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ユーザー「gshoes」の検索結果は以下のとおりです。

今年の修理は今年のうちに

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 続きです。

・ペンタックスMEsuper

 FA43mmを手に入れてしまったせいで,どうしても自分が修理できる範囲のカメラをもう一代確保したくなりました。

 LXは最高のカメラですが,自分で修理できるという条件から外れてしまうので,SuperAかProgramA,はたまたMEsuperあたりを探していたところ,ミラーが上がったままのジャンク品を3700円ほどで見つけました。28mmレンズ付きです。

 相当使い込まれた感じで,素人さんの分解痕も派手にあります。ビスもなくしたらしく,適当なものが取り付けられていました。嫌な予感がします。

 MEsuperには,持病があります。ダンパーの劣化による,チャージ不良です。シャッターが落ちない,ミラーが降りないという問題もこれが原因だと言われています。

 サービスマニュアルや分解手順などを揃えて,早速分解開始です。

(1)ミラーボックス

 ミラーが上がったままですので,どうしたってミラーボックスまでは分解しないといけません。それにダンパーの交換だけは絶対にしないとだめですし。

 ミラーボックスを外して私は唖然としたのですが,こってりグリスが盛られており,不用意にさされたオイルも一緒に固着して,レバーが堅くて動こうとしません。どういう機構になっているのかを調べてみるのですが,動かないのでは話になりません。

 仕方がないので,ベンジンでグリスを落として行き,少しずつ動かしていきます。素人さんがむやみに注油した恐ろしさを見ました。

 ようやく動きを取り戻したところで,ダンパーを三カ所交換します。外形4ミリ,内径2ミリのチューブを輪切りにして使うのがよいのですが,私の場合適当なものがなかったので,ミノムシクリップの絶縁ゴムの,端っこを切って使いました。

 さらにさらに分解してベンジンで洗浄を繰り返します。エアダンパーも分解して清掃,幸い内部のダンパーは再利用できそうです。

 こうしてミラーボックスは問題なく復活しました。エアダンパーの「しゅぽ」という音,たまらないものがあります。


(2)シャッター

 シャッターはぱっと見たところ問題はなさそうでしたが,かなり使い込まれていますし,この部分のダンパーの劣化もトラブルの原因として知られていますので,一応分解掃除をした方が良さそうです。

 縦走りのシャッターは分解するとパズルのようで,元に戻せないことが怖くて,私は実はばらした事はありませんでしたが,ここまできたらチャレンジです。

 慎重にばらして,順番を覚えて行きます。ばらしたらベンジンで清掃をすると,結構汚れが落ちます。ダンパーも不必要なものは外してしまいました。安心出来るという点でも,やっぱり分解して良かったと思います。

 組み立ての順番を少し間違えてしまいましたが,おかしな記憶だけに頼るのではなく,原理的な所も考えながら組み立てるべきで,その結果ようやく正常な動作をするようになりました。


(3)組み立て

 そのほか,固着している部分を清掃し,場所によっては綺麗なグリスを塗って,逆の順番で組み立てていきます。

 ところが,失敗がいくつか。配線が劣化しており,作業中に切れてしまうことがありました。自分で外した配線はメモを取ってありますが,勝手に外れた部分はメモなど取っていません。

 切れた部分が複数でないうちに,切れた部分を探し出してハンダ付けしていきます。これでなんとか元通りにできました。結局2本の配線を切ってしまいました。

 露出計のLEDも位置決めがなかなかシビアで,調整が難しかった所です。これも根気よく繰り返して,納得できるレベルにしました。

 電気回路は幸いなことに全く問題はなく,修理の必要はありませんでした。

 あと,モード切替ダイアルがかなり渋かったので,ここも分解して清掃です。かなり良くなりましたが,ちょっと操作がしづらいのは,このカメラの欠点だと思います。


(4)調整

 いつものようにグレーカードで露出計の確認と調整をします。ちょっとアンダーなようですので,調整をします。続けてオートシャッター速度を確認しますが,これがまた無茶苦茶。

 おかしいなあといろいろいじって見ましたが,半固定抵抗の初期位置から随分ずれてしまいます。

 正しくはまずオートシャッター速度から調整するべきなので,そういう風にしてみたところ,一応あわせるとができました。ただ,どうも半固定抵抗の位置が怪しい。

 気を取り直し,マニュアルシャッター速度を測ってみると,これもまた無茶苦茶。ここは調整箇所が見あたらないので焦ったのですが,もしやと思い電池電圧を測って見ると,1.2Vまで低下していました。これでは調整もおかしくなるはずです。

 1.4Vあたりの電池を入れてみたところ,マニュアルシャッター速度はかなり改善されました。ただ,シャッターボタンから指を離さないと後幕が閉じないので,おかしいなあと思いつつ調整をやり直します。

 再調整の結果,かなり半固定抵抗の初期位置に近いところに落ち着いたわけですが,そのうちマニュアルシャッター速度がかなり狂い始めました。

 電池電圧を測ると1.3Vまで落ちています。

 それにしても,これほど電池電圧に依存するとは,困ったものです。もしかしたら,電源回路に問題があったりするのかも知れません。

 これはたまらんと,新品の酸化銀電池をおごることにしました。

 結果,半固定抵抗の初期位置のかなり近いところで調整が終わりました。マニュアルシャッター速度も一応きちんと出ています。

 最後に全速確認し,問題がないことを確かめて,調整は終了。セルフタイマーのレバーを残して,全部組み立ててしまいます。


(4)外装

 張り皮がひどい状態だったので,この際張り替えることにしました。気になったのは裏蓋の張り皮で,メモホルダーをどうやって外すかが問題でした。

 結果,ホルダーは裏蓋の裏側でダボを溶かして取り付けられていました。ダボを出来るだけ温存しつつ,削って外します。そして張り皮を張り直して,元通りに組み立てます。

 張り皮はオリジナルとは違って,手持ちの関係でライカっぽいものになってしまったのですが,これはこれでまあよいとしましょう。

 ペイントの剥げもかなりひどく,プライマーのあと丁寧にタッチアップします。シルバーはプラスチックの部分ですので,プライマーは使いません。

 モルトプレーンも張り直し,セルフタイマーのレバーも組み付けて,完成です。


 てな感じですが,まだ試写はしていません。1/2000秒もきちんと出ているようなので,あまり心配はしていません。

 MEsuperと言えば,部員でもない私が写真部の部室に入り浸っているときに,先輩の持ち物だったのが記憶に残っており,勝手に空シャッターを切りまくっては,使いにくいマニュアルシャッター速度のボタンやモード切り替えダイアルに閉口した覚えがあります。

 それでもあの小ささや,1/2000秒まで持つ基本性能高さは,ちょっと憧れていました。今回それをジャンクとはいえ手に入れてみて,実際に分解してみると,特徴がよく分かります。

 プラ部品はほとんど使われておらず,金属の部品はしっかり作られており,このカメラのメンテナンスを楽しむ人が多いのも頷けます。

 ただ,操作が大変なこと,電池が結構早く減ること,それとミラーショックがかなり大きいことを考えると,このサイズはそれなりに無理をしているんだなあという印象です。

 年明けにも試写をして,様子を見たいなと思います。

 ここまでいくつかのカメラをレストアしてみて,なんとなく傾向がつかめてきました。時代ごとにやり方はちょっとずつ違いますが,勝手が分かるというか,どこをどう見ればよいかが分かってくるので,この手のカメラならもう迷わないで済むような気もします。

 さて次は,一緒に手に入れた28mmレンズのレストアです。かなり汚いのと,ヘリコイドグリスがスカスカになっています。これももう年明けですね。

ミノルタのソフトコーティングトラップにはまる

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 えと,ずっと忙しかったので書いていなかったのですが,カメラ関係も進捗が大いにありました。

・MCロッコール135mm/F3.5

 先日ミノルタXEを頂いた方から,135mmレンズも頂くことになりました。とりあえず28mmと50mm,135mmが揃えばほぼどんなシーンでも間に合います。28mmは購入しました(発送待ちです)のでよいとして,135mmをいただく件はなかなか予想外でした。

 このレンズ,フィルター径が49mmで,いわゆる前期型だろうと思います。知らなかったのですが,絞りリングにプレビューボタンがあるんですね。これってなかなかよいアイデアです。ボディにプレビューボタンがなくても大丈夫なわけですから。

 デザインは私の好みで,大振りなXEにもよく似合います。

 カビなどはありませんでしたが,残念なことに少しくもりがあるようです。これくらいなら写りに影響はないのでしょうが,精神衛生上の問題と勉強のために,分解することにしました。

 この時代のレンズは,分解がとても楽ちんです。くもりは,前玉の裏側でした。

 アルコールで表面を拭いて,から拭きをします。

 すると,なんとまあ,傷だらけになっているではありませんか!

 そういえば,古いロッコールは内側がソフトコーティングだ,という話を聞いたことがあります。まさか,これがそれだったとは・・・

 せっかくのコーティングですが,こんなに見事に傷が付いたままでは撮影に影響があるでしょう。毒を食らわば皿まで,コーティングをはがしてしまうしかありません。

 超微粒子のコンパウンドを使ってごしごし拭くと,コーティングがはがれていきます。非常に残念な気分でしたが,やむを得ません。授業料です。

 他のレンズは幸いコーティングに影響のあるようなものはなく,元通り組み立てました。くもりは消えてすっきりしたのですが,コーティングがなくなったことがやっぱり気になります。

 試写は行ったのですが,まだ現像はしていません。ただ,このころの135mmには外れはありませんし,そうおかしな事にはなっていないと思います。

 もう1つ,大物の修理をやっていました。次に続きます。

ADSLの速度アップとサーバーの異常事態

 ふとADSLが1.5Mのままであることを思い出しました。

 Yahoo!BBのサービスが始まるか始まらないかという時に,夢の常時接続としてそれまでずっと使っていたプロバイダが用意したADSLサービスを喜んで導入したのですが,すっかりそのままになっていました。

 調べてみると,私が使っているプロバイダが,ちょうど12Mのサービスのキャンペーン中で,値段も随分安くなっています。速度がそのままであっても,価格の安さで切り替えるのが得なようです。

 まあ,今時1.5Mなんて話にならないですし,「もう少し速ければなあ」と思うことも出てきました。それにアップ側の速度が512kということから,ここを訪れてくれる方々の一部から「おそい」というクレームも出ていたので,いい機会ですからここは思い切って切り替えましょう。

 そこで,切り替えの手続きをはじめてみると,12月26日に工事予定とのこと。モデムはそれまでに配送されるということです。

 先日モデムが届きましたが,このモデムは今の1.5Mでも使えそうです。それならさっさと設定をすませて置き換えてしまった方が楽でしょう。実は27日から実家に帰省しますので,可能ならそれまでに設置まで済ませた方がいいに決まっています。 

 設定は割に簡単に終わり,接続の確認が出来たのが今日。つまり工事当日です。体感上速度が上がっているような・・・モデムのステータスを見ると,5Mほどでつながっているようです。12Mが最大で,実力5Mというのは少々もの足りませんが,従来の3倍以上ですので,その点はよいとしましょう。

 で,自分のサーバーを見に行くと,画面が消えています。(うちのサーバーはノートPCなのです)

 あれ,落ちてる,と思って別のマシンからログインしてみると,生きてます。シャットダウンをして再起動したのですが,なんと再起動しません。

 画面も出なければ,HDDが回っている様子もありません。

 ああああ,どうも完全に死んでしまったようです。

 これは一大事です。HDDが死んだわけではないので,コンテンツは消えていないのですが,マシンが壊れたということなら買い直すほかありません。それだってLinuxのインストールから設定,テストまで入れれば,とても帰省までには終わりません。

 仮に終わっても,まだ実績のない状態で放置して帰省するわけにもいかず,一番良い方法は,このマシンを復活させることです。

 無謀ですね。ノートPCの物理障害を自力で修理しようだなんて。

 で,NUM LOCKキーやCAPS LOCKキーのLEDが点灯したままになっていますし,LCDの表示が消えていた(LCDの電源が切られている)ということは,キー入力とパワーマネジメントを担当するサブCPU周辺の破損だろうとめどを立てます。

 同時に,過去の経験からヒューズと電解コンデンサの破損がないか,目視で確認をします。

 CPUモジュールを外して電源を入れてみると,HDDが回転します。あれ,CPUモジュールが壊れてしまって,消費電流が多く流れて電源回路を落としてしまっているのかなあと,強烈な不安に駆られます。

 結局,なにもわからず,本当にあきらめようと思ったときに,なんとなくハンダ付けが頼りなく,一応再ハンダ付けをしておこうと考えました。電源回路周辺とサブCPU周辺を重点的にあたります。

 同時に,CMOSのバックアップ電池も外しておき,きれいにリセットしておきます。

 ダメモトで電源を入れると,なんと起動します・・・

 なにがきいたのかわかりませんが,死の淵からまたも復活しました。(一度目は私のミスでHDDの電源をショートさせてしまいヒューズを飛ばしています)

 慎重に組み立て,再起動してテストを行ってみましたが,現在の所問題は出ていません。ああ,本当に良かった。

 というわけで,ADSLも設定完了,サーバーもメンテ完了で,年内のうちに気になっていたことが片付きました。

 艦長日誌がちょっと重くなっていて,マシンパワーが欲しいと思っていたときでもありますし,HDDももう3年目になっていますから,これはきっとマシンのリプレースとHDDのバックアップをとれという,神のお告げですね,これは。

 こんど,良さそうなノートPCを探してきます。

 ところで,繰り返しますが明日から帰省します。実家は常時接続環境が全くないという「陸の孤島」です。艦長日誌の更新も,しばらく滞ることと思います。

 ここに来てくださっているみなさま,今年一年ありがとうございました。良いお年をお迎え下さい。

2006年を趣味の領域からまとめると

 今年もあと10日ほどでおしまい。年々時間の経つのが加速されていくように感じるのですが,今年一年の私の趣味の中心であった,カメラについて総括したいと思います。

・趣味の軸足

 一昨年の夏にD2Hを買い,中古レンズを探しに行ったついでに見つけたペンタックスのESIIから再燃した趣味としてのカメラですが,今や完全に生活の一部となっています。

 いわゆるジャンクカメラ(狭義では故障しているがメーカー修理を受けられないもの)の修理を楽しみとする方はかなり増えているように感じるのですが,80年代以降の,それまでの高級な精密機機としてのカメラとは違う「大量生産品」としてのカメラがジャンクとして安価に出回るようになり,チャレンジされる方が(私も含め)多くなったということでしょう。

 コンパクトカメラの修理がそれまでの趣味としての修理の最前線だったと思うのですが,私はコンパクトカメラは修理をしたことはありませんし,また基本的にあまり興味を持っていません。

 また,なんでもかんでも手当たり次第に修理するというのではなく,また誰かに頼まれたりするわけでもなく,ただそのカメラを修理して使ってみたいと思った,それに尽きる純粋な趣味の領域でした。

 実績としては,少々不安のあったESIIが現在絶好調ですし,ニコマートELも完全復活,NikonFEもまったく問題はない様子です。

 MZ-10は,先日の修理のままではあまりに不安なので,程度の完動品と中身をそっくりそのまま入れ替えました。当然実用品です。

 ミノルタXEは大変良くしていただいている方から故障品を頂いたのですが,これも今のところ非常に調子がよいようで,毎日空シャッターを切って,感触の良さを堪能しています。

 修理に必要な工具も今年最低限のものを揃えました。モルトプレーンなどの消耗品も用意しましたし,油を落とすのに無水エタノール一辺倒だった私が,ライターオイルを使うことを覚えた事で,一通りの体制は整ったと思います。

 サービスマニュアルの需要性を認識したことや,それ以上にサービスマニュアルを読めるようになったことも大きいです。カメラのように部品の多いものは,ばらしてしまえば元通り組み立てられなくなってしまうものですが,やはり1つ1つの部品には理由があるはずで,きちんと収まるべき所に収まることは精神衛生的にも大変好ましいのです。

 それで,こうやって我が家にはいくつかのマウントのレンズが増えることになってしまったわけですが,これもカビ玉や難ありのレンズを1000円とか2000円とか,そんな値段で手に入れてこれるからです。レンズの修理は基本的には得意ではありませんが,分解と清掃くらいはなんとかなるようになってきました。

 意外に役に立っているのが模型の知識と技術です。ここ数年模型にかなりはまりましたが,鉄道模型で使われる精密なギアはカメラにも通ずるものがあり,ここで使われるオイルやグリスは,カメラにも十分使えます。

 真鍮に綺麗に塗装をする技術,欠けたプラスチックを修復する技術,スミ入れを行う技術など,模型では必修になる事柄が,工具や用具も揃っている関係で全く苦痛になりません。こうしてSMCtakumar28mmやAiAF-Nikkor28mmを,かなり綺麗に仕上げることが出来ました。

 時間をかけて修理を行っても,調整がきちんと出来ないと意味がありません。他の人に頼まれた修理であればダメであっても,自分だけが使うものであれば,納得の上であまり厳密な調整をせずに済みます。

 大事なことは厳密な調整より,現在の状態がどの程度の傾向を持っているかを知ることであって,その程度の測定が出来るかどうかが,実用品かどうかの境界面であるように思います。

 シャッター速度はオシロスコープを使っています。幕速は幕速の簡易測定器を作って対応していますし,露出計はグレイカードを使って済ませています。

 無限遠を出すために必要なオートコリメータの代用品は一眼レフに望遠レンズを使っているのですが,この程度の用意であっても,実用レベルの仕上がりが期待できるものです。

 測定器の製作や工夫,実際の測定作業というのは,何を測定するのか,なぜ測定が必要なのか,測定の原理はどうなっているのか,結果をどうやって評価すればいいのかと考えながら進めないといけないものです。結果としてカメラの基礎や原理を熟知する最高の機会になります。

 つくづく思うのですが,趣味としてのカメラの修理というのは,非常におおらかな気持ちで行うことで楽しめるということでしょう。

 もしこれが,他の方からの預かりものだったとしたら,修理中に壊してしまえば責任問題ですし,簡単に修理を諦めることも許されません。オリジナルを維持できない修理は修理として認めてもらえませんし,修理に対する保証もしなければなりません。そのためにはあり合わせの材料で適当に済ませることは絶対に出来ません。

 調整もそうですね。正確な測定と客観的な調整を行わなければ,万人の使えるカメラにはなりません。使う人の歩み寄りを期待できないから,そこにはメーカーと同じだけの高い技術水準と品質管理体制が求められます。

 そうなるともう趣味ではなくなりますね。

 私のように,ネガしか使わないし,多少のズレや誤差は気にしない,というおおらかな気持ちを持つこと,「どうせ私の目には違いなどわからんはずだし」と最初から厳密に追い込まないこと,この2つが修理を楽しむには必要だと感じました。

 このために,1つ絶対的に信用できる「基準カメラ」を持つ必要があります。私の場合,それはF3です。

 オーバーホール済みなので不具合がないことも分かっています。これを基準に調整を行えば,私の手元にあるカメラは全部調整が揃ってくれます。それに,やっぱり失敗の許されない撮影にF3を持ち出せるという気持ちがあるから,「また壊れるかもしれない」という素人の修理を許容できるのです。

 そう考えると,ちょうど10年前に手に入れたF3が,こんな形で貢献することになるとは,ちょっと考えていませんでした。


・CLEという名前を持つ別のカメラ

 そんな修理の中で,最も難易度が高かったのは,やはりCLEだったと思います。

 詳しい経緯は省きますが,これはもう修理などというものではなく,一部作り直しというレベルです。

 ですから,オリジナルには戻っていませんし,オリジナルと同等の機能も有していません。納得済みの私だけが使うという前提で,始めて許された復活劇だったと思います。

 カメラというのは,結局の所,レンズを通ってきた光を,フィルムの面に一定時間照射する機械です。私の見たところ,電気系のうち,タイミング生成とシャッター幕の駆動が出来なくなっていたCLEを,やはり良くしてくださった知り合いの方に譲っていただいたのが今年の4月のことでした。

 最初は頑張って元の回路を修理しようとしたのですが,ICの破損がわかって一度は諦めました。この段階でオリジナルへの復帰は完全になくなってしまったわけですが,新しい挑戦として「カメラの基本機能」を自分で作り上げれば良いという発想の転換で,CLEはどうにか,フィルムに光を染みこませることが出来るようになりました。

 しかし,果たしてそれはCLEと呼んで良いのか,また愛着のあるCLEが壊れて私に託して下さった方の気持ちを踏みにじってしまっていないか,と最近そんな風に考えることがしばしばです。

 そんなおり,CLEの基板を交換できる修理業者さんが登場し,お金はかかるかもしれないけれども,オリジナルに戻せるチャンスが訪れました。時期が半年ずれていたら,CLEを下さった方は,ひょっとしたらこの業者さんに修理を依頼したかも知れません。そう考えると,私のしたことは自己満足ではあったかも知れませんが,決して褒められたことではないということがわかってきます。

 もちろん,自分の考えが正しかったことを体現してくれたこのCLEにはとても愛着がありますし,CLE用に揃えたレンズにもとても思い入れがあります。その点で私自身は後悔などしていませんが,他の方との関わりの中でなし得たこのCLEの復活は,私にある一定の示唆を与えてくれました。


・フィルム現像の敷居

 モノクロフィルムの現像はずっとやっていましたが,カラーフィルムの方がモノクロフィルムよりも安いため,なんとかカラーフィルムの現像を安価に自家現像できないものかと考えていました。

 カラーの現像キットが手に入ることを知り,またそれがなかなか低コストで気楽に取り組めることを体験するに至って,もはやカラーフィルムを写真屋さんに出すことはなくなりました。

 プリントはどうするの?と思われると思いますが,これはとりあえずフィルムスキャナで対応します。過去の資産の活用と,新しいネガの低コスト運用のために導入したニコンのフィルムスキャナは,実に役に立ってくれています。

 こんな塩梅ですから,私にはフィルムだけが持つ優位性や,気分的な利点を語る資格はありません。手間ばかりかかって出てくる結果はデジカメと同じか,それ以下です。

 こんなことをして何が面白いのかと自分でも思うのですが,その答えは1つ。修理したカメラで写真を取るには,フィルムしかないからです。

 そんなフィルムも,もう風前の灯火という感じです。コニカミノルタの安売りフィルムはすでに市場から消え去り,100円ショップのかつての定番商品は,ごく一部の店舗にひっそりと置かれるようになりました。

 コダクロームの国内販売中止が決定し,長尺フィルムやモノクロの現像,定着剤の入手も来年には難しくなり,,大手量販店のフィルムコーナーの寂しさは現時点でも相当なものです。

 まさかこれほどまでに急速にフィルムの文化がなくなるとは,夢にも思っていませんでした。しかし本来,化学反応を使うフィルムの扱いはかなり難しいもので,それをここまで庶民的にしたシステムが成り立っていたこと自身,驚異的な事だったと言えるのかも知れません。

 単なる懐古主義ではなく,前向きな楽しみ方というのがあるのではないかと,私は思っています。


・それでどうするの

 そんなわけで,今年一年は新しいことにチャレンジし,それなりの経験値を積み重ねることが出来ました。ただ,来年はフィルムの入手の問題もあるし,カメラの修理そのものに飽きてしまっているかも知れません。

 ただ,一度知ってしまった面白さを,そんなに簡単に忘れることはないでしょう。飽きてしまうと言うより,別のことに取り組みたくなったというのが正しい表現で,だとすればそれが出てくるまで,このままなんじゃないかと思います。

 フィルムのカメラは,今しか楽しめません。今しっかり楽しんでおこうと思います。

XEのテスト完了と道具としてのカメラ

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 週末に修理の終わったXEに,フィルムを通すことにしました。一応正常動作の確認は済ませてあったのですが,やっぱりフィルムを入れるときはドキドキするものです。

 テストにちょうど良いという理由で24枚撮りを入れたXEは,F1.7という明るいレンズのおかげもあって,結構室内でも撮れてしまいます。

 土曜日は幸い晴れてくれたので,いつものテストを行います。

 まずオートモードで1/1000秒から1/30秒まで撮影します。夕方になってから1/15秒も追加します。

 同じ条件でマニュアルシャッター速度でも撮影をして,コマ間の露出のバラツキを見ていきます。

 加えてストロボを装着し,X接点が正しく動作しているかを撮影したら,余ったコマで好きなものを適当に撮影します。

 XEというカメラは,ぱっと見てわかるほど大きいカメラです。また重い。デザインもあか抜けているとは言えなくて,非常に無骨な印象があります。申し訳ないですが,1974年生まれといわれれば「そうかもなあ」と納得してしまいます。

 一方で,巻き上げレバーのなめらかさや回転角の浅さは言うに及ばず,シャッターボタンの感触も良く,音も素晴らしいです。道具としての操作感にこだわったという当時のミノルタのコメントは,伊達ではないことがわかります。

 びっくりしたのは,フィルムを入れても巻き上げのなめらかさに変化がなかったことです。私の持っているF3も巻き上げはなめらかで,そのなめらかさに変化は少ないのですが,こちらはやや巻き上げレバーの回転角が深いために,操作感という点ではXEは素晴らしいと言わざるを得ないでしょう。

 しかもXEのシャッターは縦走りのユニットシャッターです。横走りと違って,巻き上げレバーの回転を最終的には上下運動に変換してチャージしないといけないわけで,この点でもF3なんかとは随分と不利だったはずです。

 それと,フォルムインジーケータがこんなに安心感を得られるものとは思いませんでした。結局この機構はミノルタでもこの機種だけだった(しかもXEbでは省略される)のですが,とてももったいないなあと感じました。

 現像してみると,期待通りの結果です。コマ間のバラツキはほとんどありません。オートとマニュアルの差についてもほとんどなく,これほど確実にAEが動作するとは期待以上といってもいいかもしれません。

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 これはオートで1/1000秒です。絞りはF2.8とF4の間です。

ファイル 70-3.jpg
 これはオートで1/30秒です。絞りはF16ですが,見ての通り,両者は背景のボケ具合以外に違いはありません。良くできています。

 あと,現像して感心したのですが,1/8秒とか1/4秒でも,ほとんど手ぶれがないのです。50mmのレンズで1/15秒くらいなら手ぶれをしない私ですが,明らかにシャッターが開いてることを意識できる1/8秒や1/4秒では,どうやってもぶれてしまいます。

 それがこのXEでは,ほとんどぶれていません。

 大きくて重く,デザインも無骨なカメラですが,撮影していて意外にホールド感があり,どっしりとした安定感があることに気が付いていましたが,感触だけではなく実際の効果として見せつけられると,うーんとうなってしまいます。

 ミラーショックが小さいこと,シャッターの振動が小さいこともあるのかもしれません。音が軽やかなカメラは,やはり無駄なエネルギーが小さく出来ているのでしょう。コンピュータによる解析がそれ程進んでいなかったこの時代に,これだけの最適化を行えるというのは,当時のミノルタの技術レベルの高さを感じます。(でも内部はごちゃごちゃとややこしく,機能的に整理されていないように思われるので,もし狙って動作のなめらかさと機構の複雑さを両立させたなら,まさに職人技といえるでしょう)

 レンズが50mm/F1.7の1本しかなく,買い足そうにもMC/MDロッコールは結構市場でも高値安定のようで,さすがにこの時代になってはもう球数も揃っていません。

 気を遣ってこのカメラを下さった方は,ケンコーのカメラマウント(口径42mmピッチ1mmのスクリューマウントをSRマウントに着けることが出来る)もつけて下さったのですが,このマウントアダプターはフランジバックが全然狂っており,例えばタクマーレンズを取り付けても,無限遠が出ないだけではなく,ピントの合う範囲が極めて小さいため,はっきりいって使い物にはなりません。

 そこで今日,とりあえず1500円でトキナの35-70mmという安いズームレンズを買ってきました。80年代の標準ズームですから全く期待していませんが,一応XEの守備範囲を広げるものになってくれるでしょう。

 ミノルタのロッコールレンズは,色がこってりとしているそうです。どれほどのものかと思いましたが,50mm/F1.7ではそれを実感できる程のものはないようで,正直特別な魅力を感じることはありませんでした。

 これが28mmとか,あるいは135mmくらいだと,はっきり分かるのかもしれませんね。

 いずれにせよ,非常に良い感じで修理が出来ました。耐久性は未確認ですが,感触としておそらく大丈夫でしょう。

 コダクロームの販売中止,フジフィックス,スーパーフジフィックス,フジドールの販売中止,コニカミノルタのフィルムの市場からの枯渇,長尺フィルムの販売停止,100円ショップでフィルムを扱わない店が増えたことなど,とかく銀塩フィルムに吹く逆風は日増しに強くなる感じがあります。

 そんな中で,縁あって私の手元にやってきたカメラ達に,後どれほど本来の仕事をお願いできるものなのか,不安なものがあります。

 それに,フィルムを通すことが目的になってしまってはいけません。あくまで残しておきたい画像を残すという目的でなければならないとすると,ますます敷居が高くなってしまいます。

 逆に言えば,今しかありません。今楽しむために,今できることをしたいと思います。

 最後に,このXEの修理の機会を与えてくださった方に,心から感謝申し上げます。ありがとうございます。

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