エントリー

ユーザー「gshoes」の検索結果は以下のとおりです。

Walkmanの修理~その2~WM-805編

 さて,次に取り組んだのが本物のWalkman,WM-805です。

 WM-805は1990年の発売で,「ワイヤレスウォークマン」と呼ばれたシリーズの4代目にあたります。今ならそれ自身が音楽再生能力を持つくらいの大きなワイヤレスリモコンから無線で操作をしつつ,本体から無線で音もリモコンに飛ばすというはじめての双方向を実現した画期的な高級モデルでした。

 高級と言いつつ,当時の事ですので無線はFMラジオをベースにしたアナログ方式ですし,回路が大幅に増えるために大きくなり,無線ゆえに筐体はプラスチックでどうしても厚ぼったくなります。消費電力も大きいですし,リモコンにも電源が必要ということで,私は当時冷ややかな眼で見ていました。

 ある時,某オークションを見ていると,真っ赤な格好いいWalkmanが目に入ってきたので調べてみると,それがWM-805という当時無視していたモデルだったと知り,ジャンクを手に入れました。

 手に入れたWM-805は,表面のゴム塗装が加水分解でベトベトになるというWM-805の持病は当然として,電池の液漏れは派手に起きている(これがあとで地獄を見る)上,リモコンは付属していないというゴミのような状態でした。

(1)分解とベトベト対策

 分解は手がベトベトになるので大変だったのですが,幸い石鹸で落ちるのでこまめに手を洗いつつ分解します。分解が終わったらハンドソープで洗った後に重曹に2時間ほど漬け込んで対策します。重曹ですが,本当にベトベトがなくなります。これで加水分解の対策は決定だと思います。

 分解途中で筐体を割ってしまったのでこれを補修し,つや消しのクリヤーを吹き付けます。すると細かい傷も消えて,とても上品で新品のような見た目が甦りました。しかし,そこは模型用のスプレーラッカーですから,擦れば剥げてしまいますし,角から剥がれていってしまうことは覚悟しないといけません。

 分解して見ると,想像以上に電池の液漏れが広がっているようで,なかなか難しい修理になりそうな予感です。


(2)モーターの修理

 分解をして駆動系を確認しますが,モーターが軽く回りません。これは内部でローターのマグネットが錆びて膨らみ,ステータのコイルに接触しているのが原因です。こうなったモーターは交換しかないのですが,交換出来るものもないのでモーターそのものを修理します。

 モーターを分解し,ローターのマグネットの錆びた部分をヤスリで削り取り,接触しないようにします。マグネットが割れていないので助かりました。

 元通り戻し,エポキシ接着剤で固定して修理完了。モーターは滑らかに回るようになりました。


(3)でも全く動かない

 モーターを戻し,プーリーを綺麗に清掃してベルトを掛け,電源を入れてみますが,うんともすんともいいません。ここで数日足踏みしましたが,どうやらマイコンが動いていないみたいです。

 そこでセオリー通り電源とクロックとリセットを確認します。電源はDC-DCが動作していて3.2Vが出ています。OKです。

 リセットは解除されているのでここも問題なし。残念なのはクロックで全く発振していません。クロックは500kHzのセラロックで作っていますが,これが発振しないというのはセラロックの不良に始まり,果てはマイコンが死んだまで考えないといけないので,ちょっと大変です。

 セラロックの不良から疑ってみますが,似たような周波数のものと交換しても動きません。どうもセラロックではなさそうです。そうこうしているうちに,時々発振するようになったり,ゆっくりと発振が始まったりするようになりました。

 セラロックに繋がっているとコンデンサの不良を疑いますがこれはシロ。少し値を前後させますが変わりませんので,発振条件から外れたとかそういうことではなさそうです。

 どうも電池の電解液が悪さをしているような感じなので,疑わしいところをハンダゴテであたっていると,発振することが増えてきました。上手くするとソレノイドの初期化まで進むことも出てきました。

 さらにあたっていくと,あるスルーホールを触ると確実に発振することを見つけました。ここが怪しいので細い線材でバイパスしたのですが,これだと全く発振しなくなりました。

 このスルーホールとその周辺に熱を加えてやると,安定して発振するようになってきました。原因ははっきりしませんが,どうも電解液が染み込んで配線容量が大きく変わってしまい,発振しなくなっていたのではないかと思います。

 とりあえずこの段階でモーターが回り,テープが走るようになっていました。


(4)ミュートがかかっていない

 ヘッドフォンを繋げてみると,テープを止めてもノイズが出ていますし,FFやREWでも再生音がキュルキュルとなっています。ミュートがかかっていないようです。

 本来あるべきミュートのトランジスタのベースに繋がる抵抗(100kΩ)が外れていたので,これを取り付けるとミュートはかかるようになりました。しかし何でだろう,外した記憶はないんだけどなあ。


(5)音が割れる

 めでたく音が出るようになったのですが,電源電圧が1.4Vになると音が割れて,ボゴボゴという音になってきます。どうも電源の変動で発振しているようです。

 この場合,電解コンデンサがあやしいので回路図を見ていくと,DOLBYのICに繋がっている電解コンデンサがどうも臭います。外して見ると液漏れしていました。(本当に臭いました)これを交換すると音が割れるのはなくなりました。


(6)スタンバイのまま

 これでテープも走行し,音も出るようになったので組み立ててみたのですが,よく考えると一度テープを再生すると停止してもスタンバイ(リモコン操作可能な状態)のままなので,LEDもついたままですし,消費電流が70mAほど流れたままです。こんなに流れるとテープを止めたままでも電池が一晩でなくなってしまいます。これはおかしい。

 これがなかなか難問で,なかなか解決しませんでした。数日間またも足踏みしたのですが,最悪の場合も考えてもう一台WM-805を手に入れて,波形を比較していきました。

 そもそも取説がないので正しい操作も挙動も分からないままでしたが,ちゃんと動く基板を見てスタンバイのスイッチはONとOFFをオルタネートで切り替えるものとわかりました。

 おかしい基板では,このスイッチを動かしてもスタンバイがOFFになりません。波形を見ると,本来1.4Vにならないといけない波形が,3V近くでています。これもおかしいです。

 そもそも回路図を見ていると,ここに3V系は繋がっていないのです。どこからか3Vが回り込んでいるという事だと思うのですが,そのせいでスイッチ操作によって次のトランジスタを叩くほど電圧が下がらず,結果DC-DCコンバータを停止できないようでした。

 このおかしな回り込みを調べてみますが,なかなか尻尾がつかめません。部品を外したり違う値に交換したりして変化を見ますが,どうもわからないのです。トランジスタの故障,特にPNPのトランジスタはよく壊れるので外してチェックしますが問題ありませんし・・・

 そろそろあきらめようかと思った時にもう一度回路図を見て,この回路に3Vが回り込んでくる可能性を1つ1つ見ていきましたが,どうもDC-DCコンバータを停止するトランジスタの周辺からしか回り込みようがないことがわかってきました。

 そこでそのトランジスタのベースに繋がる時定数のコンデンサ(セラミックの1uF)を調べてみました。すると,容量が全然なくなっていて,コンデンサとして機能していません。しかも,外した基板を見てみると端子間にべっとりと電解液が染み込んでいて,これがどうも導通の原因のようです。

 この電解液によるショートで3Vがベースから入り込み,前段のコレクタから周辺の回路に3Vを与えるという事が起きていたようです。

 基板を綺麗にしてコンデンサを交換すると,あれほど苦労したスタンバイのON/OFFが上手く出来るようになりました。

 要約修理完了です。ふー。


(7)とはいえ

 組み立てて動かしてると,ワウフラッターも小さく(実はピンチローラーも新品に交換しています),最盛期としてとても優秀です。筐体も新品同様の綺麗さですし,電池接点などはもう一台のWM-805かと取り替えました。

 電解コンデンサはすべて交換しましたし,これだけ手間をかけたのですから愛着もあり,これで使おうと思うのですが,心配なのはやっぱりクロックで,原因不明なままなんとなく直ってしまったという悪い状況です。

 この場合,大体あとになって問題が復活することになるので,その場合は基板も交換することになりそうです。


(8)次のテーマ

 新品で購入し(よく覚えていますが特価で1万円を切っていました),その後数年間私のオーディオ環境の一翼を担ったのにあっっさり捨ててしまったWM-EX60が欲しいのですが,兄弟モデルのWM-FX70を手に入れています。これ,当時欲しかったラジオ付きで,ラジオは動いているのですが,テープは動きません。

 これを直すのが1つ目,もう1つは新しめでWM-EX666です。回路はシンプルになっていますし,実用機としてはちょうど手頃ではないかと思います。問題はヘッドフォン端子が特殊なので,どうやって汎用の3.5mmジャックにするかを考えないといけないです。


 という感じで,WM-805は3桁の数字で命名されるモデルとしては後期のものになりますが,回路はこれでもかと思うほどバイポーラトランジスタが多用されていますし,部品の隙間もないほどびっしりと並んでいます。

 1980年代の小型化技法として見るべきものがあるなと感心しますし,これが2,3万円で売られていた事もちょっと感心しますが,この後部品は小さくすると同時に,点数を減らすことを中心に行われていきます。まだ点数が多い時代の小型化というのは,なかなか興味深いものがあり,手にしたときの密度感も,心なしか高い様に思えてくるから不思議です。これが1980年代の魅力なのかも知れません。

 

Walkmanの修理~その1~RQ-SX35編

 さて,オークションに出品されているポータブルカセットプレイヤーを見ていると,大別して高価な修理やメンテが済んだ完動品と,故障品に分けられるようです。

 私は修理が目的ですので自ずと故障品を買うことになりますが,故障と言ってもピンキリで,写りの悪い,数の少ない写真から,故障を見極めるのは難しいものがあります。

 消耗品であるベルトの破損は当然としても,それ以外の故障によっては,結局修理出来ないという事も考えられるからです。

 ヘッドの摩耗,キャプスタンのサビや変形,樹脂パーツの破損は,あきらめるしかありません。モーターが動かない場合も深刻です。電気回路の修理についても,ICの破損になるとお手上げですし,基板の断線もかなり難しい修理になります。

 さらに悪いことに,電池の液漏れが致命傷を与えることが多いです。電池の電解液はアルカリで,基板を含む金属を腐食してダメにしてしまいます。キャプスタンが電解液で錆びたり回らなくなってしまっていると本当にあきらめるしかありません。

 電池を入れっぱなしにしてある場合,ほぼ100%液漏れしています。基板やモーター,キャプスタンなどのメカに電解液が回り込んでいないことを祈るしかありません。

 こういう観点でみていくと,最終的な落札価格はどんどん上がっていきます。即決出来るもので,パナソニックのRQ-SX35というモデルをまずは手に入れる事にしました。ほらそこWalkmanじゃないとかいわない。

 もともと単三電池のアダプターが付属しているものを探していたのですが,皆さん考える事は同じようで,価格は高めになります。私はガム電池が好きですし,調べてみれば今でもamazonで新品が買えるようですから,ここは躊躇せず,素モデルを狙います。

 しかし,思いつきでやるもんじゃないですね,RQ-SX35は,リモコンがないとすべての機能が使えないと言う恐ろしいモデルでした。

 新品のカセットプレイヤーが買えないのは,現行のモデルにはDOLBY-Bがないことが理由です,RQ-SX35はもちろんDOLBY-Bがついていますが,なんとこれを有効にするにはリモコンが必要なんだそうです。

 そして,即決したRQ-SX35には,リモコンがありませんでした・・・

 とりあえず,分解です。液漏れしたガム電池を取りだし,内部を眺めてみますが,基板に少々電解液が回っていて,モーターにも基板から少しだけ染み込んでいるようです。幸い軸は無傷でしたし,他のメカも無事でした。ソレノイドの断線もなく,これなら修理出来そうです。

 ゴムベルトは溶けていましたが,手持ちの0.7mmから選んでみます。最初はベルトの掛け方がわからなかったのですが,小さいベルトを2本使うと言うことに気が付いて,使えそうなものを探して取り付けます。

 通電してみますが,モーターが回りません。

 モーターのコイルに電解液が染み込んでいたようなので,これで断線があるともう修理出来ません。ベルトを外して通電すると回転したので,とりあえずモーターは無事でした。

 するとベルトが問題なわけですが,0.7mmで回らないほど重いメカというのも考えにくく,よく調べてみるとモーターの一部にベルトが擦っていました。0.5mmなら擦らないような位置に,コイルのボビンがあるのです。

 これをギリギリまで削って,ベルトがスムーズに動くようにしてから組み立てます。書けば簡単そうですが,作業そのものは4時間ほどかかっています。

 ソレノイドとカムの初期位置が分からず組み立てに手こずりましたが,とりあえず音が出るとこまで来ました。しかし,ワウフラッターが大きくて,ちょっと使えそうにありません。

 調べてみると,このシリーズのメカはモーターのトルクがギリギリなので,ゴムが0.5mmよりも太いと,回転ムラが大きくなってしまうんだそうです。心配なことは,キャプスタンの掃除を行う時に,滑り止めをアルコールで一部剥がしてしまったことです。これは確実に回転ムラの原因になるでしょう。

 並行してDOLBY-Bを有効にする方法を考えます。リモコンの回路を解析して同じ物を作る,内部を改造して強制的に有効にするなどを考えましたが,下位機種のRQ-SX25にはリモコンが付属しておらず,本体にもう1つボタンがある事が判明しました。

 このスイッチ用にパターンも残っているので,ここにスイッチを取り付けると,最初は全く動いてくれなかったのですが,回路図を見てもう一度取り付けると動いてくれました。まずは1つ目の問題をクリアです。

 ベルトの方は,結局0.7mmでは無理なので,高価でしたが0.5mmのものを,直径25mmと31mmの2つ手配しました。

 電池はamazonで手配しましたが,実は液漏れしていた電池に充電が出来てしまい,十分に使えてしまうことがわかり,合計4本の体制ですべてフル充電が終わっています。

 後日ベルトを交換しましたが,ワウフラッターは小さくなり,A面とB面の再生速度の違いも小さくなりましたが,それでも満足出来るレベルにはありません。やはりキャプスタンの滑り止めを剥がしたのがいけなかったのかも知れません。

 DOLBY-Bのスイッチは,本体に穴を開け,タクトスイッチを分解して凸型の部品を取りだし,スイッチに被せて押しやすくしました。押し心地も問題なく,見た目も綺麗に仕上がりました。

 あとはテープスピードの調整を行って組み立てて完成です。

 RQ-SX35は1998年という随分後になって発売されたもので,ミニディスクが主役になっていた時期のモデルと言うこともあり,そんなにお金がかかってるようには見えないのですが,それでも当時のトレンドとして連続再生時間がアルカリ電池1本で51時間と,低消費電力化が進んでいます。だからこそモーターにトルクを与えられなかったのですが,この時間使えるならやむを得ないかも知れません。

 傷だらけ,しかもワウフラッターも大きくて,その上テープによってはリーダーテープの終わりで引っかかってテープが進まなくなってしまうというこのRQ-SX35は,ちょっと常用には難ありかも知れません。

 そして私は,いよいよ本物のWalkmanに手を出すのでした。ああ,もともと持っていたWM-EX60を捨ててしまったことが悔やまれます。

 

北陸新幹線敦賀延伸

 北陸新幹線が来年3月に,いよいよ敦賀まで延伸されます。

 私は大阪の生まれで,社会人になってからは東京で暮らしていますので,北陸地方に住んだことはありません。

 しかし,母の実家が福井県の今庄というところだった関係で,子どもの時には夏休みに毎年のように,長いときには2週間も滞在していました。

 これは私にとってはとても大きなイベントで,何から何まで特別な,非日常な毎日を長期間(かつ毎年)過ごす体験でした。

 まず長距離の鉄道による,太平洋側から日本海側への移動があります。機構も違えば言葉も違うし,食べ物も違います。人口密度も街の賑やかさも違いますし,思い出せば光の色も違っていました。

 川の水は綺麗で冷たく,農業用水にはサワガニもいたりして,自然がそのまま残っていました。日本有数の豪雪地帯で,冬は雪に閉ざされる集落ですが,そのおかげで水は豊かだったようです。

 雪国ですので夏は涼しく,といいたいところですが,残念ながら山に囲まれた盆地だったので,夏は蒸し暑く,冬は強烈に寒いという,気候の厳しいところでした。とはいえ都会の暑さとはまたちょっと違っていて,特に夕方の爽やかさはもう一度味わいたいと思う心地よさがありました。

 母の実家は築100年にもなろうかという大きなしっかりした家ですが,なにせ豪雪地帯の農家ですから,2階はとても高い位置に作られます。ゆえに階段はとても急で,上りよりも降りるときの怖さは,今思い出しても恐ろしいです。

 今庄駅から5kmほど離れた山間の集落にあった母の実家は,かつて小学校があった場所に隣接しています。それなりに立派な学校だったようで,大きな運動場にプールまで備えたもので,1980年代前半に建て直されたりしたのですが,1990年代半ばに統合され廃校になっています。ただ,この小学校については驚くほど情報がなく,本当に存在していたのか,私の記憶違いかと思うほどでした。

 今庄と言えば,かの司馬遼太郎さんの「街道をゆく」でも採り上げられた,北国街道の宿場町として栄えたところでしたし,鉄道が交通の主役になった時代には日本有数の難所とされた柳ヶ瀬越えのため大きな機関区があった,まさに交通の要衝でした。

 当時日本最長と言われた北陸トンネルが出来てから今庄はただの通過点に成り下がり,かつての賑わいを失ったそうですが,それでも地元に人に言わせると北陸トンネルが出来た事で交通の便が良くなったことを歓迎する声が強いようです。

 大阪にいたときには,敦賀や今庄と言った嶺南地方は湖西線をかっ飛ばす特急・雷鳥に乗って直通でしたので身近に感じたものですが,東京から今庄というのはとても遠い場所でした。

 一度東京から今庄に向かったことがあるのですが,この時は新幹線で名古屋まで行き,ここから在来線の特急・しらさぎに乗り換えました。よほど大阪や京都に向かった方が早く着くので,敦賀や今庄という所はやはり大阪に近いところなんだなあと思いました。

 敦賀と言えば原子力発電所です。これも地元を二分した事件だったそうですが,今のところ大きな事故もなく,海水浴場からドーム型の原子炉が見えていて,すっかり共存しているような感じです。

 とても良くしてくれた叔父がいて,父親とは反対のとても優しい,気遣いの出来る人でしたので,私はとにかく大好きでした。あちこちに連れて行ってもらったことを覚えていますが,そういうことも,懐かしい思い出です。

 手放しに歓迎してくれた祖父が突然なくなり,その数年後に祖母も亡くなってしまうと,母ももう実家に帰省することはなくなり,大きくなった我々兄弟もかえって迷惑になるという理由で今庄に向かう機会は失われました。

 しかし,今庄駅に降り立った瞬間の,空気の違いや光の色の違いというのは今も記憶に残っていて,出来ればもう一度訪れてみたい場所です。彼の地でも様々な事があり,記憶に残っていますが,どれ1つとして悪い思い出のものはありません。

 とはいえ,自動車がなければ移動もままならないし,結局見るところも会うべき人もおらず,何をしに行くのかと改めて問われれば,難しいなあと言うため息しか出てきません。

 そんな,記憶の中だけに繋がりがかろうじて残っている敦賀と今庄ですが,当時から新幹線が通るという話だけは聞いていました。でも,当分先のことで,ほぼ無関係と考えていた「北陸新幹線」が,とうとう敦賀まで来ることになったというので,なんだか感慨深いものがあります。

 大阪と敦賀の間はまだ工事の着工も行われていない状態ですので,当面は敦賀が北陸新幹線の終点という事になるでしょう。期せずして敦賀が交通の要衝に躍り出た感じですが,それまで大阪と福井や金沢まで直通していたものが,敦賀でなからず乗り換えないといけなくなるわけで,これは大阪と福井以北との距離を遠ざけてしまうものになると思います。

 一方で,敦賀と大阪との縁は切れることはなく,なんと新快速が一部乗り入れるくらい関西の経済圏に巻き取られている現状を考えると,敦賀から大阪が新幹線で繋がらなくても,その位置付けは変わらないように思います。

 それより,東京から敦賀まで新幹線で乗り換えなしというのが驚きで,この心理的な距離の近さというのは,ちょっといってみるかと思わせるものがあります。(ただし所要時間は30分ほど短くなるだけです)

 北陸新幹線が金沢まで開業したとき,金沢と東京がぐっと近くなりました。観光客も増えたそうですが,それは関東の人にも知られた金沢だったから言えることで,福井,まして敦賀と言えばもう関東の人からすれば遠い別の世界に思えるものです。

 有名な観光地があれば別ですが,私でさえ特に目的を見つけることの出来ない敦賀に,わざわざ新幹線で出かける理由を作れません。そもそも,私の生まれ育った大阪でさえも,今はもう縁もゆかりもない土地になってしまっています。

 もともと出不精で観光が好きではない私が,長距離の移動をしたのは,そこに縁やゆかりがあり,会いたい人がいたからです。そう考えると,敦賀や大阪は,もう記憶の中だけに残るものになっていくように思います。

カセットテープへの郷愁のようなもの

 先日,過去に発売されたTDKのカセットテープをすべて網羅したという本が出たので,懐かしさに負けて勝ってみました。私はちょうどカセットテープのど真ん中世代で,自分で録音することが出来る唯一のメディアであったカセットテープには,随分とこだわっていたものです。

 最初に手に入れたまともなカセットデッキはTEACのA-450で,これは当時の友人がゴミ捨て場で拾ってきたものを,メンテをして私に譲ってくれたものです。A-450は当時の最高級機で,オープンリールなみのACモーターと大型フライホールを持ち,ワウフラッターをメカ的に押さえ込んだマシンですが,録音と再生の回路にもお金がかかっていて,テープの性能が向上していたこの時代,カタログスペック以上の音が出ていたように思います。

 A-450は古いモデルですのでメタルテープにも対応していませんし,フェライトヘッドだった関係でバイアスも深く出来ませんでしたので,当時ハイポジションとして売られていたテープの中にはバイアスが浅すぎ,高域が出すぎる傾向がありましたし,もっと悪いケースでは消去不良を起こすものもありました。

 結局基準テープとして使われていたTDKのSAを中心に使うことになるんですが,そうした事情に加えて,実際に使った感じとしてTDKが一番気に入って使っていました。

 テープそのものの耐久性がずば抜けていて,某S社のテープのようにA面とB面で時間が違うという事は絶対にありませんでしたし,某S社は3回使うとテープがヨレヨレになったり磁性体が剥げたりして捨てるしかなくなりましたが,TDKだと致命的な劣化が起きるのはもっと使い込んでからでした。

 一番最初に録音するときだって,某S社のものはドロップアウトがひどいのですが,TDKはそうしたものはなかった(1990年代前半にはひどいものがありましたが)ので,大事な録音を行う時や,FM放送を丸取りするときのマスターテープ,あるいは長期保存を行うような場合には,迷わずTDKを使っていました。

 A-450を手に入れるまでは,安いモノラルのラジカセでノーマルポジションを使うことしか出来なかったので,ハイポジションのテープを試したくて仕方がありませんでした。A-450が手に入ると念願叶ってハイポジションが使えるようになりましたが,ノイズの少なさと高域の伸びに驚いたことが思い出されます。

 そういえば,この時のテープは,確か初代のSFだったと思います。SAなんて高価でもったいなくて手を出せず,ソニーが先鞭を付けた安価なハイポジションにようやくTDKも参入し,登場したのがSFです。それでもADよりも高かったですし,私としてはそれなりの覚悟で,あのくすんだ水色の格好悪いテープを手に,ワクワクしながら自宅まで早足で帰ったことを覚えています。確か年末,12月も30日近かったんじゃないかなあ。

 その後,いろいろなメーカーのいろいろな銘柄のテープを試してきましたが,どれも基本性能で抜群の安定感を持っていたのがTDKでした。生まれて初めて箱買いを経験した(UDIの46分でした)マクセルも,耐久性や信頼性は申し分なく,安心して使えるテープでしたが,音質jについては低域が盛り上がり感じがあって,私の好みと違っていたので,積極的に使ってきませんでした。

 あとは富士フイルムです。AXIAブランドになってから,(デザインの軽さに似合わず)その性能の良さに驚き,積極的に使いたいテープだったのですが,TDKの同クラスのテープに比べて1割ほど高かったので,あまり選ぶことはありませんでした。

 A-450はワウフラッターを物量で押さえ込む思想が気に入って,大事に使っていました。回路を修正することはしませんでしたが,トランジスタはすべてローノイズ品に,抵抗はすべて金属皮膜に,コンデンサも高音質なものへ変更し,イコライザもバイアスもアジマスも再調整して使っていました。

 これが高校生くらいまでの話で,大学生になると,もうこの時期を逃すと二度と買えなくなるかも知れないという恐怖感から,AKAIのGX-Z9100EVという高級機を背伸びして買いました。A-450の後釜ですし,TEACは大好きなメーカーでしたからTEACからと選ぼうと思いましたが,AKAIのデッキを使っている人の良い評判を聞いて,買うことにしました。

 GX-Z9100EVはAKAI(A&D)のカセットデッキとしては最終モデルだったと記憶していますが,現在に至っても致命的な故障や部品の破損もなく,30年も前に買ったにもかかわらず,今も調子よく動いています。

 GX-Z9100EVの源流はおそらく1986年のGX-93にあると思うのですが,もともと会話録音程度を想定して誕生したカセットテープに,3ヘッド,クローズドループデュアルキャプスタン,PLLによる回転数制御,リールモーターを別に用意といったオープンリール顔負けのメカを奢り,さらにDOLBY-B/Cノイズリダクションでダイナミックレンジを最大20dBも改善,DOLBY HXPROで高域のバイアスを動的に補正,OP-AMPを使わずディスクリートで組み上げたアナログ回路といった電気回路を組み合わせたGX-Z9100EVは,テープを傷めることなく,ほぼ原音そのままを記録出来るカセットデッキとして私はとても重用しました。

 もちろん,DATも使っていたのですが,DATはテープが高価でしたし,耐久性が低い上,テープの劣化や不良があると音が突然途切れるというデジタルならではの問題点もあって,主役の椅子に座ることはありませんでした。

 GX-Z9100EVを買ってからは,念願だったメタルテープを使うようになりました。ノイズはやや多いのですが,DOLBY-Cでかなり低減できますし,中低域のパワーだけではなく,高レベルで録音すると落ちがちな高域もしっかり出てくるので,その音の良さに驚きました。この頃にはメタルテープの価格も下がっていて,クセのあるハイポジションを使う理由は完全になくなったと思いました。

 磁気記録,特にカセットテープについてはなぜか今でも心地よさがあり,好きなメディアです。磁気を使った記録が我々の身近な所から廃れてしまって久しいですが,物理学的にも独特の世界を持つ磁気記録は,やっぱり興味の尽きない分野だと思います。

 そんなカセットテープから,驚くような音が出てくるということを,もちろん据え置きのGX-Z9100EVでは体験していますが,手のひらサイズのポータブル型でも,信じられないような良い音が再生出来るということを,もう一度普段の生活に取り入れてみたくなりました。

 あいにく,当時使っていたウォークマン(WM-EX60)は,ゴムベルトが切れてしまったために捨ててしまいました。今またWalkmanがちょっと見直されているようで,ゴミベルトも手にはいやすくなっているので,捨てずにおいておけばよかったと後悔していますが,こうなるとなかなかあきらめが付かないものです。

 ポケコンもそうだったのですが,お店でジャンクを漁ることが出来ない私が頼るのは,某オークションです。程度の悪いものが高価だったりするのでここももうあてにはならないんですが,とにかく手を出さないと始まらないと,Walkmanの修理の世界にこぎ出すことにしました。

iPad2のLCDを再利用する

 先日,部屋を見渡して見ると,もう使う事のないタブレットが出てきました。3年ほど前に購入した中国製の安物で,その時は便利に使っていたのですが,1年もすると性能も追いつかず,画面も擦り傷だらけになってしまって,いつの間にやら使わなくなってしまいました。

 使わないタブレットというのもなかなか始末に負えないもので,どうやって処分するんだろうと首をかしげてしまいます。10年ちょっと前には存在しなかった家電製品だったわけですから,さもありなん,というところでしょうか。

 基本的には電池を抜いて,プラスチックは燃えるゴミ,金蔵などは燃えないゴミで出してしまえばよいと思うのですが,なにか再利用できないものかと考えていると,ふとタブレットのLCDをHDMI入力のディスプレイに改造している例を思い出しました。

 こうした情報機器が安価になっていくのは,最初はカスタム品で作られる部品が徐々に標準化され,複数の選択肢から部品を選ぶことが出来るようになることで競争が起き,部品の値段が下がるようになります。

 こうした標準部品を上手に使うことも設計者の力なわけですが,1万円ほどで買える中国製のタブレットなんて,もう標準品をぱぱっと組み合わせて作っているものだと思っていたのです。

 そういえば,LCDはLVDSからeDPにインターフェースが移行したと聞いていますし,これはLCDを再利用出来るかも知れません。

 どうせ持っていても仕方がないので,さっさと分解してLCDを取り出します。このLCDは1280x800の10インチなんですが,部品名を検索しても引っかかりません。この段階でもう雲行きは怪しいわけですが,コネクタはeDPでよくある30ピンです。

 ならばと,手持ちの11インチLCD(レトロPC界隈で有名になってしまったWIMAXITです)を分解して,中のコントローラ基板に,取りだしたLCDを繋いでみます。というのはこの基板はeDPの30ピンのLCDが繋がる基板で,もしかしたらなにか画面が出るかもしれないと思ったのでした。

 ただ,解像度が違いますので,まともな表示になるとは思えません。結果は電源すら入りませんでした。たぶんですが,ピン配置が違っているんだと思います。

 amazonやaliexpressで出ているこれらのコントローラ基板をよく見てみると,それぞれ対応するLCDの型名が書かれています。つまり汎用品ではなく,特定のLCD向けの専用品です。

 そりゃーそうだよなあと思いつつ,型名を検索してもなにも出てこなかったこのLCDはあきらめました。

 ならばと古いkindle Fireを分解してみましょう。Fireタブレットと呼ばれる前の製品で,もう10年近く前になるんじゃないかと思いますが,さすがに古いものは分解も楽です。

 しかし残念なことに,LCDを取り出すところまで進めることはしませんでした。というのは,すでにLCDのコネクタのピン数がピンと,標準的に使われている30ピンでも40ピンでもありません。ピン配置を調べなおす根性もなければ,ケーブルの自作をするような気力もありませんので,これもそのまま廃棄です。

 もう1つ,これは結構覚えているのですが,iPad2がありました。

 iPad2は嫁さんが産休に入ったときに,ノートPCは大変だろうとプレゼントしたものだったのですが,その後彼女はiPad信者になってしまい,iPadminiから現在は最新のiPadProを使っています。

 このiPad2は,メモリも小さいですしOSもアップデート出来ませんから実用にならないだけではなく,娘が赤ちゃんだったときにヨダレがLCDに染み込んでいてもう使い物になりません。

 これを引っ張り出して早速分解して見ますと,LCDはsamsungのiPad用のおなじみのものが出てきました。これに対応したコントローラ基板は見た事があります。探してみると,amazonで3000円ほどで売っていました。早速購入。

 翌日届いたので試してみます。コントローラ基板から出てくるコネクタをLCDに差し込むだけなのでとても簡単なわけですが,電源を入れるとあっさり動いてくれました。

 iPad2ですので1024x768というXGAのLCDに過ぎませんし,3:4というのも今となっては違和感があります。しかし発色は素晴らしいので,これを汎用のLCDモニターとして使えたらなかなか良さそうです。

 まずHDMIは問題なし。VGAは31kHzから対応で,残念ながら15kHzや24kHzは表示されませんでした。うーん,PC-386BookLで使えたら面白そうだったんだけどなぁ。

 電気的に動作する事は確認出来ました。あとはケースに入れること,そして使い道を考えることが残っているのですが,このへんもぼちぼち考えていこうと思います。

ユーティリティ

2026年04月

- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -

検索

エントリー検索フォーム
キーワード

ユーザー

新着画像

過去ログ

Feed