エントリー

ユーザー「gshoes」の検索結果は以下のとおりです。

中学受験というものを経験する前に考えたこと

 東日本大震災の年に生まれた娘もこの春に小学校を卒業し,中学校に進みます。

 生まれたその日から毎日違った姿を見せる娘を観察し続けることは,私の何よりの幸せでしたが,おそらくそれはそれまでの経験から類推できる未来とは異なり,知らないこと,分からない事の連続だったから,そう思えるのかも知れません。

 無論いいことばかりではありません,頭にくることも,どうしていいやらわからなくなることもたくさんありましたが,それでも我々の娘はとても「いい子」でしたので,振り返ってみても大変だったと思い返すようなことは少なく,むしろ後悔や反省が私を責めることの方が多いと思います。

 つくづく思うのは,子どもと一緒に過ごすことは,親の特権であるという事です。もちろん親なんだから当たり前の事なのですが,親という理由だけで子どもと過ごすことが許されるというのはなんと楽しい事か,なんとうれしいことかと思います。

 特に我々夫婦は遅くに結婚し,人様よりも10年は遅れて子育てに臨みました。私たちのような年齢の人間でもこれだけ自分と自分の周辺を抑えるのに苦労したことを思い返すと,もし私が人並みに10年若く子育てに挑んだなら,およそ務まらなかったんじゃないかと思います。

 そう考えると,世の中のお父さんお母さんというのは,本当によく頑張っているなあと感心するわけです。


 閑話休題。そんな子育てのイベントの1つに,進学というのがあります。義務教育であればほっといても小学生や中学生にはなるわけですが,高校からはそうはいきませんし,与えられた進路ではなく積極的に選び取る進路であるなら,そこに受験という自己研鑽と残酷な競争の世界があることから目をそらすわけにはいきません。

 我々夫婦は競争心も向上心も少なく,子どものお尻を叩くことをしませんでしたし,まして自分たちの名誉や都合で子どもの時間の使い方を決めたりするようなことはしませんでしたが,当然のこととして自分たちの成功体験(あるいは失敗体験)から,こういう選択肢を選んで欲しいと考えていたことはありました。

 ピアノを習ってもらったのもその1つで,嫁さんはピアノをきちんと習った事から,私は習わなかったことから,ピアノを習って欲しいと考えました。その目的はシンプルで,練習は裏切らないことを実体験してもらう事と,上手いとか下手ではなく,自分の頭の中で鳴っている音を表現する手段を持って,たとえひとりぼっちになっても楽器を絶対に裏切らない友人として一生付き合って欲しいと思ったことにありました。

 同じ文脈で,ぜひ進んで欲しい進路が,女子校でした。嫁さんは女子校の出身者で,周りに男がいないから,男に頼ることができない,故に自分たちでなにかをやるのが当たり前になったと言っています。その通りでしょう。私にも経験がありますが,自己顕示欲の強い年代の男というのは,なにかと女の子の前でいい格好をしがちなもんです。

 いや,やってくれると言うんだから任せりゃいいんだと思うのですが,それはやる側の視点です。見方を変えれば,経験するチャンスを奪う行為であり,それはつまり同じ経験による体験の共有を損なわせる行いです。

 過去に同じ事をやった人間同士の会話を想像するとわかりやすいですが,「あるある」で盛り上がるためには,同じ経験をしないといけません。それは楽しいだけではなく,同じ経験をしたものとしての連帯感も生まれますし,価値観の共有も起こります。

 しかし,その経験を肩代わりした人と,肩代わりさせた人が顔を合わせた時,両者の間には,同じ経験による体験の共有がないばかりか,やった人とやらなかった人という経験の差に加え,やってもらった人とやらされた人という精神的な違いも生まれ,そこに上下関係が生まれかねません。

 私の嫁さんはこのあたりに実に敏感で,こうした事柄から自分を振り返り,かつ自分の娘に良い人生を歩んで欲しいと願っています。

 私は私で,13歳から18歳までの,なにをやっても楽しく,なにをやっても上達するこの時期に,高校受験に邪魔されることなく青春を謳歌して欲しいと思った事と,同じ理由でそのエネルギーを不用意に異性からの視線に邪魔されることなく使い切って欲しいと,女子校に進むことを願っていました。

 いやね,10代というのは良くも悪くも異性の目が気になるじゃないですか。例えばですよ,乗り鉄の中学生と,ギターが弾ける中学生と,どっちがもてますか?

 自分の楽しい事を,異性からの目が気になって我慢したり隠したりすることって,しんどいことだと思います。

 大人になれば,互いの趣味や自分との違いを楽しめるようになるものでも,10代はなかなかそこまで出来ません。自分との違い,多数派との違いを「気持ち悪い」とか「怖い」と考えるのは人として自然な事ですし,多数派に属するための行動や努力はそれはそれで経験で,その先にある安心感や楽しさには大きな価値があります。

 でも,出来れば自分のあり方は,否定されるのではなく,歓迎されたいじゃないですか。あわよくば互いに尊敬し,互いに一目置き合う関係が続けば,きっとそれは生涯の友となるでしょう。

 私は共学でしたから,同じ趣味の人と誰憚ることなく行動するチャンスを,クラブ活動で得ることが出来ました。彼らとは今でも友人であり,尊敬しています。

 端的に言えば,女の子にもてるかどうかが絶対的価値になるのではなく,それぞれの趣味や人間性を互いに認めて高めていくことに価値があるという,大人の世界ではごく当たり前のことを,最もエネルギッシュな時期にやって欲しいということです。

 もてるために費やすエネルギーは膨大ですし,もしそのエネルギーを別の事に使えても,共学だと異性の目が気になるでしょう。もてない状況に納得するために,ある種の割り切りを必要としたり,自らを卑下するような考えに陥るかも知れません。

 それも青春ですが,邪魔されずに何かに没頭するのもまた青春です。

 中高の6年間を,雑音なしに集中出来る期間に出来るなら,これほど素晴らしいことはないでしょう。そのために私が考えたのが,中高一貫の女子校だったというわけです。

 私は男ですから,女子校は経験がありません。裕福でもなかったですから中高一貫の私学も全く知りません。そこは,経験者の嫁さんの目利きを信じて,自分の娘が雑音のない空間で,自分を磨いていく姿を早いうちから想像し,娘の進学と受験を能動的に考えてきました。

 その結果が,この2月の受験で結論されたわけです。

 こうした受験に至ったバックボーンのようなマクロな視点も,算数の難問を一緒に解くことや日々の宿題の多さに絶望すること,体調やメンタルの維持といったミクロな視点も,とにかくすべての結果が出たのが2月です。

 悪い言い方かも知れませんが,小学6年生の2月というのは,我々親にとっても,これまでの子どもとの接し方が評価されるタイミングの1つであったと,思います。

 ならば,これを振り返る意味は大きいでしょう。

 人の親になることのしんどさの1つである,進路と受験について,次回振り返っていこうと思います。

 

さらば懐かしきドコモよ

  • 2024/02/13 12:09
  • カテゴリー:備忘録

 先日,長年世話になったNTTどこ門い別れを告げました。

 思い越せば1997年初夏,PHSを呼ばれる日本生まれの移動体通信システムに加入,当時NTTパーソナルと呼ばれたキャリアとの契約をスタートしたのが始まりでした。

 PHSは私には何の不満もないシステムでしたし,特にPDAをネットに繋ぐには最適なシステムだったこともあり,これが消えるのは寂しい思いがあったのですが,時代は確実に移り変わり,私も2001年7月にはPDCと呼ばれた2G携帯電話に乗り換えるためNEEドコモと再契約,3Gに移行してからは今日までずっとガラケーと共にありました。

 3Gでは音声通話は専用の回線と交換網を使うことになっていたので信頼性が高いと勝手に思い込んでいて,スマホの時代が来てもガラケーを解約しなかったのですが,3Gのサービス終了の足音も聞こえる中,娘の進路が決まったことでこの際見直すことにしました。

 ガラケーの時代には激しい価格競争があり,1000円/月で家族間通話は完全無料だったので,私が2回線契約し,1つは母親に持ってもらっていました。これがスマートフォンだとこうも行かず,5000円/月はいくら何でも携帯電話嫌いの私には納得出来ないものがあり,ズルズルと今まで来てしまった感じです。

 もっとも,私もスマートフォンは使っていますが,IIJmioの格安SIMを使って800円/月ほどで維持している程度で,本音を言うとこれでも全然困っていません。

 ただ,こうやって整理をしないで時間だけが過ぎた結果,近いうちにやってくる3Gの終了に対応しにくくなっていることもまた事実でした。

 そんなわけで,娘がスマートフォンを持つようになることをきっかけに,このあたりの見直しをすることにようやく重い腰を上げたというわけです。

 もちろん,素直にガラケーからスマートフォンに機種変更するだけというのが一番簡単なのですが,それは急に料金が跳ね上がります。その割に出来る事は変わりません。

 昔話で申し訳ないですが,かつての携帯電話会社というのは,利益をきちんと研究開発に回して,世界をリードするような技術を生み出していました。面白い端末もメーカーと共同開発していましたし,操作性も信頼性もキャリアであるNTTドコモが保証してくれていたので,私は彼らの姿勢に納得して契約をしていたようなものです。

 それが今はどうでしょう,研究開発への投資は特許件数や国際規格への貢献で判断出来ますが,もはやかつての存在感はありません。

 端末の開発似ついては言うに及ばず,日本のメーカーが全滅するのも時間の問題ですし,海外メーカーは日本のキャリアのいう事など聞いてはくれません。

 そう,ここに至って,キャリアは完全に土管の維持会社に成り下がったのです。

 そして利益は,dポイントの原資です。

 バカバカしい,こんなことに長期契約者の利用料金が使われるなんて話になりません。私は27年間という長きにわたってお付き合いしてきたNTTドコモとの縁を切ることを決意するに至ったのでした。

 土管なら格安SIMで十分です。そこで現在何の不満もないIIJmioを使うことにします。

 あいにくこれまではデータ通信専用なので,これは廃止することにします。その代わり現在の電話番号でMNPを使ってIIJmioと契約,ここで安く買えたiPhoneSE(3rd)を娘に回して,娘は娘でIIJmioと新規契約です。

 プランは5GB,5分間の音声定額を付けました。これで1500円/月です。これまで音声に1300円,データに800円だったものを整理するとかえって安くなりました。

 家族割引目当てだった母親の回線は完全に解約。MNPでの移行する事も考えましたが,すでに母親には母親名義でスマートフォンへの移行を済ませてもらっていますし,その番号を誰かが引き継いでも気持ち悪いので,私名義の回線は解約するのが一番です。

 その結果1300円が浮きました。これを娘の通信料金に割り当てます。結局私と娘の合計は3000円/月程度になりますが,これまで2回線+データ通信で3600円/月を負担していたことを考えると,なかなか上手くまとまったと思います。

 IIJmioはキャンペーン中で,半年間は500円の割引中です。つまりざっと3000円の割引ですが,これは初期契約料金を無料にしてくれたと考える事が出来るので,その点でもすっきりします。

 大手キャリアはなにかとオプションが面倒ですし,値下げしたとは言っても光ファイバと一緒に契約しないといけなかったり,2年で端末を返す(というより交換する)必要があったりと,なにかと制度上の難しさがついて回ります。

 私が欲しいのは,日々の「繋がっている」という安心感です。毎日の繰り返しが欲しい中で,知らず知らずに積み重なった時間を記憶して,そろそろ端末を買い換えないと名後か,煩わしいのです。

 賢い人が知恵を絞った結果なのだと思いますが,私にはその賢い人の考えにはついて行けません。必要なサービスを妥当な価格で提供してくれることだけを私は望んでいるのです。

 少し残念だったのは,私のIIJmioのデータ通信も,実は契約10年だったことです。先の法改正もあり,IIJも長期契約者へのサービスが可能になりました。なにか検討しているという社長の発言もあり,本当は10年の契約を切ってしまうべきではないのかも知れません。

 しかし,こういう縛りがないことが格安SIMのいいところのはず。IIJmioは大きくなりすぎて,初心を忘れつつあるのかもしません。

 大手格安SIMでも,エンジニアがblogを書いてユーザーに情報を発信しているIIJ。私は彼らがMVNOとしての使命を忘れずに,長くお付き合いできることを望んでいます。

 

二度目のUPSの電池交換

 昨年11月,高校の時の友人達とオンライン飲み会をやっているときに,突然けたたましい電子音がなり始めました。友人達も「大丈夫か」と心配してくれたのですが,当の本人は酔いが回っていたこともあり,原因はおろか,どこで鳴っているのかもをなかなか特定出来ず,判明したのはオンライン飲み会が終わってからでした。

 発生源は,無停電電源のBX35XFVでした。電池の交換時期を知らせるアラームが鳴っていた,というのが原因でした。

 このUPS,そういえばかつて,確か正月だったか,同じような電池の交換時期の警告が出て交換したことがあったのですが,艦長日誌を調べてみるとなんとちょうど10年前,2013年の1月に交換をしていました。

 そこには2003年に購入したとあるので,前回の電離交換から10年,本体は実に20年も使っていることになります。いやー,20年ですよ,20年。

 今手元に20年前のものがありますか?ましてそれが現役だったりしますか?

 私が若い頃,20年前の物と言えばもう古くさくて使い物にならず,動いたとしても買い直した方が全然便利で安くつくというのが当たり前でした。色やデザイン,文字の形や商品名だって,一目で嫌になるくらい古くさく感じたものです。

 それがこのBX35XVFはどうです,現行の機種と見た目もそんなに変わらないじゃないですか。出来る事も変わりませんし,変わったのはお値段くらいのものです。

 こういうところでも,進歩のなかった日本を痛感するのです。ああ失われた30年。

 とりあえずブザー停止ボタンを押して警告音を止めて,同じボタンを長押しして手動テストを行ってみますが,警告は出ません。しかし次の警告に備えて新しい電池を要しておくことにしました。

 ところが交換用のBP50XFを探してみると,すでに廃番。どこにも売っていません。20年も前の本体ですから,すでに壊れたり置き換えられたりしているのが大半で,今さら交換用のバッテリーなどを用意するのはむしろ危険だったりするかもしれません。無理もないことです。

 しかし,あきらめが付かない私は,このサイズの小型シール鉛蓄電池を探して見ることにしました。自動車用の中国製バッテリーを売る会社のものがなかなか良い感じだったので手配したのですが,2つ必要だったことがわかり一旦キャンセル。3350円の電池が2つですので7000円ほど,これに処分のための回収必要まで考えるとお得とは言えない金額でした。

 さらに探してみると,現行機種用の交換用のバッテリーが見つかりました。経常や仕様は同じなのですが,どうもコネクタの形状が違うらしいです。12000円ほどもするので気にしてもいなかったのですが,あるサイトで9841円という特価を見つけてしまい,急いでこれが使えないかと検討を始めました。

 BP50XFで使っている電池は,規格としては6V7Ahの鉛シール蓄電池です。ユアサなんかではNP7-6と呼ばれているものになります。標準品なのでメーカーが違っていても大丈夫でしょうが,現在使っている物はパナソニックのものでした。

 さすがは日本製,10年も使えたんですからもう十分です。

 現行機種の交換用のバッテリーはBXB50Fというものですが,これも同じ仕様です。コネクタの違いは,旧品のケーブルごと入れ換えてしまえば問題ないはずで,一応オムロンが採用した電池ですし,廃電池の無料の引き取りサービスがあることを考慮すると,BXB50Fが9481円なら下位でしょう。

 果たして数日後に届いたBXB50Fは,大きさや電気的な仕様は全く同じ,話の通りコネクタだけが違っていましたが,あとはなにも変わりません。電池のメーカーは残念ながら中国のメーカーでしたが,それもまあオムロンのお眼鏡にかなっているのであれば,信じるに足るでしょう。

 実際の交換作業は次の警告が出てからと思っていたら12月末に警告がでました。この時も手動テストはパスしたのでそのまま使うことにしたのですが,さすがに今回も同じように警告が出てしまえば,もう諦めるしかないでしょう。

 さっさと電池を本体から外し,ケーブルを交換します。電池のターミナルに刺さっているだけのケーブルですから,交換などは簡単な作業です。

 電池の用意が出来たら本体にセット。こちらも問題なく終わって手動テストを行うとこれもパス。あっけなく作業は終わってしまいました。

 作業後,何気なく調べてみると現行品が新品で12000円ほどで買えたんですね。電池が10000万円ですから,2000円ちょっとで本体ごとの新品になるなら,その方が良かったかもしれません。

 そんなことを言っていても始まりません。すでに3回目の電池で運用は始まっています。本体も壊れる気配はありませんし,このまま使えるだけ使うことにしましょう。

 この電池も10年持つとうれしいのですが,そうするともう娘は成人しています。前回の交換では,アラームがお昼寝中の赤ちゃんの娘を起こしてしまいましたが,今回は小学生です。

 次は大人ですか・・・人の一生とはかくも短いものだなと,思います。

 

実に微妙なSEQTRAK

 毎年恒例のNAMM SHOWの足音が聞こえてくるこの時期になると,世界中の電子楽器メーカーから新製品が発表になります。ここ10年ほどは大きなメーカーではなく,小さなメーカーが発表する物にも面白いものがあり,油断なりません。

 そんな1月17日,日本が誇る総合楽器メーカーにして,電子楽器の最先端を走る,VOCALOIDの生みの親,ヤマハから,興味深い楽器が発表になりました。

 SEQTRAKです。

 姿形からはどんな楽器か想像できません。鍵盤はなく,ディスプレイもありません。光り物は存在をアピールせず,どちらかというとツマミ類が目立ち,それらがグレートオレンジというかわいらしい色に塗られた横長の筐体にならんでいます。

 お値段55000円。安くはないけど,高くもないという印象・・・

 なになに,直感的な操作でアイデアをすぐに形にするミュージックプロダクションスタジオ?よくわからん。

 こういう商品は何が出来るかを知るのはなかなか難しく,従ってスペックを見ていきます。とりあえずAWM2の128音ポリというのはわかった。4オペのFM温顔があることもわかった。で???

 パッと頭に浮かぶのはQYシリーズです。VHSカセット(といっても多くの方はわからんでしょうが)サイズにシンセサイザー,ドラムマシン,シーケンサーを統合して,いつでもどこでも電車の中でも音楽制作が可能なガジェットとして登場した初代QY-10を皮切りに,小型のオールインワン音楽制作マシンとしてよく使われたシリーズです。

 とはいうものの,MIDI機器を繋いで本気で音楽を作っている人やキーボードを自在に演奏出来る人は案外持っておらす,持っているのはギタリストなんかの非キーボーディストで,しかし結局彼らはQY-10の複雑な操作をマスターできずに,後輩に法外な値段で売りつけることが散見されたように思います。私の周りだけかも知れませんが。

 かくいう私もQY-10には興味を持ったものの,店頭で音を聴いて買うのをやめました。その後QYシリーズは何世代か出たようですが,その頃にはすっかり興味を失っており,気が付いたら新品を買うことは出来なくなっていたのです。

 そう思うとQYシリーズを買わなかったことが悔やまれてきます。実際,大げさなMacなりPCを立ち上げてケーブルを配線し,大きな鍵盤に向かい合って「やるぞーいっぱーつ」と音楽を作ることはなかなか面倒になっています。

 見ればSEQTRAKなるものは小さく,電池で動き,音もなかなか良さそうな感じです。しかも128音ポリですから,同時発音数のやりくりをしなくても済みそうです。

 予約開始は1月19日,発売は1月26日という事ですが,きっと初回は売り切れ必至でしょう。QYシリーズも迷っているうちに買い逃しているわけですから,ここは買って後悔するべきではないかと予約をし,あれよあれよという間に1月26日に品物が届いてしまいました。

 もちろん,購入(予約)までのマニュアルは目を通し,動画も見てはみましたが,やっぱりよく分かりません。私の疑問は主に2つ,シンセサイザーのトラックが2つ,FM音源を入れても3つしかないのにどうやって音楽をつくるんだという点と,パターンを16個しか並べることの出来ないシーケンサーでは窮屈過ぎて音楽なんか作れないだろうということでした。

 ついでにいうと,ベースとメロディをどうやって打ち込むのかもさっぱりです。

 でもまあ,BluetoothMIDIにも対応するし,USBもついているんだから,最悪MICRO KEY2 Airを繋いでスタジオ用最小セットとして練習に使えるかもなと,割と簡単に考えていました。

 届いたところで私は,途方に暮れてしまいました。

(1)このマシンはループ音楽を作るものだった

 なにを今さら,な話で恥ずかしいのですが,このマシンはループで音楽を作る繰り返し演奏マシンです。さらにいうと自動演奏を行うためのマシンではなく,バッキングを延々ループで演奏させ,プレイヤーはリアルタイムで音色を変化させたり並べるパターンを変更して「パフォーマンス」する道具です。

 なので,アイデアを形にといっても,そのアイデアが荘厳なオーケストレーションだったり,複雑なコードプログレッションだったり,100年に一度のメロディラインだったり(大げさですが閃いた瞬間は本当に100年に一度と勘違いするものです)すると,このマシンでは全然形に出来ません。


(2)実は何にも繋がらない

 少なくともV1.10では,BluetoothMIDIもWiFiもUSBも,外部のキーボードやシンセサイザーに繋がりません。あくまでPCやスマホの専用アプリと接続するためのものと割り切った方が良さそうな感じです。

 以前にも書きましたが,私はコルグのMICRO KEY2 Airを持っています。しかし,USBかBluetoothでしか繋がらないという制約が弱点となり,ほとんど使い物になっていません。(キーそのものも弾き心地が悪いですが)

 これがSEQTRAKで使えると便利だと思ったのですが残念ながらBletoothでもUSBでも接続出来ませんでした。

 ならばとMIDIとBluetoothMIDIを変換するコンバータをSEQTRAKに付けてみたのですが,あいにく電源供給の問題から機能せず,こちらもアウト。

 こういう時,レガシーなMIDIというのは繋げばとりあえず音が出るという汎用性があり,信頼出来るんですよね。

 結局,MacをハブにしてSEQTRAKとMICRO KEY2をそれぞれUSBで繋ぎ,ようやくSEQTRAKに鍵盤を繋ぐことが出来たのでした。

 ここで分かった事があるのですが,リズムトラックのMIDIチャネルがちょっと使いにくくて死にそうでした。

 SEQTRAKはトラックごとにチャネルを分けています。このルールで行けばKICKはCH1,SNAREはCH2と言う具合になるのもわかるのですが,伝統的にリズム楽器は同じチャネルでノートで鳴らし分けますから,本当にトラックごとに楽器を分けられてしまうと打ち込む気が失せてしまいます。

 出来ればチャネル10にリズムキットを組んでもらって,GM準拠の配列でノートに振り分けておいて欲しいです。アップデートに期待です。

 それからシンセパートです。こちらもトラックが2つしかないので2つのチャネルしか使えません。これだと実質2つの音色しか使えませんから,ベースとコードを割り当てたらもうメロディーを割り当てられません。これじゃーマルチ音源としても使い物にはならないです。128音ポリが泣きます。


(3)音は結構すごかった

 そのシンセパートですが,音の良さに正直驚きました。AWM2は音が薄くて私は気に入りませんでしたが,それはもう昔の話。クオリティも高いですし,波形編集のセンスも抜群で,使える音がバンバン入っています。ストリングスもブラスも素晴らしいですが,トランペットやバイオリン,ギターと言った単独の楽器がこれほど使える音で入っているとは思いませんでした。バンドを始めた高校生は迷わずヤマハの10万円クラスのシンセサイザーを買うのが良いと思います。

 それからFM音源です。4オペといえばOPNやOPMのイメージしか持っていなかったので,これほどしっかりしたいい音が出るとは思ってませんでした。すみません。

 というのも,おそらくですがエフェクトの品位が良いからだと思います。個人的に,ヤマハのエフェクターは昔から好きで,空間系のエフェクトが好みでした。それは今回のSEQTRAKでも変わらないと思います。

 これにミニ鍵盤を組み合わせて鞄に突っ込めば,持ち運びに困らない練習セットが完成するでしょう。音も抜けがいいのでアンサンブルでも負けないと思います。


(4)アプリは必須,でも重すぎ

 操作系が独特で,ヤマハの狙いはこんな操作系でもマニュアルを見ずにサクサク操作できて思い通りに使える事にあったのでしょうが,それはどだい無理な話で,何をやっているのかさっぱりわかりません。

 ボタンもツマミも多すぎるし,今どんな状態にあるのかもわかりません。LCDなどのディスプレイをあえて搭載しなかったのはシンプルさを追求したかったんだと思いますが,ではなぜもともとディスプレイを持たなかった電子楽器に,今は巨大なディスプレイが搭載されるようになったのかを,本家本元らしく考え直して欲しいと思います。

 で,そのディスプレイの代わりとなるのが,アプリです。私はMac版を使いましたが,もう重いのなんの。M1を搭載したmacBookAirなのでまだまだ現役だと思っていますが,それでこの重さはもう市場に出したらダメなレベルです。

 しかし,このアプリがないと効率が悪くてなにもする気が起きません。ないと困るのに使うと困るという最悪の状態は真っ先に解決されねばならないでしょう。

 なお,接続はBluetoothでもOKなのですが,データのやりとりにWiFiを使うので,結局WiFiの世話になることになります。面倒くさくて死にそうです。


(4)てことで

 自分で鍵盤を弾ける人にとっては苦行です。自分のやりたいことがさっと出来ない事へのフラストレーションは想像以上の苦しさで,なにゆえこんな窮屈な仕組みに従って自分の好きな音楽を作らねばならんのだと怒りさえ感じました。そもそもこれは制作なのか,演奏なのか?

 思うに,良かれと思って作った箱があまりにきっちりしすぎていて,そこからはみ出すようなことは全く出来ません。そういう制約を超えたところにハック魂がみなぎる物なんでしょうが,それってこの商品のコンセプトとしては完全にハズレです。

 私は結局,MacでDP11を立ち上げ,MICRO KEY2とSEQTRAKをUSBで繋いで,SEQTRAKの内蔵音源を楽しみ,そこから沸いたインスピレーションで音楽を作り始めました。結局時間切れで完成しなかったのですが,いったい私はこのマシンで何をやっているだろうと,なんだかバカバカしい気分になりました。

 いやね,16パターンしか並べる事の出来ないこの手のマシンだからこそ,出来る音楽があります。無限トラックかつ無限小節はあまりに制限がなさ過ぎて,手の付けようがないものです。

 だから音源には妥協せず,パターンとトラックに「繰り返し」に特化した制限を与えたSEQTRAKは一つの解だとは思いますし,私だって仕組みに従えば,自分一人では決して作る事のない種類の音楽を作ることが出来る事を,すでにSEQTRAKで実際に体験済みです。

 でも,これって,AメロがあってBメロがあってサビの部分でドドーンとストリングスで盛り上げて,みたいな全体の進行や構成を作り上げるという,一番の楽しみが失われているように思いません?

 マニュアルを見ていれば,キーやスケールを編集できるのはもちろんのこと,コードの構成音を自由に変更出来たりするので,実はかなり奥深い事まで可能です。

 しかし,シンセサイザー2トラックに16パターンという一番厳しい枠は絶対に越える事が出来ず,はっきりいって128音ポリも細かい編集機能も,全部オーバースペックじゃないかと思います。これ,本当に楽しいですか?

 しかも入力された音には強弱がつきません。MIDI経由なら大丈夫ですが,単体で出来ることは同じベロシティ,ジャストタイミングの無機質な音を出すだけです。それが個性となる音楽なら何も問題はありませんし,それはそれで楽しいでしょう。

 でも,やっぱりアイデアを形にするには,制限が厳しいように思います。

 小節数は120小節くらい,コードをそこに並べていく事の出来るモードが欲しいなあと思いますが,多分それはSEQTRAKのあり方を根本的に変えてしまうので,無理な注文でしょう。

 音の良さは抜群だと思うので,惜しいです。

 KORGのkaossilatorも結局イライラして終わったなあ。ああ,やっぱり,この買い物も失敗か・・・

Temuを使ってみた

 先日,偶然目にしたのが新しい中国の通販サイトのお話でした。

 中国の通販サイトといえば,すっかりメジャーになってしまったAliexpressです。激安で様々なものが売られていて,しかも同じ物が複数の業者から出品され,値段や条件が結構違うという,まさにハイレベルな通販サイトです。

 価格も安いがリスクも大きいハイリスクハイリターンな,まさに勝負師の腕が鳴るサイトですが,かつては配送に2週間はかかりましたし,結局届かなかったという話もチラホラ。トラブルの解決は基本的には出品業者と直接やってくれと言うもので,日本語はもちろん,英語も通じない場合があるという,どう考えても素人には手が出せないものでした。

 ここ数年で大きく改善され,配達は1週間程度になりましたし,荷物がなくなることも聞きません。トラブル発生時に業者と揉めても最終的にはaliexpressが対応してくれたりするので,以前のような泣き寝入りはなくなったと思います。

 折からの円安と,そうしたサービスの向上のせいでしょうか,最近aliexpressが安いと言う話をあまり聞きません。代わりに台頭してきた新興勢力が,Temuです。

 Temuといえば我々世代では酸素欠乏症なわけですが,そんなことはどうでも良くて,最近注目を集める通販サイトです。aliexpressに比べてもさらに安く,その上送料無料で配送はTemuが手配,しかも数日で日本に到着するというスピード感,さらに長くかかった場合にはお詫びのクーポンまで用意するというのですから,そこらへんの国内通販業者のずっと先をいっています。

 個人的に気に入ったのは,トラブル発生時の対応で,私は経験がありませんがどうもTemuが間に入ってくれて返金や返品などに応じてくれるようです。Aliexpressが楽天なら,Temuはamazonという感じでしょうか。

 あまりに安いので詐欺ではないか,と言う話が出てくるようですが実際に詐欺に遭ったという話は今のところ目にすることはなく,検索しても好意的なものばかり目に付きます。これはいよいよ真打ち登場かも知れません。

 こんな面白い話があるなら,早速使わねばなりません。

 ぱっと目に付いたのが,250円のドリルシャープナーです。これまで使い捨てていたドリルビットが甦るならうれしいじゃないですか。

 ただ,時間もなかったので送料無料になる条件がわからず,ついでになにか買おうと考えてふと思い出したのが,スポット溶接機です。といっても大げさなものではなく,昨年から一部の界隈で話題に上っていた,組電池を作る事の出来るバッテリー式の小型スポット溶接機です。

 電池に直接ハンダ付けを行うのは爆発の危険もあるし,封止しているガスケットに変形が生じて液漏れが起こるので御法度で,代わりに一瞬で溶接の出来るスポット陽性にニッケルのタブを取り付け,これにハンダ付けをするのが一般的です。

 複数の電池を組み合わせた組電池もそうですし,コイン電池のようなバックアップバッテリーでもタブ付きの物がよくあります。

 しかし,こうした電池は普通のお店にはなく,ほぼ特注品です。コイン電池などはCR2032のような普通の電池なのにタブがついている物との交換品が手に入らず,筐体の外に電池ケースがはみ出ることを許すか,あるいは諦めるかの選択を迫られるものです。

 また,ポケコンマニアの間では頭の痛い問題なのですが,プリンターに内蔵された電池が単三のNi-Cdの組電池,間違いなく液漏れして死んでいるこの電池を交換しようにも,代わりの物が手に入りにくいのが現状です。

 4本組みなら手に入らなくはありませんが非常に高価,5本組みだと絶望的で,かといって電池ケースが入るスペースもないので,これも結局諦めることになるのです。

 ですがこのスポット溶接機があれば万事解決。安価なNi-MHを買ってきて自分で組電池が作れます。これまで素人には不可能だった組電池の製作が出来るというので,ここ最近バッテリ駆動の安価なスポット溶接機がブームになっているのです。

 もともと基板キットだったようですが,最近はディスプレイがついたりちょっとしたケースに入っていたりするようで,これだと1000円から3000円くらいまで。しかしamazonあたりで売られているものもちょっと値上がりの傾向がありますし,当たり外れもあるようなので躊躇していました。

 欲しいことにはかわりはないので探してみると,狙っていたディスプレイ付きの物は売り切れていて変えません。しかし,プローブ(というのが正しいのか自信がありません),コントローラ,バッテリーなどが一体化したハンディタイプのものが4000円で出ています。

 もともと2本のプローブを自分でお箸のように持って溶接するのは怖かったので,すでにプローブが固定されているこのタイプはむしろ好都合です。通常この手の物は5000円を割らないので,4000円は確かに安いです。買いましょう。

 Temuが面白いのは,発送までは品物の追加が可能で,しかもワンプッシュです。注文時間がバラバラな物を1つにまとめて発送するというのは難しい処理だと思うのですが,良くもそれをやるなと感心しました。羞悪飛車の審理で言えば,これがあると「ついで買い」の敷居が下がるので,すごいことだなと思う訳です。

 私も買い忘れたニッケルの薄い板を買いました。

 合計で4800円ほどの買い物でしたが特に問題はなく,月曜日に注文し,火曜日に発送,土曜日に到着しました。ちゃんと中国から飛行機で届いたのですが,この速さです。自宅に届けてくれたのはヤマト運輸で,関税も支払っていません。(まあもともと5000円程度なら関税はかかりませんが)

 さて,ここまでは順調。問題は届いた商品が使えるのかどうかです。

 結論を書けば,全く問題なし。スポット溶接がこんなに簡単に安全に行えるなんて,驚きました。溶接の強度は試行錯誤が必要ですが,作業は一瞬で仕上がりは綺麗ですし,溶接したタブを引っ張れば溶接箇所だけ残ってちぎれるくらいの強度も持っています。これなら実用レベルです。

 ということで,良い買い物をしたと思います。スポット溶接機も良かったですが,Temuを使ったことも良い経験になりました

 Aliexpressはまさに玉石混交で,しかもディスコンになった半導体が(偽物も多いですが)買えたりするまさにダンジョン。Temuは怪しげな物は少なく,そういった点での面白さは少ないと思いますが,amazonの中国の業者のマケプレを使うなら,もう断然Temuだと思います。

 これからどうなるかわかりませんが,一党独裁の計画経済の社会において,競争原理が働いている奇妙な状態を,なんだかんだで我々は享受していることを認めないといけないように思いました。

ユーティリティ

2026年04月

- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -

検索

エントリー検索フォーム
キーワード

ユーザー

新着画像

過去ログ

Feed