エントリー

ユーザー「gshoes」の検索結果は以下のとおりです。

AppleCare+に加入しました

  • 2025/11/19 14:46
  • カテゴリー:散財

 思う所があり,先日購入したばかりのMacBook AirにAppleCare+を付けることにしました。1年ごとに10800円で自動更新されるものです。3年で29800円というのもあったのですが,3年は長いなと思ったので1年ごとにしました。

 ややこしい話で私も誤解していたのですが,AppleCareは製品のサポート全体を指し示している言葉のようで,このサービス体系の1つであるAppleCare+というのは一種の保険です。

 いわゆる1年保証というのはハードウェア製品限定保証と呼ばれていて,ユーザーに瑕疵のない自然故障の場合に無償修理を行うという品質の保証ですが,AppleCare+は過失による破損を含めたすべての故障をカバーするもので,MacBook Airの場合,画面のや外部筐体の修理は12900円,それ以外の修理は37100円の定額料金で修理出来ます。

 一種の保険ですので,AppleCare+は購入後30日以内に加入しなければなりません。途中解約があった場合には返金されますので,このあたりも保険と同じかなと思います。

 実際の所,LCDが割れた場合など,修理代は7万円とか8万円とかかかるそうです。これがAppleCare+なら12900円で済むと言うことですから,過失による故障を1回お願いすれば元が取れるという計算です。

 ただ,保険のような物ですので,どんな修理でも適用されるかと言えばそんなことはなく,適用される修理にはルールがあります。通常の使用において使用をきたすと思われるような故障の修理が,その適用範囲です。だから,少し角がへこんだとか,画面にちょっと傷がついたとか,その程度の場合にはAppleCare+ではカバーされません。

 それは当然だといえて,もしどんな修理もカバーしていたら,ちょっと汚れただけで何度も修理に出す人が出てきてしまい,Appleは大損をすることになりますし,そのせいで保険料,すなわちAppleCare+の価格が跳ね上がることになるでしょう。

 全額自腹で修理ならどうぞご勝手に,ということだと修理を思いとどまる人もでてくるわけで,保険を使う場合にはズルが出来ないようにあれこれとルールがあり,当然それに従わなければなりません。

 保険の適用基準と同じで,このルールは公開されていないそうです。Appleの内部でも誰でも判断出来るわけではなく,判定の資格のある人に聞いてみないとわからないそうです。だから,些細な傷だと自腹になるかもしれませんし,逆にあまりに破損がひどくて修理不能になるような場合も,適用外になるようです。

 AppleCare+の大きなメリットの1つは,ハードウェア製品限定保証が延長されることにあります。

 これ,品質に対する保証が延長されることにちょっと驚いたのですが,自然故障であっても1年が過ぎればユーザーの瑕疵と同じ扱いになるところを,普通に使っている限り無償でAppleが修理代の面倒を見ますよ,といってくれているわけで,AppleCare+の最大のメリットではないかと思います。

 ただし,あくまで延長ですので,最初の1年は加入の有無に関係なくハードウェア製品限定保証が受けられますから,この点において加入によるメリットはありません。2年目以降にハードウェア製品限定保証が受けられることが大きなメリットとなります。

 つまり,AppleCare+に加入している間は,ユーザーに落ち度があろうとなかろうと,37800円以上の修理代金がかかることはなく,しかもユーザーが普通に使っている限り修理代がかからない可能性が高いという安心感が得られるというのは,なかなか良い条件の保険ではないかと思います。

 私個人は,大事使う自信があるのでこれまで使ってきたMacに対して,AppleCare+やその他の保険に加入することはしたことがありません。幸運なことに,そもそも故障することがありませんでしたから,高額の修理代に泣いたことはありません。(リコールによって無償修理になったことは何度かあります)

 聞けば,MacBookシリーズは,ちょっとしたことでLCDが壊れることがあるんだそうで,例えばヒンジの近くに米粒でも挟んだままフタを閉じると,簡単にLCDが壊れてしまうらしいです。異物を挟むようなことをしなければいいわけですが,米粒くらいの大きさのものはつい見落としてしまうこともあるわけで,持ち歩く人にとってはそんなにタフなマシンではないということを自覚するべきなのかも知れません。

 そういえば,私は引きこもり体質ですし体力もないので,家から出ることがあっても最小限の荷物しか持ちませんから,外にMacを持ち出すことなどほとんどなく,その点でも私はAppleCare+に加入しない方が良いと言われる側の人間だと思います。

 しかし,今回加入したのは,故障はいつ起こるかわからないものだと思ったからです。自然故障もそうですが,私の不注意も発生頻度は低くても起きるときは起きます。実際,これまで使っていたMacBook Airだって何度も床に落としましたし,気が付かないうちに傷やへこみが着いていました。それが故障に繋がれば,やっぱりお願いするしかありません。

 今回はMacBook Airでも上位バージョンを買いました。ゆえにマザーボードの故障のような場合では修理費用も大きくなる傾向があるでしょう。画面に物がぶつかって破損するなどは一瞬の出来事で,10年で一度くらいの発生頻度だとしても,起きてしまえば高額の修理代がかかります。

 その意味で,今回のMacBook Airは,安心して使っていようと思ったのです。1年で解約するか,2年で解約するかはその時に考えようと思っていますが,1年間故障なしで動いた工業製品はそのしばらくは壊れないものなので,2年目以降は丁寧に使うことを条件に解約するかも知れません。

 それなら,購入後から丁寧に使ってAppleCare+に加入しないと言うのも選択肢でしたし,事実これまでそうして困った事などなかったのですから,今回の加入は心配しすぎかなと思ったりします。でも,こうして迷っているときに限って,なにかやらかしてうっかり壊してしまう事ってあるものですしね・・・

 もともとMacは高価なコンピュータでした。円高が進んだ時期には随分安くなった物だと思いましたが,円安の昨今では,もっと安いPCを買うことも可能です。

 そこは長くMacを使ってきたからと言う蓄積もそうですし,macOSの使い心地が気に入っているという事も理由の1つとしてあります。加えて,AppleSiliconの強烈な処理能力です。しかも低消費電力で,MacBook Airに至ってはファンレスで動くのです。

 少々高額になってしまうMacではありますが,だからこそ高額になりがちな修理代の心配をしないで使っていたいなと思う訳です。

 

DL2050の調整完了

  • 2025/11/18 15:26
  • カテゴリー:make:

 さて,DL2050の修理の次は,調整です。

 ところで,測定器を誤差がある範囲に入るようにすることを,一般に校正(calibration)と呼んでいますが,調整(adjust)と校正は違う意味を指し示しています。

 校正は誤差がどれくらいあるかを調べ精度が保証される範囲にあるかどうかをはっきりさせることで,調整はその誤差がある範囲に入る様に調整を行うことです。

 一般に校正というと,調整のニュアンスが含まれることが多いと思いますが,瀬尾土が保証出来ませんでしたでは話にならないので,調整が前提で校正が行われているからだと思います。

 とまあ,これも受け売りで本当の所はどうなんだか自信があるわけではないのですが,私個人は校正と調整は使い分けようと思っています。なので,今回は調整のお話です。


 調整は2018年にも行っていますが,この時はCALボタンを押した後にわけもわからずデタラメな操作を行った結果,測定が不可能になるという致命傷からの復活が主なテーマでした。

 その方法も補正値が書き込まれたEEPROMを直接書き換えるという乱暴な方法で,かつよく使う直流電圧の低いレンジだけを対象として物でした。

 今回は電解コンデンサの交換と基板の修理でせっかく直ったのですから,できる限りのレンジとモードで校正を行って,調整をした上で気持ちよく使おうというのが目標です。

 ただ,この目標はなかなか大変で,SモードとMモードでそれぞれ33のモードとレンジの組み合わせがありますので,全部で66もの校正箇所があります。それをEEPROMの直接書き換えで調整すると,下手をすると1000回近くもEEPROMの抜き差しが必要になるかも知れません。

 ということで,出来るだけEEPROMへの直接アクセスが減るように考えるのですが,ともあれ直流電圧から調整します。

 直流電圧に限らず,すべての調整はゼロアジャストからはじまります。入力端子をショートした時にゼロになるようにしなければ話になりません。

 方法は,CALボタンを押して,モードとレンジをマニュアルで選び,入力をショートした状態でLOCALキーを押します。これをすべてのモードとレンジで繰り返して,終わったらもう一度CALボタンを押してCALモードから抜けます。

 残念な事に,この作業だけでは測定値が正確にならなかったので,本格的に調整を行います。

 調整はCALボタンを押してCALモードに入るところまでは同じですが,各モードとレンジにおいて決まっている値の基準電圧(もしくは電流や抵抗)を与えた上で,RELキーを押します。

 こう書くと簡単なのですが,Sモードのようにフルスケールが120000の場合には100000,Mモードのようにフルスケールが40000の場合には36000になるような基準を与えなければなりません。(なお750Vレンジでは750Vが基準電圧になるそうです)

 安定化電源があれば余裕だぜ,と思った方は少々甘いです。例えば120mVレンジでは100mVの基準電圧が必要ですが,小数点以下3桁の表示が安定するには1uVの安定性が求められます。仮に安定性は目を瞑ったとしても,DC360VやAC750Vなど,そもそも一般家庭にあるはずありません。

 ということで,校正用の基準電圧発生器が欲しくなるわけですが,残りの人生を考えたら,そんな大げさな物を買ってしまうのは遺族に対しての嫌がらせになってしまいます。ここは知恵と工夫で乗り切ります。

 とりあえず,SモードのDC1.2V,12Vレンジについては並列に繋いだHP34401Aで1.0Vや10Vを作り,これでフルスケールを登録します。Mモードについては360mV,3.6Vで登録です。

 それ以外については出来るだけフルスケールに近い電圧を与えて,34401Aと同じ値になるようにEEPROMを直接書き換えます。残念な事にISPで書き込むことが出来なかったので,一々EEPROMを外して書き込み,戻して電源の再投入という面倒な方法で行わざるを得ません。

 120mVや40Vレンジでは100mVや36Vに近い値,120Vやそれ以上の値では安定化電源の最大値である32VでEEPROMを直接いじって調整をします。誤差が大きくなりそうですが,仕方がありません。(高圧怖いですし)

 ACについてはどういう訳だか,RELキーによるフルスケールのセットに失敗しますので,すべてEEPROMの直接書き換えで調整を行います。

 基準電圧はファンクションジェネレータを用い,50Hzの正弦波で,Sモードでは100mVrms,1.0Vrms,Mモードでは360mVrms,3.6Vrmsを発生させて入力します。私のファンクションジェネレータでは8Vrmsが最大電圧なので,これ以上の電圧は8Vrmsを使って調整をするしかありません。

 ただ,AC100Vについては測定をする機会もあると思いますから,乱暴ですがコンセントの電圧を測定してEEPROMを書き換えます。

 ここまででなんと6時間ほどかかってしまいました。EEPROMを付けて外しては手間も時間もかかります。温度なんかでも値が変わりますし,EEPROMのアドレスを読み間違ったりしてなかなか大変な作業でした。

 続けて電流です。この際AC電流は測定する意味はないと思うので触らず,DC電流だけ調整をします。2018年の時点では電子負荷を持っていなかったので手も足も出なかったのですが,今は電子負荷を使って基準の電流を作る事ができるので,電圧と同じ手順で調整を進めていきます。

 次に抵抗です。これはまず,34401Aの4Wで,多回転の半固定抵抗で基準抵抗を作り,同じケーブルをDL2050に差し替えて,まず4Wモードから調整を行っていきます。

 とはいえ,高抵抗を作るのは難しいので,1MΩから上はEEPROMの書き換えで対応することにします。これが終わったら,同じ抵抗で2Wも調整を行います。

 この作業で4時間ほど。合計10時間ほどかかって,ようやく自分の出来る事を終わらせることが出来ました。

 おわってからひととおり測定を行ってみたのですが,やっぱりズレるものです。また電源投入からの値の変化も大きくて,電源投入直後では誤差が大きすぎ,これが実用範囲に入るのに30分,落ち着くのは1時間ほどかかるので,このあたりは34401Aと違ってすぐに取りかかることができず,ワンランク下がる測定器という事になりそうです。

 そんなわけで,DL2050の調整までが終わりました。DCV,ACV,DCA,2W,4W,までは調整もできましたし,誤差の範囲もある程度つかめました。ACAについてはノータッチとしましたが,そんなに大きくズレていないと思いますし,他の測定器を使うことにしますので,ここは割り切りました。

 ところで,今回はEEPROMを直接書き換えることを何百回と行いました。ISPができないながらも,作業W効率の向上とミスを防ぐ目的で,レンジとモードで66もあるパラメータがどのアドレスに割り当てられているかを一覧にした物を作りました。

 左側がアドレス,次の数字がバイト数,右側がレンジとモードです。

S-Mode
0000-0005 0,1,2 DCV120mV
0006-000B 3,4,5 DCV1.2V
000C-0011 6,7,8 DCV12V
0012-0017 9,10,11 DCV120V
0018-001D 12,13,14 DCV1000V
001E-0023 15,16,17 ACV120mV
0024-0029 18,19,20 ACV1.2V
002A-002F 21,22,23 ACV12V
0030-0035 24,25,26 ACV120V
0036-003B 27,28,29 ACV750V
003C-0041 30,31,32 2W120
0042-0047 33,35,35 2W1.2K
0048-004D 36,37,38 2W12K
004E-0053 39,40,41 2W120K
0054-0059 42,43,44 2W1.2M
005A-005F 45,46,47 2W12M
0060-0065 48,49,50 2W120M
0066-006B 51,52,53 4W120
006C-0071 54,55,56 4W1.2K
0072-0077 57,58,59 4W12K
0078-007D 60,61,62 4W120K
007E-0083 63,64,65 4W1.2M
0084-0089 66,67,68 4W12M
008A-008F 69,70,71 4W120M
0090-0095 72,73,74 DCA12mA
0096-009B 75,76,77 DCA120mA
009C-00A1 78,79,80 DCA1.2A
00A2-00A7 81,82,83 DCA12A
00A8-00AD 84,85,86 ACA12mA
00AE-00B3 87,88,89 ACA120mA
00B4-00B9 90,91,92 ACA1.2A
00BA-00BF 93,94,95 ACA12A
00C0-00C5 96,97,98 Cond(導通)

M-Mode
00C6-00CB 99,100,101 DCV400mV
00CC-00D1 102,103,104 DCV4V
00D2-00D7 105,106,107 DCV40V
00D8-00DD 108,109,110 DCV400V
00DE-00E3 111,112,113 DCV750V
00E4-00E9 114,115,116 ACV400mV
00EA-00EF 117,118,119 ACV4V
00F0-00F5 120,121,122 ACV40V
00F6-00FB 123,124,125 ACV400V
00FC-0101 126,127,128 ACV750V
0102-0107 129,130,131 2W400
0108-010D 132,133,134 2W4K
010E-0113 135,136,137 2W40K
0114-0119 138,139,140 2W400K
011A-011F 141,142,143 2W4M
0120-0125 144,145,146 2W40M
0126-012B 147,148,149 2W300M
012C-0131 150,151,152 4W400
0132-0137 153,154,155 4W4K
0138-013D 156,157,158 4W40K
013E-0143 159,160,161 4W400K
0144-0149 162,163,164 4W4M
014A-014F 165,166,167 4W40M
0150-0155 168,169,170 4W300M
0156-015B 171,172,173 DCA40mA
015C-0161 174,175,176 DCA120mA
0162-0167 177,178,179 DCA1.2A
0168-016D 180,181,182 DCA12A
016E-0173 183,184,185 ACA40mA
0174-0179 186,187,188 ACA120mA
017A-017F 189,190,191 ACA1.2A
0180-0185 192,193,194 ACA12A
0186-018B 195,196,197 Cond(導通)

 パラメータは6バイトで1組になっていて,最初の2バイトはゼロアジャスト,続く4バイトが補正値です。もともと16ビットの数値なので上位と下位のバイトを入れ換えて読む事になります。

 例えばがC4 FF 06 00 34 36と並んでいたら,FFC4がゼロジャスト,00063634が補正値となります。表示される値が低すぎるのでこれを増やしたい場合には補正値を小さくし,逆に表示が高い場合には減らすために補正値を大きくします。

 また,MモードとFモードはパラメータを共有しています。フルスケールが同じだからだと思います。


 これで一応,私が普段使う範囲については34401Aと同じ程度の測定値が得られるようになりましたし,誤差も把握出来たので,実用レベルになったと思います。

 ただ,残念なのは値の更新周期が長かったり,高精度が期待出来る4Wの抵抗測定では測定時間が非常に長く,DL2050の最大の特徴である2つの測定を同時に行う昨日も,結局後進周期が2倍になるので使い物にならず,測定器を2つ並べた方がよほど使い勝手が良かったりします。

 精度でも更新周期でもHP34401AとDT4282が揃えばもう怖い物なしで,残念ながらDL2050の出番はないなあというのが現実です。それでも現場復帰できたことはうれしいもので,機会を見つけて使いたいなあと思うところです。

 

DL2050の修理

  • 2025/11/14 14:48
  • カテゴリー:make:

 ほとんど使うことがなくなっているベンチ型DMMのDL2050に,先日偶然電源を入れてみました。すると,どうも測定値が不安定になっているようで,これはいよいよ調整が必要になったかと,詳しい状況の把握を始めました。

 なかなか状況は深刻なようで,測定誤差が大きいというよりも,値がフラフラと変動し続けます。入力端子をショートしてもゼロにはならず,やっぱり数十mVの範囲でフラフラと値が動いています。

 これはもう話になりません。調整で済むレベルではなく,完全に壊れています。

 修理という趣味には,壊れているものがなければなりません。私は内心喜んだのですが,果たしてDL2050という中途半端なDMMで,修理を完遂するだけのモチベーションを保てるか心配になりました。

 DL2050というDMMは,15年ほど前に広い部屋に引っ越し,自分のラボをコツコツ作ろうとしていたときに中古で買った測定器です。秋葉原の計測器ランドで,会社の帰りに立ち寄って買ったことを覚えています。

 買ったはいいものの,120000カウントでは1秒に2回しかサンプリングしてくれず,40000カウントならハンディタイプのテスターで十分だったりするということで,案外出番は少なく,数年後にHPの34401Aを購入してからは完全に不必要な物に成り下がってしまいました。もったいない話ですが,電圧計なんてのはそもそもテスターで十分なことが多くて,DL2050のようなスペック的に飛び抜けた物のないDMMを,わざわざ使おうと思うことは少ないです。

 しかし,前述のような思い入れもあり,捨てるには惜しいですし,とりあえず修理を試みることにしました。

 以前ここにも書きましたが,DL2050はESCORTというブランドの3146Aというモデルがオリジナルのようで,これが各社にOEMで出され,例えばAgilentではU3402という名前で売られていたりします。

 兄弟機を合わせるとそれなりに売れたDMMのようですが,そのくせサービスマニュアルや回路図などの情報は出回っておらず,2018年の11月に調整を行った時に集めた断片的な資料以外に,新しい情報を手に入れる事は出来ませんでした。

 頼りになるのは回路図ですが,これも今見るとメーカーから出た物ではなく,誰かが書き起こしたもののようで,あくまで参考程度にとどめておくのが良さそうです。

 修理の方針ですが,まずはセオリー通り,電源電圧をチェックです。電源基板と繋がるJ602の電圧は,茶色がGND,黒が8.9V,赤が5V,黄色が16.5V,青が-1.95Vです。馴染みのない電圧が目に付きますが,これもまあ測定器ならではですから仕方がありません。

 チェックすると,電圧は一応問題なく出ているようです。オシロで確認しても変なリップルやノイズもなく,綺麗なものです。

 次に基準電圧を見てみます。基準電圧はMAX6225というICで作っていますので,これの6ピンを見ます。2.5Vが出ているので問題なしです。

 ひととおり目視で部品の破損を見たのですが,液漏れや焦げなども見つからず,がっかりしながら次の作戦に駒を進めます。

 入力端子をショートしても0Vにならずオフセットが乗っており,しかもその値がフラフラしているわけですから,入力をショートした状態で,入り口から順番に電圧を見ていってなにか電圧が出てきたらその手前に故障箇所があるはずです。

 とまあ,とても簡単に書きましたが,DMMはレンジや測定モードがたくさんあって,リレーやアナログスイッチによる切り替え箇所が多数あります。迷路のような回路を順番にほどいていきながら,順番に電圧を見ていきます。

 すると,あるアナログスイッチの手前で変動する電圧を見つけました。そのアナログスイッチを直列に入っている抵抗を外してみると電圧の変動が軽減したので,このアナログスイッチからのリークだろうと目途を立てました。

 MAX4611というアナログスイッチで,4066とピンコンパチということで,早速74HC4066を注文し,届くまで修理は中断としました。(使われているのがフラットパッケージなので,DIPでは交換出来ないのです)

 翌日,もう少し検討しようと電圧をあちこち測るのですが,どうも思ったような電圧が観測されません。おかしいなと思って調べてみるとMAX4611は4066とピンコンパチだが,コントロール端子の論理が反転していました。つまり,アナログスイッチの切り替えを全部逆にして回路図を読んでいたのです。

 これはいかんと,もう一度回路図を読み直し,入力端子をショートして電圧を確認していきました。おそらくここではないかという場所を見つけたのですが,それを確認するにはパターンをカットするしかありません。

 そこでパターンをカットすると,電圧の変動はほぼなくなりました。しかしオフセットは残っており,長い周期での変動は残っています。どうもこのラインから変な電圧が入り込んでくるようでした。

 元に戻そうと,カットしたパターンを繋ぐと,電圧変動もオフセットも小さくなっています。あれ,ひょっとして部品の問題じゃないかも・・・ハンダ付けの不良かも知れません。

 この周辺のICのハンダ付けをやり直してみると,値がバラバラと変動することはなくなっており,数分かけて0mV程度のオフセットが徐々になくなっていくような感じになっていました。

 おそらくですが,ICの足をハンダ付けし直したことと,スルーホールの補修を行った事で,問題の1つが解決したみたいです。

 この状態で一度組み立て直したのですが,入力をショートしてもすぐには0Vにならず,ゆっくり0Vになったりするのは,まだどこかおかしいのだろうと再度分解して調査を再開します。

 引き続きICのハンダ付けをやり直していくと,独特の臭いに気が付きました。これは電界コンデンサの電解液の臭いです。見た目では分かりませんでしたが,どうやら電解コンデンサの液漏れが発生していたみたいです。

 これはまずいとあわててすべての電解コンデンサを外して容量を確認すると,100uFの電解コンデンサの1つが30uF程度になっているものを見つけました。14個ある100uFの電解コンデンサのうち全体の半数は正常だったのですが,残りは80uF以下になっていて,ひどい物は50uFや40uFになっていました。

 他の容量の物も含め,とりあえずすべての電解コンデンサを交換することにしましたが,100uFの電解コンデンサなど20個近くも持ち合わせがありませんので秋月に発注,届いた段階で交換にかかります。

 交換して試してみると,フラフラと変動する電圧もなくなり,入力端子をショートするとスパッと0Vを示すようになりました。

 やはり,電源ラインに入っている電解コンデンサの容量ヌケも1つの原因だったみたいです。電源ラインに入っているパスコンというのは,やはり大切なんですね。

 ハンダ付けの不良やスルーホールの腐食も電解コンデンサの液漏れで起きていると思われますから,元凶はやはり電解コンデンサということになりますが,2000年代前半の製品ですので仕方がないところもあるかも知れません。

 これまでの不調が嘘のように,値が安定して表示されているのを見ると,とりあえずこれで修理は出来たかなと,組み立て直しました。

 ただ,Lモード(120000カウント)での誤差が大きいので,これは調整をやり直す必要があります。そういえば前回の調整では,CALボタンを不用意に押してしまい,無茶苦茶な較正データを書き込んで動作不能に陥り,結局内部のEEPROMを直接書き換えて復活させたのでした。

 今回の調整についても,100Vや1000Vの基準電圧があるわけではないので,同じような方法で調整を行うことになりそうです。あまり寒くなると調整作業に適さない気温になりますから,まだ秋と言えるうちに,作業を終わらせようと思います。

MacBook Air 2025 M4に買い換えました

  • 2025/11/05 15:32
  • カテゴリー:散財

 これまで使っていたMacBook Airは2020年発売のM1で,発売と同時に注文し12月から使い始めました。13インチで8MB/256GBの一番安いモデルだったのですが,まだ円高だったこともあり,10万円ちょっとで買えたことが今となっては信じられません。

 今回買ったのも13インチのMacBook Airですが,M4搭載の現行機種で16MB/512GBですので,GPUも10コアとなりますが,お値段は194800円と一声20万円にもなります。

 買い換えた直接の理由は,音楽制作環境を整えるなかでストレージが一杯になってしまったことですが,今このタイミングで買い換えないと古いMacBook Airの買い取り金額が二束三文になるだろうという焦りもありました。

 AppleM1という素性の分からない謎のCPUの将来性を盲目的に信じ,発表と同時にMacBook Air2020を買って5年が経ちました。

 CPUの変更という大きなリスクに私は賭けたわけですが,想像を遙かに超えた性能の高さに当時驚きましたし,5年を経てほとんどのソフトがAppleSiliconネイティブになりました。

 そしてこの5年間,ちょうどコロナ禍にあり家にいる時間が長くなった毎日を,共に過ごしてくれた頼もしい相棒でした。まさに一緒に駆け抜けた感じです。感謝しかありません。

 発売と同時に買った私は,いわば評判が定まる前の人柱です。しかし結果は大成功で,5年経過した今もパワー不足を感じません。この使い心地のマシンを10万円で買うことは円安の進んだ今やあり得ず,使い潰すのが一番良い選択肢ではないかとも思っていました。

 ただ,バッテリーの性能は否応なく低下しますし,ストレージも換装できませんから,どこかで必ず限界が来ます。5年はマシン買い換えの目途でもありますし,今後値段が下がることも難しいだろうという事で,M4のマシンを買うことにしたわけです。

 繰り返しになりますが,今回購入したのは,13インチMacBook Airの2025年モデルです。16GB/512GBで,GPUも10コアになる竹モデルになります。お値段が194800円とMacBook Proに迫るお値段ですが,MacBook Proにしなかった理由は後述します。

 今回の買い換えは,10月末に搭乗したMacBook Proの14インチモデルを見た事がきっかけでした。M5が搭載され16GB/512GBでも248800円というのはかなり魅力的で,同スペックのAirとの価格差を考えると,絶対こっちだなと思っていました。

 しかし,私がMacを買うときには大きな問題があります。キーボードです。USキーボードにこだわっている私は,いちいちカスタマイズをしないといけないのです。

 なので私はいつもAppleストアで買うことを余儀なくされていたわけですが,これも発売直後に限られた話で,半年もすれば一部の量販店ではカスタマイズを受け付けてくれますし,キーボードの交換などの定番のカスタマイズについては在庫を持ってくれていて即納だったりすることもあります。

 USキーボードのモデルが即納でポイントも返ってくるなんて,夢のようです。

 ただ,出たばかりのMacBook Proでは,まだカスタマイズも受け付けていません。どうしても欲しいならAppleストアでカスタマイズをすることになるでしょう。

 そこで他の選択肢を探してみます。ヨドバシ.comを探してみると,なんと奇跡的に13インチのMacBook AirのUSキーボードモデルの在庫が見つかりました。

 のちの我が家にやってくることになるこの在庫は,10コアGPUで16GB/512GB,色はミッドナイトで1948800円で売られていました。USキーボードのモデルが明日届く・・・これは魅力的です。

 55000円の差は,憧れのProを標榜するMacBookであり,かつM5という最新のCPUを搭載するモデルであれば十分に小さいと思ってましたので随分悩んだのですが,初代のM1だって十分現役が務まるのに,Proであること,しかもM5であることを実感することがどれだけあるだろうと考えた時,やっぱり大きな金額の差だなと冷静に考え直しました。

 それより,USキーボードのモデルが今すぐ手に入ること,最新のMacBook Pro(と初代のM1のMacBook Air)を見ると,ちょっと割高だなと思いつつも,私が必要としている512GBのSSD搭載というスペックのMacにおける最安値のモデルであることを考え,買うことにしたのです。

 そうそう,私は色にはこだわりがなく,むしろその時に手に入る色を楽しむ人です。ミッドナイト,初めての色ですが面白そうじゃないですか。

 さて,約束通り翌日に届いたMacBook Airですが,いつものようにファーストインプレッションです。


・外観

 M2のMacBook Airからデザインが変わったので,M1を使っていた私はこのデザインが初めてです。Airといえばくさび形という私にとって。この弁当箱のようなもっさりしたデザインは普通過ぎて,Airであることを主張していないなあ,という印象です。

 とはいえ,パッと手に持った感じはAirそのものです。カバーを付けてしまえば流麗なくさび形もスポイルされてしまいますから,これはこれでいいのかも知れません。

 キーボードもこれまでとそれほど変わらず,若干しっとりとした感じがあるものの,大きく打鍵感を変えるような物ではありません。

 最上段のファンクションキーが大きくなっているのが美しくないと思いましたが,ESCキーが大きくなっているのは歓迎です。

 これまでのM1モデルでは,充電はUSBコネクタで行うことになっていました。貴重なUSBが充電ごときで埋まってしまうことに不満がありましたが,今回のモデルは,充電はMagSafe3として独立し,USBは温存されることになりました。しかも,従来通りUSBからも給電できるので,拡張性も充電の便利さも両立できて便利になりました。


・LCD

 M1のMacBook Airとちがい, LCDは角が丸くなっていて,カメラをよけています。その分狭くなって,かつ見にくくなるだろうと思っていたのですが,画面が狭くなった感じはしません。調べてみるとピクセル数が減ったわけではなく,LCDをカメラの位置まで広げたということで,むしろ広くなっていました。

 カメラを避けるということについても,この場所はメニューバーなので,コンテンツを見るわけではありません。メニューバーならOSの支配下にある訳ですし,統一された使い勝手を提供してくれているからか,思ったほど違和感を感じませんでした。

 それから,色も良くなっていますよね。私はいつも,どのマシンでもカラーマネジメントを行っていたのですが, ColorMunkiが最新のOSに対応しないという現実に落胆したものの,信じてTrueToneをONにすると,カラーマネジメントを行ったLCDとほぼ同じ色味になってくれました。

 X-RITEのソフトはちょっと怪しいところもあり,出来れば使いたくないというのも本音で,TrueToneが使い物になることはうれしい誤算でした。


・音

 M1のMacBook Airもなかなか良い音がしましたが,新しいMacBook Airはもっと良くなっているようです。ただ低音が出すぎていることと,高音がさっぱり出ていないので,使い物になるかと言えば,まだまだそこまでの実力はありません。


・処理能力

 M4はTSMCのN3Eという,第2世代の3nmプロセスで作られていると言われています。M3と違い,M4はCPUコアそのものにも手が入っているらしく,行ってみればフルモデルチェンジのようなものです。

 280億のトランジスタが集積されていて,クロックはピークで4.4GHzだそうです。コアはM1から高効率声が2つ追加されて全部で10コアです。Appleは公式にはM4はM1に比べて2倍高速と言っていますが,もっと差がついてもいいんじゃないかと思います。

 L2キャッシュは20MBですが,これは28MBのM5に比べて小さく,メインメモリの帯域が120GB/sに対しM5の153GB/sであることとあわせて,重い仕事をさせた時の速度低下に聞いてきそうな気がします。

 GPUについては,私があまりGPUを使うことをやってませんので差はわかりません。加えてAIもほとんど当てにしていないので,M5のメリットはそれほどなかったかも知れません。

 体感的には,M1とそんなに違いません。新しいマシンを買うと,WEBブラウザの速度やGUIの動きでCPUパワーの向上を体感する物ですが,今回は全く差を感じる事がなく,拍子抜けしました。

 それほどM1のMacBook Airが良く出来ていたということでしょうし,今でもM1のMacBook Airが現役で使えると言うことなんだと思いますが,それでもmacOS26 TahoeのGUIが重たいのは,きっとM1には荷が重いからだと思っていただけに,M4でも大きく改善しなかったことが残念ではありました。

 ただ,重い処理でもへこたれず,涼しい顔をしてサクサクと動くところがさすがで,速度低下がない頼もしさは感じます。

 それから,ffmpegでx265をエンコードすると,M1くらべて2倍から2.5倍くらい高速です。これはなかなか大したもので,CPUのコアが増えたこと,クロックが上がった事,メモリ帯域が広がったことがこの差に繋がっているのでしょう。


・電池の持ち

 M1のMacBook Airと変わりません。電池の容量も少し増えているようですが,メールやWEBなどの普段使いでは,そんなに違いは感じません。


・WiFi

 WiFiはWiFi6Eに対応し,WSR3600BE4P/NWHの最高速である2882Mbpsでリンクします。有線が1Gbpsですから,このあたりでもう頭打ちでしょう。WiFi7には対応しませんが,うちの環境ならべつに構わないと言ったところです。


・環境移行

 環境の移行は,今回はThunderboltを使いました。最初に試みたTimeMachineからの書き戻しは,OSのバージョンが合わない(新しいMacの方が古いOSだった)ためすぐに出来ず,新しいMacを最新のOSにするためにダミーのアカウントを作ってログインが必要になるので,無理に初回起動の移行アシスタントに頼る必要がなくなったためです。(初回起動時のアシスタントではThunderboltでの移行が出来ないのです)

 移行アシスタントのアプリを,出し側と受け側の両方で立ち上げ,Thunderboltのケーブルで繋ぎます。さすがに40Gbpsフルの速度は出ませんでしたが,ピークで25Gbps程度は出ていたでしょう。あっという間に100GBを越えるデータが移行出来ました。

 これはもう,WiFiやUSB3なんかで移行をやってる場合ではないです。この用途のためだけに,Thunderboltのケーブルを1つ手元に置いておくことをお進めします。


・まとめ

 M1の時に味わった圧倒的な性能差による感動は,5年経ったM4では感じる事が出来ませんでした。普通に使っている限り,M1とM4の違いは見えにくいという事でしょうし,それだけM1がすごかった,以後の進化は少しずつだったという事がわかります。

 その意味では,M1のMacBook Airはまだまだ使えるマシンで,これを10万円で買ったことは本当にお得だったと思います。新しいM4のMacBook Airは2倍の値段がするわけですが,2倍の差を味わえますかと言えば,それは難しいでしょう。

 もちろん速度は上がっていますし,メモリもストレージも倍増ですから,重いアプリも膨大なデータもこのMacBook Airなら不安はありません。しかし,そんなシーンが誰にでもあるかと言えばそんな風にも思えず,今後エントリーモデルとしての役割も担うMacBook Airが,どんな性能でどんな価格で出てくる事になるのか,気になってきました。

 厳しい言い方をすれば,M1でぐっと底上げされたマシンパワーをOSやソフトが使い切れていないと言うことになります。見た目の美しさにCPUパワーを使うのではなく,もっと本質的な使いやすさの向上にCPUパワーを使って,M1からM4に買い換えたら自分のやりたいことにすぐに手きストレスが半減した体験が提供出来ていないというのも,心配になりました。

 加えて,Proとの差をもっと広げないといけないと思いますし,エントリーモデルであることを主張する本国での$999という最下位モデルの価格が,日本では164800円になってしまうのも,やむを得ないこととはいえ,残念だなと思います。

 そんなわけで,5年前の10万円のMacと,最新の20万円のMacで,それほど大きな差を感じる事が出来ませんでした。同じ値段でも5年経てば感動する暗いの違いがあるものだったのに,いろいろなところで停滞感を感じてしまいます。

 もちろん,器は大きく,重い処理もこなしますし,512GBになったSSDは外海に出たような開放感です。それをこれまでの同じ手触りで楽しめるのですから,そこはとても満足です。

 こういうことだと,MacBook Proを買っていたらどうなっていたんだろうと思います。サーマルスロットリングがないこと,少し画面が広がったことで,M1のMacBook Airとの価格差15万円と大きくなったことをすっと受け入れられたでしょうか。

 

2025年11月12日追記

 ヨドバシで査定してもらったMacBook Air 2020ですが,なんと49000円になりました。査定が39000円,キャンペーンが10000円で合計49000円です。かなり状態が良かったので,と言うお話も頂いたので,誠実に査定をして下さったんだなあとおもいます。
 どうせキャンペーン分だけ査定を割り引くんだろうとか,あれこれと難癖を付けて(たとえばUSキーボードだからとか)査定額を下げるんだろうとか思っていたんですが,私の間違いでした。
 少なくともAppleストアで下取りに出すよりは高いんじゃないかと思います。5年使って残存価値が約5万円というのは,11万円で購入したマシンとしてはかなり高いと思います。さすがリセールバリューの高いApple製品です。
 天下のヨドバシから5万円もの現金を持ち帰るなんて芸当は,なかなか出来るもんやないです,ほんま。

CLIPHITの再修理プロジェクト

  • 2025/10/29 14:44
  • カテゴリー:make:

 2014年の秋にコルグから,CLIPHITなる電子楽器が登場しました。

 ということはもう11年ですか・・・洗濯ばさみみたいなセンサーで挟んだものが打楽器になるという画期的なオモチャで,ペダルまで付属しています。

 電子ドラムを買おうかどうか迷っていた私は,場所という最大の問題を解決するであろうこのCLIPHITに夢を託し,予約して発売日に手に入れたのでした。

 しかし結果はとても残念なもので,センサを用意するのが面倒,結局場所をとる,配線が大変,極めつきはモノラルだったという事で,電子ドラムの代わりには全くならないものでした。そもそも1万円ほどのオモチャに何を期待したんだかと,当時の私をなじってやりたいところですが,コルグに対するイメージはこの製品でも確実に低下したのでした。

 話は逸れますが,私はつくづくコルグとは縁がなく,コルグの製品を手に入れても気に入らなくて使わなくなるか,処分してしまいます。コルグというメーカーを信じて買った物でも,やっぱり最後にはがっかりして使わなくなるのです。

 ToneWorksしかり,SG-Rackしかり,Kaossilatorしかり・・・唯一の例外は,箏曲を始めた娘のために用意した「調べ」でしょうか。というか,箏曲のチューナーって実質これしかないやんけ。

 2014年の秋に購入,ほぼ同時に絶望したCLIPHITは,3歳の娘のオモチャに格下げされる予定でしたが,あろうことか保証期間中にスピーカーの断線により音が出ないと言う致命傷を負い,ますますコルグに対する信用を低下させました。

 素直に修理に出せば良いのに,面白がって私はスピーカーの交換で修理することを思いつきます。3インチ(7.7cm)というちょっと珍しいサイズのスピーカーなど手持ちにあるはずもなく,たまたま秋月電子で安売りされていたF77G98というスピーカーを手配して修理を試みました。

 フレームの取り付け穴をカットしたりしてなんとか組み込んだはいいものの,音が小さいという結果にさらにがっかり。当時私は能率が悪いからという結論に至っていますが,能率云々以前の問題として,インピーダンスが8Ωだったことが一番の原因でした。

 オリジナルのスピーカーは4Ωで,これが8Ωになると当然出力は小さくなります。アンプのゲインを上げればいいんですが,そんな改造をするのも面倒という事で放置。娘のオモチャになることもかなわず,以後ジャンクの巣窟たる自室の押し入れの奥底で深い眠りにつくわけです。

 果たして10年の歳月が流れ,娘は中学生になったわけですが,今年の夏に購入したデジットのランダムボックスに3インチのフルレンジスピーカーが入っていたことを,ふと思い出したのです。

 このスピーカー,東京コーン紙製で私が修理に使ったF77G98の姉妹モデルのようで,F77A98というものです。一文字違いで見た目もそっくりですが,大きな違いはインピーダンスが4Ωであることです。

 なにせ箱に入っていたのは1個だけでステレオには出来ませんし,もう1つ買い足そうにも在庫切れ,しかもエッジが変形しているのでゴミ確定だなとそこら辺に転がしてありました。

 一応エッジだけは出来るだけ元のように戻したので音はちゃんと出るのですが,音質を語るようなものではないので,私が死ぬと同時に廃棄物になるやつだなと思っていたのです。

 しかし,見た目が同じで4ΩですからCLIPHITに取り付け可能。音も大きくなるはずですし,ゴミの再利用ですので気分的にもうれしい物があります。

 そこで先日のお休みに,魔窟からCLIPHITを発掘し,交換を試みました。

 分解して思い出したのは,まずフレームの取り付け穴がある耳をカットしないといけないということ。それからスピーカーの厚みがかなりあるので,配線を挟み込んだりしないようにすることをも要注意です。

 当時,耳をカットするのにどんな風にしたのかも思い出せないのですが,金属用のハサミで試すと簡単にカット出来ました。切り口から想像するに,当時も同じ事をやっていたようです。

 後はささっと交換し,配線をハンダ付けするだけです。元通りに組み立てて音が出ることを確認し,このプロジェクトは終了です。

 デジットのジャンクを使ったという満足感もあり,10年ぶりに喜びの声あげるCLIPHITに思わず涙腺が緩みそうです。

 しかし,実際に音を出してみると,30秒で飽きてしまいました。クリップであちこち挟みますが,全く使い物になりません。クリップをあきらめて本体だけで音を出してみますが,出る音の種類が僅かなので,これも10秒で飽きます。

 結局1分を待たずに,CLIPHITは電池が抜かれてしまうのでした。

 娘がまだ小学校の低学年ならオモチャになった可能性はあったのですが,中学生が楽しいと思うには,ただ音が出る以上のなにか音楽的なものが必要なわけで,その点でもCLIPHITは絶望的です。

 加えて,音が大きくなったとはいっても,もともと音量が十分ではなく,買った当時の私も不満を述べています。当時も全く話題にならなかったこと,後継機がでなかったことも,CLIPHITという製品の失敗を物語っているのではないでしょうか。(驚くべき事にサウンドハウスでは今でも買えます)

 ということで,ゴミにゴミが入り込んだだけ,という悲しい結果に終わったCLIPHIT復活大作戦。当時宴会芸で使えるかもと書いた私ですが,10年経って宴会の機会すらなかった私にはもはや無用の長物でしょう。

 どうするかな。

ユーティリティ

2026年04月

- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -

検索

エントリー検索フォーム
キーワード

ユーザー

新着画像

過去ログ

Feed