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2023年の散財

  • 2024/01/11 11:59
  • カテゴリー:散財

 年も明けてしまいましたが,昨年2023年もやっぱり散財をしました。反省も込めて2023年の散財をまとめてみます。

 あらためて昨年の日誌を眺めてみると,実は大きな買い物をそれほどしていません。気分的にも沈みがちだったこともあるでしょうし,時間もそれほど潤沢になかったこともあるのでしょうが,小さい買い物でちょこちょこと楽しんだという,割に健全な過ごし方をしていたように思います。


(1)Zfとレンズ

 まずなんといってもZfとレンズです。カメラはここ数年値段が上昇した製品の1つだと思うのですが,安価だったZfcの2倍以上の価格に,本当にまだ実物を見ることの出来ない傍流の企画モノをホイホイと買ってもいいのだろうかと躊躇しました。今となっては思いきって速攻で予約して良かったと思っています。

 聞けば予約が数日遅れただけで入手が何ヶ月も遅れることになったといいますし,予約なしで買おうとすれば春頃になるという話も耳にします。欲しい人が欲しいときに欲しいと思う価格で品物を買える事はもはや普通ではなくなっていることを強く感じますが,かくいう私は無事に発売日に手に入った人でした。

 さすがに27万円ものお金をさっさと調達出来るわけもなく,Zfcを筆頭に使っていない物を処分した結果,4万円ほどの追い金で済んだのは幸いでした。

Zfcには手軽さもありましたが,やはりAPS-Cというセンサのサイズの限界も,安っぽさから来る感触の悪さがありましたので,Zfではそれらが解決していることが良かった点でした。

 同時に,最新のミラーレス一眼という位置付けも与えられていて,いわば最新のデジカメの別UIバージョンというところに単なる懐古主義ではないニコンの良心を見るわけですが,それゆえレンズについてもこれに見合った物を用意しないといけなくなるのは避けようのないことで,頭の痛い問題でした。

 結果,評判の良いZ24-70mmF4を中古で買いましたが(これは値段と外観の傷からあまり良い買い物とは言えませんでした),結局常用レンズになったのは7000円のキャッシュバックの対象だったZ26mmF2.8でした。

 フードまで付けるとパンケーキと呼べるほど薄くはならず,Zfに取り付けて見るとたたずまいは普通の一眼レフという感じなのですが,むしろそれくらいがちょうど良くて,ぱっと手に取って撮影するのに最適です。

 問題は26mmという広角の画角と,Zfの2400万画素という真面目な画素数です。遠くからとりあえず撮影してトリミング,と言うずるい方法が使えないので,きちんと寄って構図を考えないといけませんが,D850と35mmF1.4に慣れた頭からかなり切り替えないといけません。

 その点ではまだ撮影スタイルが固まっていないと言えて,最適なAFモードを選んで定着させることも今度の課題だと思います。

 レンズは前述の通りZマウントを2つ買いましたが,もう1つ,最後のFマウントとしてAF Zoom-Micro Nikkor ED 70-180mm F4.5-5.6Dも買いました。

 このレンズは唯一無二のズームマクロなわけですが,細身の鏡筒にガラスが詰まっているというずっしりとした重さに感激するのと,その感激を裏切らない表現力が特筆されると思います。

 本来のズームマクロとしての性能は言うに及ばず,2mくらい離れてのポートレートでも美しいボケと緻密な解像感で被写体を浮かび上がらせる素晴らしいレンズです。

 重いこと,AFモーターが内蔵でないことから,Zfでの出番はないのですが,D850がある限りこれは持っていようと思います。

 ところで,Zfcを下取りに出したことで,APS-C専用のレンズは邪魔になるだけです。すでにZ DX24mmF1.7は売却済みですが,残ったTTArtisan 17mm F1.4も使い道がないと言うことで年明けに売却しました。

 APS-Cでは24mm相当になる貴重な広角単焦点で,F1.4という明るさも面白かったのですが,2年ほど前に15000円ほどで買った(今は19000円ほどしてますね)ものが,今回4000円で売れました。

 中国製のレンズですので1000円か2000円,もしかすると買い取ってもらえないかと思いましたが,4000円でも売れて良かったと思っています。


(2)DL103の針交換

 あれこれ試しても最後にまた戻ってくることで知られるカートリッジ,それがデノンのDL103です。NHK-FMで使われているカートリッジですので,日本の標準品といっても過言ではなく,その点でもリファレンスとして常に比較の中心にあり続けたといえるでしょう。

 そして恐ろしいのは,1964年の発売からすでに60年近くが経過しているにも関わらず,未だに当時の仕様のまま新品が量販店でさっと買えることです。50年前のカートリッジの音が今でも保証された形で聞けることはすごいことだと思いますし,これが日本製であることも幸運としか言いようがありません。

 また,未だに1つ1つに実測した周波数特性が添付されていることも素晴らしく,20Hzから20kHzまでほぼフラットな音が,まさにこの個体で手に入るのだという地に足のついた安心感は,校正済みの測定器を使う時を彷彿とさせます。

 MCカートリッジですから,新品が買えるという事は針交換も可能ということです。ということで私は生まれて初めて,DL103の針交換を昨年行ったのでした。

 厳密には針が悪くなったのではなく,本体の調子が悪くなったから交換したのですが,その交換価格が10年前の新品と同じ値段ですから,随分と値上がりしたものです。

 ただ,考えようによっては交換価格だからこそ3万円ちょっとで済んだとも言えますし,この価格でもその内容から言えば破格の値段であることは言うまでもありません。

 デノンという会社が偉いなと思うのはこのあたりで,単価を上げて利益率を高めるようなプレミアム路線を安易に取ろうとしません。DL-103もそうですし,先日出たDP-3000NEなんかも,本当はもう10万円や20万円高くても受け入れられる商品だと思うのですが,そういうのはうちの会社の仕事じゃない,少し背伸びをすれば手が届く商品を作るのが我々の役割だと言い切ります。偉いと思います。

 価格だけではありません。欲しい時に量販店で買えるという手軽さも重要です。飢餓感を煽って何ヶ月も予約させたり,高値での転売を黙認したりと,かつての日本製品の一番良かったことをないがしろにして,それで商品で人を幸せにするという気持ちがあるのかどうかと私は疑問に思います。

 一部の富裕層が商品も見ずに予約を入れ,何ヶ月も待たされたあげくにすぐに生産中止になるような商売が悪いとは言いませんが,かつて王様がお抱えの職人に自分専用の品物を作らせたことといわば同じであって,アメリカに端を発し日本が高めた大量生産は,経済と技術の民主主義という思想的な側面を持っていることを,ちょっと思い出してみると良いかもしれません。

 そう,大量生産品の代表であるマイクロプロセッサの登場が,一部の人によって独占されていたコンピュータを大衆化したこと,そしてそれが社会と文化を前進させたのです。

 閑話休題。

 その後のうちのDL103は絶好調で,その安定性にはもう安心と信頼しかありません。絶対的な音の良さは他のカートリッジに譲ることもありますが,やはりNHK-FMのあのプレーンな基準たる音への信頼感は揺るぎなく,最後にはここに戻ってこられるという故郷のような安心感があるから,あれこれとカートリッジを試すことが出来ているんだと思います。

 これから何度も値上げがあると思いますが,作り続けて欲しいと思います。

(3)何度目かのポケコンブーム

 PC-1261というポケコンの最終形があります。いや,発売時期や性能で言えばもっといろいろな物がありますが,本当の意味でポケットに入る大きさ,という条件において2行表示に高機能BASIC,そして最高速のクロックという最高の性能を誇るPC-1261は,私にとってもいつか欲しいポケコンでした。

 しかし,シャープのポケコンに見られるLCDの劣化がPC-1261にも襲いかかっていて,まともに動く物は数が少なく高価,しかもいずれは死ぬ運命にあるものですから,おいそれと手を出せません。

 私は1つの賭に出ました。PC-1250やPC-1245では,交換用のLCDが個人の手によって作られて頒布されていますが,いずれPC-1261にもでてくるであろう,と。

 ならば今の安いうちにLCDの劣化したものを買っておいたらどうだろうと考えて,LCDの劣化が始まったような程度のPC-1261を買ったのでした。

 果たして私の予想は当たり,しばらくすると交換用のLCDが登場,私のPC-1261は晴れて完全復活を遂げたのでした。

 もったいなくてあまり使えないのですが,今も完調です。PC-1246のLCDも同時に入手できたので2台のPC-1246も完全復活です。

 これで味をしめた私には,何度目かのポケコンブームが再来します。とうとうPB-100を入手してみたり,PC-1501を手に入れてみたりしましたし,CE-150の修理には失敗,何度か試みたカセットインターフェースの製作にもくじけてしまいました。

 PC-1250シリーズと同じCPUの最終形態であるPC-1475も手に入れましたが,これは年末に壊れていることが判明し,修理待ちの状態が続いています。

 ところで,一連のポケコンブームのおかげで試すことが出来たものに,レトロブライトがあります。ABS樹脂の黄変を元に戻す漂白ですが,春から夏の日差しであれば十分可能であることがわかりました。秋頃の日差しでは完全に漂白ができなかったりムラになったりするので1年のうちで可能な時期は限られますが,今年の夏も挑戦してみたいと思っています。


(4)Walkmanの修理

 カセットテープがブームだそうです。おっさん向けにいくつもの本が登場しているのですが,私もTDKのカセットテープの本を手に入れてから,カセットテープのブームがやってきてしまいました。

 家で眠っている未デジタル化テープをすべて処理しましたし,GX-Z9100EVのメンテも済ませました。そんな中で盛り上がったのが,Walkmanの修理でした。

 Walkmanは私も学生時代に使っていました(WM-EX70です)が,ゴムが切れてしまったので捨てました。こんな細いゴムは手に入らないだろうと思ったからですが,なんと今は手に入ることがわかってしまい,捨てたことを後悔した事がきっかけでした。

 かつて持っていたWM-EX70を買い戻すことを考えていましたが,なかなか良いものに出会わず,RQ-SX35, WM-805, WM-EX666, RQ-SX11, WM-FX70と,あれこれと手を出すことになってしまいました。

 一発で直れば良かったのですが,さすがに古いWalkmanは修理が難しく,部品取りに買い直したり,ついつい程度の良いものが目に付くと買っていたりと,ちょっと踏み外したような気がしています。

 結果,どれも音が出るようにはなっていますが,往路と復路でアジマスが異なっていたり,テープスピードが狂ったり(テープの最初と最後でスピードがズレる)と,なかなか上手くいかずに終わってしまいました。

RQ-SX11やWM-805はアジマスのズレが大きいですし,WM-EX666は走行系は安定していますが今ひとつ音質がよくありません。RQ-SX35はテープスピードのズレが目立つ上に傷だらけですし,WM-FX70は走行系とラジオは素晴らしいのですが,ボタンが時々誤動作してしまいます。これ,きっと押しボタンスイッチの劣化で抵抗値が大きくなってしまったからでしょう。

 結局1つも完璧な物を用意出来なかったことは悔しく,上手くいかなかった修理の1つとして記憶に残ることでしょう。


(5)ミニテーブルソー

 12000円ほどの買い物でしたが,これは本当に便利で,買った当時に感じた「もっと早くに買っておけば良かった」を今もって痛感する良い買い物でした。


 プロクソンの「ミニサーキュラソウテーブルEX」ですが,基板のカットにと買った物が,実はアクリル板や木の棒などでも威力を発揮するとわかり,工作のスピードと仕上がりの綺麗さで圧倒的な差が出てきたと思います。

 私の場合,速度調整を改造して取り付けたのですが,確かに最高速で回っていると難しい材料もありますので,速度調整は必須だと思います。その点では気軽にお奨め出来る製品ではないのですが,一度テーブルソーの良さを味わうと,もう少し大きな物が欲しくなるものです。

 テーブルソーとはいえ,結局は丸鋸ですので,油断していると大けがをして指を落としてしまいかねません。酔っ払っての作業は厳禁,安全には細心の注意を払って使いたいと思います。

 

 ということで,昨年買った物を拾ってみましたがこんな程度でした。もっと細かい物はあれこれと買っていて(例えばUPSの電池とか),その点での無駄遣いは例年並みなのですが,それを差し引いても昨年は低調だったようです。

 まあ,なにも新しい物を買って楽しむだけが趣味ではありません。今あるものを使い込むのも面白いですし,安い物を工夫して楽しむのも良い趣味だと思います。

 今年は娘の受験も終わり,我々家族に劇的な変化が訪れます。我々自身の年齢もそうですし,親の年齢も考えると,いつ何が起きてもおかしくない時期に突入します。

 毎日を淡々と過ごすだけではなく,残り時間を意識して,大切に過ごして行くことが,今年の目標になるように思います。

 

訳あり品でスピーカーを作ってみた

 昨年は12月に入ると急に寒くなってしまい,思いつきで始めた工作が寒さとの戦いになってしまったのですが,無事に年内に終わってホッとしています。

 なんの工作?スピーカーですよ,スピーカー。

 何年かに一度,急にスピーカーが作りたくなって手を出すのですが,結局使い道がないまま押し入れにこっそりしまい込まれてしまう,可愛そうな奴です。

 ラジオ用の5cmのスピーカーをプラケースに入れただけのものを起点に,粗大ゴミのステレオセットから取り外したスピーカーを3mmの薄いベニヤで作ったエンクロージャーに入れただけの2ウェイで自らの木工技術の低さを思い知り,その後は大人らしくパイオニアのPE-101に専用のエンクロージャーをセットで購入,歴史に名を残すフルレンジの実力を堪能しました。

 大人の科学だっと思いますがスピーカーユニットの組み立ても面白がって試したし,その後雑誌の付録のユニットを使って,これも雑誌の付録だったバックロードホーンのエンクロージャーのキットを組み立ててみたこともありました。

 いつかは試してみようと思っていたバックロードホーンと,中学生の頃から買う機会をうかがっていたフォステクスのユニットを念願叶って買って作ったのはいいものの,やはりレンジの狭さや乾いた音に抵抗があって,結局押し入れに肥やしになっています。

 その間完成品のスピーカーもちょいちょい買ってみたのですが,結局B&WのCM1,KEFのQ350,それからJBLのSTAGE A120(これはペアで16000円以下とは思えない音がしました)あたりが結局生き残り,自作品は完全にしまい込まれています。

 しかし,自作品が期待通りの性能を出し実用品となることを目指して歩んできた工作人生,スピーカーでもなんとか「これならどうだ」と思うようなものを作って使ってみたいと思っていたところへ,偶然面白そうなユニットを見つけてしまいました。

 NFJという会社が「訳あり品」として激安で販売しているユニットに,ケブラーコーンの10cmウーファーを発見しました。これに組み合わせると面白そうなシルクドームツイーターも激安です。

 ウーファーは細かいスペックはわかりませんが,ケブラーですから安い物ではないでしょう。大きなマグネットもしっかりした低音が出そうな感じです。フレームにゆがみなどがあるという事で,お値段1つ1980円。

 分かっている範囲でスペックを書くと,コーンはケブラー,エッジはゴム,フェライトマグネットでインピーダンスは4Ω,定格入力は40Wで最大80W,口径は4インチで101mm,重さは955gです。

 一方シルクドームツイーターはキズがあるという事で1つ1280円。なんとデンマークの老舗Peerlessの物だそうです。ほんまかいな。

 高域は20kHzは余裕,正面なら40kHzもクリアするという特性が謳われていますが,なによりシルクドームならではのとげの刺さらないしなやかな高音が期待出来そうです。

 こちらのスペックはそれなりに公開されていて,口径は1インチ,シルクドーム,マグネットはネオジムでインピーダンスは4Ω,入力は80Wで最大160W,再生周波数は2.5kHz~20kHz,F0は1084.63Hzで能率87.8dB,重さは46gとのこと。

 ペアで揃えても6500円。これは安い。失敗しても悔しくないです。

 ということで早速購入,こういうものはスポット品ですので,欲しい時に買うのが鉄則です。(といいつつ随分昔から在庫があるようですが)

 手元に届いたユニットは,ウーファーがフレームのゆがみとエッジのへこみがありましたが音は正常です。ツイーターはキズがありますがこれは気にならない程度でした。

 どっちもいかにもいい音が出そうな感じです。

 しかし,ここで苦手な木工と向き合わねばなりません。私の場合,綺麗に切断できず隙間だらけになったり床と3点でしか接しないなんてことが起きてしまいますし,塗装も下手くそですのでいかにも素人の工作になってがっかりです。

 その前に材料の調達も大変です。近所にホームセンターもありませんし,かといって自動車もありません。材料が手に入らず加工も苦手と来ればもはや話にならないわけですが,そこで登場するのが我らが自作派の味方のフォステクスの「かんすぴ」です。

 かんすぴは安価なユニットとエンクロージャーを組み合わせて自作のスピーカーを作るというありがたいシリーズなのですが,標準的なバスレフのエンクロージャーが大きさで何種類か選ぶ事が出来,しかも吸音材やターミナルまで取り付け済みという手軽さが素晴らしいです。

 登場時は本当に安くて心配になるほどでしたが,ここ数年は頻繁に値上げが行われていて,私が購入したP1000-Eはすでに1本3740円になっていました。それでも十分安いと思うのですが,これを年末のクーポンを使って直販サイトから購入しました。ちょっと容量が足りない気もしますが,まあなんとかなるでしょう。

 さて,ここからが本番です。

 まず,ユニットの動作確認です。音は出ることは分かっているので,エンクロージャーとの相性を見ます。仮組みしてウーファーだけをスイープでならしてみますが,60Hzあたりでもバスレフポートからバフバフと大きな音圧が出ています。これはなかなか良さそうです。DR-100mk2(PCMレコーダをです)でスイープさせた音のレベルを測定してみますが,上も4kHzくらいまでなら-3dBまで出ていそうです。

 ここにツイーターを3.3uFを介して取り付けてみますが,高音が出てくるだけで輪郭もはっきりしてくるし,みずみずしさも出てきます。多少耳障りな感じもしますが,ボーカルの定位も抜群で,期待度もうなぎ登りです。

 ツイーターの位置を前後させてウーファーとの干渉がないような位置を探すのですが,どうもツイーターの位相を逆にした方がバッフル面と同じ位置に出来そうで好都合です。低域カットのコンデンサは3.3uFにすべきか2.2uFにすべきがで悩みましたが,まずは3.3uFで進めることにします。

 さて,エンクロージャーを加工せず,ツイーターは上面に乗せておくだけというのも考えましたが,ここはもう少し手をかけましょう。ちょうどバスレフポートがツイーターの大きさとぴったりだったので,ここにツイーターを置くことにします。

 するとバスレフポートが潰れますので,これは背面に移設します。ウーファーを下に配置したいので天地をひっくり返すため,ターミナルも上下を反転させて取り付け直しましょう。

 全体の計画が見えてきたところで,早速加工開始です。まずエンクロージャーの中に手を突っ込んでポートを力尽くで外します。木工ボンドで接着してあるだけですので割に簡単に取れます。

 そしてもとのバスレフポートと同じ高さの背面に25mmの穴を開けます。MDFですのでサークルソーを使えば簡単です。

 穴が開いたらポートを裏側で接着しこのまま一晩放置。

 バスレフポートが完成したら,ウーファーの取り付け穴がこのままではちょっと小さいので加工します。ただ私はこういう時専用の工具も器用さも持ち合わせていないので,ゴリゴリとカッターで広げていくほかありません。

 このウーファーはフレームとエッジの間が狭く,あまり穴を大きくしすぎるとバッフルとの間に隙間が出来てしまいます。すり鉢状にして広げる必要があるのですが,そこはどんくさい私の事,真円にならず綺麗に仕上げることが出来ませんでした。

 気を取り直してツイーターです。これは元バスレフポートの穴がそのまま使えるのでここに取り付けることにしましょう。

 さて,ここまで来ればあとは配線の準備です。ターミナルから出ているケーブルを取り外し,ターミナル側の圧着端子にコンデンサをハンダ付けします。もう一方の圧着端子とコンデンサの足から配線を引っ張り出し,新しい圧着端子を付けてツイーター用とします。これで配線終了

 作業がやりやすいようにまずツイーターから取り付けます。先に圧着端子をツイーターにはめ込んでから,amazonで調達した木ネジでバッフルに固定します。

 そして重いウーファーを配線して取り付けて完成です。ターミナルをひっくり返すことも忘れずにやります。さあ,音を出してみましょう。

 アンプはかつて雑誌の付録になったラックスのアンプです。これ,ホントにいい音がするんですが,こういう場合にもってこいの手軽さも持ち合わせているので助かります。

 ・・・なかなか良いではないですか。

 P1000-Eは121x243x179mmで3.6Lという小さいエンクロージャーなのですが,このサイズには似合わないたっぷりとした中音域と,物足りないながらもタイトな低音,そして耳障りの良い伸びやかな高音が出てきます。ウーファーとツイーターの繋がりはいまいちなのですが定位感は抜群で,特にニアフィールドではまさに楽器が点で聞こえます。

 この大きさで,自作品,それも1万円ほどでここまでの音とは・・・素晴らしい。

 なにより,私が好む傾向の音です。これは何よりも代えがたい魅力です。ちょっとポンポンいいますし,高音も出すぎているのでドンシャリの向きはありますが,なにより位相が揃っているので定位は抜群,音の艶と言いますか,立体感も申し分なく,低音も無理をしないでしっかり出ているのでとても楽しいスピーカーです。

 しばらくならして当たりを付けたあと,ウーファーをツイーターの重なり部分を減らす目的で,コンデンサを2.2uFに減らしてみます。高音はやや引っ込みますが,ウーファーが担当する中域が広がりより自然に。

 よし,これでいこう。90cmのテーブルに並べて,1mほどの距離で2時間ほどいろんな音楽を愉しみました。硬めの木材を足にして浮かせてやれば,低音がぼやけずにしっかり出てきます。

 大きな編成のオーケストラはさすがに厳しいですが,楽器の分離がよいので5,6人までのジャズコンボにはその表現力で,ロックは元気の良さと中域の豊かさで楽しく,いつまでも聴いていられる音が出てきます。そしてボーカルの再現性がとても良くて,ちゃんと歌っています。市販品でもこれ以下のスピーカーなんていくらでもあるんじゃないでしょうか。

 ということで,今回のスピーカーの自作は大成功です。音の良さもそうですが,この大きさであることもとても重要です。見た目もケブラー特有の黄色いコーンが格好よくて,うまくまとまっていると思います。

 さて,今回つくづく思ったことが,スピーカーのサイズによってスピーカーの間隔が決まるということです。

 よくベストなリスニングポジションは,左右のスピーカーの間を一辺とする正三角形の頂点の場所だといいますよね,そこに座ってみると,スコッと真ん中が抜けてしまうことがあります。

 この時,スピーカーを大きな物に変えてみると抜けなくなるんですが,先程の抜けてしまったスピーカーがダメなスピーカーかといえばそんなことはなく,もう少し正三角形を小さくして近づいて聴けば,見事に立体的な音像が浮かび上がるわけです。

 違いはなんだといえば,それはスピーカーの大きさです。スピーカーからの距離が離れれば離れるほど,小さい口径のスピーカーでは点音源に近づいてしまい,中が抜けるのではないかと思います。

 だから,大きな部屋なら大きなスピーカーを,ニアフィールドなら小さいスピーカーを選ばないといけないんだと,ようやく気が付きました。

 あれほどいい音がするCM1をリビングに置くとどうもいい音がせず,Q350にすると定位が向上するのが不思議だったのですが,やっぱりスピーカーの大きさという単純なパラメータが影響しているように思います。

 また,特にウーファーの口径は,距離が離れるほど大きくないといけません。ヘッドフォンのドライバの口径が小さいこともそうでしょうし,小さいスピーカーも近くで聴けばしっかり低音が出ていることに気が付くのも,このことの証でしょう。

 そんなわけで,今回の自作は成功で,スイープで周波数特性を見た事,ツイーターの位置で位相を調整したこと,コンデンサを繋がりを調整したことなど,なかなか良い経験をさせてもらいました。

 結果,ケブラーコーンへの期待を裏切らない,実に良いスピーカーが完成しましたし,さらにいうとスピーカーの大きさとリスニングポジションの問題も関係性が見えてきたように思います。

 そして最後に,フルレンジにはフルレンジの良さがあるとは思いつつ,やっぱり小型スピーカーなら2ウェイだなあと思いました。

 とまあこんな良い成果を上げたスピーカーですが,やっぱり置く場所がないのでしばらくは押し入れの肥やしです。次に登場するのはいつになることやら。

年末年始の修行

 この年末年始は長いお休みを頂いた上に,娘がほぼ家におらず,随分のんびりとさせて頂きました。ふとしたきっかけでひたすらアナログレコードをかけまくっていた年末年始でした。

 デジタル音源,特に配信では音楽を集中して聴かないことに私は以前から気が付いていたのですが,アナログ,それもノイズや針飛び,録音時のレベルの確認でリアルタイムで音をモニターし続けなくてはならないレコードの再生や録音に伴う時間的肉体的な制約は,期せずして新たなる音楽の発見の機会となることがあります。

 私はこれを,良い意味でも悪い意味でも「修行」と呼んでいますが,修行である以上まとまった時間は必要ですし,健康状態も精神状態も良いものでなくてはなりません。この年末年始はその絶好の機会であったということが結果的に言えそうです。

 そのふとしたきっかけというのが,嫁さんが「サウンドバーガー」を買ったことでした。オーディオテクニカのサウンドバーガーは1980年代に登場した小型のレコードプレーヤーですが,1980年代らしい知恵と工夫によって安価で手軽にもかかわらず,音も操作性も優れている名機です。それが昨年復刻したことは話題になり,当初限定生産だったものが常時販売されるようになったことも記憶に新しいところです。

 さすがにカートリッジの世界的メーカーで,今でもカートリッジを生産し続けるオーディオテクニカだけあって,搭載されたカートリッジは同社の金看板であるVMカートリッジですから,音質的にも問題はありません。

 今どきのオーディオ機器らしく,Bluetoothでワイヤレス,バッテリーはリチウムイオン電池で長寿命と,まさに現代にアップデートされたサウンドバーガーですが,見た目は当時のままのかわいらしさと実用性を備えており,久々に「わかってるなあ」と唸ったプロダクトでした。

 嫁さんがこれを買った理由というのが,手持ちのレコードを聴きたかった,というものでした。私のプレイヤーはややこしく,およそ手軽に聴けるような代物ではなかったからなのですが,その結果彼女が押し入れから発掘してきたレコードに,なかなか面白そうなものが揃っていたので,ここは気合いを入れて24bit/96kHzで録音しようという話になったのです。

 その作業が一段落して,今度は自分のレコードラックを探してみると,録音を済ませていないレコードがチラホラと発掘されました。

 はて,と経緯を思い出すと,話は高校入学時まで遡ってしまいました。

 父が知り合いから,当時ですらすでに粗大ゴミ扱いされるような古いシステムコンポを私の入学祝いにと調達してきました。

 体よくゴミ処理を押しつけられたんだなと今ならわかりますが,お人好しで物を知らない父親は,ご丁寧にお金まで払って嬉々として持ち帰っては,私にそのお金を請求して喜んでおりました。正直クズだと思います。

 とはいうものの,当時の我が家にはまともなオーディオ機器はなく,ヘッドシェルを交換出来るベルトドライブのレコードプレイヤーや25cmウーファーを持つスピーカーなどは,その金額でも十分元が取れると私も判断してお願いした経緯があったりします。

 そのプレイヤー(オンキヨーのCP-6000Aだっと思う)は性能的にもゴミ同然なのですが,とにかくカートリッジを交換出来るものとして私に新しい世界を見せてくれたことは確かで,ここから私のカートリッジを探す旅は始まったといえるでしょう。

 余談ですが,初めて購入したカートリッジ「VMS30mk2」は,このプレイヤーのために購入したものです。ただ,思ったほど音質が変わらず,その理由が結局の所プレイヤー(トーンアーム)の基本性能とイコライザアンプによるものであるとわかるのは,もう少し後になります。

 で,父親は変に気が回る人だったので,せっかくプレイヤーを手に入れてもレコードがないのは寂しかろうと,何枚か用意してくれました。(ちなみにこの代金は請求されませんでした)

 ただ,そこは父親らしく,これらが当時隆盛を誇っていたレンタルレコード店の在庫処分品だったのです。いわゆるレンタル落ちというやつで,それもトコトン売れ残ったものでした。当時はCDへの移行期でもあり,こうしたレンタルレコードの処分があちこちで見られたものです。

 1枚1000円(これは正直ぼってますね)から3枚1000円に手書きで書き換えられた値札が妙にリアルだなと思うのですが,問題はそのラインナップです。演歌しか知らない父親が精一杯頑張った結果選んだのは,松山千春となんと三田村邦彦。松山千春はともかくとして,三田村邦彦ってアルバム出してたんだ・・・TDKコアから出ていますが,大丈夫かTDK?

 布施明もありました。ちょうどアメリカに移住し,帰国直前に作ったアルバムのようです。彼はこのあと離婚して,破格の慰謝料を請求されるんですよねー。

 そんな「猫またぎ」な有名人に加えて,生沢祐一のデビューアルバム・・・加えてモンタ&ブラザースのラストアルバム・・・

 更に面白いのは,黒人アーティストの見分けがつかない人らしく,マイケル・ジャクソンと間違えて買ってきたと思われるジャーメイン・ジャクソンのデビューアルバム。漂うコレジャナイ感に窒息寸前です。

 そしてとどめを刺すのが大量の12インチシングル。初耳の方もいらっしゃるでしょうが,30cmのLPレコードを45回転で再生するフォーマットを12インチシングルと呼んでいて,当時ちょっとしたブームになっていました。

 シングルで45回転と言えばいわゆるドーナツ盤のEPレコードですが,45回転という高速でLPレコードと同じ大きさの円盤の外周部にカッティングして高音質を狙い,かつ収録時間も10分近いということで,新しいシングルとして注目を集めていたのです。

 ジャケットもLPと同じで視覚効果抜群,お値段も1200円程度といいお値段で売れるとあって,一時代を作ったメディアでした。

 ただ,そんなものを父親が知るよしもありません。案の定,12インチシングルをLPレコードと信じて,これはお買い得だと大量に買ってきたのでした。

 当時から私はフルアルバム信奉者かつオリジナル原理主義者でしたので,12インチシングルの,原曲にない間延びした間奏であるとか,イントロの前の変な朗読とか,そういうものをとにかく毛嫌いしていましたから,もう見るのも嫌で捨ててしまおうかと何度も思ったものでした。

 それが今,まだ目の前に残っています。どれどれ・・・

 The JacksonsのBest4You,・・・マイケル若いなー。
 鈴木茂のBeing70's・・・あのはっぴいえんどの鈴木茂のレアシングル!
 Face To FaceのTell Me Why・・・こんなバンドしらんな。
 ラッツ&スターのグラマーGUY・・・裏ジャケの汚い写真はどうにかならんか。

 そう,これらは何度も聴こうと覚悟を決めては,とうとう音を出すことが出来なかった,そんな苦杯の歴史そのものでした。しかし,今の私は年齢を重ね,おかしなこだわりもなくなっています。再生してみましょう。

 まずThe Jacksons。これはいい。本物ですから当然ですが,有名な4曲を安価なパッケージにした良心的な企画で,非常に素晴らしいです。

 鈴木茂は,今聴いてみるとそんなに悪くはありません。当時は退屈だったんじゃないかと思われる曲調ですが,ベテランらしく良く出来た楽曲で,もっと評価されてもよいと思います。

 Face To Faceは,当時アメリカでも流行っていたシンセサイザーを多用したポップとロックの中間で,粗製濫造な感じは否めません。今さら学ぶものもなし。

 最後にラッツ&スター,さすがに和製ソウルの先駆者だけに良く出来ていますが,やっぱり裏ジャケが汚すぎて直視できません。

 とまあ,気を取り直していろいろ調べてみると,12インチシングルというのは日本独自の文化だったようで,海外では珍しい物なんだそうです。なので,The Jacksonsのような有名どころではマニアがレアアイテムとして集めているらしく,それなりの価格で取引されていることがわかりました。ありがとうDiscogs。

 ところで,これとは別に始めた修行があります。

 一昔前,会社では主に女の人を中心とした「千趣会」がはびこっていました。今でも千趣会と言えばカタログ販売の大手ですが,1970年代でもそれは変わらず,むしろ買い物の方法が限られていた当時において職場斡旋のカタログ販売というのはありがたいものだったらしく,独自企画のシリーズ物などはそれなりに数が出たようです。

 折も折,当時は百科事典ブーム。読みもしない百科事典を全巻揃えて応接間にどーんとおくという見栄っ張りなことをやるのがステータスシンボルだった時代だけに,毎月1枚,様々な音楽を家庭に送り込むという企画は今では考えられません。

 そんな企画の1つが,「虹の音楽シリーズ」で,今でもヤフオクあたりでは定番の遺品処理の対象として安価に流通しているようです。

 他例に漏れず,我が家にもそんなレコードが全巻揃っていたわけですが,その内容はやっぱり今ひとつで,よほどNHK-FMの方が楽しく様々な音楽が楽しめたと思います。こうした企画ものというのは,結局の所選曲がすべてであると我々を諭すのでした。

 もちろん,オリジナルが収録されているものもありますし,そうでないものは大御所の石丸寛率いるケイ・ストリングスによる演奏ですのでハズレはありませんが,繰り返すように選曲がいまいちなことと,やっぱり録音が1960年代のそれということで,音源としてどうも物足りません。

 そんなアルバムが14枚あったわけですが,この中で2枚だけ,幼少期の私がよく聴いたというものがあります。「Beautiful Nippon」と銘打ったわらべ歌と,ビートルズナンバーの2つで,どちらも石丸寛とケイ・ストリングスです。

 母が言うには,言葉も満足に話せないころの私がこのレコードを聴くと首を前後に振った(いわゆるヘッドバンキングですな)そうで,まだ若く幸せだったころの母の日常を思うと,ちょっともの悲しくなります。同時に私のまさに音楽の原体験とも言えるのですが,そんなレコードだからもう傷だらけです。

 この2枚は他の12枚とは別に保管されていたので,実家の処分を行ったギリギリのタイミングで発掘されたため,私の手元にも遅れて届いたという経緯があるのですが,他のレコードは一度も再生していなかったものが大半で盤面も良好だったのに,この2枚については傷と汚れがひどい状況でした。

 特にわらべ歌については大きなキズで針飛びが起きるほどでした。しかし,これは復活させたいところです。

 とりあえず針飛びを起こさない程度に修復できることは分かっているので,顕微鏡を見ながらまち針を使って溝を修復します。音質云々は諦めて,とにかく連続して最後まで再生出来ることを目指した結果,これは上手くいきました。

 後はバランスウォッシャーで丁寧に清掃し,再生します。

 うーん,確かによく聴きました。なつかしい。

 わらべ歌も今聴いてみると,なかなか高度なアレンジで聴き応えがありますし,ビートルズナンバーも,これこそ私のビートルズの原点で,Please Mr.Postmanなんかはこっちの方がいいんじゃないかと思うほどです。

 使っている楽器がロックのそれではないので残念ですが,Hey Judeなんかもちゃんと要所を押さえていて,オリジナルに対するリスペクトを失ってはいません。このあたりが,歯医者さんで流れてくるイージーリスニングとは違う所です。

 これらの修行が一段落してみると,急に寂しくなって嫁さんと一緒に渋谷に出かけて,新しいレコードを買ってくる始末(リー・リトナーのジェントル・ソウツ)です。

 そしてそれも終わって,もう満腹となった時,またも嫁さんがレコードを押し入れから引っ張り出してきました・・・なになに,The Beach Boysだと!

 まだまだ修行は終わりそうにありません。

 

常用レンズにZ 26mmF2.8

 Zfがやってきて1ヶ月ほど経過しました。発売日にはランキング一位でも翌週には圏外という,初回を売り切ったら在庫がないというニコンによくあるいつもの展開になっているようで,Zfを持ち歩くとどうしても自意識過剰になってしまいます。

 それはどうでもいいことなのですが,この1ヶ月で困ったのはレンズの選択です。一言で言うと付けっぱなしにできる良いレンズがありません。

 Zfcでも似たような状況が続き,キットレンズの28mmF2.8も,次に出た40mmF2も,どうも私の好みとは遠く,ようやく「これだ」と思ったのは24mmF1.7を手に入れてからになったのでした。

 今考えても24mmF1.7は良いレンズで,聞けば50mmF1.2と同じ設計者が同じ思想で設計した物なんだそうです。そりゃカタログスペック以上のなにかが込められているはずで,妙に納得してしまいました。

 Zfcを手放したときにこのレンズも一緒に売却したのは,それがAPS-C専用のレンズだったからで,もしフルサイズだったら絶対に残していたと思います。このレンズは安いのに,良く写ると言うこと以上のものがあるレンズでした。

 Zfで使えるフルサイズ用のZマウントレンズでは,こういう思想のレンズはとても高価です。50mmF1.2はなんと30万円で,値段もそうですがまるでF2.8通しのズームレンズみたいな大きさで,これを常用しようとは思いません。

 同じ理由でF2.8通しのズームは(まだFマウントを持っているので)買おうとは思いませんし,先日買った24-70F4ではF4という開放F値からくる制限が結構窮屈で常用には至っていません。

 シグマが35mmF1.4あたりを用意してくれればそれがベストなんですが,残念ながら現時点でシグマはZマウントをAPC-Sしか用意してくれていません。

 画角は35mm,明るさはF2よりも明るいものが理想で,これって先の24mmF1.7(フルサイズに換算すると36mm)がドンピシャだったとわかるのですが,Zマウントにはこういうレンズで手軽(大きさ的にも経済的にも)なものはないのです。

 マウントアダプタを経由してFA43mmF1.9を使ってみたり,MマウントのHELIAR 40mm F2.8を使ってみたりしましたが,マウントアダプタの分だけ出っ張ってかさばるし,せっかくの強力なAFが使えない事のもどかしさもあり,数回でやめました。レンズ遊びはあくまで遊びであって,常用にはならないものです。

 なら,新たに買うしかありません。私の常用レンズを探す旅は,まだ始まったばかりです。

 候補を探してみると,純正ならSラインの巨大な(かつ高価な)ものしかありません。これはいきなり厳しい。

 コシナからはAPO-LANTHAR 35mm F2が候補になりました。画質には心配はなく,価格も10万円程度ですからなんとかなります。しかしAFが使えないのでは常用にはなりません。これもだめか。

 中華レンズにいくつか候補が見つかりましたが,リセールバリューを考えると安易に手を出せません。それにいつニコンがこれらのレンズでAF動作しないように仕込んでくるかわからないですから,やはり常用にはなりません。

 うーん,ここで行き詰まってしまいました。

 もう少し条件を緩くしましょう。そうすると1つ引っかかってきたのが,Zのパンケーキ,Z 26mmF2.8です。

 私はパンケーキレンズには特に思い入れはなく,薄いことを売りにすることで肝心の性能や使い勝手に妥協を強いられるのが嫌で,むしろ避けていた感があります。(まあこれは思い込みに過ぎないのですが)

 なので,Zでわざわざパンケーキというのもいまひとつピンと来ていませんでしたし,しかもその焦点距離が26mmという広角(しかも28mmよりも短いなんて)というのは,果たして使いこなせるのかとも思っていました。

 加えて,どうも格好が良くないです。Zのレンズは総じて顔が大きいくせに前玉が小さい(その代わり後玉が大きい)ので今ひとつ可愛くないのですが,このZ 26mmF2.8も他例に漏れず,可愛くありません。

 これが3万円ならちょっと試してみるか,と思えるんですが,さすがに6万円後半ということになると勇気がいります。

 とはいえ,もうこのレンズ以外に,常用レンズの候補がないのも認めざるを得ません。ちょうどamazonもセールをやっていますので,思い切って買うことにしました。

 63000円からポイントが3000ポイントで実質6万円というのも安いと思いますが,ニコンのキャッシュバックで7000円戻ってきますので,結局53000円です。昨今のレンズの値上がりは厳しさを増していますが,このレンズの私の値頃感はちょうどこのくらいの価格でした。

 ということで,先の連休で手に入れたものを使ってみます。

(1)手に取った感じ

 良くも歩くもZレンズです。Zのレンズはどのレンズもくびれがなく,寸胴です。私はそれが好きにはなれないのですが,パンケーキならそんな印象もありません。うーん,パンケーキと言うよりも回転焼きって感じですけど・・・

 極端に薄いわけではないこのレンズも,マウント径が大きいことで非常に薄く感じます。専用のフードを付けてしまえば,一眼レフ時代の普通の単焦点レンズの気分です。

 とはいえ,さすがにそこは純正。作りはしっかりしていますし,しっとりと手に馴染むのは気分がいいです。

 そのフードですが,やっぱりくびれや出っ張りがなく,装着時もつまらない円柱に見えます。このへんがZfとアンバランスなんだろうと思います。

 このレンズは,フィルターをレンズ本体に取り付けることが出来ません。先にバヨネット式の専用フードを取り付け,フードに切られた52mmのネジでフィルターを取り付けます。

 しかしこれだと,フィルターに入りこむ有害な角度の光線を防げません。フィルターとレンズの麺との間で反射も起きてしまいますので,フードの役割から考えると,やっぱりフィルターはフードの前に置きたいところです。


(2)写り

 写りは,実は大満足です。これは予想以上のものがありました。

 シャープネスもボケも色のりも期待通りで,常用レンズとして十分使えます。Z 28mmF2.8とは全然違っていて,そこはやっぱり価格相応なんだなと思った次第です。

 F2.8の開放から使えることはあまり期待していなかったのですが,少し(周辺は少しではないですけど)画質は落ちますが十分使えるレベルです。

 色は濃厚ではありませんが淡泊でもなく,見たままの感じですし,歪曲も補正されていて問題ないレベルです。線の細さはあまり感じませんが,下品な太さはありません。

 F2.8ですからそんなにボケないと思っていましたが,26mmですからもう一歩夜必要があり,それくらいの距離だと上品に背景がボケてくれます。私は背景になにが映っているのかわからないくらいのボケボケはどうも好きにはなれず,被写体に視線が自然に行く程度のボケが得られるのを理想としています。Z 26mmはちょうどよいと思います。

 ピント面とボケとの繋がりも自然ですし,コントラストも良好なので陰影も綺麗に出ます。常用レンズとしてはとても頼もしい画質だと思います。

(3)使い勝手

 パンケーキといいつつそんなに薄くないことに加え,この手のレンズとしては初体験のAFレンズですので,パンケーキであることは全然デメリットではありません。ピントリングも触りやすいですし,全体繰り出しですが鏡筒は伸びないので振り回すのも問題ありません。

 特筆すべきは「寄れる」ことです。26mmだから当たり前ともいえるのですが,20cmまで寄れるというのはかなり撮影自由度が上がります。とはいえ撮影倍率はたかだか.19倍ですので,そんなにパースを強調できるわけではありません。寄れば寄っただけ背景はボケるので,上手く使いたいところです。

 それから26mmという焦点距離です。かなりの広角だよなと覚悟していましたが,使ってみると案外自然です。よく考えてみると,昨今のスマートフォンのカメラが,このくらいの焦点距離なんだそうで,そういう写真を見慣れていることがあるのかも知れません。

 そうそう,このレンズはもちろん手ぶれ補正はありません。しかしZfの強力なボディ内手ぶれ補正と,レンズの小ささと画角のおかげもあって,手持ちで1/8秒も余裕です。

(4)ものたりないところ

 もう少し暖色で,色がしっかり乗ってくると常用レンズとしては申し分なしです。絞れば十分なシャープネスを得られますが,開放でもうちょっとだけ頑張って欲しいとも思います。

 それからデザイン。Zの寸胴体型はどうにかならんのかと思うのと,バヨネットフードってのはどうかと思いました。確かにフード病を押さえこむには有効なんですけどね・・・


(5)まとめ

 パンケーキレンズって,欲しいと言う人は多いように思うのですが,実際に売れたという話はあまり聞きません。ニコンでも,Ai45mmF2.8Pなんかはさっぱり売れず,中古価格も高いままという話を聞きます。

 理由はいろいろあるんでしょうけど,安くて手軽なパンケーキを求めることはあっても,高価なパンケーキを望む人は少ないんだと思います。その点でZ 26mmF2.8もそんなに売れるレンズではないと思うのですが,では6万円の価値のないれんずかと言えばそんなことはありません。

 ニコンらしく光学的に妥協はないし,質感も十分6万円のそれだと思います。ここで40mmや45mmを出してこなかったのはむしろニコンの戦略で,26mmというちょっと珍しいものをこの価格で出してきたところが,面白いなと思いました。

 使ってみると,出っ張らないことがとても快適で,もともと三次元的な凹凸の少ないZfには(デザインを除き)ぴったりです。写りも好みに近く,手軽に持ち出せ,絞りで画像をコントロールする面白さも持っている上,寄れるというのは,まさに常用レンズに持ってこいでした。

 とりあえず常用レンズを探す旅は,このZ 26mmF2.8で決着することができました。屋外でもっと試さないといけませんが,これがまだ手に馴染まないZfを身近に近寄せる原動力になってくれればいいなと思います。

Z 24-70mmF4を買う

 Zfは大変良く出来たカメラで。シャッターを切りたいという気持ちにさせてくれる良いカメラです。D850程の大げさな物ではなく,しかし妥協なく撮影出来るという点での心理的なゆとりも大きいと思います。

 ただ,私の場合はレンズのラインナップが貧弱で,D850におけるシグマの35mmF1.4ARTみたいな全幅の信頼を置ける「つけっぱなしレンズ」がないので,これからそれを探す旅に出なければなりません。

 Zfで期待出来たのは40mmF2という純正のレンズだったのですが,これはちょっと私の趣味には合いませんでした。なんというか,描写が甘いというのと,色の出方がちょっと汚いかなあ,という印象なのです。

 安いレンズですし贅沢を言うのは筋違いなのですが,Zfcのころからそういう傾向はあり,ちょっとためらいがちにつかっちました。それがZfではますます強く出てくる感じがしていて,試してみたけどやっぱり常用は難しいという結論になりました。DX用の24mmF1.7と同じような性格の40mmだったらよかったんですけどねえ。

 35mmから40mm程度のレンズはZ用でなくてもいろいろありますから,たとえばFA43mmF1.9とか試してみましたが,結果はともかくAFが動作しないことが問題で,カジュアルに撮ることも可能なレンズとしての条件を満たしません。

 新しく買うにしても,Zのレンズは選択肢が狭い(あくまでFマウントに比べてという意味ですが)ので,こういう時に悩ましいのですが,困った時に選ぶ1本すらないというこの状況を放置するのはあまりに不安なので,とにかく実用性重視で1本買うことにしました。

 とはいえ,高価なレンズは買えません。24-70mmのF2.8などはFマウントとZマウントの両方を持つことはさすがに庶民のアマチュアに許されたことはないと自覚しているので,ならばとF4の標準ズームを検討する事にします。

 候補に挙がったのは24-120と24-70のF4。どちらもSラインなので画質には不安はありません。となると利便性と価格で選ぶ事になるわけで,新品価格の差が小さい現状ではもう24-120mmの一択でしょう。

 でも,中古まで入れると話が違ってきます。24-70mmなら,中古で5万円前後なのです。新品の半額以下です。Z6とZ7のキットレンズだったこともあり,数は豊富ですし,投げ売りされやすい不幸なレンズといえます。

 Zレンズとしては最古のレンズでもあるのですが,とはいえSラインですから性能は問題なし,それ以上にZマウントを世に問う当時のニコンの混信の作品であり,実際にこのレンズの性能には否定的な意見を見た事がありません。

 最近の中古市場は全体的に値上がり気味なので,この24-70mmF4も以前よりは値段が上がっているそうですが,それでも私が見つけたのは53000円でした。これ,フードもケースも付属しておらず,その点では価格相応なわけですが,届いて見ると大きなひっかき傷がありましたし,レンズキャップも付属のものではなく,Fマウント時代の古いデザインのレンズキャップでしたから,正直よい買い物ではありませんでした。

 光学的な問題点がなかったことは幸いで,早速使ってみました。

 噂通り,Zマウントに対するニコンの考えがよく分かる,良く写るレンズです。F4開放から使い物になりますし,画角による性能差も小さいと思います。色のりも解像度もさすがと思わせるものがありますし,使い勝手も上々です。

 しかし,あまりに優等生過ぎて,つまりません。

 贅沢だなと思いますが,どれも平均以上の性能ゆえに,特に個性を感じないのです。これがF2.8のレンズだと背景のピントがあっているところと外れているところの繋がりのスムーズさに感動したりするんでしょうが,F4だとそういうこともありません。

 まあ,もともと24-70mmというレンジが感動の薄いレンジでもあるので,やむを得ない所はあるのですが,きちんと移るけど,それ以上ではなくて,ぱっと見てごく普通の写真に収まってしまうところが,つまらないのだろうと思います。

 それに,F4というのもやっぱりちょっと窮屈です。もう一段明るいとISO感度を上げられるので,ノイズ処理に歴然とした違いが出てきます。あるいはシャッター速度を上げられるので被写体ブレとおさらばできます。この差も大きいなあと思いました。

 いやね,Fマウントの24-70mmF2.8EもFTZ経由で使ってみたのです。これは確かに文句はないのですが,写りで言えば24-70mmF4と同等かちょっと悪いくらい,そのくせ大きくて重たい(さらにいうと高価なので気を遣う)ので,常用は無理かなあと思ったのです。

 で,結局24-70mmF4と40mmF2を交互に使っている(28mF2.8は好みに合わないので出番なし)感じなのですが,35mmF1.4あたりに結局落ち着くような気がします。シグマあたりから出てくれればうれしいんですが,それがダメなら純正かなあ。

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