,あきらかに危ない部分には警告のシールが貼られているとか,そういう配慮があると思うのですが,これには全くありません。ごっつい刃が数センチもぐぐーっと下りてくるのを目の当たりにすると,背筋の凍る思いがします。

・ロック機構が簡単すぎる
 安全ロックがあるとはいえ,無理にレバーを押せば壊れて刃が下りてしまう位のものです。それに,レバーが下りないようなロックとはいうものの,ロックがかかるのはレバーを目一杯上に持ち上げた時ですので,途中の位置では上げ下げ自由です。これは危ない。

・案外精度が低い
 裁断面は綺麗ですが,慎重にしないと,すぐに斜めに切れてしまいます。

・中国製・・・
 中国製がいかん,ということではないのですが,例えばネジが1つ外れていたり,意味不明な部品が入っていたりと,もう少し品質に気をつけてもらわないと,本当に怪我をします。怪我をしたら,きっと大けがになるものだけに,自己責任で済ませるのではなく,そもそも事故が起きないような工夫をするべき商品だと私は思います。

 てな具合に,他の方には一切おすすめできません。かなり慎重に扱わないと,本当に恐ろしいことになるような気がします。

 私も恐る恐る使っていますが,私としてはこの半分の200枚の裁断能力でいいですから,もっと小さく,もっと軽い,そしてもっと安全な製品を15000円くらいで出してもらえないかと思います。普通の用途で400枚は多すぎますし,その性能のために大きく重くなり,しかも事故が起きたときの被害も大きくなりがちです。

 近いうちに引っ越しを考えているのですが,引っ越し前にこの巨大な荷物を増やした事への反省も込めて,こういう変なものを買うときには,注意しないといけないと思いました。

iPadに思うこと

 噂が先行し,おそらくApple自身の計画的なリークによる情報操作に踊らされてきた人たちが多いなか,実際に発表されたiPadには,比較的冷ややかな反応を示す人が多かったようです。

 私自身も,概ね予想通りという印象で,特別にすごいとか思うことはありませんでした。価格についても$499というのは16GBモデルの話であり,IPS液晶という高品位なディスプレイと720pまでの動画が扱える機器として考えた場合,メモリカードスロットを持たず増設が出来ないことから考えても,16GBでは心許ないというのが実際の所ではないでしょうか。

 Appleにいつも感心させられるのは,ある製品を出すという時に,その理由を明確に説明し,そこから与えた商品の役割(大げさに言うと社会的使命)が,どんな問題を解決するのか,と言うロジカルなストーリをきちんと説明する点です。

 他のメーカーでは,簡単にターゲットユーザーと,今回の製品の特徴を箇条書きに述べたくらいが関の山ではないでしょうか。そこから先のストーリは,受け手が考えることになっているわけです。

 そういう状況だからこそ,雑誌やWEB媒体のライターやアナリスト,あるいは評論家という職業が成り立つのだろうと思いますが,Appleの場合にはストーリはすでに公になっていますから,そこから先の話を膨らませて「創作する」うまさが求められるわけで,これはなかなか難易度が高いなあと思います。読む側もAppleの信者だったりするので,中途半端な内容では怒られますしね。

 それはいいのですが,発表直後という事もあり,誰の記事を見ても似たようなことを書いてあり,入ってくる情報(あるいは出しても良い情報)が立場によらず公平に少なく,よって内容の差別化がいかに難しいかがわかります。

 なので私が詳細なスペックを述べても仕方がないのですが,ちょっと気になることをさっと書いておこうと思います。

(1)USBホスト

 あまり触れている人がいないのですが,iPadはメモリカードスロットがない代わりに,30ピンのDockコネクタに直接差し込むタイプの,カードリーダがオプションで用意されます。同時に,デジカメを直接接続できるように,USBのAコネクタをDockコネクタから取り出すオプションも登場します。

 大きさなどから考えると,素直にDockコネクタにUSBホストが出ていると考えるのが普通で,ということはiPadはUSBのホストの機能を持っていることになります。これはiPhoneやiPodTouchとは異なるもので,大きな可能性を秘めています。

 もっとも,物理的にインターフェースが用意されても,デバイスドライバがなければ意味がなく,現在,そして今後どういうデバイスがサポートされるのか気になりますが,少なくともマスストレージクラスはサポートされたという事でしょうから,大容量のHDDなどは接続できる可能性が高いでしょう。

 もし,マウスやキーボードが繋がると幅が広がりますし,GPSモジュールやプリンタやWEBカメラ,USB接続の各種通信ユニット(PHSとかWiMAXとか)などが繋がると,iPadの弱点が克服できることになるでしょう。これはなかなか楽しいことになりそうです。

 大事な事は,iPhoneが完全に受け身なデバイスなのに,iPadはそれでもマスターになる可能性を秘めたデバイスだという事です。あのくらいのリッチなハードウェアであれば当然ついてくるだろうと思えることではありますが,そこを思想や戦略からあえて「否定」してきたのが,これまでのAppleです。


(2)電子書籍

 これについてはいろいろな意見が出ているので私もその程度の話しか出来ませんが,やはりどんなフォーマットに対応するのかということが最大の問題です。Appleのこれまでの考え方として,コンテンツをきちんと押さえるという事を至上命題としてやってきましたから,DRMもオリジナルで,しかもゆるめのものが用意されるのではないかと思います。

 そうするとKindleはもちろん,他の端末で購入したコンテンツが読めなくなりますが,これはiPodでもそうだったので,不思議ではありません。

 ただ,iPadは「高品位なオールラウンド受け身マシン」ですので,音楽専用マシンだったiPodの時とはちょっと事情が違うと思っていて,電子書籍という分野を本気でAppleが押さえ込もうとしているようには,まだ見えません。

 テレビや動画の販売にしても,まだ日本では定着しているわけではありませんから,日本国内でiPadが日本語の書籍を扱えるようになるのはまだまだずっと先の話になるでしょうし,もしかすると実現しないのではないかと思えるほどです。

 思い出すと,iPodはMP3で登場し,後にAACに移行して音楽配信が始まりました。コンテンツ作成という視点から考えると,あるフォーマットへのエンコードという作業が負担になってしまうと,やっぱりそのフォーマットではコンテンツは揃わなくなります。

 音楽の時にはATRAC3にこだわったソニーが失敗したように,電子書籍の分野でもおかしなこだわりを持つことは,命取りになると思います。だから,Appleが本気になるのはもう少し後じゃないのかなあと,思ったりするのです。もっとも,ePubにAdobeのDRMが事実上の標準となる可能性が高いと思いますが,Appleはこれにのらず,iTunesStoreと同じ,ePubに独自DRMという線で来るだろうなと,思っています。


(3)ゲームマシンとして

 これもあまり話に上がっていませんが,iPhoneの成功には,AppStoreの役割が大きいです。あとから機能を拡張できる携帯電話として考え出された仕組みでしょうが,これだけの規模と内容になると,もう機能をコンテンツ扱いしているといってもいいくらいです。

 当然ゲームのプラットフォームとしても注目されているのですが,iPhoneがPSPやNintendoDSなどと同じ程度の能力だとすると,iPadは据え置きのゲーム機,つまりコンソールの能力に近いところに迫ってきます。

 iPadを,1GHzのCPU,64GBのストレージ,1024x768という高精細なグラフィック,そして通信機能を備えた携帯ゲーム機だと考えて,しかもソフトはダウンロード販売だと考えると,いきなりPSPやNintendoDSを追い抜いてはるか先に行ってしまった感じがしませんか。

 SCEもNintendoも,ソフトの配信を軸にしたいという気持ちは強い一方,旧来の流通との兼ね合いがあって,慎重にならざるを得ないところがあるはずですが,Appleにはそんな縛りはありません。これだけでもすごいことだと私は思います。

 そして,USBホスト機能とBluetoothです。これらで専用のゲームコントローラを用意することだって出来ます。AppStoreの,コンテンツを作る側の魅力というのは今さら説明の必要がありませんが,そうやって優良なゲームを集め,それを目当てにiPadを買う人が増える,ということが起き始めると,もうその流れは止まらないのではないでしょうか。

 え,iPadだと大きすぎてPSPやNintendoDSと直接競合しないよ,ですか?いやいや,もし,iPhoneのサイズで,iPadと同じ事が出来てしまったらどうですか。手のひらサイズで720p,手のひらサイズで1024x768ドット,手のひらサイズで1GHzです。そしてそれは明日にでも出来るくらい,現実的な話です。


(4)マルチタスク

 がっかりした人のなかには,マルチタスク(これは携帯電話の文化でのみ通用する表現ですね)でないことを,その理由に挙げる人も少なくないのですが,これは早い時期に実現すると私は見ています。

 iPadのホーム画面には,iPhoneと違ってきれいな壁紙を貼り付けてあります。Apple自身も画面の大きさを意識している証拠だと私は考えていて,それはマルチタスク,あるいは複数のウィンドウを重ねるなど,広さの恩恵を実感できる仕様やユーザーインターフェースを今まさに仕込んでいる,と言うことではないかと思っています。

 どう考えても,iPhoneはHalfVGAという狭い画面を有効に使うに適した,ユーザーインターフェース設計がなされています。これをそのまま9.5インチのXGAに適用してもいいはずがありません。だからiPad用のインターフェースを用意してくると私は思っていました。

 そうするとiPhoneとの共通性が問題になるのですが,ここでiPhoneOS4が大幅に操作体系を変えてくる可能性が浮上してきます。iPadは今は大きなiPhoneですが,iPhoneOS4ではiPadとiPhoneの両方が使いやすいOSになるということです。

 自ずとiPhone4GのCPUはiPadと共通化され,従来機種に比べて画素数も処理能力も上がり,違いは通話機能の有無と手のひらサイズかどうか,だけになります。これまでのiPhoneとの互換性は失われる面が出ますが,時期的にそろそろ世代交代が起きてもいいころでしょう。


(5)CPU

 Apple A4というSoCが使われていることが発表されていますが,詳細は不明です。しかし,連続駆動時間が10時間,スタンバイでは1ヶ月というスペックと1GHzという処理能力から考えると,これは低消費電力にかなり腐心した個性的なCPUであることがわかります。

 iPhoneとの互換性からコアはARMであることは間違いないでしょうし,1GHzで動作するプロセッサコアとして普通はCortex-A9あたりだと思います。

 Cortex-A9は,単純にスーパースカラだとか1GHzだとか,そういう所での性能の高さよりもむしろ,バスの能力の高さに注目すべきと私は思っています。一例を述べると,CPUコアとペリフェラルを繋ぐ内部バスは,データの流れる順番を入れ替えて効率を上げるアウトオブオーダを行う能力があります。高性能なプロセッサの最大の足かせであるバスの高速化を,各社のIPの組み合わせで気軽に利用可能なっているという環境は,なかなか得難いものがあります。

 そしてなにより,PAsemiconductorの買収の成果がこれだった,と言う点です。PAsemiconductorが,DECでAplhaを手がけた人たちが立ち上げたCPUメーカーであったことを知る人は多いと思いますが,かつてのDECはAlphaも,そしてStrongARMも,世界最高のタイトルを取るような,非常に個性的な高性能プロセッサを設計できる強力なメーカーでした。

 最終的にその遺伝子は,AplhaはAMDに,StrongARMはインテルに受け継がれますが,実のところ多くのエンジニアが反発し,会社を興した人もいます。

 かつて,StrongARMを設計した人々のうち,インテルには行かずにMIPS系の低消費電力プロセッサを設計したAlchemySemiconductorもそうです。ここは結局AMDに買収されるのですが,PAsemiconductorも,そんなベンチャーの1つでした。

 これがAppleに買収されたとき,多くの人が「なにをするつもりだ」と思ったようです。なかには「人が欲しいだけだ」という人もいたくらいです。なぜなら,AppleはCPUを内製しないと。

 しかし,結果は違いました。製造は他の会社がやってるでしょうが,設計はおそらく,Appleがやってます。1GHzのコアにXGAをサクサク動かすグラフィックパワー,DDR2やDDR3のメモリコントローラも搭載しているSoCで,あの低消費電力っぷりですから,これは当分の間,Appleの強力な武器になります。

 消費電力が下がるといいことずくめです。電池寿命が延びる,同じ電池寿命なら電池が小さくても済む,すると小さく作る事が出来る上,安く作る事もできます。内部の回路,特に電源回路も小さく安く作る事ができますし,熱設計も簡単になります。消費電力が下がることで,悪い話は本当に1つもありません。

 おそらく,このSoCの設計者は,いい仕事をしたという満足感に浸っているでしょうが,世間の評価がそれほど自分達に向かないことに,がっかりしているんじゃないかと思います。まあ,元DECのサムライが,そんなことを気にするとも思えませんが。


(6)立ち位置と価格

 IPS液晶という高価なLCDを用い,MacBookとiPhoneの間をねらうというのはわかりやすいですが,実はMacBookが$899になっているので,お買い得感はありません。たぶん,次の世代のiPadになって値段も下がり,それでようやく売れるのではないかと思います。つまり,iPhoneのように,ヒットが約束された商品ではないということです。

 iPodではWalkmanの,iPhoneには携帯電話の,それぞれの市場を奪うということが成功の方法でした。しかしiPadには奪うべき市場はなく,売れるためには市場を作らねばなりません。これはとても大変なことです。そして一貫したビジョンと着実にそれを進めるコンセプトが形になるというのも,そうそう出来ることではありません。

 電子書籍の分野1つとっても,おそらく端末の価格が下がり,最終的に会員には無料で提供されるようになるでしょう。そうなったとき,iPadは電子書籍端末として急激にその存在感を失うことでしょう。そこをどうやってカバーするのか,気になります。


 ということで,iPadについて思いつくことをつらつらと書いてみました。1年経ったとき,このiPadがどちらに向いているのか,結果の如何にかかわらず,とても楽しみです。

GPS時計 - 後日談

  • 2010/01/28 17:01
  • カテゴリー:make:

 先日,ここをご覧頂いているある方からメールを頂きました。

 内容は,GPS時計を作ったが動かない,なにか思いつくことはないか,ということでした。

 昨年末にAVRのtiny2313を使ってGPS時計を作り,その顛末をここに書いたのですが,私にしては珍しくソースも公開したので,自分も作ってみようと思って下さった方がいらっしゃったようです。

 最初に申し上げておかねばならないのですが,この日誌は自分のためのメモがわりなので,他の方が見て問題なく制作できるほどの情報を書いていません。今回のGPS時計にしても,実は回路図はどこにも書いていませんし,ソースの変更履歴もありません。さらに掲載した画面の写真は最新のソースのものではありません。

 ということで,誰もこんなの作ってみようと思わないだろうと,不親切きわまりない内容だったにもかかわらず,果敢にも実際に手を動かした方がいらっしゃるとは,ちょっと驚くと共に,申し訳ないなあという気がしました。

 頂いたメールは非常にシンプルで,「SATと20だけが表示されあとは何も出てこない」ということだけが書かれていました。

 うーん,正直なところ,これだけでは原因として思いつくことがあまりに多すぎて,ちょっと答えようがないなあ,と思っていたのですが,まず最初にピンと来たことを中心に答えることにしようと考えました。

 私のお返事は,

----
 その原因として,思いつくものを列挙します。
LCDに表示が出ているので,AVRとLCDは動作していると
仮定します。

 また,ソースは「GPS時計 - 完結編」にある
最新版(起動時にV1.33と出る)であるとします。

(1)GPSモジュールのボーレートを変更していない。
 購入直後の設定は9600bpsなので,これを
 19200bpsに設定する必要がある。(やりかたは
 ぐぐってください)

(2)AVRを外部発振で動かしていない。
 AVR側のボーレートは,内蔵発振では
 補正を入れないと正確にならず,受信出来ない。
 (最終版のV1.33では20MHzの外部発振でなくては
  動きません)

(3)書き込み時のヒューズビットの設定ミス。
 特に外部発振の設定はヒューズビットで行うため
 適切な設定を行う必要がある。

(4)配線ミス。
 GPSモジュールのピン配置は?
 GPSモジュールの信号レベルは?
 GPSモジュールは動作している?
 単純な配線ミスは?
----

 としました。

 ピンと来たというのは(1)もしくは(2)の話で,表示も出ていることからAVRは動作しているし,通信が出来ていない時にこの症状になることは私も経験しているので,この2つを確かめてもらおうということにしたのです。

 とりわけ(1)は,GPSモジュールに手を入れて,ボーレートをデフォルトの9600bpsから19200bpsにしないといけないことを詳しく書いていなかったので,可能性は低くないと思いました。

 (2)も実際に実験したのですが,内蔵発振器でクロックを用意する場合,その周波数は結構ずれるため,正確なボーレートになってくれません。それでAVRライタを使ってある領域に書き込まれている補正値を読み出し,その値を周波数補正レジスタに書き込んで8MHzを作る事が必要になります。

 私が実験したというのは,あるチップで有効な補正値を別のチップに書き込んだらどうなるかだったのですが,予想通りボーレートも狂ってしまい,受信が出来なくなりました。結構面倒な話なので,私はUARTを使う場合には外部に発振子を用意しようと,この時から考えるようになりました。

 (3)は今回の現象を直接引き起こすか確証はないのですが,私の思うAVRの欠点の1つだと思うことでもあるので,書いておきました。

 AVRもマイコンですから,ソースをコンパイルしバイナリを生成し,これをライタで書き込むことで動くようになります。ただ,AVRの場合それだけではだめで,書き込み時にライタによってヒューズビットを設定しなければなりません。

 私が嫌だなと思うのは,ヒューズビットの設定をファイルに保存しておけないことです。ソースもバイナリも保存できるので残しておけますが,ヒューズビットはメモで残すか,テキストファイルで残すかした上で,ライタにいちいち設定しないといけなかったりします。(なにかいい方法があるのかも知れませんが,ライタによらない共通のフォーマットで保存出来なければ意味がありません)

 しかも,ヒューズビットの設定をあやまって,外部発振子を使わずに外部発振モード設定にしてしまうと,ISPでの書き込みが出来なくなってしまいます。ごく普通に使われているライタはISPですので,それしか持っていない人にとって,復活の方法がないという恐ろしい状況がおこります。

 チップごとに設定が異なっていて,しかもマイコンが動作する前に設定をしないといけないような部分があって,そこをヒューズビットにするという考え方は普通だと思いますが,それならそれでAVRstudioでヒューズビットの設定を行う事にし,バイナリと一緒にヒューズビットの設定ファイルを生成して,ライタはそれらをただ書き込むだけ,と言うふうにしてくれた方がよかったと思います。

 まあ,そんなことを言っていても仕方がありませんが,とにかくヒューズビットは回路によっても変わってくるので,作った方に再確認をしてもらうしかありません。


 翌日,お返事を頂きました。

 無事に動いたという事です。よかったよかった。

 原因は,GPSモジュールのボーレートを変更していなかったことにあったとのこと。私の勘もなかなかのものです。

 一緒に,正常に動作した状態の写真も送って下さいました。LCDは秋月あたりでよく売られているものをお使いのようですが,私はデジットで買った大きめのものを使っているので,同じ画面が小さい液晶で表示されたものを見るのは当然初めてです。

 こうしてみると,自分が作った覚えのないものが,同じように動いているのを見るというのは,なんだか不思議な感覚になります。自分が手を動かして作ったものは,やっぱり強い記憶に残りますから,写真を見てもなんとも思わないのですが,自分が作っていないものが同じ動作をしているのをみると,「あれこんなのいつの間に作ったのかな」という感じになるのです。

 もしかすると,突然「あなたの子よ」と子供の写真を見せられたら,こんな気分になるのでしょうか。

 私は,自分の電子工作は,自分が楽しかったらそれでいいという動機でやっていることなので,積極的に他の方に作って頂こうなどと思ったことはありませんから,今回のことは意外だったなと思うのと,こんなものでも興味をもって作ってみようと思って下さった事が,素直にうれしいと思いました。

 余談ですが,エレキジャックのNo.16に,私も使ったGPSモジュールであるGT-720Fを使って,GPS時計を作った例が記事として出ているようです。

 なぜかある領域でブームになってるニキシー管を使っているのも売りのようですが,私が疑問なのは,GT-720Fのような1PPS出力がないモジュールを使っておきながら,正確とか原子時計レベルとかいっていいものなのかな,ということです。

 GT-720Fというモジュールは,1/10秒や1/100秒の桁がゼロになっている時刻にだけ,時刻情報を送信してくるというわけではありません。

 つまり,12時12分12秒00という時刻情報が送られて来るとは限らず,12時12分12秒99といった,1/10秒や1/100秒の桁が0以外の時刻情報を送ってくることがあるということです。

 だから,単純に受信データのうち,1秒から上の桁を表示するだけでは,最悪1秒近いズレを発生させてしまうことになります。

 そりゃそうですね,GT-720Fは,12時12分12秒99の時点で「12時12分12秒99ですよ」と時刻情報を送信しているに過ぎませんから,受けた側がそれを勝手に12時12分12秒と表示したら,約1秒ずれますわね。私はここで,随分苦労しました。

 エレキジャックには最近愛想を尽かしてしまっているので買っておらず詳細は分からないのですが,ちょっとだけ気になってサポートページにあるソースを見ると,特別な処理は行っておらず,1/10秒以下を単純に切り捨てて表示させ,結果的に最大1秒のズレを発生させる可能性があります。

 もちろん,私がやったような方法で1/10秒以下を考慮しても,1PPS出力がなければGPS衛星に搭載される原子時計に同期したパルスを手に入れられませんから,12時12分12秒00になってから12時12分12秒00と送信されたデータを受信して表示をしているようでは,どうしたって遅れが生じます。これはGT-720Fを使う限り避けようがありません。

 なのに,原子時計レベルの正確な時計だ,というのはかなり無理があるように思います。私がおかしいのかなあ?

 みんな,電波時計なんかと比較しないんでしょうか・・・作りっぱなしで比較もせず,GPSで得られる時刻情報は原子時計レベルなのだという知識だけで,盲目的に自分の作った時計も正確だと信じちゃうのでしょうか。

 さて,同じ電子回路の設計技術を持つ者でも,量産品を設計するプロと,アマチュアとの間には大きな差があります。プロは1000個や10000個を「同じように」「効率よく」作る事を前提として設計を行う事になります。アマチュアは1つ動けばそれでいいので,極端な話,全部の抵抗を可変抵抗にしても別に構いません。

 こうした差から生まれる決定的な違いは,プロは記録を残すことも仕事と考えていることです。自分がいなくなっても同じものが作れるようにするには,詳細な記録がなくてはなりません。それが回路図であり,ソースコードであり,履歴であり,各種のドキュメントです。

 アマチュアはこういったものをあまり積極的に残しません。プロは,残すだけではなく,誰が見ても同じ結果になるように,決まったフォーマットで残す事を求められます。

 仕事なんだから当たり前なのですが,何が言いたいかというと,アマチュアも,しっかりしたドキュメントを残すべきだということです。私もGPS時計について,自宅にはちゃんとした資料を残しています。

 最近,電子工作を楽しむ方が増えているようです。それはとてもよい事ですし,長年楽しんでいる私にとっても心強いものがありますが,設計,製作,測定,考察,というプロセスをきちんと踏んで,それらをきちんと記録して残しておくことを特におすすめしておきたいと思います。

 必ず次に繋がりますし,飛躍的にその人の技術力を高めます。なにより,後で読み返したら面白いですよ。

 とくにオーディオマニアでアンプなどを自作する人に言いたいのですが,地に響く低音とか伸びのある高域とか静寂が身を包むとか躍動感あふれるとか艶やかなボーカルとか,そんなことを「作った結果」として誇らしげに言ってるだけじゃ,ダメですよ。

ギガビットのハブを導入

  • 2010/01/19 11:19
  • カテゴリー:散財

 プラネックスの直販サイトで時々行われているアウトレット販売で,ギガビット用の5ポートハブが1つ2700円だったので買ってみました。

 5ポートですから今時特別安いと言うわけではないのですが,AC電源内蔵,消費電力3.3W,ファンレスで電解コンデンサに日本製を使用,と長期間の使用を前提にすれば価値の出てくる製品です。

 特にこの3.3Wというのは重要なポイントです。

 私が自宅の現在のネットワーク環境を整えたとき,5ポートの100Mのハブを2つ使って,モデム/ルータからまず1つ目のハブでサーバにつなぎ,そこから長いケーブルで別の部屋に引っ張り,その部屋の別の5ポートハブでPS3やPC,WLANにつないでいます。

 24時間動かすハブですから,ファンレスは当たり前として,消費電力が小さい事を狙って探したのが,プラネックスのFX-05Pという製品で,最大2Wです。当時ここまで消費電力の低いハブはなかなかなかったことを思い出しました。

 後にもう1つ必要になって買いに出かけましたが,その時はFX-05Pが終了し,FX-05P2になっていました。残念な事に,消費電力は最大で5Wと増えており,FX-05Pには付属していたUSBからの給電ケーブルも付属しなくなっていました。(ただし,現行のFX-05miniだと最大1.8Wまで小さくなります。)

 やむなくFX-05P2を買ったのですが,その後アウトレットでFX-05Pを見つけ,これを買って入れ替えることで,我が家のネットワーク環境は落ち着きます。

 しかし,一昨年だったと思うのですが,突然ネットワークが繋がらなくなってしまいました。調べていくとどうもハブが壊れているっぽいです。外してあったFX-05P2に交換すると復旧しますので,これはもう壊れたと判断するしかありません。

 FX-05P2の消費電力が5Wもあることを気にしていたところに,ギガビットのハブで3.3W,しかも2700円という今回の話があって,飛びついたという話です。

 とはいうものの,我が家のギガビット搭載マシンはMacBookProのみです。しかもこれはWLANで繋がっていますので,このハブの最大の特徴であるギガビットの恩恵を,全く受けることが出来ません。ちょっと惜しい気もしましたが,まあいいでしょう。先行投資です。

 結局2つ購入しましたが,FX-05Pが1つ壊れていませんので,今回リプレースするのはFX-05P2のみとし,1台は新品のまま温存することにしました。

 交換はわずか15秒で,交換前後でなにも変わったことはありません。

 例えば,大きな動画のデータをやりとりするとか,NASを用意したとか,そういう事になるとギガビットの価値が出てくると思います。そのためには,クライアントもギガビットにしないといけませんが,WLANの便利さを知ってしまった以上,ワイアードである煩わしさに打ち勝つ速度上のメリットが出てこないと,切り替えは難しいかなと思います。

 本当は地デジマシンをギガビットにするといいのでしょうが,PCIスロットは埋まっていますし,USBで繋ぐのも抵抗があるので,まだ思い切っていません。

 まあ,そのうち引っ越しをして,ネットワーク環境も再構築となるでしょうから,その時にギガビットに出来るものから考えてみたいと思います。

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