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ユーザー「gshoes」の検索結果は以下のとおりです。

ピクセルマッピングの世話になる

 先日,いつものようにZfcをいじっていたのですが,レンズキャップをしたままファインダーを覗き込むと,やや左下の真ん中辺に,赤い点が出ているのを見つけました。

 これだけ目立っているのですから,購入時にあれば気付くはず。これはきっと最近出てきたものでしょう

 通常撮影時にも目立たないとはいえ出ていますし,レンズを外しても出てくるものですので,これはボディ側の問題でしょう。

 点の出方からして違うだろうなと思いつつ,期待を込めてセンサ表面のホコリを疑い,ジャンボハリケーンで吹き飛ばそうとするも,点はピクリとも動きません。

 そうなると可能性は2つです。ファインダーのOLEDディスプレイのドット抜けか,撮像素子のドット抜けです。どっちも厄介な問題です。

 ちょっと話が逸れるのですが,LSIの製造の基本的な話として,膨大な数を作り込むLSIのトランジスタが,わずかに不良になることは避けられません。しかしウェハーから取れるLSIの数が大きければ,不良だったトランジスタが含まれるものを不良品として捨ててしまっても,他にたくさん良品が取れるので,不良率は下がります。

 LSIの面積が価格に影響する話であるとか,プロセスを進める事のメリットは歩留まりを上げることだと聞いたことがあると思いますが,これが理由です。

 で,撮像素子のCMOSセンサは言うまでもなく,OLEDのディスプレイもLSIの製造と仕組みとしては変わりません,これらは面で表示や撮像を行いますから,面積を小さくすることは出来ませんので,歩留まりの悪化は避けられません。

 もし不良のピクセルが全くないものだけを出荷していたら,良品が取れなくなってしまうので数も揃いませんし,価格も無茶苦茶あがります。これは誰も幸せになりませんから,1つ2つのピクセルが不良になっていても,それは良品として出荷してしまうようにしました。

 こうすると価格も下がり,数も揃います。なので,テレビでもデジカメで1つ2つのドット抜けがあっても,メーカーは不良品として交換に応じないわけです。

 厄介なのは,初期の段階で台上だったものが,経年変化で少しずつ不良のドットが増えてしまうことです。こうした長期信頼性の問題は,もちろんメーカーとしても加速試験などである程度信頼出来る方法で試験を行って見極めるのですが,未来の話ですからね,実際に時間が経過しないとわからないものです。

 これを,いちいち交換だ修理だとやっているとお金がかかって仕方がないので,ある程度の不良は「不良ではない」という対応を取って,なんとか価格とバランスさせてると考えるべきでしょう。

 とはいえ,実際ドット抜けは本当に少なくなりました。1990年代初期のTFTのLCDなど,10インチでも2,3個の抜けがあるのは当たり前でしたし,10個並べてみれば10個とも抜けた数も場所も違うのが当たり前でした。

 さて,静止画を撮像するCMOSセンサでも同じようにドット抜けがあるわけですが,これもいちいち不良だ修理だ交換だとやっていたら,ただでさえ高価なセンサがますます高価になってしまい,商売になりません。

 そもそも,センサの1ピクセルはRGBのどれか1色の情報しか得ることが出来ず,そのピクセルの色は,自分の色1つと周囲のピクセルの色を使って計算で求めたものです。だから,他のピクセルの情報を使って元の情報と違わないものが得られるなら,すべてのピクセルが正常な値を吐き出す必要もありません。

 もちろん,それも限度があって,計算で情報を再現出来ないほどに不良ピクセルが増えてしまうとマズいのですが,それはメーカーごとに基準を設けていますので,我々エンドユーザーはそれを信じるしかありません。

 さて,私のこの「赤い点」は,CMOSセンサでしょうか,ファインダのOLEDでしょうか?

 あれこれいじっていると,「ピクセルマッピング」なるものをメニューに見つけました。うーん,ニコンのカメラを長く使っている私には,あまり馴染みのないメニュー項目です。

 これは,壊れてしまって抜けたピクセルを,周辺のピクセルの情報を使って補完する機能です。抜けたピクセルは記憶しておき,以後はそこからの情報を捨ててしまい,計算で求めたものを使うと言うことです。

 CMOSセンサのドット不良は,ずっと黒を吐き出すコールドピクセルと,ずっと白(あるいは特定の色)を吐き出すホットピクセルの2つがあります。

 どちらもその画素が正しい情報を吐き出さないわけですから,隣接するピクセルの色や明るさによっては目立ってしまうと思います。しかし,これをゼロにする,そしてその先ずっとゼロを維持し続ける事は先に説明した通りお金がかかりますし,数を揃えることも出来ません。

 そこで,機能しなくなったピクセルを登録しておき,そのピクセルの情報は周辺のピクセルの情報から演算で求めることにします。これがピクセルマッピングです。

 ピクセルマッピングはいわばごまかしですし,悪くいえば捏造だと思うかも知れません。厳密にはそうかも知れませんが,あるピクセルと,その周辺のピクセルとの間には強い相関関係があることが数学的に分かっていて,完全ではないとしても,ほぼ完全にその情報を再現出来ることを,我々は知っておく必要があります。
 
 こうしたエラーの訂正や補完の技術というのは,フラッシュメモリのセルのエラーによる訂正や置き換え,通信経路で発生したエラーの訂正,CDやDVDのキズによる読み出しエラーの訂正や補完でも使われています。

 私は正確な数式はCDのケースしか知らないのですが,CDの場合はエラー訂正が可能な範囲,補完が可能な範囲,それも無理でノイズになってしまう範囲が数学的にきちんと分かっていて,完全にあてにならないものとそうでないものを分けて扱う事が出来ています。だから我々エンドユーザーは,今出ている音が偽物かもしれない,などと疑心暗鬼になることなく,音楽を愉しむことが出来ているわけですね。

 CMOSセンサも同じ事だと思います。そもそも,現在のベイヤー配列の撮像素子は前述のようにピクセル単位ではRGBのどれか1つの色情報しか持ちません。周辺のピクセルから足りない2つの色を計算で求めていて,それを我々は「高画質だ」とありがたがっているわけですから,ピクセルマッピングを許せないという話は,私にはナンセンスに思えます。

 ということで,もしかするとと,メニューにあったピクセルマッピングを選んでみました。数分待たされ,終わってからファインダーを覗き込むとあら不思議,見事に「赤い点」が消えています。

 この赤い点はCMOSセンサの問題で,ディスプレイではなかったのです。そしてピクセルマッピングによって解消したのでした。めでたしめでたし。

 いやー,助かった。これで解決してよかったよかったと喜んでいたのですが,他のカメラもやっておこうと思うのはこれ人情というもの。愛機D850を始め,いくつかあるデジカメは,皆Zfcよりも古いです。

 早速ピクセルマッピングを行おうとしたのですが,メニューにピクセルマッピングが見当たりません。D850もD300もGRもありません。うーん,ないものは仕方がない。

 調べてみると,もともとニコンはピクセルマッピングをユーザーに公開していなかったようです。Z6もZ7にも搭載されておらず,Z6II,Z7IIになってから可能になったとあります。(持っていないので本当の所はわかりません)

 ならD850にないことも理解出来ます。なら,ホットピクセルはどうやって直せばいいのか?

 サービスセンターに持っていくと,昔は1000円でやってくれたという記述を見つけました。今はもっと高いそうですが,手段がないわけではなく,ユーザーにやらせなかったという話のようです。

 それだけ危険で,リスクを伴い,頻繁に行うようなものでも,すべての人が必要とするものでもない,という判断からサービス対応となったのだろうと思いますが,このピクセルマッピングという機能はオリンパスが先鞭をつけたものであるらしいこともわかりました。うっすらと,かつて使っていたE-20にはそんなメニュー項目があったような気が・・・

 他の会社については,機種にもよるのですが,センサクリーニングを行うとピクセルマッピングが自動的に行われるという記述も見ました。

 ということで,メーカーとしてはあまり積極的に使って欲しいものではないようです。でも,ホットピクセルが手元で直せたらうれしいですよね。

 そんなピクセルマッピングですが,この機能を一度実行すると,実行前の状態には戻せません。戻す人もいないと思いますが,最初の状態を残さなかった私のような人が,実行前に戻って比較をやろうと思っても手段はありません。

 ホットピクセルやコールドピクセルは,長年使っていれば,発生してしまっても不思議ではありません。センサの交換には大きな費用もかかりますし,交換後にまたホットピクセルが出ることも大いにあります。

 そう考えると,画質に極端な低下を引き起こさないのであれば,ピクセルマッピングを使ってさっと解決するのが望ましいです。

 私が次に新しいカメラを買うことがあったら,ピクセルマッピングの有無を調べて買おうと思います。

電気ポットが学習機能を持った

  • 2021/11/02 14:12
  • カテゴリー:散財

 これは,朝5時頃,たまたまトイレに起きた嫁さんの話です。

 生理現象に抗うことが出来なかった彼女は,寝室から出た時に異臭を感じました。

 ストレスなく生きるには感度を下げるのが合理的であるという持論の彼女をもってして,その異臭はぼーっとした頭をフル回転させるに相応しいものだったと言います。

 異臭とは,なにかが燃える臭いです。

 命の危険があるその臭いに,さすがに目が覚めた嫁さんは,ガスコンロ周辺を捜索しました。しかし,それまで炎を出していなかった機器が,突然炎を出すように動作する事はなかなか難しい事です。

 しばらくあたりを見回した彼女は,異臭と共にシューシューという異音を感じました。

 そして,背後にその原因を見るのです。

 原因は,電気ポットでした。

 この電気ポットはタイガー魔法瓶のPVQ-Hという製品で,容量3.0Lのモデルです。の2011年に購入したもので,もう10年になります。購入してかなり時間が経過したモデルですが,毎日使用しており,危険を感じたことは今までありません。

 恐ろしいことに,電気ポットがひたすら沸騰を続けており,あわてて電源をカットしたその時,ポットの水はほとんど残っていませんでした。僅かな水が沸騰する音と,普段燃えないものが燃えているときの,あの不快な臭いは,この異常事態が引き起こしたものでした。

 私が目覚めてから顛末を聞いたのですが,さすがに私も青ざめました。寝ている間にヒーターをカットするため,タイマーを仕掛けて9時間後に指定された温度になるように運用していたのですが,ヒーターがONになったあと,切る仕組みが動作せず空だきになってなる寸前になっていたようです。

この電気ポットで,家族の命と自宅を失いかねなかったと。そしてその可能性は,これまで経験した中で最も高い,危機的なものであったと。

 重大な事故が未然に防げたことは,もう嫁さんのおかげとしか言いようがありません。命の恩人といってもよいでしょう。今回の事故は,それくらい私を恐怖させました。

 幸いなにもなかったこと,購入して10年経過していることから,これ以上のアクションを起こすことはしませんが,二度のこのメーカーの製品は買いませんし,お奨めもしません。というより,このメーカーが最初から存在しなかったことにすると思いますが,そうなると次の電気ポットをどうするかが問題になります。

 この電気ポットは恐ろしいので通電せず,もうそのまま粗大ゴミに出しましたが,いつでもお湯があるという生活を捨てがたく,後継品の選定に入りました。

 しかし,私のような家電大好きの人にとっても,電気ポットというのは難易度の高い商品です。まず,製品の写真を見てもどれも同じ。メーカーの違いは全くわかりませんし,デザインも3つぐらいに分類すれば,どれかに含まれてしまいます。

 その割には値段はバラバラで,安いものは5000円くらいから,高いものは3万円近くもします。なんだこりゃ?

 細かいスペックを見ていきますが,はっきりいってどれも同じ。値段の違いがどこにあるのか,さっぱりわかりません。

 しかし,24時間通電するものであり,電気を熱に変える製品であることから,ちょっとしたことが1年分の電気代の違いとなって大きくなるはずです。安易な決め方をすると大損するのは,すでに経験済みです。

 しかし,決め手に欠きます。どれを勝っても一緒ならむしろ話は早いのですが,値段がこれだけ違ってくると,どうもしっくりこないのです。目立った機能差がない以上,価格差を認めるわけにはいきません。

 象印とタイガーという2大メーカーがそんな状態ななか,きらっと光るメーカーの製品が見つかりました。パナソニックです。

 気になったのは,学習機能。そう,ユーザーの使い方を自ら学習し,温度を維持すべき時を自分で判断して,節電をします。とうとう電気ポットに学習機能です。

 これまで,私は夕食後に9時間のタイマーを毎日セットしていました。夜のうちに60℃付近まで下がった温度は,朝6時頃には指定した85度に加熱されます。しかし,うっかり忘れることもしばしばありますし,夕食後にお湯が欲しい時もあり,不便な思いをしていました。

 これが自動化されるというなら,まさに正常進化でしょう。沸騰から保温を電気で行うポットが誕生し,真空保温で保温に必要なエネルギーを削減したものが第二世代なら,学習機能で積極的な節電は第三世代です。

 今回選んだのは2014年に登場したNC-SU224という2.2Lモデルなのですが,お値段は少し高めで,2.2Lモデルが18000円ほど。9月頃ならもう2000円ほどやすかったようなのですが,仕方がありません。

 デザインは電気ポットの様式をそのまま継承していますが,エルゴノミクスではないただ適当に丸いだけの電気ポットとは違い,合理的な平面をうまく持たせたところがパナソニックらしく,色も家電メーカーが選んだ色として好感触です。

 LCDの見やすさもさすが家電メーカーですし,ボタンも押しやすいので,この段階ですでにこの製品で正解だったように思えてきました。

 この製品は,水道水を使うことを考えて必ず100℃に沸騰する従来の機能に加えて,浄水やミネラルウォーターを使う場合に目的の保温温度まで加熱して維持する機能を持ち合わせています。100℃まで沸騰させなくてもいいので,かなりの節電になります。

 私が欲しかった機能にはこれがあったので,ここも○です。

 給湯の量をボタンの押し具合の強弱で制御出来ることも素晴らしいです。また,充電池を内蔵しているのでAC電源を外しても給湯が出来ます。沸騰後テーブルに置いておき,いつでもお茶が飲めるようにするという習慣がある家庭(私の実家がそうでした)では重宝するでしょうが,そうでない場合でも設定や学習内容が維持されるというのがうれしいです。

 最近はやりの蒸気レスは謳っていませんが,浄水を使う場合の設定では蒸気はそんなに出てきませんで,実質蒸気レスです。もちろん真空保温も持ってます。

 そしてなにより学習機能です。過去1週間の給湯のタイミングを記憶し,毎日その時間帯には指定した温度を維持するように制御するという便利機能です。

 いや,本当の所をいえば,最初は懐疑的だったのです。だってそうでしょう,RTCを持たないのに,ユーザーの行動パターンを学習して湯温を維持するタイミングを自分で判断するなんて,難しいでしょう。

 平日と休日で違うのはもちろん,夜中に給湯したものは例外とか,朝6時には確実に80℃になっていないといけないとか,時刻で制御しないと上手くいきそうにないですよね。

 もちろん,24時間のタイマーを持っていさえすれば,RTCでなくても大丈夫なんですけど,私ならRTCを内蔵し,学習プラス設定時刻でヒーターを管理するような設計をしたと思います。

 今どきのキッチン家電がRTCを持ち,最初に時刻合わせを必要とすることなど当たり前で,ユーザーも慣れています。せっかくここまでやったなら,ぜひRTCを持つ電気ポットに育ってほしいものです。

 まあ,それはさておき,早速試してみましょう。

 この電気ポットの学習機能は,長く使用されていない時間が続くと保温用ヒーターを切り,真空保温だけで温度を維持します。60℃以下にならないように,60℃になったら設定した温度まで加熱し,またしばらく使われない状態になったら保温を切るという仕組みです。

 そして使われた時間を記憶しておき,毎日その時刻の前に加熱を行って設定温度になるようにしてくれます。学習は1週間単位で行われ,最初の1週間は使われた時刻すべてで,それ以後は前の週のすべての使われた時間で,設定温度のお湯が準備されるのです。

 実際,朝65℃まで下がった状態で給湯すると,翌日の同じ時刻には指定してあった80℃を維持するよう,保温用のヒーターがONになってくれていました。

 これで1週間使い続ければ,我々家族の生活パターンを記憶し,80℃の温度を必要なタイミングで用意しておいてもらえそうです。これが自動化されるのは,本当に楽だと思います。

 しかし,1つ問題がありました。100℃に沸騰しないで,指定した温度までの加熱を行うモードで加熱後,学習省エネを設定してあるとき,水が減ってきたので水を追加すると,100℃まで沸騰してしまいました。

 沸騰と加熱を完全にモードで分けてくれていれば良かったのですが,そういうことでもないようで,現在どのモードにいるのか,どういう設定になっているのかがわからないのも困りました。

 いろいろ試してみましたが,60℃以下になると雑菌が増えてしまうので,60℃以下になったら加熱しないといけないわけですが,追加された水が水道水なのか浄水なのかはわからないので,水道水として扱い100℃まで沸騰するという動作になるようです。

 これを防いで,目的の温度に加熱するには,沸騰ボタンの二度押しという操作が必要になるようで,せっかく学習機能があるのに,完全自動にはなってくれませんでした。

 ということで,基本機能はもう当たり前なのでいちいち評価はしませんが,問題なく動作していますし,ボタンの配置も大きさも好ましく,LCDも見やすいですし,電源が抜けても停電してもしばらく設定や学習内容が維持されるというのもうれしいです。

 そして学習機能もわかりやすいアルゴリズムになっていますし,これで今のところ十分ですので,これから楽が出来そうです。

 ただ,消費電力が大きく異なってくる100℃までの沸騰が必要かそうでないかは,最初に設定し,グローバルな有効範囲を持つようになっていたら,もっとよいのになあと思いました。通常は指定した温度を維持するだけで,100℃にしたいときだけは手動で行うというとはっきりしていれば,勝手に100℃になることがないという安心感があって,よいと思いました。

 欲しい時にいちいちお湯を沸かすことなくさっと利用出来る電気ポットは,もう25年以上も使い続けている便利家電の1つです。電気代がかかるというのは事実ですが,その分便利になるのもまた確かなことで,当分使い続けることになると思います。

 

 私は,温かいものは幸せの条件の1つだと思っています。電気ポットは地味ですが,これがないと寒々しいものになると思っており,これがインテリジェント化することへの期待は大きいです。AIを搭載する必要があるかどうかは別にしても,もう少し賢く出来るだろうという伸びしろも感じるので,さらなる進化を期待したいと思います。

 

まさかのFTZII

 先日,負けっぱなしで未来を心配されていたニコンが,Z9という強烈な一発を放ちました。

 まあ,キヤノンのR3に追いつくくらい,上手くすればα1に追いつくくらいかと思われたZ9は,全世界のカメラ関係者の祈りが通じたのか,両機を一機に引き離し,現時点で考え得る最高の性能と信頼性を両立し,しかも予想よりも低価格で登場することとなりました。すごいぞニコン!

 Z9は,ニコンはお家芸の一眼レフから光学ファインダーとシャッターをあっけなく捨て去りました。そう,詰まるところニコンは自分たちが持つ差別化技術のうち,2つを放棄したということです。

 ニコンは保守的な会社に見えるときもあるのですが,その実野心的な会社です。もちろん身の丈を越えるような無謀な挑戦はしませんが,最先端の技術であるかどうかというよりも,それが十分にプロの期待に応える物かどうかが判断基準になっていて,ブレないところがすごいなといつも思います。

 考えてみれば,そういう熟成が出来るまで世に出さないのがニコンですので,他社に比べて遅れたように見えるわけですが,商品が出てみればさっと先頭に飛び出してくるのもまたニコンで,他社の背中を見ているときに変に焦って失敗しないのは大したものです。

 思い起こせばD2Hで「アテネの悲劇」と言われた時代を経て,D3は人間の視力を越えるカメラとして登場し,見えないものを記録するという新時代を切り開きました。

 AEは使い物にならないといわれた時代にF3は登場し,AFは使い物にならないと言われた時代にF4は登場しました。同じ事がZ9でも起こるのだろうとワクワクします。

 さてさて,本題はZ9ではなく,FTZIIです。

 先日,FTZを買ったことをここに書きました。Zfcを買って,その使い心地や画質が思った以上に良くて,それならもっと高画質なレンズが欲しいなということで,取り急ぎ手元にあるFマウントのレンズを使ってみようと,FTZを中古で買ったのです。

 この時,すでにFTZIIの噂は聞こえていましたので,買うべきか待つべきか迷いました。が,当時の私は,FTZIIが三脚座の出っ張りがなくなるという確度の高い情報から,絞りレバーの駆動モータが廃止され,電磁絞り専用になると予想し,FTZを買ったのでした。

 しかして,FTZIIがZ9と同時に発表になりました。結果は皆さんもご存じの通り,FTZIIはFTZと全く同じ機能を有すると発表されました。

 えー,まじか!

 FTZIIは,三脚座の出っ張りがなくなっても,絞りレバーを動かすモーターが内蔵されていて,Fマウントレンズのサポート範囲はFTZと同じです。

 それだけならまだしも,価格が安くなっています。どういうことよ?

 こりゃ,完全にFTZを置き換えてしまいますよね。強いて言えばFTZIIは12月発売でまだ先の話,昨今の部品供給の問題から品薄になる可能性もありますが,FTZはそれがないということが欠点でしょうか。

 この発表を受けて,FTZの中古価格は早速下がっています。12月までに売り切らないといけないわけで,これからどんどん下がるでしょう。FTZが一番不足していたのはZfcが登場した時ですので,私は一番高価だったときにFTZを買ってしまったということです。

 ああ,人生とはかくも厳しいものか!

 まあ,これだけ大ハズシすればむしろすがすがしいくらいで,私自身はFTZに特に不満もありませんから,案外すっきり納得しています。仮にですよ,当時FTZIIがFTZと同じ能力だと予想できていたとして,FTZIIを待つことにしたとしたら,12月までFマウントレンズを使えなかったことになるわけで,それはそれはさみしいですよ。

 実際,大三元はZfcでも素晴らしい画質ですし,シグマの17-50F2.8は画質と使いやすさを両立するつけっぱなしレンズになりました。AF-S200-500mmは先日の満月を驚くほどスッキリととらえてくれましたし,そう考えるとFTZはさっさと買って良かったと思っています。

 なんて強がってみても,あと1ヶ月ほどの間に自分が買った値段よりも大幅に値下がりすることがわかっていて,穏やかな気持ちには慣れません。お店の人が「シメシメ」とほくそ笑んでいるのを想像するのも,精神衛生上よろしくありません。

 まあ,FTZIIが登場してみて,FTZよりもなにか劣っている点が見つかったりすれば話も変わってくるのですが,そんな可能性もないでしょう。

 ですので,FTZIIが登場して,買い換えで大量に流れて中古価格が大幅に下がったFTZを,お安く買って,ぜひZマウントの世界を楽しんで下さったらいいんじゃないかと思います。

 ちきしょー,うらやましい。

AppleM1 Proについて考える


 新しいMacBookProが,噂通り発売されました。AppleM1を搭載したMacBookAirを,私もほぼ発売と同時に買ってもうすぐ1年になるのですが,「生活マシン」には十分過ぎるM1も,コンテンツ作成に十分な性能かと言われれば心許ないこともあり,そこはきっとAppleM2なるものがでてくるんだろうと,みんな思っていた訳です。

 しかし,出てきものはM1 PROとM1 MAXで,あくまでM1の派生でした。

 MacBookAirは,その性能を一気にハイエンドノートの領域に引き上げつつ価格は10万円そこそこと,かなりのお買い得感があったのですが,今回のMacBookProは14インチが24万円から,16インチが30万円からと,随分高くなったなあと言う印象です。

 もっとも,M1を搭載した13インチのMacBookProは併売となっていますし,お値段も16万円ということですので,棲み分けという点では問題ないのですが,14インチモデルが13インチの後継ならば値上がり,15インチモデルの後継なら妥当な価格,と言うことになるので,ここはもう考え方次第なのかも知れません。

 さて,私の興味はやっぱりプロセッサです。

 M1が高速であったことに偽りなく,また消費電力が極端に低いことを昨年12月に私も喜んで書いているのですが,実は1つだけ納得いかないものがありました。

 x265のエンコードの速度です。ffmpegからx265を使っているのですが,MacBookProLate2016(Core i7-6700HQ)を1とすると,M1はRosetta2上で0.5,ネイティブだとなんと0.3くらいまで低下します。

 M1の高性能コアでありFireStormの1コアの性能は,TigerLakeのコア1つとほぼ同じ程度ですので,この結果はどう考えてもおかしく,x265がM1に最適化されていないせいだろうと思っていました。

 あれから1年,しかし未だに速度に変化はありません。そろそろ誰かが指摘してもいいだろうと思うのですが,少なくとも日本語でここを突っ込んだ記事を見かけることはなくて,もしかしたら私だけの話かも知れないと焦っていました。

 実はmacOSには,VideoToolBoxというサービスがあり,これを使うとハードウェアアクセラレーションを利用することができます。ffmpegでも利用可能なので,これを試したこともあるのですが,速度は大幅に向上しつつもエンコード品質があまりにひどく,使うことはありませんでした。

 そんなこともあってMacBookProを買い換える気も起きず,今回の祭りは静観していたわけですが,先日真面目に調べたところ,ようやく詳しいことがわかりました。

 x265は,NEONに対応していなかったのです。

 NEONはARMのSIMD命令セットです。それなりに昔からあるものなので,まさかこれにx265が対応していないとは思っていませんでした。AppleはHandBrakeというソフト向けに,M1のNEON対応パッチを出しているのですが,ffmpegで利用することは現時点では出来ていません。

 これを使えば速度は品質そのままで3倍になるという事ですので期待出来るのですが,まずは本当かどうかを確かめてみる必要があります。

 調べてみると,ffmpegでもNEONに対応したバイナリを配布してくれている奇特な方がいらっしゃって,ビルドが面倒な私はこれで試してみることにしました。

 すると確かにエンコード品質に影響なく,3倍の速度になりました。ファンレスのMacBookAirで,ファンが唸るMacBookPro2016と同じ結果が得られるというのは,確かにすごいです。しかし,fdkaacを使えないので,このバイナリを常用することはあきらめざるを得ません。

 ならばとHandBrakeを試してみたのですが,こちらも同じ結果です。M1のMacBookAirとMacBookPro2016は,ほぼ同じ速度でした。

 うーん,そうなると,新しいMacBookProのM1 PROとM1 MAXが俄然気になってきますよね。どれくらい高速化されるのだろう,この際買い換えちゃうかとか・・・

 ということで,M1シリーズについて,少し辻褄が合うように調べてみました。

 まずM1から。

 M1は高性能コアであるFirestormが4つ,高効率コアであるIcestormが4つの8コアのプロセッサで,TDPは15W,クロック周波数は最大3.2GHzです。

 この1年で様々なベンチマークが発表されていますが,シングルコアの性能は,インテルの現行のアーキテクチャであるTigerLakeとFirestormがほぼ互角となっています。(一世代前のIceLakeに比べたらFirestormは圧勝です)

 高効率コアのIcestormは,ベンチマークの結果からざっくりForestormの0.3倍と考えてよさそうです。そうすると,M1のパフォーマンスはシングルコアの5.2倍と計算出来そうです。(ちなみにIcestormの電力はFirestormの1/10ということですので,随分電力効率の良いコアなんだなあと思います)

 インテルのCPUではノート用では4コアですからこれが4倍となるわけで,M1との差は約1.3倍。これはMacBookAirが登場した時によく見たベンチマークの結果とほぼ一致しています。

 で,当時は,インテルだと20万円のマシンがファンをぶん回しているのに,M1だと10万円でファンレスというのがすごいという話だったのですが,今数字を並べてみるとなるほどと思います。

 メモリについてはLPDDR4-4266で128ビットで繋がっているということでしたから,4266*128/8=68.2GB/sという帯域幅です。これでCPUからGPUからなにからなにまで面倒を見ます。

 次に本題です。M1 Proです。

 M1 Proは,FirestormもIcestormもM1と同じと見て良さそうです。だからM1という名前を継承しているんだと思いますが,M1 ProではFirestormを8コア,Icestormを2コアと,高性能コアに割り振っています。

 よってTDPは60W台ということらしく,M1に比べて大幅に大きくなっています。

 さて,問題のパフォーマンスを考えてみます。M1 ProはFirestormが8コア,Icestormが2コアですので,シングルコアの性能の8.6倍ということになります。M1が5.2倍でしたから,M1に対して65%ほど高速という計算になりますが,これはAppleの公式発表の70%や,各種ベンチマークの結果である60%程度という数字と大体合っています。

 インテルですが,8コアのTigerLake-Hが今年の5月に発表になっています。TDPは65Wということですので,M1 Proと性能も電力もほぼ互角なんじゃないでしょうか。

 ところで,M1 Proには8コア版もあります。一番安いMacBookProに搭載されるM1 Proがそれなのですが,これは先程の計算だと6.6倍となりますので,10コアのM1 Proとの性能差は約25%となりますが,これも実際のベンチマークの結果によくあっています。

 メモリ幅についてはM1 Proは大幅に向上していて,LPDDR5-6400を256ビット接続しているとのことです。ざっと計算すると6400*256/8=204GB/sと,Appleの公式発表の数字に合います。

 私はGPUにはあまり関心がなく,それはつまりグラフィック関連で重たいソフトを使わないということなんですが,それにしても200GB/sという数字は強烈だと思いますし,M1 MAXになるとさらにその倍ですから,そりゃ高くもなるわな,と思います。

 ということで,名前はM1のままではあるのですが,搭載するコアの能力を選ぶ事でハイパフォーマンス向けのCPUも作る事が出来るということがわかったのですが,これがコアそのものに手が入るM2世代になると,一体どうなることやらと思います。

 よく考えてみると,CPUをインテルに委ねていたAppleは,MacBookAirに適したCPUとMacBookProに適したCPUを,今あるラインナップから選ぶしかなかったわけです。

 しかし,M1ではFirestormとIcestormの構成比率を変更するだけで,パフォーマンスも電力も調整可能になりました。しかもその調整幅が10万円の生活マシンから,40万円のプロ用ノートまでカバー出来るようになるわけです。

 Appleがやりたかったことは,まさにこれなんだろうと思うのです。

 これも,Firestormがインテルのシングルコア性能に匹敵するものであるからこそ成り立つ作戦であって,従来Armはインテルのコアにはパフォーマンスでかなわなかったことを知るものとしては,多くの人が言うように,大した設計能力だと感心せざるを得ません。

 さて,Appleは2年かけてApple Siliconへの移行を宣言しています。今回のMacBookProはちょうど1年経過して登場したメインストリームでしょう。あと1年でMacProまでサポート出来る強烈なCPUが出てくるのと同時に,もっと安価なモデル用のものも出てくるかも知れません。

 私はと言うと,結局MacBookProを買い換えるには高すぎるし,MacMiniにM1 Proが搭載されることを期待しつつ,もうしばらく様子を見ようと思っています。


 

Lightroom6の限界

 OSのアップデートがあったり,Zfcを使うようになったりして,少しずつ変化していく環境ですが,変えたくないのが現像から印刷までのワークフローです。

 私はLightroomを長く使っていますが,使っているのは買い切りライセンス版の最終であるLightroom6です。すでにサポートが切られて久しく,対応するカメラはD850が滑り込みで対応したことで,そのまま使っています。

 ここから専用のプラグインを経由してCanonのPRO100に印刷をするというのが一連の流れとなるわけですが,要となるのはやはりlightroom。AppleM1は当然として,64bit化も行われておらず,ゆえにcatalina移行は動作しません。

 それ以前からサブスクリプション版であるLightroomClassicに移行すべきだったわけですが,それまでの「アドビ税」と揶揄された毎年のアップグレード代金が重く,それでもライセンスは残るからと重税に耐えてきましたが,サブスクリプションはこのアドビ税が毎年から毎月に変わるようなもので,文字通り税のような重さです。

 年間を通して支払うお金はあまり変わりませんし,こういうのはサービスと対価がその人にとってバランスしているかどうかが問題ですので,文句をいう筋合いではないのですが,ライセンスを購入した人が実質的にそのライセンスを行使できない(バグで動かない)ことへの憤りは世界レベルで目にします。

 私の場合,新機能にあまり魅力を感じませんでしたし,対応カメラはD850が最新,レンズも新しいものをサポートしてくれなくてよいということもあり,しばらくはLightroom6で行くことにしていました。いよいよダメになってからlightroomClassicへ移行することにしました。

 これね,買い切りなら早く買った方が得になるのに,サブスクリプションならいつでもいっしょだと思うと,移行が後回しになります。こういう損失ってあると思うんですけどね。もしLightroom6からの移行に割引クーポンでも出てくれば,さっと移行すると思うんですが・・・

 そんなわけで,CameraRawの最新版をインストールして,レンズプロファイルとカメラプロファイルをLightroomに移植,ZfcのRAWはDNG ConverterでDNGに変化して羽読み込ませるという手間をかけて,Lightroomでのワークフローに無理矢理のせています。

 一応これで印刷まで出来るんですが,気にしないといけないのは,現像バージョンが古いという事です。LightroomClasssicの現像になると,高感度時のノイズを効果的に潰すなど,画質に直接影響を与えるような進化があります,レタッチや編集にそれほど興味のわかない私でも,かつて撮影したデータが最新の現像で最新画像になるというのは興味深いものがあります。

 もちろん,MacのOSが先日Montereyになり,着実に前に進んでいるのに,Lightroomを使う時は未だにMojaveで再起動というのも面倒ですし,プリンタドライバのサポートもいつまで続くか心配です。なにより,最新のMacBookProへの買い換えが出来ないという縛りは,しんどいものがあります。

 Lightroom6は,実はインストール済みのマシンのOSをアップデートした場合には,最新のMontereyでも,とりあえず動作します。ルーペ表示で情報をオーバーレイ表示すると白い帯が横たわってしまうので,表示をOFFにしないといけませんが,まあそれくらいの不具合です。

 ただ,もう無茶苦茶遅くて,いくらなんでも昔はここまで遅くはなかったと思います。

 Zfcを買った機会に,lightroomをサブスクリプションに移行させることを本気で考えないといけなくなりそうです。

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