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いうほど悪くないぞ,FTZ

 Zfcは散歩とマウントアダプタ遊びに徹する,と決めたので,AFが使えるレンズが2本あれば十分,あとはMFで遊ぼうと思っていました。

 しかし,Zfcをしばらく使ってみると,やはりというか,使い勝手が最新のカメラで画質も良いということで,もっとAFで使えるレンズが欲しくなりました。

 悲しいのはGタイプのレンズです。絞りが機械連動なので,安いマウントアダプタに取り付けると絞りが最小に固定されてしまいます。

 今さらGタイプもなかろうと思うのですが,私のお気に入りの1つにトキナーのAT-X107DXという10-17mmの魚眼ズームがあり,これをZfcに使えたらと思ったのです。このレンズはDXフォーマットのものですので,Zfcならぴったりですよね。

 いや,中華製のマウントアダプタにも,絞りレバーを持つものもありますから,それで済ませてしまうことを最初は考えていたのです。しかし,シグマの散歩ズーム17-50mmF2.8もありますし,この際ちゃんとFマウントのレンズ資産を活かした方が賢いんじゃないかと思い始めたのです。

 AF-S70-200mmF2.8Eも,14-24mmF2.8Gも,楽しそうでしょ?

 そうなるともうFTZです。そう,あの悪名高きFTZです。

 FTZはZ6/Z7と同時にリリースされた純正マウントアダプタで,Fマウントレンズの大半を利用可能にしてくれます。とはいえあくまで利用可能という話であって,AF-Sレンズはほぼ問題ないのですが,モーターを内蔵しないAFレンズはAFが動きません。

 結局はAI連動とAFカプラーがないFマウントボディと同じになるわけですが,ミラーレスは絞り込み測光ですので,AI連動である必要が最初からなかったりします。

 FTZの最大の問題は,なんといってもあの不細工な下顎です。大きく下に飛び出した顎は大きく,三脚穴まで開いている始末。FマウントとZマウントとのフランジバックの差を埋めるために妙に厚みがあり,しかも実売3万円と高価です。

 これはあれです,20万円以上のレンズを持っている人向けに,Zマウントのレンズが揃うまでの間に合わせとして用意したものです。60年の歴史を誇るFマウントを継承するためでも,手持ちのMFレンズを楽しむためでもありません。

 あの不細工な下顎は絞りレバーを動かすために膨らんだものなのですが,その絞りレバーの駆動は絞りリングを持たず,かつ電磁絞りを持たないGタイプのレンズを救済するためだけに必となっているわけで,これに無関係な人にとっては,FTZの不細工さと高いお値段に付き合わされたものといえると思います。

 で,うちの状況なんですが,シグマの17-50mmF2.8はGタイプです。AT-X107DXもそうですね。AF-S14-24mmF2.8もそうですし,AF-S60mmF2.8マイクロもそうです。

 ついでにいうとEタイプなら24-70mmF2.8もそうですし,70-200mmF2,8も,200-500mmF5.6もそうなので,実は結構FTZで遊べるレンズが増えてくれそうです。

 下顎のないスマートな新しいFTZ2が計画されていると噂されていますが,これはどう考えてもEレンズ専用だと思いますし,Zfcを楽しむためにも,1つ買っておくことにしました。

 しかしですね,一時2万円を割っていた中古価格がここへ来て値上がりしています。新品の実売が3万円なのに,中古が28000円ってどうなっているんでしょね。

 私はギリギリ納得出来る25000円のものを探して買いましたが,それでもちょっと高いかなあと思っていますが,こういうのは待っていても仕方がないのでさっさと買いましょう。

 届いたFTZは某店Sランク品だけあって程度が良く,気持ちが良いです。早速いろいろ試してみましょう。

 まずシグマの17-50mmF2,8。AFも問題なし,手ぶれ補正も効きますので使い勝手は抜群です。これがZfcの機能と画質で楽しめるんですから,面白いですよね。
 最大の問題は大きく重いことで,Fマウントの24-70mmF2.8をつけているのかと思うほどの煩わしさです。せっかくのお手軽ズームが本気ズームになってしまいます。

 次にAT-X107DX。これはおもろいですよ。Zfcで魚眼を試している人ってまだまだ少ないと思うのですが,ミラーレスのファインダーで見た魚眼というのはなかなか不思議な景色です。ちゃんと撮影も出来ますので十分楽しめそうです。
 問題はAFが動かないことです。とはいえ,もともと魚眼でAFの必要性って低いですし,フォーカスエイド(ZfcはAFレンズをMFで使う時だけフォーカスエイドが発動します)も動きますので,とりあえず我慢しましょう。

 お次はAF-S70-200mmF2.8Eです。さすがに素晴らしい画質で,強力な手ぶれ補正と高速なAFをZfcでも楽しめるのはすごいことです。それにレンズに備わったFnボタンもちゃんと動作し,設定で機能も変更可能です。
 ついでにいうとDX機であるZfcでは105-300mm相当になりますので,望遠側にはより有利になってくれます。
最大の問題はやっぱり大きさと重さで,もはやボディがオマケレベルになりそうなほど,レンズが大きいです。重いし持ちにくいし,それに不格好(賛否はあるでしょうが,私にはニコンFに300mmF2.8をつけたような美しさとは対極にあると思います)で,正直これを持ち出すならD850だよなと思いました。

 続いてMFレンズで,AI-P45mmF2.8です。CPU内蔵のMFレンズとしては唯一の存在なのですが,FTZを使えばコマンドダイヤルで絞りを動かせますし,フォーカスエリアのマークが合焦で緑になるというフォーカスエイド(完全なフォーカスエイドは左下に前ピンと後ピンの指標が出るのですが,このケースではそれが出ません)まで使えます。これも想像以上に使い勝手がいいです。でもね,実はこのレンズって私はそんなに好きではないんですよ。
 問題はやっぱりその不細工さ。フジツボフードを備えたこのレンズでは,大きなマウントから先細りになりますので,長さに加えて見た目の不細工さも深刻レベルです。

 そして最後にAI35mmF2.8Sです。これも問題なく撮影出来ますが,開放F値を設定する必要がありますし,でも設定してもなにもいいことがないというよくわからない仕様です。フォーカスエイドも使えませんし,絞りもコマンドダイヤルで動かせませんので,FTZはただの筒として機能します。
 問題はあえてなにもなし。ただの筒です。FTZを使う理由もないほどです。

 とまあ,AiAFを試していませんが,きっとAI-Pと同じ動きでしょう。俗にCPU内蔵レンズといわれているならコマンドダイヤルで絞りを動かせ,フォーカスエイドも使えるということでしょう。

 そして,FTZそのものにもぜひ触れておきたいです。FTZの下顎,そんなに悪くはありません。確かに美しくないのですが,手に持ってみると,ちょうど左手の手のひらにのっかる感じで,悪くありません。三脚座にもなるということを考えると,これはこれでありなんじゃないでしょうか。

 Zfcとのバランスも悪くありません。Zfcが忠実にかつてのFMシリーズのシルエットをなぞっているからかも知れないですが,こういうオプションも不思議と不細工に見えないです。

 床に置くと安定しないことも指摘されていますが,実のところFマウントのレンズには大口径のものが多く,レンズとFTZとで床に安定して置けてしまいますので,これもあまり問題になりません。

 ですので,MFレンズは中華製の安いシンプルなマウントアダプタを使い,GタイプとEタイプの現役バリバリのレンズは我慢せずFTZを使うと,Zfcでも満足に使えそうです。

 ということで,なにかと文句の出るFTZですが,私としては高価であること以外に欠点は見当たらず,GとEレンズとの組み合わせでは我慢を強いられることがありませんでした。このあたりはさすがニコンという感じで,文句を言っている人はFTZを使った事がない人じゃないかと思います。

 価格としては半額,せめて2万円までが妥当かなと思いますし,ニコンはこれで儲けてはいけないとも思います。これまで支えてくれたFマウントレンズとFマウントのユーザーに,Zマウントへのクーポン券を出すような気持ちで売って欲しかったと思います。期間限定,条件付きの半額キャンペーンとかではなく,です。

レトロマシンのメンテ~その2

 実家から持ち帰ってきたものをチェックするシリーズ,今回はソードのM5jrです。

 このM5jr,大好きなマシンなのでもとより手放す気などないのですが,実は借り物ですので勝手に捨てる訳にもいきません。その割には粗末に扱っていたことがわかって,もっと大事にすべきだったと後悔しています。

 最初に残念なのは,改造されていることでした。それもくだらない改造です。もともとM5シリーズの映像出力はなんとRF出力のみという割り切った仕様になっていて,コンポジットビデオ出力さえもありません。

 20年前までなら,いかなるテレビでも接続可能だったM5ですが,今となっては接続可能なテレビが皆無です。一部で需要のあるRGB接続などとは違い,もうまったく需要のない接続方法ですので,お金を出せば解決するという甘いものでもありません。

 30年前,当時の私が考えたこともこれに近く,M5jrにコンポジットビデオ出力端子を増設したのでした。今見てみるとなかなか真面目に作ってあり,トランジスタ1つを使ってビデオアンプを用意してありました。

 ところがこれにも穴があり,音声をどうするかという問題が残ります。当時の私はオーディ出力端子を設けることをせず,PC-6001と同じく本体にスピーカーを搭載するという荒技に出ました。

 これが結構手抜きで,LM386のアンプをちゃっちゃと組み立てて内蔵し,カートリッジスロットの右側に6mm程の穴を9つ開けてスピーカーを裏側から貼り付けるという,まさに電子工作レベルの改造です。あげく,音量調整用のリュームは,トランジスタラジオによく見られたスイッチ付きのボリュームのジャンク品を流用,スイッチ部を壊して無効化し,筐体の手前に細い角穴を開けて,ここに瞬間接着剤で固定するというやっつけ仕事で逃げています。

 ボリュームは接着が外れてグラグラ,スピーカーの穴は右に左に曲がっているという体たらくで,これは見るのも辛いです,まずはこれから解決です。

 とはいうものの,開いた穴を塞ぐのは上手くいかないので,スピーカーについては45mmほどの大穴をあけ,表側からスピーカーを接着してしまいます。スピーカーには黒いネットを貼り付ければ,とりあえず素人臭さはなくなります。

 ボリュームは他にいい方法がなかったので接着方法を見直して再固定。これでなんとか形になりました。

 さて,次はソフトですね。手持ちのカートリッジはBASIC-Gのみしかありませんので出来る事は限られます。テープ版のソフトは5本ほどあるんですが・・・

 最初にBASIC-Gのマニュアルを見ようとしたのですが,どこにもありません。それもそのはず,実家で見た記憶もないのです。これはまさかの紛失です。

 すでにスキャンし廃棄している可能性も考えましたが,肝心のPDFが見当たりませんので,結局BASIC-Gのマニュアルを見つけることは出来ませんでした。トホホ・・・

 ここでもう心折れて片付けても良かったのですが,ふと思いついたのはBASIC-GのRAM不足の問題です。M5は本体にRAMをほとんど持たず,ユーザーエリアはカートリッジに持つ事になっています。BASIC-Gも他例に漏れず,わずか4kBのRAMがカートリッジに内蔵されています。

 いかに良く出来たBASIC,いかに整数型BASICとはいえ,4kBではあまりに少なく,80年代前半の低価格マシンがRAMを削ることで成り立っていたことをここでも痛感するわけですが,一応純正でRAMを32kBまで増設出来るので,改造によってメモリを不足すことは可能です。

 メモリマップを確認すると,さすがにシンプルで定評のあるM5で,RAMは8000HからFFFFHまでの32kBが割り当てられています。A15を反転するだけで256kBiteのSRAMのCSを作る事が出来そうです。

 カートリッジ内部を見てみると,16kbitのSRAMが2個入っています。ピン数が違うとは言え,このパターンを上手く活用すれば256kbitのSRAMに置き換えることが簡単にできそうです。

 そうなると今度はROMです。BASIC-Gは2764が2個搭載されていて,2000Hから3FFFHまでと,4000Hから5FFFHまでにそれぞれ割り当てられています。それぞれのCSは本体側のカスタムICが作っているのでカートリッジ側はただ繋がっているだけです。

 なら,このCSをORして27128や27256のCSに突っ込んでやればBASIC-Gを1つのEP-ROMに格納できそうですよね。しかも,空いたスペースにゲームなりBASIC-Iなりを詰め込んでおけば,便利カートリッジも実現しそうです。

 いやいや,BASIC-Fもこの際だから搭載しよう,M5が実数型BASICで動くなんて面白いじゃないかと欲張ってみたのですが,結論から言うと失敗しました。

 まず,BASIC-Fは20kBの容量があり,上記のROMエリアに続いて6000Hから6FFFHまでROMをマッピングしないといけないのです。このエリアのCSもカスタムICで作られていて,カートリッジスロットまでは来ているのですが,悪いことにカートリッジ基盤にはパターンがなく,信号を利用出来ません。

 ならば真面目のデコーダを組むかと考えてみたのですが,どうしても規模が大きくなりすぎ,これも面倒くさくなってやめました。だって,2000Hから6FFFHまでイメージなしのフルデコードですよ,面倒くさいですやん。

 そこでBASIC-Gをとりあえず1つのROMに格納する実験を繰り返したのですが,どうも配線ミスが解決しないみたいで,なかなかきちんと起動しません。実はROMをソケットにした時点でカートリッジのフタが閉まらなくなってしまうので,無理にこの改造を行うモチベーションもなくなってしまっていたのですが,このままでは基板も壊すかもと勇気ある撤退を決断,もとの2764を2つ,直にハンダ付けする元の状態に戻しました。

 ROMに手を入れる前にRAMを32kBに改造して動作確認まで終わっていたのですが,ROMの改造に手こずってしまったことで,RAMの動作も怪しくなってしまっては本末転倒です。とりあえず1つ戻って2764で動かして見ると問題ないので一安心です。

 これでフタがきちんと閉まる32kBのRAMを持つBASIC-Gになったのでこれでよしとしたのですが,ちょっとゲームで遊んで見たくなったので,SRAMの空きパターンにソケットをくっつけ,ここにもう1つ8kBのROMを搭載出来るようにしておきました。

 ゲームで遊ぶときにはいちいち殻割りし,ROMを焼いてここに差し込み,スイッチを切り替えて裸の基板で遊ぶことになりますが,ハンダ付けもいらないレベルですので,ここまでやっておけばいろいろ試せるでしょう。

 一応数本のゲームと,BASIC-Iまでは正常に起動し切り替える事がでできることを確認できて,ここでM5jrは終了です。

 今回いろいろ触って見て,M5っていいマシンだなあと思いました。シンプルで「あたりまえ」のハードウェア,モード2割り込みの実装とBASICからの利用で同時並行で処理を記述出来る利便性,整数型BASICによる軽快な動き,小さくかわいらしい筐体に意外に使いやすいキーボードと,復刻して欲しいくらいです。

 MSXがこのコンセプトでどこかのメーカーから作られていれば,それはそれでヒットしたんじゃないかと思うのですが,家電メーカーや重電メーカーのマシンはごっつく,力関係上それが販売の主流だった当時は,MSXに軽快さを求めるのは難しかったように思います。

 そういえば,カシオあたりがかわいらしいMSXを作っていましたが,やはり搭載RAMの小ささで躓いてしまいました。これはデザインや小ささで買ってもらえる製品を目指したというより,安いことを真っ先にした結果でしょう。

 さて,あとは出来上がったM5jrでカセット版のゲームを遊んでおしまいです。残念ながらマニュアルが見当たらないのでBASIC-Gを詳しく使ってみることはしません。


3ヶ月遅れで届いたZfc

6月末,不調が伝えられるニコンが,まさかのレトロ調ミラーレスを発表,Zfc(Zとfcの間にはスペースが入るのが正しいですが,間延びするのでここではZfcと書きます)と命名されたそのカメラは,往年のFM3Aのような外観を持つ,小型で安価なカメラでした。

 中身はZ50という,Zマウント機にしてAPS-Cというエントリー向けのミラーレスなのですが,Zシリーズ全般に今ひとつ存在感が乏しく,使ったことのある人からの評価は高いものの,話題に上ることの少ないカメラだったと思います。

 ニコンはFマウントとの決別を急激に進めている所であり,ZマウントにもFマウントにも元気がない状況には,期待よりも不安の方が大きいファンも多いのではないかと思います。私もその一人です。

 そこへ突然発表になったのが,Zfcです。ニコンは銀塩時代からプロ用モデルを頂点にアマチュアや写真を学ぶ人たち向けにも良心的なモデルを用意して来ましたが,ZfcがモチーフにしたFM3Aというモデルも,マニュアルで操作するカメラの定番として長く親しまれたものです。

 そのシルエットは1977年のFMから変わらず,持ちやすさと操作性を両立した大変息の長いカメラらしいデザインだと思います。

 それを元に登場するZfc,私は即予約をしました。

 最新のカメラには,機能と操作性とのバランスが考え尽くされており,古いデザインや操作性で新しい機能を実装するのはそもそも無理があると私は思うのですが,ダイアル中心で手にすっぽりと収まる銀塩時代のカメラには筆舌に尽くしがたい心地よさもあります。

 ただこれは,その操作性に見合った程度の機能しかないシンプルさに心地よさを感じているだけかも知れず,その点で私は最新のカメラと昔の銀塩のカメラとは全く別のものと割り切って使っていました。

 ですから,Dfなんてカメラが出た時には,D4譲りの画質という点以外に興味を持たなかったのです。しかしZfcは,ベースがZ50と割り切ったものになっている上,ミラーレスの特徴である「薄型に出来る」ことを最大限デザインの実現に利用して,本当に往年の銀塩の一眼レフのようなたたずまいを見せています。

 これは,銀塩の使い勝手と最新のZマウント機の画質を手に入れるチャンスではないか。

 そう考えて発表当日に28mmキットを,Zマウント機のデビューに向けて予約したのでした。とうとうZマウントデビューです。

 Zfcには3つのセットが用意されました,本体のみ,16-50mmズームレンズキット,そして外観デザインをAi-Nikkor風にした28mmF2.8レンズとのキットです。

 レンズの評判の良さと使い勝手の良さからいえば,ズームキットです。しかしその見た目はあまりに不格好で,Zfcのしっかりしたレトロデザインに全然マッチしません。

 なら28mmキットだということになるのですが,値段が微妙にあいません。レンズ単品だと16-50mmが実売で40700円,一方の28mmF2.8は実売で38500円と2200円ほど28mmレンズの方が安いです。

 しかしZfcのキットだと価格が逆転し,16-50付きが149600円,28mm付きが159500円と28mmの方が1万円も高いのです。何かの間違いかと思いましたがそうでもないし,なにか付属品に違いがあるのかとも思いましたが,そういうことでもなさそうです。

 推測するに,16-50mmの方が原価が安い,28mmは結構高いということではないかと思います。Zfc本体だけだと129800円ということですので,差額はそれぞれ2万円と3万円という事になり,16-50mmが破格であることがわかります。

 てなわけで,お得なのは16-50mmのキットであることは分かっていたのですが,このレンズはそんなに使うことがないだろう,使わないならいかにお得といえども無駄な投資だと考えて,使用頻度が高い28mmのキットを選んだのです。

 しかし,これが悲劇の始まりでした。

 発売日がすべて7月23日に決定し,KマウントやらMマウントやらのマウントアダプター,LCDフィルムなどを用意して発売を待ちわびていたのですが,直前になって28mmのキットの発売延期が発表,発売日未定となりました。

 本体と16-50mmのキットは予定通り7月23日です。予約した商品の違いで,くっきり明暗が分かれてしまいました。

 まあ,それでも1ヶ月くらいの遅れだろうと思っていたのですが甘かった。ようやく発表になった新しい発売日は,なんと10月2日です。予約から実に3ヶ月も待たされることになったのでした。

 いやね,zfcすべてが遅れるというならそれは納得するんですよ。だけど遅れたのは28mmのキットだけです。それなら16-50mmのキットを買って楽しみ,あとで28mmが出たら(このころ10月に発売予定とありました)買うというのが,費用面でも時間面でも最適解だったことになりますよね。しかしその最適解にたどり着くには運の要素しかないのです。

 いろいろ事情があったのだろうと思いますが,予約した人は28mmが欲しくて予約したのかも知れませんし,とりあえず本体が欲しくて予約したのかも知れません。3ヶ月も遅延するのであれば,真っ先に予約した人に対しては少なくとも,本体だけの予約にするかどうかの意思確認を行ったり,先に本体だけ特別に送って28mmレンズは準備ができ次第発送するとか,そういう「後始末」を行って欲しいと強く思いました。

 ニコンからも販売店からもなんにアナウンスもなく,果たして10月2日に「予定通り」届いたZfc,私は「遅れてしまったすみません」の紙ペラ1枚くらいは入っているものと思っていたのですが,それもなし。

 ニコンと,販売店の非誠実さを強く感じました。

 まさに,しれっと3ヶ月遅れで商品を黙って送りつけ,知らん顔。
ゴメンねの一言もなし。こういう大人になるなと,私は娘に言い聞かせました。

 そして,いの一番に予約した我々優良顧客は,完全になめられているなと。
次に潰れるのは,きっとニコンでしょう。

 ということで,ここまではグチです。本題のZfcのファーストインプレッションです。発売から3ヶ月経過していますので今さらレビューも珍しくないと思いますが,これが書かずにいられないくらい,どうもよろしくありません。

 10月3日の日曜日の午後,汗ばむような秋晴れのなか,Zfcに28mmレンズの組み合わせで娘と近所の散歩を1時間ほどしました。


・大きさ,重さ

 大きさはカメラのベストサイズであるFM系が少し分厚くなったくらいの感じですので,手に馴染み持ちやすく,軽快です。重さはびっくりするほど軽く,これも良好なハンドリングです。「軽いは正義」と何度も口走ってしまいました。

 これまで重いカメラを気に入って使っていて,軽いカメラには今ひとつ信用をおいていなかったのですが,Zfcを使ってみてその考え方が変わりそうです。


・デザインと質感

 長年愛されたFM系のデザインを踏襲したのですから,悪いはずはありません。いかにもカメラ然としたたたずまいは非常に格好良く,若い人が珍しがるのもわかりますし,私のような年寄りにも懐かしさと使い勝手の良さを提供するでしょう。

 銀塩のカメラよりも本体に厚みがありますが,そこはDfと違ってベースがミラーレスのZマウント機で,大変良くまとまっています。

 デザイン上の問題でいえば,Zマウントのマウント径が大きすぎて,小振りのZfcには似合わないということ,そして左肩のISOダイヤルが大きく目立ちすぎてしまうこと,でしょうか。

 ISOダイアルはロックがかかることもあり,そんなに触りません。なにこんなにいい場所に,こんなに大きく配置されているので,私にはどうも白々しさのようなものがあり,しっくり来ません。

 ただ,FM系の操作系で最新のデジタルミラーレスカメラが扱えることのうれしさと楽しさは想像以上のものがありました。

 質感は良くありません。カメラとしてどうなのよ,10万円を越える製品としてどうなのよ,と思うくらい,よくありません。

 ダイヤルはアルミの削り出しだそうで,お金もかかっており,精緻な感じがします。しかし,軍艦部やトップカバーはプラスチックに銀色の塗装です。いや,カバーがプラスチックなのは昔のカメラでも良くあった(CLEなんかそうですよ)ので気にしませんが,塗装と表面処理がどうも安っぽくていけません。銀色は艶がありすぎてテカテカしていて,せっかくのしっとりと沈んだ輝きのダイヤルと差があります。

 ボトムカバーもプラスチックですが,これはもう数千円クラスのコンパクトカメラの安っぽさです。塗装はテカテカで下品,電池のフタはパカパカと落ち着きがありません。エプロン部の疑皮が良い感じなのに,残念です。これは将来出るかもしれないブラックのZfcだと,格好いいかも知れません。

 スイッチやボタンの質感は良いのですが,ISOダイヤルとシャッタースピードダイヤルがグラグラしていて,もはやFMシリーズに対する冒涜だと思わせるレベルです。特にISOダイヤルがグニャグニャで,遊びが大きいのではなく,回転中心の軸が左右に動きます。

 kakaku.comを見ていると,露出補正ダイヤルがグラグラしていて,数日後に取れたので初期不良交換になったという書き込みがありました。ISOダイヤルのグラグラがこれほどひどいというのは私の個体の不良かも知れませんが,確かめようもないので今後お店で触ってこようと思います。


・画質

 画質は文句ありません。さすがZマウント機です。Zシリーズはその画質の高さで,使った人は皆褒めるのですが,それはZ50も同じでした。Z50そのままであるZfcの画質が悪いはずはなく,実際その写りの良さは,写真が上手くなったんじゃないかと勘違いするほどです。

 レンズの性能も良く,切れ味とボケ味の両立を高い次元で行っていることに感心しました。

 画質とはちょっと違う論点なのですが,画素数は2000万画素と少なめで,しかしなんの不満もありません。これ以上多くても意味はないように思いますし,そもそもAPS-Cというフォーマットに求めるものを考えると,もうこれで十分です。

 そのAPS-Cですが,手持ちのレンズの個性を楽しめないという不満が甦ったこと以外は,別にこれでいいんじゃないかという感じです。フルサイズで楽しめたゆとりであるとか,レンズの個性を生かせる面白さはありませんが,それでもZシリーズは高画質なので,FA43mmF1.9Ltdの優しい眼差しや7Artisans 28mm F1.4 ASPHの開放からのキレの良さも,ちゃんと感じられます。

 広角の28mmを好む私としては,APS-Cで28mm相当になる18mmのF2.8クラスが欲しいのですが,16-50mmのF2.8ズームがあれば,少々大きくても買うだろうと思います。

 サードパーティがZマウントにはないので,ニコンがDXフォーマットをどのくらい真面目に考えてくれるかが,Zfcの生き死にを決める事になるでしょう。


・レンズ

 3ヶ月つの延期の元凶となった(と思われる)29mmF2.8は,見た目がAi-S50mmF1.2みたいな大柄なのに,前玉が小さいので,あまり格好良くありません。写りは今どきのレンズらしく,開放からシャキッと写りますし,絞ればさらに良くなり,ボケも綺麗で自然なので,良くまとまった優秀なレンズだなと思います。

 しかし,悪くいえば無個性で,感激がありません。Zfcの一本目としては最適化もしれませんが,それは16-50mmのズームに任せて,28mmの方はもう少し個性を出して欲しかったと思います。

 そうそう,40mmF2も同時に買ったのですが,こっちは素晴らしいです。60mm相当なので中望遠に片足がかかるのですが,温かみと切れ味を両立して被写体を浮かび上がらせます。デザインがZシリーズ向けなのでZfcには不似合いですが,とりあえず35mm用のねじ込みフードをつければごまかせます。

 価格も安いですが,軽くて小さく,明るくて良い画質なので,これはお奨めです。


・電池寿命

 電池寿命はさすがに短いです。これまで電池寿命でメリットのある一眼レフを使い続けていましたし,Zfcは小さい電池ですので,常時撮像センサを駆動させ続け,長時間ディスプレイを点灯させないといけないミラーレスカメラは,やっぱり電池寿命で随分不利なんだなあと思いました。

 で,これは使い勝手にも関係するのですが,少しでも寿命を延ばそうとした低消費電力化が使い勝手を極端に悪くしている例がありました。

 特に無操作が30秒続くと電源が切れるという仕様です。いいなと思ってファインダーを覗くと真っ暗,シャッター半押しで再起動させてファインダーに像が出てきた時にはもうシャッターチャンスを逃しているという事が,もう何度も何度もありました。これは話になりません。

 せっかくファインダーの見え方は素晴らしく,光学ファインダーと並ぶほどだと思ったのに,消えてしまってはファインダーとしての機能を果たしてくれません。

 オートパワーオフを無効にすると,顔を近づけた時だけファインダーが動き出すので,今はこの設定で使っていますが,常時撮像センサが動いている状態ですので消費電力も大きいはずで,どれくらいの電池寿命なのかを,今度ちゃんと確かめておこうと思います。

 悲しい事は,背面のLCDの方が電気を食わないということです。だとしたら,もうファインダーなんていらんのと違うか,と思ってしまいます。小さい穴を覗き込むのをいかに人間が好むとはいえ,LCDの方が見やすく電気も食わないなら,光学ファインダーを模するためだけに無駄な事をやっていることになるわけで,早晩個の仕組みは使われなくなるかも知れません。


・使い勝手

 使い勝手はおよそ満足からは遠いです。

 まずはレリーズボタンです。なぜ汎用のレリーズケーブルが使えるようにしてくれなかったのかという不満に始まり,半押しまでの遊びが大きく,ストロークも深いですし,全押しの重さも深さも大きくて,せめてここくらいはD850なんかと同じくらいにしても良かったんじゃないでしょうか。

 ISO感度設定はあちこちで不満が噴出しているのであえて書きませんが,自動設定ももっと上手く実装して欲しかったですし,なにが良くないといってMモードでもISO感度が自動設定されてしまうのが最悪です。

 Mモードは,露出計を見ながら最適な絞りとシャッタースピードを選びますが,露出計が変化せずISO感度が動くのは,露出の補正を行うことが出来ないのでMモードそのものが使い物になりません。

 この場合,ISO感度は固定で使わなければなりませんが,その切り替えもメニュー深くにいるので簡単にアクセスできません。マイメニューに登録するのが一番ですが,マイメニューを呼び出すのも一苦労ですので,なかなか届かないというフラストレーションは大きいものがあります。

 メインコマンドダイヤルとサブコマンドダイヤルは便利なのですが,サブコマンドダイヤルの場所が悪く,中指で操作することになります。しかし中指を器用に動かせる人はそんなに多くなく,大変使いにくいです。

 ファインダー像の拡大もわざわざ背面の拡大ボタンを押さないといけないのですが,ファインダーをのぞき込みながら拡大出来るボタンにさっと触れるようになっているべきではないでしょうか。私はFnボタンに割り当ててしまいました。

 AFモードも今ひとつです。瞳AFは優秀で驚きましたが,露出が1段ほど明るくなるのは余計な仕様なのでやめて欲しいです。

 それからMF。AFレンズをMFで使う時にはフォーカスエイドが利用出来ますが,MFレンズを使うとフォーカスエイドが使えません。これは意地悪ですか?

 ところで手ぶれ補正ですが,ボディには入っていません。私は手ぶれを押さえても被写体ブレを押さえることは出来ないと思っているので,手ぶれ補正の必要性をあまり感じていないばかりか,手ぶれ補正があるからと暗いレンズでもいいという考え方に実害出ていると思っているので,Zfcに手ぶれ補正がないことは大した問題と思っていません。

 ただ,超音波によるセンサークリーニングは絶対必要です。特にミラーレスには必要だと思うのですが,Zfcにはこれがありません。これは残念です。

 Zfcに限りませんが,ミラーレス器は常時シャッターが開いています。撮影時にはまずシャッターを閉じて,そこから露光という流れなのですが,つまりいつもセンサが露わになっているのです。

 なので,私としては電源OFF時にはシャッターが閉じる仕組みと,センサクリーニングは必要だと思うのです。

 前者のシャッターが閉じる仕組みは,ゴミの問題もそうですが,レンズ交換時にセンサを傷つけるといった問題を防ぎますし,レンズから入ってくる太陽光線やレーザーによってセンサが焼けてしまうことをも防ぎます。

 ちょっとしたことですし,他社では実際に行われていることなので,特許に引っかからないのであれば,アップデートで実現して欲しい機能です。


・アイカップとファインダー

 ファインダーが丸窓というのは「わかってるなあ」と思わずニヤニヤしてしまうポイントなのですが,これが過去のどの機種にもないような不細工なゴムの縁の丸い枠なのです。

 私が欲しいのは没入感を促進するアイカップです。せめてオプションで用意して欲しいのに,それもありません。

 DK-22にアイピースとアイカップを組み合わせてみましたが,残念ながら近接センサが誤動作するので,常時ファインダーがONになってしまいます。これではさすがに電池がすぐに切れそうです。

 そこで私は純正のアイピースのゴムの縁を切り取り,余っていたDK-2を瞬間接着剤で貼り付けました。一度は簡単に取れてしまったのですが,プライマーを使って接着して今は実用強度です。

 いずれアイカップが純正で出てくることと思いますが,こういうところに手が回っていないのは,以前のニコンにはなかったことだろうと思います。

 そうそう,ファインダーは想像以上の素晴らしい出来です。Z7なんかはこれ以上なんですよね,かなりすごいんじゃないでしょうか。

 このファインダーですが,すっきり見やすく,色も自然ですし,反応速度も上々です。確かに光学ファインダーには劣りますが,もうこれ以上の見やすさは趣味の世界のように思います。

 光学ファインダーのような精緻な感じはなく,やっぱりのぞき穴からテレビを見ているような感覚にはなりますが,気が付いたら夢中で被写体を目が追いかけていますし,光学ファインダーとの違いを意識させられるシーンも少なかったと思います。

 私の場合,撮影結果を反映しない設定にしたので,ミラーレスのファインダーのメリットを1つ潰して使っているのですが,撮影結果を反映すれば必然的に見にくいものになりますから,結局のところファインダーに何を求めるのかという話になるということでしょう。

 ただですね,表示される情報量が多すぎて,出てくるアイコンをすべて見切れません。しかもそのアイコンがなにを示しているのかわかりにくいですし,アイコンが消えていれば,その機能がもともとあったものかどうかもわかりません。


・シャッター音

 個人的には,このキレのないだらしないシャッター音は今ひとつに感じますが,だからといってダメかといえばそうでもなく,やはりカメラを使っているという感覚になり,どんどんシャッターを切るようになってしまうのは,さすがニコンのカメラという感じです。

 ただし,まるでモーターがゆっくりとミラーを上げ下げしているかのような音がするのは良くないと思います。ミラーなどないはずなのにねえ。


・総じて

 大きさと重さは○,デザインは○,画質も○,しかし質感は×,使い勝手も△と,結構がっかりしたカメラでした。
 
 軽いこと,持ちやすいこと,画質も問題なく,お値段も安い。それに今はやりのレトロデザインで,しかも格好だけではないFMシリーズで手に馴染むということで,割り切って使うなら良いカメラだと思います。

 ですが,使っていて思ったのは底の浅さです。設定ってこんだけ?とか,こういう設定って出来ないの?とか,このモードはないの?,選択肢が少ないよねえ,と感じたことがたくさんありました。

 そしてひとしきりZfcを使った後にD850に戻ると,やはりすべてが1つ上のレベルです。カメラが値段相応であることは,昔からかわらないことなのかも知れません。

 使い分けですが,やはりD850は本気のカメラで,Zfcは散歩のカメラです。そうなると16-50mmのズームが欲しくなるわけで,それなら最初からズームキットを買っておけば安くて3ヶ月も待たされずに済んだのにと,結局最初の話に戻ってしまいました。

 とにかく,Zfcについては,この誠実さのかけらもない発売延期がすべてだったと思います。これがニコンという会社の姿勢を見せてくれましたし,Zfcへの愛着も半減することに繋がりました。

 Zfcは,きっと長く使わないと思います。

 最後に,もうすぐ10歳の娘が,Zfcをいたく気に入ったようでした。軽くて小さくて自動化が進んでいて,画質も素晴らしいとくれば,あとはもう撮影するだけですもんね。

 はっ,ニコンが想定したユーザーが,私ではなく娘だとしたら・・・

レトロマシンのメンテ~その1

 大阪から運び込んだ数々のレトロマシン。当然そのままでは動かす事も難しく,むしろ壊れていた方がうれしいという倒錯した感情が,積み上がったゴミを宝物に見せてくれます。

 今回は比較的簡単で,すぐに修理も済むだろう(あるいは壊れてないだろう)と思うものに取り組みました。

 が,思いのほか,苦労しました。


・CZ-8RL1
 X1シリーズ用のデータレコーダです。X1turboシリーズやX1Fなどに接続可能なデータレコーダなのですが,X1のデータレコーダは電磁メカカセットデッキというやつで,再生/停止,早送り/巻戻しやサーチをソフトから制御出来る立派なものを内蔵していました。

 これを外付けにする時には,制御機能を落としてしまう方法(X1Dなんかそうですね)と,そのまま内蔵のデータレコーダを外に引っ張り出す方法とがあります。

 CZ-8RL1は後者のもので,7ピンDINという変なコネクタで本体と接続します。しかし,マニュアルモードに切り替えるとそこら辺の普通のデータレコーダにもなるという汎用性も備えているので,2700bpsという高速の読み書き性能と相まって,信頼性の高い高級なデータレコーダとして利用可能です。

 これ,うちで一番程度のいいデータレコーダだったのですが,全く動きません。ゴムベルトを疑いましたが分解の結果違うと判明,結論としては巻取側のリールを駆動するギアのグリスが固着して回らなくなっていました。

 ギアを取り外して洗浄,新しいグリスを入れて組み立てると復活。これは不安なく使えそうです。


・PC-6082
 PC-6000シリーズの1つとして登場した高級な方のデータレコーダです。信頼性も高く,操作性も良かったので,NECの他のシリーズはもちろん,他社のマシンとも良く組み合わされていたように思います。

 入手時に既に使い古されたものだったので程度は悪かったのですが,今回持ち帰って通電してもうんともすんともいいません。

 調べてみると,キーを押し込むとまず最初にONになり,各機構を駆動するモーターを回転させるリーフスイッチが割れていました。ただのリーフスイッチなら交換なんですが,このスイッチはキーの押し心地に直結する部分と言うこともあり,構造がマイクロスイッチのようになっていて,クリック感があるのです。

 こんな特殊なものは見たことがなく,交換の部品も目処が立ちません。そこでクリック感は犠牲になりますが,改造してリーフスイッチを修理しました。

 これでメカが動くかと思いきや,延びきったベルトがあったので交換。それで動くかと思ったのですが,よく見るとピンチローラがキャプスタンに接触していません。ポーズ機構がおかしいのかもと分解するとグリスの固着で動かなくなっており,洗浄して動くようにしました。

 それでもやっぱりピンチローラが浮いています。よく観察すると,ヘッドのブロックを上に押し上げるバネの一端を固定するプラスチックが割れていて,バネが利かなくなっていました。

 かなり強い力がかかるので,接着なんて作戦は通用しません。そこでバネを変形させて,残ったプラスチックで力を受ける様にして,なんとかピンチローラを接触する位置にスライドさせることができました。

 この段階で一応一通りの機能が動くようになっているのですが,ヘッドブロックを外したことでアジマスは狂っていますし,モータとフライホイールを繋ぐメインベルトは伸びているので,交換が必要です。

 メインベルトはちょっと窮屈なものにしてしまうとテープ速度が数パーセント遅くなるので,なかなか選ぶのが難しいところです。オリジナルだとぴったりの速度なんですが,早送りや巻戻しがスリップして出来ません。

 いろいろ試して,なんとか2%程度遅くなるだけのものを探し出して交換することにしました。それでも2400Hzの音が2350Hzになるので,もしかしたらエラーが出るかも知れません。

 モーターの速度を調整出来ればよかったんですが,そういうボリュームは見当たりませんでした。もしかしたら,機械式ガバナー内蔵のモーターかも知れません。

 これでいけるかと思ったのですが,カセットのフタのヒンジを固定する部分がこれてしまったり,ネジ山がなめてしまったり,ボスが折れてしまったりと,とにかくプラスチックの劣化がひどく,割れたり折れたり崩れたりと,もうどうにもならない状態です。

 今はなんとか修理が出来ていますが,今後ボロボロと壊れていくので,いつまで動くかわかりません。もう修理をやめて廃棄しようと何度も考えました。ただ,このモデルは当時よく広告で見た代表的モデルですので,持っておきたかったという一念でなんとか修理を終えたという感じです。

 最後にアジマスを調整し,一通りの動作確認を終えて修理完了です。


・CE-1600P
 PC-1600用のプリンタで,当時流行した4色のカラープロッタプリンタですが,80桁という大型のものは珍しく,また漢字の印字も可能というのが面白いです。

 この頃のポケコンにはありがちなことなのですが,実家で発掘した時に,内蔵のNi-Cd電池が液漏れしていました。かなりひどい状態で,シルバーの塗装が剥げています。

 これくらいひどいと内部の基板もパターンがきれて大変だろうなあと思って恐る恐る分解すると,基板はほぼ無傷です。恐れていたフレキの断線もコネクタへの液の回り込みもなく,回路まわりが無事で何よりでした。

 塩を盛大に吹いた電池を取り外し,基板などを取り外してケースを水洗いしたあと,組み直して通電しますが,プリンタが動いてくれません。

 見ると,ペンをチェンジするモーターのピニオンギアが割れて空回りしています。アルプスのカラープロッタプリンタユニットはギア割れが持病なので予想してはいましたが,交換用のギアはちょっと珍しいものなので手持ちはなく,とりあえず接着で修復です。

 やり方は簡単。難接着性のプラスチックに塗布するプライマーを塗り,瞬間接着剤を割れ目に流し込み,しっかり接着します。このままではシャフトを圧入するとまた割れてしまうので,1.5mmのドリルで穴を広げてシャフトとは瞬間接着剤で固定します。

 はみ出した接着剤がギアの谷を潰してしまうと回らなくなるので普通はカッターで綺麗に成型する必要があるのですが,今回の用途ではペンのチェンジだけで,ピニオンが1回転しません。取付位置を上手く調整するとギアの割れていない部分だけで回転できる(しかし大きなトルクがかかるので固定はしっかりしないといけない)ます。

 なんどかやり直しましたが,上手く固定できて,ペンのチェンジも問題なく出来るようになりました。これでプリンタは問題なしです。

 ところで電池ですが,もう内蔵するのはやめました。持ち運ぶことはないですし,忘れた頃に液漏れ塩吹きってのも困ります。


・CE-1600F
 CE-1600Pに取り付ける事の出来るディスクドライブで,サイズはQDと同じ2.5インチながら,QDとは違ってセクタもトラックもあってランダムアクセスが可能なフロッピーディスクです。

 とはいえ,片面で64kBしかないですし,両面ドライブでもないので,同時期の8ビットマシンに匹敵する性能を持つPC-1600Kにはちょっと物足りないというのと,アクセスタイムが遅いことも問題で,なによりブランクディスクがほぼ入手不可能なことが深刻です。(そうでもないか)

 面白いデバイスですので,動くようにしておきたいのですが,予想通り動かなくなっていました。このドライブは三協精機のオリジナルなんですが,ベルトが伸びる,切れる,溶けるという問題が知られています。

 きっとこの持病だろうと分解すると,いやはや大変なことになっています。もう溶けてベトベト,飴のようになっていて,原形をとどめていません。

 アルコールで拭き取れると思ったのですが,真鍮製のプーリーが錆びて固着しており,溶けたゴムをピンセットで削りとり,錆びてデコボコになった部分を紙やすりで滑らかにしてようやく作業完了です。ここまで2時間。

 外したプーリーやフライホイールを組み直して,直径65mm程度のベルトを探し出して引っかけていきます。問題なくスムーズに回ることを確認出来たら元のように組み立ててCE-1600Pに取り付けます。

 しかし,やっぱり動作しません。困ったなあと調べてみると,フタがかなり浮き上がっています。ここを押さえてやるとアクセス出来るようになりました。なんで浮き上がっているのか,フタがきちんと閉まらないのかを調べなければなりません。

 ドライブの上面を外し,フタを確認すると,フタを閉じた状態で維持するラッチ機構がおかしいようです。さらに分解すると,プラスチック製のフタの裏側に金属製の爪が,浮き上がってグラグラしています。これ,よくあるプラ製のリベットを溶かして固定しているものなんですね。3つあるリベットのうち2つが完全に外れており,3つ目も外れかかっています。

 ちょうどこの部分が浮き上がってしまい,蓋が閉じたことを感知するスイッチを押し込めないようです。

 さあ困った。またしてもプラスチックの劣化です。折れてしまった部分は元と同じような精度や耐久性で修理出来ないです。しかもプラスチックは難接着性ですし,相手は鉄です。

 そこで,0.4mmのプラ板を小さく切り出し,僅かに残ったリベットよりも少し小さな穴を開けて押し込み,瞬間接着剤で固定しました。これでしっかり固定できました。

 組み立てて見ると無事に動作します。よかった,修理出来ました。こうなってくるとブランクディスクがもう2,3枚ほど欲しいですよねえ。


・V-Saturn
 セガサターンはセガだけではなく,国内ではビクターと日立製作所からも発売されていました。ビクターのものはV-Saturnを呼ばれていますが,価格も入手性もセガとそれ程変わりませんでした。

 当時サターンにどっぷりだった私は盆暮れの実家でサターンで遊ぶため,実家用にサターンを買っておくことにしたのですが,面白半分でV-Saturnにしたのでした。

 このV-Saturn,RG-JX2という形式名でわかるように,中身は白サターンそのものです。新しいですし,そんなに使っていないこともあるので,全く壊れておらず快調そのもの。久々に遊んだダイナマイト刑事が面白かったです。

 これは面白い事なんですが,CD-ROMドライブはセガサターンの方が良く出来ていて,なかなか壊れたという話を聞きません。一方のプレイステーションのCD-ROMドライブはひどく,もはや欠陥品と言っていいレベルです。

 次世代機が登場する前に壊れて動かないものが出てきたゲーム機は後にも先にもプレイステーションシリーズだけでしょう。任天堂やセガといった老舗とは,ゲーム機に求める性能が異なるんだろうなと思いました。

 ということで,とにかくプラスチックの劣化がひどく,これが原因で壊れていたケースが多くありました。この手の故障は修理も困難ですし,修理出来ても元の性能を維持できない場合がほとんどなので最終的にはあきらめて廃棄せざるをえないでしょう。

 それに対して電気回路や部品が壊れたケースが見当たりませんでした。金属部品も大丈夫だったことを考えると,このあたりの信頼性の高さはさすがだなと思いました。ということは,結局のところ個体の寿命を決定するのはプラスチックであるという悲しい事実です。

 さあ,実家から持ち帰ったものは,まだまだこんなものではありません。Apple][,System16B,PC-6031など,手こずりそうなものがまだまだ残っています。頑張らねば。

 

さらば大阪

 先日,大阪の実家に住む母から電話がありました。

 曰く,実家を売るという事です。これまで父とは別居していましたが,よりを戻して父と暮らすことにして,なにかとややこしい実家を売ってすっきりしたいという事のようです。

 そのことそのものはなんとも思わないですし,むしろ面倒なものを後始末してくれるので歓迎すべきところです。

 ただ,両手を挙げて喜べるかといえばそうといもいえず,1つは故郷を失うことのさみしさ,もう1つは実家の私の荷物をどうするかという問題がふと頭をもたげます。

 私も,生まれ育った場所で過ごした時間よりも,生活の拠点を東京に移してからの時間が長くなっているので,もう大阪に住むこともないと思っていますが,自分を形成した大阪が自分に取って特別なものにならなくなったことはさみしいですし,大阪で寝泊まりする場所がホテルになることはつまり,帰郷ではなく旅行になることを意味します。

 ここに至って大阪はのんびり過ごす場所ではなくなったと言うことですし,大阪でなくても北海道でも沖縄でも良くなったということです。

 高校を卒業したとき,親しい友人が神戸の大学に通うために実家を出た後,両親が北海道に引っ越してしまったことで,18歳にして故郷を失った話を聞いて驚いた事があるのですが,この歳になってしまうと,それももう特別な事ではなくなってきたんだなあと思いました。

 娘は,私の大阪の話を散々聞いて育ったので,その目で大阪を見る日と楽しみにしていましたし,いずれその時が訪れることを当然のように思っていました。それが突然縁もゆかりもなくなった事に頭の整理が出来ず,随分悲しんでいました。

 もう1つの問題,私に荷物の片付けです。これまでに何度か整理をし,廃棄したり東京に持ち帰ったりして減らしてきましたが,結局扱いに困るものばかり残っていて,正直どうしたものかと頭を抱えていました。

 コロナがなければさっと戻って処理できたのですが,そうこうしているうちにコロナで動けなくなり,ここまでズルズル放置してしまいました。

 今回ばかりは,ほっとくと問答無用で廃棄されてしまいます。なんとか仕事に都合をつけて,1泊2日で仕分けをしてきました。

 なにせ時間がないことと,コロナが怖くてウロウロ出来ないので,最後の大阪になるにも関わらず,デジット跡地も新しいシリコンハウスも見る事なく,あべのハルカスも一度も見ることがありませんでした。難波から堺筋を通り通天閣の足下を抜けて動物園を渡り,天王寺公園を突き抜けてアベノの歩道橋から阪堺線を眺めるというルートを,最後に歩きたかったと思います。

 さらば大阪。もう二度と私に安らぎと懐かしさを与えることはないでしょう。


 最初に,持ち帰ったものを列挙します。

 PC-6001,PC-6001mk2,PC-6053,PC-6082,PC-6031,PC-DR3111,CZ-870CB,Apple][,Appleコンパチディスクドライブ,セガサターン,V-サターン,ドリームキャスト,ワンダースワン,ゲームボーイアドバンス,M5jr,CE-1600P,SR-05(自作のワンボードマイコン),新品のメタルテープ100本くらい,AppleKeyboard,ケイブンシャの大百科,コロタン文庫,System16B(ソニックブーム),カラーブックス,真空管アンプ(三栄無線のKT88シングル),Matrix-1000,VintageKeysPlus,D4,ソフト多数


 向こうで廃棄したものは,

 PC110,アコースティックギター(トーカイのキャッツアイ),SH-09,電子ブロック(EX-100とEX-15),未開封のプラモデル
 
 ・・・あれ,ほとんど捨ててない(笑)


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